歳出上限法に替わる財政均衡法案が可決(2023年8月23日付けUOLサイトより抜粋)

.22日夜、下院議会では歳出上限法に替わる新財政均衡法案が可決されたが、ルイス・イナシオ・ルーラ大統領のサイン待ちとなっている。

この新財均衡法案の承認はルーラ政権とフェルナンド・ハダジ財務相当の勝利であり、圧倒的多数の賛成票を獲得した要因として、アルトゥール・リラ下院議長(PP/AL)の各政党党首への根回しによる政治的手腕が光っている。

この新財政均衡法案は下院で賛成379票、反対64票という大賛成票で承認され、すでに新規則に基づいて政府が2024年予算(PLOA)を提出できるのに間に合うように承認された。

しかし下院での投票が締め切られたこの新財政均衡法案には、与党が強固に通したかったインフレ指数に連動した政府の支出を認める上院に挿入される抜粋を承認するという要求は除外されている。

さらに、新財政均衡法案の承認後に政府にとって最も難しい部分が待ち構えており、承認された法案テキストでは、連政府の財政収支を赤字から脱却し、2024年に基礎的財政赤字をゼロにすることが規定されている。連邦政府の財政収支赤字解消にはまだ約1,000億レアルが不足していると見込まれている。

来年の連邦政府の財政プライマリー収支がGDP比0.25%の赤字を許容するルールの許容範囲を考慮しても、2024年の財政赤字目標について金融市場で懐疑的な見方があるのは否定できない。

来年の財政プライマリー収支赤字をゼロを達成するために、ハダジ財務相は今後どのような措置を計画しているのか?

  • 専用ファンドおよび国内ファンドへの課税
  • オフショアファンドへの課税
  • JCP(資本利息)の控除の終了
  • 租税資産管理理事会(Carf)のキャスティング投票
  • スポーツ賭博の規制
  • 海外からの物品購入に関する新ルール

8月の企業経営委員会月例会開催

企業経営委員会(島田領委員長)の労働問題研究会は、2023年8月23日午後4時から5時30分まで127人が参加して開催、進行役はFernando Mihara副委員長が務めた。

初めにDannemann Siemsen法律事務所のMARINA INÊS FUZITA KARAKANIAN パートナー並びにJULIANA BUSSADE MONTEIRO DE BARROS 税務担当主任は、テーマ『技術支援契約と海外送金の新しい価格設定ルール』“Contratos de assistência técnica e novas regras de preços nas remessas de pagamentos ao exterior”。続いて DeloitteのCLAUDIA MARTINS GOMES パートナー並びにDIEGO VOGEL MARTINS シニアマネージャーは、テーマ『eSocialにおける労働関連の有罪前歴情報申告について』“eSocial – Declaração de informação de condenações trabalhistas”についてそれぞれ講演を行った。

PDF anexos:
1. “Contratos de assistência técnica e novas regras de preços nas remessas de pagamentos ao exterior”
2. “Condenações trabalhistas no eSocial”

「ブラジル再生可能エネルギーと新工業化(Neoindustrialização)の動向」セミナー開催

在リオデジャネイロ総領事館及び在サンパウロ総領事館共催の洋上風力を初めとする再生可能エネルギーやルーラ政権が掲げる「新工業化(Neoindustrialização)」の動向について紹介するポルトガル語/日本語同時通訳での「ブラジル再生可能エネルギーと新工業化(Neoindustrialização)の動向」セミナーは、2023年8月22日午後3時から5時30分まで70人近くが参加して開催。ブラジル日本商工会議所環境委員会及び貿易部会の協力を得て開催した。

セミナーの講師にはブラジル風力発電業界に大きな影響力を持つブラジル風力エネルギー協会(ABEEólica)と、リオデジャネイロ州にあるブラジル最大規模の民間港であり、脱炭素ビジネスのプラットフォームとして注目されている「アスー港」の運営法人PrumoLogistica社を招き、ブラジルにおける再生可能エネルギーの現状や法規制に関する課題、投資に関する最新動向等について説明した。

