回章 CIR-043/19    「法人所得税の損金算入について」セミナーのご案内

                                  CIR-043/19
                                  2019年4月22日
ブラジル日本商工会議所 会員各位
                                  ブラジル日本商工会議所 政策対話委員会
                                  課税・通関ワーキンググループ長 吉田幸司

              「法人所得税の損金算入について」セミナーのご案内

平素より、当ワーキンググループの活動に格別のご高配を賜り、厚く御礼申しあげます。

ブラジルでは一般的に法人税率が34%(2018年度現在)ですが、実際に企業の方が負担されている税率はこれ以上に高いというケースがあるかと思います。その中には、本来であれば損金処理できるにもかかわらず、色々な理由で損金処理をしていなかった、もしくは、他に選択肢があるにもかかわらず、それを選択せず、結果として高い税金を払っていたなどのケースもあるかと思います。

そこで、当ワーキンググループでは、会員企業の皆様の税務における悩みをなるべく軽減できるよう、下記の詳細にて、日本語での「法人所得税の損金算入項目について」のセミナーを開催させて頂きます。皆様ご多忙の折かと存じますが、ご関心のある方は下記リンクよりお申込いただきますようどうぞよろしくお願い申し上げます。

沢山のご参加をお待ちしておりますので、どうぞ宜しくお願いいたします。
                                                       敬具
                               記

日 時: 2019年5月9日(木)午後4時~5時30分
場 所: ブラジル日本商工会議所 大会議室 (Av.Paulista 475, 13º andar, São Paulo)
内 容:  「法人所得税の損金算入について」
   講師:吉田氏
費 用: 無料
定 員:  60人(先着順ですが、1社にて2名以上の参加をご希望の場合、事務局までご一報ください)
言 語: 日本語

申込み: http://camaradojapao.org.br/evento/ja/eventos/seminar-09-05-2019 (ローマ字でご記入願います)

[問い合わせ] ブラジル日本商工会議所政策対話委員会担当事務局/吉田 (TEL:11-3178-6233)
                                                         以上

 

南米南部(アルゼンチン・ウルグアイ)ビジネス環境視察ミッション参加報告

2019年5月
企画戦略委員会
運輸サービス部会

ブラジル日本商工会議所はジェトロと共同で4月23日から26日にかけてイノベーション分野とロジスティック分野をテーマにアルゼンチン、ウルグアイを訪問。日系企業30社36名が参加した。企業の大宗はブラジル日本商工会議所が参加を呼び掛けた在ブラジル日系企業。

今回のミッションを通じて参加者からはメルコスール域内での各国の利点把握や、人脈形成が図れ、更なるビジネス拡大の可能性が拡がったとのコメントあり。ブラジルから参加したKumonがウルグアイでの新規事業開始につき発表。訪問を機に具体的なビジネスに動くことを表明した参加者も出てきたほか、南米南部の物流拠点先としてのウルグアイの可能性を評価する声があった。ミッションアレンジの評価としては単独では訪問できない訪問先がアレンジされ非常に良く組織されたミッションとの評価が多かった。一方、全体の行程のなかで、少し自由時間があっても良いのではとの意見もあった。

なお、今回のミッションは2018年11月30日から12月1日にかけて開催されたG20サミットにあわせて安倍総理がアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイを訪問しており、そのフォローアップとしての位置づけも期待されていた。今年8月1-2日にはパラグアイミッション実施も予定している。今回のミッションの受け入れに当たっては福嶌大使および 眞銅大使を始めとする在亜、在ウルグアイ両大使館の全面的な協力により歓迎レセプション開催や要人等のアポイントが実現した。また亜投資庁およびウルグアイXXIをはじめとする各機関にも多大な協力をいただいており、重ねて感謝申し上げたい。

<アルゼンチン発先進ビジネス、中南米に展開>
アルゼンチン訪問ではマリアーノ・マイエル生産労働副大臣とファン・パブロ・トリポディ投資貿易促進庁総裁とも牛肉をはじめとする農牧産業に加えて知的財産をベースとしたデジタル貿易の成長が拡大するとの見方が示された。アルゼンチン・プライベートエクイティ、ベンチャー及びシードキャピタル協会(ARCAP)ブラボ会長はアルゼンチンのユニコーンは6社(ブラジル7社)となり景気後退で有望なスタートアップ企業が割安の状態になっている点を強調した。

視察では同国の先進事例で他国からも注目を集めているティグレ市による街中監視センターを訪問。続いてピックアップトラック生産で年14万台の生産能力を誇り、ブラジルほか中南米各国に輸出を行うアルゼンチン・トヨタ・サラテ工場を訪問した。サラテ工場は参加者の関心と訪問満足度が高く、今回のミッションの訪問先としては参加者からの質問が最も多く寄せられた。現調率や工場運営の実態などミッション参加者の業務と直接的に関連する内容も多かったこと、また、進出日系企業の取り組みということでミッション参加者の関心が強かったものと思われる。

翌日のイノベーション企業訪問では先進的なビジネスモデルが成功してユニコーン企業に成長した中南米最大の旅行会社に成長したオンライン旅行会社(OTA)であるDespegar.comや米ディズニーワールドや世界最大の産業オートメーション機器メーカーであるロックウエルをクライアントにソフトウエア開発を行うGlobant社を見学した。

Despegar.comのビジネスは世界最先端技術ではないが、最も高い教育水準や生活水準を背景に中南米域内ではアルゼンチンで先進ビジネスモデルが誕生し、その後ブラジルを含む中南米地域にビジネスが拡大した経緯が理解できた。Eコマース企業大手のMercadoLibreやティグレ市のセキュリティシステムもアルゼンチン発の先進モデルが他の中南米諸国に展開する事例と言えそうだ。一方、Globant社はアルゼンチンでのソフトウエア開発の優位性につき、インドやアジア諸国と比較してアルゼンチンの独創性、芸術性など文化的な要素が強みと語っている。この強みがユーザーにとって使って楽しいソフトウエアの開発に寄与している強調していた点が印象的だった。

<南米向け、国際市場を睨み進化続けるウルグアイフリーゾーン>
ウルグアイでは国をあげて我々ミッションの受け入れに対応。大統領こそ外遊中で対応できなかったが、同期間暫定大統領となったルシア・トポランスキー副大統領ほか、農牧水産大臣、経済財政省次官、外務次官(暫定外相)との面談が実現した。副大統領は高品質な牛肉を中心とする農業生産・輸出能力が拡大していることや養殖キャビアの開発を進めていることが紹介された。

ウルグアイのフリーゾーンは南米メルコスール域外から域内各国に物流供給基地として十分機能しているだけでなく、シェアサービスを加えた域内サービス拠点としての機能を高め、オフショアビジネスの利点を生かし世界各国へのサービス輸出拠点としても機能していることが分かった。

