今年の電気製品販売は予想を下回るか(2022年7月12日付ヴァロール紙)

全国電気電子製品メーカー協会(Eletros)では、2022年の家電や電気製品などの一般電気電子製品販売は、11月のワールドカップ開催にも関わらず、昨年並みに留まると予想、2021年のブラジルの電気電子製品販売は、前年比マイナス7.2%を記録していた。

今年の世界の家電販売は、ロシアによるウクライナ侵攻、半導体や電子部品の供給問題、生産コスト上昇などの要因で前年比マイナス2.7%が予想されており、ブラジルの家電販売のシナリオも同様になると予想されている。

今年初め5か月間のブラジル国内の電気電子製品販売量は、昨年から支給が始まった低所得層への補助金にも拘らず、付加価値の高い耐久消費財購入向けのクレジット金利の上昇による需要低下で、前年同期比マイナス19.0%に相当する3140万台に留まっている。

今年は緩やかな失業率の改善にも拘らず、テレビや冷蔵庫などの高額な耐久消費財向け購入需要は、充分な先行き信頼感指数には達していないと 全国電気電子製品メーカー協会(Eletros)のJorge Nascimento会長は指摘している。

今年下半期には毎年11月第4木曜日に催される感謝祭(Thanksgiving Day)翌日のブラジルでのブラックフライデー及びサッカーワールドカップ、クリスマス商戦が期待されている一方で、家電向け鋼板やプラスティックの価格上昇による生産コスト上昇による最終製品の耐久消費財製品への価格転嫁が余儀なくされているために、販売不振が憂慮されている。

全国電気電子製品メーカー協会(Eletros)の発表によると、今年初め5か月間の冷蔵庫、ガスオーブン、洗濯機などの白物家電販売は、前年同期比マイナス24.0%に相当する500万台に留まっている。

また今年初め5か月間のテレビ販売は、マイナス18.5%に相当する376万台に留まって2018年以降では最低の販売台数に留まっている。迫最高のテレビ販売は2014年にブラジルで開催されたサッカーのワールドカップの年であった。

一方今年初め5か月間の29品目のポータブル家電販売は、マイナス17.0%を記録しているが、過去2か月間のポータブル家電販売は増加に反転しており、今後の販売増加が期待されている。

2022年4月のIBC-Brが前月比-0.44% 6月のIC-Brは-0.95%

中央銀行は7月7日、2022年4月の中央銀行経済活動指数(IBC-Br)が前月比-0.44%だったと発表した。3月のIBC-Brは前月比+1.09%だった。

また4月を前年同月と比較すると、+2.23%。4月までの12か月でIBC-Brは、+3.46%を記録した。月次で集計される同指数は、常にレビューが行われるため月間での計測よりも12か月の累積指数の方が信頼性がより高いとされている。

また4月を期末とする四半期で見ると、3月を期末とする四半期と比較して、+0.45%だった。

IBC-Brは、ブラジル地理統計院(IBGE)が計測する国民経済統計(GDP統計)と異る方法論により計測される。中央銀行の指数はIBGEの分野別調査に基づくが、月次で計測され、経済活動の進捗をより高頻度で観察する。一方、IBGEのGDP統計は四半期ごとに計測され、より包括的な観察になる。

なお、今回のIABrは、7月5日に終了した中央銀行職員のストを受け、2か月遅れで発表された。

また中央銀行が同じく7日に発表した中央銀行コモディティー物価指数(IC-Br)によると、インフレに影響する原材料価格は、5月に+3.22%を記録した後、6月には-0.95%を記録。12か月で同指数は+32.13%を記録した。

IC-Brを構成する3つのサブグループの中では、農業コモディティーが6月に-2.27%、12か月では+21.94%を記録した。一方、金属コモディティーは6月に-5.20%で、12か月では+0.90%。さらにエネルギー・コモディティー(ブレント石油と天然ガス、石炭)は、6月に+4.85%で、12か月では値上がりが103.80%に達した。(2022年7月8日付けバロール紙)

IDB(米州開発銀行)特別講話をハイブリッドで開催 2022年7月7日

2022年7月7日、JETROサンパウロ事務所(原宏所長)、JICAブラジル事務所(江口雅之所長)並びに商工会議所コンサルタント部会(天野義仁部会長)の共催で、IDB(米州開発銀行、本部:米国ワシントンDC)の大西靖アジア担当顧問を招聘し、IDB及びIDB Investについての講話が開催された。今回はハイブリッド形式で十数名が会場で、また、60数名がオンラインで参加した。

