所得税免税枠の引上げで1,300万人が恩恵を受ける(2023年5月2日付けヴァロール紙)

ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領は、メーデーの前日30日に個人所得税 (IRPF) の免税範囲を 現行の1,903.98レアル から2,112レアルに拡大、毎月 528 レアルを控除する暫定措置に署名。最低サラリーの2倍に相当する2,640レアルまでの低所得層が免税の恩恵を受ける。

個人所得税の新免税リストは5月から有効となり、1,370万人の低所得層が恩恵を受ける。また5月1日から現行の最低サラリー1,302レアルも1,320レアルに引上げられる。

8 年前に 1,903 レアルで凍結されていた個人所得税の免税範囲を変更後は2,640レアルまでの個人所得税は免税となる。ルーラ大統領の任期が終了するまで、個人所得税の免税枠は5,000 レアルまで拡大するとルーラ大統領はマスコミで強調している。

新個人所得税の税率リスト

2.112レアルまでは免税

2.112レアル~2.826,65レアルまでは税率 7,5%

2.826,66レアル~3.751,05レアルまでは税率15%

3.751,06レアル~4,664,68までは税率 22,5%

4.664,68レアル以上は税率27,5%

個人所得税の免税枠の拡大で、連邦政府の歳入は32億レアル減少する一方で、連邦政府は32億レアルの歳入減少を補うために、海外での所得税に対する課税で32億5,000万レアルの歳入増加を見込んでいる。

 

今年4月のブラジルの貿易収支は82億2,500万ドルの黒字計上(2023年5月2日付けヴァロール紙)

開発商工サービス省(MDIC)の発表によると、2023年4月のブラジルの貿易収支は、前年同月比5.5%増加の82億2,500万ドルの黒字計上している。

今年4月の輸出総額は、前年同月比マイナス0.3%の273億6,500万ドルに対して、輸入総額はマイナス2.6%の191億4,000万ドルを記録している。

今年初め4カ月間の累計輸出総額は前年同期比1.8%増加の1,035億ドル、累計輸入総額はマイナス2.2%の795億ドル、貿易総額は1,830億ドルであった。

今年初め4カ月間の累計貿易黒字は、17.9%増加の241億ドルと統計を取り始めた1989年以降では最高の貿易収支黒字を計上している。また今年初め4カ月間の累計輸出総額の過去の記録を更新している。

今年4月の中国、香港並びにマカオ向け輸出は5.3%増加、アジア向け輸出は0.8%微増に留まっている。北米向け輸出はマイナス0.65%、南米は16.6%増加、ヨーロッパ向け輸出は、マイナス10.64%と二桁台の落込みを記録している。

フェルナンド・アダジ財務相は、200社以上のブラジル企業がアルゼンチン向け輸出代金を受け取っていないが、アルゼンチン向け輸出スペースを失わないためにブラジル政府は解決策を模索するために、2日夜にルーラ大統領とアルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領と会合を持つ。

アルゼンチンの経済危機にも関わらず、アルゼンチン向け輸出は今年の月間及び累計でも共に増加を記録、特に4月は38.3%と大幅増加を記録、特に大豆、粗鋼、自動車、自動車部品及び電力エネルギーが牽引している。

アルゼンチンは大豆の大生産国にも関わらず、バイオディーゼル生産のためにブラジルから大豆の輸入を余儀なくされていると開発商工サービス省(MDIC)企画担当のHerlon Brandão取締役は説明している。

今年4月の農畜産物輸出は13.7%増加、鉱業部門はマイナス6.6%、製造業部門の輸出もマイナス6.3%を記録している。一方今年4月の農畜産物輸入はマイナス23.5%、鉱業部門は20.1%増加、製造業部門の輸入はマイナス3.9%であった。

今年4月のブラジルの製造業部門の購買担当部長指数は44.3ポイント(2023年5月2日付けヴァロール紙)

2023年4月のブラジルの製造業部門の購買担当部長指数(PMI)は、6カ月連続で前年割れを記録して悪化が継続している。

S&P Global社の発表によると、今年4月の製造業部門の購買担当部長指数(PMI)は、3月の47.0ポイントから44.3ポイントと2.7ポイント減少を記録。製造業部門の健全性の急激な悪化と一致しており、3 年間で最も急速な悪化の 1 つとなっている。

