ジェトロサンパウロ並びにブラジル日本商工会議所共催、在サンパウロ総領事館協力による第12回ジェトロ報告会(意見交換会)は、2021年4月14日午前9時から10時30分過ぎまで64人が参加して開催。進行役はジェトロサンパウロ事務所の古木勇生ディレクターが務めた。サンパウロ総領事館経済班の渡邊聡太領事は、海外在留邦人の一時帰国や帰国時のワクチン接種。注意喚起として4月6日に発生したパライゾ地区におけるけん銃強盗事件を説明した。
テーマ:『2020年度決算発表からみる新型コロナウイルス(COVID-19)の影響 その2』について、初めに5回目の講演となるコンサルタント部会の吉田幸司部会長(KPMG)は、パルプ製紙のSuzano社の2019年及び2020年の各四半期ごとの売上高、営業損益、輸出、国内販売の推移、ドル高の為替の影響、Fibria社合併によるシナジー効果などについて説明。また教育関連のVasta Platform社について、COVID-19パンデミックによるオンライン教育、プライベートからパブリック学校への移動、教材販売、コンテンツ、補完ソルーションなどについて説明。COVID-19パンデミックで最もダメージを受けた旅行代理店業のCVC社について、昨年の売上は前年比1/3に縮小、無形資産の減損損失の計上、ポートフォーリオ部門への投資継続。食品加工大手のJBS社について、売上、利益とも好調に推移、サプライチェーン全体のモニタリングシステム構築、サーキュラーエコノミーへの投資などを説明した。
続いてヘンリー・ムラタ氏(KPMG)は、世界3位の航空機製造のEmbraer社について、COVID-19パンデミックで世界的に影響を受けた減便及び事業の見直しの民間旅客機、比較的軽減に留まったビジネスジェット機並びに好調に推移した防衛セグメント別の売上推移、リストラ費用計上、今後の動向では、都市交通向け小型電動ヘリ開発などについて説明した。
最後に三上氏(KPMG)は、自動車部品のドイツ系Mahle社について、製品別売上、アフターサービス、COVID-19パンデミックの影響を受けた2Q、4Qの市場の需要回復及び在庫補充による売上回復。家電量販店のMagazine Luiza社は、10社の買収によるシナジー効果、130%増加のEコマース販売、ロジなど投資部門強化。農業関連のSLC Agrícola社について、綿花、大豆並びにトウモロコシ生産、市況回復による売上増加、生産効率向上の優先などについて説明。また石油化学メーカーのBraskem社について、石油化学市況、原価構成割合、セクター別売上、アラゴアス州マセイオ市の塩採掘井の地質構造変化問題による引当金計上などについて説明した。
平田藤義事務局長は、各講師による各社の素晴らしい財務諸表分析に感謝。日本企業との比較要請。ブラジル日系企業年鑑などを発行していたが、廃刊になったブラジル経済情報誌「実業のブラジル」の存在を説明した。
『2020年度決算発表からみる新型コロナウイルス(COVID-19)の影響 その2』コンサルタント部会の吉田幸司部会長(KPMG)/ヘンリー・ムラタ氏(KPMG)/三上氏(KPMG)