2010年下期の業種別部会長シンポジウム

  • 司会 近藤正樹総務委員長

    定刻となりましたので2010年第二回業種別部会長シンポジウムを始めさせていただきます。本日はお忙しい中多数ご参集いただきありがとうございます。今回は静岡県の磐田信用金庫様の経済ミッションご一行様、15名の方にもご参加いただくことになっております。

    ちょっとご到着が遅れているようでございますけれども。  今回も全て日本語で行ないますが、日本語―ポルトガル語の同時通訳のサービスがございますので、ぜひご利用ください。また携帯電話のご使用はご遠慮いただきたく、よろしくお願いいたします。

    それでは各部会の発表に先立ちまして、商工会議所中山会頭よりご挨拶をいただきたいと思います。中山会頭よろしくお願いいたします。

  • 開催挨拶 中山立夫会頭

     こんにちは。本日は当会議所恒例の業種別部会長シンポジウムに多数ご出席いただき誠にありがとうございます。大部サンパウロ総領事殿にはご多用の中ご臨席を賜り、御礼かたがた、終了後に講評をいただきたく、何卒よろしくお願いいたします。また、佐久間ブラジル日本大使館書記官殿には、終了後のコメントをよろしくお願いいたします。

    当会議所は1940年5月29日に創設され、今年は70周年の節目に当たる年ですが、このシンポジウムは1976年に業種別部会長懇談会という名称で開始してから34年が経ちました。現在11の部会があり、各々の部会はシンポジウムに向け事前に懇談会を開催し、ブラジルのマクロ経済をはじめ各業種、業界を回顧、今後の動向の検討を行い、2月と8月の年2回開催しておりますが、回を重ねるたびに進化しており、大変喜ばしく思っております。

    後ほど専門的な立場から、コンサルタント部会や金融部会から発表がなされると思いますが、ブラジル経済はリーマンショックにも耐え、V字回復を遂げており、むしろ中央銀行はやや過熱気味の景気を懸念し、政策誘導金利を引き上げつつあります。

    好調な国内経済、深海油田の開発推進、2014年のワールドカップ、そして16年のリオ・オリンピックに向けた莫大な投資需要および景気拡大、これらに伴うグローバル企業の進出が一層活発化し、競争激化が予想されますが、各企業の皆様におかれましては本シンポジウムの各部会の発表、質疑応答を踏まえ、自社の経営戦略の立案、見直しをされる上でお役に立つことができれば幸いに存じます。

    最後にこのシンポジウム開催の担当であります総務委員会、業種別部会、および事務局の皆さんのご尽力と、会員各位のご協力に対して心から御礼を申し上げ、挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

    司会
    中山会頭ありがとうございました。それではこれから部会の発表に移ります。ただいま中山会頭のお話にもありましたが、合計で11の部会がございます。今回の共通テーマ「2010年上期の回顧と下期の展望」ということです。ただいまお話ありましたように、ブラジルは世界の注目度が高くなっております。チャンスはありますが、競争も激しくなっております。

    まさにグローバルの市場がブラジルの中にあると言ってもよろしいかと思います。最近では韓国、そして中国のすさまじい勢いが見られます。業界により濃淡はあると思いますが、本日は競合の状態も含めですね、情報交換、状況把握していただければと存じます。

    各部会の発表時間は、質疑応答も含め約15分を予定しております。パワーポイントの画面に残り時間が表示されますので、発表者の方は時間管理方よろしくお願いいたします。それではご案内のアジェンダに従いまして進めさせていただきます。まずは自動車部会、長谷部部会長によろしくお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

  • 自動車部会 長谷部省三部会長

    自動車部会

    ただいまご紹介に預かりました、自動車部会の部会長をしております長谷部でございます。毎年あるいは毎回この会議に出席されておられる方は、部会の発表順位という点で言えばなぜ自動車部会が一番最初かということになるかと思います。

    実は機械部会の西岡さんはいつも大きな声で発表された後、私の、こうロジカルで非常に洗練されたプレゼンテーションがうまくいきませんので、今回は最初にやらせていただくことにさせていただきます、というのは嘘でございまして、日本からの来客がございますので、最初にプレゼンテーションをさせていただきます。

    共通のタイトルであります、まずは2010年の上期のレビューと下期の展望ということで、それぞれ四輪、二輪、部品業界についてお話をさせていただきたいと存じます。

    まずは四輪についてでございます。ここに挙げているグラフが1月から6月までの自動車の総市場の推移でございます。棒グラフがボリュームを示しておりまして、折れ線グラフの橙色が商用車、それとこのブルーの色の折れ線グラフが乗用車の前年比を表しております。

    直接の比較でこれを批評、議論するのはいかがかと思いますが、まずは3月にピークが来ているということが、皆さんご存知の通りIPIの減税措置というのが乗用車については3月までであったと。

    商用車についてはいまだ引き続きIPIの恩典が残っているということで、前年比から見ますと商用車の方は前年を上回り、乗用車については3月以降前年を下回るという状況になっております。半年間で見ますと、去年が145万台、今年が158万台ということで、約9%前年から伸びておるという状況でございます。

    今申しましたIPIについて、今の状況について申し上げます。引き続きIPIの減税恩典をもっておるのがブルーで示している下の軽乗用車あるいはバス、トラックと。この2車種といいますか、2モデルについては現在のところもIPIの減税が続いていると。一応政府の今の決定では今年の12月までこのIPIが続くと。ほかのモデルについては減税措置が打ち切られた時点が若干違いますが、元のIPIの税金に戻っているということでございます。

    6月までの半期で9%前年よりも増というお話を申し上げましたが、年間で見た場合にはどうなるかというのがここに示しているグラフでございます。今のANFAVEA、自動車工業会の予測では、去年の314万台を上回る340万台という市場、販売の市場予想でございます。

    ただし、当社を含む日本メーカーの見方としましては、7-12月をもし去年と同じ台数、先ほど申し上げました通りIPIの減税が段々延長されて去年については9月-12月でピークを迎えたわけなんですけど、それと同じボリュームを売った場合は330万台という数字が出てまいりますので、若干自動車工業会の見方は上に見ているんではなかろうかというふうな見方をしております。

    下のほうに小さく赤のグラフで示しておりますのが輸入車の台数でございます。見ての通り段々2004年から増えてきているという状況でございます。後ほどこの内訳についてはお話を申し上げたいと思います。

    次のグラフが、これが生産台数でございます。市場の伸びに基づきましてといいますか、それによりまして生産台数も去年の318万台に比べまして今年は339万台という予測でございます。

    下の方のグラフで示しております輸出車、紫色でございますけども、昨年度が47万台、今年の予測としましては、元々は53万台だったんですけども、62万台の輸入車合計になるという予測でございます。次お願いします。

    ブラジルと言えばリッターカーということなんですけど、これ経年で見ますとリッターカーは今段々減ってきている、構成比が減ってきている状況にございます。台数、ボリュームとしましては、市場の伸びには追いつきませんが、増えてますが、構成比としては段々減ってきているという状況でございます。

    次に、お客様が購入する際の支払い形態についてでございますが、2008年がリースのピークでございますが、これは金融取引税の変更によりましてリースの方が有利になったということでございますけども、この金利が、今のところリースとローンがまた一緒になりましたので、リースからローンへの切り替えと、交代したということでございます。キャッシュのお客様の比率としては大体36から38でここ数年引き続きそのレベルをキープしているという状況でございます。

    今後の自動車業界の各メーカーの投資計画でございます。これは新聞記事から拾ったものでございまして、実際にプリベンテされるかというのはちょっと分かりませんが、こういう状態で、順に足し算しますと100万台くらいこれから生産ポテンシャルは増えていくということでございます。当社のところに未定と入っておりますけども、一応発表では2012年のスタート時点では7万台からスタートするという発表をさせていただいております。

    総じて今年の自動車のマーケットというのは、やはり昨年2009年に比べて上に跳ねるということでございますけども、今後の問題点といいますか、我々としてしっかり認識しておかなくちゃいけないということが二点ございます。

    まず最初がコストの問題でございまして、現在その生産用の輸入部品というのが恩典を受けまして、元々の18%という部品の輸入税に対して40%の恩典をもらっている訳ですけども、これがもはや10%ずつ減っていって今年の年末までには元の税制の18%まで戻ってしまうということになりまして、この分のコストが今後上昇していくということでございます。

    二番目に、これは皆さんの関心事項でもあろうかと思いますけども、全てのコモディティが上がっているということで、特に鉄関係についてはかなり上昇するというふうに、私どもと取引のある鉄関係の方もいらっしゃるわけなんですけど、これからどっちが勝つかと。

    我々がお客様のために安い鉄を買えるかどうかというのが、今後のコストに関しての争いになっていくかと思いますけども、まあ車というのは約1トン、1.5トンあるわけですけども、その中で鉄の占める比率というのが8割。だから1.2トンを平均としますと1トンは鉄でできておりますので、鉄が上がったら車が上がるというふうに考えていただければよかろうかと思います。

    二つ目の移転価格税制の問題でございますけども、商工会議所としてもかなりこの問題についてはディスカッションして直接政府の方にも陳情したわけなんですけども、今のところはこの議論はなされずに、延期されるということになってきておりますが、この問題についても将来非常に重石になる可能性がございます。

    先ほど市場の中でお話申し上げましたCBU、完成車の輸入でございます。特に韓国車だけ取り上げますと、ここにHYUNDAIとKIAを取り上げているわけなんですけど、ここ3年間で倍になっていると。大変お恥ずかしい話なんですけど、今年の1-6月についてはHYUNDAIは、ここでの生産台数は非常に少ないんですけど、当社の販売を上回っているという状況でございます。

    理由はいろいろございますが、やはりアグレッシブな販売を展開されておりますので、なかなか今後今までのような販売の方法あるいは戦略ではこの市場で戦えなくなる可能性はございます。

    引き続きまして二輪の方に移らせていただきます。バーグラフで示しておりますのが生産台数、折れ線グラフの赤が国内市場、販売市場でございます。それぞれ見ていただくと分かります通り、2008年がピークで2009年はやはり経済の影響あるいは他の影響によりまして台数は落ちました。今年の半期だけ見ますと、去年の生産台数の73万台に比べて86万台ということで若干上振れ、回復の基調にあるということでございます。

    月別の数字を見ましても、各月前年を上回っております。ただしその上回る率というのが段々減ってきて、これから下半期に大きく伸びるかというと、ちょっとそれは期待薄と。まあ去年よりは上回る程度で推移するのではないかというのが業界の見方でございます。

    二輪車も同様に支払い形態別に見てみますと、乗用車はかなり金利が下がったりいろんな問題でローンの比率というのが増えたりという状況にございましたけども、逆に二輪車については、金利とかは良い方に行っていますが、与信、要するに限界層のお客様が買うわけなので支払いの能力があるかと、ここがネックになってローン比率というのが伸びていない、逆に言えば減ってきているという状況でございます。

    最後に部品業界についてご報告申し上げます。Sindipecasの発表、正式発表というのは2008年までしかございません。あとは予測をしたんですけども、実は昨日私Sindipecasの夕食会に呼ばれまして彼らのプレゼンテーションを見たときに数字が出て参りましたのでご紹介しますと、2009年の実績が650億レアルということで、彼らの発表の方が正しかったです。

    それで2010年の予測が797億レアルということでほぼ我々の販売台数に比例した売り上げ金額とほぼ同額であるということなんですけども、部品業界につきましても生産台数が増えるのに伴いまして売り上げは伸びているという状況でございますが、昨日の話だとレアル高によって輸入部品との価格競争というのが非常にシビアになってくるということでかなり危惧をされているプレゼンテーションでございました。以上でもって自動車部会の発表を終わらせていただきます。

    司会
    長谷部さん、詳細なデータに基づく説明分析ありがとうございました。何かご質問ございますでしょうか。では長谷部さんどうもありがとうございました。  続きましてコンサルタント部会、押切副部会長よろしくお願いいたします。

  • コンサルタント部会 押切フラヴィオ副部会長

    コンサルタント部会

    皆さんこんにちは。コンサルタント部会の押切です。実は本来部会長である都築さんが発表される内容だと思いますけども、今回副部会長の澤田ジェトロ所長さんも日本出張中というようなことで、私が代理で発表させていただきます。よろしくお願いします。

    最初にですね、このデータはジェトロさんが全部準備された内容で、そこにまだ案という状態になっていますけども、最終的にはジェトロさんからいただいたデータをベースにお話を進めさせていただきます。

    前回、都築部会長がブラジル経済は2008年のリーマンショック以後病院の集中治療室に入りまして、2009年やっと自宅に帰れたというようなコメントをされたことが記載されていますけども、2010年は自宅で順調に回復に向かっているということが言えるんじゃないかと。

    実は2010年の第1四半期のGDPの成長率ですが、この表に詳しく書いてますけれども、トータルでもって第1四半期は9%の伸びと。でこの中でですね、製造業関係が13.6%、土木関係17.2%、それから特に農牧畜関係が2009年はずっとマイナスだったのが2010年に入ってプラスに転じていると。これは記憶で申し訳ないんですけども、2010年の農産物の収穫量が約1億4000万トンに達するという数字を発表しています。

    従いまして、ブラジルの経済は非常に内陸部の影響を蒙るわけですけども、農村地帯の景気が良くなりますと当然都市部の景気も良くなると。で、この数字から見ますとやっぱり、農牧畜関係が好転しているということは、良い意味で全体に良い結果が期待できるんじゃないかというふうに思います。

    それから次に商業関係も15.2%、さらに個人消費支出関係、これが9.3%。細かい、例えば土木関係とかさらにサービス分野、それについては各部の方から詳細の説明があると思いますけれども、この表を見ます通り、今年度のGDPの成長は約7%前後になるんじゃないかという予想が根強いようです。

    まあまだ4ヶ月間あるわけですけども、大体7%前後の成長が期待されると。ここへ長く住んでおられる方はご承知だと思いますが、ルーラ大統領は前の政権の、FHC、フェルナンド・エンリッケ・カルドーゾ大統領の任期期間、1995年から2002年までの期間8年間、その期間といつも比較するんですけども、ルーラとフェルナンド・エンリッケの比較をしますと、95年から2002年までその間はブラジル経済年平均2%成長しております。

    一方ルーラ政権になりまして2003年から今年末まで、もし7%の成長としますと年平均4%に達すると。従いまして、その両者の結果を比較しますとルーラの方が分は良いというか、はるかにオーバーしているというような状況です。まあこの状況が継続するかどうかは別の問題だと思いますけれども、いずれにしましてもさっきお話しましたように、傾向としてはまあまあ回復の傾向、景気が良くなる方向に行っているということが言えるんじゃないかと。

    それでは次の次。これは工業生産指数の推移ですけども、この表にありますように2010年の1月から大体3月末まで順調に伸びていたものが、ここに来てちょっと足踏み状態になっていると。まあこの辺は金融部会の方から説明があるかもしれませんけれども、ご承知のように中央銀行はインフレの目標値としてずっと4.5%、年間4.5%という数値を設定しております。

