ブラジル人はCovid‐19パンデミック後の楽観的予想に反して85%は支出削減を考慮(2023年1月27日付けヴァロール紙)

Covid‐19パンデミック終焉で、消費財やサービス財の消費はCovid‐19パンデミック前に戻るとの楽観的な予想から一変して、一般消費者は不透明な国内経済の先行きなどの要因で、支出に慎重になってきていると調査結果に表れている。

コンサルタント会社Bain & Company社の調査によると、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、米国の消費者の意識に変化が生じている。消費者は、コロナ後の消費リズム回復について楽観的であったが、世界的なインフレ、ロシアによるウクライナ侵攻、政治危機の激動シナリオに振り回されていることを意識し始めており、消費に対する認識に変化が生じていると指摘している。

Bain & Company社のConsumer Pulse調査によると、調査対象のブラジル人の 90% 以上が過去 3 か月間に物価の上昇に気づき、85% が個人的な消費を減らしたか、もしくは減らす計画を立てていると回答している。

Covidパンデミック時は、大半の悲観論と、コスト削減、衛生問題、健康への懸念にとらわれていたが、Covid‐19対応ワクチン接種拡大でより楽観的な見方に変わった時期もあったが、世界的なインフレや不透明な世界情勢などの要因で、消費意欲を削がれている。

ブラジルの消費者は、近隣諸国や先進諸国よりもCovid‐19に対する憂慮が強く、消費に対する支出削減の傾向が強いと調査結果に表れている。

調査対象のブラジル人の93% は、生活費が高くなったと指摘、70% が支出を削減し、15% が削減を計画していると回答。 また少なくとも54%は、先行きのファイナンス不安が支出削減のストレスの主因になっていると指摘している。

消費に対する支出コスト削減している消費者の32%は特に食料品、31%は電力エネルギー、27%はレストランとカフェ、27%はデリバリー、26%は衣類への支出削減を計画している。 支出削減を実施するためには、53%は特定アイテムの購入を避ける、53%は購買量の削減、48%は電力エネルギー消費削減、44%は野外活動の減少を計画している。

消費に対する支出削減アイテムリスト

2022年のブラジルの経常収支は556億6,800万ドルの赤字計上(2023年1月26日付けヴァロール紙)

26日のブラジル中央銀行の発表によると、2022年12月のブラジルの経常収支は、昨年12月の77億4,100万ドルの赤字を約30億ドル上回る108億7,800万ドルの赤字に拡大、2022年のブラジルの累計経常収支は、GDP比2.79%に相当する556億6,800万ドルの赤字計上している。

昨年11月の最終四半期インフレレポート(RTI)によると、2022年の経常収支赤字は、GDP比2.79%に相当する600億ドルの赤字が見込まれていたが、最終的には予想を40億ドル以上下回る556億6,800万ドルの赤字に留まっている。

昨年12月の海外投資家による対内直接投資は、55億7,000万ドルと2021年12月の51億7,900万ドルを約4億ドル上回っていた。

2022年の累計対内直接投資総額は、GDP比4.76%に相当する905億7,200万ドルに達し、昨年1年間の累計経常収支のGDP比2.79%に相当する556億6,800万ドルの赤字を十二分にカバーする対内直接投資額を記録している。昨年11月の最終四半期インフレレポート(RTI)による2022年の累計対内直接投資総額は800億ドルが予想されていた。

昨年12月の海外投資家によるブラジル国内の金融投資の買い越し総額は、2億9,600万ドルを記録した一方で、2021年12月は19億5,000万ドルの売り越しを記録していた経緯があった。

昨年12月の海外投資家による金融投資のうちブラジル国債などの確定金利付き投資額は17億7,900万ドルを記録、サンパウロ証券取引所B3及びニューヨーク証券取引所経由の株式投資は12億5,700万ドルを記録したが、昨年11月の最終四半期インフレレポート(RTI)による2022年のブラジルへの株式投資は50億ドルの売り越し予想となっている。

2022年の国庫庁の実質歳入総額は前年比8.18%増加の2兆2,180億レアルで記録更新(2023年1月24日付けヴァロール紙)

2012年12月の国庫庁の実質歳入総額は、前年同月比2.47%増加の2101億9,100万レアルに達し、12月の月間歳入総額は統計を取り始めた2007年以降では記録更新している。

2022年のブラジル国庫庁のインフレ指数を差引いた実質歳入総額は、前年比8.18%増加の2兆2,180億レアルに達し、統計を取り始めた2007年以降では過去最高記録を更新している。

