第10 回中南米知財セミナー開催

日本貿易振興機構(JETRO)サンパウロ事務所(大久保敦所長)主催の第10 回中南米知財セミナーは、2019年10月21日午後3時から4時30分まで15人が参加して開催、初めにJETROサンパウロ事務所の貝沼憲司 知的財産権部長が開催挨拶及び自己紹介、日本の特許庁によるスタートアップ企業サポートについて、初めに企業価値としての無形資産の比率の推移、無形資産のコンセプト、知財を構成するパテント並びにデザイン、商標、その他のIP資産マネージメント、スタートアップに於ける企業価値としての知財権、特許権有無による投資の左右、日本とブラジルスタートアップ企業の知財権の認知度、国内外ベンチャー企業の知財戦力事例集の紹介大企業とスタートアップのタイアップ、休眠特許のビジュアル化、スタートアップに対する特許申請短縮、INPI(ブラジル産業財産庁)の2017年の締結の特許審査ハイウェイ(Patent Prosecution Highway)によるビジネス加速化の貢献などについて説明した。

またGRUENBAUM POSSINHAS & TEIXEIRA事務所のレオナルド・コルデイロ パートナーは、知財マネージメントをテーマに、ブラジルのパテント所有率は世界の1.0%と中国並びに米国、ドイツ、日本から大きく後れを取っている現状、ブラジルでは年間4万人のエンジニア育成に対して、ロシアは45万人、中国42万人、米国24万人、イラン23万人、インドは22万人、日本は17万人と大きく離されている。ラテンアメリカ地域でもチリ並びにコスタリカ、メキシコに後塵。ブラジルINPIの特許システム規制、アドバンテージ、パテントシステム無視によるリスク、2007年-2016年のブラジル及び世界のパテント取得件数推移、ブラジル特許庁による国内特許出願のバックログ問題対処などについて説明した。

質疑応答ではブラジル政府の特許に対する施策や動向、バックログ問題の動向、INPIの審査官の生産性向上、前審査に対する外注、知財保護や模造問題に対するブラジル政府の取組などが挙げられた。また貝沼憲司 知的財産権部長は、今後の活動方針として会員募集方法やメリット、活動頻度、活動範囲、テーマ選定、アンケート調査、今後のスケジュールなどについて説明した。

講演中のJETROサンパウロ事務所の貝沼憲司 知的財産権部長

講演中のGRUENBAUM POSSINHAS & TEIXEIRA事務所のレオナルド・コルデイロ パートナー

 

10月の懇親昼食会は130人が参加して開催

10月の懇親昼食会は、2019年10月18日正午から午後2時過ぎまでインターコンチネンタルホテルに130人が参加して開催、司会は平田藤義事務局長が務め、初めに特別ゲストの三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチエコノミストのCliff Tan氏が紹介された。

村田俊典会頭は10月常任理事会報告として、2019年9月27日、経済省のサンパウロ事務所で生産性・雇用・競争力局の(SEPEC)カルロス・コスタ次官並びにファビオ・ピナ貿易・サービス開発次長と同局による優先産業分野、中小企業政策やその課題等について、日本勢として何が協力出来るのかについて自由闊達に意見交換。10月14日、経産省 田中繁広 経済産業審議官が機械金属部会および会議所幹部と意見交換会開催。10月17日、ジャパンハウスで第13回日伯貿易投資委員会開催、官民セッションでは、佐藤真吾 会議所副会頭(日伯経済交流促進委員長 兼 政策対話委員長)は会議所の沿革、会員構成、活動状況、委員会構成、日伯経済協力促進取組、政策対話委員会活動、歳入庁次官へ税制改革提言、コスタ次官と中小企業競争力政策の対話等々の説明。今回の委員会ではブラジル政府の前向きな面談となり、ブラジルコストなどブラジル政府も同様の認識を示して改善の意向で競争力強化で日本企業も協力していくことで意見が一致、会員企業の会議所活動活性化のための協力を促した。

また村田会頭は、日本企業の技術力の取入れや土屋前会頭から受け継いだ会員増加などを目的とした企画戦略委員会の中に中小企業誘致研究会新設を説明、将来的には委員会への格上げを示唆、当初のコアーメンバーとして会頭並びに財務委員長、渉外広報委員長が牽引するが、積極的な参加を呼びかけた。また年末にかけて来年の会議所活動活性化に向けた会合への参加を呼びかけた。