    しかし第1四半期の状況を見ますと、過熱的な状況が反映しまして、インフレが再燃するんじゃないかという観点から、2010年にはSelicという金利ですね、これを2%アップしています。これは2009年の実績と非常に対照的な数字だと思いますが、2009年は景気を刺激するために5%ダウンしています。2009年の1月には13.6%前後だったものが8.66%前後までダウンしています。

    一方今年になりまして、もうすでに10.66%ですか、そういう金利に到達しています。従いまして今年は、やはりインフレを抑えるためにですね、中央銀行が金利をアップしておると。その影響でもって、ちょっと足踏み状態が発生しているんじゃないかというように思います。

    それから次の、これは今お話しましたインフレとSelicの関係ですけども、詳細は金融部会の方からお話があると思いますので省きます。それから小売販売指数、この推移もやはり3月をピークにしてちょっと下がりつつあると。

    それからこの表にはありませんけども、Confiança das Industriasが、その工業界のブラジル経済に対する信頼度というか、その数値はですね、やはりここ2,3ヶ月ちょっと横ばいからダウンの傾向になってきています。まあこれもやっぱり、さっきお話しました政府のインフレを抑えるための政策の影響じゃないかというように思われます。じゃあ次。

    まあ景気の動向を見るひとつの中に、やはりブラジルの失業者率ですね、まあこの統計皆さんご存知のように、ブラジルの統計、悪く言ったらどこまで信用していいか分からないというまあ多少の疑問もあるんですけれども、いずれにしても傾向としては失業率が下がりつつあると、良い傾向がここにも出ております。次のページ。

    この表も貿易部会の方から詳細が報告されると思いますけれども、やはりひとつ心配されるのは貿易収支が2008年度以降ですね、少しずつ少なくなってきていると。悪くなってきています。で、この表に書いていますように、貿易収支は2009年の年間でもってですね、プラス、日本の表現ですと243億ドルですか、24 bilhões Dolares。今年度の1月から6月までの実績が約24 bilhões。240億ドル、そういう数値になっております。

    で、一方ですね、当国の外貨準備高は2530億ドル近くなってますが、これは6月末の数値です。この数値を過去、2006年から見ますと、2006年の時点では850億ドル外貨準備金がありました。

    それが現在、一応2530億ドルですから約4倍になっておると。従いまして対外的な信用というか、貿易収支あるいは経常収支が悪くなっているという問題がありますけども、まあそれなりの外貨準備高を持っているということが言えると思います。

    それからですね、これは参考までですけれども、実はブラジルの人口が前世紀の初め、1900年当時は数字を見ますと1400万人だったんです。それが戦後、日本移民が再開する当時、約5200万人。で現在の数字がですね、もう2億近い、1億9200万から1億9400万の人間になっています。

    実はブラジルの、サッカーが有名ですけれども、1970年メキシコのワールドカップの時、ブラジルは9000万の国民がブラジルチームを応援したという、まあ応援歌も出ておったんですが、1970年ということは40年前ですよね、40年前9000万の人口が約1億人増えて1億9000万になっておると。

    従いまして、この40年の間に、まあ発展途上国としてブラジルが色々な問題を抱えておったわけなんですけども、40年間の間にアルゼンチンを3倍するような人口を抱え込んで、それでも一応国はつぶれずですね、何とか生き延びていると。そういう意味では非常に、それなりに苦労はしていますけれども、良い方向に来ていると。

    それでは全体的にですね、マクロ的には昔の30年40年前に比較したら非常に良くなっているわけですけれども、ブラジルのそれじゃあ問題点というのは、まあ皆さんもよくお話される、インフラが良くないとか、教育問題とか、色々出てきてますけれども、やっぱりブラジルの場合はまだまだ工業化の面ではですね、裾野が非常に狭いと。

    従いまして皆さんが日本で経験されるような、お客さんのニーズにあった、あるいは買い手側が要求するような条件に沿ったものをですね、品質とか納期通りにものを中々納めてくれないと。それから次に言えることは、政府関係のサービスとか、民間のサービスでも一緒ですけれども、非常に質が悪いと。約束したことを守らないという非常に大きな問題も抱えています。

    まあマクロ経済の方向としては良い方向に行っていますけれども、まあ私個人の考えとしてはですね、まだまだいろんな点を是正しないと本来の元気いっぱいのブラジル経済というのは中々達成しにくいんじゃないかというように思います。以上です。

    司会
    はいありがとうございました。ご質問、コメント等ございますでしょうか。それでは押切さん、どうもありがとうございました。続きまして金融部会、今井副部会長よろしくお願いいたします。

  • 金融部会 今井純一副部会長

    金融部会

    金融部会レポート

    ただいまご紹介に預かりました金融部会の今井と申します。よろしくお願いいたします。部会長の宮原が急遽やむをえない出張が入りましたので、私今井が代わりにご報告させていただきます。よろしくお願いいたします。

    まず2010年の上期のサマリーということをご報告させていただきますけれども、この上期の金融界を総括いたしますと、ブラジル経済がリーマンショック以降他の諸外国に比べましていち早く経済が回復して着実な成長を遂げる中、金融界も比較的安定的に推移した、という総括になろうかと思います。

    ギリシャ発の欧州ソブリンリスクの高まりにより為替、株価が振られる局面は確かにありましたけども、その影響は現在までは限定的であったと、そういうことが言えるのではないかと思います。それではまず、各種経済指標の上期の推移を見て行きたいと思います。

    このスライドは金融危機発生前から現在までの主要経済指標の推移をグラフ化したものとなります。

    まず一番最初の上の表でございますけども、為替レートの推移になっております。為替レートについては、他の新興国通貨と同様ですね、レアルは金融危機以降大きく売られました。が、2009年4月以降値を戻し、急激に値を戻しましてですね、2009年12月には、この表で分かりますように対ドル1.7から1.8のレベルで推移しております。

    2010年度に入りまして、欧州のソブリンリスクの高まりとともに1.9近くまで売られる局面はありましたが、現在の足許の推移というのは1.75前後で比較的安定している状況かと考えております。

    次、二番目の真ん中の表でございますけれども、株価指数、Bovespaの指数でございます。株価の動きというのは、上の為替の表の同じような動きと、ちょっとこの表で見るとミラーのような形になっていますけれども、為替の動きをなぞるように推移しているということが言えるかと思います。

    Bovespaの株価指数につきましては金融危機直前にはすでにピークアウトの動きを示しておりまして、5万台前半でございましたけれども、金融危機発生以後急速に売られまして、2008年10月末現在には最安値の2万9千台を記録しています。

    しかしながら2009年4月以降、まあこの表の通りですね、急速に回復して今年の初めには7万台をつけ、4月8日には71,785と2008年に付けた過去最高値である73,452の水準に達する場面もあったということです。その後は為替と同様に欧州ソブリン危機とか中国の金融引き締め発表の影響から若干弱含みになるという場面もありましたけれども、現在はこの横の数字で書いてありますように6万台後半で推移しているということでございます。

    一番下の表は外貨準備の推移ということでございますけれども、これは一本調子で、先ほどコンサルタント部会からの発表にもございましたけれども、経常収支の方は2009年2010年と調子が悪かったわけでございますけれども、証券投資、まあ短期の証券投資という資金が入り込んでいる関係もあると思いますけれども、まあ一本調子で上がっているということで、先ほどご紹介があった通り今現在2500億ドルを超える水準になっていると。まあここが海外のブラジル経済への信任の高まりを反映しているということが言えるのではないかと思います。

    続きまして経済指標の為替、株、外準以外のですね、金融指標について簡単にご説明申し上げます。まず3行目のSelicの状況でございますけれども、先ほどご説明がありましたけれども、2009年は約5%ですね、約5%の引き下げがあったということでございまして、その後1年にわたってほぼ8.75%で据え置かれましたけれども、2010年に入りましてインフレ懸念の高まりと経済の高成長を受け今年の3月以降3回にわたり累計で2%引き上げられ現在は10.75%となっております。

    ただ足許のインフレ上昇率が低下をしてきたということを受け、中銀の集計している金融機関の予測値と、予測平均値というのを中銀が出しておりますけれども、この予測値に基づきますともうほぼ上限に達して、あと0.25%の引き上げのみにとどまるのではなかろうかと、そういう意見が大勢となっており、現状・今後の予測の欄に書きました通り、2010年の末の予想というのは概ね11%になるのではないかという見方が大半を占めているという状況かと存じております。

    一方インフレ率、この表でいきますと2行目でございますけれども、インフレ率は今年前半は高い数字が出ていたと先ほどご紹介があった通りでございますけれども、足許弱含みでありまして、6月末現在の直近12月累計ではですね、4.8%にとどまっておりインフレターゲット内で収束しているという状況かと思います。あと、この表でいきますと一番最後でございますけれども、エマージングマーケットのボンド指数でございますEMBIのプラスというカントリーリスクの代表指数でございますけれども、ここは金融危機以降大きく上昇したと。

    2008年の数字は428bp、期末でなっておりますけれども、これは金融危機以降ブラジルがいち早く経済回復を遂げたということで、2009年の末には192bpまで下がり、2010年に入っても安定的に推移しているということが言えると思います。

    続きまして銀行業界の状況について簡単にご説明いたします。銀行貸出金、一番上の行でございますけれども、金融危機以降法人向け融資が一旦減少する局面はありましたけども、2009年後半に入って回復基調になっております。

    今年は、2010年に入りましてから半年間でですね、貸し出し総額については8.1%の増加を記録しています。あと法人向け融資、3行目でございますけれども、法人向け融資は2009年は年間1.2%の伸びにとどまりましたが、今年は半年でこの表の通り5.5%増加を記録しており、景気回復に伴う資金需要の増加を表しているということが言えると思います。

    その下の行の個人向け融資につきましても、引き続き順調に伸びていて、6ヶ月で7.6%と堅調に伸びているということでございます。あとその下に延滞率の数字が書いてありますけれども、個人法人とも延滞率が非常に減少しているということで、景気回復に伴う個人所得の増加、あるいは法人業績の改善を如実に反映しているということが言えるのではなかろうかと考えております。

    続きまして、これはアンケート形式に基づく金利とか為替の予想でございますけれども、当商工会議所の加盟各行あるいは各社の年末の金利、為替、株価の予想でございます。まず金利ですけれども、足許今Selic金利10.75%になっておりますけれども、一行さんだけが現状維持と。あとは0.5から0.75%の引き上げというふうに見込んでおります。

    ただこの予想をお聞きしたのは8月5日前後でございますので、その後インフレ率が思った以上に下がっているというのを受けてマーケット全体がもう少し、金利についてはそんなに上がらないんじゃないかという予想が出ているとさっき申し上げましたので、今現在アンケートを取ってみると一段ちょっと低い水準、11%程度になるのではなかろうかとも思われます。

    為替についてはですね、1.6から1.85まで若干ばらつきがあります。為替については、外貨準備とか経常収支のところをどう評価するかによって人の判断がまったく分かれると、各社の判断が分かれるということかと思います。あと当然、あまりレアルが高くなりますと、中央銀行、政府が為替介入ということもありますので、そこらへんの評価ということで若干ばらけているんではなかろうかと思います。

    あと一番下の株価指数につきましては、回答いただいた3社さんについては、まあたまたまかもしれないですけど、75000と。今の水準よりは一段高い水準を見込んでいるという状況です。これは9月のペトロブラスの公募増資というのが株式市場にfavorableな影響を与えるんではなかろうかという見方によります。

    続きまして、次は大統領選の影響でございますけれども、これは前回の発表でもご説明した通りでございますけれども、これは基本的には、前々回、ルーラ大統領の第一回目の当選前後の各種経済指標の動きでございますけれども、そこはだいぶ労働党政権が始まるということで、だいぶ動きが激しかったわけでございますけれども、前回は再選ということで大統領選が主要経済に与える影響というのはほとんどなかったと。

    そして今回も、まだ大統領選挙前の状況しか今回はもちろん分かっていませんけども、まあ比較的落ち着いた動きを示していて、結果的には選挙自体が金利、株価、為替、あと外準なんかに与える影響は軽微であろうと、そういうふうに考えております。

    最後に経済の関係で、下期の見通しですけれども、総論ではブラジルのファンダメンタルは堅調でありまして、7%とも言われる、先ほどもご紹介ありましたけど、まあ7%程度だろうというご紹介がありましたけど、7%と言われる高い経済成長率を維持して安定的な成長は持続できそうだと、そう考えております。

    金融面でも中銀の政策あるいは金融システムの健全性といったブラジル金融界全体の大きな枠組みのところは、全体的に見て大きな変化はなく、もしあるとすれば外的要因、対外的な要因の影響によるものではないかと考えております。

    特に、ヨーロッパの金融機関の問題とか、あと中国の経済の動向で影響力が大きくなっておりますので、そこで大きなマイナス要因が発生した場合は、今まで相対的な優位性から世界の短期証券投資が集まっていたブラジルが蒙る反動リスクというのは結構高いのではないかと考えております。

    あと懸念の材料は、先ほどコンサルタント部会からお話にありました、経常収支の赤字の問題とか、あと財政の面についても大きな支出が目白押しと今後なってくると思いますので、そこをいかに舵取りするかというのがポイントになってくるのかと思います。

    続きまして保険のところを簡単にご説明いたします。2010年上期の保険業界ということでございますけれども、ネットの収入を占めます正味保険料、表の左サイドでございますけれども、これは全体で13.8%と二桁の成長率を示しております。また、各種目別に見ましても軒並み二桁となっていて、全体、保険のプロダクトごとに見ても好調であったと考えております。

    あと収益性を測る基本指標であります損害率についても前年比改善しているという状況でございます。そういう意味では上期は比較的、保険業界にとってはよかったと、そういう総括ができると思います。

    続きまして、次のページで、展望ということでございますけれども、ここに書きましたように引き続き市場の拡大傾向は継続するのではなかろうかと。あと、まあ元請け市場といいますけれども、お客さんとの取引のほかに保険会社同士で取引する再保険市場というのもありますけれども、これも当然元請け市場が大きくなればこの部分の拡大も予想されるということでございます。

    あと、2009年はですね、大手銀行系保険会社を軸とした再編というのが結構大規模に行なわれたわけですけれども、今は、2010年は一段落しているという状況で、これも2010年はその面については落ち着いた動きを示すのではなかろうかと、そう考えております。以上が金融部会の発表でございます。

    司会
    今井様、どうもありがとうございました。何かご質問はございますでしょうか。はいどうぞ。

    質問(中山会頭)
    ブラジル中央銀行のフォーカスレポートというところなんですが、そこでですね、消費者物価指数の予想が、2010年末が5.19%、2011年末が4.8%と。それから政策金利が、2010年末が11%、11年末が11.63と。物価指数が下がって政策金利が上がると、にもかかわらず為替レートがですね、2010年末が1.8で2011年が1.85という、ちょっと弱含みになっているという、これはどういうことなんでしょうか。

    回答:今井副部会長
    ここはですね、先ほど申し上げましたように、あくまでもこれはブラジルの中央銀行がブラジルの金融機関、90社あまりというふうに私聞いておりますけれども、それに定期的にアンケートを行なってそれを集計していると、平均しているという数字なので、特に為替とかそういうことにつきましては色々どう振れるのかというのは、各社あるいは各人で判断が異なると思いますので、それをどう観るかと、どういうファクターを重点に置いて見るかという形にかかってくるんだろうと思いますけれども、そこは今、中山会頭がおっしゃられた、まあ若干波高があるんじゃないかという点については、まあ私の方から、ここは中銀が集計した90社の平均がたまたまこうなっているという形で、一定のこういうロジックでこうなっているというのが中々回答できないんですけれども。金融機関の方、ちょっと何か補足コメントとか出来る方いらっしゃるでしょうか?はい。

    補足(窪田敏郎氏):同じく副部会長の三井住友銀行の窪田でございます。まずですね、この数字自体は今井さんがおっしゃったように中央銀行が指名しております約90社の金融機関やコンサルタントの数字を集計したものでございます。

    ですから、ロジック的にはですね、Selicレートがインフレをある程度もう沈静化できたということで、来年以降はまあそんなに上がらず、場合によってはまた金利を、Selicレートを下げていくという方向の中で為替レートもこういった、若干同じか弱含みの水準に動いていくというのがロジックかと思うんですけれども、実際ちょっとこれを見ますとSelicレートが来年もやや上がるという結果の数字が出ているということだと思います。以上です。

    質問者
    ありがとうございました。

    司会
    はい。

    質問(押切フラヴィオ氏)
    金融機関が企業に貸し出す実効金利というのは今いくらぐらいなんですか。それがひとつ。もうひとつは、大衆が使うクレジットカード、この金利は8とか10%と、月ですね、言われていますよね。その辺の金利はどうすれば安くなるんでしょうか?

