インタビュー記事【ジルマは単に不器用な女性】エコノミスト デルフィン・ネット氏

元大臣で元下院議員にして洞察力の優れたエコノミストでもあるデルフィン・ネット氏(87)は、ジルマ大統領について、誠実だが「我が国の実情に合わないビジョンを持っている」と評し、予算法案については「未熟」、財政政策に関しては「詐欺的」と指摘した。

デルフィン氏は、87年の人生の内24年を下院議員など国会で過ごし、この間、連邦政府の財政政策に反対する文字通り国家経済の破壊をいとわない人々に対峙した人物であり、ジルマ・ロウセフ大統領に対しても手加減せず、「彼女は単純に言って不器用な女性だ」とコメントした。

エスタード紙とのインタビューで、デルフィン氏は、赤字予算案を国会に送付したことは「ブラジルでは近来に例のない未熟な政治であり経済だ」と位置づけ、財政政策については、「詐欺、トリック、ぺてんであり、歳出削減はどこにもなく、タコが自分の足を食うようなもの」と断じた。

連邦政府の計画のコア部分について同氏は、「CPMFは累積的かつ逆進的、インフレ親和的なものであり、成長の足を引っ張る上にツケを支払うのは貧しい人々だ」と断じた。以下は、同氏とのインタビューの要旨である。

エスタード あなたは現在の状況をどのように受け止めていますか?

デルフィン とても憂慮している。大衆は、大統領は非常に強い意志と激しい願望を持った女性だと知っているが、なぜ「ダマスカスのまっすぐな道」で改宗したのかについては、一度も説明したことがない。彼女は、先ずはテレビの前へ行き、そして伝えるべきだった。「私は間違っていた。連邦政府が採用したモデルは、正しい道だと思っていたが、そうはではなかった」と。だが、そうはならなかった。彼女は誰にも、一切を知らせることも、説明することもなく変節した。どうして信頼できようか?

エスタード ダマスカスのまっすぐな道での改宗とは、どのようなものでしょうか?

デルフィン 彼女は、再選のために活用した不具合だらけの経済計画を変えたのだ。2011年にジルマは重要な修正を行い、公務員年金を承認し、GDP成長率は事実上、ルーラ政権時に準じた水準だった。ところが、追い風としてルーラの変革を助けた風が、向かい風に変わった。

エスタード その風は、インターナショナルな風でしょうか?

デルフィン そうだ。こうして2012年に彼女は、その変化に直面し、インフレが上昇して成長率が低下するという見通しを得て、ちゃぶ台返しをやった。自発亭な経済から介入主義的な政策へ、片っ端から変更した。こうした一連の出来事すべてが、2012年から2014年にかけて財界の信頼を得ようとする努力だったが、経済成長の勢いは衰え、矮小化している。

エスタード そして再選で使った手法とは?

デルフィン 実際のところ、悲劇が起こったのは2014年で、その理由は、「権力者の最初の責務は権力の座に留まり続けること」という政治原理を彼女が導入したからだ。この考えに彼女が囚われた時、彼女は自分の誤った考えに固執し始めた。具体的には、改革を準備していたギド・マンテガ財務大臣に反対し始めたのだ。彼は、ジョアキン・レヴィー財務大臣が最初に発表した対策と同様のものを、すでに組み上げていた。

エスタード するとあなたは、責任はマンテガ前財務大臣にあるという現在の指摘には同意しかねるということでしょうか?

デルフィン ギドには全く責任はない。そして本当のことを言えば、ジルマ政権の財務大臣には誰にだって責任はない。なぜなら、ジルマ政権の財務大臣は、結局のところ彼女自身なのだから。そして選挙のツケとして、2014年の極めて不安定な状況につながった。

エスタード では、レヴィー財務大臣の役割とは何でしょうか?

デルフィン 連邦政府に対する信頼度が地を這っている状況で、彼が取り組む財政調整には大きな困難が伴い、結局は成果を収めることができなかった。というのも、財政調整を単純なる足場だと言い切れなかったためだ。

エスタード そうすると大統領は、ステージの移行とは言っていないのですね?

デルフィン 足場がなくてどうやってステージを移行できようか?