Ken Hashiba, cônsul-geral do Japão no Rio de Janeiro

Rogério Zampronha, CEO da Prumo Logística

Carolina Kimura, analista da Diretoria Técnica da ABEEólica

Mauro Andrade, chefe do Departamento de Energias Renováveis da Prumo Logística

企業経営者の景況感指数(Icei) は、調査対象の29セクターのうち23セクターで前月比増加を記録(2023年8月22日付けヴァロール紙)

製造業部門の企業経営者対象の全国工業連盟(CNI)調査によると、2023年8月の企業経営者の景況感指数(Icei) は、調査対象の29セクターのうち23セクターで前月比増加を記録して回復傾向を示している。

またブラジル国内の4地域対象の8月の企業経営者の景況感指数(Icei) では、南部地域の除く3地域で回復を記録している。この企業経営者の景況感指数(Icei) 調査は8月1日から9日にかけて1963人の加盟企業経営者対象に実施された。

冶金、金属製品、家具、自動車の4業種セクターは前月に似に推移していたが、20セクターで景況感指数が上昇している。

調査対象の29セクターのうち8つのセクターで景況感指数が後退し、その中で繊維セクターは自信感から自信喪失の一線を越える52ポイントから49.3ポイントと分岐点を割込んでいる。履物セクターは、ICEI は 52.1 ポイントで安定している。

景況感指数結果に影響を与えた要因の中には、8月初めに発表された最初の政策誘導金利Selic引き下げが挙げられる。小売業、サービス部門、正規雇用市場における好業績に加えて、今後の金利切下げサイクル突入が見込まれていると全国工業連盟(CNI)エコノミストのLarissa Nocko氏は指摘している。

調査対象の製造業部門で最も景況感指数が高いセクターは、香水、クリーニング、個人衛生セクターで59.6ポイント。非金属鉱物セクターの56.8 ポイント。メンテナンスと保守セクター56.5 ポイント。そしてバイオ燃料セクターは56.2ポイントに上昇している。

8月の信頼感指数が低いセクターとして木材セクターは、7 月の 44.2 ポイントから 8 月の 43.8 ポイントに低下。ゴム製品セクターは44.8ポイントから44ポイントに上昇し。皮革および人工皮革製品セクターは、前津津よりも2 ポイント低下して 46.7 ポイントとなった。

地域別の景況感指数調査では、中西部地域は、3.1ポイント増加。北東部地域でも力強い進歩があり、2.3 ポイント上昇し、南東部地域でも2.2 ポイント上昇した。

南部地域では景況感指標の改善がより緩やかで1.1ポイント上昇、北部では0.9ポイント上昇。南部地域だけが指標 49.9 ポイントで、カットオフラインに非常に近く、50 ポイントに近づいている。

 

 

ソフトバンクは初めてラテンアメリカで投資解消(2023年8月22日付けヴァロール紙)

ソフトバンクは、ラテンアメリカ地域での果敢に投資を行ってきて利益を出している一部のスタートアップ企業の売却を始めている。

今年6月にヴィザ社は10億ドルで買収すると発表していたブラジル資本のフィンテック企業Pismo社の年末までの売却を計画している。.

ラテンアメリカ・ファンドのマネージング・パートナーであり、ブラジルにおけるソフトバンクの責任者のAlex Szapiro氏は、ソフトバンクはPismo社への初期投資を18カ月で2倍以上に増やした。Alex Szapiro氏は収益性の指標となる内部収益率は54%だったと説明している。

ブラジル国内の高金利で資本調達市場が新興企業にとって厳しいため、ソフトバンクは戦略的投資家に株式を売却していると説明。そして今後さらに多くの売却が行われるだろうとSzapiro氏は説明している。 6月の時点で、同ファンドはラテンアメリカ地域で76億ドルの資産を保有しているが、公正価値は60億ドルが見込まれている。

ソフトバンクのラテンアメリカへの投資ペースは、グループが2019年に一巡して同地域の新興企業に50億ドルの資金を割り当て始めて以来、2020年のCovid-19パンデミックの影響やロシアのウクライナ侵攻、世界的なインフレや金利高などの影響で、最近鈍化している。