    回答:今井副部会長
    すいません、私はちょっと銀行関係ではないので、申し訳ないんですが銀行業界の方。窪田さんたびたび申し訳ございません。

    回答(窪田敏郎氏)
    実際に出している金利はですね、欧米の例えばLIBORベース、スプレッドという形をブラジルは取っておりませんので、よくマスコミで言われている数字を申し上げることしかできないんですけども、一般的には個人に対する金利というのは平均40%以上、これは年利ですね、それから企業というのは30%以上というふうに言われてきております。

    で、金利が高めになっている理由というのはまあいろいろあると思いますが、基本的にはブラジルという国自体がやはり金利を高めに設定することによって外資を呼び込んできた、そういった外貨借り入れを中心とした政策をとってきたということ、それから我々金融機関もですね、預金に対して相応の引き当てを、相当量の引き当てを積まされているということが、まあ金利を従来から引き上げている理由かと理解しております。簡単でございますが、以上です。

    司会
    よろしいでしょうか。あの、今銀行の自己資本比率は何%ぐらいなんでしょうかね?

    回答(窪田敏郎氏)
    自己資本比率はですね、ブラジルの銀行というのは、先ほど今井さんの方から金融システムは非常に健全だという話がございましたけれども、それを示しておりまして、非常に自己資本比率は高い数値を示しております。

    まず、バーゼル、世界基準では国際業務を営む銀行というのは8%以上ということになっておりまして、日本の邦銀もですね、このパーセンテージをクリアするのを結構アップアップという状況でございますけれども、ブラジルは中央銀行自体が11%以上銀行の方に課しております。

    そういう意味でもブラジルの銀行というのはですね、中銀のルールを守って業務できている銀行については健全性は他国よりも高いということでございます。ちょっと現代の3大メガバンクの自己資本比率というのはちょっと私頭にないんですが、たぶん16、7、8くらいの数字だということです。この数字を見ていただいても、今のブラジルの金融システムの健全性というのを表しているんじゃないかと思います。以上です。

    司会
    ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。それでは今井様、どうもありがとうございました。
    続きまして貿易部会、伊藤部会長よろしくお願いいたします。

    司会
    続きまして貿易部会、伊藤部会長よろしくお願いいたします。

  • 貿易部会 伊藤友久部会長

    貿易部会

    貿易部会の伊藤です。本日貿易部会よりは、2010年度上半期の貿易動向について説明させていただきます。はじめに2010年度上半期の貿易動向の取りまとめ、総括をします。開発商工省の統計によりますと、ブラジルにおける2010年度上半期の輸出総額は前年同期比27.5%増の892億ドル、輸入総額は前年同期比45.3%増の813億ドルとなっています。

    こちらのスライドを見ていただきますとお分かりの通り、2008年下期までは順調に拡大していた貿易量も、2009年度上半期には金融危機の影響を受けて大幅に減少しました。しかしその後は順調に輸出入額ともに増加し、ブラジルの貿易そして景気は徐々に回復しているということが読み取れると思います。

    次に輸出入額の差額であります貿易収支について説明します。こちらのスライドの黄色の折れ線にて記載しておりますのが、各半期ごとの貿易収支になります。2010年度上半期の貿易収支は前年同期比43.6%減の79億ドルと、100億ドルを下回る数字となりました。

    先ほどご説明しました通り、輸出入額ともに増加しているのですが、レアル高の影響等により輸入額の伸び率が輸出の伸び率を大きく上回り、結果として貿易収支は2期連続の悪化となっております。

    こちらは四半期ごとの貿易額を表したものです。2008年のリーマンショック後、貿易額は一気に下がりますが、2009年の第2四半期以降流れとして順調に回復していることが見て取れます。

    2010年の第2四半期だけを見ますと、貿易収支も回復しておりますけども、これは一半期だけの結果でありまして、現在のレアル高の影響等を考えると貿易収支が回復しているとは言いがたいところだと思います。以上が大まかな2010年度上半期のブラジルの貿易動向になります。

    ではこれから輸出輸入の取引形態ごとにそれぞれ違った角度から説明させていただきます。

    まずは輸出に関してですが、2010年度上半期の輸出総額は金融危機からの回復傾向もあり、主要輸出国向けを中心に前年同期比27.5%増の892億ドルとなりました。カテゴリー別でも、この表に記載の通り、一次産品、半製品、工業製品、すべてのカテゴリーで増加となっています。

    具体的には一次産品が31.6%増の387億ドル、半製品が40%増の124億ドル、工業製品が19.3%増の361億ドルで、2010年度上半期は新興国を中心とした資源、食料の需要増と価格上昇もあり、一次産品が大きく伸びたと言えます。一方でレアル高による競争力の低下もあり、工業製品の伸び率は一次産品の伸び率と比較して低く、総額で一次産品を下回る結果となりました。

    では商品別に主な項目について見てみます。まず一次産品ですが、表を見ていただけるとお分かりの通り、鉄鉱石、原油の輸出が増加しております。1月-6月ベースでは大豆の輸出金額を上回る結果となっております。

    なお大豆について言えば、生産量は増加していますが、輸出量が減少し、その結果輸出額の減少という結果になっています。ただ大豆の場合、中国向けについては数量、金額ともに増加しています。

    次に工業製品ですが、自動車等はアルゼンチン向けを中心に順調に数値を伸ばしていますが、輸出の主力であります航空機が減少に転じています。特にアメリカ向け航空機輸出が大幅に減少しており、この減少額は3億ドルにも上っています。

    では輸出の最後に、相手国別に説明させていただきます。輸出相手国上位10ヶ国はこの表の通りであり、まず注目すべきは昨年度から輸出相手国首位になった中国です。

    全体の伸び率よりは低いものの、依然として18.9%増の135億ドルという結果になっています。商品としては、過去から増加している大豆に加え、2010年度は原油が前年同期比で18億ドルの増加という大幅な増加になっています。

    ちなみに中国向けの鉄鉱石は前年同期比マイナスになっています。また2位のアメリカですが、先ほどの説明の通り航空機は減少しているものの、中国同様に原油の輸出量が大幅に増加しており、結果前年同期比22.2%増加の90億ドルとなりました。

    さらに大幅な増加を示しているのが3位のアルゼンチンです。乗用車、自動車部品の大幅な伸びにより、78億ドルになりました。あと、輸入のところでも触れますが、アルゼンチンにおいては輸入でも同様の動きとなっており、乗用車、自動車部品の大幅な伸びが出ています。また2010年度上半期は、インドが114%という驚異的な伸びを見せておりますが、この要因としては他国同様に原油輸出の増加が理由となっております。

    こちらの表とグラフは輸出総額における地域別シェアを示したものです。中国を含むアジア向けの金額が27%、EU諸国が22%。中南米・カリブが24%となり、この3地域で全体の7割強を占めることになります。

    米国向けは10%であり、輸出について言えば、ブラジルの米国への依存度はあまり高くないことが見て取れると思います。ブラジルの輸出はアジア、EU、中南米と、非常にバランスの取れた構成となっており、この構成は昨年度より変わっておりません。

    ではこれからは輸入について説明させていただきます。2010年度上半期の輸入総額は前年同期比45.1%増の813億ドルを記録しました。輸出同様に全てのカテゴリーで増加となっています。

    具体的には資本財が27.1%増の177億ドル、原料・中間財が47%増の381億ドル、消費財が50.6%増の138億ドル、燃料および潤滑油が66.3%増の117億ドルとなっています。2010年度上半期はブラジル経済の安定成長とレアル高が輸入増加につながったと考えられます。

    また、消費財、特に耐久消費財が増加していますが、要因といたしましては、貧困層の減少、中間層の拡大が牽引したこと、韓国やアルゼンチンからの乗用車輸入が好調だったことが挙げられます。

    また、輸出の際に説明しましたが、原油輸出が大幅に増加しているのですが、ブラジルでは精製する能力が低いために、輸入側でも燃料・潤滑油といった石油製品の輸入が大幅に増加しています。

    次に輸入の商品別で見てみます。まず、大幅な伸びを記録しているのは鉱産品であり、国内産業が回復していることを示していると思います。次に注目していただきたいのは耐久消費財です。

    旺盛な個人消費に支えられる前年同期比70.9%という大幅な増加となっています。商品としては、先ほどもご説明した乗用車や、6月のワールドカップのテレビでの需要増加により家電製品が大幅に増加したということが理由となっています。

    次に輸入相手国別について見てみたいと思います。輸入相手上位10ヶ国はこの表の通りです。全ての相手国に対して増加という結果になっています。1位は依然変わらず米国であり、24.1%増の121億ドル。米国からの輸入では燃料が大幅に増加しております。

    2位も相変わらず中国ですが、59%という大幅な増加の結果、輸入額は108億ドルとなり、米国との差は年々縮まっております。中国からの輸入増加の主な項目としては、携帯電話用部品、パソコン、パソコン部品等が挙げられます。

    3位のアルゼンチンは輸出の際に説明しましたとおり、乗用車、自動車部品の増加が牽引して34.6%増の67億ドルとなりました。また2010年度上半期で最も注目すべきポイントとしては、韓国からの輸入総額が110.9%の伸び率に達し、40億ドルとなりました。

    これは日本の32億ドルを上回って、相手国として5位になったということです。要因としては、韓国からの携帯電話部品等の輸入が順調に増加したことに加え、乗用車、完成車の輸入が大幅に増加したことによります。

    では次は輸出同様に地域別シェアについて説明します。ちょっと申し訳ないんですが、この画面およびお手元の資料では年度のところが2009年となっておりますけど、これは2010年上半期の数字でございまして、訂正をお願いいたします。申し訳ありません。

    輸入になりますと、米国の割合は輸出に比べて5%程度増加しますが、地域別のシェア・順位については輸出と変わらず、アジアが1番、EUが2番、あと中南米、米国と続き、輸入についてもブラジルは全体的にバランスが取れているということがお分かりになると思います。

    ただし先ほど触れました通り、中国や韓国からの輸入総額が大幅に増加傾向にあり、アジアからの輸入割合が増え、全体の30%を占める結果となっています。

    ここで対日貿易という点について簡単に触れさせていただきます。2010年度上半期の対日貿易は、輸出が前年比45.8%増の29億ドル、輸入が20.2%増の32億ドルとなり、全体の傾向と同様に輸出入ともに増加となりました。

    対日貿易収支という観点では、昨年同様に赤字ではございますが、輸出が伸びており、ブラジルにとっての貿易赤字額は減少しております。ブラジルの貿易額に占める日本のシェアは、輸出が3.2%、輸入が3.9%で、国別のスライドでご説明の通り、輸出においては順位に変動はありませんでしたが、輸入においては残念ながら韓国に抜かれ、前年5位から6位に順位を落とす結果となっています。

    また、輸出増加要因としましては、日本鉄鋼メーカーの需要増による鉄鉱石の輸出が大幅に増えたことや、原油が初めて輸出されたことが挙げられます。

    では最後に2010年度の見通しについて少し触れさせていただきます。全世界の景気がリーマンショック時よりは回復している傾向や、ブラジル国内の旺盛な消費に支えられ、ブラジルの貿易額は順調に回復しており、今後も貿易額としてはさらなる増加が見込まれると考えています。

    ギリシャを発端とした欧州危機についても、現時点では大きな影響はないと開発商工省も発表しておりますし、上半期の数字を見る限り表面化はしていません。しかしながら貿易収支という面では、今後の為替の動向にも寄りますが、レアル高による輸出企業の競争力低下や、ワールドカップ、オリンピックに向けての国内インフラ整備のためのさらなる輸入増加が見込まれること、貿易黒字の減少傾向は今後も続いていくのではないかと思われます。

    実際、中央銀行も今年度の貿易黒字額は昨年度から38%減の157億ドルになると予想しております。またこの貿易黒字回復には輸出総額の増加が必要となりますが、2010年6月に交渉再開が決定したメルコスールとEUとの自由貿易協定交渉の結果によっては輸出増加も期待は出来るものの、即座に数字に結びつくとは考えにくく、また今後欧州危機の影響がブラジルにも出てくる可能性も考えると、貿易収支は厳しい状況が続くと考えています。

    最後に本日説明させていただいた要点を、2010年度上半期のトピックスとしてサイド整理させていただきます。

    一つ、2010年上半期は輸出入額ともに増加を続けていること。二つ、輸入増加幅が大きく貿易収支は悪化していること。三つ、新興国を中心とした資源、食料の需要増加による一次産品の輸出総額の大幅な伸びとその割合の増加。四つ、乗用車を中心とした韓国からの輸入総額の大幅増加により輸入先としての日本の順位が下落したこと。以上の4点になるかと思います。

    2008年から始まった全世界の金融危機による不透明な世界動向の中で、翌2009年にブラジルの景気は世界に先駆けて回復傾向に入り、2010年も順調に回復を続けていると考えられます。財政赤字の拡大、レアル高、中国経済の影響度拡大、といったような懸念事項もありますが、様々な面から見ていけば、長期的にはブラジルの成長は止まらないと考えており、ブラジルの世界における地位はますます高まっていくと思います。

    前回も申しましたが、日本とブラジルは補完関係にある国同士でありまして、ブラジルの日本におけるプレゼンスを高め、逆に日本のブラジルにおけるプレゼンスも高め、さらなる両国の関係強化、そしてその結果の実現を切に望みつつ貿易部会のプレゼンを終わらせていただきます。ありがとうございました。

    司会
    ありがとうございました。パワーポイントの資料ならびにプレゼン内容につきましては、追って商工会議所のホームページに掲載させていただきますので、ご参照いただきたいと思います。