昨年12月の国庫庁の実質一般歳入総額は、前年同月比2.04%増加の2,040億1,600万レアル、インフレ指数を考慮しない名目歳入総額は、7.95%増加を記録している。

また2022年1年間の国庫庁の実質一般歳入総額は、前年比6.64%増加の2兆850億レアル、名目歳入総額は16.4%増加を記録している。一方昨年のロイヤリティなどを含む臨時歳入総額は、前年比39.96%増加の1,325億50万レアルを記録している。

2022年の連邦政府による減税や免税総額は、地方統一選挙向けのばら撒き政策の導入で1,204億4,700万レアルと2021年の728億5,300万レアルを475億9,400万レアル上回る免税を余儀なくされていた経緯があった。

また昨年12月の免税総額は、131億2,900万レアルと2021年12月の62億2,600万レアル上回る約2倍に相当する免税措置を採用していた。

昨年12月の国庫庁の歳入では、法人所得税(IRPJ)並びに純益に対する社会納付金(CSLL)は前年同月比マイナス2.95%に留まっていた。

また昨年12月の社会保障院(INSS)の納付金総額は、実質サラリーマン所得総額の11.88%増加が牽引して733億8,600万レアルを記録している。源泉所得税 IRRFは8.56%増加の152億4,300万レアルを記録している。

 

昨年のブラジル国内の平板鋼販売は前年比3.9%増加と若干予想を下回った(2023年1月24日付けヴァロール紙)

ブラジル鉄鋼卸売業者協会(Inda)の発表によると、2022年のブラジル国内の鉄鋼卸売業者による厚板、冷間、熱間圧延や亜鉛メッキ材などの鋼板販売は、前年比3.9%増加に留まって、ブラジル鉄鋼卸売業者協会(Inda)予想の前年比4.0%~4.5%増加を若干下回った。

昨年1年間の鉄鋼卸売業者による厚板、冷間、熱間圧延や亜鉛メッキ材などの鋼板販売は予想を下回ったが、圧延鋼販売は前年比10%増加、亜鉛メッキ鋼板は10.3%増加を記録している。

昨年12月の鉄鋼卸売業者の鋼板販売は前年同月比マイナス1.7%増加の25万7,000トン、前月比ではマイナス11.6%と二桁台の減少を記録している。

昨年のブラジル国内の建設業界、黄色物向け機械・装置業界、農業機械やトラック部門は平板鋼の需要を支えたが、自動車業界向け鋼板販売は半導体不足や電子部品不足で需要が低迷していた。

昨年12月の鉄鋼卸売業者はブラジル国内の市況低迷で前月比マイナス14.5%に相当する24万2,800トンの鋼板購入に留め、また前年同月比でもマイナス2.3%に留まっていた。

鉄鋼卸売業者の昨年1年間の鋼板類購入は373万トンに留まったが、亜鉛メッキ材は13.1%と二桁増加、厚板鋼板は6.9%増加を記録していた。

昨年12月の鉄鋼卸売業者の鋼板類の在庫は81万7,000トンと3.2ヶ月の在庫に相当しており、正常在庫を僅かに上回るレベルに留まっている。

今年1月のインフレ指数IPCA-15は0.55%上昇(2023年1月24日付けヴァロール紙)

ブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、昨年12月16 日~今年1月15 日までの30 日間に計測された2023年1月のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA-15)は、昨年12月の9.52%に続いて0.55%上昇を記録している。

今年1月の過去12か月間の累積IPCA-15指数は、昨年12月の5.90%から5.87%と若干減少したが、 Valor Data社の調査結果の平均値5.84%を若干上回っている。ブラジル中央銀行の今年のインフレ指数の目標中央値3.25%、許容値は±1.50%に設定されている。

今年1月の IPCA-15指数の部門別比較では、健康・パーソナルケア部門は1.10%増加、インパクト指数は0.14ポイント、食品・飲料部門は0.55%、インパクトポイントは0.12ポイントとなっている。

一方今年1月の IPCA-15指数で値下がりを記録したのは、ガソリンはマイナス0.59%、電力エネルギー料金はマイナス0.16%を記録している。

インフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA-15)は、ブラジルの正式なインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)の予想として先行して発表、1最低サラリーから40最低サラリーの所得層を対象に調査、ブラジリア連邦直轄地とゴイアニア市の地方自治体に加えて、9大都市圏を対象に調査されている。

