2022年のブラジル国内の小売チェーンでカーレフォール社は首位を維持もGPA 社はMateus 社に後塵を拝する(2023年4月18日付けヴァロール紙)

今年初めまで 小売網大手Assaí 社とGPA社を擁していた Casinoグループは、両社の傘下分離で、 小売業界最大手のCarrefour社に大きく水を開けられている。

ブラジルスーパーマーケット協会(Abras)の発表によると、2022年の Carrefourグループのインフレ指数を差引かない名目売上は1,081億レアルを記録、7年連続でスーパー業界の首位を維持している。

傘下にスーパーマーケット Carrefour社を擁している GPAグループは、コロンビア資本 Éxitoグループを放出したために、 Mateusグループに業界3位の地位を明け渡している。

スーパー業界首位のCarrefourグループに次いで、 Assaí Atacadista社の昨年の売上は597億レアルで2位、売上が246億レアルの Mateusグループが3位に浮上、GPA社は185億レアルの4位に後退、 140億レアルのBH Supermercados社は5位にランク入りしている。

また6位には売り上げが120億レアルの ブラジル資本のMuffato社、7位には112億レアルを売り上げた Pereira社となっている。

Carrefour グループは、先週 Valor紙 が告白したように、20 億レアルの労働債務が発覚されたことと、実務店舗での人種差別行為の可能性を含む新たな調査で判明しており、難しい局面に直面している。Carrefour 社は、2021 年にCasino 社によって分離された卸売および小売事業 Atacadão社)の売上に追加している。

フランス資本GPA 社は、 Éxito社のスピンオフによる新しい資産再編を発表、2023 年前半に取引が完了すると予想されている。最終的に、グループは 13% の株式を保有。 Exito と Casino は約 34% を保持する予定となっている。

今年初め2か月間のM&As は前年同期比35%減少(2023年4月18日付けヴァロール紙)

PwC Brasil社の調査によると、2023年初め2か月間のブラジル国内の企業買収・合併(M&A) 件数は、国内外のマクロ経済の停滞を反映して、179件と昨年同期の274件よりも35%と大幅に減少を記録して2020年以降では最低のM&A件数に留まっている。

PwC Brasil 社のLeonardo Dell’Osoパートナーは、今年下半期のM&A件数は回復すると予想しているが、2022年のM&A件数を下回ると予想、2022年のは1,556件と2021年の1659件を100件以上下回っていた。今年のは1,100件から1,500件をLeonardo Dell’Osoパートナーは予想している。

2022年8月頃までのM&A件数は上昇傾向にあったが、8月以降は降下サイクルに転じており、世界経済の減速傾向、不透明なルーラ新政権の政治・経済の舵取り、 新規財政政策の枠組みに対する金融市場側の不信感がM&A案件を先送りしている要因となっている。

リスクの高いM&A投資を思いとどまらせる高水準の金利の高止まりで、2022 年には新規株式公開 (IPO) がまったく行われず、投資に利用できる企業のリソースが減少している。

ポートフォーリオ向け戦略投資分野は増加傾向を示しているが、金融機関のM&A投資比率は減少傾向にあり、今年の戦略的M&A投資比率は昨年の77.3%から86%に増加、一方プライベート・エクイティの年比率は昨年の22.7%から14%に減少している。

今年初め2か月間のM&A投資では、テクノロジー分野特にメディア・通信分野は46.4を占め、消費分野は16.2%、製造業・自動車分野は14.0%を占めている。

今年初め2か月間のM&A投資では、 BTG Pactual銀行は5億レアルを投資しての少数株式を取得、米国資本 Augment Infrastructure社は Órigo Energia社に2億5,000万レアルを投資、 またGGVファンド、 TriplePoint Capital社, G-Squared社 及びTiger Global社も5,000万ドルを投資している。

低調なマクロ経済環境にもかかわらず、金融sector、アグリビジネス、エネルギーセクターなどは投資レベルを維持すると予想されており、バロール社の3月の調査では、不安定な経済シナリオにも関わらず、エネルギー部門の合併と買収は依然として堅調であり、今後数か月で 250 億レアル~300 億レアルの投資が見込まれている。

社会経済開発銀行(BNDES)はドル返済可能な農畜産生産者向け20億レアルのクレジット枠設定(2023年4月18日付けヴァロール紙)

社会経済開発銀行(BNDES)は、輸出向けのドルでの返済可能な農畜産生産者向け20億レアルのクレジット枠設定したが、特別クレジット枠は「BNDES Crédito Rural」と命名、社会経済開発銀行(BNDES)のアロイジオ・メルカダンテ総裁が17日にブラジリアで発表している。