約30か月後、同社は30億ドルの2つ目のファンドを発表。Szapiro氏は1990年代後半のテクノロジー企業の創設者の1人で、アップルやアマゾンがブラジルに進出した際に現地ビジネスを立ち上げ、2021年からソフトバンクに在籍している。

ソフトバンクはまた、米国の債券や株式への投資に中産階級のブラジル人をサービスするデジタル証券会社アベニューの株式を、時価総額で中南米最大の銀行であるイタウに売却を予定している。

もう1つの売却案件はメキシコの決済会社Yaydoo社で、ソフトバンクも投資しているブロックチェーンベースの企業間決済のリーダー、PayStand社に買収される予定だ。 2022年8月に発表された取引額は明らかにされていない。

ソフトバンク社はまた、今年1月に完了した株式交換でArco社がまだ所有していなかった同社の株式を買い取った際、学校向け金融プラットフォームとソフトウェアを提供するブラジル企業インコを売却した。ソフトバンクは現在アルコの株式を所有しており、DragoneerとGeneral Atlanticがアルコの非公開化を計画している第4四半期に行われる見込みの取引で売却するかどうか検討している。

7月の国庫庁の実質歳入総額は前年同月比4.20%減少(2023年8月22日付けヴァロール紙)

22日の国庫庁の発表によると、2023年7月の国庫庁のインフレ指数を考慮した実質歳入総額は、税法改正と非典型的な支払い、特に一般歳入のうち法人所得税(IRPJ)と純利益に対する社会分担金(CSLL)の減少の影響で前年同月比4.20%減少に留まっている。

税務当局によると、一般歳入以外の臨時歳入と税法改正により、今年7月の歳入総額は前年同月比38億3,000万レアル減少の2,018億2,900万レアル。インフレ指数を考慮しない名目歳入総額はマイナス0.39%に留まった。

また7月の一般歳入総額はマイナス0.74%に相当する1871億1700万レアル、名目歳入総額は3.23%増加を記録。1月から7月までの累積減少は燃料税に対する免税などの影響で279億レアルを記録している。

これらの一般歳入以外の臨時歳入の減少を考慮しなければ、1 月から 7 月までの実質歳入総額は前年同期比4.69% 増加、7 月の実質歳入総額は 1.35% 増加に結び付いていたと国庫庁では指摘している。

7月の歳入実績は前年同月と比較した輸出量と為替レートの減少によって説明されると国庫庁分析・予測担当のMarcelo Gomideコーディネーターは強調している。

7月の歳入は法人所得税(IRPJ)と純利益に対する社会分担金(CSLL)で14.90%減少、輸入に関連するIPIは11.83%減少、一方で税務当局が管理するその他の歳入での増加を浮き彫りにした。この結果は主に、ゼロ訴訟プログラムによる 10 億レアルを超える利益と、同じく 10 億レアルを超える原油輸出に課せられた輸出税によるもの。

1月から7月までの累積歳入総額はの中で、社会保障院INSSの歳入は6.75%、キャピタルゲインは28.12%及び所得税は6.24%それぞれ大幅に増加している。

 

 

 

 

今年の二輪車生産は150万台突破予想(2023年8月21日付けヴァロール紙)

2011年のブラジル国内の二輪車生産は200万台を突破して過去最高の生産台数を記録したにも拘らず、世界的な不況の影響もあって、2016年意は僅か89万台の生産に留まって、二輪車生産は底を打っていた経緯があった。

2018年の二輪車生産から徐々に増加傾向を示し、漸く100万台を突破したが、2020年初めからCovid-19 パンデミックによる外出自粛や操業停止の影響を受けて再び100万台を割る水準まで低下、2021年及び2022年はCovid-19 パンデミックの影響及びロシアによるウクライナ侵攻によるロディステックや半導体供給不足による減産の影響を受けていたが、今年は先の見通しが立つ条件が整いつつあり、5年以内には二輪車生産が200万台を突破すると見込まれている。

10社の二輪車メーカーが加入するブラジル二輪製造会社協会(Abraciclo)では、ブラジル国内の96%の二輪車を生産するマナウスフリーゾーンの二輪車製造メーカーでは、ブラジル国内経済の回復及び大都市圏での二輪車用途の変化で二輪車生産にとって追い風が吹いていると説明している。

