ルーラ新政権は低所得者層向け住宅建設へ舵取りか(2022年12月6日付けエスタード紙)

来年1月に就任する労働者党PTのルーラ大統領の経済政策の方向性に関する不透明なシナリオは、主に次期政権を牽引する組閣と公共支出政策の不確実性によるもので、ここ数週間の不動産市場ビジネス界の先行きの信頼水準に悪影響を及ぼしているものの、2023年以降の新規住宅リリース及び住宅販売に足を引っ張る水準まで行っていない。

低所得層向けの不動産部門で事業を行うデベロッパーは楽観的な見方をしている。低所得層向けの住宅販売に関していは、ルーラ新政権は住宅購入のための恩典を設けると予想されている。

2009年のルーラ政権時の経済成長加速プログラム(PAC)の大衆住宅建設”私の家、私の暮らし Minha Casa Minha Vida”プログラムはボルソナロ政権時に“ブラジルシンボルカラー大衆住宅 緑と黄色の家 Casa Verde e Amarela”プログラムと命名されていたが、再度のルーラ政権誕生で元の大衆住宅建設”私の家、私の暮らし Minha Casa Minha Vida”プログラムに戻ると予想されている。

さらに、大衆住宅建設”私の家、私の暮らし Minha Casa Minha Vida”プログラムには金利の補助、高金利のサイクルから保護される特別信用枠が設定されると予想されている。

低所得者向け住宅部門を除いた中高所得者層向け住宅部門では、依然として高どまりしている住宅ローンの高金利に慎重になっているが、富裕層よりも中間所得層が住宅購入に慎重になっている傾向がある。

低所得者層向け住宅部門は、ルーラ新政府によって優先事項として位置づけられると不動産仲介プラットフォーム UBLink の創設者である Rogério Santos 氏は説明している。

また中間所得者層にとっては、依然として金利が高いため、不動産の購入が法外なものになる可能性があるとRogério Santos 氏は指摘している。

歳出上限を無視するとして批判を集めているルーラ次期政権の政権移行PEC(憲法補則案)で公共負債はGDP比90%に達する可能性(2022年12月5日付けヴァロール紙)

来年1月から政権を担当するルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ (PT) 新大統領の連立与党が政権移行PEC(憲法補則案) 規模を縮小することを受け入れたとしても、ブラジルの公的債務残高は今後数年間、力強い上昇軌道をたどり続けると見込まれている。

新たな財政枠組みの欠如、歳出上限を超える新たな歳出額、歳入の力強さの喪失などの要因で、公的債務は引き続き圧迫される傾向が見込まれている。 当初提案された条件に基づく移行PECだけで、2023 年の公的債務残高はGDP比4 %~ 5%を引き上げる可能性が指摘されている。

先週金曜日に、下院議会の PT党 リーダーのReginaldo Lopes 下院議員は、上限を超える 1,500 億レアルの新しい費用は、予算を再構成するために必要な最小限度と説明。 移行PEC のテキスト原文では1,980 億レアルになると規定されている。

主な懸念は、新たな財政支出を補うために歳入増加の図り、連邦政府の公的債務の爆発的な増加を回避することとGenoa Capital社チーフエコノミストのIgor Velecico氏は説明している。

今年10月末のブラジルの公的債務の主要な指標である連邦政府の総債務残高(DBGG) はGDP の76.8%に達しており、国際通貨基金 (IMF) によると、ブラジルの公的債務残高は昨年初めからの下落にもかかわらず、指数は新興国の平均であるGDP比65.1%を依然として 10 ポイント以上上回っている。

このような不確実な財政支出状況では、上限を超える支出が毎年1,750 億レアル増えると考えられ、DBGGは2022 年末のGDP比74% から 2026 年にはGDP比 82.1% に上昇。2030 年には GDP比86.5% に達する可能性が指摘されている。

Banco AlfaチーフエコノミストのLuis Otávio de Souza Leal氏 は、上限を超える 2,000 億レアルの年間支出で、ブラジルの公的債務残高は 4 年間で 12%~15%増加でGDP比90% になる可能性を指摘している。

最終フォーカスレポートは2023年末のSelic金利を11.75%上方修正(2022年12月5日付けヴァロール紙)

5日のブラジル中央銀行の最終フォーカスレポートによると、2022年のブラジルの正式なインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回予想の5.91%から5.92%と若干の上方修正している。

また2023年の広範囲消費者物価指数(IPCA)は5.02%から5.08%に上方修正された一方で、2024年の広範囲消費者物価指数(IPCA)は前回同様3.50%に据え置かれている。

