【特別記事】ブラジル経済は井戸の底を打ったか?ベージャ誌

ブラジル経済は後退を続け、ブラジル国民の内1,100万人が既に失業している。そうした中でようやく、景気回復の最初の兆しが見えてきた。

2014年にブラジルが景気の後退局面に入って以降、これまでに、GDPの7%、4,000億レアルが失われた。そしてブラジル経済のリセッションは、満2年に達した。この間、経済活動が下降線をたどり始めた2014年の年明けから、国内総生産(GDP)の累積マイナス成長率は、7.1%に達した。現在の失業者数は1,140万人で、2015年同期と比較すると、42%も増加した。工業生産は、数量ベースで2003年の水準まで低下しており、労働者の実質平均賃金も12か月前から減少している。背筋が凍るようなデータの数々だ。これらは、ブラジルの通貨がレアルに移行してから最悪となる経済危機の一側面だ。こうした破局的状況にもかかわらず、最悪の事態が過去のものになったと言えそうな兆候が、はるか地平線から顔をのぞかせてきた。

IBGEは、6月1日、2016年第1四半期のGDP統計を発表した。2015年同期と比較した場合、-5.4%のマイナス成長。一方、前期(2015年第4四半期)との比較では-0.3%で、マイナス成長ながらも市場が予想していたほどの大きな落ち込みではなかった。現在の第2四半期についてエコノミストは、依然として厳しい状況が続くと予想する。例えば失業率は、求職者がさらに増加するため、高い水準を維持するだろう。求職者は、単に、過去数か月に失業した人たちだけではない。これまで職についていなかった構成家族が、家計の逼迫を理由に職を求めているのだ。会社が雇用を削減しているまさにその瞬間に、これまで以上に多くの人が職を求めている。それなのに商業部門では、閉店する店舗は20万店舗に達する見込みだ。

にもかかわらずアナリストは、企業の不況対策は終わりに近づこうとしていると受け止めている。積み上がった在庫の減少で、生産が今後数か月で上向く可能性がある。工業部門では、多くの企業が新たな現実への対応を進め、需要に対応して生産のバランスを取ることに成功している。自動車と家電のような耐久財を製造する一部の業種で、およそ30%ほど、人材や設備が余剰となっているのだが、それでも部分的に改善の兆しが見える。イタウBBA銀行は、在庫が引き続き縮小しつつ需要がこれ以上落ち込むことがなければ、工業生産は年内にも上向き始めると予測している。ゼツリオ・バルガス財団(FGV)のエコノミスト、シルビア・マトス氏は、「工業部門は、不況に真っ先に足を踏み入れたが、それと同じく最初に回復する可能性もある。為替相場は輸出に有利な状況だし、国内需要は安定してきたように思われる」と話す。比較対象の基準が非常に低いことを認めた上で、同氏は、輸出が13%拡大したことは良い兆候だと受け止める。消費者信頼感指数とサービス業信頼感指数、商業信頼感指数、工業信頼感指数はいずれも、年明け時点から緩やかに回復している。

2016年の国内経済の動向に目を向けると、最悪期を脱するには依然として、いくつかの障害が残されている。複数のコンサルタントが今の時点で年末には安定期に入ると期待しているのだが、この期待に対して景気の回復が加速する、あるいは先送りされるかには、政治が重要な役割を果たす。テーメル政権の閣僚を含む複数の政治家がかかわった電話通話の録音に端を発した混乱や、ラヴァ・ジャット作戦の進捗などは、株式市場とドル為替相場に影響するだけでなく、ブラジルへの投資リスクとして受け止められるだろう。だからと言って、ブラジルで現在進められている倫理面での浄化を中断すべきだと言うのではない。これらは、ただ単に、先行きを不透明にしかねない要因という意味だ。新たに組織された経済スタッフが目指す改革の承認を遅らせかねないとして、複数のアナリストが、政治分野にこそ障害があると受け止めている。世界の主だった先進国で構成する経済協力開発機構(OECD)は、先週発表したレポートの中で、ブラジルのリセッションが2017年まで続くと想定しているのだ。OECDは、2017年にも-1.7%と、またもマイナス成長に陥ると予想している。レポートでは、次のように評価する。「深刻な政治的対立により、短期的には顕著な経済改革は何ら達成できる見込みはなく、政府の債務は引き続き増大するだろう」。こうした評価に、誰もが納得しているわけではない。ブラジル国内では、2017年にブラジル経済が成長軌道に乗り上げると予想するエコノミストのグループは、次第に増加している。彼らの予測の中でも最も楽観的なものは、2%から3%の成長を見込む。

少なくとも確実なことは、不確実なことだ。楽観論であれ悲観論であれ、どちらも正しい。全ては、各種の改革が今後数か月でどのように推移するのか、あるいは民営化の事業入札が実施されるのか、そして、公共工事のコンセッション契約が実現するのかにかかっている。コンサルティング会社LCAのエコノミスト、フランシスコ・ペッソーア・ファリア氏は、政治的混乱が発生し構造改革が国会で承認されない場合、2016年のGDP成長率は-4.2%、2017年はゼロ成長へ、引き下げ圧力が加わると受け止める。経済包括政策面で進捗があると仮定すると、情勢はより明るい。すなわち、2016年は-3.2%、そして2017年は1.5%の成長だ。「ブラジル経済が2014年の水準に回復するのは、ようやく2019年になってからだ。だが、改革の結果として信頼を回復し国民との関係を修復するなら、着実な回復に向かう可能性はある」と、同氏は言う。

多くの企業が不安定な財務状況を抱えていることは、経済成長への復帰するのを遅らせる要因の1つだ。大量の従業員を抱えるサービス業界は依然として不況対策に追われているため、今後、さらに人員が削減されるだろう。この場合、給与支払総額が引き続き縮小し、消費者の購買力を低下させ、景気に対する信頼感を失わせる。この事情についてFGVのシルビア・マトス氏は、次のように説明する。すなわち、「アメリカを例に取るだけで十分だ。経済危機は金融分野だったが、それでも最後に不況を脱した指数のグループは雇用であり、国内消費だった」。そして、この最後の2つこそ、経済が回っていくための両輪なのだ。工業に関して言えば、添付のグラフを見ると2013年からブラジルの工業生産とブラジル以外の世界の工業生産に開きが出ていることが見て取れる。この不況が「メード・イン・ブラジル」だということは明白だ。今の不況が井戸の底を打つまでは、誰もが知っている通り、痛みを伴い、経済全体がダメージを受ける。回復の階段を上るのもまた危険を伴うだろう。過去数年にわたって、それこそ公会計から企業会計に至るまで不均衡で、至る所に歪みが蓄積されているのだ。(2016年6月8日付けベージャ誌)

 

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