今年1月のサンパウロ証券取引所の出来高は2020年以降で最低(2023年2月6日付けヴァロール紙)

2023年1月のサンパウロ証券取引所B3の出来高は、ブラジルのマクロ経済の先行き不透明感や財政状況などの要因で、海外投資家による投資減速で前年同月比で二桁台の減少を記録している。

ヴァロール・データ社の調査によると、今年1 月の Ibovespa の平均出来高は、 185億レアルと昨年同月の 220 億レアル16% 減少している。

今年1月のサンパウロ証券取引所の株式の出来高の減少は、ブラジルの株式に対する投資家の警戒心が強まっていることを反映しており、バンク・オブ・アメリカ (BofA) は、今年最初の月に Ibovespa が中立的なパフォーマンスを示した一方で、他の新興市場指数が上昇したことを指摘している。

外国人投資家は、今年 1 月にB3に125 億 5,000 万レアルを投資。彼らの投資意欲は、中国の経済活動の再開と米国の金融引き締めのサイクルの終わりの見通しと一致しており、新興市場への資金の流れが大きくなった。 一方対照的に、地元の主に投資ファンドなどの機関投資家は、昨年に続いて1月だけで98億1,000 万レアルを引き出している。

Nau Capital社のロドリゴ・メロ共営者は、ブラジル国内のマクロ経済と財政シナリオを取り巻く不確実性に加えて、金利との激しい競争があり、ブラジルの投資家は株式への投資に対してより慎重になっていると指摘している。

CDIの金利が13.75%もあり、長期の ブラジル国債NTN-B が 6.5% を超えると、Ibovespa を高く評価するシナリオ作成は困難と指摘している。

ブラジル・金融マーケット業者協会(Anbima)のデータによると、国内の株式ファンドの純資産は、2021 年 1 月から 2022 年 12 月の間に 1,353 億レアル減少。2021 年 6 月に記録されたピークと比較すると、減少幅は昨年末までに2,240億レアルに達している。

2018年1月から2023年1月のサンパウロ証券取引所の月間出来高の推移

中銀の最終フォーカスレポートはSelic金利の引下げサイクルは予想より遅れると示唆(2023年2月6日付けヴァロール紙)

中銀の通貨政策委員会(Copom)の最終フォーカスレポートによると、今年のブラジルの正式なインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回予想の5.74%から5.78%に上方修正、2024年は3.90%から3.93%に上方修正したが、2025年の広範囲消費者物価指数(IPCA)は3.50%に据え置いている。

また今年末の政策導入金利(Selic)を前回同様12.50%に据え置いたが、2024年末のSelic金利は9.50%から9.75%、2025年末は8.50%から9.00%それぞれ上方修正している。

中銀の今年のインフレ指数の中央目標値は3.25%、2024年及び2025年は3.00%、許容値は±1.50%に設定されている。

今年のブラジルの国内総生産GDP伸び率は前回予想の0.80%から0.79%と若干下方修正、2024年のGDP伸び率は1.50%、2025年のGDP伸び率は1.89%それぞれ据置いている。

また今年末のレアル通貨に対するドルの為替はR$5.25。2024年末及び2025年末のドルの為替は前回同様R$5.30に据置いている。

昨年のブラジル保険業界の売上は前年比16.0%増加の3,560億レアル(2023年2月3日付けヴァロール紙)

ブラジル保険連合(CNseg)の発表によると、2022年の健康保険部門と自動車強制保険(DPVAT)を含む保険業界の総売上は、前年比16.0%増加の3,559億レアルを記録、昨年12月の売上は、前年同月比8.5%増加の337億レアルであった。

ブラジル保険連合(CNseg)は、昨年の保険業界は各種保険料値上げに加えて、セキュリティ保護関連商品に対する需要増加で、保険補償、償還、福利厚生などの支払いが増加した。昨年の健康保険部門と自動車強制保険(DPVAT)を含まない保険業界の総売上は、15.5%増加の2,194億レアルを記録している。

昨年のブラジルの保険業界の保険補償、償還、福利厚生などの保険料支出総額は、2023年度のサンパウロ州政府の予算の75%以上に匹敵する保険料を記録している。

昨年12月の保険業界の保険契約者に対する保険料支払い総額は、前年同月比5.2%増加の189億レアルに達している。

昨年のブラジルの保険業界は、保険料支払い金額は保険契約増加と均整の取れたポディティブな結果になったとブラジル保険連合(CNseg)のDyogo Oliveira会長は説明している。

