7月のブラジルの財政プライマリー収支は204億4,000万レアルの黒字計上(2022年8月31日付けヴァロール紙)

2022年7月の中銀、国庫庁並びに社会保障院(INSS)で構成される中央政府及び州政府並びに市町村を合わせたブラジルの財政プライマリー収支は、204億4,000万レアルの黒字を計上したが、昨年7月はCOVID-19パンデミック対応の大幅な財政支出を余儀なくされていたために、102億8,300万レアルの赤字を計上していた。

今年7月の中央政府及び地方政府の財政プライマリー収支には、ブラジル銀行、連邦貯蓄金庫などの連邦銀行、ペトロブラス石油公社やブラジル中央電力公社(Eletrobras)などの連邦公社は含まれていない。

今年7月の中央政府の財政プライマリー収支は200億レアルの黒字を計上、地方政府の財政プライマリー収支は、17億6,000万レアルの黒字を計上していた一方で、公社の財政プライマリー収支は12億8,000万レアルの赤字を計上している。

今年7月の過去12か月間の累計財政プライマリー収支は、GDP比2.48%に相当する2,305億5,400万レアルの黒字を計上、今年6月の過去12か月間の累計財政プライマリー収支はGDP比2.17%を約0.3%上回っている。

今年初め7か月間の累積財政プライマリー収支は、1,503億3,500万レアルの黒字を計上したが、昨年同期は154億9,100万レアルの赤字を計上していた。

今年7月の利払いを含むブラジル政府の名目財政プライマリー収支は、224億9,800万レアルの赤字を計上したが、昨年7月の名目財政プライマリー収支の554億300万レアルの赤字の半分以下に留まっている。

今年7月の過去12か月間の累積名目財政プライマリー収支は、GDP比3.83%に相当する3,558億6,900万レアルの赤字を計上、利払いはGDP比6.31%に相当する5,864億2,300万レアル、前記同様に6月の赤字はGDP比4.23%、GDP比6.40%であった。

今年7月のブラジルの負債総額はGDP比77.6%に相当する7兆1,750億レアル、6月はGDP比78.0%に相当する7兆2,170億レアルであった。

 

5月から7月の月間平均失業率は9.1%と大幅に減少(2022年8月31日付けヴァロール紙)

今月31日発表のブラジル地理統計院(IBGE)の全国家庭サンプル調査(Pnad)によると、 20225月から7月の四半期の月間平均失業率は9.1%の大幅に減少してきている。

今年5月から7月の四半期の月間平均失業率9.1%は2月から4月の前四半期の10.5%よりの1.4%減少、前年同四半期の13.7%よりも4.6%も減少している。

今年4月から6月の四半期の平均月間失業率は、9.3%と既に20155月から7月の四半期の平均月間失業率8.7%以降では最低の失業率を記録していたが、今年5月から7月の四半期の月間平均失業率は更に0.2%減少している。

Valor社が27社のコンサルタント会社や金融機関の聞き取り調査によると、5月から7月の四半期の平均月間失業率の最低予想は8.8%、最高予想は9.2%、平均予想は9.0%であった。

5月から7月の四半期の14歳以上の就職活動をしている平均月間失業者数は、990万人と前四半期よりも12.9%に相当する150万人の失業者の減少を記録、前年同期比では31.4%に相当する450万人減少しており、201511月から20161月の月間平均失業率以降では最低の失業率を記録している。

5月から7月の四半期の労働者、経営者及び公務員などを含む雇用者総数は、前四半期比2.2%に相当する220万人以上増加の9,870万人を記録前年同期比では8.8%に相当する800万人増加を記録している。

また5月から7月の四半期の14歳以上の労働人口は前四半期並みの6,470万人、前年同期は2.8%に相当する190万人減少していた。

5月から7月の四半期の平均月収は、前年同期比2.9%に相当する80レアル減少の2,693レアルに留まったが、前四半期比では2.9%に相当する75レアル増加している。

デフレ及びブラジル救済(Auxílio Brasil)プログラムによる給付金支払い開始で小売業の景況感改善(2022年8月30日付けヴァロール紙)

ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)ブラジル経済研究所(Ibre)の発表によると、2022年8月の小売業界の企業経営者の景況感指数は、今後数か月間のインフレ指数の減少及び 前政権の家族手当(ボルサ・ファミリア)プログラムに替わるブラジル救済(Auxílio Brasil)プログラムによる給付金支払い開始の影響で、小売業部門景況感指数(Icom) は1年前の水準に戻っている。

