今年初め4か月間の化学部門の貿易収支は前年同期比53.5%増加(2022年5月19日付けヴァロール紙)

ブラジル化学工業協会(Abiquim)の発表によると、2022年初め4か月間のブラジルの化学部門の貿易収支は、肥料及び農薬関連の輸入が牽引して前年同期比53.5%増加の173億ドルに達し、過去最高の赤字を更新している。

ロシアによるウクライナ侵攻及び中国の主要都市に対するCovid‐19パンデミック対応によるロックダウンによる世界的な輸送ロディスティック問題や化学製品の生産減少による影響を受けて、今年初め4か月間のブラジルの化学部門の輸入量は前年同期比0.5%微減の1,710万トンを記録している。

今年4月の肥料、中間財及び農薬関連輸入は、化学製品の輸入全体の40.2%に相当する228億ドルに達している。そのうち肥料の輸入総額は67億ドル、農薬は92億ドルを占めている。

今年初め4か月間の1トン当たりの肥料の平均価格は、ロシアによるウクライナ侵攻による影響で133.8%上昇の568ドル、農薬は25.3%増加の9,023ドルに達しているとブラジル化学工業協会(Abiquim)では説明している。また今年初め4か月間の化学製品輸入金額は前年同期比48.7%と大幅な増加を記録している。

一方今年初め4か月間のブラジルの化学製品輸出量は4.9%減少の500万トンを記録したが、有機化学製品輸出は7.2%増加、樹脂及びエラストマー(TPE)は25.5%大幅増加を記録、化学製品輸出金額は35.6%増加の55億ドルを記録している。

今年4月の過去12カ月間の化学部門の貿易収支は520億ドルの赤字を記録、今年の化学部門の貿易収支は550億ドルの赤字が見込まれている。

東レの大谷社長帰任、後任の前田取締役と会議所訪問

18日、大谷直之社長が来月の帰国を前に、後任の前田太輔取締役(在任5年)を紹介した。

大谷社長は着任早々に、平田事務局長からの激励一言「大きなポテンシャルを秘める広大なブラジルでの経営トップは先ず現場を知る事から始まる」をモットーに、コロナ直前まで実践、在任中に色々な新商品を導入、マーケットシェアーの拡大に努めて来た事を名残惜しみながら回顧、新規ビジネスの展開による今後の飛躍発展は、同席の前田新社長がしっかり成し遂げてくれると語った。

最後に米中の覇権争い、コロナ、ウクライナ危機後の世界秩序、地政学的リスクの回避、グローバル経済とサプライチェーン、日本およびブラジルの半導体ビジネス等々について幅広く意見交換。

最後に平田事務局長は「属人性が高いブラジルでは、いい意味での絆を作り上げて、お互い信頼関係になる事が大切」だと、後任の前田新社長に事例を挙げながらエールを送った。

数多い同社関連記事(旧サイト)の中から、ここでは下記数例を示す。

TORAY DO BRASIL LTDA一行が訪問 2018/08/02

http://jp.ccijb.com.br/news/visitas-a-camara/?materia=18611

TORAY DO BRASIL LTDA一行が訪問 2018/05/15

http://jp.ccijb.com.br/news/visitas-a-camara/?materia=18344

東レブラジルが会議所を訪問 2012/12/19

http://jp.ccijb.com.br/news/visitas-a-camara/?materia=11063

写真は左から平田事務局長,大谷直之社長,後任の前田太輔取締役

 

Caoa Chery 社は485人解雇と最大で15特別給与支給(2022年5月19日付けエスタード紙)

Caoa Chery社は、サンパウロ州ジャカレイ自動車工場の3年間の工場閉鎖をするために、485人の従業員に対して特別手当の支給及び解雇を提示しているが、地元の金属労連は会社側の解雇反対のために、サンパウロ州の産業空洞化について議論するための公聴会が行われていたサンパウロ州議会前で抗議集会を行った。

