税制改革が取り扱う消費及び所得に関連した租税の税務訴訟は総額3,220億レアル(2023年5月22日付けバロール紙)

 

税制改革の対象となる消費と所得に関連した税務訴訟と行政訴訟が、少なくとも3,220億レアル規模で存在することが、高等教育機関インスペル(Insper)の税務調査センターが初めて実施した調査で明らかになった。この金額は、751社が証券委員会(CVM)に報告した訴訟情報から明らかになった。税制改革において連邦政府は、消費関連の税制と所得関連の税制を2段階でスリム化する方針。

 

税制改革の目的のひとつとして財務省のベルナルド・アピー税制改革特別局長は、商品サービス流通税(ICMS)と社会統合計画賦課金(PIS)及び社会保障賦課金(Cofins)には中間投入財に関連して税クレジット(税額還付の権利または別の税種目に対する税額控除の権利)を発生させる法律のグレーゾーンが存在しており、この問題が税制改革における議論の重要なテーマのひとつになっているという。現行法では、ICMSの税クレジットだけでなくPIS及びCofinsに関連した税クレジットも、支払うべき税額から控除することが可能である。

 

「税制が単純化されれば、税務訴訟を引き起こす解釈の相違に関する問題は解消する」と同局長はコメント。アピー局長によると、これで不正行為がなくなるわけではなく、引き続きそうした行為は処罰されるべきであるが、税務訴訟の大部分は「極めて複雑な」ブラジル国内法の解釈が原因だという。また同局長は、現時点で財務省は所得税法の改正に取り組んでおり、同様の目的、すなわちより明快かつ法的安定性の確保に向けて、第2段階も推進していくという。

 

今回の調査では、消費に関連した税務訴訟でICMS及びその他の税務でみなし減税による税クレジットの計算処理もテーマのひとつに挙げられたが、調査主任のブレノ・ヴァスコンセーロス氏によると、この訴訟は改革が可決されると緩やかに消滅していくだろう、という。所得税関連の税務訴訟で最も多いのが、控除に関連したものである。この調査レポートに参加したタイス・シンガイ氏は、CVMに報告された税務訴訟は、財務諸表に組み入れられるリスク分析に依存しているため、おそらく過小評価されていると話す。

 

財務管理職研究所(IBEF)のメイリー・フランコ技術委員会副議長は国内の税務訴訟が減少するのは、税制改革が構造的で憲法の原則を尊重し、かつ経済部門ごとの扱いに偏りがない場合に限られるという見方を示した。

アプリケーション運転手がCLTによる雇用関係より自営業を希望(2023年5月22日付けバロール紙)

2023年1月から3月にかけてダッタフォーリャ(Datafolha)が携帯電話アプリケーションを利用する2,800人の運転手と配達人を対象に実施した調査によると、75%が労働関係として自営業者であり続けることを希望していることが明らかになった。この調査は、食品宅配で最大手のプラットホームiFoodと99と並んで個別旅客輸送で大手のUberの依頼を受けて実施された。

 

調査対象となった運転手と配達人の大部分は、連邦政府が検討しているように統合労働法(CLT)の枠組みで雇用関係を締結することにメリットを感じていないが、89%が、社会保障のような社会的保護と一定の権利を確立する必要があると受け止めている。

 

この問題を巡っては、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領(PT:労働者党)がメーデーの5月1日、アプリケーションを通じた労働者に関連した規制を提案するワーキンググループを設立する政令に署名している。

 

このワーキンググループについて労働雇用省は、6月に公式に設置されるとコメントしている。また4月にはルイス・マリーニョ労働雇用大臣が、年内にアプリケーションの運転手と配達人を規制する法案を国会に提出する方針とコメントしていた。

 

調査によると、過半数の76%が、アプリケーションを通じた労働を継続したいと回答。権利と恩恵に関する質問では、7割(68%)の運転手と配達人が、プラットホームが社会保障費の納付を自動化できるのであれば納付すると回答した。

 