    それでは続きまして、機械金属部会。ちょっと元気を出していただきましょう。西岡部会長よろしくお願いいたします。

  • 機械金属部会 西岡勝樹部会長

    機械金属部会

    聞こえますでしょうか。ただいまご紹介いただきました、機械金属部会、日立製作所の西岡でございます。それでは発表させていただきます。

    機械金属部会、2010年の上期の回顧と下期の展望です。ご存知のように機械金属部会は多種多様な業種・分野に分かれております。今回はこの、1から9の業種分野別に説明させていただきます。

    まず鉄鋼・鋼板分野。2010年の上期の回顧です。概況を説明させていただきます。まず国内。上期は2009年の下期を上回る結果となっております。過去最高だった2007年の水準まで回復いたしております。輸出は40%落ちました。

    これは国内市場が好調なため、国内市場を優先させた結果でございます。輸入について、上期、09年より27%上回っております。欧米鋼材市場は順調ではなかったのですが、ブラジル市場への鋼材輸入は増えた結果でございます。

    次に2010年下期の展望でございます。概況です。まず国内。引き続き堅調に推移しております。上期並み、それ以上順調な販売です。輸出は旺盛な国内需要を反映して輸出に向けられる量は限定されております。

    上期並みにタイトな状況が続く見込みでございます。輸入ですが、上期同様、好調なブラジル市場に入り込んでくる数量は多い見込みでございます。全体的に下期は上期比10%プラスでしょうか。ということで、ここ、白い所注目してください。

    私の発表は前回はお天気で発表させていただきました。そのずっと前は矢印で好調、絶好調。今回ですね、機械金属部会すべての業界で回復という結果になっております。

    ただしどういうふうな回復?実はですね、2008年のリーマンショック後の回復速度を、今回は乗り物にたとえさせていただきました。鉄鋼分野、飛行機なんですか、新幹線でしょうか、モノレールでしょうか。はい、鉄鋼としては、自動車、自動車ぐらいの速度で回復したと。

    ちなみにですね、飛行機は時速800から900ですよね、あとご存知のように新幹線は280から300キロ出ます。モノレールは80から100、自動車は、安全運転していただきます。60キロぐらいの速度です。ということで今回、鉄鋼は自動車ぐらいの速度で順調に回復したということでございます。

    次に電力および大型プロジェクトの上期の回顧でございます。これは発電業界、石油業界、セメント業界などは、ワールドカップ・オリンピック需要を大変期待しております。また、ペトロブラスの旺盛な投資にも大きく期待しております。

    それで、大型プロジェクト。ご存知のように、モノレールプロジェクト、まあ弊社今やっているんですが。地下鉄の2号線の案件、これは地下鉄の2号線から伸ばしてチラデンテスまで行く案件がございます。

    それと今話題沸騰中の高速新幹線プロジェクト。これはとうとうというか、ようやく7月に入札公示されまして、入札の最終指名は11月末なんですが、12月の16日に入札結果が分かるような状況になっております。

    下期の展望。同じようにペトロブラスの旺盛な投資に期待はしておりますが、ちょっと不安な要因はあるかもしれません。あとモノレール案件が続々今入札の発表を待っております。それで、下期ですので、高速鉄道新幹線の結果が、日本連合はどうするのか、ということですね。

    あとエネルギー関連設備、環境関連設備などに期待を持っております。船舶の機械とか、まあ鉄鉱石のValeですね、Valeさんからの造船の発注などがあり、賑わいを見せていると。将来的には、ただしローカルコンテンツもということでちょっと難しい面があるかもしれません。

    で、2008年リーマンショック後の回復速度を乗り物にたとえるなら、新幹線の速度ですと。急激に回復したということが言えると思います。

    3、プラント。紙パルプ、石油化学、エタノール関係の2010年上期の回顧概況でございます。紙パルプ、予想より早く回復しております。設備投資も非常に再開されましたと。

    異業種、食肉業界からも新規参入、ということは投資が増えたということでございます。石油化学、これはやはりペトロブラスです。プレサルの生産を開始しておりますという意欲的な投資計画が発表されております。

    鉄鋼・非鉄分野では景気回復基調にあると判断して、明るい兆しが見えてきております。ただしエタノール業界だけがちょっと少し業界再編が進んでいるということでございます。

    下期の展望です。同じように、紙パルプ。上期に続き、設備投資今後も続くでしょうと。各社拡張工事の再開を発表しております。石油化学。ペトロブラス、相変わらず投資を継続と。他の石油会社、まあ商談は増えるだろうと見ております。

    鉄鋼・非鉄。上期の通り明るい兆し。具体的には一部不透明な部分もあるという報告は受けております。まあ、ちょっと問題はエタノールなんですけども、まあ大きな商談は見えていないと。現状ではまだ不明ということでございます。それで、リーマンショック後の回復の乗り物は、プラント業界は、モノレールなんですね。まあ80から90速度ぐらいでしょうか。

    次に行きます。建設機械。2010年上期の回顧、概況は、国内総需要2008を100とした場合、2010年のファーストクォーターはなんと166。セカンドクォーターに関しましては、128。相当回復を見せております。需要回復です。これは低金利を出すFinameが大きく寄与されているということでございました。

    生産状況といたしましても、2008年100とした場合、2010年ファーストクォーターはなんと178。セカンドクォーターにおきましては219との回復です。大幅な増産をされております。

    下期の展望、概況です。国内総需要、上期同様に大幅増の見込みです。下期は一部大統領選挙前後の需要縮小リスク、これは限定的ですと。これは政策変更のリスクということでございます。

    低金利延長もあり、好調は続くだろうと。生産の見込み、同じように2008年100とした場合、2010年、総合トータルとしては140と想定されております。ということでこの建設機械はたとえるなら、新幹線です。ただし条件があります。新幹線でものぞみではございません。こだまだそうです。

    次に産業用圧縮機についてご説明させていただきます。上期の回顧、状況といたしまして、食品飲料業界設備投資が非常に顕著でございました。国内需要が高まりまして、設備投資の補強、増強計画実施されております。牛肉業界はただし横ばい、鶏肉業界が非常に堅調さを見せております。

    ペトケミ。ペトロブラスですね。大型投資の計画を発表しております。が、まだ顕著には現れていないということでございました。それでちょっとペトロブラスの場合は、ご存知のようにメキシコ湾の事故がありましたので、ただしこれをビジネスに変えるということで安全管理とか点検サービスの事業への投資、これが見込まれるのではないかという話でございました。

    で、アルコール市場。先ほどエタノール市場でもありましたが、アルコール市場では大きな変化はないということでございます。

    下期の展望でございます。同じように、食品、鶏肉を中心に食品大手は漸く重い腰を上げようとしているということで、投資が期待されておりますと。飲料市場もですね、今年、まあ飲料市場に関しては今年は投資を終了しましたので、来年度に期待をしておりますと。ペトケミ分野も同じようにですね、プレサル、ペトロブラスのプレサルを含めた新規投資計画、ただし情報収集にあたっているということです。

    他のケミカル会社、チラーユニットの受注を期待しておりますということでございました。ということで、この分野同じようにたとえるならば、モノレールでございました。

    次に農業機械の分野。上期の回顧でございます。これはエンジンビジネスとトラクタービジネスがございまして、エンジンビジネスでは2008年上期のレベルまで回復をしております。

    前年同期比でいきますと、まあ金額ベースですが、125%。大きく上回るでございます。台数ベースでも144%の回復を見せております。トラクタービジネスでは2008年からの小規模農家への支援策、これは具体的に言いますと75馬力以下のトラクターに低金利融資政策が適用されて、その結果右上がりの好調維持をしております。

    2010年上期にいきますと、台数ベースですが129%アップということでございます。ただしここは価格の上限コントロールをされていまして採算は厳しいということでございます。

    同じように下期を見ます。エンジンビジネスではディーラー、OEM先、レンタル会社のオーダーが好調でございます。下期も堅調に推移するだろうと。2010年、まあ金額ベースでございますが、117%。台数ベースでも119%を見込んでおります。

    トラクタービジネス、同じように低金利政策の継続、上期に引き続き好調を維持しております。この分野の速度は、これもまたモノレールの速度です。

    次、各種工具、精密機械についてご説明させていただきます。切削工具、上期販売。最高新記録を更新しております。これはですね、自動車生産の回復が大きく、バス、トラック、建設機械の生産回復効果が出てまいりました。

    耐磨耗工具につきましては、ちょっと一部上期計画の70%でありました。しかし市場動向は活発であったということです。鉱山工具、上期。245%と好調です。金鉱山からの引き合いが多かったということでございます。

    精密工具。まあ好転したのは今年の3月以降で、上期はまあ7割程度です。現在受注は100%に戻りましたが、生産能力をちょっと引き下げていたため、能力が90%に落ち着いてしまったという報告を受けております。

    下期の展望について。切削工具は自動車がやはり好調なので、まあ輸出も改善しておりますと。15%の伸びを期待しておりますと。耐磨耗工具はワールドカップ、オリンピックに向けた工事の発注増に期待しております。

    鉱山工具。同じです。ワールドカップ、オリンピックに向けた土木工事に期待しております。精密工具。100%までの生産体制を強化、これを急いでおります。ということで、この分野の速度は、結果的には自動車です。この業界いろいろありますので、ある業界では自転車レベルの回復しか望めないという会社もございましたので新しく出ております。

    次に軸受けでございます。上期の回顧といたしまして、やはりこの業界、自動車向けのIPI減税の終了後、まあ高い生産を継続しているということで、売り上げが増加しております。ただし二輪に向けては横ばいということでございます。

    で一般産業向けでは鉄鋼、農機、電機、対前年同期比売り上げ増加。鉱山、各種プロジェクトも再開しております。家電、景気回復の刺激策も終了したんですが、大幅増ということだそうでございます。

    鋼材等原材料価格の高騰を懸念しておりまして、まあ生産のコストアップも懸念材料ということでございました。下期の展望といたしまして、国内需要は今後も堅調に推移するだろう。一部製造業、在庫増加の状況も見られると。在庫調整若干のゆり戻しがあるのではないかなという懸念が出ております。

    懸念材料としてはまさに中国経済成長の減速とか、欧州財務危機など不安材料はありますが、国内需要が非常に基盤としてあり、好調を維持すると予測されております。でこの業界、モノレールでございました。

    最後に潤滑油でございます。上期の回顧。2010年は世界経済の回復が期待されて始まりましたと。ブラジル経済がやはりいち早く回復傾向を示しましたと。自動車のIPI減税終了の駆け込み需要によってファーストクォーターは販売を牽引。

    その後も国内需要の堅調な伸び。上期販売数量は30%の増加でございました。下期の展望です。自動車生産、これは現状維持が続くでしょうと。二輪も徐々に回復してくるのではないでしょうか。

    2010年、前年は15から20%、2008年販売まで回復が急に。ただし原料ベースの、油ですね、価格上昇が大きく、採算性の向上が課題と言われております。でこの業界の回復の速度、これは新幹線です。これはのぞみということでございました。

    それでは最後に機械金属部会全体の概況についてご説明させていただいて終わりにさせていただきます。2010年は世界経済の回復が望まれて始まりました。政府は各種経済刺激策や政策金利の引き下げなど、矢継ぎ早に政策を打ち出しました。ブラジル経済はいち早く回復傾向を示しました。

    今年の経済成長も7%と見込まれております。ということで、今後も更なる経済成長を目指しまして、新幹線のスピードで進んで行ってほしいと機械金属部会は考えております。以上でございます。ありがとうございました。

    司会
    盛りだくさんの内容をうまくまとめていただきまして、またいつも工夫をしていただきありがとうございます。何かご質問等ございますでしょうか。それでゃ前半最後の分に行きたいと思います。電機電子部会、三好副部会長よろしくお願いいたします。

  • 電機電子部会 三好康敦副部会長

    電気電子部会

    皆さんこんにちは。コーヒーブレイク前の最後で時間も若干押してますので、早めに終わるように進めさせていただきたいと思います。

    まず電機電子の業界全体の規模の推移についてですが、このデータは一応ブラジルの電機電子工業連盟のデータで、一応2009年には2008年比で若干縮小。この業界においてはやはり継続的に伸びを、拡大を見せているのはPCとかIT関連、あと通信関係ですね、特にインフラのところでございます。

    で、2010年の統計ないし見通しはまだ出てはいませんが、冒頭の色々な説明にあったとおり、経済の全体の拡大、消費拡大で回復するものと見られます。その中でAV機器関係は単価の下落により厳しいものの、白物関係はまあ伸びていくだろうという見通しでございます。

    こちらはマナウスにおける生産の動向です。上の二行のテレビ関係、一番上のCRTがこれはブラウン管テレビで、二行目がフラットTVと称するプラズマ/LCDの生産動向ですが、前年比で上半期は大きく拡大しています。

    これはまぎれもなくワールドカップの年の影響で、ワールドカップの年に限って上半期の販売が下半期の台数を上回るという現象があります。去年参考までに370万台に対して、今年の上半期は640万台と大きく拡大しています。

    で今後下期に向けて前年比より低くなり、トータルで大体1割ぐらい、1千万台レベルに落ち着くという見通しでございます。一つ大きな特徴的なポイントは、今年の上期で初めてフラットTVの販売台数がCRTテレビ、ブラウン管テレビの販売台数を上回ったと。しかしながらまだまだブラウン管のTVの需要はあると。

    ここに出席されている皆様が通われる店、店頭では、この辺のショッピングモールですので、フラットTVだけですが、まだまだ田舎へ行くとブラウン管TVの需要がございます。

    その他伸びている領域ですと、一番下の電子レンジとかも、あと一般の家電も、ここに挙がっていませんが、住宅需要の拡大等々で白物家電も、減税措置も終わって若干在庫が残っているような状況ですが需要時代は拡大しているというところです。

    こちらはマナウスにおける輸出入、貿易収支の状況と、雇用の状況です。2009年には需要の落ち込み、生産量の落ち込みで輸入・輸出とも縮小しております。2010年度につきましては、生産拡大に伴い輸入が増えております。

    基本的に電気製品というのは地場産業はございませんので、輸入依存型の産業なので、生産拡大に伴い貿易収支は悪化するという市場でございます。で、雇用の状況につきましては、一応上半期の終わりの時点で大体2007年末の雇用数の水準になっております。9万2600人です。

    あとTVの価格状況についてですが、上の二行が先ほどからお話しましたブラウン管テレビで、価格はもう2007年からずっと横ばいで来ております。一方その下二行にある32インチと42インチの売れ筋のフラットTVにつきましてはご覧の通り激しく価格の下落が進んできております。

    今年は一応ワールドカップということで、地デジの高精細なサッカー中継を見ると、観戦されるということで薄型TVがどんどん売れたわけですが、そんな関係で品不足、生産が一部追いつかないということもございまして、値段は落ち着いていたものの、ブラジルが予選、途中で敗れて、それと同時にやはり販売も停滞、現状では市場の店頭では大きく値崩れが始まっているというような状況です。

    こちらの方で2000レアルから1600とございますけども、32インチのTVですと一部で1400レアルを割るというような状況も生じております。あと電機の量販業界、量販店関係ですが、この辺の寡占化が進んでおり、色々とマスコミでも騒がれていますが、一応Ponto FrioとCasas Bahiaの経営統合とか、Magazine Luizaが色々買収して拡大するなど流通がさらに強くなっているというような状況がございます。

