南米南部(アルゼンチン・ウルグアイ)ビジネス環境視察ミッション参加報告

2019年5月
企画戦略委員会
運輸サービス部会

ブラジル日本商工会議所はジェトロと共同で4月23日から26日にかけてイノベーション分野とロジスティック分野をテーマにアルゼンチン、ウルグアイを訪問。日系企業30社36名が参加した。企業の大宗はブラジル日本商工会議所が参加を呼び掛けた在ブラジル日系企業。

今回のミッションを通じて参加者からはメルコスール域内での各国の利点把握や、人脈形成が図れ、更なるビジネス拡大の可能性が拡がったとのコメントあり。ブラジルから参加したKumonがウルグアイでの新規事業開始につき発表。訪問を機に具体的なビジネスに動くことを表明した参加者も出てきたほか、南米南部の物流拠点先としてのウルグアイの可能性を評価する声があった。ミッションアレンジの評価としては単独では訪問できない訪問先がアレンジされ非常に良く組織されたミッションとの評価が多かった。一方、全体の行程のなかで、少し自由時間があっても良いのではとの意見もあった。

なお、今回のミッションは2018年11月30日から12月1日にかけて開催されたG20サミットにあわせて安倍総理がアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイを訪問しており、そのフォローアップとしての位置づけも期待されていた。今年8月1-2日にはパラグアイミッション実施も予定している。今回のミッションの受け入れに当たっては福嶌大使および 眞銅大使を始めとする在亜、在ウルグアイ両大使館の全面的な協力により歓迎レセプション開催や要人等のアポイントが実現した。また亜投資庁およびウルグアイXXIをはじめとする各機関にも多大な協力をいただいており、重ねて感謝申し上げたい。

<アルゼンチン発先進ビジネス、中南米に展開>
アルゼンチン訪問ではマリアーノ・マイエル生産労働副大臣とファン・パブロ・トリポディ投資貿易促進庁総裁とも牛肉をはじめとする農牧産業に加えて知的財産をベースとしたデジタル貿易の成長が拡大するとの見方が示された。アルゼンチン・プライベートエクイティ、ベンチャー及びシードキャピタル協会(ARCAP)ブラボ会長はアルゼンチンのユニコーンは6社(ブラジル7社)となり景気後退で有望なスタートアップ企業が割安の状態になっている点を強調した。

視察では同国の先進事例で他国からも注目を集めているティグレ市による街中監視センターを訪問。続いてピックアップトラック生産で年14万台の生産能力を誇り、ブラジルほか中南米各国に輸出を行うアルゼンチン・トヨタ・サラテ工場を訪問した。サラテ工場は参加者の関心と訪問満足度が高く、今回のミッションの訪問先としては参加者からの質問が最も多く寄せられた。現調率や工場運営の実態などミッション参加者の業務と直接的に関連する内容も多かったこと、また、進出日系企業の取り組みということでミッション参加者の関心が強かったものと思われる。

翌日のイノベーション企業訪問では先進的なビジネスモデルが成功してユニコーン企業に成長した中南米最大の旅行会社に成長したオンライン旅行会社(OTA)であるDespegar.comや米ディズニーワールドや世界最大の産業オートメーション機器メーカーであるロックウエルをクライアントにソフトウエア開発を行うGlobant社を見学した。

Despegar.comのビジネスは世界最先端技術ではないが、最も高い教育水準や生活水準を背景に中南米域内ではアルゼンチンで先進ビジネスモデルが誕生し、その後ブラジルを含む中南米地域にビジネスが拡大した経緯が理解できた。Eコマース企業大手のMercadoLibreやティグレ市のセキュリティシステムもアルゼンチン発の先進モデルが他の中南米諸国に展開する事例と言えそうだ。一方、Globant社はアルゼンチンでのソフトウエア開発の優位性につき、インドやアジア諸国と比較してアルゼンチンの独創性、芸術性など文化的な要素が強みと語っている。この強みがユーザーにとって使って楽しいソフトウエアの開発に寄与している強調していた点が印象的だった。

