ヴーレ社はニッケル及び銅鉱石の中長期生産を引上げ(2022年9月8日付けヴァロール紙)

ブラジル資源大手ヴァーレ社は、傘下のカナダ企業ヴァーレ・インコ社が所有するカナダのニッケル・銅・コバルト鉱山での中長期の増産計画を発表、ニッケルやコバルト生産は電気自動車のバッテリーに不可欠であり、コバルトの多くは、銅やニッケル採掘時に副産物として採掘されるために、電気自動車メーカーでは、バッテリー製造のために資源確保で熾烈な競争を余儀なくされている。

同社では2022年から2023年のニッケル構成生産を17万5,000トンから19万トン、2024年は20万トンへ引上げるが、中期計画では23万トンから24万5,000トン、長期計画では30万トン以上の生産を計画している。

ヴァーレ社では2022年の1トン当たりのニッケルの国際コモディティ価格を1万2,300ドルと予想しているが、中期のニッケルの国際コモディティ価格は1万ドルに下がると予想している。

一方2022年の銅鉱石生産は27万トンから28万5,000トンを見込んでいるが、2023年から2026年は39万トンから42万トン、2027年には45万トン以上の生産を見込んでいる。中期計画では39万トンから42万トン、長期計画では90万トン以上を見込んでいる。

2022年の1トン当たりの銅鉱石の国際コモディティ価格は4,000ドル、中期の銅鉱石の国際コモディティ価格は2,300ドルまで下がると予想している。

今年7月の段ボール箱の出荷量は前年同月比1.0%増加(2022年9月5日付けヴァロール紙)

ブラジル包装紙協会(Empapel)の発表によると、2022 7 月の経済動向のバロメーターの段ボール箱、シート並びに板紙付属品を含む段ボール箱派生品出荷量は、前年同月比1.0%増加の355686トン3ヶ月連続で増加、また7月としては過去最高を更新している。

今年7月の段ボール箱派生品生産指数(IBPO)は、ブラジル国内のサービス業部門や製造業部門の需要が牽引して前年同月比1.0%微増の158.4ポイントを記録している。

今年7月の1日当たりの段ボール箱派生品の平均出荷量は前年同月比4.9%増加の13,680トン、今年7の営業日数は昨年同月よりも短かった。  

今年7月の段ボール箱派生品の生産指数(IBPO)5か月連続で増加を記録、20213月以降では最高の156.4ポイントを記録している。

今年1月から海上輸送運賃は60%下落(2022年9月5日付けヴァロール紙)

現在の中国からの米国西海岸への40フィートコンテナ船の海上輸送フレートは5400ドルと大幅に減少しており、今年1月と比較して60%減少とBaltic Indexで判明している。

また現在のアジアからヨーロッパ向け海上輸送フレートは9000ドルと今年1月よりも42%と半額近い減少を記録してCOVID-19パンデミック以前の水準を依然として上回っているが、ピーク時の昨年9月に記録した2万ドルを大幅に下回っている。

海上輸送フレート代は、COVID-19パンデミック発生の2020年3月から上昇に転じ、世界的な半導体供給問題、港湾の混雑、コンテナ船不足などの要因で、2021年には海上輸送フレートは約10倍の高騰を記録していた。

世界的な小売大手 Walmart社は、世界的な船舶調達が窮地に陥っていたために、昨年は自社のコンテナ船調達で世界中の物資調達を余儀なくされていた経緯があった。

Walmart社やその他の大手小売チェーン網は、通常よりも早めに輸入製品を調達したしわ寄せとして、在庫が増加、衣料小売販売の Gap社、玩具メーカー Hasbro社は、北半球が春の時期に先行して輸入をしたために通常よりも多い在庫を抱えている。

今後2年間に新規建造されたコンテナ船が市場に投入されるために、2023年及び2024年にかけてコンテナ船は9.0%増加が予想、また2024年のコンテナ船の荷動きは2.0%増加に留まると予想されている。

海運大手10社は、COVID-19パンデミックの影響で過去 2 年間で莫大な利益を上げており、Moeller-Maersk社の最終四半期の純益は85 億 9,000 万ドルで、通常の通年業績を上回ったが、多くの海運会社は、今年下半期には海運市況が弱体化すると警告している。

投資銀行はIPOは2023年から徐々に再開予想(2022年9月5日付けヴァロール紙)

ブラジルのインフレ指数や金利の上昇、更に2月末からのロシアによるウクライナ侵攻などの影響を受けて、過去1年以上に亘って新規株式公開(IP0)は低迷しているが、投資銀行ではどの大統領候補が当選しても今年11月からIPOに関する動きが出始めると予想している。

