2000年下期業種別部会長懇談会-フリーディスカッション

いま、対伯投資を伸張させるためになにが必要か

司会:ど うもありがとうございました。最初は心配しましたけれども、何とか討論の時間が取れそうです。前回、前々回と比べますと、各部会とも全般的には非常に好調 だということであったという様に思います。いまから約30分ほど「対伯投資の伸張のために何が必要か」ということについて討論して頂きたいと思います。ま た、いままでの「本年度上期の回顧、下期の展望」に対するコメント、質問などがありましたら、それも合わせて発言頂いても結構です。とりあえず、いま発言 頂いた部会長さんの中で対伯投資に関連して割愛された部会がありますので、そこに皮切りに発言して頂きたいと思います。貿易部会の能澤さん、対伯投資の件 なり、今年度の景気についてのコメントなりありましたらお願いします。

 

日本のマスコミに働きかけブラジル・キャンペーンを

能澤:時 間が限られているので要点だけ申し上げますと、部会で打ち合わせをした時に、「これが決め手だ」という具体的なアイディアは特にございませんでした。た だ、地道に各社できる範囲で努力していくしかないだろうということです。その中で一つだけ話しとして面白いなと思ったのは、たしか元々は大使のご発案だっ たようですが、「もっとマスコミを上手に利用しよう」ということで、例えば日本の日経新聞を見ても、ブラジルの記事が出るのは非常に少ない。出たとしても どちらかというと、ネガティヴなことが多いので、マスコミの方を含めて、もうちょっとブラジル・キャンペーンをやってみたらどうですか、というような話の 披露がありまして、これは確かにそうだろうな、と思いました。

それから折角ですので、私個人の意見を申し上げますと、さきほどからブラジルコストという話が出ていますが、商社の目から見ますと、ブラジルは非常に投資環境、商売する環境が整っております。まず民主主義である、それから資 本主義である、それから法律はあるということで、日本がこぞって目を向けているアジアと比べるとなんでこんなに距離が遠いのかな、なぜこんなに冷たくされ ているのかな、というのが率直なところです。いま本社に向かって言っているのは、アジア、アジアというけれども比較優位の問題で一つ一つ比べてみろという 事です。

 

来て見て、知って貰い、現地との情報交換も

アセアンと比べてもマーケットの大きさは変わらないし、例えば民度、社会の情勢等々比べますと、決してアジアに劣らない。一つだけ問題なのは距離が遠 い、歴史的に馴染みが薄いということで、いま私が一生懸命やっているのは一人でも多くうちの経営の人達をこちらに呼び込むこと。来て見てもらうのが一番早 いと思うんです。という事で努力しておりますが、一番いいのは今年11月の日伯経済合同委員会。これがムードを盛り上げるわけですから、これにうちの上層 部を一緒に連れてこれればいいと思っております。

今度来てもらった時に何を見せるかという事ですが、先ほど宇治さんがショッピングセ ンターを見せられた、といわれましたがその通りだと思うんです。日本から来る、日本の本社に座っている経営者にこのブラジルで短期間でショックを与えるの にはやはり今のショッピングセンター、それから地下にある日用品を売っているスーパーマーケット、この辺を見てもらうのが一番早い。もっと時間があれば、 いろんなものを見てもらえるんですが、二泊三日、土曜日に来て月曜に帰るというスケジュールで来られるので、その限られた時間の中で何をやるかというと、 そういうことでもして、一人でも多く日本の経営決定権を持っている人に、今のブラジルを認識させるということが一番肝要かなと思っております。

それから、これはまだ貿易部会の動きとは申し上げられませんが、元鉱山動力大臣で、リオドセの社長でもあられたエリゼール・バチスタさんなどを、商工会議所の昼食会にお招きできないか考えています。

ご存知の様に同氏は、日本とのつながりも深く、現在の日本のプレゼンスの低さには新聞等でも警鐘を鳴らされています。

同氏のお話しをうかがう中でわれわれにとりヒントになる様なものが見つかればと考えています。

 

日伯合同委会議に期待

司会:ど うもありがとうございました。日伯経済合同委員会もまだ最終決定ではないんですけれども、せっかく多数幹部の方が日本から経団連ベースで来られるんですか ら、そういう意味でエンブラエル、あのジェット機の会社ですね。これを見てもらおうかというようなことも考えておるようです。それからもう一方、矢島さん いかがですか?

