FIESPにて日メルコスールEPA準備タスクフォース第5回会合開催

2018年6月14日(木)午前9時~11時、サンパウロ工業連盟(FIESP)エクゼクティブルームで日メルコスールEPA準備タスクフォース第5回会合として、同連盟役員らと意見交換会が行われた。ロリース・コエ-リョ会頭代行も冒頭挨拶に駆けつけるなど、ブラジル産業界を代表する機関の一つであるFIESPにおいてもこの意見交換会合の重要性が認識されており、日メルコスールEPA交渉開始に向けこれからのアクションを考える上でも参考になる、ポジティブな成果が得られた会合となった。

トーマス・ザノット(Thomaz Zanotto)FIESP国際担当理事が司会を務め、初めにジョゼ・リカルド・ロリース・コエ-リョ(José Ricardo Roriz Coelho)FIESP会長代行が開会挨拶を行い、メルコスール・EU貿易協定の交渉はかなり進んでおり、また日本とのEPAの重要性を認識しFIESPも本件に取り組んでいることが述べられた。続いて土屋信司商工会議所副会頭(日伯経済交流促進委員長)からの挨拶が行われ、本会合の開催にあたってFIESP側にお礼を述べた後、当会議所は今年末ブエノスアイレスで行われるG20首脳会談に向けて日メルコスールEPA準備タスクフォースが設立しており、FIESPの意見も取り入れながら今後も早期交渉開始に向けて取り組んでいきたいと述べた。

ザノット国際担当理事は「日メルコスールEPA締結を焦点としたブラジルの国際化ビジョン」と題してプレゼンを行い、FIESPの概要、FIESPのTPPや日メルコスールEPAに関する考えなどを述べた。中でも日メルコスールEPAについては両国の貿易をさらに活性化し、技術移転に対する障壁の軽減やまた今後予想されるブラジルの高齢化に伴う先端医療機器や鉄道技術など日本の技術導入促進の可能性などのメリットも挙げられた。

続く質疑応答のセッションでは、日本に先行してメルコスールが他国と交渉を進めている貿易協定の可能性やそのインパクト、特に自動車業界等既存企業への保護政策、またメルコスール域内にあるフリーゾーンの今後の在り方、ブラジルとメルコスールの関係性などについて自動車部会や電気電子部会出席者らから質問があげられ、ザノット国際担当理事はFIESP側の見解を述べた。また会議所平田藤義事務局長は自らの企業経験を振り返り、貿易を自由化するにあたって慎重にステップを踏んでいくことが重要だと述べ、今後会議所メンバーとオープンな会合を設定していくことを提案し、ザノット国際担当理事はFIESPとしても今後も会合を重ねる意向があることを明確にした。

会合最後に野口泰氏在サンパウロ日本国総領事より閉会の挨拶が行われた。野口総領事は今年はブラジル日本移民110周年でもあり、日メルコスールEPAについては4月の日伯賢人会議でも提言書に盛り込まれ、既に両国の首脳レベルに伝えられており、また7月23日、24日東京で第21回日伯経済合同委員会、来週はブラジリアでインフラ作業部会が開催されるなど、日伯の経済関係が一層深まっているということへの喜びを表し、またこれまで様々な国とEPAを締結してきている日本の経験を活かし日メルコスールEPA締結交渉が開始されるよう引き続き取り組んで行きたい旨を述べた。

 

参加者は(順不同、敬称略)

FIESP: José Ricardo Roriz Coelho会長代行、Thomaz Zanotto国際担当理事

在サンパウロ総領事館:野口 泰在サンパウロ日本国総領事、上田基仙 同領事

商工会議所:土屋信司(ブラジル三井物産/日伯経済交流委員長)、大久保敦(ジェトロサンパウロ/企画戦略委員長)、芦刈宏司(ブラジル三井物産/日伯経済交流促進副委員長)、二宮康史(ジェトロサンパウロ/企画戦略副委員長)、佐久間太郎(双日ブラジル/政策対話副委員長)、櫻井淳(伯国三菱商事/政策対話副委員長)、大塚未涼(ブラジル三井物産/政策対話委員)、柳本安紀(双日ブラジル/政策対話委員)、細谷浩司(ブラジル日本通運/会議所理事会社)