IDBは1959年に設立された中南米・カリブ諸国の開発を支援する国際開発金融機関であり、中南米地域に対し最大の公的な資金を供与。また、IDB InvestはIDBグループ内で民間部門を担当し、中南米の企業やプロジェクトに融資・出資等を行い、経済面・社会面・環境面での発展を最大化を目指している。

コンサルタント部会を代表してJETROサンパウロ事務所の原所長が司会を務め、開会挨拶を行った後、IDB大西顧問のプレゼンテーションが行われた。IDBの概要として、出資国の構成や国別融資残高、SDGsへの取り組み、また、IDB Investについてその融資事例などを詳しく説明。

続いてJICAブラジル事務所ブラジリア出張所の青木一誠次長がJICA 民間連携事業の概要についてプレゼンテーションを行い、IDB との協調融資スキームやJICA の中小企業・ SDGs ビジネス支援事業、海外投融資を説明した。

その後、質疑応答セッションが行われ、オンラインセッション終了後、会場参加者との意見交換も行われた。

プレゼンテーション資料PDF

左から青木JICA次長、平田事務局長、大西IDB顧問、原ジェトロ所長

連邦政府がリチウムへの新規投資の促進を目的とした政令を制定

連邦政府は、鉱物とリチウム及びその派生品の資源活動に対する法規を近代化することで、国内のリチウム生産で最大の埋蔵資源が集中しているとされるミナス・ジェライス州ヴァーレ・ド・ジェキチニョーニャ(Vale do Jequitinhonha)地域を中心に2030年までに150億レアル前後の投資につながると推算している。7月6日に公示された大統領令により、この業界における生産と取引に対する事前の承認と割り当て、制限が撤廃された。

リチウムは、例えば携帯電話端末と電気自動車(EV)が使用するバッテリーの、主原料のひとつである。エネルギー転換政策を見据え、再生可能エネルギーの貯蔵能力という観点からこの装置には、世界的な関心が高まり続けている。

鉱山動力省(MME)によると「大統領令は、グローバル・チェーンにおいて競争力のある形でリチウムのブラジル市場の開放と刺激を促進し、この資源の調査と生産、それにコンポーネント及びバッテリーへの加工と生産段階での生産能力の向上への投資の呼び込みを目的にしている」という。

今回の大統領政令が公布されるまで、この分野のプロジェクトは、MMEの外郭団体である国家原子力エネルギー委員会の事前の審査を必要とした。予測可能性を高めて国際市場で競争する条件を充実させることで、連邦政府は、ヴァーレ・ド・ジェキチニョーニャ地域のような潜在的に有望な生産地と目されながらも現状では経済的に貧しい状況に置かれている地域に投資を呼び込みたい意向だ。

ブラジルに進出してほぼ10年になる、カナダ資本のシグマ・リチウム(Sigma Lithium)は、既にミナス・ジェライス州のこの地域で事業を展開しており、このほど、グリーン技術による電池用リチウム精鉱の生産計画を拡張した。

バロール紙とのインタビューで同社のアナ・カブラル=ガードナー(Ana Cabral-Gardner)共同CEOは、今回の政令に賛辞を送るとともに、業界の主要な潜在的プレイヤーとブラジルが競争できるようになる「変革」だと位置付けた。

ブラジルは、その他の国でも発見されているようにリチウム精鉱の埋蔵資源が豊富な上、生産者の間で次第に関心が高まっているクリーンエネルギーが供給可能な数少ない国のひとつとして、アドバンテージを持っている。

「ブラジルはグリーン経済の牽引役になれる」と同CEOは指摘。その上で、「ブラジルの電力システムは環境負荷を発生させないことから、グリーン・ボーナスと位置付けられる。グリーン・オペレーションを確保できるなら石炭火力発電の排出炭素量の相殺にコストを支払う必要がなくなるので、ブラジルはこのチェーンの中間領域の事業を立ち上げるのに有利な土地だ。バッテリーからプレケミカルに至るチェーンで、4つのテーマとリンクしている」という。

鉱物探査に求められる要件を低減するという観点では、初期投資がより早く回収できるような政策を通じて新規投資に対するより高い安全性を国が保証しなければならないとシグマ・リチウムのカブラル=ガードナーCEOは指摘する。

