2023年のクレジット伸び率は前年比8.3%増加予想(2023年2月24日付けヴァロール紙)

ブラジル中央銀行の通貨政策委員会 (Copom) の議事録発表後の 45 日ごとに実施されるブラジル銀行協会連盟(Febraban )の経済先行き調査によると、2023年のブラジル銀行業界のクレジット部門伸び率は前年比8.3%増加を予想している。

昨年12月の今年のクレジット部門伸び率調査では、7.7%増加であったが、最終調査では8.4%増加に上方修正されており、そのうち個人向けクレジットは5.8%から7.1%増加に上方修正、法人向けクレジットは8.6%から9.2%増加に上方修正された一方で、クレジット先が自由に選択できる自由クレジット部門は8.6%から8.2%増加に減少している。

「クレジット部門の拡大する可能性のある説明として、ルーラ新政府誕生で政府系銀行がクレジット拡大により積極的になる可能性である」とFebraban経済・健全性規制・リスク担当のRubens Sardenberg取締役は説明している。

今回の調査では、初めて 2024 年のクレジット部門の予測がされ、ポートフォリオ全体のクレジット部門の平均伸び率は7.4%増加予想で、これはクレジット部門成長の緩和の動きが継続していることを示唆している。

また1つの可能性は、自由クレジット市場での金利の上昇と資本市場のパフォーマンス低下が、法人向けクレジット部門のリソース需要を増加させる可能性を指摘している。

クレジット先が自由に選択できる自由クレジット部門は前回予想の8.6%から8.2%増加に減少した要因として、国内の高インフレ、高金利およびより不利な海外要因のシナリオによる国内経済の減速が予想のうえに、今後の国内経済の先行きも依然として多くの不確実性があるとRubens Sardenberg取締役は指摘している。

2022年のブラジルの1人当たりの名目世帯収入は1,625レアル (2023年2月24日付けヴァロール紙)

24日発表のブラジル地理統計院(IBGE)の全国家庭サンプル調査(Pnad)によると、2022年のブラジルの1人当たりの名目世帯収入は1,625レアルとなっている。

ブラジル地理統計院(IBGE)では毎年、補完法 143号/2013 に準拠するために、1 人当たりの世帯収入統計を連邦会計裁判所 (TCU) に提出しており、これらのデータは、州政府および連邦直轄向け地方交付金基金 (FPE) 寄りの配分するためにの参考となっている。

昨年のブラジルの一人当たりの名目世帯収入のトップは、ブラジルの政治の中心で連邦公務員や州公務員関連職員が圧倒的多数を占めるブラジリア連邦直轄地は2,913レアルを他州を引き離してダントツとなっている。

ブラジリア連邦直轄地に次いで、ブラジルの鉱工業部門を牽引するサンパウロ州は2,148レアル、リオ州は1,724レアル、ミナス州1,529レアルは4位となっている一方で、マラニョン州の名目世帯収入は僅か814レアルに留まっている。

2022年の州別一人当たりの名目世帯収入

今年1月の国庫庁の歳入総額は2,517億4,500万レアルに達し、記録更新した。(2023年2月23日付けヴァロール紙)

ブラジル国庫庁の発表によると、2023年1月のインフレ指数を差引いた実質歳入総額は、前年同月比1.14%増加の2,517億4,500万レアルに達し、統計を取り始めた1995年以降では月間記録を更新している。

また今年1月の連邦政府のインフレ指数を考慮しない名目歳入総額は、前年同月比6.98%増加を記録している。

今年1月のロイヤリティなどの臨時歳入総額を除く実質一般歳入総額は、前年同月比2.16%増加の2,349億3,200万レアルの一方で、名目一般歳入総額は8.05%増加を記録している。

今年1月の石油関連のロイヤリティ収入などを含む実質臨時歳入総額は、マイナス11.20%の二桁減少の168億1,300万レアルに留まり、名目臨時歳入総額はマイナス6.08%を記録している。