農村部門の輸出業者に対する与信枠は、年率 7.59% に加えて為替変動分が含まれる。米国通貨の変動は、ドルで支払いを受け取る借り手に影響を与えない。またSelic金利を大幅に下回る利払いに設定しているとメルカダンテ総裁は説明している。

「国庫に負担をかけることなく、クレジットを増やし、より金利の低い資金調達出来ることを目指している」とメルカダンテ総裁は保証、国庫にインパクトを与えることなく、国外でドル調達されることを強調している。

今回の 農村部門の輸出業者に対する特別枠20 億レアルは、 BNDES によって認定された 77行 の銀行から資金調達が可能となる。クレジット申請者は、支払いを開始するための 24 か月の猶予期間と、最大 120 か月の分割払いが可能となる。

20億レアルの特別枠クレジットは、農村部門の輸出業者に対する最新鋭の農業機械購入を促すためで、次回のアグルビジネスショーでの農業機械買替が可能となるとメルカダンテ総裁は説明している。

メルカダンテ総裁は、環境保護を尊重する人だけが新しい信用枠にアクセスできると説明。過去に森林伐採などの違法行為を行った人は対象外となる。さらに、特別枠クレジットを利用してこの違法行為に関与した人は、罰金を科され、事前に資金を返還する必要があると説明している。

今年1月の経済活動指数(IBC-Br)はマイナス0.04%(2023年4月17日付けヴァロール紙)

17日ブラジル中銀発表の2023年1月のGDP伸び率の先行指標となる経済活動指数(IBC-Br)は、前月比マイナス0.04%を記録したが、昨年12月の経済活動指数(IBC-Br)の1.41%から一転して逆転している。

Valor Data社の今年1月の経済活動指数(IBC-Br)調査では、最低予想はマイナス0.90%、最高予想は0.12%増加、平均予想はマイナス0.10%であった。

今年1月の経済活動指数(IBC-Br)は前年同月比3.03%増加、今年1月の過去12か月間の累積経済活動指数(IBC-Br)は3.00%増加している。

2022年11月~今年1月の四半期の平均月間経済活動指数(IBC-Br)は前月比マイナス0.23%を記録している。IBC-Br の計算方法は、ブラジル地理統計院 (IBGE) が計算する国内総生産の計算とは異なり、毎月ベースの BC 指標は、経済活動の進化をより頻繁に監視することを可能にし、四半期ベースの国内総生産 (GDP) は、経済のより包括的な全体像を表している。

2022年1月~2023年1月までの経済活動指数(IBC-Br)の月間推移

2022年1月~2023年1月までの過去12カ月間の累計経済活動指数(IBC-Br)の月間推移

 

2023年3月及び第1四半期の農畜産物輸出額は記録更新(2023年4月17日付けヴァロール紙)

2023年3月のブラジルの農畜産物輸出金額は160億ドルに達して記録更新、特に大豆の穀物輸出額は8億7,830万ドル、トウモロコシは3億9780万ドル、大豆ミールは3億3,050万ドル、粗糖は2億1,520万ドル、鶏肉は2億1,400万ドルを記録している。

今年3月の農畜産物の輸出量インデックスは7.1ポイント上昇、輸出金額インデックスは3.5ポイント上昇している。

今年3月の大豆の穀物輸出は13.6%増加の73億ドル、輸出量は8.6%増加の1,320万トン、穀物収穫量は22.4%増加の1億5,360万トン、中国向け大豆輸出は全体の75.7%を占めている。

大豆ミール輸出金額は45.5%増加の11億ドル、輸出量は31.7%増加の200万トン、ヨーロッパ連合向け輸出金額は40.9%増加の4億9,230万ドル、輸出量は29.1%増加の90万4,400トンを記録している。

今年3月の粗糖輸出金額は46.4%増加の8億1,810万ドル、輸出量は27.0増加の180万トン、今年のヨーロッパ連合、中国、インド、メキシコ並びにタイの粗糖生産は昨年を下回ると予想されている。

今年3月のトウモロコシ輸出金額は4億190万ドル、主な輸出先は日本、韓国、台湾並びベトナムとなっている。2022年3月のブラジルの農畜産物輸出金額は144億ドル、今年第1四半期の輸出は前年同期比6.7%増加の360億ドルで輸出全体の47.2%を占めている。

 

 

鉄鋼メーカー団体は2023年の粗鋼生産を下方修正(2023年4月17日付けヴァロール紙)