なお連邦政府は、業界の近代化によって2030年までに、生産会社が年間1億レアルの鉱物資源ロイヤルティを支払うだけでなく、資源業界で約7,000人の直接雇用と生産チェーン全体で直接及び間接で8万4,000人の雇用が生み出されると期待している。(2022年7月7日付けバロール紙)

MEIとMPEが生み出す収入は年間4,200億レアル

零細・小企業支援サービス機関(Sebrae)によると、個人零細事業主(MEI)と小・零細企業(MPE)がブラジル国内で生み出している収入は年間4,200億レアルで、この内前者が1,400億レアル、後者が2,800億レアルである。同機構が7月5日、小規模ビジネス・マッピング(Atlas dos Pequenos Negócios)のレポートの一部として発表した。

大きな金額の収入を生み出す一方で、低生産性と信用供与へのアクセスの難しさといった問題が、依然としてこれらの企業の大きな障害であり続けている。Sebraeのカルロス・メレス(Carlos Melles)総裁は共同記者会見で、「これこそ、我々のゴルディアスの結び目だ」という見方を示した。同総裁によると、ブラジルが加盟に向けて取り組んでいる経済協力開発機構(OECD)も、ブラジルの低生産性をこれらの企業の課題と認識しているという。

もうひとつのネガティブな面は、MEIとMPEが融資を受けづらいという問題だ。メレス総裁はこれについて、「根本的なところで、担保の問題がある」と指摘する。

同総裁によると、融資を受けようとするMEIとMPEでは多くの場合、担保になり得るのがわずか「車1台」あるいは自社の商品しかないという。

この問題を部分的にでも緩和するため、Sebraeと社会経済開発銀行(BNDES)は、来週(7月第3週)にもそれぞれが5億レアルを拠出してこれらの企業向けの保証基金を立ち上げ、最大180億レアルの融資を受けられるようにする。

Sebraeが発表した調査によると、ブラジル国内にはMEIが670万人、会社の事業が事業主にとって唯一の収入源になっているMPEが470万社存在する。

今回のマッピングでは、これらの企業がブラジル経済にとって重要な役割を果たしていることも示した。すなわち、ブラジルの国内総生産(GDP)の30%を占め、正規雇用の54%、2021年に創出された正規雇用の78%、現時点で存在する企業の99%を占めているのである。

Sebrae総裁はさらに、「人口が少なく貧しい市であってもMEIが誕生しているところでは、人間開発指数(HDI)が改善している」と付け加えた。(2022年7月6日付けバロール紙)

ブラジル味の素一行が会議所を訪問 

左から岡本マネジャー、平田事務局長、梅田常務取締役、武井マネジャー

 

2022年7月5日、ブラジル味の素の梅田孝彦常務取締役、岡本武マネジャー及び武井智マネジャーが会議所を訪問した。

7月赴任した梅田常務取締役は帰任した山崎常務取締役の後任として、会議所総務委員会副委員長及び企業経営委員会労働ワーキンググループ長を引継ぐ。

また、社内変更に伴い、総務委員会委員として同じく7月赴任した武井マネジャーが岡本マネジャーを引継ぎ、今後会議所活動に参加することになる。

平田藤義事務局長、日下野成次総務担当、梶原レチシアアシスタントが一行を応対、会議所の活動や連携、委員会活動などについて説明を行った。

 

 

27か月の下落後に国内線のASKがパンデミック発生前を上回ったとAnacが発表

国家民間航空監督庁(Anac)は7月1日に発表した最新の需給レポートで、国内航空市場の主要な指標である有効座席キロ(ASK=供給)と有償旅客キロ(RPK=需要)が、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが発生する以前の水準近くまで達したことを明らかにした。2022年5月の場合、2019年同月と比較してASKは+6.0%を記録した。

Anacによると、医療危機が発生する以前の同じ月との比較で、この2つの指標のどちらかがプラスに転じたのは5月が初めてだという。一方でRPKは、2019年同月との比較で-2.5%だった。

また2021年同月との比較では、RPKは+87.6%、ASKは+71.5%だった。

5月の国内線の旅客輸送量は640万人で、2019年同月との比較で-10.0%だった。ただし、前年同月との比較では+75.8%を記録した。

5月の国内貨物輸送量は2019年同月比で-6.1%、前年同月比では+16.0%となる3万6,000トンだった。

国内市場のシェアを見ると、5月はラタン(Latam)航空が33.7%でトップ。次いで、アズール(Azul)航空が33.3%で2位、さらにゴール(Gol)航空が32.6%で3位だった。5月の座席利用率は、2019年同月比で-8.0%、2021年同月比で-8.6%だった。

