ウクライナに対する軍事侵攻で鉄鋼価格が上昇(2022年3月3日のヴァロール紙)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻の影響を受けて、先週末のブラジルの1トン当たりの鉄鋼製品価格は740ドルであったが、今では1トン当たり最低でも780ドルでの取引価格に上昇している。

ロシアがウクライナに対する軍事侵攻に踏み切って1週間が経過、今後のロシアとウクライナの戦況次第では、世界5位の粗鋼生産のロシアやウクライナの粗鋼生産に影響を及ぼす恐れがあるために、今後の平板鋼や鋼板の供給国の減産による世界の鉄鋼製品の値上がりが避けられない可能性が濃厚となってきている。

ブラジル国内の輸出用平板鋼メーカーとして、Techintグループ傘下のTernium社、ヴァーレ社並びに韓国資本のDongkuk社及びPosco社のペセン製鉄所CSP、アルセロール・ミタル・ツバロン社、Gerdau社も余剰スラブを輸出している。

粗鋼や鉄鋼メーカー向け原材料は値上りしており、1トン当たりの圧延鋼の中国のFOB価格は、800ドルから880ドルに上昇している。また鉄鋼メーカー向け1トン当たりの石炭価格は250ドルから400ドルに高騰している。

2021年のロシアの粗鋼生産は7,600万トン、ウクライナの粗鋼生産は2,100万トンと世界の85%の鉄鋼メーカーが加盟している世界鉄鋼協会(Worldsteel)では発表している。

ロシア及びウクライナの鉄鋼製品の輸出相手国は、ヨーロッパ連合及びアジア諸国、またブラジルはロシアから粗鋼製品を輸入している。また両国は鉄鉱石や付加価値の高い高炉向けパレットの中国及びヨーロッパ連合向け輸出国でもある。

今年1月の段ボール箱出荷量は前年同月比マイナス8.1%(2022年3月3日のエスタード紙)

ブラジル包装紙協会(Empapel)の月間統計速報によると、2022年1月の経済動向のバロメーターの段ボール箱派生品出荷量は、昨年末からの国内の段ボール箱の需要低下に伴って前年同月比マイナス8.1%に相当する138.4ポイントを記録、1月の段ボール箱出荷量では2019年以降では初めてマイナスを記録している。

今年1月のアクセサリーなどを含めた段ボール箱派生品出荷量は31万777トン、1日当たりの平均段ボール箱派生品出荷量は、前年同月比マイナス8.1%に相当する1万2,431トンに留まっている。

今年1月のブラジル段ボール箱指数(IBPO) は、前年同月比マイナス2.0%に相当する144.8ポイント、出荷量は30万5,608トンとCovid‐19パンデミックが猛威を振るっていた2020年6月以降では最低のブラジル段ボール箱指数(IBPO)のレベルまで低下している。

今年の住宅向けクレジットは金利上昇でブレーキがかかるか(2022年3月3日のエスタード紙)

ブラジル貯蓄・不動産信用機関協会(Abecip)の発表によると、昨年の住宅購買向けクレジット総額は、COVID-19パンデミックにも拘らず、政策誘導金利Selicが過去最低の2.00%まで低下したために、前年比46.0%に相当する2,550億レアルに達していた。

昨年の住宅購買向けクレジット総額が前年比46.0%増加の2,550億レアルのうち、ポウパンサ預金関連クレジット総額は前年比66.0%の大幅増加を記録した一方で、FGTS(勤続年数保証基金)の関連クレジット総額は、前年比マイナス3.0%を記録していた。

昨年の4.5%前後のGDP伸び率から今年は僅か0.3%前後への大幅な減速、僅かな増加が見込まれている失業率、高止まりするインフレ指数、一般消費者や企業経営者の景況感の悪化、12%まで上昇予想の政策誘導金利などの要因で、今年の住宅向けクレジットは前年比僅か2.0%増加が見込まれているが、ポウパンサ預金関連クレジット総額は前年比マイナス5.0%の大幅な減少が見込まれている。

民間銀行の個人向け住宅クレジットでは最大手のイタウー銀行のMilton Maluhy頭取は、住宅向けクレジットの金利上昇に伴って、今年の住宅向けクレジットの減速は疑いの余地がないと指摘している。

しかし今年の住宅向けクレジット総額は、ポウパンサ預金の資金をブラジル貯蓄貸付システム(SBPE)で運用する住宅購入向けクレジットが牽引して、前年比では最低でも10.0%の二桁台の伸び率を住宅向けクレジットでは圧倒的なシェアを擁している連邦貯蓄金庫のPedro Guimarães総裁は予想している。