4月のブラジルの製造業部門の減速は6 か月連続を記録、企業は新規ビジネス指数のより顕著な縮小により生産を削減している。

顧客の注文の延期に加えて、製造業部門は、家計の購買力の低下、潜在的な需要の弱さ、および公共政策を取り巻く不確実性が製造業部門のパフォーマンスを圧迫しており、価格に関しては、価格の上昇は緩やかではあるが、競争圧力と販売不振により、生産コストの上昇は妨げられている。

工場製造メーカーへの発注は、2020 年上半期に COVID-19 のパンデミックが始まって以来、最も急激な減少率の 1 つであると、S&P グローバルは説明している。多くの顧客が保留中の取引の承認を遅らせ、自動車部門の低迷、家計の可処分所得の縮小、および潜在的な需要の低迷と相まって、売上高がさらに縮小して来ている。

製造メーカーは4月に再び生産を減らしており、収縮のペースは鋭く、過去 3 年間で 2 番目に速かった。海外市場での需要の低迷により、海外での売上高はさらに縮小したが、ここでの減速は 6 か月で最も緩慢であった。食品、金属、プラスチックの国際コモディティ価格は高どまりしている。

 

HSBC銀行の今年第1四半期の純益は3倍増(2023年5月2日付けヴァロール紙)

HSBC銀行の今年第1四半期の純益は、世界的な金融引き締め政策による高金利が牽引して、昨年第1四半期の純益27億6,000万ドルを3倍以上上回る103億3,000万ドルに達している。

HSBC銀行の今年第1四半期の売上は、前年同期比64%増加の201億7,000万ドル、今年3月の英国Silicon Valley銀行の買収で15億ドルの利益を上げている。

HSBC銀行は、今年から最低でも12% の平均有形株主資本利益率を達成するという目標を維持しています。

HSBC銀行は、1株あたり10セントの配当を発表。これは、2019年以来初めての四半期配当で、また、最大20億ドル相当の自社株買いを開始すると説明している。

 

最終フォーカスレポートは今年のインフレ指数を6.05%に上方修正(2023年5月2日付けヴァロール紙)

ブラジル中央銀行の最終フォーカスレポートによると、今年のブラジルの正式なインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、 前回予想の6.04%から6.05%に微調整している。

しかし2024年のIPCA指数は前回同様4.18%に据置、2025年のIPCA指数も4.00%に据え置いている。今年末の政策導入金利(Selic)を12.50%、2024年末のSelic金利は10.00%、2025年末のSelic金利は9.00%に据え置いている。

今年のGDP伸び率は前回予想の0.96%から1.00%に上方修正、2024年のGDP伸び率は1.41%に据え置いたが、2025年のGDP伸び率は1.70%から1.80%に上方修正している。

先月2日のブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、2022年のブラジルの国内総生産GDP伸び率は前年比2.9%増加したが、昨年第4四半期のGDP伸び率はマイナス0.2%を記録していた。次回の今年第1四半期のGDP伸び率は6月1日に発表される。

今年末のレアル通貨に対するドルの為替はR$5.20 ,2024年末のレアル通貨に対するドルの為替はR$5.25、2025年末のドルの為替は前回同様R$5.30 に据置いている。

3月のブラジルの財政プライマリー収支は141億8,200万レアルの赤字計上(2023年4月28日付けヴァロール紙)

28日のブラジル中央銀行の発表によると、2023年3月の中銀、国庫庁並びに社会保障院(INSS)で構成される中央政府及び州政府と市町村で構成される地方政府を合わせたブラジル政府の財政プライマリー収支は、141億8,200万レアルの赤字計上したが、2022年3月の財政プライマリー収支は、43億1,200万レアルの黒字を計上していた。

ブラジル政府の財政プライマリー収支には、ペトロブラス石油公社(Petrobras)、ブラジル中央電力公社(Eletrobras)、ブラジル銀行(BB)及び連邦貯蓄金庫(Caixa)などの公立銀行の決算は含まれていない。

今年3月の中央政府の財政プライマリー収支は97億1200万レアルの赤字、地方政府の財政プライマリー収支は、46億2,500万レアルの赤字を計上していたが、公社は1億5,400万レアルの黒字を計上していた。