エスタード では、財政政策については?

デルフィン 最初の致命的なボタンの掛け違いは、赤字予算案を国会に提出したことだ。これは、ブラジルでは近来に例のない未熟な政治であり経済だ。市場が受け取ったサインは、次のようなものだ。つまり、連邦政府は匙を投げて責任を放棄、能力も無いので後は神のみぞ知るだから、国会がよきに計らえ。

エスタード 連邦政府の内部抗争は問題を複雑にしていませんか?

デルフィン 内部抗争は、どの政権でも起きているが、大統領には非常に明確なあり方が求められる。つまり、彼が何かを採用する時、代わりに何かを退けるということ。連邦政府は、自身の内部に自己矛盾を抱えてはいけない。でなければ、フランケンシュタインになってしまう。

エスタード 去らなければならない人は、レヴィー財務大臣なのか、ネルソン・バルボーザ予算管理大臣、あるいはアロイージオ・メルカダンテ官房長官でしょうか?

デルフィン 誰が去るべきかはジルマ大統領の問題だが、それは、赤字予算案を連邦政府に持ち込むという極めて危険でモラルに欠け、破滅的な影響を生じさせた人物であるべきだ。

エスタード あなたの話はいずれも、現在の危機的状況はすべてジルマが脆弱な大統領なことが原因だという結論でしょうか?

デルフィン 彼女は、ブラジルの現実にそぐわないビジョンをブラジルに対して抱いている。

エスタード あなたが経済支配介入納付金(Cide)の課徴率を引き上げ金融取引暫定賦課金(CPMF)の再導入に反対なのは、どういう理由でしょうか?

デルフィン Cideの課徴率の引き上げは、非常に優れたものになるだろう。CPMFは累積的かつ逆進的、インフレ親和的なものであり、成長の足を引っ張る上にツケを支払うのは貧しい人々だ。再導入の話題が出るのは、連邦政府の計画が詐欺、トリック、ぺてんであり、歳出削減はどこにもなく、最終の出所を別に置き換えたものであり、削減されたように見えるのは、あるところで削減された面だけを見ているからに過ぎない。そして、社会福祉機構(Sシステム)の予算を流用するという。何てことだ! Sシステムの予算で捻出した1レアルが、連邦政府の手に委ねられると1レアルから無限に再生産されるのだ。連邦政府が非能率的だということに、誰が疑問を挟むだろうか?

エスタード ジルマ大統領なら…。

デルフィン 私はそう思わない、そして彼女も同様だろう。彼女はそれを知っていて、ただ学ばないだけなのだ。

エスタード ではCideは?

デルフィン CPMFが19世紀の制度なのに対してCideは21世紀の制度だ。なぜなら、君が化石燃料の消費を減らせばCO2の排出も減少し、過去に崩壊させた業界、砂糖アルコール業界を救済することになる。この業界には80社がひしめき、経済政策の誤りから崩壊の危機に瀕している。君がその選択をするほど、この業界全体が復活に向かう。

エスタード 政策が導入される可能性はどれでしょうか?

デルフィン 連邦政府は、統一中央労組(CUT)と労働者党(PT)と協議する必要があり、この労組は文字通り公務員労組だ。このため、導入はほぼ考えられないし、ゼネストが発生して歳入がさらに落ち込むだろう。自分の足を食べるタコだ。増税は連邦政府の計画の55%を占める。歳出削減は、削減と信じられるものは19%、内部で財源をいじったものが26%だ。言い換えると、連邦政府が公務員給与で1レアルを削減するふりをするごとに、他の財源と増税から3レアルを受け取りたいと考えているわけだ。要は基本的には努力など皆無ということだ。

エスタード あなたは、大きな問題が2014年に生じたとおっしゃいましたが、多くのアナリストがそれ以前に始まっていたと主張していることについては。ルーラ政権の責任についてはどうでしょうか?