各フリィーゾーン入居企業は法人所得税、資産税、付加価値税など税金すべてが免除。ウルグアイ居住者駐在員の個人所得税を12%低減。これら税制優遇が政権交代に関係なく入居企業とのフリーゾーンの契約で長年保障されている点が特徴。ウルグアイでの製造活動では組合問題が進出日系企業からも指摘さているが、WTCへの質問の答えは「今後ないとは保障できないが現在のところ組合活動はみられない」との回答であった。

モンテビデオフリーポートとフリーゾーンは双方が保税状態で接続し、フリーゾーン内に設置された進出企業や受託倉庫サービス業者がメルコスール向けにオフショアビジネスを行っていた。それは物流供給のみならず、各国の事情に合わせたプラグ付け替えや外箱印刷箱詰めなどの簡易作業、さらにはフリィーゾーンへの進出企業が南米域内拠点向けに様々なサービスを行う拠点となっていた。世界からサービス企業が入居する高層ビル、ワールドトレードセンター(WTC)はサービス貿易専業のフリーゾーンとなっている。

各フリーゾーンもお互いに競争を続けながら用地拡張を続けてきている。ウルグアイの経済財政省次官のプレゼンや受託倉庫サービス業者のパンフレットは日本語を準備して非常に簡潔で分かり易いプレゼンを行った。さらに訪問先すべての代表から帰国後に丁寧なお礼状をいただき、ブラジルに出張する際にはいたブラジル日本商工会議所に必ず訪問したいと要望していた。彼らの対応はグローバルビジネスで経験を積んでいるのであろう。

<「信頼」と「安定」が同国の投資誘致キーワード>
ウルグアイ政府高官や各フリーゾーン関係者が口を揃えて最も強調していた言葉は「信頼」と「安定」であった。その言葉は今までの南米メルコスール市場の閉鎖性、不安定性を逆手にとって信頼をベースにグローバル市場とのゲートウエー機能の一翼を担い、かつ高品質な農業を育ててきた小国職ウルグアイならではの巧みな戦略を象徴する言葉に思えた。その首都モンテビオは落書きが殆どみられない美しい街並みだった。ブラジルから参加したミッションの一行は空のゲートウエーである「カラスコ国際空港」から帰国の途に着いた。

2009年に新装した同空港のデザインは「東京国際フォーラム」のデザインしたウルグアイ・モンテビデオ出身のラウルグアイ・モンテビデオ出身のファエル・ヴィニオリ氏によるもので南米唯一のフリーエアポートに指定されている。ターミナルビルの曲線が美しく、とても快適な空港であった。

南米南部(アルゼンチン・ウルグアイ)ビジネス環境視察ミッション概要

◆日程:2019年4月23日(火)~4月26日(金)
◆主催・共催
ジェトロ、ブラジル日本商工会議所、ウルグアイXXI(ウルグアイ投資輸出促進機関)
◆協力
在ウルグアイ日本国大使館、在アルゼンチン日本国大使館、アルゼンチン・投資貿易促進庁
◆参加者:30社36名
◆CSアンケート結果:上位二項目100%(最上位75.9%)
◆報道件数:42件
◆政府要人
面談:
①マリアーノ・マイエル生産労働副大臣(アルゼンチン)
②ファン・パブロ・トリポディ投資貿易促進庁総裁(アルゼンチン)
③パブロ・フェレーリ経済財政省次官(ウルグアイ)
④ルシア・トポランスキー副大統領(ウルグアイ)
⑤アリエル・ベルガミノ外務次官(ウルグアイ)
⑥エンソ・ベネッチ農牧水産大臣(ウルグアイ)

◆企業等訪問先

(1)アルゼンチン:
Tigre市街中監視センター(NECの技術を活用)、アルゼンチン・トヨタ・サラテ工場(ロジスティックとイノベーションを説明)、Despegar.com社(現地オンライン旅行大手企業)、Globant社(現地IT新興企業)、日本国大使公邸(ネットワーキングレセプション)
(2)ウルグアイ:
モンテビデオ港(フリーゾーン)、GENEXUS社(現地IT企業)、World Trade Center Montevideo(フリーゾーン)、Zonamerica(フリーゾーン)、Costa Oriental社(現地物流・倉庫企業)、Grupo RAS社(現地物流・倉庫企業)、Sabre社(米系IT企業)、Ricoh SADC社(日系企業)、日本国大使公邸(ネットワーキングレセプション)

 

1.アルゼンチン訪問先概要

(1)ビジネス環境セミナープログラム(2019/4/230 9:00~10:30於:亜投資貿易促進庁)
①マリアーノ・マイエル生産労働副大臣

アルゼンチンでは知的財産をベースとしたデジタル貿易が進んできており、昨年度ベースで
60億ドルの輸出額がありこれは牛肉の輸出の3倍規模に相当する。この分野は今後10年で伸びてくる分野であり、アルゼンチンの経済成長を牽引していく可能性が十分にあるとコメント。
②ファン・パブロ・トリポディ投資貿易促進庁総裁プレゼン(資料①参照)
アルゼンチンの経済成長は鈍化しており、2018年は新興国への投資が減少した影響を受けアルゼンチンも対内直接投資額が減少。また米中貿易摩擦や保護主義の台頭の影響でも経済成長にブレーキがかかった。今後は国際競争量を有する農牧業だけでなくデジタルエコノミーの輸出にも力をいれていく。
③アルゼンチン・プライベートエクイティ、ベンチャー及びシードキャピタル協会(ARCAP)ディエゴ・ゴンサレス・ブラボ会長プレゼン(資料②参照)
中南米のベンチャーキャピタル概況を説明。中南米のベンチャーキャピタル投資は2017年、2018年の過去2年で急増。2013-2017年の取引額の半分はブラジル。アルゼンチンはメキシコに次いで32位。2018年同取引額のブラジルシェアは7割弱。コロンビアが2位。2013-2017年の取引額の大半はIT企業向け投資でフィンテック、ロジスティック流通、輸送、アグリテックの順。ユニコーンはブラジル7社、アルゼンチン6社、メキシコ2社の順。会長はアルゼンチンが景気低迷で有望なスタートアップが割安な状態で存在している点を強調。
(2)ティグレ市街中監視センター(NECの顔認証技術を活用)
市内に1,800台のカメラを設置し300人体制で24時間監視、設置後盗難件数激減、殺人は0件に。ティグレ市は高所得者の住民が多く、市税を上乗せで徴収して市のセンターが街中監視システムや家庭への緊急連絡端末配布、警備団・車両を組織している。
(3)アルゼンチン・トヨタ・サラテ工場(ロジスティックとイノベーションを説明)
生産設備(14万台/年)やメルコスール市場でのロジ戦略(6割超の部品を現調)他、アプリを用いた現地ディーラー網での車両貸与事業について説明を受けた。
(4)Despegar.com社(オンライン旅行(OTA)大手、ユニコーン企業)(資料③参照)
アルゼンチンのユニコーン企業4社の一つで中南米最大のオンライン旅行会社に成長。オンラインで航空券、バス、レンタカー、エクスカーション業者への旅行プランの手配が可能。2015年からエクスペディアとの資本提携を行っているがDespegar.com中南米地域では優位性を維持している。中南米はまだOTAの市場浸透率が他地域より低く、今後の市場拡大に期待できる。現在20カ国で事業展開中だが、税制度が違うため各市場にどう適応するかが肝心とのこと。同社の創業は学生時に米国に旅行した際に航空チケット手配に苦労したのが契機で、仲間5名で創業したもの。
(5)Globant社(現地IT企業、ユニコーン企業)
ソフトウエア開発を手掛けるユニコーン2社目、14ヵ国32都市でサービス展開をしており14年NYSE上場、従業員1万人超を抱える。米ディズニーワールドのリストバンドと連動したファストパスのデジタル化の開発他1,000件以上のプロジェクトを同時並行でグローバルに行っている。