米長浩(ブラジルトヨタ/自動車部会)、土門翔平(ブラジルトヨタ)、Francisco Garcia Reberti Filho(ブラジルトヨタ)、新保博茂(デンソーブラジル/自動車副部会長)、小西輝紀(アイシン)、竹内パウロ(ホンダサウスアメリカ/自動車部会)、Felipe Barbosa(ホンダサウスアメリカ/自動車部会)、山田佳宏(三菱重工/機械金属副部会長)、村松 正美(パイロットペン/化学品副部会長)、Claudio Ogura(パイロットペン/化学品部会)、関 宏道(ブラジル味の素/食品副部会長)、吉田信吾(NYK/運輸サービス副部会長)、岩井祐治(ソニー/電気電子部会)、Rodrigues Thiago(ソニー/電気電子部会)、水口直人(NEC/電気電子部会)、猪股淳(伊藤忠/貿易部会長)、岡本将紀(損保ジャパン/金融副部会長)、長野昌幸(ブラジル三井住友海上/金融部会)、岩瀬恵一(ジェトロサンパウロ事務所次長)、安藤萌(住友商事)、井戸謙人(MUFG)

カマラ事務局:平田藤義事務局長、日下野成次総務補佐、吉田章則調査員、近藤千里アシスタント

左からFIESPザノット国際担当理事、ジョゼ・リカルド会長代行、野口 在サンパウロ日本国総領事、土屋 会議所副会頭/日伯経済交流促進委員長

 

 

会場の様子

 

Fotos: Rubens Ito / CCIJB

6月の日伯法律委員会は50人が参加して開催

日 伯 法 律 委 員 会(藏掛 忠明)の6月月例会は、2018年6月14日午後4時から6時まで50人が参加して開催、初めにGaia Silva Gaede AdvogadosのEduardo Fuser Pommorskyパートナー、FNGV AdvogadosのPaulo Vital Olivoパートナー、KPMG税務担当のCláudio Carfaroマネージャー、Global Compliance & ReportingのCarlos Eduardo Cavalieriシニアマネージャ―がそれぞれ講演した。

講演資料(ポルトガル語):
1. “Guerra Fiscal de ICMS e Convênio 190/2017: o que fazer neste momento?”
2. "Os benefícios fiscais do ICMS como subvenções para investimento – 
Tratamento para fins de apuração do IRPJ, CSLL, PIS e Cofins"

3. "Reintegra 2018"
4. “Impactos Fiscais do IFRS15 / CPC 47 – Reconhecimento de Receitas”

Paulo Vital Olivo (FNGV Advogados), Eduardo Fuser Pommorsky (Gaia Silva Gaede Advogados), Luiz Fujio Sato (Marubeni Brasil), Cláudio Yukio Yano ( FNGV Advogados), Fábio Kenji Ota e Carlos Eduardo Cavalieri (EY Brazil) e Cláudio Carfaro (KPMG) (Fotos: Rubens Ito / CCIJB)

RI / CCIJB

Pioneer do Brasil の村井新社長が会議所を訪問

2018年6月13日、Pioneer do Brasil Ltda.の村井賢司新社長(前任は羽生孝幸社長)が篠原一宇副社長と共に会議所を訪問、応対した平田藤義事務局長と昨今のブラジル政治経済などについて意見交換を行った。

Ichiu Shinohara, Kenji Murai e Fujiyoshi Hirata

 

Foto: Rubens Ito / CCIJB

 

「安全対策セミナー」についての打ち合わせ

2018年6月13日、総務委員会に属する安全対策チームの打ち合わせ会議が当会議所にて行われた。

今年行われる「安全対策セミナー」について、今後行われる取り組みについて意見交換が行われた。

出席者は総務委員会の井戸謙人氏と安全対策チームリーダーの竹森良平氏の他、

会議所事務局からは平田藤義事務局長、日下野成次総務担当と前田カリーナアシスタントが参加。

ブラジル日本移民史料館40周年記念プロジェクト説明会

ブラジル日本移民110周年記念の今年は、またブラジル日本移民史料館40周年を記念する記念プロジェクト説明会は2018年6月13日午後2時30分から史料館9階で開催、初めにブラジル日本文化福祉協会の松尾治副会長が開催挨拶、ブラジルトヨタ社の下村セルソ副社長がマスタースポンサー挨拶、MUFCバンクの木下誠頭取がスポンサー挨拶を行った。山下リジア氏、岩山明郎氏、榎原オラシオ氏、井上ジョン氏が史料館改装プロジェクトを紹介後、参加者に史料館を案内、史料館運営委員会の西尾ロベルト委員長が閉会挨拶を行った。会議所からは平田藤義事務局長や多数の会員が参加した。