今年末の政策導入金利(Selic)は13.75%に据え置かれたが、2023年末のは11.50%から11.75%に上方修正、2024年末のSelic金利も8.25%から8.50%に上方修正されている。

中銀の今年最後の通貨政策委員会(Copom)は今週開催されるが、今年のIPCA指数の中央目標値は3.50%、2023年は3.25%、2024年は3.0%に設定されているが、許容範囲は±1.50%に設定されている。

今年のブラジルのGDP伸び率は前回予想の2.81%から3.05%と大幅に上方修正、2023年のGDP伸び率は0.70%から0.75%、2024年のGDP伸び率は1.70%から1.71%とそれぞれ若干上方修正されている。

2022年第3四半期のブラジルの国内総生産(GDP)伸び率は前四半期比0.4%増加、前年同期比では3.6%増加、今年初め9か月間の累計GDP伸び率は3.0%増加、過去12カ月間では3.2%増加を記録している。

今年末のレアル通貨に対するドルの為替は前回予想のR$5.27からR$5.25 、2023年末は前回同様R$5.25据置かれたが、2024年末はR$5.20からR$5.23%に若干修正されている。

2021年のブラジルの一人当たりのGDPはCovid‐19パンデミック前の水準を上回っている(2022年12月2日付けヴァロール紙)

2021年及び2020 年の国内総生産の新たな計算の見直しにより、1 人あたりの国内総生産 (GDP) のシナリオが改善されている。ブラジル地理統計院(IBGE)が発表した新たなデータによると、パンデミックの最初の年2020年のGDPはマイナス3.9%からマイナス3.3%に修正、2021 年のGDP伸びは4.6%から5.0%増加に上方修正されている。

ゼツリオ・バルガス財団ブラジル経済研究所(FGV/Ibre)では、2021年の1人あたりの GDP伸び率はCovid‐19パンデミック前の水準に回復しており、2022 年の一人当たりのGDP伸び率は 2019 年との比較では 2.3% を上回る見込みとなっている。

今後のブラジル経済のパフォーマンスへの懸念に加えて、1 人あたりのGDPは 2015年と2016 年の不況時の損失をまだ回復しておらず、経済危機が始まる前の2013年の水準よりも依然として4.7% 低いレベルに留まっている。

今年第3四半期のブラジルの国内総生産(GDP)伸び率は前四半期比0.4%増加、前年同期比では3.6%増加、今年初め9か月間の累計GDP伸び率は3.0%増加、過去12カ月間では3.2%増加を記録している。

今年第3四半期の一人当たりのGDP伸び率は0.2%増加に相当する4万2625レアル、今年第1四半期の一人当たりのGDP伸び率は1.1%増加、第2四半期は0.8%増加している。

今年のGDP伸び率は3.0%増加、2023年のGDP伸び率は0.2%増加をブラジル地理統計院(IBGE)のSilvia Matosコーディネータは予想している。

今年のブラジル経済は、高止まりしているインフレ指数及び13.75%を継続している誘導金利(Selic)は現在のGDP伸び率をさらに抑制する可能性があったが、大統領選挙向けの貧困層対象のバラマキ政策で歯止めがかかっていた。

10月の鉱工業部門生産は0.3%微増(2022年12月2日付けヴァロール紙)

ブラジル地理統計院(IBGE)の鉱工業部門生産調査(PIM-PF)によると、2022年10月の鉱工業部門生産量は前月比0.3%微増、8月のマイナス0.6%、9月のマイナス0.7%から反転して増加を記録している。

Valor Data社の33金融機関対象の今年10月の鉱工業部門生産調査では、最低予想はマイナス0.5%、最高予想は1.4%増加、平均予想は0.2%増加であった。

10月の鉱工業部門生産量は前年同月比1.7%増加、今年初め10か月間の累計生産量はマイナス0.8%、過去12カ月間ではマイナス1.4%、Covid‐19パンデミック前の2022年2月との比較では依然としてマイナス2.1%、過去最高を記録した2011年5月との比較ではマイナス18.4%と依然として大幅な落ち込みを記録している。

今年11月の鉱工業部門の部門別生産量では、資本財部門は前月比マイナス0.4%、前年同月比マイナス0.2%、前記同様に耐久消費財部門はマイナス2.7%、11.8%増加を記録している。

