昨年12月のインフレ指数は0.62%、昨年は5.79%(2023年1月10日付けヴァロール紙)

10日のブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、 2022年12月のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA) は0.62%に留まっている。

また2022年1年間の累計インフレ指数は5.79%と2021年の10.06%の二桁台から一桁台に減少を記録したにも拘らず、4年間連続で連邦政府のインフレの中央目標値を突破している。2022年の連邦政府のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)の中央目標値は3.5%、許容範囲は±1.50%に設定されている。

昨年1年間の累計インフレ指数5.79%で最もインパクトを与えたのは食品・飲料セクターの11.64%と二桁台を記録して、広範囲消費者物価指数(IPCA)の2.41%を占めている。

食品・飲料セクターに次いで健康・パーソナルケアセクターは11.43%と1.42%に相当するインパクトを記録、また衣類セクターは12か月間のうち10か月間で1.0%以上の値上げを記録、1年間では18.02%を記録している。

一方住居関連インフレ指数は0.07%と安定していたが、輸送セクターはマイナス1.29%と最もデフレを記録している。

食品・飲料セクターで最も値上がりしたのは内食の13.23%、特に玉葱130.14%と2倍以上の値上がりを記録、長期保存ミルクの値上率は26.18%で0.17%のインパクトに相当、ジャガイモ51.92%、果物24.0%、フランスパンは18.03%値上がりしている。

健康・パーソナルケアセクター11.43%値上がりの内訳は、パーソナルケアは16.69%、特に香水は22.61%、洗髪関連製品は14.97%それぞれ大幅な値上がりを記録、また健康保険プランは6.90%値上がりで0.25%のインパクトに結びついている。また医薬品製品の13.52%の値上がりを記録している。

住居関連セクターは0.07%、特に住宅賃貸料は8.67%、下水道料金9.22%、コンドミニアム料6.80%、これ等の3アイテムは昨年のIPCA指数を0.62%押し上げている。

また清掃用品関連は19.49%、家庭用プロパンガス6.27%それぞれ増加した一方で、電力エネルギー料金はマイナス19.01%とマイナス0.96%のデフレインパクトを記録している。

2010-2022のIPCA指数の推移

2022の月間IPCA指数の推移

 

インフラ業界は、8日のブラジリアで発生したテロ行為に対して今後の投資を憂慮(2023年1月9日付けヴァロール紙)

インフラ部門の企業にとって、今月8日の過激なボルソナリストによるブラジリア市で実行されたテロ行為は、国内外の投資家にブラジル国内の投資に関する先行き不安を訴えており、治安当局の監視強化を訴えている。

昨年10月末の大統領選の結果に抗議するジャイール・ボルソナロ候補の支持者は今月8日に、ブラジリア市で一部が暴徒化し、連邦議会や大統領府、最高裁に侵入して壊滅的な破壊行為を行い1500人以上の逮捕者を出している。

今月1日に就任したルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ(Luiz Inacio Lula da Silva)大統領は、首都を混乱に陥れた野蛮な行為について、極右勢力による「テロ行為」だと非難している。

すでにブラジル国内に巨額の投資している投資家や新規参入者にとっての根本的な問題は、法的な安全性の確約がなければ今後の投資に支障をきたするとブラジル・インフラ基幹産業協会(Abdib)のVenilton Tadini会長は指摘している。

ブラジル国内の道路、空港、港湾ターミナル、および鉄道セクターから構成されるブラジル・インフラ基幹産業協会(Abdib)では、国内外投資家の今後の投資に関する不安払拭が不可欠であると強調している。

我々は、民主主義国家が支持する対話と行動が、常に社会平和を維持するための最良の方法であると確信しているとブラジル・インフラ基幹産業協会(Abdib)のVenilton Tadini会長は説明している。

最終フォーカスレポートは、今年のGDP伸び率を0.78%に下方修正(2023年1月9日付けヴァロール紙)

9日のブラジル中央銀行の最終フォーカスレポートによると、2022年のGDP伸び率は前回予想の3.04%から3.03%若干下方修正している。

また2023年のGDP伸び率も0.80%から0.78%と若干下方修正した一方で、2024年のGDP伸び率は前回同様に1.50%に据え置いている。

ブラジル地理統計院(IBGE)が昨年12月初めに発表した昨年第3四半期のGDP伸び率は0.4%に留まって減速、昨年第4四半期のGDP伸び率は3月2日の発表が予定されている。