デルフィン 2011年までは追い風が吹いており、それが世界の秩序で、中国が組み入れられたのもその秩序だ。我々は、まるで天国にでもいるような気分を味わい、ルーラはそれを、より広範囲かつ安定した成長のために十分に利用した。その後、経済システムに対する極端で異常、過度の介入が行われたことが、あらゆる問題の根源になったと確信している。電力業界をいじり、港湾をいじり、投資率と成長率が極端に下落して財界の「貪欲なスピリット」を霧散させたような混乱した状況を生み出した。

エスタード ルーラ大統領が左派であることに疑問の余地がありませんが、ジルマ大統領はブリゾリスタ(レオネル・デ・モウラ・ブリゾーラ氏らの国家資本主義)で国家主義者、国家統制主義の旧来の民主労働者党(PDT)出身だということに、2人の違いがあるのでしょうか?

デルフィン ルーラは実利主義で、並外れた知性の持ち主だ。他方、ジルマは確かに知性があるが、エンジニア、それもブリゾリスタとしてのエンジニアとして、とにかく自分が足を向けたところは何でも破壊し、リオ・グランデ・ド・スル州がもはや誰の手にも救いようがなくなったように破壊する。彼女は介入主義者で、価格システムを心から信じていない。プレソルト(岩塩層下)で彼女が選んだ道を見るがいい。それは完全に独りよがりの思い付きだ。ペトロブラスに、手に負えないような役割を押し付けた。ブラジルでは、簡単に統制できると考える左派ほど幼稚な人はいない。

エスタード 現在ブラジルでは、誰が左派と言えるでしょうか?

デルフィン 現在のブラジルでは、左派と右派はコロコロ変わる交通信号だ。実際にはジルマは介入主義者であり、彼女はその考えを絶対に変えないのは確実だが、それでもジョアキンを選んだし、それは単純に、調整計画に信用が得られないという問題を克服するのに好都合だったからだ。

エスタード 財界からの信頼も失っただけでなく、大統領は、労働者党(PT)の票田である社会的地盤からも支持を失いつつあります。

デルフィン 誤りを犯したこと、そしてなぜ経済政策を変更するのかを彼女が説明しなかったことで、彼女に投票した3分の1は実際に裏切られたと感じており、彼女に反対投票をした3分の1は、「どうだ? こうなるといっただろう?」と言っている。彼女の手元に残っているのはわずか8%だ。

エスタード あなたは、誰に投票しましたか?

デルフィン ジルマだよ。だが私は、アエーシオこそまさに「適任」だったと思っている。彼は、ジルマが直面しているのとまったく同じ困難に直面するはずだ。そこに横たわっている問題を解決しようと取り組むことは誰にとっても単純な問題ではない。だが彼は、全く異なるコンセプトでこの問題に取り組むはずで、極めて低いコストで調整を進め、成長軌道に乗せるまでの期間をもっと短縮できたはずだ。

エスタード 弾劾されたコーロル大統領よりも低い8%まで支持率がおちこんでいるなら、弾劾は解決策の1つになりえるでしょうか。

デルフィン もし逸脱した行為が証拠によって証明されたのであれば、弾劾は憲法が保証する手段のひとつだ。そうであれば、憲法に反するものは何もなく、何ら問題もない。ただ現状を見ると、客の注文に気安く応じる屋台の揚げパイ屋ではないのだから、愛国の抗議デモや鍋叩きによる抗議に応じて弾劾するかどうかを決めるようではいけない。大統領には、リコールはないのだ。社会は既に票を投じたのであり、その誤りのツケを払ってそこから学び、2018年に投票するということだ。それは第2章であり、2018年の選挙は新たな証明となる。

エスタード ではあなたは、仮にジルマ大統領が立候補できるのなら、2018年にまた彼女に投票するのでしょうか?

デルフィン いいえ。何より先ず、彼女はもう立候補できない。私としては、彼女は絶対的に正直で、誠実な目的を持っている女性だが、それでいて不器用な女性なのだということは伝えておきたい。

エスタード イタマール・フランコ大統領の時代にあったように、万一の事態が発生するとして、テーメル副大統領は大統領に適任でしょうか?

デルフィン 私はそう思う。我々は、親しい間柄だ。テーメルには資質があり、彼は並外れた人物であり、紳士、そして、思慮深く、あらゆるものを身に着けているが、私は、証拠が出てくるまではそれは考えないことにしよう。ただ、彼もまた、適任者だというに止めておくよ。
 

 

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