10月常任理事会報告をする村田俊典会頭

代表者交代挨拶では、BR-VISA CONSULTORIA E ASSESSORIA EMPRESARIAL LTDA.のEiko Kubo Wakiyama氏は、ビデオで自社事業内容を紹介、JEOL BRASIL INSTRUMENTOS CIENTÍFICOS LTDAの竹内 千尋代表は、10月1日着任、日本電子株式会社(JEOL Ltd.)は電子顕微鏡をはじめとした精密機器や理科学機器の設計、製造、販売、保守を行う企業で理科学機器メーカー。分解能は世界最高と紹介した。

JEOL BRASIL INSTRUMENTOS CIENTÍFICOS LTDAの竹内 千尋代表

3分間スピーチでは、第一三共の加藤一良氏は循環器と感染症薬に強く、イノベーティブ医薬品、ワクチン、ジェネリック医薬品、OTC医薬品など病院向け薬販売を紹介。青年会議所のLeonardo Inomata氏及びThamyris Macedo氏は11月30日にブルツリーホテルで開催される「Brazilian Mind 2019」を紹介。Quickly Travel の原田雅裕副社長は、「2020年東京オリンピック」について、来年7月4日から1万5000人の選手が参加、ブラジルからオリンピックツアー企画をパワーポイントで紹介。希望の家福祉協会の下本ジルセ理事長は、1963年設立、40人のボランティアは無償奉仕、Nota Fiscal Paulistaが収入源、資金協力を要請。平田事務局長は会議所のキーワードのCSR (企業の社会的責任)に繋がるために会員企業の協力を要請した。

種村 正樹金融部会長の講師歓迎の辞に続いて、三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチエコノミストのCliff Tan氏は、テーマ:「米中貿易戦争の中南米市場(特にブラジル)への影響」と題して、米中貿易戦争の長期化でサプライチェーン移動の潮流に変化をきたしている。米中貿易戦争を受け、1年前とは違って少なからぬ企業が中国からの生産移管を検討、米中貿易摩擦の影響による米中貿易収支の変化、米国とベトナム、米国とメキシコの貿易収支の変化、崩れる中国のグローバル・バリューチェーン、べトナムの電動自転車のパーツサプライヤー、中国の日本企業のビジネスリスクと課題、米中貿易摩擦による中国向け売上高動向、2017年以降の対内直接投資の動向、世界の製造拠点であった中国から他国への生産拠点の移動の推移、中国からアパレルや靴などの製造拠点の移動先、欧米並びに中国、インド並びにASEAN諸国の1985年から2030年のGDP伸び率推移及び予測や今後の予測などについて講演、村田会頭からCliff Tan氏に記念プレートが贈呈された。

講演中の三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチエコノミストのCliff Tan氏

講師歓迎の辞を述べる種村 正樹金融部会長

左から記念プレートを受け取るCliff Tan氏/村田俊典会頭

Fotos: Rubens Ito / CCIJB

連邦政府は国会承認なしの行政組織変更を模索

連邦政府は、省庁などの行政組織変更を速やかに実施するために、煩雑で時間を要する国会での承認なしでの大統領の権限での変更するための憲法改正を模索している。

今年1月の発足したボルソナロ新政権では、大統領暫定令で小さな政府を目標にテーメル政権の29省庁の閣僚ポストの半減を目指して、財務省と経済政策をつかさどる企画省や商工サービス省を統合させた「経済省」の創設を発表、22省庁に削減していた。

しかし行政組織の変更を行うためには国会での承認が必要で、汚職撲滅を約束したボルソナロ大統領がセルジオ・モロ氏を法相に指名した時から描いていた戦略の一つであった法務省管轄下だった金融活動管理審議会(Coaf)は、経済省の管轄下に置くことが決まった経緯があった。

ボルソナロ新政権の議会に対する連邦政府の政局調整力の弱さが露呈されて、汚職撲滅を謳い文句にしてきたボルソナロ政権の計画が大きく狂い、ラヴァ・ジャット汚職問題の進展でも狂いが生じている。

連邦政府は、今月22日までに予定されている年金・恩給改革法案の上院議会での採決後すぐに行政組織の効率化と経費削減を目的とし、公務員の配置転換や免職を伴う行政改革の最終テキスト草案を国会に送る計画をしている。