 

課税基準を明確に―伯側へ
制度融資、なぜ8割―日本側へ

矢島:化学部会でいろいろ意見が出されましたが、議論を集約しますと二つにまとめられるかと思います。対伯投資を伸張させるためにブラジル側で行われるべきことと、日本側で行われるべきこと。

まずブラジル側で行われることの一つの例ですが、会員企業の1社がある資本財を輸入した。まあ実際は日本製の製造機械、もっと具体的に言えば合成樹脂の 押し出し機というのがあるんですが、これを輸入した際、正確に言えば、同一使用の機械はブラジルでは作られていないにも関らず、通関時に税関から国内同等 品であるとみなされて、国内産品保護の見地から、現行18%の輸入税を課せられたと。さらにこの上にICMSとかその他諸掛が発生し、最終金額はことのほ か高いものについてしまった。本来ならブラジルで同等品がないという判断があれば、輸入税5%で済んだはずなのに、この税格差が非常に大きく、こういう一 つの判断が大きく振れるということに対して改善を望みたい、こういう指摘がありました。

それから2番目は日本側で行って欲しい、行わ れるべきことということですが、日本政府による有利な融資制度という点について触れています。対伯投資を支援する日本政府による制度金融としては JBIC(日本国際協力銀行)の融資がございますけれども、先ほどの機械輸入に際してこの融資を利用したところ、本体価格の2割を自動的にカットされて、 最高8割までしか融資してくれない。理由はそれがルールだったということで、なぜそういうルールになっているのか、その根拠、仕組み等山浦さんご存知でし たら教えて頂きたいのですけれども実際にこの機械到着までに必要な金額は、本体価格はもとより諸税のほか、運賃諸々がかかり、機械すえつけ費などローカル コストを含めたものになるわけでして、この融資自体確かに金利も低くて魅力的ですが、設備投資に際し当座必要な金額すべてを融資してくれるような改善を図 れないものかと、こういった指摘がありました。

まあ以上一つの例でブラジル側と日本側の改善要望が出て来ましたけれども、化学部会の意見としてはこの2点に集約されます。

 

EJ汚職で政治危機  だがFHC弾劾あるまい

司会:どうもありがとうございました。せっかくご出席いただいていますので、今まで発言されていない方のご意見を是非お伺いしたいとおもいますが、赤嶺さんいかがですか?

赤嶺:先 ほど、田中 信先生から説明がありましたように、いま大変な政治危機といいますか、エドワルド・ジョルジ大統領府の前総務局長、過去2回にわたってFHC 大統領を当選させた噂の選挙参謀を中心とする非常に規模の大きくて、コロル弾劾の時よりも事件の深層部がもっとドロドロしていると評される不正汚職事件が 発生しております。

それがFHC大統領にも飛び火しそうだということで、場合によっては92年のコロル元大統領の政治弾劾以来の大変 な政治危機になるのではないか、というようなコメントの仕方もなされていますが、私自身はまずコロル元大統領の政治弾劾の二の舞にはなりにくい、とこの様 な見方をしています。その根拠の一つは、先ほど田中先生が指摘なされたと思いますが、国会でFHC大統領に対する支持がコロルの時と比べてまるっきり異な る。現大統領に対する各政党からの、特に与党陣営からの支持が圧倒的に強いこと、こういうような政治的背景が指摘できると考えます。言うまでもなく、大統 領に対する弾劾裁判は、国会議員の手で行われ、国会における支持の有無が非常に重要なカギになるからです。ただ、そのために大統領が各政党にまた“借り” をつくって手足を縛られるような形になったり、あるいは政権そのものの透明度とか外国の市場関係者が絶えず注目している情報の開示性といったこの政権にか ねてから与えられてきた宿題みたいなものがまた解決されずに、そのまま先送りにされるのではないか、という点を非常に心配しております。皆様のお話を承わ りながら、気づいた点であります。以上です。

