【現実を受け止める時が来た】

国際女性の日に合わせて行った演説が全国的に中産階級の強い反発を受けるという不幸な結果につながったことから、ジウマ・ロウセフ大統領は、身の弾劾は全くもって理由がないと発言するために報道機関に駆け込み保身に務めた。これについては、深刻な状況になったという以上の現実的な脅威にまで発展しないのだから、共和国大統領はこの問題に対して懸念すべきではない。行政府の長に対して法的な官職剥奪を提案する急進的なセクターが存在するだけでなく、政治的にも国民レベルでも過半数がジウマ大統領に反対しているのは明白であるが、良識的に見て、今は弾劾について議論すべき時ではない。反大統領派は大統領選挙の「第3次投票」に持ち込もうと画策しているが、その議論は余りにもばかげており、月並みな主張で、政治に対して単細胞な思考と行動を常とする労働者党(PT)と変わりがない。

PTが考え、反応した流れはこうだ。驚いた党首脳が土曜の夜に集まり、反ジウマのデモの反響を評価し、「ブルジョアジーとアッパーミドル」階級によって展開される「政権転覆のバイアスが掛かった大合唱」が、「扇動者の希望するように大規模化せず限定的な活動にとどまった」ものだと位置付けたのだ。

要するに合法的かつ民主的な民衆の抗議行動というのは、PTにとっては、思想的に操られた団体や組合、学生による計画的な、あるいは組織的な運動に限られるということだ。それ以外の抗議行動は、その発生の来歴が明確でないために政治的に不適格という烙印が押される。つまり、PTに槍を向ける者は民衆に槍を向けているのと同じという思考回路だ。

例えばこの日曜日(8日)の演説でジウマ大統領は、PT政権下で4千万人以上のブラジル国民が中産階級に「昇格」したと自慢したのであるが、いかに彼女がこのようにお世辞を並べたとしても、PT首脳部にとって中産階級というのは民衆には含まれていないのだ。

この日曜日の抗議運動に対するPT首脳部の激しい憎悪を伴う批判は、ジウマ大統領がとった態度と矛盾する。「第3次投票」というストーリーに脱線したにもかかわらず、大統領はこの抗議行動が合法的で、民主的だと認め、「異なる意見との共存」が必要だと認めた。党首脳部のように、大統領はこの抗議行動を純然たる違法なものとしては扱わなかった。

ジウマ大統領の発言は、抗議行動について言及するためにアロイージオ・メルカダンテ官房長官が繰り返し取り上ることとなった。同官房長官によると、平和的な意思表示はすべて「民衆の権利」である。そして「第3次投票」を念頭に、同官房長官は、4回連続でPTが大統領選に勝利したという事実から依然としてPTが優位にあると主張した。だがメルカダンテは歴史に名を残すPT党員という重責から、彼らが決して学んだこともないような教訓を垂れるという誘惑にあらがえなかった。曰く、「寛容と対話、そして敬意を払うことに根差した文化を築く必要がある。意見を集約するという作業は、我が国が構造的な問題を克服するにあたって最も基本的なものである」。

寛容と対話、敬意というのは、20年以上にわたる野党時代を過ごした12の政権を通じて、PTが一度たりとも実践したことのない行動規範だ。意見の集約に至っては、さらにひどい。ルロペチズモ(ルーラ政権に始まった大衆扇動的な労働者党の政策)は、対立するものを常に抹殺すべき敵と見なしてきたし、我が国が重大な岐路に立った時に彼らが声高に異論をはさんで重要な判断に反対を唱えたことは、1988年憲法やレアル計画、財政責任法など、枚挙すればいとまがない。それが今では、自らの政府の無能さによって引き起こされた危機的状況に満身創痍となる中で、自らを道徳的権限と見なし、「意見の集約」を断行するに足る信頼性があるとうぬぼれているのは、あまりにも滑稽だ。それどころか、厚顔無恥にも、それを強く要求している。

今になって不安を訴え「意見の集約」を求めているこの人たちが、ブラジル民主社会党(PSDB)の政権下で、政治的に成功を収めた公社の民営化に反対して「FHCは退陣せよ」というスローガンを掲げそれを要求したのと同じ人間だとは、信じがたいものがある。また、当時、だからと言って今回のように、「第3次投票」を実現しようと理由なく訴えているという政権からの非難もなかった。なぜならそれは、テクニカルな面から不可能だったからだ。フェルナンド・エンリッケ・カルドーゾ(FHC)の対立候補になったルーラは、2度の選挙でいずれも、1次投票で早々に敗北したのである。

異議を唱える勇気を持った人々に全力で反発する前に、大統領とPTのエリートたちは現実を直視し、5か月足らず前に実施された第2次投票でブラジル国民のほぼ半数からノーを突きつけられていたことを、深く考える必要がある。その日以降、現政権にノーを突きつける人は増え続けているのだ。(2015年3月11日付けエスタード紙)
 

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