更に米国をはじめとした先進諸国のリセッション入りの可能性や中国のロックダウンなど投資の障害となるリスクがあるものの、2023年からIPOやフォローアップによる投資案件は35件に達する可能性を投資銀行では予測している。

投資銀行関係者は、2023年以降の新規株式公開案件はインフラ整備関連やコモディティ商品関連が、今迄大半を占めていたテクノロジー関連IPOを上回ると予想している。

上下水道事業を手掛ける BRK Ambiental社は、今年初めに新規株式公開を予定していたが、国内外の情勢悪化で中止を余儀なくされたが、来年のIPOを検討していると予想されている。また Vinci e Pátria社が株式を所有している CBO社も来年のIPOが見込まれている。

最近のインフレの下落傾向や2.0%に達するGDP伸び率などマクロ経済指標が大幅に改善してきており、新興国の中でのブラジルへの投資再開が注目されていると投資銀行XP社の金融投資部門担当の Vitor Saraiva氏は指摘している。

2023年のIPO及びフォローオンは25社~35社、調達資金総額は600億レアル~800億レアルに達する可能性をItaú BBA社投資担当の Roderick Greenlees取締役は指摘している。

2021年のIPO及びフォローオン件数は76件で調達資金総額は1,300億レアル、2020年のIPO及びフォローオン件数は51件で調達資金総額は1,170億レアルを記録している。

最終フォーカスレポートは今年のGDP伸び率を2.26%に上方修正(2022年9月5日付けUOLサイトより抜粋)

5日の中銀の最終フォーカスレポートによると、今年第2四半期のGDP伸び率を予想を上回る1.2%増加を記録、金融市場関係者は、今年のGDP伸び率を10週連続となる前回予想の2.10%から2.26%に上方修正している。1か月前の予想は1.98%であった。

また今年のGDP伸び率の上方修正に伴って、2023年のGDP伸び率は、前回予想の0.37%から0.47%に上方修正、1か月前の来年のGDP伸び率は0.40%であった。

また中銀の最終フォーカスレポートでは、2024年のGDP伸び率を1.80%増加予想、1か月前の予想は1.70%、2025年のGDP伸び率を2.00%、1か月前の予想も2.00%であった。

今年末のブラジルの公的債務残高は、GDP比59.00%と前回予想同様に据え置かれたが、1か月前の予想はGDP比59.15%であった。また今年のブラジルの財政プライマリー収支は、GDO比0.30%の黒字予想の一方で、インフレ指数を考慮しない名目負債残高は、前回予想のGDP比6.80%からGDP比6.75%に下方修正、1か月前の予想はGDP比6.80%であった。

2023年末の公的純債務残高は、前回予想のGDP比63.50%から63.30%と若干下方修正、1か月前の予想はGDP比63.70%であった。今年の貿易収支は、前回予想の680億6,000万ドルから680億3,000万ドルと若干下方修正、1か月前の予想はであった。2023年の貿易収支は、前回同様600億ドルに据え置いている。

2022年のブラジルの経常収支赤字は、前回予想の185億ドルから191億ドルに下方修正、1か月前の予想はから180億ドルの赤字であった。2023年の経常収支赤字は300億ドルが見込まれている。

今年の海外投資家によるブラジルへの対内直接投資総額は、前回予想の580億ドルから600億ドルに上方修正、1か月前の予想は572億ドルであった。また2023年の対内直接投資総額は、前回予想の655億ドルから660億ドルに上方修正、1か月前の予想は610億ドルであった。

7月の鉱工業部門生産量は0.6%増加(2022年9月2日付けヴァロール紙)

ブラジル地理統計院(IBGE)の鉱工業部門生産調査(PIM-PF)によると、2022年7月の鉱工業部門生産量は、前月比0.6%増加した一方で、今年6月の鉱工業部門生産は前月比マイナス0.3%であった。

今年初め7か月間の鉱工業部門の累積生産量は前年同期比マイナス2.0%、Covid‐19パンデミック前の2020年2月の水準を依然として0.8%下回っており、また2011年5月に記録した過去最高の水準よりも17.3%下回っている。7月の過去12カ月間の累積生産量はマイナス3.0%であった。

