論評【Copomが支払う高いツケ】

スエリー・カルダス

第1次ジウマ政権では、連邦政府が経済問題に対してあの手この手の稚拙な介入を行った。すべてが失敗し、現在の高い失業率とインフレ率、恐ろしいまでの景気の後退へとつながり、民衆は、将来に不安を抱えて生活している。しかも、ドナ・ジウマが進めた場当たりな干渉の中でもとりわけ、中銀とペトロブラスへの介入という2つの対応は、経済全体に悪影響を及ぼしたという点で最悪のものだ。この結果、インフレが昂進して2015年には10.67%を記録、ペトロブラスは資産価値を大きく失い生き残りのために資産の売却を図り、投資を削減し、不浄政治家が資金を調達するための汚職と不正で満身創痍となった。

連邦最高裁判所(STF)のカルメン・ルシア判事は、「皮肉が希望を打ち砕き、今度は、嘲笑が皮肉に打ち勝った」と、労働者党(PT)が2002年にルーラ前大統領を大統領候補に擁立した際の選挙キャンペーンのスローガン、「希望が不安に打ち勝った」を引き合いに出してコメントした。ペトロブラスの問題では、国内最大の企業が備えた企業価値を屈辱が打ち破った。深海で石油を探査するこの石油会社は、国外におけるブラジルの富と雇用の象徴的存在としてブラジル人の誇りであったが、今となっては、横領と貧困化、投資の撤回、失業といった諸問題の震源として、恥ずべき存在という烙印を押されている。

2015年にインフレ目標を4.5%に設定しながらも最終的にはそのほぼ3倍に達した原因の説明として、中銀は、連邦政府との間で敗因の責任を分かち合うような説明を行った。つまり、財政の不均衡と経済の広範囲に影響したレアル安、公共料金の高騰など、中銀は、ジウマ政権の稚拙な行政と、連邦政府が手を出すべきでなかった問題への下手な介入がインフレの昂進した原因だと指摘したのだ。例えば、ジウマ大統領は燃料価格と電気料金を長期にわたって力ずくで抑制したが、この判断ミスを修正すべき段階に至って、これが膿となって悪影響をまき散らすがごとく、値上げがインフレとなって経済全体に伝染した。自動車業界と電気電子業界に対する減税措置は、消費の拡大効果をほとんど発揮せず、税収にダメージを与えた上に、これらの業界で大量の失業者を生み出した。

権限を手放すことを恐れる余り、連邦政府は、中銀の独立性を法律で制度化することを拒み、それどころか、この独立性は既に確保されていると主張してきた。ルーラ前大統領の中銀への介入はわずかで、当時のエンリッケ・メイレーレス中銀総裁はなすべきことを実行した。ところが、ジウマの態度はこれとは異なっていた。彼女は、自身に権限を集中した上に誤った判断を下して中銀内部を汚染し、インフレ抑制の最大の武器といえる政策金利決定の自由を中銀から奪った。それだけではなく、Selicの利率に予断を許さないことを利用して投機筋が市場で暴れまわるのを、ジウマ大統領は許してしまい、大統領の政治的判断や自発的判断ではなく専門的な基準に基づき真面目に分析することの価値を毀損したのは明白だ。

1月19日には、中銀通貨政策委員会(Copom)がSelicの利率を決定する会合を開く。アナリストの多くが、年利14.75%へ0.5ポイント利上げされると予想する。だが、-4%に達しようかというマイナス成長の嵐に見舞われているブラジルで、なぜSelicを利上げするのだろうか? 経済学の理論では、GDPが大きく後退して失業率が上昇している時期、世の中の中銀は、景気の浮揚にプライオリティーを置くために政策金利を引き下げるのであって、引き上げない。この理論が我が国で適用されない理由は何だろうか? 11%強というインフレ率が利下げを阻止しているというのはあるが、むしろ、現段階で中銀は、過去数年にジウマ大統領が介入を強めてきたことから、利上げを中断することが独立性に対する不信感を高めかねないと受け止めているのである。つまり、信頼を取り戻すために今の段階でオーバードーズが必要なのだ。とは言え、中銀の信頼回復に、これほど高いコストの負担をブラジル国民が求められるべきだろうか?

Selicを0.5%利上げすることで、2015年に設定されたGDP比0.5%というプライマリー収支黒字の確保が難しくなるだけでなく、公債が危険な水準まで拡大し、外債の確保も難しくなると中銀の理事自身も理解しているのに、なぜ、この段階でSelicを利上げするのだろうか? 法律で独立性を保証すれば、中銀の信頼性は確保されるし、ジウマ大統領による介入も抑制できるのだが。(2016年1月17日付けエスタード紙)

スエリー・カルダス ジャーナリスト、リオカトリック大学(PUC)教授

 

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