また今年1月の連邦政府による免税総額は123億7,900万レアルに達し、2022年1月の免税総額63億4,600万レアルの約2倍に達している。

今年1月の免税の内訳は工業製品税IPI関連の免税総額は19億レアル、社会保障賦課金(Cofins)並びに社会統合基金(PIS)、燃料に対する特定財源負担金(CIDE)関連は37億5,000万レアル、源泉徴収所得税(IRRF)6億6,100万レアルを記録している。

また健康保険関連の免税総額は2億6,700万レアル、法人所得税(IRPJ)並びに純益に対する社会納付金(CSLL)2億6,400万レアル、零細・小企業向け簡易税務申告(Simples Nacional)向け税免除総額は53億4,700万レアルを記録している。

パラー州での狂牛病発生の可能性で中国向け牛肉輸出停止措置(2023年2月23日付けヴァロール紙)

ブラジル農務省の発表によると、パラー州マラバ市の小規模牧畜農場で9歳と高齢の牡牛で狂牛病発生の可能性が疑われるために、2015年に中国との間で交わされた二国間の禁輸措置を発令して、中国向けのブラジル産牛肉輸出停止措置を行っている。

狂牛病発生調査の各段階ですべての措置が直ちに採用され、ブラジルと世界の消費者に認められた肉の品質を保証するために、この狂牛病発生疑惑問題は完全な透明性をもって処理されるとCarlos Fávaro農務相は説明している。

連邦政府はすでにパラー主での狂牛病発生の可能性を国際獣疫事務局に通知しており、カナダのアルバータ州にある同機関の参照検査機関が実施した調査の結果を待っているとCarlos Fávaro農務相は説明している。

Carlos Fávaro農務相はCNN とのインタビューで、その放牧地内では飼育されている他の牛は屠殺されていないために、その農場の牛肉は市場に出回っていないとCarlos Fávaro農務相は説明している。

この狂牛病の病気は脳の変性プロセスによって引き起こされ、パラー州の場合と同様に、高齢の動物に発生する可能性があるとCarlos Fávaro農務相は説明している。

3月末にルーラ大統領は、中国を含むアジア諸国を訪問するが、その前に中国向けのブラジル産牛肉輸出の再開を農務省では目指している。

2019 年には、同様狂牛病の発生ケースで、中国向け牛肉輸出禁輸措置が 13 日間続いた。 2021年には、ミナス州とマット・グロッソ州で2件の非典型的な症例が記録されましたが、中国がブラジルからの牛肉の購入を再開するのに3か月以上要した経緯があった。

今年1月のブラジル国内の企業開設数は35万7,937社(2023年2月23日付けヴァロール紙)

開発商工サービス省(MDIC)の発表によると、2023年1月のブラジル国内の企業開設数は、前年同月比3.9%増加の35万7,937社を記録した一方で、企業閉鎖数は公表されていない。

今年1月の州別企業開設数調査では、調査対象の27州のうち21州で増加を記録した一方で、ブラジリア連邦直轄地、アクレ州、パラー州、アラゴアス州、バイア州及びセルジッペ州の6州が前年同月比でマイナスを記録している。

今年1月の州別企業開設数のトップは、サンパウロ州で前年同月比1.8%増加の10万373社、次いでミナス州は6.2%増加の3万9,923社、リオ州は3.7%増加の3万1,891社を数えている。

今年1月の業種別の企業開設数トップは、販売プロモーション分野は1万7,708社、衣類・アクセサリー関連小売販売分野は1万5,964社、行政支援サービス分野は1万3,760社が続いている。

続いて美容師、マニキュア並びにペディキュア関連分野は1万3,720社、建築関連分野は1万672社を記録している。今年1月末のブラジル国内の企業総数は2,041万7,000社に達している。

 

今年1月の世界の粗鋼生産は前年同月比マイナス3.3%(2023年2月22日付けヴァロール紙)

63カ国の約170鉄鋼メーカーが加盟しているベルギーのブリュッセルに本部のある世界鉄鋼協会(Worldsteel)の発表によると、2023年1月の世界の粗鋼生産量は、中国の粗鋼生産が回復しているにも関わらず、前年同月比マイナス3.3%の1億4,530万トンに留まっている。