<南米向け、国際市場を睨み進化続けるウルグアイフリーゾーン>
ウルグアイでは国をあげて我々ミッションの受け入れに対応。大統領こそ外遊中で対応できなかったが、同期間暫定大統領となったルシア・トポランスキー副大統領ほか、農牧水産大臣、経済財政省次官、外務次官(暫定外相)との面談が実現した。副大統領は高品質な牛肉を中心とする農業生産・輸出能力が拡大していることや養殖キャビアの開発を進めていることが紹介された。

ウルグアイのフリーゾーンは南米メルコスール域外から域内各国に物流供給基地として十分機能しているだけでなく、シェアサービスを加えた域内サービス拠点としての機能を高め、オフショアビジネスの利点を生かし世界各国へのサービス輸出拠点としても機能していることが分かった。

各フリィーゾーン入居企業は法人所得税、資産税、付加価値税など税金すべてが免除。ウルグアイ居住者駐在員の個人所得税を12%低減。これら税制優遇が政権交代に関係なく入居企業とのフリーゾーンの契約で長年保障されている点が特徴。ウルグアイでの製造活動では組合問題が進出日系企業からも指摘さているが、WTCへの質問の答えは「今後ないとは保障できないが現在のところ組合活動はみられない」との回答であった。

モンテビデオフリーポートとフリーゾーンは双方が保税状態で接続し、フリーゾーン内に設置された進出企業や受託倉庫サービス業者がメルコスール向けにオフショアビジネスを行っていた。それは物流供給のみならず、各国の事情に合わせたプラグ付け替えや外箱印刷箱詰めなどの簡易作業、さらにはフリィーゾーンへの進出企業が南米域内拠点向けに様々なサービスを行う拠点となっていた。世界からサービス企業が入居する高層ビル、ワールドトレードセンター(WTC)はサービス貿易専業のフリーゾーンとなっている。

各フリーゾーンもお互いに競争を続けながら用地拡張を続けてきている。ウルグアイの経済財政省次官のプレゼンや受託倉庫サービス業者のパンフレットは日本語を準備して非常に簡潔で分かり易いプレゼンを行った。さらに訪問先すべての代表から帰国後に丁寧なお礼状をいただき、ブラジルに出張する際にはいたブラジル日本商工会議所に必ず訪問したいと要望していた。彼らの対応はグローバルビジネスで経験を積んでいるのであろう。

<「信頼」と「安定」が同国の投資誘致キーワード>
ウルグアイ政府高官や各フリーゾーン関係者が口を揃えて最も強調していた言葉は「信頼」と「安定」であった。その言葉は今までの南米メルコスール市場の閉鎖性、不安定性を逆手にとって信頼をベースにグローバル市場とのゲートウエー機能の一翼を担い、かつ高品質な農業を育ててきた小国職ウルグアイならではの巧みな戦略を象徴する言葉に思えた。その首都モンテビオは落書きが殆どみられない美しい街並みだった。ブラジルから参加したミッションの一行は空のゲートウエーである「カラスコ国際空港」から帰国の途に着いた。

2009年に新装した同空港のデザインは「東京国際フォーラム」のデザインしたウルグアイ・モンテビデオ出身のラウルグアイ・モンテビデオ出身のファエル・ヴィニオリ氏によるもので南米唯一のフリーエアポートに指定されている。ターミナルビルの曲線が美しく、とても快適な空港であった。

南米南部(アルゼンチン・ウルグアイ)ビジネス環境視察ミッション概要

◆日程:2019年4月23日(火)~4月26日(金)
◆主催・共催
ジェトロ、ブラジル日本商工会議所、ウルグアイXXI(ウルグアイ投資輸出促進機関)
◆協力
在ウルグアイ日本国大使館、在アルゼンチン日本国大使館、アルゼンチン・投資貿易促進庁
◆参加者:30社36名
◆CSアンケート結果:上位二項目100%(最上位75.9%)
◆報道件数:42件
◆政府要人
面談:
①マリアーノ・マイエル生産労働副大臣(アルゼンチン)
②ファン・パブロ・トリポディ投資貿易促進庁総裁(アルゼンチン)
③パブロ・フェレーリ経済財政省次官(ウルグアイ)
④ルシア・トポランスキー副大統領(ウルグアイ)
⑤アリエル・ベルガミノ外務次官(ウルグアイ)
⑥エンソ・ベネッチ農牧水産大臣(ウルグアイ)