労働WG会合開催

2018年6月12日(火)16時より政策対話委員会(村田俊典委員長)労働ワーキンググループ会合開催、労働WGのAGIR提言書に関する3回目のアップデート作業を実施した。今回は、ビザ取得手続きの迅速化、明確化、そして見習い生雇用制度の実用的な運用をテーマに議論を行い、ビザに関しては、昨年末に移民法の改正が行なわれたが、まだ実務レベルまでは浸透しておらず、セミナーを行うことが検討された。次に、更なる労働分野のビジネス環境改善に向けて、どのような課題が残されているかについては、残業時間規制の弾力的な運用、長期安定雇用の確保と企業の生産性について、インフレ率とともに上昇する給料、個別契約、そして定年制度について意見交換会が行われた。
参加者は、山崎一郎氏(グループ長、ブラジル味の素)、上床憲司氏(伊藤忠ブラジル)、加藤周平氏(南米新日鉄住金)、高橋良明(ホンダサウスアメリカ)、成田智哉氏(ブラジルトヨタ)、山内悠輝氏(損保ジャパン日本興亜)、田中峻氏(損保ジャパン日本興亜)、西口阿弥氏(EY)、辻本希世氏(ジェトロサンパウロ)、森雄太氏(丸紅ブラジル)、前田太輔氏(東レブラジル)、吉田幸司氏(KPMG)、佐藤ジルセウ氏(Fator弁護士事務所)、ダグラス・マイア氏(Fator弁護士事務所)、総領事館から、上田基仙領事、そして事務局からは、平田藤義事務局長、吉田章則調査員が参加した。

 

Foto: Rubens Ito / CCIJB

事務局便り JD-040/18    「大使館情報」第121号(2018年6月号)送付 

                                            JD-040/18
                                            2018年6月12日
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サンパウロ商工会議所会員の皆様へ

平素より大変お世話になっております。
在ブラジル日本国大使館の川橋です。

              「大使館情報」第121号(2018年6月号)を送付いたします。
今月号のトピックスは、在ブラジル大使館の「日・ブラジル外相会談」,「河野外務
大臣のサンパウロ訪問」及び在マナウス総領事館の「"フィールドミュージアム"構想
に関するプレスツアー」となっております。

送付致します情報は、日本政府の立場を代表したものではなく、公表された情報を中
心にとりまとめたものであり、皆様へのご参考として送付させていただくものです。
なお、転写、引用等を希望される場合には、あらかじめ当館にご相談下さるようお願
い致します。

また、今後、更に皆様のお役に立てるよう内容を充実させていきたいと思いますの
で、ご意見・ご要望等ございましたら、下記連絡先までご連絡いただければ幸いで
す。
皆様,今後とも引き続き宜しくお願い致します。

※大使館情報の最近のバックナンバーを大使館ホームページに掲載しましたので、そ
ちらもご覧下さい。
在ブラジル日本国大使館 www.br.emb-japan.go.jp

【問い合わせ・連絡先】
在ブラジル日本国大使館
三等書記官(経済班) 川橋 天地
電話:(61)-3442-4215
FAX:(61)-3242-2539
Email:tenchi.kawahashi@mofa.go.jp

 

トラック運転手の国道封鎖抗議デモで今年のセメント生産減少に追討ち

ブラジル国内のセメントメーカー大手Votorantim Cimentos社(VC)では、5月下旬から11日間継続した全国規模のトラック運転手の国道封鎖抗議デモの影響で、5月のセメント生産が大幅に落ち込んでいた。

セメント輸送の96%がトラック輸送のために、5月下旬から11日間継続した全国規模のトラック運転手の国道封鎖抗議デモの影響は、5月のセメント販売の20%減少に繋がったとVC社のWalter Dissinger社長は説明している。

