論評【果たして信じられるのか?】

スエリー・カルダス

再選を果たしたジウマ・ロウセフ大統領は、過去4回のテレビ・インタビューで、次のように力説した。つまり、「何が何でも(略)徹底的に推進し(略)捜査結果の全体像を民衆は知るところとなるだろうし(略)我が政権下で不処罰など行われないし(略)今後はペトロブラス問題に注意を払う」。これは、ペトロブラスの資金が横領され、労働者党(PT)と連立与党に所属する政治家にわたったとする告発に対して、ジウマ大統領がコメントしたものである。憤り、憤懣やる方ない表情で彼女は、その姿をテレビを受けて見た人々を説得できはしただろう。だが、12年に及ぶ政界の利権分配は、ペトロブラスに限らず、あらゆる公社、さらに、過剰なコストの工事と捜査が及んでいない工事、いつも公社に損失をもたらす取引、そして、選挙戦で政敵のアエーシオ・ネーヴェスに問いただされながらもジウマ大統領が沈黙を守った1つひとつの問題に及んでいるのである。

第1次政権の発足を前にした2010年、ジウマ大統領は今回と同じように、汚職について彼女自身が「悪事」だと位置づけた上で、これに対しては和解するなどあり得ないというコミットメントを発表していた。そしてその後の4年間、このコミットメントは霧散した。今回はどうだろうか? ブラジル国民には、彼女に信任票を投じるだけの理由があるだろうか?

汚職で告発された大臣を罷免した2010年、彼女は、告発に反駁せず汚職対策に努めようとしたことは事実だ。だが、ルーラ前大統領の助言を聞き入れ、すぐに振り上げたこぶしを下ろした。波風を立てず、可能な限り多くの政党を、それも、ペテン師の寄り合い所帯というこの国では少なくない政党であろうと意に介さず連立与党に取り込み、2014年に再選を確実にするために。同じくルーラも、ギブ・アンド・テイクという慣行で政権をスタートさせたわけではなかったが、結局はこれが、コーロルとサルネイも含め、過去の為政者に例を見ない規模の支持を取り付けるための原動力になった。ルーラ政権下ではあらゆるものがこの取引の対象になり、業界の自立と政治からの独立を象徴すべく誕生した業界監督庁ですら、政治家の天下り先として割り当てられるカードになった。話を、ジウマ大統領に戻そう。

ジウマ大統領はインタビューで、グラッサ・フォステル総裁がパサディナ精錬所の汚職疑惑を調査するために社内の調査委員会を設立すると発表した時の言葉を繰り返した。つまり、2014年3月26日付けのオ・グローボ紙とのインタビューで、「断固として、我々は捜査を進めるのであり、一切を逃さない徹底的なものになる」と発言してグラッサ・フォステル総裁に圧力をかけた。ジウマ大統領はただ、「一切を妥協しない徹底的なものになる」という発言の字句を変えただけなのだが、脅しであることには変わりがない。パサディナ調査委員会に与えられた調査期間は45日間で、それも5月に終了した。ところが、証券委員会(CVM)には送付したとペトロブラスは言うが、同社が発表しないために、今に至るも、ブラジル国民はその調査結果については、蚊帳の外に置かれている。

またグラッサ・フォステル総裁は、3月時点のインタビューで、アブレウ・エ・リマ製油所の工事に対して社内調査が行われていないことについて、「それを正当化するような材料がない」と説明していた。連邦警察は、同総裁とは大いに異なる考えのようだ。ラヴァ=ジャット汚職捜査で連邦警察は、ペトロブラスのパウロ・ロベルト・コスタ前理事の証言から、同製油所に関連して財界関係者と政界関係者による無数の汚職が存在することを明らかにした。数か月に及ぶ数々の告発でペトロブラスは満身創痍になり、ようやく、10月も終わろうという頃になって同社の経営陣は、アブレウ・エ・リマ製油所問題を内部調査する判断を下した。

2010年、そして2014年3月と10月に大統領がコミットメントを繰り返したが、その台本まで使い回しだ。そして、不処罰も続く。このように、ペトロブラスの汚職に対して徹底的に戦うとジウマ大統領が何度もたてる誓いは、全くもって、信用するにもしきれない。その上、労働者党(PT)が私物化した公社に関与したとされる政治家と元理事に対して「何が何でも」捜査するだって? 彼らは、政党から除名処分を受けるだろうか? ブラジル国民の側は、PTの世界では困難至極な、しかしその実とても単純なものに、既に適用して生きている。つまりそれは、サルネイ元大統領がまるで「荘園」のようにエレトロブラスに持っている既得権にジウマ大統領が終止符を打ち、公社役員の指名に対して唯一の基準、つまり能力主義を採用するという世界のことである。

ペトロブラスのスキャンダルには新展開があり、ようやく、アメリカの司法省と証券取引委員会(SEC)が同社の汚職調査に着手した。この調査は、ジウマ大統領とPTの影響力が及ばぬところで進められるという点に、大きな違いがある。SECは、アメリカの資本市場を監視し、アメリカの株主の権利を侵害した企業に対して、厳格に処罰する。司法省はアメリカの利益を保護しており、ルーラ政権とベネズエラのチャベス政権との間で行われた(そして結局ベネズエラ側は参加しなかった)アブレウ・エ・リマ製油所の建設交渉の裏側に関心があるように思える。その進捗を見守ろうではないか。

スエリー・カルダス ジャーナリスト、リオデジャネイロ・カトリック大学(PUC-RJ)教授
 

 

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