7月の鉱工業部門の部門及びセクター別生産量調査では、4部門のうち2部門、26セクターのうち16セクターで前月をそれぞれ下回っている。

また今年初め7か月間の鉱工業部門の部門及びセクター別生産量調査では、4部門のうち4部門、26セクターの内19セクターで前年同期比割れが発生している。

7月の鉱工業部門生産量が前月比0.6%増加した要因として、従業員が理由なき解雇のときなどに引き出せる積立金であるFGTS(勤続年数保証基金)からの特別引出許可政策、年金・恩給受給者向け13か月目のサラリーの前払い及びクレジット活性化政策の導入が牽引している。

一方で鉱工業部門生産量を伸び率を阻害している要因として、高止まりしているインフレや金利、半導体などの部品供給不足問題や輸送コスト上昇が依然として悪栄養を及ぼしている。

 

今年8月のブラジルの貿易収支は、48%減少の41億6,000万ドルの黒字(2022年9月2日付けヴァロール紙)

経済省通商局(Secex)の発表によると、2022年8月のブラジルの貿易収支は、41億6,400万ドルの黒字を計上したが、前年同月比ではマイナス48.0%と大幅な落ち込みを記録している。

今年初め8か月間のブラジルの累積貿易収支は、前年同期比マイナス15.8%の440億5,400万ドルに留まっており、二桁台の貿易収支の黒字減少を記録している。

今年8月のブラジルの輸出総額は、前年同月比8.4%増加の308億3,900万ドル、輸入総額は30.5%と大幅増加の266億7,500万ドルを記録、輸入増加率が輸出増加率を大幅に上回ったために貿易収支の黒字幅の減少につながっている。

今年初め8か月間の累計輸出総額は、前年同期比18.4%増加の2,250億9,000万ドル、累計輸入総額は31.5%増加の1,810億3,600万ドル、貿易総額は23.9%増加の4,061億2,700万ドルを記録している。

今年8月の農畜産部門の輸出は38.39%増加、鉱業部門はマイナス30.23%、製造業部門は24.79%と二桁台の増加を記録している。一方農畜産部門の輸入は30.03%増加、鉱業部門は45.39%増加、製造業部門は29.92%増加している。

今年8月の主な輸出先である中国、香港、マカオ向け輸出は、前年同月比マイナス17.54%、アジア向けはマイナス10.13%、北米は23.86%増加、南米は35.51%増加、ヨーロッパ向け輸出は7.71%増加している。

また今年初め8か月間の中国向け輸出は、マイナス3.31%の一方でアジア向けは3.67%増加、北米25.38%、南米38.96%、ヨーロッパ向けは28.26%増加。今年のブラジルの輸出総額は3,494億ドル、輸入総額は2,680億ドル、貿易総額は6,174億ドル、貿易収支は815億ドルの黒字を経済省通商局(Secex)では予想している。

 

今年第2四半期のGDP伸び率は1.2%増加(2022年9月1日のIBGEサイトより抜粋)

ブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、2022年第2四半期の国内総生産(GDP)伸び率は、1.2%増加の2兆4040億レアルと昨年第3四半期から4回連続で増加を記録している。

2020年2月末開始の世界的なCovid‐19パンデミックの影響を受けて、2020年第1四半期はマイナス2.4%、第2四半期はマイナス9.0%と大幅に落ち込んだが、第3四半期は8.0%と大幅に増加、第4四半期は3.2%増加、2021年第1四半期は1.1%増加、第2四半期はマイナス0.3%を記録したが、ワクチン接種が拡大してきた第3四半期は0.1%増加に転じ、第4四半期は0.8%増加、今年第1四半期は1.1%増加に続いて、第2四半期は1.2%増加を記録している。

今年上半期のGDP伸び率は2.5%増加を記録して、Covid‐19パンデミック前の2019年第4四半期のGDPの水準を3.0%上回っているが、2014年第1四半期のGDPの水準に接近してきている。

今年第2四半期の国内総生産(GDP)伸び率1.2%増加を牽引しているのは、国内経済の70%のウエートを占めるサービス部門のGDP伸び率が1.3%増加を記録、サービス部門の中でも特に人材派遣などのその他のサービスセクターのGDP伸び率は3.3%、輸送セクターは3.0%、情報通信セクターは2.9%それぞれ大幅な増加を記録していた。

また今年第2四半期の鉱工業部門のGDP伸び率は2.2%増加を記録、特に鉱工業部門のGDP伸び率を牽引したのは、電力・都市ガス・上下水道・汚水処理セクターは3.1%、建設業セクターは2.7%、鉱業セクターは2.2%、製造業セクターは1.7%それぞれ増加を記録してる。