今年8月の小売業部門景況感指数(Icom) は、前月比4.3ポイント上昇の99.4ポイントと景気判断の分岐点となる100ポイントに接近して大幅に改善しており、2021年8月に記録した100.9ポイント以降では、最高の小売業部門景況感指数(Icom) となっている。

小売業部門景況感指数(Icom) の大幅な上昇は先行きへの期待感の上昇に起因しており、現在の状況における特定の改善ではなかったため、小売業部門景況感指数(Icom) が上昇し続けると確信を持って言うことは出来ないと エコノミストのRodolpho Tobler氏は説明している。

8月の小売業部門の現状景況感指数(ISA)は 、前月比マイナス1.4ポイント減少の104.2ポイントと悪化した一方で、先行き景況感指数(IE)は9.7ポイント上昇の94.5ポイントを記録している。

8月はインフレから一転してデフレに転じたために、小売販売業の企業経営者は今後のデフレサイクル突入及び600レアルのブラジル救済(Auxílio Brasil)プログラムによる給付金支払い開始で、一般消費者が小売販売市場に戻ってくると楽観視している。また自営業のトラック運転手向けの月額1000レアルの給付金支払い開始も追い風になると見込んでいる。

8月のインフレ指数IGP-Mはマイナス0.7%と予想を上回るデフレを記録(2022年8月30日付けヴァロール紙)

ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)のインフレ調査によると、2022年8月の住宅賃貸料調整基準となるインフレ指数の総合市場物価指数(IGP-M)は、7月の0.21%上昇から一転してマイナス0.7%のデフレを記録している。

今年初め8か月間の累積総合市場物価指数(IGP-M)は7.63%、8月の過去12か月間の累積8.59%を記録、昨年8月は0.66%増加、また昨年8月の過去12か月間の累積31.12%を記録していた経緯があった。

Valor Data社の26金融機関対象の調査によると、今年8月の総合市場物価指数(IGP-M)の最低予想はマイナス0.81%、最高予想はマイナス0.40%、平均予想はマイナス0.54%であった。

今年8月の総合市場物価指数(IGP-M)がマイナス0.7%を記録した要因として、ペトロブラス石油製油所の石油派生品の卸売価格の値下げ及び商品サービス流通税(ICMS)の減税が牽引している。

特にガソリン価格は7月の4.47%増加から一転してマイナス8.23%、前記同様にディーゼル燃料価格は12.68%からマイナス2.97%、航空券はマイナス5,20% からマイナス17,32%、エタノールはマイナス9,41% からマイナス9,90%とそれぞれ大幅な値下げりを記録していた。

8月の総合市場物価指数(IGP-M)の60%のウエートを占める広範囲生産物価指数(IPA-M)は、マイナス0.71%と7月の0.21%増加から一転して減少を記録、特に最終仕上げグループは7月の0.69%増加から一転してマイナス0.73%を記録している。

また8月の中間財グループは、7月の2.00%増加からマイナス0.76%を記録、特に燃料・潤滑油の生産物価指数は7月の9.96%からマイナス1.55%を記録していた。

8月の総合市場物価指数(IGP-M)の30%のウエートを占める広範囲消費者物価指数(IPC-M)は、7月のマイナス0.28%からマイナス1.18%と大幅に減少、特に輸送グループはマイナス2.42%からマイナス4.84%、ガソリンはマイナス7.26%からマイナス15.14%を記録している。

教育・読書・レクリエーショングループはマイナス0.86%からマイナス3.07%、食品グループは1.47%から0.44%、通信グループはマイナス0.16%からマイナス0.83%、衣類グループは0.73%から0.20%、住居グループはマイナス0.30%からマイナス0.31%であった。

6月の天然ガス消費は前年同月比30%減少(2022年8月30日付けヴァロール紙)

ブラジル都市ガス配給業者協会(Abegas)の調査によると、2022年6月の1日当りのブラジル国内の天然ガス消費は、5,830万4,000立法メートルに留まっている。

2021年6月のブラジル国内の1日当りの天然ガス消費は、旱魃による水力発電所の電力エネルギー発電を補うために火力発電所の稼働余儀なくされた影響で、今年6月の29.02%増加の8,214万7,000立法メートルを記録していた。