パウロ・ゲーデス経済相は、連邦公務員の117種類のキャリア見直し並びに公務員採用基準の見直し、新たに採用される連邦公務員に対する昇給や特典、解雇規則などの新規定を決める。

またパウロ・ゲーデス経済相は、特に連邦公務員が受けている特典として、有給休暇システムや各種特典、賞与など民間企業との格差が大きい特典の見直しを行う。また新規採用の連邦公務員の民間企業との給与格差、細分化されたキャリアに伴う昇給などの見直しを行う。

経済省では、連邦政府の年金改革と同じシステムを地方政府(州・市)でも導入すれば今後の州政府の歳出削減に結び付き、コントロールが容易となるが、2020年の地方統一選挙をにらんだ攻防で、地方政府は独自システムを導入の可能性が高くなっている。(2019年10月17日付けエスタード紙)

3年ぶりの貧困層減少も最貧困層が4年連続で拡大

ブラジル地理統計院(IBGE)の全国家庭サンプル調査(Pnad)の統計を基にしたコンサルタント会社LCA社の調査によると、2015年から2017年にかけてブラジルの貧困層人口は上昇していたにも拘らず、2018年は減少に転じている。

しかし世界銀行が定めている1日の一人当たりの所得が1.90ドル(月間145レアル相当)以下のブラジル国内の最貧困層人口は、2015年から連続して増加傾向を示しており、所得による社会格差が拡大傾向を示している。

また世界銀行が定めている1日の一人当たりの所得が5.5ドルの貧困層人口は、2014年から2017年まで4年連続で増加していたが、昨年は非正規雇用が牽引して前年比2.4%減少している。

調査開始の2012年のブラジルの貧困層人口は5,234万人、2013年は前年比4.9%減少の4,975万人、2014年は8.0%減少の4,575万人まで減少、しかし経済リセッション突入による失業率上昇に伴って2015年は5.4%増加の4,822万人と前年比約250万人増加、2016年は7.1%増加の5,166万人、2017年は4.7%増加の5,407万人とピークに達したが、2018年のブラジルの貧困層人口は前年比2.4%減少の5,278万人に減少している。

調査開始の2012年のブラジルの最貧困層人口は1,160万人、2013年は前年比13.3%と二桁減少の1,006万人、経済リセッション入り前の2014年は10.5%減少の900万人まで減少していた。

経済リセッション突入の2015年は前年比9.8%増加の989万人、2016年は20.7%と大幅増加の1,194万人、2017年は11.0%増加野の1,325万人、2018年は2.7%増加の1,362万人に達している。

貧困層が増加し始めた2015年は、ジウマ・ロウセフの第2次政権の初年度でインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は10.67%と二桁に達し、失業率が急上昇、GDP伸び率はマイナス3.6%を記録した影響で247万人が貧困層に落込んでいた。しかし2004年~2014年の10年間で4,000万人に達する貧困層が中間層に移動した持続的経済成長を達成していた時期もあった。

2018年の最貧困層は前年比2.7%増加の1,362万人に達したが、北東部地域の最貧困層は、前年比2.0%増加の772万人とブラジル全国の半分以上を占めており、北部地域は177万人から199万人と22万人増加した一方で、南部地域は、3.8%減少の62万4,000人と地域格差が拡大している。

2012年のブラジル全体の平均ジニ係数は0.540であったが、2015年には0.524まで減少して改善傾向にあったにも関わらず、経済リセッション開始で2015年以降は毎年上昇傾向を示しており、2018年の平均ジニ係数は0.545と2012年よりも悪化している。

地域別ジニ係数比較では、2017年の北部地域の平均ジニ係数は0.53であったが、2018年は0.55に上昇して悪化、北東部地域は0.55から同じ数値で推移、南東部地域は0.52から0.53%、南部地域は0.47から同じ数値で推移、中西部地域は0.52から0.51と唯一減少して改善している。

2018年のボルサファミリアなどの生活扶助受給世帯は、前年比2.5%増加して全世帯の13.7%と増加した一方で、2012年は15.9%、2013年は15.7%、2014年は14.9%、2015年は14.0%と4年間連続で減少傾向を示していた。(2019年10月17日付けヴァロール紙)