2.ウルグアイ訪問先
(1)ビジネス環境セミナープログラム(2019/4/25 09:00~10:30於:Hotel Hilton Garden Inn)
①パブロ・フェレーリ経済財政省次官(ウルグアイ)プレゼン(資料④)
「なぜウルグアイ?中南米への最良の入り口」をテーマに日本語スライドでウルグアイの強みを分かり易くプレゼンした。
次官はウルグアイが開放的かつ安定的で健全でマクロ経済を有しており外国投資家から信頼できる国であること。日本からも22社が進出。品質の安全性やデジタルタグ技術活用でトレーサビリティを確保した高品質な農業輸出国(最大5,000万人分の生産能力)、中南米随一のネットワーク環境を整えて年32億ドルを世界各国に輸出するサービス輸出国、人口350万人を上回る観光客が流入する観光立国、発電の98%を風力で賄うクリーン発電のリーダー。制度面の強みとして中南米で汚職腐敗指数が最も低く、為替自由化や資金還流非制限など国際ビジネス上の規制撤廃。事業所得税、付加価値税、資産税を免税するソフトウエア開発など投資インセンティブとフリーゾーンの存在。モンテビデオ・カラスコ国際空港は南米唯一のフリーエアポート、モンテビデオ国際高港は南米大西洋岸唯一のフリーポートであること、などのメリットを説明した。
②ウルグアイ日本商工会議所プレゼン(資料⑤⑥⑦参照)
ホルヘコスタ代表挨拶に引き続き、Guyer & Regules Law Firm代表共同経営者のハビエル・オテギ氏がウルグアイの外国投資家に対する法的枠組みとメリットを説明。Andersen Tax &Legal共同経営者のフアン・イグナシオ・トロコリ氏が「ウルグアイの法的枠組み」と題して,日ウ投資協定、労働法、社会保障制度、在留資格、知財・商標、フリ―ポート規則、一時輸入、ソフトウエア法人所得免税、ソフトウエアサービス法人所得免除、シェアサービスセンター法人所得税減免、外国投資保護法および同法人所得税・資産税・付加価値税減免などの各種制度概要を説明。Andersen Tax &Legal共同経営者のフェデリコ・フォルメント氏が「Doing Bussiness Urguay」と題してウルグアイビジネスの特徴は税制・税負担について紹介した。