ブラジル鉄鋼協会は、今年第1四半期の鉄鋼製品の需要低迷しており、2023年のブラジル国内の粗鋼生産、鉄鋼製品の輸出及び輸入ともに見直しを余儀なくされている。

昨年11月の今年の粗鋼生産は前年比1.5%増加が見込まれていたが、13.75%の高止まりの政策誘導金利Selicやインフレでブラジルの国内経済の低迷、不透明な海外の金融市場などの影響で、今年の粗鋼生産は前年比マイナス1.0%の2,320万トンに下方修正している。

今年3月の鉄鋼製品需要は僅かに回復したにも拘らず、今年第1四半期のブラジル国内の粗鋼販売は前年同期比2.0%増加、粗鋼消費は3.4%増加している。

今年3月の鉄鋼製品輸出は前年同月比マイナス6.1%、粗鋼生産はマイナス6.8%を記録した一方で、鉄鋼製品輸入は、22.2%の二桁台の増加を記録している。

今年のブラジル国内の鉄鋼製品販売はマイナス0.7%の2,010万トン、粗鋼生産は2.0%増加の3,465万トン、輸出は7.6%増加、輸入は2.5%増加が見込まれている。

2026年までの鉄鋼業界の投資総額は、新規プロジェクト、近代化や拡張工事など406億レアルに達すると予想されている。

ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ政権時の2009年の経済成長加速プログラム(PAC)の大衆住宅建設“私の家、私の暮らし”(MCMV)プログラムは、2019年~2022年のジャイール・ボルソナロ政権時に“ブラジルシンボルカラー大衆住宅 緑と黄色の家 Casa Verde e Amarela”プログラムに改名して大衆住宅建設を行っていた経緯があった。

ルーラ大統領は更新した大衆住宅建設“私の家、私の暮らし”(MCMV)プログラムの暫定令MP発令で、政権終了する2026年迄の4年間に200万軒の大衆住宅建設及び100万人の新規雇用創出を謳っている。

2022年のブラジルの魚介類輸出は記録更新(2023年4月17日付けヴァロール紙)

ブラジル養殖魚協会(Peixe BR)の発表によると、2022年のブラジルの魚介類輸出は、前年比15.0%増加の2,380万ドルに達し、記録を更新している。

昨年のブラジルの魚介類輸出の98%を占めたのはチラピアで、前年比28.0%増加、輸出額は2,320万ドルに達している。

昨年のチラピア輸出が拡大した要因として、ブラジル国内の需要低下及び供給増加、および新規販売チャンネルの開拓、チラピア生産の拡大や品質向上で厳しい国際市場への参入に繋がっているとブラジル農牧調査研究公社(Embrapa)調査員の Manoel Pedroza Filho氏は説明している。

昨年の養殖魚生産は前年比2.0%増加の86万トン、ビジネスではティラピアが優勢であるが、在来魚は引き続き非常に重要であるとブラジル養殖魚協会(Peixe BR)のFrancisco Medeiros 会長は説明している。

ブラジル農牧調査研究公社(Embrapa)及びブラジル養殖魚協会(Peixe BR)では、2018年からブラジルの魚介類輸入を閉鎖していたヨーロッパ市場が再びブラジルに輸入許可を出したために、今年下半期の魚介類輸出は急増すると予想している。2022年上半期のブラジルの魚介類輸出は、下半期よりもよりも多い1,430万ドルを記録していた。

昨年の米国向け魚介類輸出は、全体の80%以上に相当する1,900万ドルで前年比43.0%増加、米国に次いでカナダは2位であった。

昨年のパラナ州の魚介類輸出は全体の58.0%を占め、南マット・グロッソ州は18.0%で2位、バイア州は11.0%で3位を占めていた。昨年の魚介類輸出でチラピアに次いでタンバキは、前年比マイナス51.0%の26万8,000ドル,スルビンは前年比186%増加の11万4,000ドルであった。

アマゾン地域での連邦検査システム (SIF) によって認可された魚肉処理場が不足しているのが、ブラジルの魚介類輸出拡大のネックになっていると FIA Business Schoolの Gleriani Ferreira教授は指摘している。

ブラジルと中国は貿易・投資やデジタル、科学技術を含む15分野の2国間協力文書に調印(2023年4月14日付けヴァロール紙)

中国への公式訪問中の、ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領と中国の習近平国家主席は、今月14日に宇宙探査、貿易、文化、農業、メディア関連などの分野で 15種類 の貿易協定に署名した。