    部会参加企業の上期の回顧ですが、TV関係は販売は好調、一方で他品目は販売は低調であったと。TVは薄型化が加速。白物家電は減税終了で多少低迷しているものの、絶対数ではまあ増えていると。

    あとB2Bの機材販売ですね。複写機とか色々な業務用機器は堅調と。あと通信インフラ系は、一部の投資抑制はあるものの、継続交渉をしていますが、中国勢の台頭で皆さん苦戦していらっしゃるというような状況で、売り上げの実績は73%、大半が拡大したのに対して業績の評価はまちまちと。必ずしも売り上げが拡大したものの、業績評価面では良くなかったというところもございます。

    あとまあ一部、細かい話ですが、SPEDの対応で色々苦戦されたとか、特にディストリビュイション系統とか、B2C系統で色々トランザクションをするところ、企業さんとか、申告の手間隙、内部管理にやはり悩まされたというメーカーさんがいらっしゃいました。

    あと下期に向けての展望ですが、やはり電子産業は色々優遇税制がある関係で、大統領選挙、あと州知事選後の優遇税制の変更等がまあ心配というコメントがありました。あと金利の動向、それと消費の動きにも要注意と。

    あと移転価格税制ですね、特にこの電子業界値崩れが早く、マージンの非常に取りにくい業界ですので、移転価格税制面でも非常に厳しいというようなことがございます。で、売り上げの予想については、概ねやはり拡大ということで、アンケート回答いただいた企業の全てが一応営業の強化ないし成長に向けての積極的な姿勢が見受けられたと。

    一方で値崩れが厳しい中で、色々原価対策をとらねばならないというようなことで、上期もそうでしたが、今年はいずれにしても攻めの年ということでございます。

    あと最後になりますが、地デジの地方展開の状況でございますが、現在41都市で放送が始まっております。これは人口率でいくと大体4割ぐらいカバーされるわけですが、サンパウロ市のように、今17局が放送を始めているわけですが、この41都市で全てこの17局が再放送されているわけではございませんので、一部の見方では中々普及には時間がかかるのではないかというような声も上がっています。

    いずれにしろ、今市販されているTVは全て地デジの受信機能が備えつけられていますので、今後どんどん受信機が普及していくのではないかということです。あとこれは世界地図なんですが、南米ほぼ全て、コロンビアとウルグアイを除いて一応全ての地域でこの日本の方式が採用されております。今後アフリカとかいろんな話もございますが、とりあえずまあ南米制覇は終わったとということが言えるかと思います。ご清聴ありがとうございました。

    司会
    ありがとうございました。ご質問等ございますでしょうか。それではここでコーヒーブレイクといたしますが、その前にですね、磐田信用金庫の経済ミッションのご一行の皆様をご紹介させていただきます。

    高木理事長様、ありがとうございます。そして皆さん、ご一行の皆様、ありがとうございます。それではこれにてコーヒーブレイクといたします。4時5分より後半開始いたします。よろしくお願いいたします。

  • 司会 篠原一宇副委員長代理

    総務委員会の篠原です。よろしくお願いいたします。発表の前に、実は、昨年まで毎年ブラジルを訪問されておられましたブラキチの、上智大学名誉教授の堀坂教授様が今日ご出席されておられますのでご案内いたします。掘坂さん。では発表の方に移らさせていただきます。繊維部会の河本部会長、発表お願いいたします。

  • 繊維部会 河本暢夫部会長

    繊維部会

    繊維部会レポート

     

    それでは繊維部会の報告をさせていただきます。繊維産業の流れを大雑把に書きますとこのようになります。糸を製造する紡績から始まり、織布、染色加工、縫製と続きます。繊維部会のメンバーをここにプロットしてみますと、このようになります。

    したがい、紡績と紡績の製造コストの40%から50%を占める綿花の状況、さらに生地販売、副資材の動きから縫製アパレルの動きを見る内容で報告をさせていただきます。

    世界の綿花生産量と消費量のグラフです。中国のプレゼンスが大きく、生産で32%、消費で41%を占めています。中国、インド、パキスタンの3国では生産・消費ともほぼ世界の3分の2となります。ブラジルは生産で5.6%、消費で3.8%です。

    綿花の需給バランスです。上期は真ん中の数字をご覧ください。前年より生産が減少する一方、綿糸相場が堅調なため、綿花の需要は増加。このため期末在庫はさらに減少しました。下期は右側の数字です。生産は増えますが、消費も増えます。

    今期増産予想の米綿、アメリカの綿です。米綿が出回る時期までは極度にタイトな需給バランスが続くと思われます。一番下の在庫率。これは消費に対する期末在庫の割合です。40%あたりになると綿花不足になると言われており、来期はそのような水準になると予想されます。

    NYの綿花相場の動きです。2008年後半にリーマンショックの影響で相場は急落しましたが、2009年から上昇の一途を辿り、今年上期は需給バランスがタイトであることを背景に80セント超えが続きました。下期も綿花不足が懸念される中、高騰が続くと思われます。

    ブラジルの綿花生産です。地図上の綿花の大きさが生産量を表しております。年間約120万トンの生産のうち、マット・グロッソ、バイーアで81%の生産となっています。

    国内の綿花の需給バランスです。右側の数字です。上期は当初生産減の予想でしたが、その後戻しています。国内の綿糸販売は好調で、綿花の消費が増加しました。

    下期も国内消費は順調であろうこと、輸出が先物契約をしていますので、国内では綿花不足という状態になり、来年初めには輸入せざるを得なくなると予想されます。

    ESALQという綿花相場の動きです。NYの相場と同じように2008年後半には下落しましたが、2009年には徐々に上昇、今年上期には新綿の出る5月にいったん下げましたが、需給バランスがタイトなことから高値相場が続きました。下期は引き続き需要が強く、綿花不足が予想される中にあっては相場を下げる材料はなく、高値が続くと予想されます。

    紡績糸の生産量です。2009年は約140万トンの生産で、うち青色の部分が綿糸、約110万トン、81%を占めています。綿糸の内訳は、カード糸41%、コーマ糸15%、空紡糸43%となっています。

    カード糸とコーマ糸は生産工程が一部異なり、ひと手間かけた高級糸がコーマ糸です。空紡糸は糸を作る方法が異なっており、主にジーンズ用の太バンテになりますが、冬物素材としても使われます。

    綿糸の相場です。上期は衣料品の消費が好調で、綿糸の需要も好調でした。先ほどご説明しましたように、綿花価格が高騰しましたが、うまく糸値に転嫁でき、コーマ糸では2004年以来の10レアル超えとなりました。 下期も消費が好調ゆえ、綿糸需要は堅調に推移すると見られます。またレアル高により輸入糸が増える心配もありますが、相場には大きな影響はなさそうです。

    空紡糸の生産状況です。右側のグラフ、設備数ではこの5年間に11%の増加ですが、左側のグラフ、生産量では43%増加しています。生産性の高い新鋭設備が導入されていることがうかがえます。

    空紡糸の相場です。上期は過熱状態でした。昨年の冬物販売が好調で在庫がなかったこと、原綿高騰で糸不足を懸念したユーザーが先物に走ったことが要因です。

    糸値は昨年下期の5.4レアルから今年上期には7.05レアルへ約30%の上昇を見ました。下期は、7~8月が需要の端境期になるため、価格は弱含みになりそうですが、綿花相場が高値継続となるため、9月以降には回復すると見られます。  繊維品の貿易統計です。2006年に輸入が輸出を上回り、以降年々輸入超過額が拡大しています。

    綿花の輸出がかなりありますので、これを除く、減量を除いた同じ統計です。さらに輸入超過状態が顕著になります。

    その中で綿糸だけを見たものです。左側の数量ベースで見ていただきますと、2008年に輸入が大幅に増加しています。今年上期もインド糸を主体にした輸入が増加しています。下期も国内需要は衰えそうになく、これに対応した輸入が上期並みのペースで続くと思われます。

    先ほど綿糸の生産は約110万トンと申し上げました。これに対し輸入糸、7万トンであれば全体として大きなウェイトではありません。しかしローカルの大手紡績は紡績から織布、染色加工まで一貫生産するところが多く、売り糸市場には出てきません。

    逆に我々日系紡績は主にニット業界への糸売りです。売り糸市場の大きさは正確には把握していませんが、ニット業界の使用する綿糸が年間約40万トンですから、これに対し7万トンの輸入糸があると考えれば結構なウェイトになります。ちなみに日系紡績6社の生産量が約6万トンですから、これを上回る輸入があるということになります。

    綿糸輸入量と為替の関係です。右側の目盛りが為替です。グラフが上に行くほどにレアル高、すなわち輸入しやすい環境になるということです。これを見ますとほぼ連動するような動きをしております。

    織物の生産量です。2009年で138万トン。うちシャツ、ブラウス、ベッドシーツ用途となる薄地織物は48万トン。ここ数年大きな変化がありません。上期はブラジル経済が好調で、建設・インフラ関係のユニフォームが好調でした。 薄地織物は、寝装用は良かったのですが、衣料用は、後でご説明いたしますが生地・製品の輸入に押され生産は伸びていません。下期も上期同様ユニフォーム用はよさそうですが、衣料品は輸入との競合が続きそうです。

    織物の貿易統計です。先ほどの綿糸と同じく2008年に増加しています。今年の上期は特に婦人用合繊織物の輸入が増加しています。輸入は下期も同様に推移し2008年水準になると思われます。

    紳士・婦人服地です。織物とニットを合わせて生地という表現にしております。昨年上期の輸入が経済危機の影響で落ち込んだこともありますが、今年の上期は対前年同期比、生地で82%、既製服で16%の増加になっています。

    全般的に消費は増加していますが、紳士服の動きは悪く、婦人服は好不況なく伸びています。ただいま見ていただきましたように、生地・製品での輸入が増加し、価格競争が激しくなり、利益が取りにくくなっています。

    アパレルは4月まで絶好調でした。生産スペースの不足や、縫製業ではワーカーの不足もきたすほどでした。小売は4月の初めの寒さで冬物商戦のスタートが良く、母の日セールも好調で、1-5月は12%前後売り上げを伸ばしています。

    6月はワールドカップに注目が集まり、小売は一服。7月からは冬物バーゲンに入っていますが、冬物在庫は一掃できそうです。下期は選挙や、異常気象予想もあり、消費が不安定になる心配もありますが、国民所得は確実に増加しており、年末商戦は10%以上伸びると期待しています。

    冒頭にファスナーと出ていますが、間違いです。衣料品だけの輸入統計です。今年上期になり輸入が増えています。オレンジ色が中国からの輸入で、おおよそ3分の2を占めています。

    ファスナーについても中国からの輸入が多くて、中国からの輸入の推移のグラフです。色分けはファスナーの種類別であり、経済回復にあわせて昨年の下期から増加しています。

    上期はユーザーの生産は経済危機前の状態に回復し、ファスナー販売は衣料、鞄、ブーツ等全分野で絶好調でした。衣料用はニットから織物への生地流行の変化や、使用箇所の増加により、ブーツは昨年の販売が好調であったため、今年も高い生産水準が維持されたことによるものです。

    下期は一部の大手衣料スーパーで予想ほど売り上げが伸びずに、ジーンズ発注を抑える動きが出ているのが懸念材料ですが、全般的には好調な生産が維持されると予想されます。

    最後にまとめです。上期は内需が旺盛で、原料高も売値に転嫁でき、好調でした。下期は原料高が続き、どこまで売値に転嫁できるか、またレアル高による輸入品の増加も心配されますが、消費は衰えそうになく、引き続き好調に推移するものと見込んでおります。以上です。

    司会
    質問ございますか。ないようでしたら次に移らさせていただきます。では化学品部会の松尾副部会長さまに発表お願いいたします

  • 化学品部会 松尾新一郎副部会長

    化学品部会

    化学品部会レポート

    皆さんこんにちは。昨年で部会長を引き上げたつもりだったんですが、部会長が出張で今日は代打ちを頼むということを言われまして参りました。

    全般的に見ますとですね、総括で見ますと、売り上げ、ほとんどのところが増加。これは去年が悪かったということもございます。それから利益も増加。それから下期の見込みにつきましても、ほとんどのところが増加。減少なんていうところは一社もございませんでした。

    大体これが2010年上期の回顧と下期の展望総括でございます。以上でございます、と言ったら部会長に怒られますから、せっかく作っていただいたんですから続けます。

    電機電子部会でもございましたけども、デジタルカメラ。これは富士フィルムさんなんで、化学品部会に入っているわけです。戦略的な動きもございまして、売上利益ともに増加と。

    それから、電機電子のところでもありましたように、デジタルカメラが各人一個ずつ持つような傾向にございまして、市場が拡大していると。ただし、いろんな競合によりまして、価格は年々下がっていると。下期の展望ですが、まあどこでも出てくると思いますが、クリスマスシーズンを期待して売上利益ともに増加を見込んでいるということでございます。

    次、筆記具ですね。これはペンテルさんとパイロットペンさんです。売上利益ともに予想通り増加と。その原因は景気の回復が順調に進んでいると。それからレアル立てで輸入価格が、輸入のコストが減少したということが挙げられます。

    下期についてはやはり同じように、クリスマスもございますが、大体9月にある、もうすぐ始まりますフェアー。今年まではやるそうですけども、ほとんどがこれで一年の売上が決まるそうです。で、レアルの安定を期待しているし、それから好景気の継続も期待しているということでございます。

    高級化粧品、これは資生堂さんです。従来から言っていますように、重点主義でリオとサンパウロのお金持ちの女性をターゲットにしているということでございます。

    で売上も、資生堂さんがここに来られてから一遍も売上利益とも減ったことがございません。やはりリーマンショックだろうが何だろうが、やっぱり化粧品は強いものですからね、どなたがお使いになるか知りませんが。主力商品のスキンケアがシェアアップしたと。

    ただし欧米メーカーも力を入れてまいりまして、クリスチャンディオールとかそういう有名なところが積極的な投資といいますか、専門店のところに独自のカウンターを作って販売促進に力を入れているそうでございます。下期は当然の事ながら、クリスマスですから、化粧品の売上は期待しておるということでございます。

    一般用医薬品、これは久光製薬、平たく言えばサロンパスさんです。売上利益ともに増加。まあ市場の拡大と申しますか、サロンパスを貼ったり、エアゾールサロンパスを使ったりということが増えたと。

    マイナス要因として法改正による規制の強化と。これはややこしいことを言ってますけども、経口の薬ですね、胃薬でも何でも以前は一般のフロアにおいてあったそうですけども、口で飲むような経口剤は全てカウンターの裏にと。

    従いまして、そのカウンターに行って自分が買いたい胃腸薬とか買ったらそれでおしまいだと。以前は一般の売り場にございますから、見て回って胃腸薬を買う、正露丸を探すとかあって、ついでにサロンパスも見つけてこれも使おうと。

    ついで買いというのがなくなったので、これがマイナス要因であるということだそうです。下期の展望は、上期増加した分特に変わることはないと。プラスマイナス要因も上期と同様ということです。次お願いします。

    家庭防疫薬ですね。昨年はあまり蚊も出てこなかったので、流通在庫がたくさんございまして、売れなかったんですけども、今年は去年の在庫一掃ができたということで売上利益とも増加いたしました。Bombrilとか有名なところがございますけども、台所用品ですね、それの資金繰りが良くなったのでまた良く引き取ってくれるようになりました。