今年3月の過去12カ月間の累計財政プライマリー収支は、GDP比0.74%に相当する747億5,500万レアルの黒字を計上、今年2月の過去12カ月間の累計財政プライマリー収支は、GDP比0.93%の黒字を計上していた。

今年第1四半期の累積財政プライマリー収支は、583億7700万レアルの黒字を計上、昨年同期の財政プライマリー収支は、1096億1,600万レアルの黒字を計上していた。

今年第1四半期の653億1,700万レアルの利払いを含む名目累積財政プライマリー収支は、794億9,900万レアルの赤字を記録したが、昨年同期の財政プライマリー収支は、264億7,200万レアルの赤字に留まっていた。

今年3月の過去12か月間の名目財政プライマリー収支は、GDP比6.11%に相当する6188億9,000万レアルの赤字を記録したが、今年2月の過去12か月間の名目財政プライマリー収支は、GDP比6.54%であった。

今年第1四半期の平均失業率は8.8%に相当する940万人(2023年4月28日付けヴァロール紙)

4月28日発表のブラジル地理統計院(IBGE)の全国家庭サンプル調査(Pnad)によると、2023年第1四半期の月間平均失業率は、8.8%と前四半期の月間平均失業率7.9%を大幅に上回っている一方で、昨年第1四半期の平均失業率の11.1%を大幅に下回っている。

Valor社の28社のコンサルタント及び金融機関対象の失業率調査では、最低予想は8.5%、最高予想は9.1%、平均予想は8.9%よりも若干低かった。

今年第1四半期の14歳以上で就活をしている労働者の月間平均失業者は940万人に達し、前四半期よりも10%に相当する86万人増加しているが、前年同期よりも21.1%に相当する250万人減少している。

今年第1四半期の従業員、経営者や公務員を含む労働人口は、前四半期比1.6%に相当する150万人少ない9,780万人であったが、前年同期比では2.7%に相当する260万人増加している。

今年第1四半期の14歳以上の労働者及び就活をしている人口は、1億730万人と前四半期比では0.6%に相当する68万5,000人少ない数字を記録している。

2012年3月以降の四半期の失業率の推移

2月のサービス部門提供量(生産性指標)は予想を上回る1.1%増加(2023年4月27日付けヴァロール紙)

ブラジル地理統計院(IBGE)の月間サービス生産量調査(PMS)の発表によると、2023年2月のサービス部門提供量(生産性指標)は、前月比1.1%増加と予想を上回る伸び率を記録している。

2023年1月のサービス部門提供量(生産性指標)は、前月比マイナス3.1%(修正後は3.0%)を記録、統計を取り始めた2012年初めからでは最高の落込みを記録している。

今年2月のサービス部門提供量の前年同月比では5.4%増加、2月の過去12カ月間のサービス部門の累計提供量は7.8%増加を記録している。

Valor Data社の26社のコンサルタント会社や金融機関対象の調査では、最低予想はマイナス1.0%、最高予想は2.2%増加、平均予想は0.5%増加。また前年同月比では、最低予想は3.5%、最高予想は7.7%増加、平均予想は5.0%増加であった。

今年2月のサービス部門提供量レベルは、Covid-19パンデミック開始前の2020年2月のレベルを11.5%上回っている一方で、過去最高レベルであった2022年12月のレベルを2.0%下回っている。

今年2月のサービス部門のインフレ指数を考慮しない名目売上高は前月比2.0%増加、前年同月比では11.8%増加している。

今年2月のサービス部門の州別の前月比との比較では、27州のうち20州で増加を記録、特にマット・グロッソ州は7.7%、ペルナンブーコ州6.1%、パラ―州7.2%、ミナス州およびパラナ州はそれぞれ0.8%増加を記録している。一方マイナスを記録した州は、サンパウロ州マイナス0.1%、ブラジリア連邦直轄地マイナス1.7%、南大河州はマイナス0.8%であった。

今年2月のサービス部門提供量のセクター別の前月比との比較では、輸送・郵便セクターは2.3%増加、情報・通信サービスセクターは1.6%増加、その他のサービスセクターは0.9%増加、教育・研究機関などの公共サービスセクターはマイナス1.0%、一般家庭向けサービスセクターは、マイナス0.7%を記録している。