また回答者の36%が公的年金や私的年金に加入していないと回答しており、その主な障壁としてコスト(34%)と煩雑な手続き(21%)、知識不足(19%)を上げる声が多かった。また25%が、個人零細事業主(MEI)のような枠組みを通じて専門自営業者として社会保障に加入していると回答した。

 

全体の68%が、アプリケーションを提供するプラットホームが自動的に社会保障サービス(INSS)の納付を行うのであれば、「確実に/おそらく」社会保障費を負担して加入するだろうと回答した。

 

バロール紙の取材に対してウーバーとアイフード、さらにこれらのプラットホームを代表するブラジル・モビリティー及びテクノロジー協会(Amobitec)、さらに99は、企業側はINSSの一部を負担することを提案しているとコメントした。

 

またダッタフォーリャの調査では、INSSの庇護を受けていない運転手と配達人の最大の懸念が、中長期的には、収入を失うことと健康問題だということも明らかになった。

 

運転手の場合、最大の懸念は車両の整備コスト(57%)、次いで強盗被害(48%)、そして事故による収入の喪失(46%)だった。

 

配達人の場合、最大の懸念は交通事故による収入の喪失(48%)、次いでプラットホームの登録抹消(44%)、車両の整備コスト(42%)だった。

 

また89%が、引き続き複数のプラットホームに登録可能でどの配車業務や配達業務を自分が行うか選択できる限り、新たな権利を受け入れると回答した。

 

5月15日に発生したアプリケーション・プラットホームの運転手の全国的なストでは、配車業務の報酬の引き上げを求めていた。

 

呼びかけ人の一人で業界のインフルエンサーのひとり、フェルナンド・フロリパ氏は、「我々が希望しているのはINSSによる支援ではなく、支援を受けることなく負担金を支払うことができる公正な報酬だ」という。同市によると、MEIとして活動している運転手は毎月、INSSへの負担金として65レアルを支払っているという。

 

サンパウロ・アプリケーション・ドライバー協会(Amasp)のエドゥアルド・リマ・デ・ソウザ会長は、「政府がドライバーの年金問題に取り組んでいることは、企業側がより大きな負担をするという正しい形である限りは評価に値する」と話す。

 

15日のストを支持するという同会長は、プラットホーム側のINSSの補助は、業界からの政府への提案のひとつと評価する一方、規制を議論するためのワーキンググループに業界の労働者の代表がいないことを批判する。

 

なお、フロリーパ氏によると15日の全国ストには、アプリケーションの運転手の40%が参加したという。

エスピリト・サント州で国内初の人への鳥インフルエンザ感染の疑い

保健省は5月17日夜、鳥インフルエンザ(H5N1)に国内で初めて人が感染した疑いがあり、調査を進めていると発表した。感染が確認されれば、国内では初のケースとなる。

同省によると鳥インフルエンザへの感染が疑われているのは61歳の男性で、エスピリト・サント州ヴィトーリア市の公園職員。この公園では、1羽の鳥が鳥インフルエンザに感染していたことが確認されている。男性に軽度のインフルエンザのような症状がみられ、防疫プロトコルに基づいて隔離され、市保健局スタッフが経過を観察している。

保健省は書面で、「感染が疑われる患者と、同様に公園で働く32人の職員から回収したサンプルをエスピリト・サント州公衆衛生中央研究所(Lacen)に送付した。分析後、同様にこのサンプルは、州の参照研究所であるオズワルド・クルス財団(Fiocruz)に送付される」と説明した。

更に保健省は、「鳥インフルエンザは感染した鳥との接触により伝染するもので、その鳥が生きているか死んでいるかには関係しない。さらに世界的に観察対象になっている病気であるが、人から人へは容易には感染せず、人=人感染は一般的に持続性がない」と説明した。

5月15日にはエスピリト・サント州で海鳥2羽からH5N1ウイルスの感染が国内で初めて確認されている。野鳥であり養鶏場における生産に問題が生じるものではないが、ブラジルは鳥インフルエンザ正常国としての地位を失った。