ブラジルとアルゼンチンは共通通貨創設で協議開始(2023年1月24日付けヴァロール紙)

23日、ブエノス・アイレス市を訪問中のブラジルのルーラ大統領は、アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領と共通通貨の創設に向けた協議を開始した。

アルゼンチンとの共通通貨の創設は、昨年から継続している米ドル高で世界各国に痛みをもたらしているために、米ドル依存の軽減に繋がるとルーラ大統領は説明している。

また金融部門や貿易部門に活用できるバーチャル共通通貨の創設を推し進めるが、運用コストや外部脆弱性の低減につながると有益性を指摘している。

しかしブラジル政府のフェルナンド・アダジ財務相は記者団に対し、共通通貨創設案の影響を過大視しない考えを表明。アルゼンチンの米ドル不足が両国間の貿易の足かせになっており、政府首脳は解決策となりうる案を模索しているものの、ブラジルの通貨レアルが廃止されるわけではないと強調した。

創設される共同通貨はデジタル通貨であり、一般国民が使用するものではないが、新共同通貨はただ単に両国間貿易を促進するための政策にフォーカスされたものではないと説明している。

ルーラ大統領とフェルナンデス大統領の共同書簡には、「我々は、金融と商業の流れの両方に使用でき、運用コストと外部の脆弱性を削減できる共通の南米通貨に関する議論を進めることを決定した」と記載されている。

前日の英国の「フィナンシャル・タイムズ」とのマッサ財務相のインタビューでは、新共同通貨は、ユーロ圏に次ぐ、世界で2番目に大きい通貨統合に繋がると批判的なコメントがでていた。

これに対して、ルーラ大統領、フェルナンデス大統領、アダジ財務相、マッサ財務相は、月曜日のブエノス・アイレスでの公式声明の大部分を、レアル通貨もアルゼンチンペソ通貨も継続する説明に追われた。

2022年のブラジルの化学製品の貿易収支は630億ドルの赤字計上(2023年1月23日付けヴァロール紙)

ブラジル化学工業協会(Abiquim)の発表によると、2022年のブラジルの化学製品輸入総額は803億ドルに対して、化学製品輸出総額は僅か173億ドルに留まり、貿易収支は前年比36.4%増加の630億ドルの大幅な赤字を計上、赤字幅は記録更新している。

2022年のブラジルの化学製品輸入では、特に農薬製品輸入は前年比75.1%大幅増加を記録、主に肥料中間体の無機化学品輸入は63.2%増加、その他の有機化学品輸入は27.9%増加。 輸入先は38%が中近東地域を除くアジアであった。

昨年のブラジルの化学製品輸出は前年比19.5%増加の173億ドルの要因として、化学製品の国際コモディティ価格が23.7%増加、 一部のメルコスール近隣諸国の経済的困難にもかかわらず、ヨーロッパおよびラテン アメリカ諸国への販売増加の一方で、化学製品の輸出量は前年比マイナス3.4%の1,560万トンであった。

昨年のブラジルの化学製品の貿易赤字は、630億ドルと2021年の462億ドルの赤字を170億ド近く上回っている。COVID-19パンデミック前の2019年の貿易赤字は315億ドルであった。

昨年のブラジルとメルコスール圏内との化学製品の貿易収支は15億ドルの黒字を計上、ラテンアメリカ統合連合(ALADI)とは2,800万ドルの黒字を計上している。

昨年のブラジルのヨーロッパ連合と北米自由貿易協定(NAFTA)との化学製品の貿易収支は250億ドル以上の赤字を計上、アジアとは前年の160億ドルから220億ドルの赤字に拡大している。

最終フォーカスレポートは、今年のインフレは5.48%、来年は3.84%予想(2023年1月23日付けヴァロール紙)

23日発表の中銀の最終フォーカスレポートによると、今年のGDP伸び率は前回予想の0.77%から0.79%増加と若干上方修正した一方で、来年のGDP伸び率は1.50%増加に据え置いている。

今年のブラジルの正式なインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回予想の5.39%から5.48%に上方修正、2024年のIPCA指数は3.70%から3.84%に上方修正している。

また今年末の政策導入金利(Selic)を前回同様12.50%に据え置いた一方で、2024年末のSelic金利は9.25%から9.50%、2025年末のSelic金利は 8.25%から8.50%それぞれ上方修正している。