昨年のブラジルの保険業界を牽引したのはサンパウロ州で、同州の保険業界の売上は1,384億レアルに対して、保険料支払い総額は440億レアルであった。またリオ州の保険業界の売上は345億レアル、ミナス州は303億レアルを記録している。

昨年の保険業界で最も保険収益が増加したのは旅行保険で前年比166.7% 増加、農業関連保険は 39.5%増加、自動車関連保険は 32.9% 増加、輸送関連保険は25.1%増加を記録している。

昨年12月の鉱工業部門生産は前月並みも1年間ではマイナス0.7%に減速(2023年2月3日のIBGEサイトより抜粋)

ブラジル地理統計院(IBGE)の鉱工業部門生産調査(PIM-PF)によると、2022年12月の鉱工業部門生産量は前月比同率で推移したにも拘らず、昨年1年間の鉱工業部門の累計生産量は前年比マイナス0.7%を記録、Covid‐19パンデミック後の回復が遅れている。

また昨年12月の鉱工業部門生産量は前年同月比マイナス1.3%、昨年第4四半期の鉱工業部門の平均生産量は0.5%増加している。

昨年12月の鉱工業部門生産量を牽引したセクターは、石油派生品・バイオ燃料セクター3.4%増加と3カ月連続で増加を記録、医薬品関連セクター9.1%増加を記録している。

また金属セクターは5.6%、自動車・トラック・輸送機器セクターは1.3%、衣類・アクセサリーセクター8.0%、情報機器・電気製品・光学機械セクター4.7%、皮革・履物・旅行用品セクターは6.7%それぞれ増加を記録している。

一方昨年12月の鉱工業部門生産量がマイナスを記録したセクターは、食品セクターマイナス2.6%、金属セクターマイナス5.1%、その他の化学製品セクターマイナス3.2%、機械・装置セクターマイナス3.6%、鉱業セクターマイナス1.1%、飲料セクターはマイナス2.8%であった。

昨年12月の鉱工業部門生産量は前月比同率、前年同月比マイナス1.3%、昨年1年間の累計はマイナス0.7%を記録、前記同様に資本財部門の生産量は1.8%、0.9%、マイナス0.3%、中間財部門はマイナス2.1%、、マイナス2.6%、マイナス0.7%であった。

また消費財部門生産は2.2%、1.4%、マイナス0.8%、そのうち耐久消費財部門は4.1%、マイナス5.8%、マイナス3.3%、非耐久消費財部門は3.2%3.1%、マイナス0.2%を記録している。

2010年12月~2022年12月の鉱工業部門生産量の推移

 

今年1月の新車販売は前年同月比12.94%増加(2023年2月2日付けヴァロール紙)

自動車販売代理店が加盟する全国自動車販売業者連盟(Fenabrave)の発表によると、2023年1月のトラックやバスを含むブラジル国内の自動車メーカーの新車販売は、前年同月比12.94%の14万2,800台を記録している。

2022年1月の新車販売は、世界的な自動車生産用半導体不足の影響で、各自動車メーカーは生産調整による在庫が底をついていたために、新車販売不振を余儀なくされていた経緯があった。

今年1月の新車販売は、前月比34.15%と大幅な販売減少を記録している。伝統的に1月の新車販売は、新学期に備えた学用品などの臨時出費に加えて、都市不動産所有税(IPTU )並びに自動車所有税(IPVA)などの支払い開始の影響を受けて、新車販売は低調に推移する傾向となっている。

また2020年2月から始まった世界的なCovid‐19パンデミックによる影響で、ホームオフィスやハイブリッドワーク形態への移行や半導体供給不足問題に加えて、新車購入を控える傾向になってきている。

 

今年の医療業界は地域企業の買収・合併による再編が加速か(2023年2月2日付けヴァロール紙)

世界的な医療関連コンサルティング会社クロール社によると、今年のブラジル国内の医療業界は、地理的な分散と補完的なサービスポートフォリオを求めて地域企業を中心に、買収・合併が進むと予想している。

既に医療業界の買収・合併による業界再編が進んでいるサンパウロ市やベロ・オリゾンテ市を除く、主に地域での医療業界の地場企業の再編が加速するとクロール社法人ファイナンス担当のAlexandre Pierantoni氏は予想している。また今年どれだけ医療業界が拡大するかは、雇用拡大と収入増加の伸び率に左右されると指摘している。