サン・ジョゼ・ドス・カンポス市の金属労連は、先週同社が5か月間の一時解雇プログラムのレイオフ実施、更に3項目の従業員雇用安定を付与することに合意したと発表していたにも関わらず、その後は再度、従業員の解雇にする発表を行っている。

Caoa Chery社は、2025年からハイブリッド車及び電気自動車の生産を行うために、3年半以上の生産体制のために準備期間が必要なための工場閉鎖に伴って、従業員の解雇政策の採用を余儀なくされたと説明しているが、地元の金属労連では、モデルチェンジのための3年以上の工場閉鎖には納得していない。

Caoa Chery社は、アドミニストレーション部門を除く製造ライン従業員など全ての従業員を解雇対象にしているが、解雇の応じた従業員に対して特別手当を支給する。5年以上勤務の従業員には15サラリー、2年以上勤務の従業員には10サラリー、2年以上勤務の従業員には7サラリーを支給する。例えば5年以上勤務の従業員で月給が5,000レアルの場合は、7万5,000レアルの特別手当が支給される。

昨日行われた公聴会で、 Carlos Giannazi(PSOL)州議員は、サンパウロ監査裁判所に対して税制恩典を受けていた企業が撤退する場合、今まで供与されていた税制恩典の内容開示を求めていると金属労連のWeller Gonçalves組合長は説明している。

自動車メーカーは、電気自動車やハイブリッド自動車などの全く新しいモデルであっても、生産ラインを適応させるのに必要な期間は1年間で十分であり、3年間は必要ないとBright Consulting社のCássio Pagliarini共営者は説明している。

Caoa Chery社社のサンパウロ州ジャカレイ自動車工場は2015年に年間5万台の自動車生産を目標に操業開始されたにも拘らず、過去最高の生産台数は2021年に記録した1万4,000台に留まっていた。

WECの江上社長が旅行業界の近況報告

18日、江上耕一郎社長は、年初からの日本の水際対策やブラジルの旅行業界の動向について平田事務局長と意見交換を行った。同社は発想の転換で奮起一転、新しいサービスを提供中。

以下、昨年末関連記事

https://camaradojapao.org.br/jp/2021/12/18/%ef%bd%97%ef%bd%85%ef%bd%83%e6%b1%9f%e4%b8%8a%e8%80%95%e4%b8%80%e9%83%8e%e7%a4%be%e9%95%b7%e3%81%8c%e4%bc%9a%e8%ad%b0%e6%89%80%e3%82%92%e8%a8%aa%e5%95%8f-2021%e5%b9%b412%e6%9c%8817%e6%97%a5/

写真左から平田事務局長、WECの江上耕一郎社長

 

(ZOOM)5月のオンライン労働問題研究会開催

企業経営委員会(讃井慎一委員長)主催の5月のオンライン労働問題月例会は、2022518日午後4時から530分まで70人が参加して開催、司会はRicardo Sasaki副委員長が務めた。

VBD弁護士事務所のTHALITA DE MARCO VANI 弁護士並びにYURI NABESHIMA弁護士は、『経営幹部向けのインセンティブ:ベネフィット及び追加報酬としての株式持分の付与』,Machado Meyer 弁護士事務所のRODRIGO SEIZO TAKANO パートナー及びMURILO CALDEIRA GERMINIANI 弁護士は、テーマ『パンデミック後の就業時間の管理:実用的な側面とリスクの軽減』 についてそれぞれ講演した。

セミナーのビデオ視聴は右クリックacesse aqui .