不動産業界の企業経営者にとって、最も頭痛の種は昨年の住宅クレジット金利は7.0%前後で推移していたが、今では9.0%から10.0%で推移しており、今後も政策誘導金利の上昇及び高止まりで住宅ローン金利の上昇は避けられないために、住宅ローン販売の減速は避けられない。

(ZOOM)2022年第1回オンライン部会長フォーラム開催

金融部会並びにコンサルタント部会合同の第1回部会長フォーラムは、2022年3月3日午前9時から10時まで85人以上が参加して開催、進行役は森谷伸晃フォーラム委員長が務めた。

初めに村田俊典会頭が開催挨拶で、20年以上にわたって継続していた業種別部会長シンポジウムに替わる今回のオンライン部会長フォーラムは5回シリーズ、ブラジルでのビジネスを行う上で多くの情報を入手する必要性に対応するために、各部会の貴重な情報を会員企業が共有して、企業経営に生かしてほしいと説明。また日本進出企業のビジネス障害となっている生の声を聴くために大使館や総領事館関係者も参加、3月10日の官民合同会議に反映させたいと説明した。

初めに金融部会の弘中真副部会長は、テーマ「2021年下期の回顧と2022年の展望」のブラジルの経済動向の回顧ではインフレ継続、国内景気の低迷、政治の先行き不透明感、展望では、ディスインフレ、大統領選挙、財政懸念の再燃、今年の大統領選挙では現在の支持率や選挙スケジュール、主要マクロ経済ではGDP、インフレ、金利並びに為替レートの推移及び予測、またマクロ経済指標では貿易収支、小売売上動向指数、基礎的財政収支、株価、Selic金利、インフレ並びに為替レート予測を説明。銀行業界動向では、個人、法人、農業、鉱工業並びにサービス部門別貸出残高推移、平均貸出利鞘率推移、不良債権比率推移について説明した。

続いて長野昌幸部会長は、保険業界動向について、保険業界動向について保険料収入推移、保険種目別保険料・損害率は自動車、火災、生命並びにマリン保険、ブラジルの今後の保険市場の成長見通しでは、損害保険や生命保険について説明した。

コンサルタント部会の笹澤誠一部会長は、「2021年度下期の振り返りと今年の見通し」について、 ブラジル経営環境概況、  COVID-19の状況、 ブラジルのM&Aの状況、 ブラジルの消費マインドと見通しでは、ブラジル・日本・全世界 及びブラジル世代別の消費者マインド、安全意識、家計の懸念、家計の支出の調査結果、ブラジル及び日本のレジャーと旅行についての比較、質疑応答ではブラジルのM&A件数、傾向。サイバーリスクに対する意識などが挙げられた。

PDF 金融部会発表資料

PDF コンサルタント発表部会

 

2022年2月の新車販売は過去15年間で最低(2022年3月2日付けエスタード紙)

2022年2月のトラックやバスを除く新車販売は、前年同月比二桁台の24.0%減少の僅か12万700台に留まり、2月の月間販売としては、過去15年間で最低の落込みを記録している。

今年2月の新車販売が僅か12万700台に留まった要因として、昨年から継続している世界的な自動車向け半導体や電気・電子部品などの部品供給問題対応の生産調整向け新車減産に加えて、ロシアによるウクライナへの軍事進攻拡大も加わっている。

しかし今年2月の新車生産は、新車生産の製造日数が前月比3日間減少しているにも関わらず、前月比では3.0%増加を記録した一方で、前年同月比では、24.0%の大幅減少を記録している。

また今年初め2か月間の新車販売は、前年同期比26.0%減少の23万7900台に留まっている。各自動車メーカーでは半導体の部品供給不足で、製造ラインの従業員に対してレイオフ制度の導入を余儀なくされている。

今年2月のフィアット社の新車販売のマーケットシェアは、21.9%で首位を堅持、2位は昨年5か月間に亘って、半導体不足による売れ筋の新車の生産調整を余儀なくされていたGM社は14.4%と挽回している。

3位には現代自動車の11.1%、トヨタは11.0%、ワーゲン社のマーケットシェアは、昨年11月から部品不足で1勤務体制によりなくされた影響で9.7%で5位に後退したが、3月2日から2交代制勤務体制に戻っている。