また鉱工業部門生産の55%を占める中間財部門生産量は0.7%増加、1.9%増加、非耐久消費財部門は0.3%増加、0.4%増加を記録している。

11月の貿易収支は66億7,500万ドルを計上(2022年12月2日付けヴァロール紙)

2022年11月のブラジルの貿易収支は66億7,500万ドルを計上、昨年11月は11億ドルの貿易収支赤字を計上していたと経済省通商局(Secex)と発表している。

11月の輸出総額は30.5%増加の281億6,400万ドル、輸入総額はマイナス5.5%の214億8,900万ドル、今年初め11か月間の累計貿易収支は、前年同期比0.7%微増の580億2,400万ドルを記録。輸出総額は19.9%増加の3,088億1,900万ドル、輸入総額は25.5%増加の2,507億9,500万ドルであった。

今年初め11か月間の累計貿易額は、前年同期比22.4%増加の5,596億1,400万ドル、経済省通商局(Secex)では、今年の貿易収支は554億ドルの黒字を見込んでいるが、輸出総額は3,303億ドルに対して、輸入総額は2,749億ドル、貿易総額は6,052億ドルを見込んでいる。

今年11月の中国、香港並びにマカオ向け輸出額は前年同月比35.55%増加、アジア向け輸出総額は37.31%増加を記録、北米は18.77%増加、ヨーロッパ44.7%増加、南米は18.77%増加している。

11月の農畜産部門の輸出は60.76%増加、鉱業部門は34.44%増加、製造業部門の輸出は21.46%増加、一方輸入では農畜産部門はマイナス27.02%、鉱業部門もマイナス9.9%、製造業部門の輸入もマイナス2.9%を記録していた。

第3四半期のGDP伸び率は0.4%増加(2022年12月1日付けIBGEサイトなどより抜粋)

2022年第3四半期のブラジルの国内総生産(GDP)伸び率は前四半期比0.4%増加、前年同期比では3.6%増加、今年初め9か月間の累計GDP伸び率は3.0%増加、過去12カ月間では3.2%増加を記録している。

今年第3四半期の国内総生産は2兆5,440億レアル、今年第3四半期の住宅投資、設備投資や公共投資などの国内総固定資本形成(FBCF)部門のGDP占める比率は19.6%と昨年同期の19.4%よりも微増、貯蓄率は16.2%と昨年同期の17.2%を1.0%下回っている。

今年第3四半期のGDP伸び率の前四半期比の部門別伸び率比較では、サービス部門は1.1%増加、工業部門は0.8%増加した一方で、農畜産部門のGDP伸び率はマイナス0.9%を記録している。

また今年第3四半期の国内総固定資本形成(FBCF)部門のGDP伸び率は前四半期比2.8%増加、一般消費は1.0%増加、公共支出は1.3%増加を記録している。

そのうち工業部門の内訳では、建設業セクターは1.1%増加、電力・都市ガス・上下水道・汚水処理セクターは0.6%増加、製造業セクターは0.1%増加、鉱業セクターはマイナス0.1%を記録している。

今年第3四半期のサービス業部門のセクター別GDP伸び率比較では、情報通信セクターは3.6%、金融・保険関連サービスセクターは1.5%、不動産セクター1.4%、その他のサービスセクターは1.4%、輸送・郵便・倉庫セクターは1.0%それぞれ増加を記録した一方で、商業関連サービスセクターはマイナス0.1%よ微減している。

今年第3四半期の財やサービスなどの輸出セクターは3.6%増加、輸入セクターは5.8%と輸出セクターを大幅に上回る増加率を記録している。

今年第3四半期のGDP伸び率は前年同期比3.6%増加、そのうち農畜産部門は3.2%増加、特にトウモロコシは25.7%、棉15.2%、コーヒー6.7%、オレンジ4.4%それぞれ増加した一方で、砂糖はマイナス1.1%、キャサバ芋はマイナス1.3%を記録している。

前記同様に鉱工業部門は2.8%増加、そのうち電力・都市ガス・上下水道・汚水処理セクターは、降雨不足による電力エネルギー料金の値上げなどの要因で11.2%と二桁台の伸び率を記録、建設業部門は6.6%増加、製造業部門は自動車セクター向け半導体供給不足などの要因で僅か1.7%増加に留まった。鉱業部門は鉄鉱石の国際コモディティ価格下落の影響でマイナス2.6%を記録している。

またサービス業部門は4.5%増加、内訳はその他のサービスセクタ―が9.8%増加で牽引、輸送・郵便・倉庫セクター8.8%、情報・通信セクター6.9%、不動産セクター3.2%、商業サービスセクター2.0%、金融・保険関連サービスセクターは1.7%それぞれ増加を記録している。