この野鳥の感染を受け、保健省は、人への感染も考慮して監視ガイドラインを強化していた。(2023年5月18日付けバロール紙)

Coamoが25年までにサイロに2.5億レアルを投資へ

ラテンアメリカ最大の農協、モウロエンセ農畜産協同組合(Coamo)が今後2年で2億5,000万レアルを投資し備蓄庫の静的保管容量を40万トン拡大する。

今収穫期は、過去最大規模で穀物の納入が予想される一方で青田売りによる取引量はわずかで同農協は、194ヘクタールのサイロバッグと13カ所のインフレータブルサイロの借り入れ、さらにパラナ州と南マット・グロッソ州で第三者から30カ所以上のサイロを借り入れたとしても、135万トン分の不足が生じると推算している。同農協の保管容量は、700万トン。

Coamoのジャルバス・ルイス・クレヴェストン・エンジニアリング担当理事によると、5月10日までに9,350万俵(560万トン)の大豆と450万俵(27万6,000トン)の夏季トウモロコシが同農協に納入されたという。この内、3,500万俵(1俵=60㎏)がすでに販売された。「問題は、取引が例年以上に緩やかなことで、当農協の静的な保管能力が必要量をはるかに下回っていることだ」と同理事は指摘した。

夏季収穫に厳しい対応が迫られる中、同農協は、冬季収穫ではおよそ5,000万俵から6,000万俵(約300万トン)の冬季トウモロコシと、1,000万俵(6万トン)の小麦の納入を受ける見込みである。

同理事によると、納入量の理想は、静的な保管能力の1.5倍という。この数字が達成されて初めて経済的で、発送管理も可能になるという。

Coamoは昨年、1億0,400万レアルを投資して南マット・グロッソ州リオ・ブリリャンテ事業所に1万トンの保管能力を持つサイロを4基建設、さらにインフレータブルサイロで6,000トンの保管応力を確保した。

2022年に同農協の収入は過去最高の281億レアルを計上、3万1,000人の組合員から750万トンの穀物納入を受けた。パラナ州とサンタ・カタリーナ州、南マット・グロッソ州に114カ所の拠点を持つ。(2023年5月18日付けバロール紙)

過剰な新規出店とデフレによりブームだったアタカレージョの業績にも打撃

法人と個人を対象に販売を展開するアタカレージョ(小売兼業卸売倉庫店)が2015年のブーム以降で最も厳しい状況に直面している。その問題の一部は、業界の黄金期を支えた新規出店や業態転換による急速な店舗数の拡大である。記録的な店舗の買収が進められた結果、アタカレージョ自身の店舗間での客の取り合いが発生した外、特定の食料品でデフレが発生していることでアナリストらはレポートの中でそのリスクについて警鐘を鳴らしている。

NIQ Ebit(旧NielsenIQ:ニールセンIQ)が調査を開始して以降で初めて、サンパウロ大都市圏市場では既存店(1年以上前から営業している店舗)の売上が落ち込んだ。4月の月初から5月7日までで見ると、この落ち込みは前年同期比-4.8%、さらに年初から5月7日までの期間を見ても前年同期比-1.5%を記録した。

リオデジャネイロ大都市圏市場では、同様に4月の月初から5月7日までの期間に前年同期比-5%を記録。年初から5月7日まででは前年同期比-0.4%を記録した。また全国的に見ると、年初から5月7日までの期間の既存店の売上は前年同期比+3.9%で、4月の月初から5月7日を見るとゼロ成長だった。

この結果は、1年前にスーパーマーケット/ハイパーマーケットのエストラ(Extra)の70店舗をアタカレージョのアサイー(Assaí)に転換したことや、2021年にマクロ(Makro)の28店舗の転換、2022年と2023年にビッグ(Big)の27店舗をアタカドン(Atacadão)に転換したことが直接的に影響したものである。全体では、2023年第1四半期(1―3月期)に前年同期と比較して新たに400店舗のアタカレージョ店舗がオープン(新規出店及び既存店の業態転換を含む)している。