(2)ルシア・トポランスキー副大統領表敬(2019/4/25 14:30~15:15於:ウルグアイ国会議事堂)
産業は農牧が強く、量より質を掲げ、牛肉のトレーサビリティは世界トップクラスを誇るが、遅れているのは漁業関係。海は陸の2倍あるが、漁業インフラが欠けており、政府としても課題を解決しきれていない状態。打開策の一手としてキャビア養殖の開発を進めている。日本からは国道
と環境の管理や建築技術を見習いたい。安藤忠雄氏は尊敬する建築家である。
(3)アリエル・ベルガミノ外務次官表敬(2019/4/25 16:00~16:45於:ウルグアイ外務省)
地理的にはウルグアイはメルコスール諸国に囲まれているが、檻の中に囲われているのではなく、世界に広がるプラットフォームとして活動を展開してきたい。
両国は1921年に外交関係両国間系樹立、1952年に関係復活以降、今日現在では色々な協力関係が築かれている。09年と16年のバスケス大統領の訪日が一つの例であり、昨年は安倍総理に来訪いただき、我々も3月に訪日し、牛肉輸入解禁、JETROとUruguay21のMOC締結、租税条約大筋合意などがあり、そして今回のミッション訪問がある。ウルグアイは100%完璧な国ではないが、南米の中でも安定した国であるという点を是非ご覧頂きたい。ミッション参加者を全面的にバックアップするので今後の成果を期待したい。
(4)エンソ・ベネッチ農牧水産大臣挨拶(2019/4/25 19:00~21:00於:ウルグアイ日本大使公邸レセプション)
日本は技術に優れて発展しており、我が国は農産物輸出が主要産業で食料生産力は人口
の10倍の3,000万人分を生産できる。牧畜以外にも乳製品や水産資源もある。日本とは相互補完的に協力して行く関係を築きたい。
(5)モンテビデオ港RASグループ(フリーポート物流倉庫企業)訪問 (資料⑧参照)
RASグループはベネズエラ南米各国、メキシコ、米国マイアミに45拠点を有しウルグアイをゲートウエーとしたロジスティックサービスを行っている。同グループはモンテビデオフリーポート港内倉庫とコンテナヤード、Zonamericaフリーゾーン内倉庫(含む仕向け地に応じた箱詰めほか簡易加工)、国際コンテナ輸送、国際エアカーゴ輸送、トラック輸送、鉄道輸送、河川国際輸送、工場・ロジスティックパークの各サービスを行っており、これらのサービスを有機的に組み合わせることでお客様の要望に応じた包括的なサービス提供できるのが強み。港内倉庫には欧米・中国・日本メーカーの製品が多く保管されていた。
(6)GENEXUS(アプリケーションの自動生成ツールメーカー) (資料⑨参照)
1980年代に創業。各企業が開発するアプリケーションの自動生成ツールを開発。いわゆるソフトウエアを開発するためのロボットに相当。同ツールはデータ項目や画面、業務ルールといった設計情報を入力すると、JavaやRubyなどのソースコードを自動的に生成し、これと同時に各種データベースソフトに対応したテーブル定義情報も自動的に作成する。他ツールに比較してもライフサイクルを考慮した非常に価値の高いシステム構築が可能な画期的なツール。同社はそのツールを販売・メンテナンスサービスを行うことで世界のクライアントから絶大な支持を得ている。米国、メキシコ、ブラジル、日本に支社を置き世界30カ所にクライアントを有する。
(7)ワールドトレードセンター(WTC)モンテビデオ(サービス企業入居フリーゾーン)
(資料https://www.wtcmontevideofreezone.com)
入居者を物流以外のサービス業に特化したフリーゾーンオフィスビル。フリーゾーン法に基づき入居企業との契約で搬入品にかかる輸入税、法人所得税、資産税、付加価値税などすべてのウルグアイ国内税免除がウルグアイ政権交代に関係なく保障される。ウルグアイ国内へのサービス提供が可能。外貨導入に中銀制限なし。配当送金も自由で制限がない。いわゆるオフショアビジネスが可能となる。ウルグアイ在住の駐在員の社会内保障負担免除と個人所得税は12%に減税。カラスコ国際空港への近接性と会社と自宅、他の企業にも30分以内で行ける、ショッピングセンターなど周辺アメニティを活かしたフリーゾーンオフィスビスとなっている。世界的な大手コンサルタント、アパレル、穀物、アグリビジネスなど各国企業がオフィスを構える。WTCは新ビル建設も計画。ミッション一行は同施設に入居するフランス系穀物企業現地法人Louis Dreyfusのオフィスも見学した。
(8)Zonamerica(フリーゾーン)
①Leandro Bonillaビジネス開発マネジャー・プレゼン (資料⑩参照)
Zonamerica内には350社25万平米相当のオフィス・倉庫が所在し約1万人が働いている。創業1992年でウルグアイでは最も老舗のフリーゾーン。フリーゾーン法に基づくメリットはWTCウルグアイと同様でオフショアビジネスが可能。
モノは輸入税等その他関税措置が無税で搬入でき無税減に保管が可能。入居企業は南米の物流ハブとして同施設内の倉庫を活用する企業以外に、特に2003年はナレリッジ経済にも注力、中南米域内サービスセンター(顧客サービス、サプライチェーン、調達、域内拠点の財務会計、域内拠点への支払いやITインフラ、ソフトウエア開発)としての活用が拡大。消費財や部品・原材料のほかIPO/BPO、金融、ITソフトウエア企業、さらにはバイオ関連企業も入居している。2014年米タイムズ誌で、米州で最も優れたフリーゾーンに選ばれた。ウルグアイ進出日本企業22社の半分がZonamericaを活用、域内の物流・流通拠点や域内サービスセンター拠点など)として活用している。
②Kinben Supply Chain Strategies LLCのダニエル・ジル社長(Zonamerica内に拠点を置くリコーラテンアメリカ元社長)プレゼン
ジル社長はウルグアイフリーゾーンにブラジルおよびペルー以南の南米地域に製品供給を行う効率的な物流ロジスティックを提唱。①日本やアジアの工場からマイアミ等の米国法人拠点経由せずに工場から直接ウルグアイフリーゾーンへ輸送することで輸送コストと輸送日数を半減、①フリーゾーンで保管梱包配送拠点として同在庫で対応により域内拠点の在庫削減、②ブラジルでの物流ルート見直し(サンタカタリナ州やエスピリットサント州の港湾と内陸港税関活用)、③ウルグアイでの地域本社を設置による業務集中管理と総務シェアサービス拠点化、などを通じて物流コストの効率化とコスト削減が可能だと説明した。
③Sabre(Zonamerica入居企業、米系IT企業)訪問
Sabreは航空券旅行システムの開発運営する企業で世界シェアの2~3割を保持。航空会社や旅行代理店が同端末を利用する基盤システムで中南米最大のオンライン旅行会社であるアルゼンチンのDespegar.comもユーザー。
④    Costa Oriental(Zonamerica入居企業、現地物流・倉庫企業)https://www.costaoriental.com
Costa Orientalはメルコスール向けの物流倉庫管理・加工受託企業。もともと地場企業だがベルギーのKATHOEN NATIEが株主に。多国籍企業からの受託で商品の保管や域内各国のニーズに応じた外箱やプラグの変更などの加工を行っている。日本企業との顧客獲得にも積極的であり日本語パンフレットを用いてプレゼン。同社のサービスを利用している日本企業は8~9社に上る。取扱商品は電化製品等の通常の消費財に加えてクリーンルームによる化粧品や医薬品の保管加工、部品・スペアパーツ、原材料にも取り組んでいる。
⑤    Grupo Ras(Zonamerica入居企業、現地物流・倉庫企業)
ウルグアイをゲートウエーに国際物流・倉庫を展開するRasグループのZonamerica入居倉庫。コンピューター周辺機器の保管やCosta Orientalと同様の箱詰めやプラグ付け替え、ブラブラジルからの牛皮革を調達して絨毯を加工する製造工程を見学(フリーゾーン内の製品ではあるが、同製品はメルコスール例外規定としてウルグアイ原産が容認。欧州に輸出)
⑥    リコー(Zonamerica入居企業、情報処理・事務機器メーカー)
Rasグループ施設内に隣接。RICOHの中南米域内ディストリビューションセンター。域内の物流・流通や関連サービスはすべてこのセンターで集中管理している。

(報告執筆:ブラジル日本商工会議所企画戦略委員長 大久保敦)

【プレゼン資料】

資料①2019.04.23_Argentina_Seminar_AAICI

資料②2019.04.23_Argentina_Seminar_ARCAP

資料③2019.04.24_Argentina_DESPEGAR.COM

資料④2019.04.25_Uruguay_Seminar

資料⑤2019.04.25_Uruguay_Seminar_Guyer

資料⑥2019.04.25_Uruguay_Seminar_AndersenTax

資料⑦URUGUAY DOING BUSINESS 2019

資料⑧2019.04.25_Uruguay_Grupo RAS

資料⑨2019.04.25_Uruguay_ GeneXus

資料⑩2019.04.26_Uruguay_Zonamerica

 

 

 

STFがZFMへの助成を拡大

財政に対して5年で少なくとも497億レアルの打撃を与えるとPGFNが推算する判断をSTFが下した。

連邦最高裁判所(STF)は、マナウス・フリーゾーン(ZFM)で工業製品税(IPI)が非課税となっている中間投入財を調達したZFM域外の企業が、IPIの税額を支払ったものとして税クレジット(税額還付)に加算して会計処理できるとする判決を、賛成6票に対して反対4票で下し、連邦政府の訴えを退けた。今回の判決を受けて国庫検察庁(PGFN)は、5年で少なくとも497億レアルの財政的影響を与えると推算している。

税額還付に賛成する判断を下した判事は、エジソン・ファキン判事とルイス・ロベルト・バローゾ判事、ローザ・ウェーバー判事、リカルド・レワンドウスキ判事、セルソ・デ・メーロ判事、ジアス・トフォリ長官。企業が税金を支払ったとみなし還付を受ける権利があるという申し立てに反対した判事は、カルメン・ルシア判事とマルコ・アウレリオ判事、アレシャンドレ・デ・モラエス判事、ルイス・フックス判事。ジルマール・メンデス判事は、公判を欠席して判断を示さなかった。

STF公判の終了を宣言する際、ジアス・トフォリ長官は、「技術面及び基本的見解での相違にもかかわらず、いずれの票も、マナウス・フリーゾーンを支持し、熱帯雨林の保全という国家プロジェクトという観点からブラジルと人類に対するマナウス・フリーゾーンの重要性をまさに認識した上での判断であることを、ここに書きとどめるものである」とコメントした。