6州政府の来年の州財政は赤字予算

財政責任法(LRF)で定められている支出総額の60%までに制限されている州政府公務員の給与総額限度を超えて、2017年の半数以上の州政府は財政責任法(LRF)を果たしていない。

財政が悪化している州政府は、治安や教育向け予算削減を余儀なくされ、財政緊急事態宣言に追いこまれる可能性が拡大してきているが、リオ州政府は2016年末の財政緊急事態宣言の発表を余儀なくされ、2017年に州財政救済制度(RRF)の導入を余儀された。

2020年の赤字予算を余儀なくされている州政府として、北大河州並びにリオ州、ミナス州、南大河州、マット・グロッソ州、ゴイアス州の6州政府であり、6州政府の赤字予算総額は338億レアル、今年の380億レアルの赤字よりも40億レアル以上減少が見込まれている。

ミナス州政府並びに南大河州政府は、連邦政府と州財政救済制度(RRF)の導入で調整を行っているが、マット・グロッソ州政府と北大河州政府は国会での財政均衡プラン(PEF)の承認待ちとなっている。

ミナス州政府の今年の赤字予算は150億レアル、来年の赤字予算は133億レアルに減少、前記同様にリオ州政府は132億レアルから107億レアルに減少、ゴイアス州政府も43億レアルから36億レアル、北大河州政府は6億レアルから4億5,000万レアルにそれぞれ減少する一方で、南大河州政府44億レアルから52億レアル、マット・グロッソ州政府は5億レアルから5億8,000万レアルに増加する。(2019年10月17日付けヴァロール紙)

第13回日伯貿易投資促進・産業協力合同委員会開催

 経済産業省(METI)とブラジル経済省(MOE)は2019年10月17日、ジャパンハウス(サンパウロ)において第13回日伯貿易投資促進・産業協力合同委員会(貿投委)を開催した。今回の貿投委は2部で構成され、13時から第一部の政府間セッション、直後に2部の官民セッションが午後2時40分から開催され、経済産業省の田中繁広・経済産業審議官とカルロス・ダ・コスタ 経済省生産性・雇用・競争力局(SEPEC)次官が其々共同議長を務めた。

 前半の官官セッションではプログラムによると、日本側からG20の結果概要(WTO改革の現状含む)、中小企業の生産性向上方策、特許関連他、ジェトロ、JICAから活動の報告が行われた。またブラジル側からは、ブラジルの通商政策の方向性としてブラジル生産性の向上政策、またそのために日本から先端技術を持つ中小企業の進出や合弁等が重要課題となってくることを受け具体的な対話に向けたサブ・コミティ設置の提案や、直接投資に関するブラジルのオンブズマン制度などについて発表が行われた模様。当所も民間のファンクションとして中小企業研究会を立ち上げJETROが中心となってそれを取り纏める予定である。

 また官民セッションではカルロス・ダ・コスタ次官と田中審議官からのオープニングスピーチ後、「日伯経済活動の現状と課題」として、日本側から佐藤 真吾 会議所副会頭(日伯経済交流促進委員長及び政策対話委員長/ブラジル三井物産)、ブラジル側からカルロス・エドアルド・アビジャオジ(Carlos Eduardo Abijaodi)CNI工業開発担当理事がそれぞれ登壇し、佐藤副会頭からは会議所がこれまで取り組んできたビジネス環境整備に向けた提言活動、主に課税分野や産業力強化・中小企業政策分野の説明や、日メルコスールEPA推進への取り組みなどについて発表を行った。またアビジャオジ理事からは、今年7月に第22回が行われた日伯経済合同委員会のこれまでの経緯や日メルコスールEPAの重要性の他、日伯投資協定、両国の生産チェーンを統合する相互認証制度、二重課税防止協定の見直しなどがブラジル経済合同委員会で指摘されており経済省で検討を重ねていることを述べた。また来年2020年の日伯経済合同委員会は東京で開催、生産性・雇用・競争力分野の経済省代表としてカルロス次官にも是非参加願いたい旨述べた。