また昨年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回同様に5.62%に据え置かれている。今年のIPCA指数は5.31%から5.36%と上方修正、2024年のIPCA指数も3.65%から3.70%に上方修正されている。

今年末の政策導入金利(Selic)は12.25%に据え置かれたが、2024年末のSelic金利は9.00%から9.25%に上方修正されている。ブラジル中銀の2022年のインフレ指数の中央目標値は3.50%、2023年は3.25%、2024年は3.00%、許容範囲は±1.50%に設定されている。

今年末のレアル通貨に対するドルの為替は前回のR$5.27からR$5.28に微調整、2024年末はR$5.26からR$5.30に微調整されている。

一方的中率が高いトップ5の2022年末のIPCA指数は前回予想の5.75%から5.77%と若干上方修正されている。2023年のIPCA指数は前回同様5.12%、2024年のIPCA指数も3.45%とそれぞれ前回同様に据え置かれている。

また2023年末のドルの為替は前回予想のR$5.24からR$5.25に微調整されたが、2024年末は前回同様R$5.26に据え置かれている。

 

2023年の保険業界の名目伸び率は二桁台か(2023年1月9日付けヴァロール紙)

ブラジル保険連合(CNseg)は、2023年の保険業界のインフレ指数を考慮しない名目伸び率は、今年のGDP伸び率が予想を上回る楽観的な見方に変わってきており、10%と二桁台の伸び率の可能性を指摘している。

ブラジル中央銀行の最終フォーカスレポートによる今年のGDP伸び率は0.80%を予想している一方で、ブラジル保険連合(CNseg)では、今年のGDP伸び率は2.2%まで伸び率る可能性を指摘している。

今年のGDP伸び率の中銀と CNSegとの大幅な違いについて、CNSegのDyogo Oliveira 会長は、歳出上限を無視するとして批判を集めているルーラ新政権の政権移行PEC (憲法補則案)による経済刺激効果を期待している。

政権移行PEC (憲法補則案)によるリソースの注入は、ブラジル国内の生産活動に弾みをつけ、保険業界を助けることができるとDyogo Oliveira 会長は指摘している。

政権移行PEC (憲法補則案)によるリソースの注入だけでなく、COVID-19パンデミックの影響の減少も保険業界にとっては朗報であるが、今年のGDP伸び率を押上げるには公共投資の再開が不可欠であるとDyogo Oliveira 会長は指摘している。

Essor社CEOの Filipe Alves氏は、今年は農畜産業伸び率が期待できるために、今年の保険業界の伸び率は二桁台に乗ると指摘している。

格付け会社Fitch 社では、2022年のインフレ指数のIPCAは6.5%、今年は5.2%予想で、保険業界の伸び率は7.3%に留まると予想している。

 

今年の企業のM&A案件は昨年の大幅減少から一転して増加予想(2023年1月7日付けヴァロール紙)

Refinitiv社の調査によると、2022年の米国のリセッション入り、ロシアによるウクライナ侵攻などの影響で、世界の企業の買収・合併は前年比50%減少の1兆6,800億ドルに留まっている。

昨年の世界の企業の買収・合併は、世界的な金利の上昇、ファイナンスの縮小、債券市場の動揺、景気後退の可能性など、さまざまな財務上の困難に直面したため、2022年の企業合併・買収は大幅に減速していた。

昨年の世界の企業の買収・合併は前年比50%減少の1兆6,800億ドルに留まったにも拘らず、COVID-19パンデミック前の水準を維持している。

ビジネスアドバイザーは、M&A が昨年の低迷から 2023 年には回復すると予想しているにも拘らず、米国の連邦準備制度理事会によるさらなる利上げのペースと、インフレ率が40年ぶりの高値に達した後も緩和し続けている確証が必要となっている。

2022年のM&Aの勢いを弱めた要因として、最も重要な要素は信頼感と法律事務所Debevoise & Plimpton社M&A担当パートナーのWilliam Regner氏は、指摘している。

 

2022年のポウパンサ預金の出超は1,032億レアルに達す(2023年1月5日付けヴァロール紙)

今月5日のブラジル中央銀行の発表によると、2022年12月のポウパンサ預金は62億5,900万レアルの入超を記録したにも拘らず、2022年の1年間では1,032億レアルの出超を記録、政策誘導金利Selicが13.75%に達しているために、利払いの良い他の投資に逃避する傾向が続いている。

昨年のポウパンサ預金からの1,032億レアルの出超は過去最高を記録した1年間の2倍以上の出超を記録、インフレ抑制のためのSelic金利が二桁台の継続では、更なるポウパンサ預金からの逃避が継続する可能性が濃厚となっている。