これが地域の経済的魅力になるという理解のもと、企業とアマゾナス州は今回の税額控除を支持する立場を表明していた。アマゾナス州のカルロス・アルベルト・デ・モラエス州検事総長は、「マナウス・フリーゾーン(ZFM)でコンポーネントを製造していた企業は、国内のその他の地域と比較して優位性を失っており、多くの企業がここから撤退する理由になっていた」とコメントした。

トフォリ長官は、「ここで我々は、協力し合う連邦主義というものを念頭に置くべきだ」と指摘した。

 

公会計だけにとどまらない影響

今回の判決に対してPGFNは、公会計に与える影響だけにとどまらない問題を懸念している。国庫の法務関係者は、税額控除の慣行が中長期的に、この地域の製造品目の豊富さが失われると受け止めている。税制優遇策の適用を受けて、大企業がZFMから製造拠点を移してこの地域では製造の一部、中間投入財だけを残す傾向にあるためだ。

この問題は、ルイス・フックス判事が指摘した。すなわち、税額控除が可能だとすることで長期的にはZFMに付加価値の低い中間投入財の生産が集中するのではないか、ということだ。フックス判事は、「実用面と経済面から見ると、この戦略は、ZFMの経済を援助するどころか害を及ぼすものになるだろう。私は、この優遇措置がZFMに拠点を置きそこで製造する企業に対するものであって、域外に拠点を置く法人に対して恩典を与えるというものではないと理解している」と強調した。

上院の法務顧問はエスタード紙に対し、「(税額控除の)承認により、現在は工業地帯であるZFMが、工業製品よりも税額控除を製造する地域に変貌するだろう」とコメントした。(2019年4月26日付けエスタード紙)

地域企業が入札で特権を失う可能性も

ボルソナロ政権と国会議員らが、2018年末に下院特別委員会を通過し緊急審議案件対象となりながら表決日が未定となっている新入札法案に対し、最終段階で修正を加えるべく取り組んでいる。

連邦政府の経済スタッフは、法案に3か所の修正を加えたい意向だ。具体的には、1)地元企業に優先的マージンの確保を認めるとする条項の削除と、2)2億レアル以上の事業入札に関して最低30%の責任保険に入ること、3)価格の小さい工事を対象にした電子式事業入札を開示型の一般競争入札とすることである。

下院での審議でフェリペ・リゴーニ下院議員(PSB:ブラジル社会党=エスピリト・サント州選出)は既に、施行された工事を確認検査する期間を定め建築業者に対する公的機関による支払いまでの手続き期間の短縮という条件を修正案として提出している。現在、法律では適切な工事が実施されたかどうか、施行された工事を確認検査する期間について定めていない。この確認作業が行われた場合でも、公的機関が支払うまでに完了した部分に関し実際に支払うまでの猶予期間として90日が定められている。しかも、この90日の手続き期間を経ても支払われることがない場合に限り企業は、罰則が適用されることなく一方的に契約の解消を要求することができる。

リゴーニ下院議員は、エンジニアが完了した工事を確認するための期間を契約書で定めるよう求めている。契約書に明記されない場合は、1か月。そしてこの確認が終了した後、30日で支払いを完了しなければならないというものだ。この確認検査後、30日以内の支払いが求められる。

この修正は、連邦政府と州政府、市役所による支払いの遅れがサプライヤーの経営に打撃を与えるというだけでなく、不明瞭で受託企業の不利な条件により汚職の温床になりやすいと主張する土木建築業界の要望を受けたものである。「支払いが連続性を欠いたり、予測不能な状況が生じたりすれば、工事の作業フロー、あるいは建設会社自身の業務、とりわけ中小規模の場合に業務の流れも破綻させかねない」とリゴーニ下院議長は話す。

一方、連邦政府は、地元のサプライヤーに対して優先的マージンの設定を認める条項全文の削除を求めている。現時点で最新版となっている法案では、最大20%のマージンの上乗せを、地元企業に認めることを想定している。このことは、例えば連邦政府の事業入札では外資系企業と比較して、州政府の事業入札では州外の企業と比較して、地元の企業が最大20%も割高な応札条件であっても地元企業を落札企業にするということである。

経済省経済動向フォロー局(Seae)のセーザル・マットス局長は、「破滅的状況を生み出す可能性のある条項だ」と指摘する。同局長によるとこの条項は保護貿易主義を反映したもので、現政権の広範囲な経済開放に向けた主張に反するものだ、という。

こうした保護貿易主義的政策は、PT政権下で手広く使われた手法で、その最初のものは成長加速プログラム(PAC)の事業入札として、その後は2011年以降、ブラジル拡大計画(PBM)が立ち上げられたことでより広範囲に使われた。法案に関する審議では、優先的マージンの継続に対して労働者党(PT)所属議員と、市内の企業の保護を希望する市長による支持の声が反映されてきた。

マットス局長が法案の修正を希望するもう1つのポイントが、2億レアルを上回る大規模事業に関連した責任保険だ。特別委員会を通過した法案では、20%から30%の範囲で責任保険として担保を確保することを義務付けている。だが同局長は、最低水準として30%に定めるよう希望している。「私は競争を支持するが、競争なら何でも良いとは思わない。仮に企業が、30%の担保を確保できないなら、その企業が工事を完了させる条件を備えていると認めるのは難しいだろう」と同局長は説明した。

連邦政府の経済スタッフはさらに、電子式競争入札に関して、一般競争入札とし、建設業界が求めているような見積型を認めることを支持している。同局長によると、この種の競争入札で一般競争入札を確保しなければ、カルテルを容易にするという。

法案の条文でまだ確定しておらず下院本会議での表決に回される部分のひとつに、民事再生中あるいは裁判所の管轄外での再生を進めている企業などを対象にした排除条項を残すかどうかという点がある。企業の負債に対する債務履行証明書の提出が義務付けられることで、法律は、OASとメンデス・ジュニオル、トリウンフォのような大企業が公共の競争入札から排除される可能性がある。

新しい取り組みは外に、建築設計サービスの契約における ビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)システムの導入も義務付けた。このシステムは、工事で使用される資材やサービスなどの集約化と情報の標準化につながるもので、工事を実施する前に計画に関連するコストをより正確に算定可能にする。

新入札法案は、2016年に上院で可決した悪名高い法律第8,666/93号(Lei 8.666/93)を近代化するものである。同法が施行されて以降、改正作業はほとんど進んでいない。2018年末にようやく、特別委員会で審議、承認された。そして今、この法案は、本会議で集中審議が行われる緊急審議案件の対象になった。(2019年4月26日付けバロール紙)

 

味の素ブラジルの黒崎社長が訪問

2019年4月26日(金)味の素ブラジルの黒崎正吉社長が会議所を訪問し、平田藤義事務局長が応対した。黒崎社長は昨日25日付の辞令で、6月より味の素冷凍食品株式会社 代表取締役社長および味の素株式会社常務執行役員への栄転が公表されている。ブラジル味の素社社長の後任には佐々木 達哉氏(現 味の素株式会社執行役員 グローバルコーポレート本部経営企画部長)が予定されている。