◆企業等訪問先

(1)アルゼンチン:
Tigre市街中監視センター(NECの技術を活用)、アルゼンチン・トヨタ・サラテ工場(ロジスティックとイノベーションを説明)、Despegar.com社(現地オンライン旅行大手企業)、Globant社(現地IT新興企業)、日本国大使公邸(ネットワーキングレセプション)
(2)ウルグアイ:
モンテビデオ港(フリーゾーン)、GENEXUS社(現地IT企業)、World Trade Center Montevideo(フリーゾーン)、Zonamerica(フリーゾーン)、Costa Oriental社(現地物流・倉庫企業)、Grupo RAS社(現地物流・倉庫企業)、Sabre社(米系IT企業)、Ricoh SADC社(日系企業)、日本国大使公邸(ネットワーキングレセプション)

 

1.アルゼンチン訪問先概要

(1)ビジネス環境セミナープログラム(2019/4/230 9:00~10:30於:亜投資貿易促進庁)
①マリアーノ・マイエル生産労働副大臣

アルゼンチンでは知的財産をベースとしたデジタル貿易が進んできており、昨年度ベースで
60億ドルの輸出額がありこれは牛肉の輸出の3倍規模に相当する。この分野は今後10年で伸びてくる分野であり、アルゼンチンの経済成長を牽引していく可能性が十分にあるとコメント。
②ファン・パブロ・トリポディ投資貿易促進庁総裁プレゼン(資料①参照)
アルゼンチンの経済成長は鈍化しており、2018年は新興国への投資が減少した影響を受けアルゼンチンも対内直接投資額が減少。また米中貿易摩擦や保護主義の台頭の影響でも経済成長にブレーキがかかった。今後は国際競争量を有する農牧業だけでなくデジタルエコノミーの輸出にも力をいれていく。
③アルゼンチン・プライベートエクイティ、ベンチャー及びシードキャピタル協会(ARCAP)ディエゴ・ゴンサレス・ブラボ会長プレゼン(資料②参照)
中南米のベンチャーキャピタル概況を説明。中南米のベンチャーキャピタル投資は2017年、2018年の過去2年で急増。2013-2017年の取引額の半分はブラジル。アルゼンチンはメキシコに次いで32位。2018年同取引額のブラジルシェアは7割弱。コロンビアが2位。2013-2017年の取引額の大半はIT企業向け投資でフィンテック、ロジスティック流通、輸送、アグリテックの順。ユニコーンはブラジル7社、アルゼンチン6社、メキシコ2社の順。会長はアルゼンチンが景気低迷で有望なスタートアップが割安な状態で存在している点を強調。
(2)ティグレ市街中監視センター(NECの顔認証技術を活用)
市内に1,800台のカメラを設置し300人体制で24時間監視、設置後盗難件数激減、殺人は0件に。ティグレ市は高所得者の住民が多く、市税を上乗せで徴収して市のセンターが街中監視システムや家庭への緊急連絡端末配布、警備団・車両を組織している。
(3)アルゼンチン・トヨタ・サラテ工場(ロジスティックとイノベーションを説明)
生産設備(14万台/年)やメルコスール市場でのロジ戦略(6割超の部品を現調)他、アプリを用いた現地ディーラー網での車両貸与事業について説明を受けた。
(4)Despegar.com社(オンライン旅行(OTA)大手、ユニコーン企業)(資料③参照)
アルゼンチンのユニコーン企業4社の一つで中南米最大のオンライン旅行会社に成長。オンラインで航空券、バス、レンタカー、エクスカーション業者への旅行プランの手配が可能。2015年からエクスペディアとの資本提携を行っているがDespegar.com中南米地域では優位性を維持している。中南米はまだOTAの市場浸透率が他地域より低く、今後の市場拡大に期待できる。現在20カ国で事業展開中だが、税制度が違うため各市場にどう適応するかが肝心とのこと。同社の創業は学生時に米国に旅行した際に航空チケット手配に苦労したのが契機で、仲間5名で創業したもの。
(5)Globant社(現地IT企業、ユニコーン企業)
ソフトウエア開発を手掛けるユニコーン2社目、14ヵ国32都市でサービス展開をしており14年NYSE上場、従業員1万人超を抱える。米ディズニーワールドのリストバンドと連動したファストパスのデジタル化の開発他1,000件以上のプロジェクトを同時並行でグローバルに行っている。