 続く「貿易投資の問題点」においては、市川 幸太郎 日本光電ブラジル社長(貿易部会・メディカル分科会長)より「医療機器認証制度問題について」発表、制度・規制改善に向けこれまで取り組んできた提言活動と現状を説明、また三木 知嗣 DAIKIN McQUAY AR CONDICIONADO BRASIL LTDA社長から「エアコン省エネ規制ラベル問題について」の説明、またシモムラ・セルソー トヨタブラジル副社長から「Proconve自動車大気汚染防止プログラムについて」説明を行った。ブラジル側からは「エタノール、砂糖産業における連携強化」についてLuis Henrique Guimarães  Raízen社CEOから説明、また「日伯連携」について Erasto Almeida  Vale社国際担当マネージャーが説明を行った。

 「新しい分野での日伯協力」において、日本側からAGC旭硝子ブラジル Marcos Luciano Nunhez所長から「化学工場における環境技術導入事業について」プレゼン、またブラジル側を代表してAVIRAS社から「宇宙航空事業における連携」についてAndrea Clara Vogl 新規ビジネス担当マネージャーが説明を行った。

 質疑応答のセッションではInmetro(ブラジル国家度量衡・規格・工業品質院)のÂngela Furtado総裁から説明があり、メディカル分科会が欧米企業やABIMED等とともに提言してきた項目のうち一部についてはすでに改善、残る項目についても随時精査中であることや規制やポータルの統一化などについても触れられた。 またINPI(ブラジル産業財産庁)のClaudio Furtado総裁からは2017年の締結の特許審査ハイウェイ(Patent Prosecution Highway)によりビジネスの加速化に大きく貢献していることを改めて述べた。

 クローズのセッションでは、田中審議官から総括として謝意が述べられた他、日伯連携の益々の可能性、次世代エタノール、砂糖、豚肉産業のポテンシャル、また企業の省エネ事業が政府の環境政策にも大きく関与することなどに触れられた。またカルロス次官からは、諸制度改革による市場開放、競争力・ブラジルコストに関する法制化(Lei de competitividade institucionalizada)を推進、課題を通して問題解決と改善を行い、日伯連携の中で日本の高度技術も学んで行きたい旨を述べた。

 また会合の中で、平田事務局長があとがきを寄せた(※)文庫本『世界が感謝!日本のもの』が平田事務局長からコスタ次官に贈呈された。中小企業が保有する高度な技術をブラジルに導入(日本からの中小企業進出促進:150社)、競争力・生産性を高め、併せて雇用の拡大を以てブラジルの発展に貢献することを目指してこの書籍はブラジルでも近々刊行される。

(貿投委全体のアジェンダはPdf別添参照)Pdf第13回日伯貿易投資促進・産業協力合同委員会

Pdf佐藤 真吾 会議所副会頭(日伯経済交流促進委員長及び政策対話委員長/ブラジル三井物産)のプレゼン資料

Pdfカルロス・エドアルド・アビジャオジ(Carlos Eduardo Abijaodi)CNI工業開発担当理事のスピーチ

( fotos: Câmara Japonesa)

(※)

2018/09/28ニッケイ寄稿

あとがき

この文庫本の目次を見ただけで、えっ!こんなにも「日本のもの」があったのかと吃驚する。よくもここまで詳細に調査され纏め上げた著者の「ニッポン再発見」倶楽部に感謝を申し上げるとともにポルトガル語に翻訳を決意、日本の技術をもっともっとブラジル人に情宣したいと熱い思いで取り組んでいるニッケイ新聞社の深沢編集長に敬意を表したい。

今は昔、半世紀ほど前は行く先々の店で腕時計、カメラ、トランジスター・ラジオは日本の代名詞になっていた事を思い出す。日本の製品が世界を席巻、日本人である事に非常に誇りを感じていた時代だ。この文庫本の目次にはその古い代名詞が見当たらず、技術は常に進化し続けている事を実感させられる。

浅学菲才な自分には7割くらいの目次に相当する分野の技術は何回読んでも理解できないのが残念だ。日本人としての誇りと好奇心や悔しさから、さらにインターネットで詳しく検索、目下知識を蓄えている所である。根気よく検索して行くと、これ等世界に冠たる技術の発明・発見者には共通した創造の哲学がある事に気が付いた。

日本人が古来持ち続けて来た「世の為、人の為、幸せにしたいと云う熱望」が、きっと世界に誇る匠の技術を造り上げ、育て、開花させて来たに違いない。これらの技術をただ単に知識として蓄え、話のタネにするだけでは勿体ない気がする。

