コラム記事【侵食される信頼感】

スエリー・カルダス*

公共資産の民営化のためのコンセッション契約と事業入札に関連した権限を業界監督庁から省局に移すという連邦政府の思惑は、信頼の回復に対する大きな打撃と言える。

財政調整を確実に推進する必要に迫られている中、司法府の賃上げと州政府との負債の再交渉は、改革推進の信頼性に痛打を与える問題だ。だが8月24日付のバロール紙が報じたような、公共資産の民営化のためのコンセッション契約と事業入札に関連した権限を業界監督庁から省局に移すという連邦政府の意図も、行政において汚職と賄賂が横行を容認することにつながるため、信頼を回復しようという連邦政府の狙いに即して考えれば、これもひとつの大きな打撃と言えるものになる。そのような事態に至らない可能性もあるが、ラヴァ・ジャット作戦で大やけどを経験した市民からすれば、羮に懲りて膾を吹きたくなるものだ。最善の予防策は、政治家に対して扉を閉じ、入札図書や入札規定、公共事業のコンセッションを彼らの手に渡さないことだ。何となれば、これらの事業入札ではゼネコンが、ペトロブラスとの契約に関連した政党への贈賄の主役として、腐敗を象徴する存在だったのだ。

ミシェル・テーメル大統領は、この国を混乱から救い出して繁栄に向かう道を歩むための最善のパスポートとして手に入れるべきものが、信頼の回復だと繰り返し主張している。これは、ジウマ・ロウセフ大統領の罷免が確定した場合、ブラジル国民に呼びかけるために準備されるビデオで語るメッセージの方向性でもあるだろう。信頼問題は同じく、9月に中国で開催されるG20に参加する各国の元首に対して語られるテーマの核心部分になろう。「ブラジルを信頼していただいて構わない」とでも言うのだろうか。ただ、彼は誠実かつ徹底的に、自身が所属する政党と話をする必要がある。国会でブラジル民主運動党(PMDB)は、政府の歳出を拡大させ財政赤字を悪化させる法律の可決を急いでおり、信頼を失墜させる方向を向いて精力的に活動している。しかも大統領府におけるテーメル大統領の右腕には、生粋のPMDB党員のモレイラ・フランコ・パートナーシップ投資計画審議会(PPI)参事官がおり、彼は、公共資産と公共サービスの売却における技術問題を省局、すなわちブラジルにおいては政党が習慣的にトップを務める組織の権限に差し戻そうと法案を準備している。

これは、不可解で不適当、不適切な退行と言える。公共部門の売却と業界規定の策定、そして民営化された企業やサービスの査察に関して、世界中で、このような業界監督庁が設立され、政治の関与と政府の影響力を薄める手法を発展させている。独占状況がなくならない場合、公社から民間に転換する場合、こうした問題を扱う機関の存在、財政面も含めて、大臣と大統領、州知事、その他の族議員や政党、何よりも選挙期間の影響を排除し、経験が豊富で技術的問題に明るい人材が運営しスタッフを固め運営・監査するような存在が何よりも不可欠になる。だが需要(これは実際には利害のこと)が満たされれば、企業も大臣も幸せになる。するとその結果として民衆は、これに伴う損失のツケを支払わされる上に粗悪な質のサービスに甘んじることになる。ペトロブラスは政治的利用の単なる一例というわけではなく、歴史的に、ブラジルではこのようなことが横行してきた。監督庁はこのような異常事態を正し、民主主義を強化する制度の傘をあまねく行き渡らせるために生まれたのだ。

しかし権力を手放すことを嫌う政治家と同じく、モレイラ・フランコは、生産性の確保に貢献した未来への橋渡しとなるこの文書を破棄し、業界監督庁を弱体化させるために奔走している。その様は、同じく業界監督庁を形骸化しようと務めたルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ元大統領とジョゼー・ジルセウ元大統領府官房長官(クリチーバ市で逮捕済み)の生き写しだ。当時、ルーラ大統領は、粗忽な人をだますべく、ひとつのキャッチフレーズを発明した。すなわち、業界監督庁を指して「国家を民有化した!」と糾弾したのだ。

最終判断は下されていないが、この問題は9月12日に予定されるPPI審議会の初会合で、議題にすら取り上げられないだろう。だが、バロール・エコノミコ紙によると、業界監督庁の権限を制限することに焦点を当てた法案が存在する。一方で上院は数日前、これとは別に、ルーラ政権とジウマ政権で露骨に行われてきたような監督庁のトップに政治家を指名するのを制限することで、業界監督庁の自立と専門性を高める法案を可決した。これは、制度として健全な進歩だった。テーメル大統領は、今、彼自身が追及している信頼というものを侵食する言い表しようのない退行を、これ以上、認めてはならない。(2016年8月28日付けエスタード紙)

*スエリー・カルダス ジャーナリストでリオデジャネイロ・カトリック大学(PUC-Rio)教授

 

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