今年初め7か月間の二輪車生産は前年同期比14,3%増加の88万台7000台、二輪車の新車登録台数は21,4%増加の90万3,200台を記録、またインド資本のBajaj e Royal Enfield社も二輪車生産を開始している。

ブラジル二輪製造会社協会(Abraciclo)では、今年の二輪車生産は前年比10,4% 増加の156万台、新車登録台数は10,9%増加の151万台を見込んでいる。

今月初めにブラジル中央銀行は政策誘導金利Selicの引下げを開始、二輪車業界ではSelic金利が継続して引下げれば二輪車販売の増加に繋がると歓迎している。特に安価な160 ccまでの二輪車販売に拍車がかかると予想。二輪車販売の三分の一は分割払い、三分の一は現金払い、残りの三分の一はコンソルシオとなっている。

金利低下に加えて、所得と雇用水準の増加、GDP成長率、インフレ低下、管理為替レート、税制改革の効果など、他の指標の改善も期待できると信じている。 「金利低下の兆候は重要だが、もう少し下げる必要があるとブラジル二輪製造会社協会(Abraciclo)のMarcos Bento会長は指摘している。

また同氏は SELIC金利の引き下げについてはすでに大きな期待があったので、その効果はすぐに現れる。またフィンテック企業の参加による銀行間の競争により、二輪車を購入する個人への融資枠が拡大すると付け加えた。

マナウスフリーゾーンの税制恩典の特権を維持した税制改革案が下院で承認されたことにより、二輪車業界は安堵しており、二輪車メーカーは上院での議論に目を向け、工業製品税(IPI)の免除を維持しようとしている。免除は2073年まで保証されているものの、この税制恩典については政財界の意見が一致していない。

二輪車業界部門は、全国に1,500社以上のサプライヤーがおり、1万6,300人の直接雇用と15万人近くの間接雇用を生み出しており、 マナウスフリーゾーンは憲法で定められたプログラムであり、製造業部門は2073年までのフリーゾーン存続のシナリオを想定してこの地域に投資している。

2009年以降のに二輪車生産台数の年間推移

 

下期2回目の運輸サービス部会懇談会開催

今年下半期2回目の運輸サービス部会(大胡俊武 部会長)懇談会は、2023年8月22日午前10時から11時まで12人が参加して開催、8月30日開催の部会長フォーラムでの発表資料作成で、「航空貨物」、「その他の物流」「旅行・ホテル・航空旅客・レンタカー」並びに「海運」セグメントについて意見交換を行った。

Licks Advogadosのロベルト・カラペット弁護士が訪問

左から村田俊典事務局長、Licks Advogadosのロベルト・カラペット弁護士

Licks Advogados東京支社のロベルト・カラペット弁護士が2023年8月21日に商工会議所を訪問、応対した村田俊典事務局長と、短期ビザ免除による活性化が期待できる人的交流、新ルーラ政権の構造改革や経済政策など多岐に亘って意見交換した。

 

スザノ製紙は9月からトン当たりのパルプ価格を50ドル値上げ(2023年8月21日付けヴァロール紙)

世界最大のパルプメーカースザノ製紙は9月からユーカリ材が原料の短繊維パルプの価格を1トン当たり29ドルから50ドルの値上げをすると発表している。

スザノ製紙は9月からアジア向け短繊維パルプ価格を1トン当たり20ドルの値上げを発表した一方で、ヨーロッパおよび米州向けパルプの価格は50ドルの値上げを発表している。

過去1年間ではヨーロッパおよび米州向けの短繊維パルプの値上げは初めてとなるが、アジア向けの短繊維パルプ価格の値上げは3回連続の値上げとなる。

ヨーロッパでは短繊維パルプ価格が先週も下落し続け、8年ぶりの最低水準に近づいており、デリバティブブローカーのStoneXによると、欧州市場における長繊維と短繊維の「スプレッド」は1トン当たり358米ドルという記録的な水準に達し、中国の126米ドルに匹敵する。

欧州BHKPの力強い下落傾向が終わりに近づいていることを示すさまざまな兆候があるとStoneXは指摘している。