事業家の観点から思いをめぐらせば、日本で当たり前に普及している技術やその応用製品あるいは又システム等が、どれだけが途上国に移転が進み、広く認知され又そこの国民がどれだけの恩恵に預かり、幸せに生活しているのか甚だ疑問が残る。

個人的に技術移転にはプッシュとプルの両方があるものと思っている。国家間での戦略的パートナーシップ構築の範疇で技術先進国が官民連携でプッシュして行く形と、後者はその逆で途上国自らが積極的に取りに行く形と言っても良いかもしれない。

2013年5月、茂木敏充経済産業大臣は約70名の経済ミッションを帯同来伯、サンパウロでJETROの中小企業海外展開支援プラットフォームをブラジルで世界第1号として立ち上げた。日本では少子高齢化が加速、他方では途上国による技術のキャッチアップが急速に進行している中で、今や中小大企業を問わず海外進出展開は待ったなしの状況下にあると言っても過言ではない。

同プラットフォームの立ち上げでは日本の中小企業の進出が容易になることで、ビジネス機会が拡大し、両国にとってもWIN-WINの関係が構築できると強調した。日本は国を挙げてJETRO以外にJICAもまた中小企業の進出促進に力を入れている。この文庫本のポルトガル語翻訳版がその一役を担うものと確信している。先ずは日本の先進技術の認知から始まるからだ。

会場一杯の65人が参加して10月の法律委員会月例会開催

10月の日 伯 法 律 委 員 会(藏掛 忠明委員長)は、2019年10月16日午後4時から6時過ぎまで、大会議所一杯の65人が参加して開催、初めにFNGV AdvogadosのCLÁUDIO YUKIO YANOコンサルタントパートナーは“法人所得税の新ビジョンついて”、Felsberg Advogados税務担当のRAFAEL MALHEIROパートナーは、“法廷内外の会社更生、負債再建プロセスに関する税制について” 、Marinangelo e Aoki Advogados のRAFAEL MARINANGELO共同設立者は、“現在のインフラストラクチャー部門の国際法適合の必要性について”、最後にEY移転価格税制担当のTELMA AQUINOシニアマネージャーは、“訓令IN 1.870/19ー移転価格税制規則変更について”それぞれポルトガル語で講演した。

PDF anexos: 
1. “Nova visão para o IRPJ”;
2. “Aspectos tributários dos processos de reestruturação de dívidas, recuperação judicial e extrajudicial”;
3. "Modelos contratuais FIDIC – Breve panorama e principais características" ;
4. “IN 1.870/19 – Alterações na regra de Preços de Transferência”

Rafael Malheiro (Felsberg Advogados), Telma Aquino (EY), Cláudio Yukio Yano (FNGV Advogados), Rafael Marinangelo (Marinangelo & Aoki Advogados) e Luiz Fujio Sato (Marubeni Brasil) (Fotos: Rubens Ito / CCIJB)

RI/CCIJB – 16/10/2019

上院議会は石油・天然ガスメガ入札の地方政府への分配承認

昨日15日の上院本会議では、総額1,065億レアルの臨時歳入が見込まれている11月に予定されている岩塩層下(プレサル)石油・天然ガスメガ入札の地方政府(州・市)への分配をめぐる法案が参加上院議員の全会一致の68票の賛成票を獲得して承認、ジャイール・ボルソナロ大統領のサインで可決される。

この地方政府への分配金を巡って、今月22日に予定されている第2回上院本会議での年金・恩給改革法案を通過させるために、ダヴィ・アルコルンブレ上院議長並びに与党リーダーのフェルナンド・ベゼーラ議員は、プレサル石油・天然ガス入札の国会承認を入札前に行うために、与野党間での調整を余儀なくされて、野党に対する大幅な譲渡で合意している。

各州知事並びに各市長は、今年末までに総額219億レアルに達する地方政府向けの交付金を受け取る代わりに、年金改革承認後10年間で連邦政府の8,000億レアルの歳出削減に結び付く今月22日に予定されている第2回上院本会議での年金・恩給改革法案を通過させるために与野党とも譲歩を迫られていた。

北部地域並びに北東部地域出身の上院議員は、最大限に地元への交付金を得るために与野党間での攻防が続いていたが、ダヴィ・アルコルンブレ上院議長はテキスト内容を変更することなく、満場一致で本会議を通過させた。