    マイナス要因は前から言っているように、ジェネリック品との競合が激しくなってきています。したがいまして、単価をどんどんどんどん毎年下げないといけないというような状況になっております。

    下期はですね、こんなに寒かったら蚊も出てこないわけですから、あまり売上が期待できないんですけれども、これから先温かくなっていって雨も降れば、蚊も頑張ってくれるだろうと。

    それから、まああまり良い話ではないんですけれども、プラス要因とはあまりしたくないんですが、デング熱が流行っておりますね。ということもございまして、売上利益ともに伸びると見込んでおります。次お願いします。

    農薬はですね、二通りございまして、有効成分の高濃度製品ですね、これが原体と申しますけど、原体をこちらに販売しておられる会社が3社ございます。売上もしたがいまして、変わらないというところと、増加というところがございます。

    繊維部会の河本さんのご説明の通りですね、綿の市況が良くなってきていると。綿というのは単位面積当たり農薬をようけ使うんですよ。ですから綿用の農薬というのは非常に魅力のある分野なんです。で、プラス要因にございますように、綿の作付けが増えれば自動的に、特に殺虫剤なんかが増えます。

    マイナス要因としてはやっぱり中国の、いわゆるジェネリック品ではなくて、模倣品ですね。海賊品との競合もある会社もございます。下期の展望は、これからハイシーズンに入りますから売上利益とも増加と。

    これも皆さん綿作付けを期待しております。マイナス要因としてはまったく同じですね。河本さんの説明の通りでございます。次お願いします。

    これは農薬の今度は最終製品でございますね。原体を薄めて使いやすくした最終製品です。それを水に薄めて、たいていの場合は作物にかけるわけですけども、売上はそんなに変わらなかったと。

    利益、トータルの利益としてはマイナスであったけども、これは財務収益ですね、利子収入だとかそういうのが減ったために利益は減少したということですけども、営業的には新製品の上市等による収益は増えておると。

    下期はですね、売上は増加するけども利益はそんなに変わらないだろうという見込みでございます。これから温かくなってまいりますから、蚊だけではなくて田んぼの中の虫も病気も雑草も頑張ってくれると思いますから、私どもの農薬を期待しているところでございます。次お願いします。

    肥料。肥料は、その前の段階になりますけども、逆向きに今年は発表しておりますが。肥料は売上は減少、利益は増加。これはどういうことかといいますと、不採算部門の生産の整備縮小ということで、売上は下がったけれども逆に利益は増加したと。

    下期も変わらないと、利益も変わらないと。といいますのが、シーズンの初めに肥料は使いますので、農薬が出てくる前に頑張っていただくのが肥料でございます。次お願いします。

    その前の段階、今度は種です。種の方は、これは特殊な種でございますので、京都のタキイさんです。売上は増加したけど利益は下がったと。何か品切れ商品があったそうで、需要に追いつかなかったと。それから従来の商品、特に玉ねぎなんかは優秀な会社ですけども、シェアアップしていると。

    それから東北伯向けのメロンの種子の売上減。これは東北伯でできたメロンはですね、サンパウロに持ってくるんじゃなくてほとんどがヨーロッパに出されると。

    ヨーロッパはご存知の通りああいう状況でございますから、そんな高級なメロンなんか食べることはできないだろうということで、メロンの作付けが減ったということで、自動的に種の売上も減ったと。

    それから大手顧客の事業撤退と。これはデルモンテさんがこのブラジルから撤退したということで、そこ向けに出していた種の売上が減ったと。下期は利益売上ともに変わらないと。

    玉ねぎ種子の安定販売がプラスの要因と、それから為替安定により利益の確保ができるようになったという見込みだそうです。それから新商材の販売増と。それから草花主力商品の品薄というのがありますが、トルコ桔梗とかガーベラ、ご存知かどうか分かりませんが、売れ行きがいいんだそうでございますけども種が足りないということだそうです。

    飼料添加物。これは先ほど、伊藤さんでしたかね、貿易部会でもありましたけども、鶏の輸出なんかが堅調であると。それからこれは、実際には鶏用のメチオニンという必須アミノ酸ですけども、これ売上利益とも増加しております。

    というのが去年は供給力がなかったものですから、一番遠いブラジル向けがカットされまして、中国向けにどんどん輸出されまして、私どもの会社ですけども、こっちへ玉が回ってこなかったということでございます。

    それで今年になって十分に玉が回ってくるということになりましたので、売上利益ともに増加と。それからさらに、需要期がまいりますし、供給力も十分ございますので、下期はさらにアップするであろうと見込んでおります。次お願いします。

    接着剤。売上利益とも予想通り増加したと。その要因はブラジルの堅調な景気であると。マイナス要因は特に見当たらないと。それから下期の展望は、上期増加していますからそのままその勢いでいくだろうと。プラス要因はやはり自動車産業の好調さによるところが多いと。ただしレアル高なのでブラジルから周辺南米諸国への輸出は不利であると。次お願いします。

    化学架橋ポリオレフィン発泡体。これは正式な化学名だそうですけども、これは特殊スポンジのことです。特に、ほとんど車の、ドアの方に使われるということで、自動車の需要が回復すればこの特殊スポンジの需要も伸びるということでございます。

    それから下期についても、自動車産業の堅調さに支えられまして利益売上ともに増加するであろうという見込みだそうです。次お願いします。

    樹脂用着色剤。売上利益。利益はほんの少しだそうです。といいますのが顧客からの値下げ圧力が強いので、あまり利益は出てこないと。それから小口ロットでの注文が増えるから、一個あたりの単価が高くなってコストアップにつながってあまり利益はでないと。

    それから下期の展望につきましては、プラス要因このようにございまして、あとは企業努力しかないと。社内コストカット、それから固定費のカットに引き続きまい進しなきゃいけないと、苦しいことをおっしゃっていました。次お願いします。

    商社さんですけども、これは3社ございまして、幾分は良くなったかなと。というのがやはり2009年の反動、それから扱い品目の売り上げ増加につながったと、上期は。それから、下期につきましてはですね、やはり好調な国内景気を反映しまして需要増。

    ただし、西岡さんのところでもありましたが、エタノール関連のビジネスはやっぱりちょいと不安かなと。利益は少しは出ているという会社もございました。でマイナス要因としては、どこの部会でもありますように、大統領選の結果がやはり不安定要因かなということでございました。すいません、1分14秒も過ぎました。以上でございます。

    司会
    どうもありがとうございました。質問、ございませんか。よろしいですか。では引き続きましてですね、食品部会の高藤部会長様に発表をお願いいたします。

  • 食品部会 高藤悦弘部会長

    食品部会

    食品部会長の高藤でございます。まだブラジル滞在1年と非常に短い期間しかおりませんので、不明なところもありますけれども、お許しいただきたいなというふうに思います。

    皆さんご承知のように、ブラジルは世界有数の農産大国でありまして、コーヒー、砂糖、オレンジ世界1位と。先ほど畜肉の話にも触れておりましたけども、牛が第2位、鶏肉第3位という国にありまして、この食品部会に参加している企業というところの業種でいいますと、日本酒、乳酸飲料、即席めん、

    調味料、粉末飲料、コーヒー、飼料用アミノ酸と、きわめて限られた分野しかこの商工会議所に所属する企業としては担当してなく、かつそれぞれが1社であるということでありますので、国内の消費動向と輸出ということで簡単にご説明をさせていただきたいというふうに思います。

    まず為替でありますけども、本年上期、過去のジェットコースターのような状況と比べると、ご承知のように、まあ高値ではありますけども、比較的安定をしていたと。本音を言いますと、2前後ぐらいで安定してくれますと非常に嬉しいわけでありますけども、まあ一番ありがたいことは大きく変動しないということでありまして、その観点で言うとこの上期はあまり不満を言えるようなことではないんだろうなというふうに思っております。

    金利・インフレでありますけども、これは金融部会、コンサルタント部会でありましたので、省かせていただきます。

    小売売上高推移、これも確かありましたけれども、基本的に国内においては、リーマンショックはあるものの、中所得者、低所得者層の購買力の拡大に支えられて、4月は一時的に下がってはいるものの、基本的に右肩上がりに推移しておりますし、今後もこの傾向は変わらないだろうというふうに思っております。

    関連する商品相場でありますけども、コーヒーは概ね大きな動きはなく足許高いところで推移しておりますが、砂糖がですね、この上期で言うと歴史的な動きを示したということであります。

    砂糖業界にとってみれば、相場が上がるのは良いことでありますけども、砂糖を原料としている食品会社、あるいは調味料会社にとってみれば、きわめて厳しい上半期であったというふうに言えます。この2010年の2月には歴史的な高値であるポンド30セントを超えたと。現在足許17から18セントということで動いております。

    つい先ごろロシアで小麦粉の禁輸が発表されたということで、この相場の左右されている、もちろん基本的には天候であるだとか需給、在庫動向が左右されるわけでありますけども、相場がこう動くとなると投資ファンド周りのお金が流入してきて、まったく読めないという状況が続いておりますので、小麦の動向が不透明になってきたということは、この我々砂糖を使う側にとってみれば、ありがたいことかなというふうに思っております。

    そうした中で国内の消費動向でありますけども、基本的に先ほど申し上げました乳酸飲料、即席めん、調味料、粉末飲料、絶好調という、新幹線だとか飛行機というわけには行きませんけども、その反面リーマンショックがあったとしても消費が落ち込むということはなく、このブラジルにおいては基本的に低所得者層の購買力の向上が続いておりますので、堅調に推移をしております。

    特に北東部においては、まあ所得水準の低い地域でありますけども、価格帯が安い商品ではありますけども大きな伸びを示しております。また3番目にワールドカップ特需というふうに出ておりますが、6月、酒類、特にビールとスナック食品が非常に好調に売れたというふうに聞いております。

    下半期でありますけども、基本的に今の流れが大きく変わるということはありませんで、業種によって若干のパーセントの率が違いますけども、二桁、あるいは二桁行かないところでも二桁に近いところで、この我々の食品部会に所属する企業は伸びていくというふうに見ております。

    懸念材料ですけども、これ利益面ということでありますが、7月に一斉に包材、これはダンボールメーカーでありますけども、10%を超える値上げをほぼ同時に通告してきたということで、これが少々利益を圧迫する要因になるかなというふうに思っております。

    輸出でありますけども、こちらの方はリーマンショックを受けたということであります。一番大きいのが鶏肉、コーヒーということで、畜肉で、大きく昨年は落ち込んだわけでありますが、まあ何回かすでにお話が出ておりますけども、今年に入って回復基調ということであります。

    それに伴いまして、畜肉向けに出しております飼料用アミノ酸も本年に入って世界的に大きく回復しており、ブラジルで生産している飼料用アミノ酸もブラジル国内のみならず、欧州、米国、アジアと順調に輸出を回復しております。

    下半期につきましては、大きな外部環境の変化がない限りこちらの方も現在の状況が続くのではないかというふうに見ております。簡単ではありますけども、以上です。

    司会
    質問よろしいですか。今まで質問が出ませんでしたので私が一つ質問させていただきます。食品関係で、口蹄疫とかそいういった衛生のリスクというような公算はブラジルの場合はあまりないというふうに理解してよろしいんでしょうか。

    高藤部会長
    はい。そうであります。基本的にありません。

    司会
    ありがとうございます。ほかに質問ございましたらお受けしますけど、よろしいですか。どうもありがとうございます。では運輸サービス部会の畠山部会長様に発表をお願いいたします。

  • 運輸サービス部会 畠山研治部会長

    運輸サービス部会

    運輸サービス部会の畠山です。私どもの部会も物流関係からIT通信まで幅広い業界がございますので、業界ごとに上期の回顧、下期の展望を発表させていただきたいと思います。

    まず航空業界ですが、ブラジル国内の好調な景気と、それから中間層の拡大ということで、旅客が伸びて、昨年の上期に比べまして24%増の3604万人となっております。

    航空会社ごとの構成比ではですね、TAM、GOLが若干シェアを落としておりまして、ブルージェットとかAzulとかいわゆる新興航空会社、これのシェアが伸びております。

    それから国際線の方もですね、昨年の前半リーマンショック後の落ち込みがあったんですが、その後のビジネスの、出張者の増加とか、あるいはレアル高によりまして、ブラジル人の海外旅行が増えたということで、18%増の774万人となっております。

    それから航空会社の構成比でいきましても、ブラジル国籍の航空会社が41%、若干シェアが増えております。下期の展望といたしまして、トピックとして三つ挙がっておりますけども、ブラジル発着の国際ネットワークが拡充してきていると。

    ブラジル国籍の航空会社のみならず、外国の航空会社も、増便ですとか、新規の乗り入れ、まあカタール航空ですとか大韓航空が増便したりとか、あるいは地方の空港から北米や欧州を結ぶ便が増えてきていると、こういう動きがございます。

    こうした中、先日発表されておりますけども、南米を基盤とするチリのLANとTAM、これが外国航空会社の参入によって厳しくなってくる環境で生き残っていこうということだと思いますけども、株式交換方式による合併を発表しております。

    一方、ご承知のようにJALさん、1978年からサンパウロ直行便を継続されておりましたが、残念ながら9月の末で運休されるということになっております。それから、国内・国際ともですね、旅客あるいは貨物の需要が増えておるんですけども、空港の発着枠、駐機場のスペース、旅客ターミナル、それから貨物を扱う施設、あるいは空港へのアクセス、まあここら辺がインフラの整備が遅れていると。

    まあ色々計画はあるんですけども、遅々として進んでいないというのが状況でございます。それからもう一つ、消費者、旅客ですね、飛行機が遅れたりあるいは欠航した場合旅客が受けることが出来る権利といいますか、これの基準を明確にする方向が出ております。

    航空当局から出ております。例えば、例としまして、1時間以上遅延した場合通信手段を提供するとか、2時間以上の場合は搭乗までの飲食を提供する、3時間以上の場合は休憩場所を提供する。こういった基準が明確に示されております。

    ただし、待合室でじーっと待っていても向こうから何にもしてくれないので、こういったことがあったら、航空会社が設けている相談窓口に行って相談するという必要があろうということだそうです。

    続きまして海運業界。まずコンテナ貨物の荷動きなんですが、これは上期の統計、昨年と比較したものでございますけども、まず輸入のほうでは全航路約90万TEU。TEUと申しますのはコンテナの、大きいコンテナと小さいコンテナがあるんですけど、小さい方、これは20フーターなんですが、20フーターに換算した個数、コンテナの個数という意味です。

    輸入が全航路で90万TEU。昨年比67%。特にアジアからの輸入は20万TEUから37万TEU、約85%伸びております。一方輸出の方はですね、昨年とほぼ同じ。アメリカ向けは、まあ多少アメリカの景気が回復しているということで12%伸びておりますが、欧州・地中海はほぼ変わらず。

    それからアジア向けに関しましては、たまたま昨年の上期、レアルが2.4とか2.5の時にですね、スポットカーゴで大量に化成品がアジア向けに動きましたので、そのせいもあって今年と比べますと、今年は去年と比べますと5%減に統計上はなっております。