昨年第2四半期から第4四半期まで3四半期連続でGDP伸び率はマイナスを記録していたが、今年第1四半期は0.6%増加と2四半期連続で増加を記録している。Covid‐19パンデミックの最も悪影響を受けていた2020年第2四半期はマイナス12.2%を記録したが、2020年第3四半期は14.7%増加と過去最高の伸び率を記録していた経緯があった。

今年第2四半期の農畜産部門のGDP伸び率は、第1四半期のマイナス0.9%から一転して0.5%増加を記録、今年の大豆生産は前年比マイナス12.0%が見込まれている一方で、今年のコーヒー豆生産は前年比8.6%増加が予想されている。

また今年第2四半期の一般家庭の消費は、一般家庭向けサービス部門のGDP伸び率の回復に伴って2.6%増加を記録、2020年第4四半期の3.1%増加以降では最高の伸び率を記録、政府支出部門のGDP伸び率は、マイナス0.9%と第1四半期のマイナス0.1%に続いてマイナスを記録している。

今年第1四半期の住宅投資、設備投資や公共投資などの国内総固定資本形成(FBCF)部門のGDP伸び率はマイナス3.0%であったが、第2四半期のGDP伸び率は4.8%増加、前記同様に輸出は5.7%増加、マイナス2.5%、輸入はマイナス4.0%、7.6%増加を記録している。

今年上半期のブラジルのGDP伸び率は2.5%増加、そのうち鉱工業部門のGDP伸び率は0.2%増加、サービス部門4.1%増加した一方で、農畜産部門のGP伸び率はマイナス5.4%と大幅な落ち込みを記録している。

 

7月の輸入化学製品量は5.1%増加(2022年9月1日のヴァロール紙)

ブラジル化学工業協会(Abiquim)の発表によると、2022年7月のブラジルの化学部門の輸入量は、前年同月比5.1%増加した一方で、ブラジル製化学製品の製造業部門の消費は0.4%増加を記録している。

今年7月の付加価値の高い化学製品生産は2.98%増加、国内販売は0.99%増加、7月の設備稼働率は前月比2.0%増加の68%を記録、化学製品輸入は前月比8.4%増加している。

国内市場の化学製品の平均価格は0.26%増加、6月は0.04%増加、今年初め7か月間の国内市場の化学製品価格はマイナス1.4%した一方で、国内生産は0.05%増加、国内販売は1.03%増加、ブラジル製化学製品の輸出量はマイナス4.8%を記録している。

今年初め7カ月間の輸入化学製品の国内マーケットシェアは、42.0%と昨年同期の45%から3.0%減少して、ブラジル製化学製品のマーケットシェアが拡大しているとブラジル化学工業協会(Abiquim)では説明している。

今年第2四半期のブラジルのGDP伸び率が予想を上回ったことは、ブラジルの化学部門のGDP伸び率の上方修正につながるとブラジル化学工業協会(Abiquim)経済戦略担当のFátima Giovanna Coviello Ferreira理事は指摘している。

 

2021年の中国企業のブラジルへの投資はCOVID-19パンデミック前の水準に戻る(2022年8月31日付けヴァロール紙)

31日のブラジル中国企業評議会(CEBC)発表によると、2021年の中国企業のブラジルへの投資は、2020年の19億ドルを208%増加の59億ドルに達し、COVID-19パンデミック前の水準に戻っており、2017年以降では最高の投資金額を記録している。

2021年の中国企業のブラジル投資は、28プロジェクトと2017年と同じプロジェクト数に回復、COVID-19パンデミック前の2019年の56億ドルを僅かに上回っており、投資回帰の回復傾向を示している。

中国グローバル投資トラッカー“China Global Investment Tracker”レポートによると、2021年の中国企業によるブラジルへの投資は、世界全体の13.6%に相当、2021年の中国企業の世界全体の投資は前年比僅か3.6%増加に留まっていた。

2021年の中国企業による2大プロジェクトは、石油・天然ガス開発事業であり、ペトロブラス石油公社と中国国営石油・ガス探査開発会社 (CNODC)と中国海洋石油総公司(CNOOC)のサントス海盆及びBúzios油田の共同開発となっている。

しかし昨年の中国企業による大型プロジェクトでは、電力エネルギー関連プロジェクトが13件と全体のプロジェクトの46%を占めている。

また昨年の中億企業による情報通信関連プロジェクトでは10件を数え、encent社, Ant Financial社並びにMSA Capital社となっているが、2007年から2020年迄の情報通信関連プロジェクトは12件であった。