今年2月のベストセラーカーは、Fiat社のStrada車で1万4,000台を販売、現代自動車のHB20車は1万1,800台で2位、シボレー社Onix車は1万1,700台、JEEP社のCompass車は9,400台、ワーゲン社のT-Cross車は8,900台で5位となっている。

2月の企業経営者景況感指数(ICE)は前月比マイナス0.5%(2022年2月25日のエスタード紙)

ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)の調査によると、2022年2月の企業経営者の景況感を計る企業経営者景況感指数(ICE)は、前月比マイナス0.5%の91.1ポイント、昨年12月~今年2月の四半期の月間平均企業経営者景況感指数(ICE)は、マイナス1.7ポイントを記録している。

Covid-19の異変株オミクロンによる新たな感染拡大、自動車部門や機械・装置部門向けの半導体や部品供給問題、二桁台のインフレ指数や政策誘導金利の更なる引き上げ予想などの要因で、今年2月の企業経営者景況感指数(ICE)は再度減少に転じている。

今年2月の企業経営者の現状景況感指数(ISA-E) は、前月比マイナス3.2%減少の88.1ポイントを記録したにも関わらず、また企業経営者の先行き見通し景況感指数(IE-E)は、1.9%増加の93.3ポイントと楽観的な見通しとなっている。

今年2月の商業部門の企業経営者の景況感指数は、前月比2.1%増加、サービス業部門の企業経営者の景況感指数はマイナス2.0%、製造業部門はマイナス1.7%、建設業部門は0.9%増加を記録している。

今年2月の企業経営者景況感指数(ICE)調査では、調査対象の48セクターの内24セクターで増加を記録している。2月の企業経営者景況感指数(ICE)調査は、2月1日~23日迄3,841人の企業経営者を対象に行われた。

2022年1月の連邦政府の名目公共負債総額は、GDP比79.6%の2020年4月以降では最低水準まで減少(2022年2月25日のヴァロール紙)

ブラジル中央銀行の発表によると、2022年1月のファイナンス関連を含まない連邦政府のインフレ指数を考慮しない名目公共負債総額は、昨年12月のGDP比80.3%から79.6%に減少して、2020年4月のGDP比78.40%以降では最低水準を記録している。

今年4月の連邦政府の名目公共負債総額は、6兆9,730億レアルと昨年12月の6兆9,670億レアルよりも60億レアル増加を記録、しかしCOVID-19パンデミック危機対応の救済政策の緊急臨時支出が余儀なくされた2020年10月の名目公共負債総額のGDP比88.99%よりも大幅に減少している。

今年1月の連邦政府の純公共負債総額は、GDP比56.6%に相当する4兆9,640億レアルと昨年12月の純公共負債総額は、GDP比57.2%に相当する4兆9,660億レアルよりも20億レアル減少、2020年5月に記録したGDP比54.04%以降では最低の純公共負債総額となっている。

今年1月の連邦政府の純公共負債総額は、連邦政府、州政府、市町村並びに公社の決算データーを基に計算されるが、Petrobras石油公社並びにEletrobras電力公社、公立銀行は含まれていない。

2022年1月のブラジル政府の財政プライマリーは1,018億レアルの黒字計上で月間記録更新(2022年2月25日のエスタード紙)

2022年1月のブラジル中央電力公社(Eletrobras)並びにペトロブラス石油公社を除く中銀、国庫庁並びに社会保障院(INSS)で構成される中央政府並びに州政府並びに市町村で構成される地方政府を合わせたブラジル政府の財政プライマリー収支は、1,018億レアルの黒字を計上して2001年12月に統計と取始めてからでは月間記録を更新している。

今年1月のブラジル政府の財政プライマリー収支黒字1,018億レアルは、昨年12月の1億2,300万レアルの80倍以上、昨年1月の583億7,500万レアルの黒字の1.7倍とそれぞれ大幅な黒字幅に上昇している。

2021年のブラジル政府の累積財政プライマリー収支は647億レアルの黒字を計上して、過去7年間継続していた財政プライマリー収支赤字から一転して大幅な黒字を計上、また今年1月の過去12カ月間のブラジル政府の累積財政プライマリー収支は、1,081億8,600万レアルの黒字を計上している。

ブロードキャストプロジェクションの調査では、今年1月のブラジル政府の財政プライマリー収支の最低黒字予想は525億レアル、最高予想は1,010億レアル、平均予想は820億レアル、最高予想を上回っている。