今年6月の火力発電所向けの天然ガス需要は、水力発電所の稼働に反比例するように1,277万8,000立法メートルに留まって、昨年同月の3,944万9,000立法メートルの3分の1以下の消費に留まっている。

今年6月の鉱工業部門の天然ガス消費は、前年同月比6.98%増加の3,250万2,000立法メートル、一般住宅向け消費は、6.44%増加の178万6,000立法メートル、商業部門向け天然ガスの消費は、8.43%増加の84万2,000立法メートルであった。

 

8月の製造業部門の企業経営者の景況感が上昇(2022年8月29日付けヴァロール紙)

ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)ブラジル経済研究所(Ibre)の発表によると、20228月の鉱工業部門の企業経営者の景況感判断指数(ICI)は、0.8ポイント上昇の100.3ポイントと分岐点の100ポイントを突破、今年6月~8月の四半期の月間平均景況感指数は0.2ポイント上昇している。

8月の鉱工業部門の企業経営者の景況感指数(ICI)が100ポイントを突破した要因として、世界的な自動車向け半導体の供給問題などを依然として存在するが、ブラジル国内の燃料価格や電力エネルギー価格の値下がりによるビジネス環境改善が牽引している。

また下半期には大統領選挙や政策誘導金利(Selic)の更なる利上げの可能性はあるものの、製造業部門の雇用も3ヶ月連続で改善していると FGV Ibreエコノミストの Stéfano Pacini氏は指摘している。

8月の製造業部門の19セクターのうち9セクターで企業経営者の景況感が改善しており、現状景況感指数(ISA)は、1.4ポイント上昇の102.8ポイント、今後数か月間の景況感見通し指数(IE) は、0.3ポイント上昇の97.9ポイントと分岐点の100ポイントに接近してきている。

また今年8月の製造業部門の在庫レベル指数は、2.9ポイント減少の96.7ポイントと適正在庫をやや下回っている。製造業部門のビジネスの現状に対する企業経営者の認識と需要レベルに対する企業の満足度を測る指標は、それぞれ 0.6 ポイントと 0.4 ポイント上昇し、101.7 ポイントと 103.2 ポイントを記録している。

今後3か月後の生産に対する予測指数は、3.0ポイント減少の92.1ポイントと20223月の90.3ポイント以降では最も悲観的な数字を記録している。

また今後3か月後の雇用予測指数は、0.7ポイント上昇の104.6ポイントと5ヶ月連続で増加を記録、202110月に記録した108.1ポイント以降では最高の雇用予測指数を記録している。今年8月の製造業部門の設備稼働率(Nuci)は、前月比0.1ポイント減少の82.2ポイントとなっている。

7月の正規雇用は21万8,902人(2022年8月29日付けヴァロール紙)

就労・失業者管理センター(Caged)の統計を基にした経済省の発表によると、2022年7月の労働手帳に記載される正規雇用総数は、予想を下回る21万8,902人に留まった。

Valor Data社の調査によると、今年7月の正規雇用の最低予想は21万5,000人、最高予想は27万5,000人、平均予想は25万人、7月の正規雇用総数21万8,902人は最低予想の21万5,000人を僅かに上回った。

今年7月の正規雇用総数は188万6,537人に対して、解雇総数は166万⒎635人、昨年7月の正規雇用総数30万6,477人を9万人近く下回っている。

今年初め7か月間の累計正規雇用総数は1,355万4,553人に対して、解雇総数は1,199万3,657人、昨年同期の正規雇用総数178万5,489人を20万人以上下回っている。

今年7月の新規の正規雇用のインフレ指数を差引いた実質平均サラリーは前月比0.8%増加の1,926.54レアルであった。

7月の国庫庁の歳入総額は2,025億8,800万レアル (2022年8月26日付けエスタード紙)

2022年7月の国庫庁のインフレ指数を差引いた実質歳入総額は、前年同月比7.47%増加の2,025億8,800万レアルに達し、7月の実質歳入総額としては統計を取り始めた1995年以降では記録を更新している。

今年初め7カ月間の累積歳入総額は、前年同期比10.44%と二桁台増加の1兆2,920億レアルに達し、7月の月間記録同様に過去最高を更新している。

今年初め7か月間のインフレ指数を差引かない名目歳入総額は、前年同期比23.0%増加、法人所得税(IRPJ)並びに純益に対する社会納付金(CSLL)による歳入は、前年同期比20.83%増加、キャピタルゲインに対する源泉徴収所得税(IRRF)は、金利の高止まり及び確定金利付きファンドの高収益が牽引して61.43%と大幅な増加を記録している。

