通商-合法性と正当性、有効性

ブラジルの貿易政策の運営には、2つの柱がある。1つは、通商の保護が及ぶ範囲を拡大させること。もう1つは、工業政策の中核を担う道具としての、貿易政策の活用だ。どちらも保護貿易主義的色彩を強めるが、その合法性と正当性、有効性から照らして評価を受ける必要がある。通商の保護について言えば、中核となる3つの特徴を持っているように思われる。第1に、この問題が大統領府が取り扱う課題としてレベルが引き上げられたこと。第2に、「違法」あるいは「不正」とみなすあらゆる行為への対策を取り込んで、この保護メカニズムが及ぶ範囲を政府が拡大させたこと。そして第3に、通商の保護のための伝統的手法のマネジメントが、アンチダンピングに対する権利の行使にとどまらず、よりアグレッシブになったこと。一般的にこれらの施策は合法的で、言い換えれば、その適用にあたっては世界貿易機関(WTO)の多国間協定で成文化されたルールと矛盾しない。同様にその運用も、かつてブラジルの輸出対策のために利用されたルールを採用すればブラジルの立場に矛盾が生じはするが、いずれにしても正当性がある。しかしながら有効性については制限を受ける。このような施策は競争に困難を来しているいくつかの業界や製品にとって暫定的な改善には有効だが、中国と競争を演じるために「卸売市場」で解決を与えてくれる力はない。

工業政策の枠組みで貿易政策が行使されることに関して言えば、さらに3つの特徴がある。1つ目は、新しい工業政策を策定するにあたって、政府が貿易政策を優先したということ。恐らく、為替政策と財政政策、憲法改正といった手段を講じることは経済的、あるいは政治的に実現不可能と判断したのだろう。2つ目は、新たな施策では広範囲に助成・支援をサポートするが、技術的障壁と差別的な課税をも含んでいる。3つ目は、その策定において、ブラジルの貿易政策の正式な制定プロセスを軽視したことが指摘できる。

通商の保護とは異なり、これらの施策の大部分は、違法とされる可能性がある。輸出に関係しない助成と、現地調達品の使用に関する助成については、適用する特定のケースによっては偶発的には違法とみなされることにもなる。一方、差別的な課税と現地調達品の使用に関した助成、現在の自動車業界の新制度については、その違法性は甚だしい。

これら一連の違法行為は、交渉の場がWTOだろうがG20だろうが、中国と米国、アルゼンチンというブラジルの主要な貿易パートナーが導入した障壁を批判する我が国の正当性を傷つけかねない。

最終的に、これらの施策の有効性も、同様に疑わしい。(合法的な)助成制度を使用することは、原則論として、国境において障壁を導入するよりは経済的には優れている。というのも、ブラジルの国内工業の競争力の問題の解決に向けて必要とされる判断を下すことが容易だからだ。しかしながら、それは国庫のキャパシティーという制限を受けるので、実際のところ、「ブラジル・コスト」の構造的問題を解決できない。

こうした様々な問題に加えて今回の工業政策の発表は、広範囲な議論と貿易審議会(Camex)によってこれらの施策を採用することが必要という貿易政策の策定プロセスの手続きを、政府、とりわけ財務省が、適切に踏んでいないように思われる。

このエピソードは、Camexから大統領府に権限が移されたという点だけでなく、機能の点でも関心の点でも、そして伝統という点からもこの国が導入する貿易施策の合法性と正当性、有効性に対して強い関心を払っている機関としての開発商工省と外務省によって貿易政策を運用されるという点からも、一連の手続きには改善の必要性があることを明確に示した。

ジエゴ・Z・ボノモ ブラジル・アメリカ・ビジネス協議会公共政策担当理事 (2011年10月5日付けエスタード紙)

https://camaradojapao.org.br/jp/?p=35708