論評【仕事での小規模改革と新しい関係】

ギルダ・フィゲイレド・フェラス・デ・アンドラーデ*

テーメル政権は労働制度に関連した小規模改革(法案第6,787/2016号)において、法律に対する団体協約の優越性を柱に据えている。その意味で、連邦最高裁判所(STF)による過去の判例は、改革の重要な運用に具体性を与え始めている。STFの判決は、2件の    超法規的判例法源(RE)―RE第590,415号(RE 590.415)及び同第895,759号(RE 895.759)―から判断すると、この理論を構成し現在の法体系で解釈する場合の類型となる。

現在の不況は1,200万人の失業者を生み出し、しかも2016年に前年比13%増という300万件もの労働訴訟が発生しており、この問題は重要性を増している。労働訴訟は引き続き活発で、司法では訴訟件数が処理能力を超え審理も遅々として進まない状況の中、訴訟文化が「根付いた」状態にある。最悪なことに、この問題を専門として扱う裁判官は父権主義者にして保護主義者であり、労使関係における「不公平を修正」しようとする悪習を持っている。

そのため、この「労働制度の小規模改革」が実業家と労働者にとって、そして労働訴訟という根深い文化がある中で権利を抑圧しない団体協約に対する反発に打ち勝つという意味で、労働裁判を変革する要因として、私は重要な分水嶺で有り得ると確信している。

労働法は、ブラジルの失業者にとって確かな解決策につながる雇用の創出を可能にする天秤の左右の重りともいえるシステムであり、これに柔軟性を持たせるべく我々が努力していることには、疑問の余地はない。国際労働機関(ILO)によると、世界で新たに生まれている失業者の5人に1人がブラジル人である。従って、経済成長への復帰と雇用の余地を拡大することは、ブラジルの取り組みの中でも最優先課題なのだ。

この観点から、STFの判事がこのほど下した2つのREは、団体協約が法律に優先するというこの変更の必要性の高まりを後押しするものだ。ルイス・バローゾ・ロベルト判事は、RE第590,415号において、ある銀行が労組と団体協約を締結した退職勧奨計画(PDI)において包括的な免責条項の有効性を認めることでこの計画の勧奨に応じた従業員が補償金を受け取ることを保証したのだが、これを受けて労働裁判所においても雇用関係でこの判例と異なる主張は認められないものになった。だが労働高等裁判所(TST)は、免責条項は無効で労働者には控訴が認められていると解釈して、不服を申し立てることを認めた。

判決文でバローゾ判事はこの問題に正面から取り組み、団体協約によって雇用者と労働者は経済的にも政治的にも重要性において対等の立場に立つことができ、別の恩恵を受けることを前提に労働者への保護が縮小するものであると主張した。すなわち、「労働者の大義、『労働者は彼ら自身の必要性あるいは利得に反することになったとしても保護されるのが当然である』というように、問題を画一的に解釈するTSTの硬直した判断に寄与するものではない。市民生活全体をひとつの職種として扱うことに対して、これを絶対的に不可侵なのだと扱ってはならない」。

更にバローゾ判事は、憲法及びILOが想定した自律的傾向についても以下のような言葉で指摘した。すなわち、「1988年憲法は、第7条第XXVI項において、国際労働機関が1949年の団体交渉条約第98号及び1981年の団体交渉条約第154号で示したように、団体交渉を利用する制度への理解の広まりという世界的傾向と足並みをそろえ、自発的意志による団体協約の自律性及び労働争議における自律的和解を尊重している」。

同様の理解から、当時のテオリ・ザヴァスキ判事(RE第895,759号)は、通勤時間に関連した報酬を廃止する見返りに、端境期における生活必需品セット(基礎食料品や家庭用品などのパッケージ)の提供や無償での生命保険の加入といった別の恩典を与えることで労組との団体協約で合意した企業の超法規的請願を分析するためにTSTの判断を分類し直した。

テオリ・ザヴァスキ判事の見解に基づけば、TSTの判断はRE第895,759号の判例法源で採用された価値判断の比重、すなわち、統合労働法(CLT)で保障された権利を縮小する代わりにより多くの便益を受けることになることを根拠に団体協約の権利に関連して自発的意志を基本的原則とすることの重要性を与えるとした基準に従っていない。

それだけでなくテオリ判事は、連邦憲法には合理性に関する限界があると受け止め、団体協約の規定が給与や労働時間について、さらには一時的に労働者の報酬を削減し憲法において定められたものとは異なる労働時間を設定するといった問題を取り扱うことを容認する。

進められている労働制度の小規模改革及び連邦最高裁判所での超法規的判例法源で示された比重を合わせれば、資本と労働にまたがる自律的かつ必要性のある対話によって導かれた団体協約に対して無効を宣言する判断に終止符を打つに足る権威を確保できる可能性があるし、この問題は、社会及び経済の観点から極めて重要と位置付けられるものである。

厳しい不況下では労働者階級が「か弱い」存在になるために労働制度改革の導入には好機ではないという主張は、成り立たない。むしろ経済危機だからこそ、私たちは、労働者と雇用者が必要とする改革の実現に向けたモチベーションを得ることができるし、また得ようと努力すべきなのだ。連邦最高裁判所はこの問題をよく理解しており、しかも、ブラジルにおける新しく近代的な労使関係の構築に向けて進むことに、怖じ気づくことなく断固とした態度で挑んでいる。

勇気をもって、「突き進む」必要がある!(2017年1月20日付けエスタード紙)

*労働問題の弁護士でブラジル弁護士会サンパウロ支部(OAB-SP)及びサンパウロ州工業連盟(Fiesp)法務部の顧問。

https://camaradojapao.org.br/jp/?p=42697