 

FHCで伯は変わった ―これ私の認識不足でしょうか―

司会:どうもありがとうございました。どなたかご意見なりございましたらどうぞ。

名取:私 には本社を説得するのに重要な論点のひとつとして、まず、政治が変わったと。カルドーゾ大統領は以前の大統領とは違う、それから政治的にも色んな面で変 わっているというのを一つのポイントにしているんですが。田中先生ご持論の認識不足というのはちょっとうがった見方すぎるんではないかと思うんですけど も。

私は、はっきりカルドーゾ大統領はそれまでの、特に民政以降のコロル、サルネイ、それからその後のイタマール、この三人の大統領とは全く違うという認識を持っているんですが。

田中:さきほど余りしゃべり過ぎました(笑い)。どなたかほかの方、赤嶺さんに答えて頂いたほうがいいんじゃないでしょうか。

赤嶺:いろんなことがFHC大統領になってから変わった、質的にもよくなった点が多い。とにかくそういう気がします。いま申し上げられるのは大体そのあたりだとおもいます。

 

トヨタ、ホンダの後続に期待

司会:何 人かの方から、ブラジルコスト、乃至はブラジルの税制とか、色々とブラジルの問題に関してご発言がありましたが、では、東南アジアにそれはないのか、とい うと、そんな事はない。ベトナムコストはあるし、インドネシアコストだってある。向こうの政治が安定しているわけではないですし。その辺ですが、では、な ぜ東南アジアに行って、ブラジルに来ないかですが、まあ、色々と理由はあるんですけれども、要は“みんなが行っているから”というところがあると思うんで すね。そういう意味で私は、特にこの近年、トヨタさん、ホンダさんが出てこられ、それを追っかけて部品メーカーの方とか、出て来られ、何社かが来出すと、 “みんなで行こうか”ということになるんじゃないかという期待があるんですけれど。

 

日本経済界はもっと大きな観点を持って欲しい=

名取:先 ほど述べました方々のアテンドでですね、ハハーンと思ったんですが、その平生釟三郎という人物は昔、文部大臣をつとめたり、甲南大学をつくったりした人物 なんですが、彼はその、あの時代に、堂々と演説しているわけですね。「大東亜共栄圏」というけれども、これは間違いだと。大東亜共栄圏というのは、日本の 国をちょっとアジアに広げただけだと。そうじゃなくて、日本のこれから生きる道は、欧米が既に植民地を押さえていて、日本とドイツは植民地がありませんけ れども、それを東南アジアに求めるのではなくて、全世界の自由交易の中で、必要な貿易相手国とその関係を深める中で、今後の時代を乗り切って行かなければ いかんと、非常に大きな視野と透徹した考え方を持っているわけですね。それで彼はブラジルに来て、ブラジルとの貿易拡大に奔走したわけです。いま日本の経 済界の方がどうもその大東亜共栄圏の“焼き直し”の思想の中で、やっぱりその親近性を非常にその東南アジアだけに持っているんじゃないかなと。もっと、そ の本当に必要な世界中を相手にして必要な貿易を行うという、大きな観点を持って頂きたいと少し生意気かも知れませんが思っているわけです。

 

複雑、不安定な税制が投資計画立案はばむ

司会:それでは、出石さんお願いします。

出石:税 制がやっぱり複雑で、それがブラジル国中にも色んな地域に恩典があって、どれが得かという、損得勘定でやっていたときに、それがいつ変わるかわからないの で、これが、一年後、二年後に確実にこちらが有利だと結論が出せないということから、常にやはり先を少しずつ修正できるような形でしか投資の計画が立てら れないというのが、一つの問題だというように思います。

司会:引き続き行きます。高橋さん。

 

