テーメル暫定政権の財務大臣として最初に白羽の矢が立った、エコノミストで中央銀行元総裁のアルミーニオ・フラガ氏は、発足からほぼ2か月が経過した同政権の経済政策の運営を称賛する一方で、ジルマ・ロウセフ大統領から引き継いだ負の遺産、悪の枢軸のジレンマに関して重要な批判も行っている。すなわち、財政調整の歩みが遅々たるものということだ。
「迅速に財政調整を進める必要がある。20年の予算凍結は重要だが、それだけでは不十分、十分ではない。再び経済成長に向かうには、連邦政府が基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化し3年にわたってGDP成長率が3%に達する必要がある。それは容易ではないが、絶対に必要な成果を生み出す目標だ。もし連邦政府が基礎的財政収支で赤字を計上し続け利払いのために歳出を削減しないのなら、公債は引き続き増大する。これは、良くない」。アルミーニオ氏は懸念のひとつとして、こう警告する。
連邦政府が2017年の財政目標について議論している今の段階で、エンリッケ・メイレーレス財務大臣は既に、1,000億レアルを上回ると認めている。ミシェル・テーメル暫定大統領は、財務大臣として選んだ人物の警告に、よく耳を傾けるべきだ。財務大臣の人選が進められていた時、ブラジル民主社会党(PSDB)のアエーシオ・ネーヴェス党首はアルミーニオが既に要請を断ったと発表していた。同氏は今、単に打診されただけだとコメントし、当時、テーメル大統領との協議について、次のように称賛している。「数年にわたって共和国大統領との関係で極めて困難な状態が続いてきたが、素晴らしい意見の交換ができて安堵した」。この協議は、ジルマ大統領及び労働者党(PT)と袂を分かった後にテーメル暫定大統領が政治的支持を取り付けるための経済計画としてブラジル民主運動党(PMDB)が策定した「ブリッジ文書」をベースにしていた。
アルミーニオ氏が称賛した財政調整は、家族手当(ボルサ・ファミリア)を変更しないが最低賃金による社会保障との釘付けを解消するといった公共支出対策を最優先課題としつつ、連邦政府資産の売却など特別歳入を確保できるが財源確保への余裕確保につながらない応急処置的な歳入増加に頼らないというものである。同氏によると、財政目標の設定はこれまで連邦政府が繰り返してきたように現実主義であるべきだが、同時に、GDP比3%の基礎的財政収支を確保するということも現実主義なのだという。つまり、「仮に2年間で赤字がGDP比6%悪化したとするなら、3年で改善するのは不可能ということだ」と言う。このように、信頼と投資、経済成長、雇用を回復のための最善の道というのがアルミーニオ氏の意見だ。
「ポピュリストが主張するような財政調整の見送りが、無責任なだけでなく、これまで以上に状況を悪化させるというのは社会的な認識になっている。これこそ、現在のベネズエラが見舞われている状況だ。我が国ではこの状況に至っていないが、現時点で1,200万人の失業者がおり、失業者あるいは失業を懸念する人が家族や友人に持たない人がいないほどの心理的衝撃を受けている」。民間の失業と公共部門で歳出削減が求められているこのような状況を背景に、アルミーニオ氏は、三権の中でも最も恵まれた司法部門と検察省の職員に対して給与の引き上げを受け入れたことは、「悪い兆候」だと受け止める。段階的に給与調整が行われることで、この影響は、2017年に47億レアル、2018年に65億レアル、2019年には93億レアルと、2019年財政まで影響し、結果的に財政への影響低減に必要とされる分野の歳出を削減する必要に迫られる。
アルミーニオ氏が提案した調整案には各種の改革(社会保障制度改革、税制度改革、労働制度改革)、民営化、10年あるいは20年のインフラ投資の推進、官営銀行の営業活動に節度を持たせることなどを含む。基礎的財政収支の黒字復帰と中央銀行の利下げを支援すると言う。
同氏は、弾劾裁判による大統領解任とハードルの高い取り組み(各種の改革と歳出の凍結)で、テーメル暫定大統領が厳しい状況に直面していることを認める。しかも、政治情勢は混乱している。「最後に立っているのが誰なのか、誰にもわからない。セルジオ・モーロ裁判官は歩み続けているが、連邦最高裁判所(STF)では何も始まっていない」。
もし弾劾裁判で容疑が認められなかったら、我が国はどうなるだろうか? 「非常に複雑で、私は、その可能性について考えたいとも思わない」。(2016年7月3日付けエスタード紙)
*ジャーナリスト、リオデジャネイロ・カトリック大学(PUC-RJ)のコミュニケーション学教授