    それから、鉄鉱石船の方ですね。ケープサイズ、15万トンから20万トンの鉄鉱石を専門に運ぶ船でございますけども、こちらの方の市況はちょうどこの資料を集めておりました6月7月、リーマンショック後の2009年1月以来の安値になっておりました。

    原因としましては中国の鉄鉱石輸入が、昨年はおよそ1ヶ月1200万トンから1500万という輸入をしておったのが、5月6月約半分になりまして、その影響をダイレクトに受けてマーケットが急激に下がったということでございます。

    下期の展望としまして、まずコンテナの方は、特にアジアからの輸入につきましてはブラジル国内の強い国内消費、需要を反映しまして堅調に続くであろうと。

    一方問題点としましては、アジア側で輸出用のコンテナが不足しておりますので中々思うようなブッキングが出来ないということがあろうかと思います。それともうひとつはブラジルの港湾ターミナルの整備の遅れ。貨物の増加に対して港湾ターミナルのインフラ整備が遅れているということで、色々オペレーション上の不都合が生じてきているということでございます。

    具体的に申し上げますと、まあ特に今冬場でございまして、アルゼンチンとかブラジルの南部のほうから悪天候で船が遅れて、サントスにやってくるとバースが中々、そのまま荷掃できない、沖待ちしなきゃいけないとかですね、そういった問題が出てきております。

    それから、ドライバルクにつきましては、先ほど中国の輸入が減ってマーケットが落ちたというお話をしましたけども、8月に入りまして中国向け若干増えておりまして、それに伴って8月以降バルク船のマーケットも回復してきております。ただし今後とも中国の輸入動向によって大きな影響を受ける、マーケットは乱高下する、中々先は読みづらいという状況でございます。

    参考までに、先ほど食品部会の方で砂糖のお話をされてたんですけども、2月ぐらいに高値だったのが5月6月に下がったということがありまして、特に中国とかインド、砂糖の不作で相場が下がったときに大量にブラジルからの買い付けが始まりまして、この赤い印がついているのが、これサントスの港外なんですけども、たまたまちょっと勘定してみますと、8月6日の11時の時点で約、この画面に出ているところだけで50隻船が滞船しております。これのほとんどは砂糖を積みとるためにブラジルにやってきた船だそうです。

    先ほど港湾ターミナルの整備不足というお話をしましたけども、ここに、これはサントスの上から見た写真なんですけども、色がついているところが既存のコンテナターミナルの増強計画とかあるいは新規のターミナル建設計画があるところなんですけども、まあ計画だけは色々あると。

    まあ一部着工しているのもありますし、計画だけのところもあるんですけども、やはり貨物の需要に中々追いついてこないというのが一番大きな問題点だと思います。

    フォワーダー業界。上期の回顧。一番上に出ておりますのが、日本発の輸出航空貨物の実績でございますけども、全世界、米州向け50%ぐらい伸びておりまして、ブラジルだけの統計はないんですけども、米州向けの中のその他という項目ですね、これがほぼブラジル向けの日本からの輸出航空貨物の数字になるんですが、前年比約33%ということになっております。

    まあ自動車、家電を中心としまして航空貨物の需要が回復しているということですね。一方貨物スペース不足、あるいは先ほどの港湾と同じでございますけども、空港の貨物処理能力の慢性的な滞貨が発生していると。

     航空貨物が着いても中々引き取れないというようなことが実際に発生しております。それから製鉄構内物流。こちらの方は鉄鋼生産の回復により構内物流も回復してきていると。

    下期の展望でございますけども、いろんな部会で色々お話出ておりましたけども、電機・自動車の増産による物流増を期待と。それから新規に進出してくる企業さんございますので、そちらの方の貨物の増加も期待していると。

    一方貨物スペースの不足や運賃の値上げは続くであろうということですね。それから製鉄構内物流。鉄鋼の生産回復に伴い構内作業量も増加してきていると。凍結されていた投資案件も再開見込み。ただし再三競争が厳しいということでございます。

    それからクーリエ関連では、昨年末からテストを開始していたクーリエの電子通関システム、HARPIAというシステムだそうでございますが、これが9月から本格稼動する予定だと。がちがちなシステムになりがちでございますので、ドキュメンテーションのミス等々あるとデリバリーが遅れるということがあるのではないかという懸念がされております。

    ホテル・観光業界。全体としてホテルの需要は増加。稼働率、宿泊料金とも上昇していると。参考までに、稼働率の増加率なんですけども、サンパウロで13.2%稼働率が増加している、リオデジャネイロで3.1%増加しているということでございます。

    それから、下期の展望ですね。2014年のワールドカップ、2016年のオリンピックに向けて外国からの視察、あるいは観光によるホテル需要が増加の見込みと。上期に続き稼働率、宿泊料金、RevPARと書いてありますがこれは稼働率×宿泊料金で、客室一つあたりの売上を示す指標だそうですけども、これも上昇していくことを期待しているということです。

    続きまして通信・IT業界。上期の回顧。通信の方では携帯電話の加入数、約1億8500万台。世界第5位。ほぼ国民一人当たりということです。若干増加率は伸びておりますが、まだのりしろはあるということですね。ただし約82%はプリペイド方式の携帯電話だそうです。

    ここに電話会社のシェアを書いておりますが、最近話題になっておりますように、VIVO、CLARO、TIM、OI、全部これ外国系でございますね。それから3G携帯、これは1390万台。携帯電話の約7.5%になります。

    固定電話加入数、これは4371万台。これはほとんど変わっておりません。それからインターネットユーザー、4698万人。ブロードバンドユーザー、今年の3月の時点で1180万台。

    政府の方ではブロードバンドを安い料金で全国に広めようという、国家ブロードバンド計画ということを策定しておりまして、2014年目標ですけども、4000万台に増やすことを目標に投資を進めております。

    IT関連では、IT産業好調ながら収支は厳しいということです。それから下期の展望といたしましては、上期に計画されていましたIT関連の投資額がまだ中々数字に出てきていないそうでございまして、その分下期の投資が増えるのではないかと、IT投資が増えるのではないかというふうに期待しております。

    それから企業内でのSNSツール、ツィッターとかですね、こういったものの活用が進むであろうと。それから、SASというのはこれは、自分でソフトウェアを開発するのではなくて、使用料を払ってソフトを使用するようなモデル。

    それからクラウドコンピューティング。まあいずれにしましても、自分で設備を持たないでコンピューターを利用すると、そういった傾向が今後とも増えていくのではないかということでございます。運輸サービス部会、以上でございます。

    司会
    畠山さんありがとうございました。質問はございませんか。では最後の発表になりますけども、建設不動産部会の大滝部会長代理に発表をお願いいたします

  • 建設不動産部会 大滝守部会長代理

    建設不動産部会

    建設不動産部会レポート

    それでは建設不動産部会、ホス建設の大滝でございます。

    2010年上半期の日系建設業界でございますが、昨年からの景気回復の影響がそのまま継続されまして、年初から日本企業の工場建設の発注をいただきました。

    また、自動車関連の企業、その他業種のブラジル進出スタディ・あるいは調査が盛んとなりまして、計画・設計の段階から参画させていただいております。

    2010年のブラジルの建設全体の回顧でございますが、政府による大衆住宅共有政策でございます「私の家、私の暮らし(minha casa minha vida)」につきましても地道に継続しておりまして、2007年から2010年までのPAC1では全体の実現率は46.1%でしたが、特に住宅と衛生に関しては69.4%と実現の率が高くなっておりまして、達成率全体33%程度でありましたインフラ整備、これは遅れておりますけども、住宅関係は大変実現が高かったと。

    また生産設備に対する投資につきましても、回復が本格的になりまして、世界各国の自動車メーカーによります設備投資が本格的に再開しておりまして、サプライヤーの設備投資また自動車産業以外の業種におきましても新規の営業拠点や向上の建設など多くの新築、増築工事が増加してまいりました。

    建設の労働者の数でございますが、この表の1で示しますように、2010年5月時点で労働者が20万人と、各年と比較しましても過去最高を記録しております。過去12ヶ月間では16.3%の増加になっておりますけれども、今後建設労働者の不足が懸念されます。

    その要因は、工業や農業が景気が良いものですから、そちらに従事する人が増えていくということで、建設の労働者が若干影響を受けております。この表1は2010年の増減数でありますけども、月平均して3万人台の増加で推移しておりまして、現在の推定では年間40万人を超えて、年末には建設関係事業の労働者は約300万人になると予想されております。

    建設の労働者の賃金につきまして、サンパウロでは毎年5月の建設労働者組合と給与改定交渉が行なわれまして、8.01%となりました。昨年の改定率の6.74%に比べましてたいへん大きな給料アップであります。

    4年連続しましてインフレ率の2倍近い上昇でありまして、これが建設価格の上昇の大きな要因となっております。今年の7月の建設労働者の平均給料ですが、888レアルと、工業やサービス業界の平均給料よりも初めて超えまして、高値を記録しております。

    次に表の2ですが、建設資材の価格でございますが、2010年の上期におきまして各資材は値上がっております。特に鉄筋は20%の値上がりがありました。次に表3なんですが、建設工事量の動向を示しますセメント販売量の昨年との比較であります。

    ブラジル北部、東北部の工事量が増大いたしまして、大きな増加率を示しております。ブラジルは世界6番目のセメントの生産量でありますが、今年は東北あるいは中西部の地方ではセメントが不足しておりまして、ブラジルの業界最大手のボトランチン社はベトナムから30万トンのセメントを輸入したそうでございます。

    次にサッシ業界ですけれども、アパート建設が増加しておりまして、受注は順調であります。アパートの件数は増加しましたけれども、工期や価格の面でたいへん厳しい条件でありまして、日系の業界では中々受注が難しいと。政府の進める大衆住宅建設に対しても、サッシにつきましてはやはり価格、品質の面で中々日本企業は取り組みに難しい状況であったと。

    次に表4でございますが、不動産、住宅建設の動向を示しております。住宅の発注件数は2009年前年比で倍以上に増加しておりまして、販売も好調に推移しております。市場の在庫は減ってきていると。

    第一四半期の建設業界の売上は過去最高を記録したおります。最大の要因は個人住宅の回復によるものでありまして、販売価格も前年比で30から40%の上昇となっているそうです。

    サンパウロの大都市圏だけでいいますと、昨年の同期の比較をしますと、約、値段が3倍になっていると、このようなデータもあります。また一番のボリュームゾーンである2寝室の物件につきましては40%以上値上がっておりまして、中間所得層の増加と住宅ローンの整備によりまして需要が急増しているということです。

    特にサンパウロ市以外の周辺都市、ABCDという都市の価格差がですね、大きくなりまして、安い周辺都市に住まれる方が増えているそうです。遠くても安いところで早く買えるという傾向が増えておりまして、今後ますます通勤ラッシュが高まっていくのではないかと心配しております。

    最低給料3倍の所得層を対象とします大衆住宅につきましては、販売価格が固定していますので、それ以外の2寝室の物件の需給バランスが乖離しています。

    しかしながら住宅の必要な世帯の95%が最低給料5倍以下の世帯でありますので、今後も低価格の住宅に対しては需要が見込まれております。ただし最近、消費者保護センターに対しまして、アパートの工期が遅れ期限が来ても入居できないという苦情が出ているということで、アパートの建設はこういった問題を抱えております。

    ブラジルの住宅建設会社、大手はですね、自分が開発して建設している企業が多くて、日本やアメリカのように専業デベロッパーから建設会社が受注するシステムは多くはないんですけど、Bovespaに上場している住宅建設企業大手の上半期の売上と純利益を見てみますと、大手のシレラという会社が売上10億レアルで純益が1.7億。MRV社が7.3億の純益が1.1億。ロッシ社が売上8.4億で純益0.6億。ガフィーザ社が10億の売上で0.6億の純益ということで、今年は純益の増加率の方がかなり大きくなっておりまして、住宅街者は利益率の改善が見られております。

    表5でございますが、住宅融資を利用した住宅購入件数の推移でございます。融資に関するトピックとしましては、住宅購入資金に退職金の積立金を取り崩すことが可能となりまして、1月から11月で30万人が退職金を取り崩して21億レアルの支払いが行なわれたそうです。

    最後になりますけれども、2010年の下期の予測と、当部会で共通のテーマにしましたワールドカップ、オリンピックのブラジル開催、あるいは高速鉄道といった大型のプロジェクトで影響を受けるかどうかについて説明させていただきます。

    下期につきましては本年全般と同様、受注や引き合い案件は増加すると考えております。住宅・アパート建設はますます増加を継続すると。市中の不動産の価格上昇の現象はこれからも続くであろうと。地方の工業用地、工場用地の値上がりにつきましては、これからも顕著になっていく。

    ワールドカップ、オリンピックなどの大型プロジェクトはブラジルの大手ゼネコンが担当する形でございますので、まあ民間相手のゼネコンにはそういった大型工事は回ってこないのではないか。

    したがいまして、この大手ゼネコンと言われるところが、民間工事、商業ビルとか工場建設までは参入してこなくなると。で、建設ブームとなりまして、建設の資材、それから機械、労働者がこれからも不足しまして、値上がりや人件費が上昇していきます。

    一般的な言い方としましては、工期が遅れがち、また品質が低下し、特に工事の安全面では、まあ様々な原因で事故が発生しやすくなっていくということを心配しております。

    当建設不動産部会としましては、このような現況の中で、ほかの建設業者との差別化をはかるため、工期、それから品質を守っていく、あるいは安全を確保する、また環境保全や省エネルギーの取り組みを行なって、設計から施工まで安心できる経営を行なっていこうと、このようなお話をさせていただきました。以上でございます。

    司会
    ありがとうございました。時間は若干オーバーしましたけども、発表は以上です。せっかくの機会ですので、私の方からですね、環境規制に関するコメントを若干、数秒ですけどもさせていただきます。

    私はパナソニックの篠原なんですが、電気関係ですね、特に電気関係の環境規制というのは今年の11月から製品回収を義務付けられているということなんですね。

    乾電池の場合は、普通の乾電池ですとごみに捨てて、ごみ処理で本当は害するものは現在のところないわけですけども、そういうことがすでに制度化されておりまして、12月から生産者あるいは輸入業者が電池を売った場合、必ず回収の義務を持つということがあります。

    と同時にですね、この8月2日にですね、ルーラ大統領がサインしまして、要するに固定産業廃棄物の国家法案というのが出まして、これは法令化されて、今までばらばらに州・市が環境規制の法令をもって実行してきたわけですけども、国家法令という形で8月1日から新しい法令が発令されております。

    内容的には、法令ですので、細則が出ないと実行に移せないわけですけども、その細則がおそらく90日以内ぐらいに出ます。そうしますと、内容的には、先ほど電池の事を申し上げましたけども、家電商品は全て、国内生産あるいは輸入に関しても回収が義務付けられるということで、要するに消費者からお店、お店から焼却工場への運搬ですね、そういったことをインポーターあるいは生産者が負担しなくちゃいけないということになっていきます。

    これが最近では非常に新しい要素ではないかなということで、ちょっとコメントさせていただきました。引き続きまして在ブラジル日本国大使館のブラジリアからお見えになっています佐久間書記官様にご発言をお願いいたします。