今年1月の中国の粗鋼生産量は前年同月比2.3%増加の7,950万トンと世界の粗鋼生産の約55.0%を占めている。

2022年の中国の粗鋼生産は、COVID-19パンデミックゼロ政策の導入による主要都市のロックダウンや不動産業界の問題発覚による粗鋼需要の収縮で前年比マイナス2.2%を記録していた。

今年1月の世界の粗鋼生産トップ10のうち8か国で前年同月比マイナスを記録、ドイツはマイナス10.2%と二桁台のマイナスを記録、韓国マイナス9.8%、ロシアはマイナス8.9%を記録している。

またインド、日本、米国、ブラジルもそれぞれマイナスを記録したが、世界8位の粗鋼生産を誇るトルコはマイナス17.6%、2月初めに大震災に見舞われた影響で、道路、鉄道や港湾などのインフラ設備が壊滅的なな影響を受けているために、2月の粗鋼生産は大幅な減産が見込まれている。

今年1月のブラジルの粗鋼生産は、前年同月比マイナス4.9%の280万トンと世界鉄鋼協会(Worldsteel)は発表している。一方今年1月のイランの粗鋼生産は、前年同月比27.7%と大幅増加の270万トンを記録して、トルコを抜いて9位に上昇している。

最終フォーカスレポートは今年のインフレ指数を5.79%から5.89%に上方修正(2023年2月22日付けヴァロール紙)

22日のブラジル中央銀行は、今年のブラジルの正式なインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は前回予想の5.79%から5.89%に上方修正している。

また2024年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は4.00%から4.02%、2025年は3.60%から3.78%それぞれ上方修正している。

今年末の政策導入金利(Selic)を前回同様12.75%に据え置いたが、2024年末は10.0%、2025年末の政策導入金利(Selic)はそれぞれ前回同様9.0%に据え置いている。

2023年のIPCAの中央目標値は3.25%、許容範囲は1.75%~4.75%、2024年及び2025年のIPCAの中央目標値3.00%、許容範囲は1.5%~4.5%となっている。

今年のGDP伸び率は前回予想の0.76%から0.80%に引き上げたが、2024年は1.50%に据置、2025年のGDP伸び率は1.85%から1.80%に下方修正している。

また今年末のレアル通貨に対するドルの為替はR$5.25に据え置いたが、2024年はR$5.30からR$5.29、2025年はR$ 5.30に据え置いている。

的中率が最も高いTOP5の今年のIPCA指数は5.93%に据え置いたが、2024年4.15%、2025年のIPCA指数は3.50%に据え置いている。

またトップ5の今年末のドルの為替はR$5.40からR$5.30、2024年はR$5.41 からR$5.40、2025年末のドルの為替はR$5.65からR$5.50に微調整している。

 

ゼツリオ・バルガス財団は2022年のGDP伸び率を2.9%増加と予想(2023年2月15日付けヴァロール紙)

ブラジル地理統計院(IBGE)が3月初めにブラジルの昨年の正式なGDP伸び率の発表を前に、ゼツリオ・バルガス財団ブラジル経済研究所(FGV/Ibre)のGDP伸び率モニタリング調査によると、2022年のブラジルのGDP伸び率は2.9%を予想している。

2022年第4四半期のGDP伸び率は前四半期比マイナス0.2%予想されているが、昨年12月は前月比0.2%増加をゼツリオ・バルガス財団ブラジル経済研究所(FGV/Ibre)では予想している。

昨年のブラジルのGDP伸び率2.9%増加予想を牽引しているのは、COVID-19パンデミック対応のワクチン接種拡大に比例して、80%以上の比率を占めているサービス部門が寄与している。

昨年のサービス部門のGDP伸び率で特筆されるのは、社会活動の正常化と経済への財政刺激策の採用で、宿泊施設、食事、民間医療、民間教育、一般家庭や企業に提供されるサービスなどの他のサービス部門が牽引している。