Ichiro Yamazaki, Masayoshi Kurosaki e Fujiyoshi Hirata

Foto: Rubens Ito / CCIJB

SIGMAXの堤氏が訪問

2019年4月26日(金)SIGMAXコンサルティングの堤 寿彦社長が会議所を訪問し、日伯間の経済交流強化や投資促進について、特に年金改革、税制改革など各種の改革を進めてボルソナーロ新大統領政権下での日本からの投資進出について、応対した平田事務局長と意見交換を行った。

Fujiyoshi Hirata e Toshihiko Tsutsumi

Foto: Rubens Ito / CCIJB

大手銀行が2019年第1四半期に16%の増益

上場している内資系の大手銀行が2019年第1四半期、経済活動が期待された水準よりも低迷しているにもかかわらず、堅調な業績を確保していることが明らかになった。バロール紙が複数のアナリストに対して見通しを問い合わせたところ、平均するとイタウ・ウニバンコ銀行とブラジル銀行、ブラデスコ銀行、サンタンデル銀行を合わせた1-3月期の経常純利益の予想は、平均すると総額201億6,900万レアルに達した。実際にこの規模でこれらの銀行が利益を計上していたとすれば、前年同期の業績を16%上回る。アナリストが提出したこの数字は、貸付がより過熱しパフォーマンスが向上していることに加え、スプレッド金利がより高い事業にこれらの銀行が事業を集中させているという事情を反映している。金融機関は、担保を持つケースを中心に個人と小企業に対する貸付事業に営業を集中している。

UBS銀行は顧客向けレポートの中で、「中道右派のジャイールボルソナロが大統領に選出されて以降、新しい年金制度改革の提案が行われ、マクロ経済指標は景気の回復を示すなど、ブラジルの銀行各行の貸付事業が新たなサイクルに入った確信している」とコメントした。

スイス系資本の同銀行は、個人向けと小企業向けに銀行各行が営業を強力に活発化させている状況は、ブラジル経済基本金利(Selic)の金利が低下してより低利な新規貸付のポートフォリオが加わることを、部分的に相殺するものだと受け止めている。

XPインベストメントのレポートは、これらの銀行の業績改善の大きな理由のひとつに個人向けの貸付があると指摘する。同社によると事業ポートフォリオの中で最も好ましいのがこの貸付であり、銀行の金融事業(本業)による営業利益に最もポジティブな影響を与えると位置付けている。

イレブン・ファイナンシャルの複数のアナリストは、個人と小企業への貸付に注力したことだけが銀行のこの営業利益の拡大に貢献した要素ではないと指摘する。アナリストによると、金融機関の経営姿勢も、業績拡大に貢献したという。「とりわけ民間の貸付では双方にとって、市場競争が引き続き激しい状況だった」と同社はレポートで指摘した。

イレブン・ファイナンシャルは、2018年3月末時点と比較した場合に、国内4大銀行の貸付のポートフォリオは、2019年3月末時点で下は3%(ブラジル銀行)から上は10%(ブラデスコ銀行とサンタンデル銀行)の拡大だったと推定している。

中銀は発表した最新のデータによると、貸付事業のストックは2月末までの12か月間で5.5%拡大して3兆2,410億レアルを記録した。個人への貸付事業は同じ期間に9%上拡大して1兆8,150億レアルを記録、法人への貸付事業は1.4%の増加で1兆4,270億レアルにとどまった。

銀行各行が発表する貸借対照表では、債務不履行が再び縮小しているか、微増にとどまったことが示される見込みだ。UBS銀行によると、国内4大銀行のデフォルト率は2.9%に収まる見込みで、2018年3月の3.58%を下回るだけでなく、前年12月時点の3.2%も下回った模様だ。

イレブン・ファイナンシャルの場合、第1四半期のデフォルト率は2018年末をやや上回ったとみるが、これは家計支出の季節的要因と若干の大企業の特定のケースによるものであり、貸付事業に対する影響は何もないと受け止めている。「これらのケースの大部分は想定内であり、資産のクオリティーは全体として引き続き健全で、貸付コストが大きく変化するものではない」と強調した。

注目すべき点として複数のアナリストが、カード端末の使用を店主に承認する事業活動、すなわち決済業界の市場競争が激化している影響を指摘する。UBS銀行によると、この分野の競争激化は経費に対する圧力を高める傾向がある。同様に、サービスに伴う収入に一定のネガティブな影響を与える可能性も否定できない。

ストーンとパゴセグーロのような決済認証の新規参入組みに市場を奪われたのち、大手銀行は収益性を減らして失われたシェアの回復と、小規模の事業主への浸透を進めようとしている。イタウ銀行は、レデを展開している。ブラジル銀行とブラデスコ銀行はシエロの経営権を分け合っている。サンタンデル銀行はゲットネットを保有しており、この3社で唯一、シェアを拡大している。

イタウ銀行の場合、銀行窓口業務と保険業務、レデを含めた手数料と利用料による収入は、第1四半期、前期比で3.2%縮小したとサフラ銀行のアナリストは分析する。サフラ銀行のアナリストは外にも、サンタンデル銀行の場合は同様の比較で4.2%の落ち込みと予想している。

金融機関による決算発表シーズンは、4月25日のブラデスコ銀行の発表で幕を開ける。複数のアナリストが、金融機関が積極的な貸付事業を展開したと予想する。XPによると、銀行は「ポートフォリオの平均的な利益が拡大していること、さらにポートフォリオの内容も、銀行の営業利益を後押しした」と予想する。。

アナリストの予測は平均で、ブラデスコ銀行が前年同期比19.36%像の60億9,000万レアル。また彼らの予想は、第1四半期の利益の伸びでブラジル銀行が最も大きかった可能性を示唆する。ブラジル銀行は、第1四半期に前年同期比28.78%増となる38億9,700万レアルの利益を計上したとアナリストは予想する。サフラ銀行のアナリストによると、同銀行の2019年3月時点のデフォルト率は、2018年3月と比較して1パーセントポイント低い2.7%である。個人の顧客とアグリビジネス分野の顧客の債務不履行の減少が後押しした模様だ。

イタウ銀行とサンタンデル銀行に関して、アナリストの予想の平均は、それぞれ、68億0,800万レアル(前年同期比+6.06%)と33億7,400万レアル(同+19.01%)である。

イタウ銀行の場合、サフラ銀行のアナリストは、サービス事業に伴う収入は前年同期と比較して緩やかな増加にとどまると予想している。一方、営業利益は、堅調な個人向けの貸付業務が市場でのオペレーションで低迷した利益率を補償する形で改善したと受け止める。

サンタンデル銀行の場合、営業利益の増加とサービス事業に伴う収入の増加が収益性の向上を支えており、サフラ銀行は「印象的な状況だ」と受け止めている。また同銀行のアナリストによると、第1四半期の期待収益は前年同期比+18.8%の20.6%だとしている。(2019年4月24日付けバロール紙)
 