PDF anexos:
1. “Plano de incentivo para executivos: Concessão de participação societária como atrativo e forma de remuneração”
2. “Controle de jornada pós-pandemia: Aspectos práticos e mitigadores de riscos”

サンパウロのセメント価格は16%上昇で住宅価格に転嫁 (2022年5月18日付エスタード紙)

2021年から継続して住宅建設業者や住宅購入希望者を悩ませてきた建設資材コストの上昇を抑制する手立てはなく、住宅建設コストの5.0%のセメント及び派生品は二桁の値上がりを余儀なくされている。

大手セメントメーカーのVotorantim, Holcim, Intercement,Supermix社及びCortesia社は、先週サンパウロ市都市圏で事業を手掛ける建設会社にセメント価格の10%~16%の値上げを通達している。

大手セメントメーカー各社は、ディーゼル燃料価格の値上げに伴う輸送コストの上昇やレアル通貨に対するドル為替変動などの要因で、セメント価格への価格転嫁を余儀なくされている。

セメントメーカーは建設会社へのセメント価格の後決めの慣例である前売り販売を中止、価格改正後に納められるセメントの価格は、値上げ後の価格が徴収される。

ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)の今年4月の過去12か月間のブラジル建設コスト指数(INCC) 11.5%上昇、5月のサンパウロ州の建設労働者の給与調整は12.5%となっているために、更なる人件費上昇で建設コストへの反映を余儀なくされている。

中国のロックダウンはブラジルの輸出にブレーキをかけるも、貿易黒字加速(2022年5月18日付エスタード紙)

ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)の貿易指数(Icomex)調査によると、COVID-19パンデミック対応の中国の上海などの主要都市のロックダウン政策導入は、ブラジルの中国向け輸出にブレーキをかける要因になるのもも、ブラジルの貿易黒字を抑制するには及ばないと説明している。

今年初め4か月間のブラジルの中国向け輸出金額は前年同期比24.1%、輸入は27.6%とそれぞれ二桁台の増加を記録している一方で、輸出量は僅か3.5%増加、輸入量は3.5%減少を記録している。

. 今年初め4か月間のブラジルの輸出の平均価格は、国際コモディティ価格の高騰の影響を受けて前年同期比19.6%と大幅増加、輸入の平均価格は32.2%と非常な価格上昇をきたしている。

. 中国政府が採用しているロックダウン政策は、世界的なインフレ上昇に繋がっている一方で、中国の経済成長を阻害して、ブラジルの中国向け輸出減速に繋がっている。しかし中国は依然としてブラジルの貿易黒字を牽引しているが、世界的な供給体制問題の足枷になっている。

昨年4月~今年4月迄のブラジルの中国向け輸出額は10.7%増加に対して、輸入額は29.0%増加、平均輸入価格は35.4%増加した一方で、輸入量は5.0%減少、平均輸出価格は21.1%増加した一方で、輸入量は9.0%減少している。

. 今年初め4か月間の中国向け輸出量は9.6%減少した一方で、米国向け輸出量は7.7%増加、ヨーロッパ連合は10.2%増加、アルゼンチン向け輸出量は6.7%増加を記録している。

 

連邦貯蓄金庫は潮流に逆らって住宅向けクレジット拡大 (2022年5月18日付エスタード紙)

20212月迄僅か2.00%を維持していた政策誘導金利(Selic) は、12.75%まで上昇を続けており、今後も継続してSelic 金利引上げ及び高止まり予想で、ブラジルの大手銀行は、住宅購入向けクレジット部門の縮小を行っている。

. ブラジル国内大手銀行のブラジル銀行、ブラデスコ銀行、サンタンデール銀行は今年初めから一斉に住宅向けクレジットも縮小を意義なくされているにも関わらず、唯一連邦貯蓄金庫は潮流に逆らうように、積極的に住宅向けクレジット拡大を行っている。

2021年のブラジル国内の住宅購入向けファイナンスは、前年比46.0%増加の2550億レアルを記録した一方で、連邦貯蓄金庫の住宅クレジット部門のマーケットシェアは、前年の69.3%から66.5%と大幅にシェアを落としていた経緯があった。

連邦貯蓄金庫は今年の住宅クレジット部門は前年比20%増加を目標にしており、今年第1四半期の住宅向けクレジット総額は、前年同期比17.8%増加の344億レアルに達して、記録更新している。