今年1月の中央政府の財政プライマリーは774億3,000万レアルの黒字計上、地方政府の財政プライマリーは199億7,700万レアルの黒字計上、地方政府の財政プライマリー収支の内訳は、州政府の財政プライマリーは182億8,300万レアルの黒字、市町村の財政プライマリーは16億9,400万レアルの黒字、地方政府公社は442万6,000レアルの黒字を計上していた。

今年1月の過去12カ月間のブラジル政府の財政プライマリー黒字1,081億8,600万レアルはGDP比1.23%に相当、しかし中央政府の財政プライマリー収支は、GDP比0.02%に相当する15億9,900万レアルの赤字を計上している。

一方、地方政府の財政プライマリーは、GDP比1.17%に相当する1,028億9,900万レアルの黒字計上、そのうち州政府の財政プライマリー収支は833億7,700万レアル、市町村は195億2,200万レアルの黒字、地方政府公社は68億8,600万レアルの黒字を計上していた。

(ZOOM)自動車部会オンライン懇談会開催

自動車部会(秋山ロベルト部会長)懇談会は、2022年2月24日午後4時30分から5時30分まで17人が参加して開催、進行役は平林氏が務め、初めに Paulo Yoshimura新部会長並びに参加者が自己紹介を行った。

2021年の振り返り及び今後の展望では、ドラフト資料を投影して四輪(中古車・新車)・二輪の販売台数推移、月間販売推移、生産台数や輸出台数の推移、自動車価格の推移、ブランド別シェアの推移、2022年のブラジル市場・輸出・生産、上半期は半導体不足の影響、下半期の回復期待、インフレ加速による価格上昇の懸念などが挙げられた。

自動車業界の短期展望では半導体の回復のタイミング、不透明や政治経済動向、中長期展望では税制、環境規制、カーボンニュートラルと自動車の電動化の問題点などが挙げられた。

渡邉副領事は、3月10日の官民合同会議では、会議所から日本メルコスールEPAに関する発言や意見交換を予定、EPAが進んでいる韓国やカナダに劣後しないように、悩みを抱えている現地民間企業の苦痛の生の声を集約した機運作りが重要と説明した。

平田事務局長は、日メルコスールのEPA締結は古くて新しい命題であるが、メルコスールには大国意識のあるアルゼンチンとブラジルの面子の駆引きがあり、動作が非常に緩慢。EUとメルコスールはEPA政治合意もブラジルの熱帯雨林伐採などの環境問題が立ちはだかっている。敷居ゼロの大使館関係者が部会懇談会に参加して、現場の悩みの生の声を聞いて頂きたい。私が悪者になってガンガン率直に発言して先導すると強調した。

参加者はPaulo Yoshimura新部会長(ブラジルトヨタ)、秋山副部会長(ホンダサウスアメリカ)、小郷副部会長(Denso do Brasil Ltda.)、長田氏(Aishin Automotive)、広佐古氏(ブラジルトヨタ) 増岡氏(ブラジルトヨタ)、平林氏(ブラジルトヨタ)、佐々木氏(ホンダサウスアメリカ)、金丸氏(Yokohama Rubber)、木内氏(出光)、出岡氏(NGK)、原所長(ジェトロサンパウロ事務所)、中野副領事(サンパウロ総領事館)、渡邉副領事(サンパウロ総領事館)、平田事務局長、梶原アシスタント、大角編集担当

佐々木ブラジル味の素社長が帰任挨拶 

(写真左から平田藤義事務局長、佐々木達哉ブラジル味の素社長)

24日、佐々木達哉副会頭(総務委員長、食品部会長)が3月の帰国を前に挨拶のため会議所を訪問した。

味の素(株)の執行役異動報によれば、佐々木社長は4月1日付で同社の執行役専務、グローバルコーポレート本部長、コーポレートサービス本部長に栄転が決まっている。

村田会頭はハイブリッド・オンラインを通じ、同氏の会議所活動への多大なご協力やご尽力に対し感謝を申し上げた。

平田事務局長は今朝起きたばかりのウクライナ危機を憂慮、1973年当時の中東危機に端を発したオイルショックやエネルギー危機を彷彿、世界的なインフレや高金利など今後の経済活動の足枷にならないか、また東アジア地域を巻き込む世界的な危機に至らない様に祈りを込め懇談を行った。

現在の西井孝明社長に続いて藤江太郎次期社長も、ブラジル味の素社長の歴任者であり、厳しい経営環境下にあっても存在感が高るブラジル、ご一行様の会議所再訪問を心から期待していると別れを惜しんだ。