2.ウルグアイ訪問先
(1)ビジネス環境セミナープログラム(2019/4/25 09:00~10:30於:Hotel Hilton Garden Inn)
①パブロ・フェレーリ経済財政省次官(ウルグアイ)プレゼン(資料④)
「なぜウルグアイ?中南米への最良の入り口」をテーマに日本語スライドでウルグアイの強みを分かり易くプレゼンした。
次官はウルグアイが開放的かつ安定的で健全でマクロ経済を有しており外国投資家から信頼できる国であること。日本からも22社が進出。品質の安全性やデジタルタグ技術活用でトレーサビリティを確保した高品質な農業輸出国(最大5,000万人分の生産能力)、中南米随一のネットワーク環境を整えて年32億ドルを世界各国に輸出するサービス輸出国、人口350万人を上回る観光客が流入する観光立国、発電の98%を風力で賄うクリーン発電のリーダー。制度面の強みとして中南米で汚職腐敗指数が最も低く、為替自由化や資金還流非制限など国際ビジネス上の規制撤廃。事業所得税、付加価値税、資産税を免税するソフトウエア開発など投資インセンティブとフリーゾーンの存在。モンテビデオ・カラスコ国際空港は南米唯一のフリーエアポート、モンテビデオ国際高港は南米大西洋岸唯一のフリーポートであること、などのメリットを説明した。
②ウルグアイ日本商工会議所プレゼン(資料⑤⑥⑦参照)
ホルヘコスタ代表挨拶に引き続き、Guyer & Regules Law Firm代表共同経営者のハビエル・オテギ氏がウルグアイの外国投資家に対する法的枠組みとメリットを説明。Andersen Tax &Legal共同経営者のフアン・イグナシオ・トロコリ氏が「ウルグアイの法的枠組み」と題して,日ウ投資協定、労働法、社会保障制度、在留資格、知財・商標、フリ―ポート規則、一時輸入、ソフトウエア法人所得免税、ソフトウエアサービス法人所得免除、シェアサービスセンター法人所得税減免、外国投資保護法および同法人所得税・資産税・付加価値税減免などの各種制度概要を説明。Andersen Tax &Legal共同経営者のフェデリコ・フォルメント氏が「Doing Bussiness Urguay」と題してウルグアイビジネスの特徴は税制・税負担について紹介した。