 

カンノエージェンシー菅野氏が訪問

 2019年4月24日(水)カンノエージェンシーの菅野英明代表が会議所を訪問、同氏が上梓し、サンパウロ新聞が編集タイアップを行った『ブラジル日系人経営者50人の素顔』下巻編がブラジル日本移民110周年の記念書籍として発行されたことを報告した。

 菅野氏は1986年よりブラジルの社会情勢、政治経済を取材しており、この度上巻編に続いて下巻編を上梓、経営の最前線に立つ錚々たる日系経営者らの記録を纏めた集大成である。同書は会議所異業種交流委員会の講演者選定にも大変参考になる一書として会議所に1冊贈呈され、33年という長きに亘り交流のある平田事務局長より感謝の意が表された。また同書は、会議所において広く委託販売が為されることが決定している。

上巻についての記事:http://jp.camaradojapao.org.br/news/visitas-a-camara/?materia=17634

左から平田藤義事務局長、菅野英明氏

 

(Fotos: Rubens Ito / CCIJB)

余裕をもって年金制度改革案が下院CCJを通過

下院CCJが、必要とされた34票を大幅に上回る賛成48票を確保し、反対18票という大差で年金制度改革案を承認した。

62日に及んだ審議の後、下院憲法・法務委員会(CCJ)が4月23日、連邦政府の提出した年金制度改革案を承認した。今後、この法案は下院特別委員会で審議される。法案が憲法の原則に従っているかを分析するCCJでの審議は、連邦政府が想定していた以上の時間を費やすものとなり、当初の条件の一部で政府経済スタッフが妥協することを余儀なくされた。このように交渉の材料にはなったものの、法案は依然として、2月20日に国会に提出された時点で1兆1,000億レアルとパウロ・ゲデス経済大臣が推算していた歳出削減効果を維持している。CCJの表決は、賛成48票、反対18票だった。このCCJを通過するには、34票の賛成票が必要だった。表決後、CCJのフェリッペ・フランシスキーニCCJ議長(PSL:社会自由党=パラナ州選出)は、「期待以上の結果で通過した」とコメントした。また同下院議員は、ミシェル・テーメル前大統領が提出した改革案の表決で賛成票が31表だったことに言及した。

また野党議員らは、この表決の無効を求めて提訴する意向を表明した。

下院のロドリゴ・マイア議長(DEM:民主党=リオデジャネイロ州選出)は今回の審議に立ち会い、DEM及びブラジル共和党(PRB)、進歩党(PP)に所属議員らと次のステップにおける対応を協議した。同下院議長は、4月25日に特別委員会を下院に設置するため、各党に党リーダー(調整役)の指名を求めるとコメントした。マイア下院議長はさらに、特別委員会における法案報告者について、ゲデス経済大臣とロジェリオ・マリーニョ社会保障・労働局長と「方針をすり合わせる」と断言した。加えて、同下院議長は連邦政府に対して、下院内に連立基盤を構築する取り組みを進めるよう求めた。「現在の連邦政府には、この法案全体どころか議論を呼ぶ個別の案件に関しても一切、可決できるような票田を確保していない。連邦政府はここで息継ぎをして、改革はブラジル国民にとって重要なのだと伝える必要がある。(ジャイール・ボルソナロ)大統領は、法案の可決がブラジルにとって良いことなのだと明確に示す必要がある」という。

テーメル大統領の場合、CCJの審議に10日を必要とした。ジャイール・ボルソナロ大統領の年金制度改革は、新たな修正を求めるセントロン(Centrao:中道多数派)のプレッシャーの下で、下院特別委員会に持ち込まれることになる。CCJで加えられた4か所の法案修正は、否決させるという圧量のもとにセントロンが交渉の中心的役割を担った。

 

野党

表決移行をめぐる攻防は、野党議員が審議の先送りを求める要求を次から次へ断続的に提出したことで、9時間に及ぶ審議となった。泡沫政党のまとめ役であるジャンジーラ・フェガリ下院議員(PC do B:ブラジル共産=リオデジャネイロ州選出)は、マイア下院議長に対して、法案により影響する数字を政府が提出する必要があると主張し表決を20日先送りするよう求める要望書を、自身の署名を添えて提出したほどだった。

野党の戦略は、別の審議で採用されたのと同様、大騒ぎし、騒ぎ立てるというものだった。ただし今回、フランシスキーニ議長はより厳しい対応で審議を進め、表決が見送られるのを阻止した。野党側の反対アピールにもかかわらず、フランシスキーニ議長は要求を受け入れず表決に移行した。

マリア・ド・ロザリオ下院議員(PT:労働者党=リオ・グランデ・ド・スル州選出)とグレイジ・ホフマン下院議員(PT=パラナ州選出)、エリカ・コカイ(PT=連邦区選出)、タリリア・ペトローネ(PSOL:社会主義及び自由党=リオデジャネイロ州)が議長の机を取り囲み騒然とした時、彼らに対してフランシスキーニ議長は、「私は子供ではないのだから、私を指さして話すのはやめたまえ!」と発言した。こうして新たな騒動が起こったものの、フランシスキーニ議長はあくまで闘争的な態度で圧力を保った。

本会議場では、政府擁護の下院議員らが、「脅迫を許すな議長殿。団結して対処せよ」と叫ぶ声が聞かれた。また下院の政府調整役、ジョイセ・ハッセルマン下院議員(PSL=サンパウロ州選出)は、野党議員の絶叫に、「警察を呼ぶべきだ」とCCJ議長に発言した。

 

戦略

改革案を確実に可決させるため、ボルソナロ政権の法案に反する委員の一部が、同じ党ながら法案に賛成する人物に置き換えられた。その1人が、ラインホルド・ステファネス下院議員(PSD:社会民主党=パラナ州選出)で、当初は代理委員だったが後に正委員に変更された。

CCJでの表決をめぐってボルソナロ大統領には、自身が権利を有する下院議員特別定年制度の権利行使の放棄が要求された。ボルソナロ大統領は28年にわたって下院議員を務め、この制度により年金の給付を受ける権利を持つが、まだこの権利を行使ししていない。この権利は、大統領の給与に加算して受給できる。この要求は、クラリサ・ガロッチーニョ下院議員(PROS:社会秩序共和党=リオデジャネイロ州選出)が提出した。

 

当初の法案から削除された項目

年金受給者に対するFGTS

この提案は、年金の受給を開始している労働者の勤続期間保障基金(FGTS)の納付に対する義務付けをなくし、また当該の労働者を解雇した場合にも雇用主に対し40%の罰金の課徴を免除するというものだった。

強制的定年退職

補完法によって公務員の強制的定年退職の年齢の上限を規定するための条項。最近、70歳から75歳に引き上げられた。この条項への違反を理由に、上級裁判所判事の構成において、政府が司法への影響力を行使できるよう指名可能な入れ替え人事が容易になると期待されていた。