昨年のブラジルの医療業界は、Fleury社とHermes Pardini社の大型合併、またDasa社及びHapvida社の合併などのような業界再編が引き続き予想されている。特に医療業界の合併・買収が進んでいない地域での業界企業の統合などは、相乗効果で寡占化が進む可能性が残されている。

昨年のブラジルの医療業界の企業の買収・合併案件は全体の15.0%を占めており、今年も継続して買収・合併が遅れている地域の医療業界の再編が加速するとPierantoni氏は予想している。

クロール社の報告によると、ブラジルでは人口の約 25% が補助的なヘルスケアを受けているが、今後の成長の余地は十分にあり、国内で実施される画像診断検査のほぼ半分を担っている。 2021年のブラジル国内の画像診断は、延べ1億5,500万人が受診、売上は360億レアルに達している。

サンパウロ州を中心に南東部地域の画像診断クリニックは、6,000カ所を数えて集中している一方で、画像診断クリニックが手薄な北部地域、北東部地域及び中西部地域などでは今後の大幅な成長が見込まれており、米国を中心とした先進諸国のグローバルグループが市場の大きなブラジル市場への参入のための橋頭保確保のチャンスを模索している。

画像診断業界の課題の中で最大の頭痛は、高額な画像診断装置及びとメンテナンス、画像診断専門医の確保など投資コストが非常に高い。今後の画像診断業界では人工知能と遠隔診断レポートの「ヘルステック」活用は不可欠であり、ブラジルだけでなく、コロンビア、チリ、アルゼンチンなどの他のラテンアメリカ諸国で積極的な採用を余儀なくされるとPierantoni氏は指摘している。

今年1月の貿易収支は27億ドルの黒字計上(2023年2月2日付けヴァロール紙)

2023年1月のブラジルの貿易収支は、27億ドルの黒字を計上したと通商局(Secex)は発表している。前年同月の貿易収支は5,800万ドルの赤字を計上していた。

毎年1月の貿易収支は不透明な傾向にあり、今年のブラジルの貿易収支は500 億ドル~ 710 億ドルの黒字が見込まれている。昨年のブラジルの貿易収支は618億ドルの黒字を計上していた。

今年1月の輸出総額は前年同月比11.7%の二桁増加の231億ドルに対し、輸入総額は1.7%減少の204億ドルを記録したために貿易収支黒字が拡大している。

開発商工サービス省(MDIC)は、今年は昨年と比較して輸出が同水準で輸入が減少するために、今年の貿易収支は昨年を上回ると予想。世界経済の減速及び国際コモディティ価格下落の兆候は、程度の差こそあれブラジルの貿易収支にも影響を及ぼすと貿易局情報・統計担当 Herlon Brandão局長には指摘している。

BMJ社のWelber Barral共営者は、1 月の季節性の影響で、例年前年比で僅かな貿易赤字または黒字が一般的になっていると説明。 例えば、今年1月の穀物の輸出がほとんどなく、経済活動がある程度縮小して異常な時期であり、今年の貿易黒字は 国債コモディティ価格の下落でブラジルの貿易収支は500 億ドル近くに留まると予想しているが、今年下半期のブラジル国内経済の回復に伴う輸入増加は貿易収支黒字の更なる引下げに繋がるが、今年のブラジルのGDP伸び率は1.0%予想から1.2%と若干上方修正されている。

MacroSector社は、ブラジルの今年の輸出総額は3,500億ドルに対し、輸入総額は3,000億ドル、貿易収支は500億ドルの黒字を見込んでいる。

今年のブラジルの輸出総額と輸入総額共昨年に比べて減少すると見込んでおり、貿易収支は719億ドルの黒字をブラジル貿易会(AEB)のジョゼ・アウグスト・デ・カストロ会長は楽観的な予想をしている。

通貨政策委員会(Copom)は、政策導入金利(Selic)13.75%を決定(2023年2月1日付けヴァロール紙)

1日開催のブラジル中央銀行の通貨政策委員会 (Copom) は、高止まりするインフレの財政リスクへの影響緩和を維持するために、金融市場関係者が今年後半開始のSelic金利の切下げ開始の延期を示唆するSelic金利据置を決定した。

1日開催された中銀の通貨政策委員会(Copom)は、政策導入金利(Selic)を前回同様の13.75%の据置を決定した。中銀は金融市場が予測している今年末のSelic金利は12.5%に下がると示唆している。

