ワールプールは2015年上半期の売上高が前年同期比15%下落、家電製品の生産も2007年の水準まで落ち込んだ。
家電メーカーで国内最大手のワールプールは、不況を受けて売上が15%下落し、冷蔵庫とオーブンレンジ、洗濯機の生産も2007年の水準まで後退した。サンパウロ州リオ・クラーロ市とサンタ・カタリーナ州ジョインヴィレ市、アマゾナス州マナウス市に工場を保有する同社は、2015年2月、在庫を削減するため生産にブレーキをかけて集団休暇を実施した。さらに7月には、休暇が同社管理部門にも波及した。同社の工場は現在、生産能力の70%以下という水準で操業している。ワールプールのジョアン・カルロス・ブレガ・ラテンアメリカ担当社長は、「問題はファミリーサイズのパイが、今では、一口パイに変わったことだ」と話す。
同社の生産削減は、人員削減と合わせて実施した。集団休暇から4,000人を復帰させず、当面は、従業員の新規採用を再開する予定もない。ブレガ社長によると、経営戦略の修正は予定していないという。為替相場でドルが値上がりしている状況ですら、同社長は、グループ企業のエンブラコによるコンプレッサー輸出を直ちに後押しするものではないと受け止めている。
なお同社は、グループ内ではラテンアメリカ最大の規模を持つブラジル国内事業を切り分けてデータを公表していないが、ラテンアメリカでは2014年に96億6,000万レアルの売上を計上、従業員数は1万3,000人である。以下は、同社長とのインタビューである。
エスタード 2015年上半期の売上は、いかがでしたか?
ブレガ 2014年同期と比較して、15%落ち込んだ。これほどの落ち込みは、しばらく経験したことがない。
エスタード 設備稼働率はどの程度でしょうか?
ブレガ 現在、70%を下まわっている。
エスタード この落ち込みで、上半期の生産はいつの年代の水準まで後退したのでしょうか?
ブレガ 2007年の生産水準に等しい。だがワールプールは危機的な状況にあるわけではない。相対的なシェアは非常に堅調だ。問題は、次のように説明できるだろう。つまり、これまでファミリーサイズだったパイが一口パイになった、と。弊社が2015年の予算を策定した2014年7月、私たちは、大統領選があり、当選するのが誰であれ、財政調整への着手を余儀なくされると認識していた。中国が恐らくこれまでのように勢いのある成長を達成しないとも、私たちは受け止めていた。これらはすべて、多かれ少なかれ市場から得た材料だ。そして私たちのシナリオはどうだったか? 2014年第1四半期に業績が極めて堅調だったことから、2015年第1四半期は前年同期と比較して業績が落ち込む。2015第2四半期は、前年同期にワールドカップが開催されて誰も白物家電を購入しなかったことで、成長する。2015年第3四半期には横滑りし、第4四半期は連邦政府が実施する財政調整に依存する。とは言え2014年12月の売上は、弊社が想定したようなものではなかった。そこで2015年2月に入って弊社は、在庫調整を目的として、マナウス工場以外の全工場で、予防措置として生産を停止した。これ以降、弊社の在庫水準は調整済みだ。工場全体の操業停止を必要としない若干のブレがあるのは当たり前。つまり行われているのは平常の、整備のためのラインの停止だ。私たちは7月に事務職を対象に集団休暇も実施した。
エスタード 御社は、4,000人を削減したのでしょうか、それとも復帰させなかったということでしょうか?
ブレガ 弊社は今、新たに採用していない。契約については極めてシビアに対応している。
エスタード さらに調整を加える可能性は?
ブレガ それは、弊社の計画にはない。
エスタード 下半期に集団休暇の実施は?
ブレガ 伝統的に弊社はクリスマス以降の年末年始に休業している。それ以外の予定はない。可能性があるとすれば、ラインの1つを停止することだ。
エスタード あなたは、契約の再交渉を進めるのでしょうか?
ブレガ 私たちはサプライヤーと交渉のテーブルに腰かけており、「支払いが厳しい」と先方に伝えている。
エスタード では、ドルは、何らかの追い風になりそうでしょうか?