ポウパンサ預金は建設不動産業界や農畜産業界向けのクレジット資金の財源となっているが、昨年1年間の不動産信用 (SBPE) 向けポウパンサ預金は809億レアルが逃避、また農村信用(SBPR)向けポウパンサ預金は223億レアルが逃避している。

2021年3月のSelic金利は過去最低の2.0%に留まっていたが、昨年は4.5%上昇、現在のSelic金利は13.75%を継続しているために、確定金利付き投資から資金流出が続いている。

Selic金利が年率 8.5% を超える場合、ポウパンサ預金の月間利回りは 0.5%、年率 換算で6.17% に、参考金利 (TR) を加えたものであり、他の債券投資よりも利回りが悪い。

ポウパンサ預金の過去最高の資金逃避は2015年の536億レアルと2022年の1,032億レアルの約半分であった。

COVID-19パンデミックの2020年は連邦政府による貧困層向け給付金支給及び低率のSelic金利で、ポウパンサ預金は1,253億レアルの過去最高の入超を記録していたが、2021年はSelic金利の上昇に伴って536億レアルが逃避していた経緯があった。

2022年の新車販売台数は前年比マイナス0.7%に留まる(2023年1月5日付けヴァロール紙)

自動車販売代理店が加盟する全国自動車販売業者連盟(Fenabrave)の発表によると、2022年のトラックやバスを含むブラジル進出自動車メーカーの新車販売は、半導体供給問題やロシアによるウクライナ侵攻による部品物流問題の加担して、前年比マイナス0.7%に相当する210万4,000台に留まっている。

年末休暇向けの自動車メーカーの集団休暇導入などにも関わらず、2022年12月の新車販売は前年同月比4.78%増加の21万6,920台、また前月比では6.3%増加を記録している。

5日の全国自動車販売業者連盟(Fenabrave)では、2023年の新車販売は前年比僅か0.1%微増に留まると悲観的な予想に留まっている。

2023年の自動車メーカーでは、新車生産のための部品不足、特に自動車向け半導体の世界的な供給問題に加えて、政策誘導金利Selicが13.75%で高止まりしているために、新車購入希望者向けクレジット金利及び与信強化で悲観的な予想にならざるを得ない。

新車販売がCovid‐19パンデミック前の2019年の279万台までのレベルに戻るためには、世界的な半導体供給問題の解決、高止まりしているインフレ指数やクレジット金利、ルーラ新政権による経済活性化政策の導入などが不可欠となっている。

ナショナル製鉄所に追従してコンペチターは今年初めに10%前後の値上げを敢行(2023年1月5日付けヴァロール紙)

ナショナル製鉄所(CSN) は2023年年頭に自社の鉄鋼製品の値上げを発表したが、コンペチターのアルセロールミッタル・ツバロン製鉄、ウジミナス製鉄所は追従する形で自社の鉄鋼製品の値上げを決定している。

ナショナル製鉄所(CSN)では自社鉄鋼品の価格を平均10%前後の値上げを行うが、熱間圧延鋼、冷間圧延鋼、コイル、パッケージング用錫メッキ材料、亜鉛メッキおよび塗装済み材料などの製品ラインに適用される。

鉄鋼業界関係筋によると、ArcelorMittal Tubarão は、エスピリット・サント州のセーラ製鉄所及びサンタ・カタリーナ州のサン・フランシスコ・ド・スル製鉄所で製造する熱間圧延、冷間圧延、およびコーティングされたコイル製品を今月4日から約10%の値上げを実施している。

またブラジル国内の自動車メーカー用の平板供給の主なサプライヤーのウジミナス製鉄所は、今月16日から鉄鋼製品の種類によるが、9.0%~12.0%の値上げを実施すると供給先の顧客に通達している。

ミナス州内の鉄鋼メーカーは、今年1月初めから自動車メーカー向けの鉄鋼製品の値上げを発表しているが、その他の産業界向けの鉄鋼製品値上げは4月に予定されている。

鉄鋼メーカーと自動車メーカーとの値上げ交渉は昨年までは年1回であったが、鉄鋼製品生産向け原料である鉄鉱石や石炭の国際コモディティ価格変動や国際市場の価格変動により、今後は半年に1回の交渉に変更されている。

この年2回の値上げ交渉の説明には、世界的なシナリオの不安定性や、ドル為替に対するレアルの変動も含まれるが、主に中国からの輸入品と比較して国産品のプレミアムに影響を与える。