中銀は今回のSelic金利13.75%の据置で、連邦政府のインフレ指数は2024年9月に許容範囲に収まると中銀の通貨政策委員会(Copom)では見込んでいる。

連邦政府の2023年のインフレ指数の中央目標値は3.25%、2024年は3.0%、Copomの2024年9月のインフレ指数は3.06%前後をターゲットにしている。

通貨政策委員会(Copom)では、Selicの金利高の長期化を示唆するだけでなく、期待した効果をもたらさない場合、現在の年率 13.75% を超えて Selic 金利を引き上げ始める可能性も示唆している。

現職のリラ下院議長、パシェコ上院議長共に再選(2023年2月1日付けヴァロール紙)

現職のアルツール・リラ下院議長(PP-AL)は、1日実施された下院議長選挙で、513議席のうち約90%に相当する464票の支持票と過去最高記録を更新して再選された。下院議会の16政党の議員のうち14政党の議員の支持を得て再選された。

今日は下院議会初日の仕事始めであったが、ブラジルが成熟した民主主義国家であることを証明したと再選されたリラ議長は強調。リラ議長は税制改革の加速を約束、また1月に三権本部を破壊して民主主義に対するクーデターを試みた人々を罰するために行動すると強調した。

リーラ議長が得た支持票464票は1985年の再民主化以降では最高の市場票を記録、過去には1991年の下院議長選で434票の支持票を獲得したイブセン・ピニェイロ下院議長及び2003年のジョアン・パウロ・クーニャ下院議長を上回った。

下院議長選挙キャンペーン中は、リラ議長はすべての国会議員で反対票を投じる可能性のある下院議員に破壊工作を行った。 しかし21票を獲得したアレンカー立候補と19票を獲得したマルセル・ヴァン・ハッテム立候補(ノボ-RS)だけが、敵対的な演説でリラ候補に異議を唱えた。また5 人の議員が白票を投じた。

一方上院議長選挙では、現職のロドリゴ・パシェコ候補 (PSD-MG) は、 81 人の上院議員のうち 49 票を獲得し、再選された。 一方パシェコ候補の対立候補ロジェリオ・マリーニョ上院議員 (PL-RN)は32 票を獲得した。再選されたパシェコ候補は上院議長として更に2 年間上院議会の舵取りを任された。

パシェコ議長は勝利演説の中で、1 月 8 日に 三権の建物への攻撃を助長したクーデターの立場を上院が拒否、今年1 月 8 日のような民主主義を破壊する出来事は二度と繰り返させないと強調した。

一方、ロジェリオ・マリーニョ上院議員は、パシェコ議長とダヴィ・アルコロンブレ元議長 (União-AP) が上院議会の権力を 8 年間維持することを阻止するために立候補した。

今年1月の企業経営者の景況感指数は2021年3月以降で最低(2023年2月1日付けヴァロール紙)

ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)の調査によると、2023年1月の企業経営者の景況感を計る企業経営者景況感指数(ICE)は、前月比2.1ポイント減少の88.6ポイントと2021年3月に記録した85.9ポイント以来最低の企業経営者景況感指数(ICE)に落込んでいる。

昨年第4四半期から始まった景気減速傾向の影響を受けて、昨年11月~今年1月の四半期の平均景況感指数(ICE)は3.2ポイント減少を記録しており、短期的な景気回復は見込めない。

ビジネス環境悪化は産業界全体に広がっているものの、商業部門及びサービス部門は割と堅調であり、今後3か月間は引き続いて低調に推移すると予想されているが、その後は改善に向かうとFGV Ibre 統計担当責任者のAloisio Campelo Jr氏はコメントしている。

今年1月の企業経営者の現状景況感指数(ISA-E) は、前月比4.3ポイント減少の90.9ポイントを記録、見通し信頼感指数(IE-E)は、1.9ポイント減少の86.0ポイントと2021年3月に記録した85.2ポイント以降では最低の見通し信頼感指数(IE-E)に落込んでいる。

企業経営者景況感指数 (ICE) は、FGV Ibre が作成したビジネス調査の対象となる鉱工業、サービス、商業、建設で構成される4セクターの信頼度指数を統合したものであり、1 月には、ICE を構成するすべてのセクターで信頼感が低下。 顕著な落込みは貿易部門とサービス部門で建設部門が続いている。