改革に関連した訴訟を扱う裁判所

この提案は、年金制度改革に反対する訴訟に関して、原告の居住する、あるいは当該の請求の根拠となる「行為又は事実」が発生したとされる地域の裁判所でのみ訴状を受理するというもの。この条項が撤回されたことで、連邦政府に対する訴訟は引き続き、連邦裁判所で審議される。

行政府の独占性

社会保障にかかわる規定を変更するための補足法案を提出する権限を連邦行政府に限定するというもの。撤回に伴って立法府も法案を提出できることになった。(2019年4月24日付けエスタード紙)

 

省間の対立でコンセッショネアの事業権返還に関する政令の告知が足踏み

 経済省とインフラ省の間で意見が対立していることから、空港と高速道路の民間事業主が問題を抱えるコンセッション契約に関連した事業権を友好的な方法で連邦政府に返還することを認める政令の告知が足踏みしている。減価償却前の投資に関する補償をコンセッショネアが受ける権利に関する見解の相違が原因で、取り組みが空転しているのだ。

 インフラ省らが中心になってまとめた法案の文言について経済省のスタッフは、公的枠組みによって常に恩恵を受けることになる無責任ともとれる応札条件で事業入札の落札業者となった国内グループに関連し、外国人投資家に間違ったメッセージを与えかねないと受け止めている。

 パウロ・ゲデス経済大臣の側近らは、契約を履行しない事業者へのこうした寛容さを、コンセッション契約における「モラル・リスク」と呼んでいる。仮にこの慣行が維持されれば、推進しようとされている意欲的な民営化計画に対して、プライベート・エクイティ・ファンドと年金ファンド、政府系ファンドなど新しい外国人投資家の関心を呼び起こすことは難しい。

 ボルソナロ政権が発足して数週間という早いタイミングで、インフラ省とパートナーシップ投資計画審議会(PPI)の中核メンバーが、この問題に関する大統領令の起草を加速させることを希望した。14箇条からなる素案は2018年の段階で完成した。この大統領令が施行されなければ、ミシェル・テーメル前大統領が裁可した法律にも、実効力が発生しない。同大統領は契約義務の不履行に陥っているコンセッショネアが直面する問題を解決するために、2017年6月の法律第13,448号(Lei 13.448)に署名した。これは、業界監督庁が延々と進めている失効手続きをより迅速にする代替案のひとつを模索する内容である。

 テーメル大統領は当時、この政令に自身が署名すること、そして港湾令で発生したように特定の民間のグループを優遇したと告発されないかという懸念を公の場で表明している。この港湾令は、ロドリマル者への利益供与だとして連邦検事総長(PGR)が、裁判所に大統領を告発している。結果として、法律の規制が効力を持つことはなかった。

 ヴィラコッポス国際空港(サンパウロ州)を運営するコンセッショネアと、ブラジリアとミナス・ジェライス州ジュイス・デ・フォーラを結ぶ国道040号線(BR-040)を運営するコンセッショネアは、既に、公の場でコンセッション契約の解消を正式に要求している。UTCとトリウンフォで構成するヴィラコッポス国際空港のコンセッショネアは、民事再生中である。国道040号線のコンセッショネアは、インヴェパルが親会社だ。トリウンフォは外にも、コンセブラの事業権返還の意思があることも表明している。     コンセブラは、連邦区とゴイアス州、ミナス・ジェライス州に及ぶ総延長1,176kmの、国内最大の高速道路コンセッション事業である。

 インフラ省は、減価償却前のすべての投資をコンセッショネアに補償するための価額計算メソッドを確立すべきという。この支払いは、当該資産の再事業入札で確保した事業売却益を資金源にし、会計監査後に示された実際に行われた投資額(資産の簿価)のすべてを考慮する。ヴィラコッポス国際空港と国道040号線の2事業だけでも、投資額の合計はざっと40億レアルを上回ると推計されている。

 一方、経済省はこうした考えに異議を唱える。この問題の本質について経済省は、これがブラジルの建設会社の手口であり、事業入札で落札業者になった後に契約条件を再交渉しようとする慣行だと位置付ける。コンセッション事業の多くで赤字体質にあるという特徴が示されているものの、パウロ・ゲデス経済大臣の補佐官らは、当該企業がすでに、契約の「関連会社」としてすでに利益を得ていると認識している。言い換えると、コンセッショネアの工事で関係する建設会社が受注している、ということである。

 ヴィラコッポス国際空港の場合、新規ターミナルのインフラを立ち上げるため、UTCのコンストランとトリウンフォと請け負い契約を交わしている。国道040号線の場合、支配会社の経営パートナーであるOASと契約を交わしている。こうしたことから、空港では159%に達する権利金へののれん代、高速道路では通行料金として定められた最高額に対して61%に達する割安な条件の提示という無責任な応札条件は、投資に関連して相殺されたというのが経済省の立場だ。

 ゲデス経済大臣のスタッフは、資産の簿価についても「減損」が考慮され、回復可能な投資を反映させるべきだと主張する。少し具体的に言えば、ヴィラコッポス空港の価値は、ターミナルにあるのでも滑走路にあるのでもなく、これらに関連して発生するキャッシュ・フローなのだという意見である。

 経済省のこうした考えは、資産の再事業入札を「負の価額」で実施することもあり得ると示唆する。例えばこうだ。現在の通行料金と工事の日程という現行の契約条件を維持するとして、投資家は、国道040号線の事業を引き受けるのに5億レアルを受け取る場合に限って関心があると申し出るような状況だ。その場合、キャッシュ・フローのリバランスを目的に通行料金は上昇するか、あるいは、工期を希釈することになる。そして資産の返還に対して責任があるインヴェパルには、何らの補償も行われない。実際のところ、この支払い額を規定するのは市場になる。

 経済スタッフの補佐官の1人は、予算が破綻し当初の計画を大幅に上回る事業費が吸い込まれていったパラー州のベロ・モンテ水力発電所のケースを、皮肉を込めて振り返る。「水力発電所の事業主が国家電力庁(Aneel)に出向き、事業権を返還したいから350億レアルを受け取りたいと言うのを想像したらどうだろう。みんな、そいつの顔を眺めて笑うだろう。だがそうやって笑えるのは、業界規定があるからだ。電力業界向けの、非常に盤石なものが」とこの人物はコメント。その上で、「日和見主義者に対して大目に見ることはないという明確なサイン、契約は厳格に尊重されなければならないという明確なサインを、市場に示す必要がある」と付け加えた。タルシジオ・フレイタス・インフラ大臣のスタッフらは、空港事業入札と南北縦断鉄道事業入札の成功に勢いづいており、こうした側面は確かに考慮すべきであるとしつつも、コンセッション契約の友好的な、つまり頭痛のタネになりにくい形での解消が不可能な状況になりかねないことを懸念する。いずれにせよ事業入札が再実施されるまでコンセッショネアは事業を継続し、かつ、これが終わりのない司法問題に発展するのを回避しなければならない。(2019年4月23日付けバロール紙)