しかし昨年第4四半期は依然として高止まりしている銀行金利、一般家庭の過剰な負債などの要因で前四半期比マイナス0.2%に留まったと Juliana Treceコーディネーターが指摘している。

2022年の一般家庭の消費は、サービス部門の消費が牽引して前年比4.0%増加した一方で、自動車、家電などの耐久消費財部門は足を引っ張っている。

また2022年の宅投資並びに設備投資、公共投資などの国内総固定資本形成(FBCF)は、1.1%増加したにもかかわらず、唯一機械・装置部門はマイナスを記録している。

昨年の財やサービスなどの全ての部門で輸出は前年比6.0%増加した一方で、鉱業部門はマイナスを記録、中間財輸出が牽引している。昨年の財とサービスの輸入は前年比0.9%増加した。

2022年のGDP総額は9兆8,200億レアルが見込まれている。2022年のGDP伸び率が増加したのは2017年から始まったが、COVID-19パンデミックの影響で2020年はマイナスを記録していた。

2022年の国内総生産は2014年の水準を突破すると見込まれており、2001年以降では最大の国内総生産が予想されている。2022年のブラジル国民の一人当たりのGDPは4万5,706レアルで2010年の水準を下回る予想されている。

大衆住宅プログラム向け暫定令公示(2023年2月15日付けヴァロール紙)

ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ政権時の2009年の経済成長加速プログラム(PAC)の大衆住宅建設“私の家、私の暮らし”(MCMV)プログラムは、2019年~2022年のジャイール・ボルソナロ政権時に“ブラジルシンボルカラー大衆住宅 緑と黄色の家 Casa Verde e Amarela”プログラムに改名して大衆住宅建設を行っていた経緯があった。

ルーラ大統領は更新した大衆住宅建設“私の家、私の暮らし”(MCMV)プログラムの暫定令MP発令で、政権終了する2026年迄の4年間に200万軒の大衆住宅建設及び100万人の新規雇用創出を謳っている。

大衆住宅建設MCMVプログラムの暫定令では、都市部で大衆住宅を購入できるのは月間総世帯収入が8.000レアル迄、農村部は年間総世帯収入が9万6.000レアルの世帯が対象となっている。

都市部のMCMVプログラムの場合、3ランクに分けられており、ランク1は月間総収入が2,640レアルまでの世帯。 ランク2 回は、2,640.01レアル から 4,400レアル、ランク3は、4.400,01レアルから8.000レアルとなっている。

また農村部のMCMVプログラムの場合、3ランクに分けられており、ランク1は年間総世帯収入が 3万1.680レアル、ランク2は3万1.680,01レアルから5万2.800レアル、ランク3は5万2.800,01 レアルから9万6.000レアルとなっている。

大衆住宅購入のための所得範囲に適合させるために、総家族所得値の計算では、疾病手当、事故手当、失業保険、社会保障院(INSS)の審査待ちの勤労不可能な高齢者や障害者に対する最低賃金額を支給する継続扶助(Benefício de Prestação Continuada–BPC)、およびボルサファミリアプログラム、またはそれらに代わる可能性のある他のプログラムは考慮されない。

今年の中央政府の財政プライマリー収支赤字はGDP比1.3%予想(2023年2月15日付けヴァロール紙)

上院独立税制監査院(IFI)の税制レポートによると、2023年の中銀、国庫庁並びに社会保障院(INSS)で構成される中央政府の財政プライマリー収支赤字はGDP比1.3%が見込まれている。

2023 年の中央政府の財政プライマリー収支は支出予測に影響を与えるマクロ経済シナリオと主要歳入の変化により、1 月に比べて僅か22 億レアル減少に留まった要因として、5月からの最低サラリー引上げも一因に挙げられる。

公的債務への支出を除く一次的支出が、今年の国内総生産 (GDP) の 0.7% に相当する割合で増加し、来年も安定していると上院独立税制監査院(IFI)は予測している。

今年と来年のインフレ予測を上方修正。 2023年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数 (IPCA) を前回予想の 5.3% から 5.6% 、2024 年のIPCA指数は 3.7% から 3.8% に上方修正している。