中銀の今年のインフレ指数の中央目標値は3.25%、2024年及び2025年は3.00%、許容値は±1.50%に設定されている。

ブラジル地理統計院(IBGE)が昨年12月初めに発表した2022年第3四半期のGDP伸び率は前四半期比0.4%増加を記録していた。

今年末のレアル通貨に対するドルの為替は前回同様R$5.28に据え置かれたが、2024年末及び2025年末もR$5.30に据え置かれている。

的中率が最も高いトップ5の今年末のIPCA指数は前回予想の5.44%から5.61%に上方修正している。また来年のIPCA指数は3.47%から3.58%に上方修正したが、2025年は3.00%に据え置いている。また今年末のドルの為替はR$5.40、2024年末はR$5.41 ,2025年末はR$5.65それぞれ据え置いている。

 

 

2023年の段ボール箱出荷量は前年比3.5%増加予想(2023年1月22日付けヴァロール紙)

2022年のブラジル国内の段ボール箱出荷量は前年比マイナス2.2%の395万トンであったが、今年の段ボール箱出荷量は前年比3.5%増加が予想されている。

ブラジル包装紙協会(Empapel)の発表によると、2022 年12月及び過去12か月間の経済動向のバロメーターの段ボール箱、シート並びに板紙付属品を含む段ボール箱派生品出荷量は、前年同月及び前年同期比でマイナスを記録していた。

昨年12月のValor紙とのインタビューで、Empapel会長でKlabin社のディレクターであるGabriella Michelucci氏は、2022年のブラジル国内の段ボールの出荷量は、2019年から3年連続で前年を上回っていたが、一転して前年割れを予想している。

今年のブラジル国内の段ボール箱出荷量は前年比3.0%~3.5%増加で400万トンを突破するとGabriella Michelucci氏は楽観的な見方をしている。

昨年12月のブラジル国内の段ボール箱生産量は前年同月比マイナス3.5%に相当する29万9,500トンに留まったが、2020年12月の生産量は32万6,750トン、2021年12月は31万300トンであった。

 

ルーラ大統領は低所得層擁護で所得税徴収ロジック変更を示唆(2023年1月19日付けヴァロール紙)

18日ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領は、企業経営者と対立する所得税変更では喧嘩も辞さないと強調して、5,000レアル以下の所得層を擁護するためには、ブラジルの所得税徴収のロディック変更の必要性を強調している。

労働者党PTのルーラ大統領は、株式配当金などを受け取っている富裕層に対する所得税の増税は不可欠であり、今はその時であると富裕層に対して、所得税ロディック変更の理解を求めている。

またルーラ大統領は、インフレ指数を上回る最低賃金の支払いを保証するために、できるだけ早く税制改革を実施する必要があるというフェルナンド・ハダッド財務相の声明を支持を表明している。

ブラジルで本当に所得税を払っているのは、給与明細を持っている正規労働者であり、給与は天引きされるために、脱税できない。 3,000レアルの低所得者は、株式配当金などで月10万レアルを得ているにも拘らず、所得税を払っていない富裕層よりも税金を払っているとルーラ大統領は指摘している。

わが労働党のエコノミストの中には、5,000レアルまでの労働者の源泉徴収所得税を免除すると、国庫庁の源泉徴収所得税は60%減少すると反対意見を述べているが、所得税のロディックを変更して、低所得層に対する所得下税免税及び減税の一方で、富裕層の所得税率アップで、所得税による歳入減少を抑えられるとルーラ大統領は説得している。

またルーラ大統領は大統領選挙キャンペーンの一環として、最低給与のインフレ指数以上の引上げを強調していたが、現時点で唯一の最低給与の保証額は1,302レアルであるが、労働者党PTの象徴的な記念日である5月1日のメーデーまでに1320レアルの最低給与額の引上げを模索している。

しかしフェルナンド・ハダド財務相の責任下にある財務省内との交渉は依然として行き詰まっている。 国会によって昨年承認された今年の予算では、今年の最低1,320レアルを予見しているが、中央労働組合はR$ 1,342レアルを要求しており、これは財政支出のバランスと相容れない。

最低給与の引上げ問題についてルーラ大統領は、この問題は税制改革に関連しており、ブラジル経済を好転させることができるのは、最低給与引上げを重視するという経済政策だけだと示唆している。

最低給与をインフレ指数よりも高くすることは可能であり、これは所得分配する最良の方法であり、 ブラジルのGDP伸び率に伴って、最低給与の増加率を合わせるとハダジ財務相は説明している。