1,両国間の外務省と開発産業貿易サービス省間の貿易円滑化作業部会に関する了解覚書

2,CBERS-6 (中国とブラジルの土地資源衛星) の共同開発、宇宙科学技術の応用における協力に関する補足     議定書

3.両国間の科学技術イノベーション省間の研究とイノベーションにおける協力に関する了解覚書

4. 情報通信技術における協力に関する、両国間の科学技術イノベーション省間の了解覚書

5. ブラジル発展産業商業サービス省と中国国家発展改革委員会との間の、投資と産業協力の促進のた           めの覚書

6. 両国の同等の省庁間のデジタル経済への投資における協力強化に関する了解覚書

7. ブラジル財務省と中国財務省間の了解覚書

8. ブラジル通信省と国家電気通信局、および中国の産業情報技術省との間の情報通信における協力に           関する了解覚書

9. 中国のメディアグループとブラジルの制度関係事務局間の了解覚書

10. 新華社通信とブラジル通信会社 (EBC)との間の協力協定

11. 開発・社会支援・家族・飢餓対策省、ブラジル農業開発・家族農業省、中国農業・農村省の間の飢           餓と貧困、社会・農村開発改善のための協力に関する了解覚書

12. 2023年-2032年の中国国家宇宙局とブラジル宇宙局間の宇宙協力計画

13. 動物由来製品の電子認証における協力のための両国間のプロトコル

14. ブラジルから中国に輸出される加工された動物性タンパク質の衛生および検疫要件に関する、ブラ            ジル農務省と中国税関総局間の議定書

15.テレビ共同制作協定は、マルガレス・メネゼス文化相と以前に調印されていた

 

今年1月のサービス部門提供量は前月比マイナス3.1%と過去最高の落込みを記録(2023年4月14日付けヴァロール紙)

ブラジル地理統計院(IBGE)の月間サービス生産量調査(PMS)の発表によると、2023年1月のサービス部門提供量(生産性指標)は、前月比マイナス3.1%を記録、統計を取り始めた2012年初めからでは最高の落込みを記録している。

2022年12月のサービス部門提供量(生産性指標)は、前月比2.9%と大幅な増加を記録していたが、今年1月は一転して大幅な落ち込みを記録したが、Covid-19 パンデミック直前の2020年2月の水準を10.3%上回っている。

今年1月のサービス部門提供量は前年同月比では6.1%増加、今年1月の過去12か月間の累積サービス部門提供量は前年同期比8.0%増加を記録している。

Valor Data社の25金融機関やコンサルタント会社対象の1月のサービス部門提供量の前月比の調査によると、最低予想はマイナス2.1%、最高予想は1.2%、平均予想はマイナス1.4%であった。

今年1月のサービス部門提供量のセクター別の前月比との比較では、輸送セクターはマナス3.7%、その他のサービスセクターはマイナス9.9%、教育・研究機関などの公共サービスセクターはマイナス1.5%を記録している。

一方今年1月の情報・通信サービスセクターは、昨年11月と12月の累積マイナス2.5%から一転して1.0%増加を記録、一般家庭向けサービスセクターは、昨年11月と12月の累積3.5%増加から継続して1.0%増加を記録している。

2022年1月~2023年1月までのサービス部門提供量の推移

今年に入って会社更生や破産申請が急増(2023年4月13日付けヴァロール紙)

企業や一般消費者の延滞率の増加、高止まりしている銀行金利やインフレ指数、クレジット部門の与信強化、低迷しているブラジルの国内経済などの要因で、今年に入って会社更生法や破産申請が急増しており、今後ますます悪化すると金融関係者は憂慮している。

銀行業務集中サービス会社(Serasa Experian)の調査によると、2023年第1四半期の会社更生法申請件数は、前年同期比37.6%と急増、破産申請件数は44.1%と大幅増加している。

今年3月の会社更生法申請件数は年率換算で6.8%増加、破産申請件数は40.6%増加しているが、2月の会社更生法申請件数は、前年同月比87.3%増加、破産申請件数は38.7%増加していた。

また今年第 1 四半期で特に注目に値するのは、債権者と債務者間の合意が司法環境の外で行われる超法規的回収の要求が大幅に拡大しており、会社更生では前年同期比で900% 増加。破産申請では750% 増加している。

今年第1四半期の会社更生法申請では、零細・小企業の申請は前年同期比1.7%の微増に留まったが、中企業の申請は4.5%増加、特に3月の大企業の会社更生法申請は、前年同月比57.14%と大幅に増加している。

今年第1四半期の零細・小企業の会社更生法申請件数は、181件で前年同期比44.8%増加、平均インデックスは9.0%、大企業は35件で94.44%増加している。今年第1四半期には小売販売大手のアメリカーナス社、ペトロポリスグループ、Tokstok社及びOi社が2日目の債権者からの保護を訴えている。

今年第1四半期の会社更生法申請件数は、過去3年間にないほどの申請件数に達しており、今後は更に破産件数が増加するとSerasaチーフエコノミストLuiz Rabi氏は指摘している。

2021年1月~2023年3月までの企業再生法や倒産申請件数の推移