(2)ルシア・トポランスキー副大統領表敬(2019/4/25 14:30~15:15於:ウルグアイ国会議事堂)
産業は農牧が強く、量より質を掲げ、牛肉のトレーサビリティは世界トップクラスを誇るが、遅れているのは漁業関係。海は陸の2倍あるが、漁業インフラが欠けており、政府としても課題を解決しきれていない状態。打開策の一手としてキャビア養殖の開発を進めている。日本からは国道
と環境の管理や建築技術を見習いたい。安藤忠雄氏は尊敬する建築家である。
(3)アリエル・ベルガミノ外務次官表敬(2019/4/25 16:00~16:45於:ウルグアイ外務省)
地理的にはウルグアイはメルコスール諸国に囲まれているが、檻の中に囲われているのではなく、世界に広がるプラットフォームとして活動を展開してきたい。
両国は1921年に外交関係両国間系樹立、1952年に関係復活以降、今日現在では色々な協力関係が築かれている。09年と16年のバスケス大統領の訪日が一つの例であり、昨年は安倍総理に来訪いただき、我々も3月に訪日し、牛肉輸入解禁、JETROとUruguay21のMOC締結、租税条約大筋合意などがあり、そして今回のミッション訪問がある。ウルグアイは100%完璧な国ではないが、南米の中でも安定した国であるという点を是非ご覧頂きたい。ミッション参加者を全面的にバックアップするので今後の成果を期待したい。
(4)エンソ・ベネッチ農牧水産大臣挨拶(2019/4/25 19:00~21:00於:ウルグアイ日本大使公邸レセプション)
日本は技術に優れて発展しており、我が国は農産物輸出が主要産業で食料生産力は人口
の10倍の3,000万人分を生産できる。牧畜以外にも乳製品や水産資源もある。日本とは相互補完的に協力して行く関係を築きたい。
(5)モンテビデオ港RASグループ(フリーポート物流倉庫企業)訪問 (資料⑧参照)
RASグループはベネズエラ南米各国、メキシコ、米国マイアミに45拠点を有しウルグアイをゲートウエーとしたロジスティックサービスを行っている。同グループはモンテビデオフリーポート港内倉庫とコンテナヤード、Zonamericaフリーゾーン内倉庫(含む仕向け地に応じた箱詰めほか簡易加工)、国際コンテナ輸送、国際エアカーゴ輸送、トラック輸送、鉄道輸送、河川国際輸送、工場・ロジスティックパークの各サービスを行っており、これらのサービスを有機的に組み合わせることでお客様の要望に応じた包括的なサービス提供できるのが強み。港内倉庫には欧米・中国・日本メーカーの製品が多く保管されていた。
(6)GENEXUS(アプリケーションの自動生成ツールメーカー) (資料⑨参照)
1980年代に創業。各企業が開発するアプリケーションの自動生成ツールを開発。いわゆるソフトウエアを開発するためのロボットに相当。同ツールはデータ項目や画面、業務ルールといった設計情報を入力すると、JavaやRubyなどのソースコードを自動的に生成し、これと同時に各種データベースソフトに対応したテーブル定義情報も自動的に作成する。他ツールに比較してもライフサイクルを考慮した非常に価値の高いシステム構築が可能な画期的なツール。同社はそのツールを販売・メンテナンスサービスを行うことで世界のクライアントから絶大な支持を得ている。米国、メキシコ、ブラジル、日本に支社を置き世界30カ所にクライアントを有する。
(7)ワールドトレードセンター(WTC)モンテビデオ(サービス企業入居フリーゾーン)
(資料https://www.wtcmontevideofreezone.com)
入居者を物流以外のサービス業に特化したフリーゾーンオフィスビル。フリーゾーン法に基づき入居企業との契約で搬入品にかかる輸入税、法人所得税、資産税、付加価値税などすべてのウルグアイ国内税免除がウルグアイ政権交代に関係なく保障される。ウルグアイ国内へのサービス提供が可能。外貨導入に中銀制限なし。配当送金も自由で制限がない。いわゆるオフショアビジネスが可能となる。ウルグアイ在住の駐在員の社会内保障負担免除と個人所得税は12%に減税。カラスコ国際空港への近接性と会社と自宅、他の企業にも30分以内で行ける、ショッピングセンターなど周辺アメニティを活かしたフリーゾーンオフィスビスとなっている。世界的な大手コンサルタント、アパレル、穀物、アグリビジネスなど各国企業がオフィスを構える。WTCは新ビル建設も計画。ミッション一行は同施設に入居するフランス系穀物企業現地法人Louis Dreyfusのオフィスも見学した。
(8)Zonamerica(フリーゾーン)
①Leandro Bonillaビジネス開発マネジャー・プレゼン (資料⑩参照)