  • コメント 在ブラジル日本国大使館 佐久間有児書記官

     

    日本国大使館から参りました佐久間と申します。本日はお招きいただきまして誠にありがとうございました。

    私は大使館に着任してからまだ1ヵ月半しか立っておりませんが、本日の皆様のご説明は普段から私が知りたいと思っていることが非常に多くて、大変勉強になりました。

    今後の経済面における日本とブラジルのお付き合い、どのようにしていけばいいか考える上での一助にさせていただきます。また、私は移転価格税制も担当しておりまして、本日のご説明の中でも移転価格税制言及されておりました。

    今後とも移転価格税制につきまして皆様のご懸念を少しでも払拭できるように努力していきたいと思っております。本日はどうもありがとうございました。

    司会
    では今日のセミナーの講評に、いつもいつもお忙しい中お時間を割いていただいております在サンパウロ日本国総領事館の大部総領事様に講評をいただきます

  • 講評 在サンパウロ日本国総領事館 大部一秋総領事

     

    こんにちは。大部です。高いところから失礼いたします。いくつか所感というか、感じたことを述べさせていただきます。あの、皆様の方が、釈迦に説法みたいなこともあると思いますので、その辺はお許しいただきたいのですが。

    まず第一点に、私は去年の1月に着任しましたが、当時の業種別シンポジュームの様子を思い浮かべるとですね、暴風雨、曇り、雨、まあこれは西岡さんの有名な表現を使わせていただいてるんですが、ばっかりでですね、まあリーマンショック後の急激な落ち込みに、沸いたというか、沈んだというか、そういうシンポジュームで始まり、今わずか1年半でこういう、例えば機械金属部会全業種が好調とかですね、電機電子部会、繊維、化学、食品、運輸サービス皆さん好調という、まあ1年半でこうも変わるのかというぐらいなシンポジュームの状況に、非常に驚いた次第です。

    いつもながら大変貴重な資料、貴重な分析、貴重な内容の報告をしていただいて、深く御礼申し上げますし、すばらしいありがたい会合だというふうに思っております。

    本当に去年と比べて、まあ2009年マイナス0.1%でマイナス成長したと、0.1%惜しかったんですけどゼロより下がっちゃったと。それで今年7%超える成長に、2008年が5.何パーセントですかね、その5.数パーセントからマイナス0.1、7%と急激なV字カーブというのはこういうものかなというふうに感じております。

    まあ需要が落ちたので、その穴埋めで需要が伸びてそこを生産が増加するというのは、ある意味で当たり前のような話だろうとは思いますが、それにしてもすごい勢いであるなというのを最初に感じました。

    二点目として、今日のご説明を聞いていて、まあ皆さんお感じになったと思いますけれども、ブラジルの経済はリーマンショック以後の停滞を脱して、成長軌道に乗ったといえるのではないかと思います。

    今後10年ぐらいのタームで考えた場合、いわゆる成長軌道に乗った後テイクオフしたな、という感じはします。そうすると、そういうことであると、問題は持続性と安定性です。

    でどこまで持続するのか、どれほど安定的に推移するのかというところが今後の分析の関心の対象になるというふうに思います。非常に政策に敏感に反応する市場が出てくると思いますし、先ほどからのご説明でも、競争は激化するだろうと。

    まあ品質、価格の面で相当競争は激化するということはもう韓国の自動車勢の進出・輸入増でもうかがえたところですけども、そういう意味で今回、韓国なり中国なり欧州勢なりがどういう分野で投資を伸ばしているのか、どういうふうに競争の中に入ってきているのかというような分析というんでしょうか、情報なんかも今後は必要になってくるのではないかと思います。この激しい競争が展開されていく状況になっていくだろうというのを感じました。

    持続性と安定性ですが、持続性についてこれは私の感じですが、国内消費がGDPの6割、それからD層あたりが拡大して上に上ってきていますので、国内消費の拡大は引き続き続くでしょうし、大きいと思います。

    それからコモディティ。まあプレサルの石油も含めてコモディティの問題、これは非常に有利な、ブラジルにとって絶対的に有利な点でもある。それから2014年のコッパ、ワールドカップ、2016年のオリンピック、2012年にも色々会議が入るようですが、10年ぐらいについてこの国内消費、まあ人口今1億9000万ですけども、2040年ぐらいには2億2000万までいってそれから下がるという分析が出てますが、2億2000万ぐらいの市場に向けて相当大きなインパクトを有するということで、持続性についてはまあこれが落ちるとかなくなるとか、消えるとか、経済成長がポシャっちゃうというようなことは、こういう意味で無いだろうと私は思っております。

    安定性については三つぐらい今、短期的、中期的に考えなきゃいけないんだろうなと。まず第一にインフレだと思います。2009年に非常にこの、中銀がSelicを8.75にまで落として、また上げてと、非常にうまい政策運営をしていると思いますので、引き続きこういう形でインフレにかなり焦点を置いた政策が取られていくものと思います。

    まあ賃上げも含めて、土地のバブル的な上昇も含めて、需要が回復してきて生産能力の範囲内で経済が伸びている間はいいんですけれども、インフラ整備も含めて、供給が足らなくてインフレに転じていくというような様相が今後出てくるのではないかということで、まあインフレは一つの要注意な話であろうと思います。

    もう一つは為替。為替が非常に、1.7から8の間で推移していますけども、競争力の低下ということで指摘されていましたけども、確かに国内産業せっかく育ってきたんですが、輸入が増えることによって工業競争力が低下してしまうとか、コスト高という話もあるので、為替についても相当コントロールするなり、注視していく必要があるのではないかというふうに思います。

    3番目に、よく言われることですけども、経常収支の赤と。経常収支の赤を今証券投資で若干カバーしているというような面もあるんですが、貿易収支の黒で外貨を貯めて、実質的に経常収支を維持していくというような面から、金融的な面で経常収支を支えているというのは若干外の要素で影響を受ける少し心配な要素もありますので、この経常収支の赤字をどういうふうに資金手当てし、証券投資の動向がどういうふうになるのかというのも非常に注目されるというか、見ていく必要があるのかなと。この三点は安定性という意味では影響を与えていくものではないかなというふうに思います。

    最後に、そうしますと今後どういったことがポイントになるのかなというふうに思いますけども、私なりに、一つはさらに従来より増して政府のマクロ経済政策、それから税制を含めた優遇策のハンドリングというのが敏感に経済に影響を及ぼしてくるのではないかというふうに思います。

    したがって中銀なり財務省なりの、このブラジルの政府のマクロ経済政策の重さ、重要性というのが増してくるのではないかというふうに思います。二点目として、インフラの整備があると思います。

    先ほど運輸部会で畠山さんがおっしゃってましたけど、まさに心配していたのは電力、港湾、空港、こういうインフラの話が、サプライサイドの方、インフラ整備の方でそれがボトルネックになる可能性も少し出てきているのではないかなという感じがしますので、この辺が非常にポイントになると思いますが、逆にこれはまたチャンスでもあると思います。

    三番目は中国、ユーロ、まあギリシャ危機に始まったユーロの金融危機とかありますが、世界の経済環境の変化が、ブラジルの国内的な要素が強いだけに、よりこちらの方にも目配りをしていく必要があるのではないかと思います。

    総じて言うと、サンパウロの商工会議所、ブラジルの商工会議所の視点というのは、もうすでにブラジル国内だけの視点では論じられない状況に来ていると思います。ヨーロッパがどうか、アメリカがどうか、韓国中国がどうかといったことを踏まえたものの見方をしていくべきであろうと思うし、そうするほどもうブラジルの経済は大きくなっているんだというふうに感じました。

    簡単ではございますが、そういうことをちょっと感じましたので、講評として述べさせていただきました。本当に今日はありがとうございました。

    司会
    大部総領事様どうもありがとうございました。では、磐田信用金庫の高木理事長様にお言葉をいただきます。

  • 磐信ミッション団長ご挨拶 磐田信用金庫 高木昭三理事長

     

    皆さんこんにちは。磐田信用金庫の理事長の高木でございます。私どもの磐田信用金庫は、磐田市、浜松市、そして袋井市、掛川市、菊川市、そして牧の原市、静岡県のこの市を中心にして営業活動をしている地域の金融機関でございます。

    その金融機関が本日は、当行の取引をしていただいている皆さん、そしてブラジルに大変関心を持っている皆さんの経済ミッションという形で、このブラジルへやってまいりました。

    そういう点で、この先ほどからずっと聞かせていただきましたけども、業種別のシンポジューム、大変すばらしいもの、そして我々が期待して、ブラジルを知りたいこと、そのことの全てがここでお聞きすることができました。

    大変ありがたく思っております。またこういう会にお招きをいただきましたことを感謝申し上げますとともに、皆様とご一緒させていただいたこのこと、大変光栄に存じます。

    また、今回の視察におきまして、関係者の皆様には多大なるご支援やご配慮を賜りまして、視察団を代表いたしまして心からお礼を申し上げます。私どもの、この磐田市、浜松市周辺は現在約3万人ほどの日系ブラジル人の皆さんがおりまして、そして生活しているわけであります。

    そういうことから、我々この地域の者にとりましても、大変このブラジルへの関心が強くなっております。そういうことから、磐田信用金庫、地域の金融機関がなぜブラジルへというふうに思われるかもしれませんが、ましてや磐田信用金庫とカイシャ銀行、ブラジル連邦貯蓄金庫と業務提携をしておりまして、2005年の5月、そのころはちょうどブラジルの日系ブラジル人の皆さんが磐田、浜松周辺で、外国人登録をしている人たちばかりじゃなくて、それ以外の人たちも大勢おりまして、約6万人ほどいたわけでありますが、そういう皆さんが日本へ来て、いわゆる1時間でも多く、そして1000円でも多くお金をいただく、給料を取るというようなそういうことを考えた出稼ぎに来ておりました。

    そしてそのためにも、働くことが第一でありましたものですから、子供たちをほっといて、もっと言いますと2歳3歳の子供を、お菓子を置いてテレビをつけっぱなしにして外から鍵をかけて仕事に出かけるだとか、あるいはそれより上の子供たちは外へ出してしまうというような形で、いわゆる働いておりました。

    そういう状況を見ておりますと、我々みたいな地域の金融機関にとりましては、その地域をいかに良くするか、そしてそこで活性することによって我々地域金融機関としては収益を上げる、あるいはより企業としても成り立っていくということでありますから、こういう子供たちが将来3年5年10年15年とそのような状況でいた時に、これは大変な問題が起きるだろうということから、私はこういう子供たちの教育の問題を考えました。ちょうどそのときに、先ほど2005年の5月でありますけれども、カイシャ金庫の頭取のアドバイザーが当行に見えてくれました。

    でこういうお話をしたときに、それをもって当時のマトーゾ頭取でありますけれども、その頭取にお話したときに、こういうことを一緒に、何とか、海外にいるブラジル人の子供たちの教育だとか、そういうものを考えていきたい、どうか一緒にやろうよというお話がございまして、翌年の3月に業務提携という言葉で一応私ども磐田信用金庫とカイシャ金庫は提携をいたしました。

    我々の信用金庫で出来る仕事というのは、そこで働いている皆さんのブラジルへの送金の手助けをするだけでありました。もっと言いますと当時は金額によらず、一回4500円の手数料がかかっておりました。

    現在は私どもカイシャ金庫といろんな開発をいたしまして、現在ではATMでそのまま送ることができますものですから、一件あたり1000円で済むことになりました。

    手数料が1000円になりましたし、同時に時差がありますものですから、その日のうちに送金することが出来るという状況まで作り上げて現在いるわけであります。

    そういう中で今年の6月に私ども創立60周年を迎えました。その時に、現在の頭取が日本に見えまして、東京とそして浜松市で、日系のブラジル人の皆様を中心と最初は考えましたんですけども、企業の皆さんが大変ブラジルに対して関心を持っているものですから、浜松で経済講演会を開きました。地方でブラジルの経済講演会を開くというのはほとんどなかったものでありますし、それがどれくらい集まるかというふうに大変心配したんでありますけども、250人を超す皆さんがこのブラジルに関心を持って、講演に出てくれました。

    同時にその後からは私どものところ、いろんなところへ、どうやってブラジル、これからビジネスとしてやれるだろうかと、いろんな話が出てまいりましたものですから、今回こういう形で経済ミッションを連ねましてここへ来たわけであります。

    都合8日間という大変短い時間であります。同時に中小企業が中心でありますから、一週間、10日留守にするということは中々できないものですから、このブラジルへ着たいという人たちは大勢いるけれども、今回においては人的な余裕のある皆さんだけでありまして、8日間ということになったわけであります。

    そういう点で、このブラジルの経済力、そして企業、それをしっかり視察をしてまいりたいというふうに存じます。またこの視察での経験を生かして、我々は微力ながらもあらゆる面での協力を通して、両国の発展のために鋭意努力してまいりたいというふうに思っております。

    我々のできることは、先ほど申し上げましたけども、子供たちの教育、ですから今日本で仕事が無い、派遣会社で働いていた人が大勢おりましたものですから、その人達は日本語を覚えるよりもお金を稼ぐことが先でありましたから、そういう点で日本語の話せない人達がまだ何人も、何十人も何万人もいるわけであります。

    そういう人達のための、いわゆる日本語の教育をする、そういうことを少しでも応援できれば、そして子供たちの応援ができればというふうに考えて、今後とも進めていきたいというふうに考えております。

    私の場合は、ここにいらっしゃる皆さん方と少し違いまして、ビジネスというよりも日本にいる日系ブラジル人の皆さんのお役に立てるようなことをやっていくと、これも地域金融機関の大事な仕事だというふうに考えておりまして、現在進めているところであります。

    また、取引の中小企業の皆さんにも、当行の取引先の皆さんは逆にブラジルでどういう仕事ができるだろうか、ビジネスができるだろうかということで考えているわけでありますが、今後ともぜひ皆様からご支援とご協力をいただきたいというふうに思っているところであります。

    どうか今後お互いの協力関係の強化とともに、皆様のますますのご発展と、そしてそれを祈念いたしまして、簡単ではございますけれどもごあいさつとさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

    司会
    高木理事長様、どうもありがとうございました。それからミッションの皆さんもご苦労様です。では閉会の辞を近藤総務委員長にお願いいたします。

  • 閉会の辞 近藤総務委員長

     

    各部会の皆様、労作どうもありがとうございました。マクロの全体の動向とあとミクロ、現場の生の動向を一度に把握・整理することができ、実り多きものであったと思います。

    ただ先ほど大部総領事からもコメントをいただきましたが、まだまだ改善すべき点は多々あると思いますので、創意工夫を重ねていきたいと思います。あらかじめ皆さんからご質問とかご要望をお聞きしてですね、またそれを反映させていくということもやっていきたいと思います。

    次回は半年後、2011年の2月ですね、予定しております。新大統領、それから新しい理事、国会議員、新しい政権が発足しております。より明るい話題が出てくることを期待しております。

    これにて閉会とさせていただきますけども、この後カクテルパーティー、約1時間でございますので、ぜひ皆さん参加していただいて情報交換そして懇親を深めていただきたいと思います。本日はどうも長時間ありがとうございました。これにて閉会とさせていただきます。

 

全プレゼンテーション

 

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