 住宅向けクレジット総額344億レアルのうちポウパンサ預金の資金運用のブラジル貯蓄貸付システム(SBPE214億レアルに達しており、連邦貯蓄金庫にとって住宅向けクレジットは継続して主なクレジット部門であると Pedro Guimarães総裁は強調している。

今年4月には住宅建設会社向け特別ファイナンスプランを発表、また住宅購入者向けに住宅ローンの支払い開始遅延やローン金利引下げなど一連の住宅購入意欲を掻き立てるプランを発表して、果敢にマーケットシェア回復を図っている。

政策誘導金利(Selic) 12.75%まで上昇しているために、民間銀行では一斉に住宅ローンを抱えている負債者に金利上昇部門を転嫁しており、連邦貯蓄金庫も今年3月迄住宅ローン金利を引き上げていたが、他行の金利9.00%~10.0%に対して8.97%に抑えていた。

連邦貯蓄金庫の現在の住宅ローンの過去1年間で、延滞率は0.55%上昇して2.35%に達した影響で、同行の平均クレジットの延滞率は2.33%に上昇している。が、住宅を差し押さえ増加プロセスには至っていないと Guimarães総裁は説明している。

ブラデスコ銀行では、昨年第1四半期から今年第1四半期の1年間に住宅与信審査承認を50%に縮小して審査強化を図っており、1年前の住宅クレジット総額30億レアルは、15億レアル迄厳選していると Octavio de Lazari Junior総裁は説明している。

マガジン・ルイザ社の第1四半期の純益は、1億6,130万レアルの赤字計上(2022年5月17日付ヴァロール紙)

積極的にオンライン販売を拡大しているマガジン・ルイザ社の2022年第1四半期の純益は、ファイナンシャルコストの大幅増加の影響を受けて、16,130万レアルの赤字計上を余儀なくされたが、前年同期の25,860万レアルの黒字から一転して赤字に転落している。

今年第1四半期の純ファイナンシャルコストは、前年同期比148.0%増加の42,210万レアルを計上、またオペレーションコストも52.0%増加の236,000万レアルを計上、決算前の税引前営業利益は、昨年同期の51,730万レアルから僅か7,440万レアルと7分の1以下に減少している。

今年第1四半期の純売上は6.0%増加の876,000万レアル、実店舗、オンライン及びマーケットプレイスを含めた売上は、13.0%増加の1412,000万レアルと二桁台の伸び率を記録している。

同社の今年第1四半期のマーケットプレイスによる販売は50%増加したが、昨年同期の売上伸び率は98%を記録していた。また自社ブランド製品のオンライン販売は3.0%増加を記録している。


 
        

今年第1四半期のGDP伸び率は1.5%増加をIbre/FGVでは予想(2022年5月17日付ヴァロール紙)

ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)の調査によると、 2022年第1四半期のブラジルの国内総生産GDP伸び率は、前四半期比1.5%増加、前年同期比2.4%増加、3月のGDP伸び率は前月比1.8%増加、前年同月比4.2%増加している。

今年第1四半期のGDP伸び率を牽引しているのは、COVID-19パンデミックで壊滅的な影響を受けていたサービスセクターであり、特にその他のサービスセクターの回復が顕著で、既にCOVID-19パンデミック前の水準を上回っている。

また一般家庭消費セクターも前年同期比3.4%増加、特に外出自粛などに対する緩和で住居、食品、家庭向けサービスが増加している一方で、耐久消費財消費はマイナス6.7%を記録している。

1四半期の民間部門の住宅投資、設備投資や公共投資などの国内総固定資本形成(FBCF)は1.5%増加したが、機械・装置セクターはマイナス4.8%を記録している。

また今年第1四半期の財・サービス輸出は前年同期比9.6%増加、特にサービスセクターの輸出は14.7%、中間財セクター14.3%、農畜産製品輸出は29.5%とそれぞれ二桁台の大幅な伸び率を記録している。

今年第1四半期のGDP24580億レアル、投資は統計を取り始めた2000年以降の平均を上回る18.4%増加、また2015年第1四半期移行の平均伸び率を上回っている。