ジョルジェ・J・オクバロ
狡猾で、気難しく、難題ともいえる現実に、ジウマ・ロウセフ大統領とその側近が直面している。実質金利は近来なかった水準まで低下し、連邦政府が経営権を保持する官営銀行はかつて見られなかったような積極的な融資を展開、様々な業界を対象に減税も行われ、歳入の増加ペースが鈍化していることなど嘘のように政府は支出を継続しているが、これらはいずれも、結果につながらないだろう。恐らく、国内消費は堅調に推移し、その結果、労総市場は雇用の面でも給与の面でも良好な状態を維持するだろうが、生産が横滑りして生産投資が減少、そして、インフレはかたくなに低下せずにある時は上昇圧力が加わると思われる。ドル高レアル安は工業生産どころか輸出にも狙ったような刺激を与えることもなく、この不振が次にはインフレ圧力になり、財政は青息吐息、経済活動も、そして、政府に賞賛をもたらした雇用の創出も、期待されるペースで推移せずに、いずれ息切れするだろう。
職業柄か見通しの無さからか、政府内部では、こうした事態が起きていることを認めない人がいる。インフレは低下しているとか、レアル安は工業部門に競争力を与えたとか、あるいは2012年以上の経済成長を達成する(ただしこの年のGDP成長率は極めて低いわずか1%と見られることに注意したい)、財政政策は堅実にして卓抜している、ブラジル関連での国外の情勢は極めて楽観的、国外ではブラジルを「有望な」国と見ているなど、これらはいずれも、ギド・マンテガ財務大臣の直近の発言である。こうしたことから同大臣は、自身と経済政策に対する批判について、投機目的で稼ぐことを目的とし現在金利の低下により「涙目」の人々からのものだ、と主張する。
以前ならそうだろう。「涙目」には至っていない人も、高金利時代に投機してきた人は、状況を懸念する相応の理由がある。
こうした発言で政府は、社会に活気と落ち着き、そして良好なムードを醸成しようとしているが、実際の行政は、懸念と不確実性、不安を拡大させている。税収の落ち込みと特定の経済部門に対して与えられた優遇措置により歳入が縮小していることで、一層厳格な財政政策を採用すべきところであるが、この分野では引き続き、何も変化が生じていないかのようにふるまい続けている。
この判断に伴うネガティブな結果が大衆の前に明確に示されることがないよう、政府は、公社の配当を前倒しするとか、経済危機に対応するため2008年に設立されたファンドの資金を活用する(ただしこれは財源を拡大するには至らなかった)、プライマリー収支黒字の目標を引き下げるといった、会計操作あるいは財政操作を行った。こうした操作にもかかわらず、2012年の公会計の結果は芳しくなく、財政政策の緩和が危険な水準にあることを示した。
いかに高貴な目的があるにしても、政府が採用した手法は、矛盾と言おうか、自滅的である。一般家庭と工業向けに電気料金を引き下げるという政策は、その好例だ。この値下げには、誰も反対しない。むしろ逆に、家計の財布のひもを握る人や企業の役員は、誰もがこれを支持するだろう。だが、政府が採用した手法は、業界各社の財務に影響を与えることなく将来の電力供給にリスクをもたらさず、中長期的に持続できるかどうかという点で、疑問を投げかけた。州政府が経営権を保有する一部の公社が拒否したように、一般家庭向けに16.2%、工業向けに28%の値下げすることを事業認可更新の条件として約束することは、業界にダメージを与える。にもかかわらず、ジウマ・ロウセフ大統領は、更に大きな、それぞれ18%と32%の値下げを発表し、結果として国庫管理局を財源とする助成が拡大する。これは、公会計を悪化させることになる。
直接であれ間接であれ、国庫管理局は、政府のその他の計画にも助成を行う。その1つが、ブラジル国民の航空機利用の促進を図る地方航空便の拡張計画だ。政府狙いは、その線ではやや意欲に欠ける発表になっているが、定期航空便による地方空港網を拡大し、これらの空港から100km以内に居住する人口を全国民の90%以上に引き上げるというものだ。
現時点で定期便が飛んでいない地方航空便の促進に向けて、政府は、旅客の負担するはずの空港利用料にとどまらず、航空会社が利用する料金も、全て負担することになる。その上、それぞれのフライトの座席の60%を上限に、航空料金を最大50%負担する。その目的は、航空機による旅客輸送がバスに対して競争力を獲得することにある。だが、それは難しいように思える。
インフレ圧力が低下しているとは言うが、その対応を通じて政府が憂慮していることは明白だ。当初の公約以上に電気料金を値下げしたほか、サンパウロ州政府とサンパウロ市役所に対する地下鉄料金とバス料金の値上げ先送りの申し入れ、ペトロブラスの財務能力の極限まで押しつける燃料価格の圧迫(今回の値上げは同石油公社の財務状況を緩和するだけにとどまる)など、疑問の余地がないほどだ。ドル安レアル高を狙った外国為替市場への介入にしても、工業生産と輸出の促進に目的はなく、インフレへの懸念から来た対応なのは明らかだ。
政府は企業に投資を求めている。ところが、それには信用を回復しなければならない。発言と行動に一貫性を持たせることが、最初の一歩だ。しかもそれは、政府自身の手にゆだねられている。
※ジャーナリスト、「オ・スージト」(バンザイ・マサテル!出版社)著者。
(2013年2月4日付エスタード紙)