ブレガ ドルは、ある意味で負債のようなものだ。支払わなければならないのであれば、あなたは不安になり夜も寝られなくなる。この場合は不可抗力で、自分ではコントロールできない。私たちは、現在の状況を、ドル高レアル安に向かってフルスイングしている状況だと理解している。今は、これがどこでストップするのかを辛抱強く見守っているところだ。
エスタード ドル高は、ワールプール・グループの輸出には有利ではありませんか?
ブレガ いいえ。なぜなら、為替の変動はブラジルに限らないからだ。中国とコロンビア、ヨーロッパ、メキシコでも変動した。唯一、アルゼンチンだけが変動していない。これらの国々は変動したが、これらの国々では、給与税もなければ、社会統合基金(PIS)及び社会保険融資納付金(Cofins)も、さらに今後導入される何らかの税負担といったものはないのだ。これらの国々には、ブラジルのような重い税負担がない。為替は輸出を改善するだろうが、新しい推進力にはならない。
エスタード その理由は?
ブレガ 工業製品を輸出するには、技術力と付加価値を必要とする。コモディティーを輸出するには、これまでもそうだったように、中国の後を追うことだ。だが輸出は、港湾がないために推進力にならない。例えば、コンプレッサーを輸出しているグループ企業のエンブラコは、仮に貨物船が5日に入港するのであれば、30日に製品を受け渡しする必要がある。
エスタード その理由は何でしょうか?
ブレガ 税務書類など、80枚もの伝票に記載する必要がある。それだけでなく、保管倉庫も限定的で、スペースの確保は到着順だ。こうして到着したら、港湾に行列ができていないことや、船の到着時に係船許可を受けられるよう港湾関係者がストをしていないことを祈らなければならない。なぜなら、到着時に係船許可が出なければ、運行期日違反で船長の支払う罰金が高額なため、彼らは引き揚げてしまう。現在のように景気の先行きに不安がなかったなら、我々は、電力供給やインフラの問題についても議論していたことだろう。インフラでは、新たな競合会社が登場しなくなって、どれぐらいになるだろうか?
エスタード ワールプールにとって、インフラがコストの上昇につながっているのでしょうか?
ブレガ それは明白だ。4年前にアメリカへの輸出を目的としたコンプレッサーの工場をメキシコに立ち上げた。このように、エンブラコは過去に国内の輸出企業ランキングで上位20位に入った企業だが、ランキングを下げている。
エスタード ワールプール・グループは国外でより多く投資しているということでしょうか?
ブレガ 私たちは、バランスをとっている。製品に対する投資は削減していない。弊社は、南米で2015年に200の製品をリリース予定で、2016年はこれ以上の規模を予定している。だが、生産能力は増強していないし、これについては、2018年まで想定していない。
エスタード ブラジルが投資適格を失った理由とその影響についてはどうお考えですか?
ブレガ 不幸にも、これはより多くの支出を要求する。長期的な投資で我が国に資金を投入するのを遠ざける、あるいは不可能にする。我々は投資ファンドには規定があるということを理解すべきだ。諸君は、南米で投資適格を受けた国々をご存じだろうか? ペルーとエクアドル、コロンビア、チリだ。
エスタード これらの国々に共通するのは何でしょうか?
ブレガ これらの国々は、忍耐力のある投資家に対して、より安価で、長期的な投資を可能にしている。投資適格は、それを可能足らしめている資格を証明するものだ。これらの国々は、インフラの割り当てから費用対効果まで公共支出の管理が行き届いていることから見晴らしが良く、格付け会社が投資適格を与えている。
エスタード ワールプールはブラジルが投資適格を失ったことで打撃を受けますか?
ブレガ いいえ。弊社に限定するなら、ワールプール・コーポレーションの格付けに左右される。ブラジルでは金利が上昇するが、可能な限り安価な金融コストを確保する戦略を構築する財務担当者がいる。
エスタード 本社は、どのようにブラジルを見ているのでしょうか?
ブレガ ワールプールは104年の歴史を持ち、ブラジル進出は今に始まったことではない。ブラジルは引き続き、世界第7位あるいは第8位の経済国であり続ける。この点は、議論の余地がない。迷惑かつ不都合なのは、理論上は回避できたはずの事態に見舞われているということだ。