Zonamerica内には350社25万平米相当のオフィス・倉庫が所在し約1万人が働いている。創業1992年でウルグアイでは最も老舗のフリーゾーン。フリーゾーン法に基づくメリットはWTCウルグアイと同様でオフショアビジネスが可能。
モノは輸入税等その他関税措置が無税で搬入でき無税減に保管が可能。入居企業は南米の物流ハブとして同施設内の倉庫を活用する企業以外に、特に2003年はナレリッジ経済にも注力、中南米域内サービスセンター(顧客サービス、サプライチェーン、調達、域内拠点の財務会計、域内拠点への支払いやITインフラ、ソフトウエア開発)としての活用が拡大。消費財や部品・原材料のほかIPO/BPO、金融、ITソフトウエア企業、さらにはバイオ関連企業も入居している。2014年米タイムズ誌で、米州で最も優れたフリーゾーンに選ばれた。ウルグアイ進出日本企業22社の半分がZonamericaを活用、域内の物流・流通拠点や域内サービスセンター拠点など)として活用している。
②Kinben Supply Chain Strategies LLCのダニエル・ジル社長(Zonamerica内に拠点を置くリコーラテンアメリカ元社長)プレゼン
ジル社長はウルグアイフリーゾーンにブラジルおよびペルー以南の南米地域に製品供給を行う効率的な物流ロジスティックを提唱。①日本やアジアの工場からマイアミ等の米国法人拠点経由せずに工場から直接ウルグアイフリーゾーンへ輸送することで輸送コストと輸送日数を半減、①フリーゾーンで保管梱包配送拠点として同在庫で対応により域内拠点の在庫削減、②ブラジルでの物流ルート見直し(サンタカタリナ州やエスピリットサント州の港湾と内陸港税関活用)、③ウルグアイでの地域本社を設置による業務集中管理と総務シェアサービス拠点化、などを通じて物流コストの効率化とコスト削減が可能だと説明した。
③Sabre(Zonamerica入居企業、米系IT企業)訪問
Sabreは航空券旅行システムの開発運営する企業で世界シェアの2~3割を保持。航空会社や旅行代理店が同端末を利用する基盤システムで中南米最大のオンライン旅行会社であるアルゼンチンのDespegar.comもユーザー。
④    Costa Oriental(Zonamerica入居企業、現地物流・倉庫企業)https://www.costaoriental.com
Costa Orientalはメルコスール向けの物流倉庫管理・加工受託企業。もともと地場企業だがベルギーのKATHOEN NATIEが株主に。多国籍企業からの受託で商品の保管や域内各国のニーズに応じた外箱やプラグの変更などの加工を行っている。日本企業との顧客獲得にも積極的であり日本語パンフレットを用いてプレゼン。同社のサービスを利用している日本企業は8~9社に上る。取扱商品は電化製品等の通常の消費財に加えてクリーンルームによる化粧品や医薬品の保管加工、部品・スペアパーツ、原材料にも取り組んでいる。
⑤    Grupo Ras(Zonamerica入居企業、現地物流・倉庫企業)
ウルグアイをゲートウエーに国際物流・倉庫を展開するRasグループのZonamerica入居倉庫。コンピューター周辺機器の保管やCosta Orientalと同様の箱詰めやプラグ付け替え、ブラブラジルからの牛皮革を調達して絨毯を加工する製造工程を見学(フリーゾーン内の製品ではあるが、同製品はメルコスール例外規定としてウルグアイ原産が容認。欧州に輸出)
⑥    リコー(Zonamerica入居企業、情報処理・事務機器メーカー)
Rasグループ施設内に隣接。RICOHの中南米域内ディストリビューションセンター。域内の物流・流通や関連サービスはすべてこのセンターで集中管理している。

(報告執筆:ブラジル日本商工会議所企画戦略委員長 大久保敦)

【プレゼン資料】

資料①2019.04.23_Argentina_Seminar_AAICI

資料②2019.04.23_Argentina_Seminar_ARCAP

資料③2019.04.24_Argentina_DESPEGAR.COM

資料④2019.04.25_Uruguay_Seminar

資料⑤2019.04.25_Uruguay_Seminar_Guyer

資料⑥2019.04.25_Uruguay_Seminar_AndersenTax

資料⑦URUGUAY DOING BUSINESS 2019

資料⑧2019.04.25_Uruguay_Grupo RAS

資料⑨2019.04.25_Uruguay_ GeneXus

資料⑩2019.04.26_Uruguay_Zonamerica

 

 

 

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