NIQ Ebitが収集したデータによると、新規出店店舗においても、市場競争の影響を受けていることが分かる。大手チェーンは、現状がバランスを欠いていることを認めつつ、今後、この状態が正常化すると予測している。アサイーのベルミロ・ゴメス(Belmiro Gomes)CEOは、「業界内と店舗間で共食いが発生している」と認めた。

こうした状態は、2023年の年明け以降の総売上(既存店及び新規店)にも、多かれ少なかれ影響を与えている。

それだけでなく、インフレの減速がこれらのチェーンの収益にも打撃を与えている。農産物生産者と卸売会社の販売価格を計測する総合卸売物価指数(IPA-M:前月21日から当該月20日を計測)は、2023年4月までの12カ月間で-4.53%を記録した。アタカレージョでは、主力商品のデフレは12カ月でこれを上回る-7%を記録したと推算されている。単価の落ち込みを補完する販売量が回復しない中、これらの企業の名目収入が勢いを失っている格好だ。

業界のある役員は、「10%から12%値下がりしている商品もあり、週末には行列も発生するが、この値下がりを補うだけの販売量がない。アタカレージョにおいてもトレードダウン(より安い商品を買おうとする消費者の動向)が発生しているからだ。アタカレージョにおいても消費者は、購入量を縮小させる傾向にある」という。(2023年5月18日付けバロール紙)

労働集約型のサービスが高水準で推移しておりインフレの低下にブレーキをかけているとバークレイズ

バークレイズによると家事労働や美容、医療、歯科医療といった労働集約型サービスのインフレ率が過去6年で最も高くなっており、ブラジル経済におけるインフレの減速だけでなく、ブラジル政府が進める新たな消費刺激策の効果に対しても危ぶむ見方につながっている。

2023年4月までの12カ月間で、労働集約型サービスのインフレ率は+6.82%を記録、12カ月間のインフレ率としては+6.98%を記録した2017年以来の高水準で推移している。同銀行のブラジル担当チーフエコノミスト、ロベルト・セセムスキー(Roberto Secemski)氏は、「このカテゴリーが最近の調査でインフレ圧力を受けていることを確認している」と話す。

労働集約型サービスは、ブラジル地理統計院(IBGE)が計測する政府の公式インフレ指数である拡大消費者物価指数(IPCA)が計測するサービスの20%弱を占めており、全体では6%の比重が与えられている。このように、公式インフレ率に直接与える影響は限定的なものであるが、一般サービスとは異なりこのセグメントのインフレ率が全く下がっていないこと、さらにこれが他の品目に波及する可能性があることには注意すべきだという。

例えば、ギャルソンあるいは整備士のようなサービスの場合、このサービス・セグメントには含まれていないが、いずれも、外食や自動車の修理といった項目の価格設定において考慮されることが知られているとセセムスキー氏は説明する。「これは、その他の価格に対して遅かれ早かれコスト圧力として現れる可能性のある労働市場の報酬の動きを示している」と同氏は指摘する。

さらにセセムスキー氏は、別の問題として、この種のインフレは一朝一夕に下落するものではなく持続性があることが過去の経験から知られている点にも言及している。労働集約型サービスのインフレ率は2009年から2016年にかけて、平均するとほぼ2桁(+9.7%)で推移した。しかも、この種のインフレを減速させるには、激しいリセッションが必要だったと同氏は言う。「労働集約型サービスのインフレ率が強い慣性を持つことを考慮すると、悪性の挙動に陥るリスクが常に存在する。これはサービス全体にも言えることだが、労働集約型サービスではその傾向が強い」という。

さらに同氏は、労働集約型サービスのインフレ率が1年前には12カ月間で+4%と、現在の水準を3ポイント下回っていたことも指摘する。「仮に現在の(+7%近辺という)水準で固定されれば、その後、これを引き下げるのは極めて困難になる。高い水準がより長期化するほど、その水準に対してより強い慣性を持つことになる」という。