2022年12月~2023年2月の各サービスセクター別の月間、四半期平均、今年2か月間の累計、過去12カ月間の累計サービス部門提供量

4月の鉱工業部門の企業経営者景況感指数(ICI)は、前月比0.1%増加で昨年10月以降では最高レベル(2023年4月27日付けヴァロール紙)

ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)の調査によると、2023年4月の鉱工業部門の企業経営者の景況感を計る企業経営者景況感指数(ICI)は、前月比0.1%増加の94.5ポイントと2022年10月の95.7ポイント以降では最高レベルを記録している。

昨年12月~今年2月の四半期の平均月間企業経営者景況感指数(ICI)は、2カ月連続で0.5ポイント増加の93.6ポイントを記録している。

鉱工業部門の企業経営者は、在庫処分のための長い期間の困難の後、いくらかの改善を見ているにも拘らず、需要のレベルは依然として通常を下回っており、高水準の金利を維持しながら経済活動を再加速する上で、ブラジルが直面している困難を考えると、これは警告サインとジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)エコノミストのStéfano Pacini氏は指摘している。

今年4月の鉱工業部門の19セクターのうち9セクターの企業経営者景況感指数(ICI)は、先行き景況感期待指数(IE)は悪化しているにも拘らず、現状景況感指数(ISA)の改善でポディティブを記録している。

今年4月の鉱工業部門の企業経営者の現状景況感指数(ISA)は、2.0ポイント上昇の93.5ポイントと再度2022年12月の93.8ポイントに接近している一方で、先行き景況感期待指数(IE)は、1.8ポイント減少の95.7ポイントと悪化している。

現状景況感指数(ISA)を構成する項目のうち、在庫水準を測る指標が最もプラスの影響を及ぼし、年初から4.3ポイント減少して105ポイントに達している。この指標が 100 ポイントを超える場合、業界が過剰な在庫または望ましいレベルを超える在庫を抱えていることを示している。

今年4月の需要レベルは、2.4ポイント上昇の94.9ポイントと2022年10月以降では最も改善している。今後3カ月後の雇用レベルは、5.3ポイント減少の96.5ポイントを記録している。

また今後6カ月後の景況感指数は、4.0ポイント減少の90.2ポイントと2021年9月の102.7ポイントから大幅に落ち込んでいる。一方今後6カ月後の生産レベルは、4.3ポイント上昇の100.7ポイントと2022年6月に記録した102.9ポイントに接近してきている。

今年4月の鉱工業部門の設備投資稼働率(Nuci)は、1.7%上昇の80.7%と2020年9月以降では最高の上昇率を記録して2022年10月のレベルに戻っている。

 

今年のコンピュータやタブレットPC市場は回復予想(2023年4月27日付けヴァロール紙)

2023年のノートブック、デスクトップやタブレットPCの法人及び個人向け販売は、1,240万台が予想されており、2021年のコンピュータ販売の前年比マイナス11.0%から反転すると予想されている。

今年は、現在より穏やかな経済シナリオを考慮しても、コンピューター関連の売上は、前年比で最大 10% 増加する可能性が見込まれている。

今年の好調なコンピューター販売予想は、ジェツリオ・ヴァルガス財団情報テクノロジーセンター(FGVcia)による企業における情報技術の使用に関する第 34 回調査の結果であり、小売業を含む中・大企業2,660社の回答を分析している。

2022年のコンピューター販売は大幅な前年割れを記録していたが、今年のブラジル国内経済が余り好ましくないシナリオにも関わらず、回復するとジェツリオ・ヴァルガス財団情報技術担当のFernando S. Meirelles教授は説明している。

昨年のブラジル国内では2億1,500万台のコンピューター、2億4,900万台のスマートフォンが使用されており、昨年のコンピューターは一人1台、スマートフォンは一人1.2台使用されており、世界平均の0.87台、0.97台をそれぞれ上回っている。

昨年のブラジル国内のテレビ販売台数は、コンピューターやタブレットの販売台数に匹敵。 昨年のテレビ販売は 1,200 万台で、ブラジル国民の 1 人あたり 1.3 台のテレビ普及率となっている。