国際線を見ると、5月の貨物輸送量は8万8,000トンで、5月としては22年前にスタートしたAnacの計測史上で最高の8万8,000トンを記録した。2019年年同月比で+24.7%、2021年同月比でも+1.8%だった。

また旅客輸送量は120万人以上となり、Anacによると月間の数字としては2020年2月以降で最多を記録した。ただし、2019年5月と比較した場合は-36.5%だった。(2022年7月5日付けエスタード紙)

メルコスールとシンガポールが22年7月第3週にもFTA締結へ

経済省と外務省は、メルコスールとシンガポールの自由貿易協定(FTA)が近日中に締結されることが確実だと受け止めている。第11ラウンド貿易交渉が7月第3週(11日から17日)にアスンシオンで開催予定であるが、双方の主張で大きく隔たっていた部分は、既にすり合わせ済みである。

舞台裏ではブラジル政府が、アルベルト・フェルナンデス(Alberto Fernández)大統領が締結に抵抗感を示すアルゼンチンを、いくつかの点で説得する役割を果たした。この交渉は2018年に始まったが、その後の新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックで交渉ペースが鈍化。数か月前から積極的な交渉が再開され、ハッピーエンドを迎えつつある。

協議に直接的に関わった関係者によると、新たな貿易協定により二国/地域間貿易で扱う品目のおよそ90%に対して、輸入税率をゼロに引き下げる。シンガポールは2021年にブラジルから60億ドルを輸入しており、ブラジルの多国籍企業にとっては同国が、外のアジア諸国に商品を流通させるためのある種の玄関口になっている。人口約600万人で人口1人当たりの所得が世界的に大きな国のひとつであるシンガポールは、ブラジル製品の主な国外市場としては第7位を占める。

シンガポールとの貿易協定で非関税分野は、投資の円滑化とサービス業の市場開放、電子商取引に対する規制の3分野で既にメルコスール側が妥協、より幅広い合意になると交渉担当者は話す。

ブラジルに対するシンガポール資本の直接投資のストックは、ほぼ100億ドルに達している。これらの企業には、ケッペルオフショア(Keppel Offshore)とジュロン・シップヤード(Jurong Shipyard)の造船会社、ガレオン空港を経営するチャンギ(Changi)、パルプ工業のブラセル(Bracell)などがある。ソブリン・ファンドのGICは、高速道路のコンセッショネアに出資している外、下水処理会社のアエジェア(Aegea)、ヴィブラ・エネルジア(Vibra Energia:旧BRディストリブイドーラ=BR Distribuidora)にも資本参加している。

今回の貿易協定では、上記以外の分野、例えば政府調達分野や衛生規定、植物検疫規定などを含み、通関業務のスリム化、産地規定といったものも含まれる。

経済省貿易局(Secex)がこのほどまとめた研究によると、シンガポールとのFTAは、基本的シナリオとの比較分析において、対象となった65業種のうち58業種でブラジルの輸出を後押しすることになるという。輸出拡大に大きな可能性のある品目として同局は、食肉と野菜、果物、金融サービスなどを指摘した。

一方、シンガポールは非常に低い輸入税率を既に実践している。しかしFTAでは、輸入税率がゼロあるいはゼロ近辺に定めることが保証されるため、財の相互貿易により安全性が高まる。投資面では、合意は介入主義的な対策が講じられる可能性に対するハードルを引き上げることで、双方の「資本の所有者」に対してより大きな安心感を与える傾向がある。

シンガポールとのFTAにおいてセンシティブな問題のひとつは、原産地規定だった。これは、プロダクトが国産(メルコスールの場合は地域産)と認定されるために必要な、現地調達の割合を定めた規定である。アジアの小さな島のシンガポールは、全世界のサプライヤーから投入財を調達してきた経緯がある。

そこでメルコスールは、同国の製品に関して欧州連合(EU)と合意した条件を今回も導入することを決定、業種によるが製品によって最低で50%から55%の現地調達比率を確保していればシンガポール製と認める判断を下した。

またこの点が、まさにアルゼンチンとの間で生じた摩擦の大きな原因となった。フェルナンデス政権はメルコスール内の協議で、EUと合意したコミットメントについて、マウリシオ・マクリ(Mauricio Macri)大統領時代(2015―2019)のものでありシンガポールとは同じ判断を繰り返さないことが望ましいと発言していた。しかし関係者によると、アルゼンチンの当局者らが妥協し、この貿易協定の重要性について理解したのだという。