その上で同氏は、「最低賃金の引き上げと、ボルサ・ファミリア(Bolsa Família:家族手当)で子供1人当たり150レアルの追加支援など、こうしたニュースはいずれも、インフレに対する楽観的な見通しに決定的な打撃を与えかねない」と指摘。

2022年から中央銀行が金融引き締め策を通じて物価の抑制に取り組んでいる中、連邦政府の一連の政策はこれに逆行するものになりかねないとセセムスキー氏は言う。「物価上昇プロセスが根付けば、これを取り除くコストは極めて高いものになる」と同氏は警鐘を鳴らした。(2023年5月17日付けバロール紙)

ブラジル・コストはGDP比19.5%の1.7兆レアル

商工サービス省(MDIC)とゼツリオ・バルガス財団(FGV)との協力で競争力あるブラジル運動(MBC)が実施した調査で、租税と法的不安定性、資金調達、不備のあるインフラ、その他で構成される、諸外国との相対的な比較で経済的負担として経営を圧迫するいわゆるブラジル・コストが1兆7,000億レアルに達していることが示された。

これは、国内の製造業が、経済協力開発機構(OECD)の加盟国の平均的なコストと比較してより多く負担しているコストを示す。今回の結果は、ブラジル・コストがGDPの19.5%に達していることを意味する。4年前にMBCが実施した調査では、ブラジル・コストは1兆5,000億レアルで、GDP比22%だった。

4年前の調査からブラジル・コストの名目成長率は、主にインフレを中心として16%を記録したことになる。MBCのロジェリオ・カイウビー顧問は、「(インフレ率の影響を除外した)実質的な増加は非常にわずかだ」と話す。

調査は、前回と同様の方法で実施されている。すなわち、ブラジルの経済環境において企業の競争力にとって極めて重要と位置付けられる12項目のガイドラインをマッピングした。さらにこれに関連して、2022年の評価では32に達した指標で評価した。

このガイドラインの中でも特に6項目が、ブラジル・コストの80%を占めるとMBCは言う。それらには、複雑な税制が含まれる。その他の項目は、ビジネスに対する資金調達、人的資本の導入(雇用)、利用可能なインフラ、法規制環境、グローバルな生産チェーンへの統合である。

研究で示された実例のひとつが、ブラジル企業が租税の算出に62日を費やしているというデータである。OECD加盟国の平均は2019年から引き続きブラジルを大きく下回る、わずか6日である。

複雑な税制をスリム化する税制改革は、少なくとも20年にわたって議論が続いてきた、ブラジルで最も難しい議論のひとつであるが、MBCのカイウビー顧問は現在の状況を楽観視している。同顧問は、「税制改革の可決が現在ほど現実味を帯びたことはない」と受け止めている。ただし、税率を議論するだけではなく、税金の支払いの実証とどのように納付するのかについても改革する必要があると付け加えた。

実業家のジョルジェ・ゲルダウ氏が理事長を務めるMBCが強調するもうひとつの課題は、人材の登用だ。教育の欠陥から企業は、人材の再教育に年間1,450億レアルを支出している。カイウビー顧問によると、人材の技術習得だけでブラジル・コストの8%を占めるという。

同顧問はさらに、「これは既知のことではあるが、教育全般の質の低さだけでなく、専門技術や専門的な訓練にあまり注意が払われて以内結果であり、現在、こうした知識や技能を教育現場で見につける若者は、中等教育修了者のわずか10%から12%にとどまる。先進国では、この比率は45%に達している」と指摘した。

各指標は過去4年間に原則的に「横ばい」で推移したが、ジャイール・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)前大統領の就任後に前政権との提携で実施された最初の調査以降、こうしたプロフィールを改善させるいくつかの種がすでに蒔かれているとMBCは受け止めている。