サービス部門の収益増加と雇用市場改善、企業の純益増加が歳入増加につながっており、ブラジルの輸出産業を牽引する国際コモディティ商品価格の上昇は、ブラジルの貿易収支の改善に留まらず、国庫庁の歳入増加に結び付いているとInter銀行チーフエコノミストのRafaela Vitória氏は指摘している。

7月の国庫庁の歳入統計では、輸入税及び工業製品税の減税のインパクトが表れているが、8月の国庫庁の歳入には、燃料に対する減税で社会保障賦課金(Cofins)並びに社会統合基金(PIS)の歳入減少が表面化するとRafaela Vitória氏は説明している。

第2四半期の国内総生産(GDP)が前年同期比で3%増加し、前四半期比で0.9%増加すると予測。 第 3 四半期のGDP伸び率は、予想を下回る伸び率になる可能性をInter銀行では指摘している。

小売大手10社の今年上半期の負債返済遅延総額は78億レアル予想(2022年8月26日付けヴァロール紙)

高止まりするインフレや失業率で、一般消費者の実質収入が減少しているために、小売り大手10社では、今年上半期の負債返済遅延総額は、前年同期比22.0%増加の77億9,000万レアルに達すると予想している。

昨年上半期の不渡り総額は64億レアルを記録していた。今年初め6 か月の負債返済遅延総額は、2021 年の Leroy Merlin社並びにRiachuelo社の小売販売網の売上に匹敵する金額を計上している。

小売り大手10社の今年上半期のクレジット部門の負債返済遅延比率は、4.92%と昨年同期の4.0%から大幅に増加、昨年12月末のクレジット部門の負債返済遅延比率は3.9%であった。

金融エコノミストは、大手小売業者のクレジット部門は信用供与が厳しく管理されているために、企業の財務健全性に対するリスクはなく、1990 年末に発生した小売業の連鎖倒産のようなことはないと説明している。

小売り大手10社の今年上半期の前年同期比の貸倒引当金比率調査では、10社のうち7社が増加、Assai社は100%増加、C&A社97.4%、Renner社89.4%、Riachuelo社76.6%、Magazine Luiza社53.4%、Americanas社41.9%、Carrefour社37.8%とそれぞれ大幅な貸倒引当金の増加を余儀なくされた。

一方今年上半期の貸倒引当金を減少したのは、GPA社で17.5%、Grupo Mateus社15.0%、Via社は8.4%とそれぞれ昨年上半期よりも貸倒引当金を減少させている。

5月の経常収支は35億ドルの赤字計上(2022年8月26日付けヴァロール紙)

ブラジル中央銀行の発表によると、2022年5月のブラジルの経常収支は35億600万ドルの赤字を計上したが、昨年同月は25億100万ドルの黒字を計上していた。

今年5月の過去12カ月間の累積経常収支は、GDP比1.89%に相当する328億5,500万ドルの赤字を計上、今年4月の経常収支赤字のGDP比1.57%を0.3%以上上回っている。中銀の最終四半期インフレレポートによると、2022年度のブラジルの経常収支は40億ドルの黒字が見込まれている。

中銀の発表によると、今年5月の海外からの対内直接投資額は44億8,300万ドルの黒字を計上、昨年5月の22億3,300万ドルの黒字の2倍に相当する投資金額が流入している。

今年5月の過去12か月間の累計対内直接投資額は、GDP比3.45%に相当する600億2,100万ドルと4月のGDP比3.38%を若干上回っており、5月の過去12カ月間の累積経常赤字のGDP比1.89%を十二分にカバーできる直接投資金額を記録している。

5月の海外投資家の対内直接投資のうち金融関連投資は38億6,800万ドルであったが、確定金利付き市場から6億8400万ドルが逃避していた。ブラジルの株式市場から34億5,200万ドルの資金引上げがあった。また昨年5月の金融関連投資は48億9,900万ドルであった。

5月の外資系企業の利益・配当金送金は、42億900万ドルと昨年5月の20億3,200万ドルの2倍以上を記録、今年の利益・配当金の送金総額は330億ドルに達すると予想、中銀では今年の海外投資家によるブラジル国債の投資残高は70億ドルを見込んでいる。