仮に交渉が妥結する場合、メルコスール(ブラジルとアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ)の4か国は、次回の首脳会談で合意を発表する意向だ。この首脳会談は21日、パラグアイが既に持ち回りの議長国となっていることからアスンソンで開催が予定されている。この会談には、ブラジルからジャイール・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領(PL:自由党)が現地を訪問、出席する予定だ。

この貿易協定は、2018年の大統領選の選挙キャンペーンで経済の開放を公約に掲げたパウロ・ゲデス(Paulo Guedes)経済大臣にとって、大統領選挙の投票日まで3か月を切ったタイミングで同大臣のPR要素になると期待されている。EU及び欧州自由貿易連合(EFTA:アイスランドとノルウェー、スイス、リヒテンシュタイン)との自由貿易協定は、2019年に合意に達したものの、その直後に欧州側が、アマゾン熱帯雨林の森林伐採が大規模に行われている間は署名と批准を拒否する事態に陥って凍結されている。

さらに、例えばメルコスール=カナダ貿易協定やメルコスール=韓国貿易協定のようにブラジルが重視している別の貿易協定は、今のところ、規定をまとめるまでに至っていない。このためシンガポールとの貿易協定を現政権は、切り札と位置付けている。アジアの国々は、最近になって署名された地域的な包括的経済連携協定(RCEP)及び包括的・漸進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)という大規模協定の関係行である。前者は、中韓を軸としたアジア太平洋の協定。後者は、アジア太平洋諸国とカナダ、メキシコ、チリ、ペルーが参加している。いずれにおいても、日本とオーストラリア、ニュージーランドが参加している。加えて、シンガポールは世界貿易機関(WTO)に対して、27か国とのFTAを締結していると申告している。(2022年7月4日付けバロール紙)

大企業の間で自社が経営する学校教育への投資の動きが拡大

技術系などいくつかの業種で人材が不足していることから大企業が、自社のニーズに合わせて専門家を育成するための新たな戦略に大きな期待を寄せている。アメリカとドイツ、オーストラリアで成果を出し始めていることを受け、これらの企業は、単科大学や専門学校のような形で教育省が認定した自社の教育イニシアティブに投資している。

このコンセプトを導入した企業には、イスラエリタ・アルベルト・アインシュタイン病院(Hospital Israelita Albert Einstein)やBTGパクチュアル(BTG Pactual)、WEG、先週XP単科大学(Faculdade XP)を設立したXPインベスチメントス(XP Investimentos)などがある。

これらの企業の目的は、目的は、専門家の資格能力の拡大と有能な人材の確保を視野に、実習生を職場に統合した養成プログラムを立ち上げることだ。拡大しているこのような取り組みは、雇用主大学(employer U又はemployer university)と呼ばれる。ただし、企業側がメリットを受けるための対策の枠内であり、環境・社会・企業統治に対する責任(ESG)に対するコミットメントの形をとるため、こうした教育は、企業教育のコンセプトに収斂するといえる。

雇用主は自社文化の一員となった人たちを訓練し、生徒らは、学んだことを実務で実施、いち早く労働市場にアクセスできるようになる。

その一例は、イスラエリタ・アルベルト・アインシュタイン病院看護専修学校の中等教育第1期生として入学したカイモン・デ・パウラ・ロドリゲス・シルヴァ(Kaymon de Paula Rodrigues Silva)さん(19歳)が、5月に初めての仕事を得たケースだ。

3年目のカリキュラムを完了した2021年にシルヴァさんは、同病院が運営する事業所でインターンを開始した。そして現在、卒業し、看護地方審議会(Coren)に登録され、彼はモルンビー区の外科センターの社員である。

イスラエリタ・アルベルト・アインシュタイン病院看護専修学校では2020年の卒業生の84%が2021年末までに就職しており、この内80%が同病院の運営先で雇用されている。同病院は、全体では27か所の公立医療機関と13か所の民間医療機関を運営しており、看護専修学校の生徒に対して同校が保証するインターンシップを提供している。

アインシュタイン教育システム(Ensino Einstein)のブライディ・サンタナ(Blaidi Sant’Anna)中等教育担当取締役は、「雇用主と統合された教育では、行動力(ソフトスキル)のような、企業のニーズと適正が高く評価される。専門家は組織文化の中で育成され、雇用適性を引き上げていく」とコメントした。(2022年7月3日付けエスタード紙)