2020年に行政府と立法府で、ブラジル・コストを削減する可能性のある既存のプロジェクトがマッピングされている。その数、およそ700。

翌2023年に連邦政府は、そのプロジェクトのいくつかを実際に推進すべく組織的な同院を進めた。カイウビー顧問によると、「(前政権では)マッピングに加えて新規プロジェクトの提案を受け入れることはできたが、まだ提案されたプロジェクトの実際の影響を計測するためのイニシアティブが構築されていなかった」という。

同顧問が指摘する「蒔かれた種」のひとつが、ガス業界基本法の可決だという。2021年に可決した同法は、関連法規に依存するため今のところ、その効果を発揮していない。

この基本法は、競争力のある条件で天然ガスの供給を可能にし、エネルギーコストを引き下げる重要な要素である。一方、電話通信インフラでは、ブラジルはブロードバンドの普及率が30%強と進んでいる。それでもブラジルがOECD加盟国の平均水準に達するには、さらに10ポイント引き上げる必要があると今回の研究は指摘している。

今後は、2023年下半期にMDICと共同でブラジル・コスト観測機構の立ち上げを予定する。5月18日から、官民からアイデアを募集する意見招請を実施する。

連邦政府とMBCは、ブラジル・コスト削減計画の構築も想定している。この分野で重要なプロジェクトのマッピングと導入を促進するだけでなく、それぞれのプロジェクトがブラジル・コストの削減にどのような効果を発揮しているかを計測することも目的とする。

これは、実施されたプロジェクトに対して「継続的に改善していく文化」を植え付けるのに必要な評価を行う手法になると、MBCは位置付けている。(2023年5月17日付けバロール紙)

23年3月のIBGEのPMCが市場の予想を上回る前月比+0.8%を記録

ブラジル地理統計院(IBGE)は5月17日、2023年3月の月例小売調査(PMC)で小売販売量が前月比+0.8%を記録したと発表した。2月の小売販売は、前月比-0.1%でほぼ横ばいだった。IBGEのクリスチアーノ・サントス調査部長によると、3月の販売の伸びとしては2018年3月に+1.3%を記録して以来の大きなものだという。前年同月との比較でも+3.2%で、3月までの12カ月間で見るとその前の期と比較して+1.2%だった。

バロール・ダッタが30社のコンサルティング会社と金融機関から集めた事前予想は、-0.2%だった。予想は、下は-1.4%、上は+0.7%。

自動車と二輪車及びそのパーツと、建築資材を含めた広範囲小売販売では、3月は前月比+3.6%を記録、2月の前月比+2.0%を上回る伸びを見せた。

27社のコンサルティング会社と金融機関による事前予想の平均は-0.3%で、下は-1.8%、上は+1.3%。こちらも、市場の予想を上回る結果が出た。

また3月の広範囲小売販売量を前年同月と比較すると、+8.8%だった。

この結果、2023年第1四半期(1―3月期)で見ると、小売販売量は前期比+2.0%。さらに拡大小売販売量は前期比+3.7%だった。第1四半期として見た小売販売量の伸びは、+2.4%を記録した2021年以来の大きな伸びとなった。

IBGEは、「四半期で見ると小売販売は回復している」と受け止めている。(2023年5月17日付けバロール)

2023年第1四半期にプライベート・エクイティによる投資が19年以降で最低に

TTRデータ(TTR Data)との提携を通じてブラジル・プライベート・エクイティ&ベンチャー・キャピタル協会(Abvcap)がまとめたデータによると、2023年第1四半期にプライベート・エクイティ・ファンドによる投資が、2019年以降で最低水準にまで低下した。この期間、17社に対して総額6億レアルの投資が行われた。この金額は、2022年第4四半期との比較では92%の減少、前年同期との比較でも87%の減少となる。

プライベート・エクイティによる年初の主な投資には、ウォーバーグ・ピンカスによるテクノロジー会社スキャンテックに対する2億0,800万レアルの投資や、23Sによるコンソーシアムのアデミコンへの3億レアルの投資がある。2022年の場合、プライベート・エクイティによる投資は189億8,000万レアル、2021年も158億1,000万レアルを記録していた。