前記同様一般家庭消費部門は、現職大統領のボルソナロ候補による前政権の貧困層向け家族手当(ボルサ・ファミリア)プログラムに替わる600レアルのブラジル救済(Auxílio Brasil)プログラムが牽引して4.6%と大幅増加を記録している。

連邦政府の公共支出部門は1.0%増加、国内総固定資本形成(FBCF)部門は5.0%増加を記録、輸出部門は食品、自動車、サービス部門が牽引して8.1%増加、輸入部門は化学製品、石油派生品、機械・装置部門が牽引して10.6%増加を記録している。

 

8月~10月の四半期の月間平均失業率は8.3%(2022年11月30日付けヴァロール紙)

今月30日発表のブラジル地理統計院(IBGE)の全国家庭サンプル調査(Pnad)によると、2022年8月~10月の四半期の月間平均失業率は、8.3%と今年5月~7月の前四半期の月間平均失業率9.1%を0.8%減少している。

また今年8月~10月の四半期の月間平均失業率8.3%は、前年同四半期の12.1%よりも3.8%の大幅減少を記録、10月終わりの四半期の月間平均失業率としては2014年同期の6.7%以降では最低の失業率を記録している。

Valor社の25金融機関やコンサルタント会社対象の調査によると、今年8月~10月の四半期の月間失業率の最高予想は8.7%、最低予想は8.4%平均予想は8.5%であった。また今年7月~9月の四半期の月間平均失業率は8.7%であった。

今年8月~10月の労働手帳に記載されない非正規雇用者は前四半期比2.3%増加の1,340万人、前年同期比では11.8%に相当する140万人の増加を記録している。

今年8月~10月の月間平均失業率が減少した要因として、2021年中頃から継続する失業率の低下シナリオ並びに伝統的に年末商戦向けの雇用増加をIBGE雇用・給与担当コーディネーターのAdriana Beringuy氏は指摘している。

COVID-19パンデミック対応のワクチン接種効果が顕著になってきた2021年7月から上昇してきている労働市場の回復及び、外出自粛緩和政策によるサービス部門を中心とした経済回復が牽引してきているとAdriana Beringuy氏は説明している。

また雇用回復の一因として、今年10月の地方統一選挙によるその他のサービス部門や情報通信部門、金融部門、不動産部門並びに選挙運動に関与する人々が含まれている。

地方統一選挙運動に関与する労働者は、他のサービスのセグメントに含まれる。例えば、選挙候補者のパンフレットやチラシを配布するために各政党に雇われた場合などがその他のサービスに計上される。

今年8月~10月の情報、通信、金融、不動産、専門職および管理活動に従事する労働者は、前四半期比2.8%に相当する32万4,000 人増加を記録。 その他のサービス部門の雇用は4.5% に相当する23万2,000 人増加している。

今年8月~10月の四半期の14歳以上の就職活動を行っている失業者総数は、前四半期比マイナス8.7%に相当する86万人減少、前年同期比ではマイナス30.1%に相当する390万人の減少を記録している。

今年8月~10月の四半期の労働人口総数は9,970万人に達し、統計を取り始めた2012年1月以降では記録を更新している。前四半期比では1.0%増加、前年同期比では6.1%に相当する570万人増加している。

ブラジルの10月の財政プライマリー収支は270億レアルの黒字計上(2022年11月30日付けヴァロール紙)

30日のブラジル中央銀行の発表によると、ブラジルの2022年10月の財政プライアリー収支は270億9,500万レアルの黒字を計上したが、昨年10月の財政プライアリー収支黒字353億9,900万レアルよりも80億レアル以上下回っている。

今年10月の財政プライアリー収支黒字270億9,500万レアルには、中銀、国庫庁並びに社会保障院(INSS)で構成される中央政府及び州政府並びに市町村で構成される地方政府が含まれるが、ペトロブラス石油公社や公立銀行のブラジル銀行及び連邦貯蓄金庫などの収支は含まれていない。

今年10月の中央政府の財政プライマリー収支は302億4,400万レアルの黒字計上した一方で、地方政府の財政プライマリー収支は38億6,100万レアルの赤字を計上、連邦公社も7億1,100万レアルの赤字を計上している。

今年10月の過去12か月間の累計財政プライマリー収支はGDP比1.82%に相当する1,730億5,400万レアルの黒字を計上、9月の過去12か月間の累計財政プライマリー収支はGDP比1.93%の黒字を計上していた。

