ジルマ大統領への処罰を軽減するPMDBとPTの合意に対して連立与党内から反発
ジルマ・ルセーフ大統領に対する公務就任権を認めた上院の評決後、テーメル政権内ではブラジル民主社会党(PSDB)と民主党(DEM)が連立解消をちらつかせるなど反発している
弾劾されたにもかかわらずジルマ・ルセーフ前大統領に対して公職就任権を認める上院の票決は、ミシェル・テーメル大統領の連邦政府における連立関係に亀裂を生じさせた。ブラジル民主社会党(PSDB)と民主党(DEM)に所属する国会議員らは、財政責任に対する犯罪に関するジルマ大統領への処罰軽減で、ブラジル民主運動党(PMDB)と労働者党(PT)の間に合意があったと批判した。罷免と公職就任権に対する票決を分離したことは、将来的に、他の下院議員及び上院議員にとっても有利な先例となる。
弾劾に続いて票決が行われた公職就任権問題では、敵対しているはずのPTとPMDBが、いずれも党所属の議員がラヴァ・ジャット作戦の容疑者になっているという事情からか手を組む格好となった。除名されたエドゥアルド・クーニャ元下院議長と協力体制を構築していた議員らは、仮に自身が除名処分を受けた際に被選挙権を確保するため、この除名と公職就任権を個別に票決するよう提案することを企て始めている。
票決直前に上院のレーナン・カリェイロス議長(PMDB=アラゴアス州選出)は、この分離票決方法に関して、PT所属の議員らと意見を交換。この日の本会議で同議長は、分離票決方式を支持する中核的人物の1人としての役割を演じきった。この分離票決方式に関してはテーメル大統領にも可否の確認が行われており、この協議に参加したある上院議員によると大統領は「法律専門家」として、この方式を承認したという。
この提案に強硬に抵抗したのがPSDBである。票決の最後に、上院におけるPSDBの代表、カッシオ・クーニャ・リマ上院議員(パライーバ州選出)は、「私は連邦政府から距離を置いている」とコメントしたほどだ。同党の議員らは、上院で連邦政府代表を務めるアロイージオ・ヌーネス・フェレイラ上院議員(サンパウロ州選出)が辞任すべきだ訴えたが、同上院議員はこの意見を否定した。
こうした強硬な意見が出される中、PSDB党首のアエーシオ・ネーヴェス上院議員(ミナス・ジェライス州選出)が、「革新的問題は解決された」とコメントしたことで落ち着いたムードに切り替わった。ただし同上院議員は、今回の判断は「極めて憂慮すべき状況を生み出した」とも言及した。その上で、「PMDBの執行部は、なぜ当初の約束通りに投票しないのか、返答する必要がある」と付け加えた。
DEMの上院代表、ロナルド・カイアード上院議員(ゴイアス州)は、司法に訴えると発言した。「本日起こったことは前代未聞で、憲法を曲解したものだ。あと少しすればジルマがペトロブラス総裁になるだろう」と批判した。ブラジル民主運動党(PMDB)の下院代表、ロメロ・ジュカー上院議員(ロライマ州選出)は、PTとの手打ちを否定した。同上院議員は、「レバンドウスキ(判事)はこの問題について、連邦最高裁判所(STF)が扱うことになると理解していたため、見解を示さなかった」とコメント。ジルマ大統領を罷免に追い込んだ票決は、同上院議員によると、遺憾なことだという。
反響の大きさに、大統領府は、テーメル大統領が分離票決を支持していなかったとする情報をリークする対策を講じた。PMDBがこの票決の無効を求めて当初はSTFへの提訴を検討したが、この訴えが罷免を議決した上院本会議そのものを無効にすることにつながりかねないことを懸念し断念したという。
今回の影響
ジルマ前大統領の弁護を務めるジョゼー・エドゥアルド・カルドーゾ弁護士は、前大統領は不正にかかわる犯罪を犯していないためにフィッシャ・リンパ(汚職議員排除法)には抵触しない、とコメントした。同弁護士によると、財政責任に関する罪は、当該の法律の適用条件を構成しない。「予算問題で公職就任権が停止されるのは行き過ぎだ」と言う。
検察省関係者によると、憲法では弾劾に伴う罷免が公職就任権剥奪も想定しているため、大統領に対する制裁をフィッシャ・リンパに含めるかどうかの議論は行われたことがないという。連邦検察省(MPF)のロドリゴ・ジャノット検事総長に近いある検事は、「まさに、あきれた判断だ」とコメントした。(2016年9月1日エスタード紙掲載)








