【国内企業の86%が少なくとも何らかの違法状態で経営】

ブラジル認証監視機関(Ibracem)とゼツリオ・バルガス財団サンパウロ(FGV-SP)が実施した調査によると、書類数、手数料、許可証などの不備に加えて売上の落ち込みも違法状態での経営の原因になっている。

リンドルフォ・パイヴァ氏は、77店舗を展開するフランチャイズを経営している。必要な書類と税金を処理するために、3つの会計事務所と契約して法務部を立ち上げた。ところが先週、エスタード紙の報道で、自身の会社がサンパウロ市役所財務局のサイトで違法状態で経営していると指摘されているのを知った。

「まったくもって、どこに、どのように瑕疵があるのか想像もつかない」という。「税金(の未納)は考えられない。何らかの書類を会計事務所が提出し忘れたのだろう」と同氏は説明する。また常に入札に参加しており、問題を回避するために少なくとも年に2回は、納税義務履行証明書を取得するようにしていると説明する。「こうした状況にもかかわらず、時々、不履行を指摘され、今回のように何が問題なのか分からずに期限を逸することがある」という。

FGV-SPの調査によると、リンドルフォ・パイヴァ氏のケースは例外どころか支配的なのだ。必要書類、許可証、手数料、さらに不況による売上減に伴う納税の履行遅滞などで、およそ1,800万社ある営業中のブラジル企業の86%が、市財務局あるいは連邦収税局、勤続期間保障基金(FGTS)などの機関から履行義務違反があると指摘されている。今回の調査では、州財務局を含めなかった。

これに伴い、ほぼ10社中9社が、事実上、金融市場で会社の信用証書としての価値があり国立経済社会開発銀行(BNDES)のような開発銀行あるいは官営銀行の融資を受ける際に必要なだけでなく、官民の事業入札や競争入札への参加にも必要な、納税義務履行証明書の取得ができない状態にある。

FGV-SPは、ブラジル認証監視機関(Ibracem)の依頼を受けて今回の調査を実施した。様々な規模、業種の2,550社を基準に、財務状況や経理状況などの厳しい状況を浮き彫りにした。データは、2016年2月の2週間をかけて収集され、これを更に2017年2月にアップデートした。推計誤差は、コーディネーターによると±1.94%。

Ibracemのジュリオ・ボテーリョ会計理事は「2016年と2017年の調査結果はそれぞれ86%と85.84%で、事実上、同一だった。事実は恐らく、大多数の経営者は自社の適法状況について、留意していないか理解できていない状態なのだ」と話した。

生き残りをかけて

今回の調査では、違法性の種類については説明しておらず、その性質が税務なのか経理上の義務なのかを指摘することはできない。FGV-SPのエコノミスト、ロブソン・ゴンサルベス氏は、国内で有効な92種類の税金と手数料、賦課金の処理能力を超えているのだという見解を示す。同氏は、「不況によって、企業が生き残りをかけた資金調達手段として税金を未払いにするという可能性は排除できない。だが同時に、補佐役が負担する責任、更に書類、手数料などの規模は充分に大きく、企業にとって無視できないコストになっている」と話す。

ブラジル・エチカ・コンコレンシアル研究所(Etco)の租税専門の弁護士でコンサルタントのハミルトン・ジアス・デ・ソウザ氏は、ブラジル国内で法律を常に100%履行し適業を経営し続けるのは不可能だ、という。「私は、税務当局と納税者の間に深い溝があると受け止めている」と同氏は言い、ブラジルの法律に則って事業を進める企業の比率が少ない理由として、3点を指摘した。

「初めに、税制は解釈において大きな問題が生じている。次に、途方もない数の税金の種類がある。最後に、看過しない会計理念だ。査察は、とりわけ連邦収税局は、とにかく瑕疵を探し出して企業に罰金を科すよう指導している」と同氏はコメントした。(2017年3月12日付けエスタード紙)

不況で企業が税金を滞納

エコノミストのジュアレス・リッツィエーリ氏は、指数の悪化はブラジル企業の社風における法的安定性を破壊していると指摘。

過去数年にわたってマクロ経済状況が悪化したことで、企業は、とりわけ中小を中心に、手持ちの資金を仕入先に支払いに充てるか税金の納付に充てるかの選択を迫られている。エコノミストでサンパウロ大学(USP)の経済経営単科大学シニア講師のジュアレス・リッツィエーリ氏によると、こうした判断を迫られた場合に企業は、往々にして、税金の滞納という判断を下すという。

「通常、企業は市税と州税の支払いを取りやめ、企業側も処罰が迅速かつ厳しい連邦収税局への支払いを最優先する。しかし、このような生き残り策が、社風における法的安定性を破壊している」と同氏は言う。

サンパウロ市内で24年前から鍛造及びプレス加工業を営むウンベルト・ゴンサルベス氏の場合、不況によって税金を完全に滞納することになった。「過去4年間は、危機的状況だった。課徴率18%の商品サービス流通税(ICMS)の支払いもできない月があった。従って翌月には更に滞納し、前月の滞納分には20%以上の金利が付いた。それから先は、状況は雪だるま式に悪化した」という。同氏の計算では、滞納している税金は100万レアル以上に達している。

フランチャイズを展開するナッツ・フルーツ・アイスのマルシオ・モルガノ氏の場合、税務当局への滞納で、仕入先から買掛のクレジットを失うことになった。「私は、フランチャイジーへの商品の卸しとレシピに対するロイヤルティー収入を得ていた。だがフランチャイジーの倒産を回避するためにロイヤルティーの請求を停止、購入はすべて即時決済になった。もし手持ちの現金から税金を支払っていたら、売り物がなくなってしまう」と説明する。

業種で見ると

業種別に見ると、ブラジル認証監視機関(Ibracem)とゼツリオ・バルガス財団サンパウロ(FGV-SP)の調査は、商業で最も違法状態の割合が大きく、履行義務違反が何もないとされた企業はわずか4%だった。工業は91.83%の企業で何らかの問題が指摘されており、サービス業と横並びだ。しかも、この問題は、理屈の上ではこうした手続きを処理して税金を支払うことが主たる事業活動のはずの会計監査会社と会計事務所にまで及んでいる。

現在、これらの企業では米グラント・ソーントンのような多国籍企業を含め、ほぼ90%で何らかの違法性が指摘されている。同社は、2016年11月に有効期間6か月の納税義務履行証明書を取得した。ところが同社は、サンパウロ市役所で、未決問題があると登録、申し立てが行われている。

同社のムリロ・ピーレス税務担当経営パートナーは、「当社は市役所に対して割賦で支払っているものがあり、そのため、オンラインで証明書の発行を受けることができない」と話す。インドとブラジルで事業を展開するピーレス氏によると、「現在有効な証明書を保有し、その有効期限が迫っていることから、新たな証明書の発行を受けるために当社は、当局がすべての情報を保有しているにもかかわらず支払いを証明するすべての書類を提出して確認してもらう必要がある」という。そして、「(ブラジルが)ややこしい国だということには疑問の余地はない」と付け加えた。(2017年3月12日付けエスタード紙)

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