Abvcapによると、スタートアップに照準を合わせたベンチャーキャピタル・ファンドによる投資は第1四半期に14億2,000万レアルで、前期から42%減少した。スタートアップに投資する成熟企業のファンドで構成される、いわゆるコーポレート・ベンチャーキャピタルも第1四半期には70%減の1億8,000万レアルにとどまり、2021年の年明け以降で最低を記録した。

投資額が大幅に減少した背景についてAbvcapのピエロ・ミナルディ会長は、国内環境だけでなく国外環境でも、とりわけ高金利が企業価値を棄損するなどボラティリティーの高い状況があったと指摘。「『バリュエーション(企業価値評価)』はまだ完全に修正が終わっていないが、現時点で進められている交渉が下半期には数字として表れるはずだ」という。

さらに同会長は、業界では多くの交渉が進められていることも明らかにした。その上で、国内でより多くの資産を持つ主要なファンドが資金を調達しており、いつでも買収に動き出せる状態だと強調した。

スペクトラの経営パートナー、レナット・アビサムラ氏は、高金利が企業のキャッシュフローを悪化させており、一部の企業では新たな経営パートナーが参画することへの抵抗感にも変化が生じ始めていると指摘する。「資本を必要とする企業は、これまで以上に積極的になり始めている」という。取引に関心を持つ企業が増えていることで環境は投資にとってより有利になり始めており、その結果、今後は発表が増加すると同氏は受け止めている。

ウォーバーグ・ピンカスのブラジル事業責任者、エンリッケ・ムラモト氏は、年初にスキャンテックを買収した後も引き続き市場で機会をうかがっているとコメントした。「証券取引所に上場している成熟した企業や非公開企業に注目しているが、その視線の中心は、より大きな成長が見込まれるテクノロジー企業である」という。

またあるプライベート・エクイティの役員は匿名を条件に、年明けにはより活発に取引が行われると期待されたが、市場のムードに水を差すような新政権の態度が投資判断にブレーキをかけ、さらにブラジルへの参入を分析していた外資系ファンドを追い払う形になったとコメントした。その上で、「高金利に我々が恐れをなしているのではない」と付け加えた。

この人物はさらに、アメリカーナスの不正会計問題が1月早々に発覚したことも、とりわけ上場企業関連でファンドによる投資にブレーキをかけたという。「この問題は、上場企業との取引やデューデリジェンスなどを複雑なものにした。その影響は非常に大きかった」と指摘した。(2023年5月16日付けバロール紙)

ペトロブラスが新たな燃料価格戦略を同社理事会が承認したと発表

ペトロブラスは5月16日、同社の製油所が販売するディーゼル油とガソリンの価格の設定に関して、輸入平価(PPI)に代わる新たな販売戦略を同社理事会が承認したと発表した。

新たな販売戦略では、顧客の代替費用を価格設定における優先的価値に据える。言い換えると、同一の製品もしくは代替の製品であれ、サプライヤー、すなわち供給における主要な選択肢により提示される価格を優先する。

さらにペトロブラスにとっての限界価値も、製品または製油所で使用する原油の生産と輸出入など、同社にとっての様々な選択肢に基づく機会費用を考慮して算出する。

同社は声明の中で、「販売戦略は、顧客が利用できる最良の代替品を考慮し、国内外の市場とのバランスを考慮して、それぞれの販売時に競争力のある価格を提示することを前提にしている」とコメントした。

またこの価格調整は、ボラティリティーが国内価格に反映されるのを回避すべく周期性を持たせず、引き続き市場及び価格検討グループにより実施される。

この新しい販売戦略を通じてより効率的で市場シェアを考慮し、精油資産の最適化を図り、持続可能な方法で利益率を追求することが可能になるとしている。

その上で同社は、長期的な財務の持続可能性と、市場とのバランスの取れた経営の維持、価値創造に向けて取り組んでいくと改めて表明、競争力のある価格設定を通じて戦略計画で想定する投資を保証すると強調した。(2023年5月16日付けバロール紙)