VC社はブラジル国内に27カ所のセメント生産工場を要しているにも関わらず、僅か3カ所のセメント生産工場がトラック運転手の国道封鎖抗議デモの影響を受けなかった。

またセメント生産コストとして電力エネルギーに次いでコストの高い石油コークスがトラック運転手の国道封鎖抗議デモの影響で入手困難となり、またドル高の影響で、コークスの国際コモディティ価格も過去1カ月間弱で10%値上がりしている。

現在の1トン当たりの石油コークスは80ドルまで上昇しており、2~3年前の平均価格45ドルの2倍近くに達し、セメントメーカーにとっては電力エネルギーコストと共に生産コストを圧迫、またトラック輸送費の改定はさらに収益を圧迫するために、セメント価格の価格転嫁を免れないと予想されている。

今年初めの今年のセメント生産は、前年比1.0%~2.0%増加の5,360万トンが予想されていたが、トラック輸送費値上げ並びにコークス価格上昇で前年比では、マイナスに落ち込む可能性を13セメントメーカーが加盟する全国セメント工業組合(SNIC)のパウロ・カミーロ・ペーナ会長は否定していない。

今年初め5か月間の国内のセメント販売は、前年同期比4.5%減少の2,040万トンに留まっていたが、5月からの販売増加を見込んでいた時にトラック運転手の国道封鎖抗議デモが発生した。

今年5月のセメント販売は前年同月比20.3%減少の360万トン、トラックによるセメント輸送コストは、輸送距離に比例して最終製品価格の20%~40%を占めていたが、今回のトラック輸送費の料金改正で輸送コストは30%~60%に上昇すると危惧されている。

ブラジル国内のセメントメーカーの生産能力は最大で年間1億トンに達するものの、現在の設備稼働率は48.0%と今年初めの予想である44.0%~45.0%をわずかに上回っている。(2018年6月12日付けヴァロール紙)

Vale社はカナダでコバルト生産拡大

ブラジル資源大手ヴァーレ社は、傘下のカナダ企業ヴァーレ・インコ社が所有するカナダ東部のニューファンドランド・ラブラドール州に位置するニッケル・銅・コバルト鉱山のVoisey's Bay鉱山の操業を拡大する。

ヴァーレ・インコ社は、露天掘り終了に伴って地下資源開発向けに総額17億ドルの投資計画を遂行するために、今後生産されるコバルトの75%をWheaton Precious Metals並びにCobalt27Capital社から資金提供で合意している。

ヴァーレ社では、総額17億ドルの投資計画の40%に相当する6億9,000万ドルをWheaton Precious Metals並びにCobalt27Capital社からの資金提供で合意、Wheaton Precious Metalsは3億9,000万ドル、Cobalt27Capital社は3億ドルを負担する。

地下資源開発の操業は2021年1月開始予定、Wheaton Precious Metals社はコバルト生産の42.4%、Cobalt27Capital社は、32.6%の権益を擁している。

ニッケルやコバルト生産は電気自動車のバッテリーに不可欠であり、コバルトの多くは、銅やニッケル採掘時に副産物として採掘されるために、電気自動車メーカーでは、バッテリー製造のために資源確保で熾烈な競争を余儀なくされている。

ニッケル・銅・コバルトを生産するVoisey's Bay鉱山の露天掘りは2023年に終了、2034年まで開発を継続させるためには、総額17億ドルを投資して地下資源開発に軸足を移す必要がある。

Citi銀行では、2030年の自動車生産の25%は電気自動車やプラグインハイブリッド自動車(PHEV)になると予想している一方で、最も楽観的な金融機関では27.0%~30.0%を占めると予想している。

ワーゲン社では2020年の自動車生産の2.0%は電気自動車、更に5年後には12.0%に増加すると予想、中国資本SAIC社では、現在の電気自動車生産7.0%を5年後には20%、前記同様にルノー社では2.0%から6.0%にそれぞれ引き上げる計画を持っている。

Voisey's Bay鉱山ではニッケル・銅・コバルト鉱の生産が可能であり、これらの鉱物の埋蔵量は3,240万トンを予想、ニッケル鉱の平均含有量は2.13%、銅鉱0.96%、コバルト鉱は0.13%が見込まれている。(2018年6月12日付けヴァロール紙)