また今年初め10か月間の累計財政プライマリー収支は1,578億9,600万レアルの黒字を計上したが、昨年同期の累計財政プライマリー収支はCOVID-19パンデミックの影響で僅か495億7,000万レアルの黒字に留まっていた経緯があった。

10月の利払いを含むインフレ指数を差引かない名目財政プライマリー収支は、144 億 7,400 万レアルの赤字を計上したが、前年同月の250 億 1,400 万レアルの赤字よりも減少している。

今年10月の過去12か月間の累計財政プライマリー収支はGDP比4.21%に相当する4,000億9,700万レアルを記録したが、9月の累計財政プライマリー収支のGDP比4.36%よりも減少している。

ブラジルはグリーン水素プロジェクト投資向け資金調達の選択肢拡大(2022年11月30日付けヴァロール紙)

ブラジルは、グリーン水素のブラジル国内市場供給と輸出促進を目的に、持続可能な燃料の研究と生産を支援するプログラムでグリーン水素プロジェクトの資金調達オプションを拡大しています。

グリーン水素とは、水を電気分解し、水素と酸素に還元することで生産される水素。この水素を利用し、酸素を大気中に放出することで、環境への悪影響を与えずに水素を利用することが可能。電気分解を実現するためには電力が必要であり、グリーン水素を作るためのプロセスは、風力や太陽光などの再生可能エネルギーを利用することで副産物としての二酸化炭素を排出させることなく、水素を製造することができる。

社会経済開発銀行 (BNDES) は、中小規模のグリーン水素産業プラント設置向けに総額3 億レアルを提供しているが、銀行スプレッドの免除の上に、インフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)相当の金利での有利な融資条件となっている。

クレジット条件は一般金融市場の条件よりもはるかに有利である。なぜなら、与信枠には、資金調達額の 50% 若しくは8,000 万レアルまでのいずれか少ない方に融資条件が制限されている。

現時点では、3プロジェクトが2023 年の第 1 四半期までに承認される見通しの一方で、より多くの金額のプロジェクトにも資金が提供される可能性があるが、気候基金の適用制限で、金利はより高いとBNDESエネルギー部門責任者のDaniel Barreto 氏は説明している

通常、投資金額が大きいグリーン水素輸出プラントへの融資に対しても、ブラジル国内でのグリーン水素プロジェクトの加速化を図るために、融資の上限は設けていないとDaniel Daniel Barreto氏は説明している。

科学技術イノベーション省 (MCTI) は、今年の半ばに、グリーン水素を含む持続可能な燃料の研究開発を奨励するための 5,000 万レアルの公募を発表。資金提供は科学技術開発のための国家基金 (FNDCT)となっている。

今現在迄7プロジェクトが承認されており、融資金額は150 万レアルから 750 万レアルとなっている。融資希望企業は、持続可能な燃料生産プロセスを実証するパイロットプラントを提示する必要があるとコンサルタント会社Deloitte企業向けファイナンシャルアドバイザーのBarbara Miqueleto は説明している。

グリーン水素生産チェーンの革新的ソリューションの研究開発エコシステムを強化するように設計された GIZ Brasil による iH2Brasil プログラムでは、今年このセクターの8 社のスタートアップ企業を選定、2024 年までにさらに 16社のスタートアップ企業が選択される予定となっている。

新興スタートアップ企業の1つである南大河州の Pharma Energias Renováveis社は、ドイツ企業の Sunfarming社とパートナーシップを締結。Sunfarming社は、Vale Verde 地域でのグリーン水素由来のアンモニアの生産に8,000 万レアルの投資を見込んでおり、2024年下半期からの年間1,400トンの生産開始を見込んでいるとサンパウロ市のドイツ商工会議所のイノベーションおよび持続可能性担当ディレクターのBruno Vath Zarpellon 氏は説明している。

グリーン水素プロジェクトのもう 1 つの投資向けの資金源は、資本市場であり、ブラジルと海外の両方で「グリーンボンド」を発行しており、環境、社会、またはコーポレート ガバナンス (ESG) の実践に関連するプロジェクトに資金を提供するために使用できる手段となっている。

中央銀行レポートによると、ブラジルのグリーンボンド発行額は 2020 年~2021年の間に 200 億ドルで、この金額は2015 年~2019 年までの期間の 3 倍に相当。発行額はラテンアメリカ地域ではチリに次いで2位となっている。