州政府向けには総額15%に相当する55億2,000万レアルが割り当てられるが、北部地域並びに北東部地域の州政府に対する分配比率は全体の2/3、1/3は一次産品輸出促進のために設けられたICMS税免税のカンジール法保障の分配では、南部地域並びに南東部地域、中西部地域に分配される。

また各市町村には政府向けには総額15%に相当する55億2,000万レアルが割り当てられるが、市町村交付ファンド(FMP)から一人当たりのGDPが低い市役所に厚く分配される。

総額1,065億レアルの臨時歳入のうちペトロブラス石油公社には336億レアルが宛がわれるが、プレソルト鉱区を擁するリオ州政府には24億レアル、連邦政府は490億レアルが見込まれている。(2019年10月16日付けエスタード紙)

今年初め8か月間の連邦公社の投資は過去20年間で最低

今年初め8か月間の連邦公社の公共投資実施比率は、全体の19.1%相当に留まっており、調査開始の2000年の21.2%を下回っているが、労働者党(PT)政権時の連邦政府の公共投資が国内の投資を牽引していた2011年はピークの40%に達していた。

今年初め8か月間の連邦公社による投資は230億レアルに留まっており、財政支出削減政策の煽りで、ピーク時の2013年の467億レアルの半分以下まで落ち込んでいる。

しかしパウロ・ゲーデス経済相の財政支出削減政策の影響を受けて、今年初め8か月間の連邦公社の純益総額は、前年同期比70%増加の607億レアルに達しているが、経済リセッション前後の2014年から連邦公社の純益総額は減少を継続していた。

連邦公社の公共投資を牽引していたペトロブラス石油公社は、コア事業の石油・天然ガス開発に資金を集中するために、傘下のTransportadora Associada de Gas(TAG)の株式の90%をフランス資本Engie社並びにカナダの年金ファンドCaisse de Depot e Placement du Quebec(CDPQ)で構成されるコンソーシアムに86億ドルで売却している。

またペトロブラス石油公社では、今年7月に同グループ傘下のBR DISTRIBUIDORA社の株価放出で80億レアルに達する資金調達、BR DISTRIBUIDORA傘下の2007年に買収していたStratura Asfaltos社も放出している。

2004年から2014年の労働者党(PT)政権時には、ペトロブラスやエレトロブラス電力公社を中心に、社会経済開発銀行(BNDES)の低利子による大型プロジェクトが牽引して公共投資を牽引していた。

しかしペトロブラス石油公社のラヴァ・ジャット汚職問題や経済リセッションなどの影響を受けて、連邦公社の負債軽減による公社民営化や資産売却を余儀なくされ、連邦公社による公共投資は2014年以降減少し続けている。(2019年10月16日付けヴァロール紙)

プレソルト入札で今年の財政プライマリー収支赤字は900億レアルに減少

11月6日に予定されているプレソルト鉱区の石油・天然ガス入札並びに11月7日の石油・天然ガス入札による臨時歳入で、今年の中銀並びに国庫庁、社会保障院(INSS)で構成される中央政府の財政プライマリー収支は、許容目標赤字の1390億レアルを下回ると予想されている。

11月6日に予定されているプレソルト鉱区の石油・天然ガス入札による国庫庁への臨時歳入で、今年の中央政府の財政プライマリー収支は、900億レアルの赤字に減少して2014年以降では最低の赤字に改善される。

11月初めに2回連続で予定されている石油・天然ガス入札では、国庫庁に臨時歳入として1,065億レアルが見込まれているが、第1回分割歳入として今年12月27日に708億レアルが国庫庁に収められる予定となっている。

連邦政府は2010年にペトロブラス石油公社に50億バレルの原油開発を許可の代わりに、ペトロブラスは連邦政府に748億レアルを支払っていたために、ペトロブラス石油公社には340億レアルが宛がわれる。

第1回及び第2回入札の国庫庁の臨時歳入1,065億レアルのうち、第1回は総額708億レアル、そのうちペトロブラスに340億レアル、残りの368億レアルのうち州政府並びに市町村にはそれぞれ55億2,000万レアル、連邦政府には246億5,000万レアルが分配される。

第2回の11月7日の石油・天然ガス入札の国庫庁の臨時歳入は358億レアル、国庫庁には246億5,000万レアル、国家エネルギー政策審議会(CNPE)向けに78億5,000万レアルが予定されている。(2019年10月16日付けヴァロール紙)