やはり上層部の人々に来て、見て貰うこと

高橋:私 ども丸紅不動産は、ビル賃貸業を主たる業務としており、日系企業以外も合せ、多くの業種とある意味で比較的浅く広くお付き合いさせていただいております が、全般に業績はまずまずといった企業が多いようです。そんな中で、日系企業の対伯新規進出・投資の話が多く聞こえて来ないのは寂しい限りで、それは当社 の不動産投資についても同様です。

日本側はブラジルに対し、インフレ・為替リスクが大きい、政治経済が不安定、距離も遠くよくわからない国である、等々のマイナスイメージを強く持っており、この懐疑心は、当地から日本に対して送る様々なデータだけではなかなか解消できないのが現実だと思います。

その意味では、先程能澤が申し上げました通り、ここブラジルについては、日本サイドの上層部にとにかくまず来てもらい、当地の状況を肌で感じてもらうしか無いと思います。

その結果、事業投資の可能性を認識したならば、ある程度トップダウンによる指示系統にて、担当者レベルの当地派遣など、実施に向けた徹底的な検討を行う べきだと思います。当社が設立された70年代とは異なり、現在はブラジルに対する日本側の投資リスクの意識は非常に強いのが現実で、新規投資実現に向けて は、かなり緻密なワークが不可欠なのは当然ですが、そのきっかけとなるのは、やはり企業上層部のブラジルに対する認識改革であると思います。

司会:う ちもそうなんですけれども、20年以上も前にビルに投資しているんですよね。そんなに詳しく分かっていたとは思えないんですけども、やってんですよね (笑)。なんで今やんないかと、私自身も非常に不思議なんですけれど。まあ、日本に元気がなくなったいう気がするんですけども、藤下さんは?

 

マスコミ動かしムードづくりを

藤下:例 えば他社が進出し始めて、負けてはいけないとか、あるいは最近東南アジアがいいようだとか、中国がいいみたいだとか、そういうムードが先行してその後で決 定されることが多いのではないかと思います。それでは、なぜブラジルにそういうムードが盛り上がらないのかというと、一言でいうと「なじみがない、よく分 からない」という事ではないかと思います。

従って、まずムードを盛り上げ、理解を深めてもらうのが先決だと思いますので、さきほど能 澤さんがおっしゃったように、日本から経営幹部に来てもらい、実際のブラジルを見てもらい、「ブラジルは大きなマーケットだ!」とそういう認識をもって貰 うこと、これが一番大事だと思います。

さらにマスコミを動かすのも一案と思いますし、あるいはこういう事が、出来るかどうか分かりませんけど、外務省、経団連等にそういうブームづくりとかムードづくりをお願いするのも一案だと思います。

司会:名案だと思うんですけれども、小島総領事お願いします。

 

まず対伯悪印象、それと古いイメージの払拭を

小島総領事:今日はオブザーバーという立場での出席なので、会頭の貞方さんに先に発言して頂いてから、後からにしましょうか、それともいま発言してよろしいですか?

司会:はい、お願いします。

小島総領事:日本経済は最近、回復過程にありますが、相変わらず投資はアジアには出かけているけれど、ブラジルには一向に出て来ないという状況です。

ここ数年のブラジルの実情からいうと、カルドーゾ政権の評価については、色々あろうかと思いますけれども、いずれにしても経済政策の面では自由化、インフレ抑制等、抜本的に改善されました。

ハイパーインフレがなくなったということだけをとっても、これは画期的な改善で、評価すべきだと思います。

それにしても外国投資、とくにアメリカ、ヨーロッパの投資がここ数年で一挙に流れ込んで来ているという状況に対して、日本にはまだ80年代のモラトリア ム、ハイパーインフレ、あそこの国はよく分からない、危ないというマイナスのイメージがある。他方、90年代に入ってから、特にカルドーゾ政権以降の、レ アル計画の下での経済運営の成功という実像とのギャップが非常に大きいなあ、というふうに感じております。

 

対伯投資4位から10位台への下落は問題

そこで、政府としてなにをやるべきか、ですが、勿論、国としての戦略と企業の戦略というのは、常に一致するのではなくて、企業はまさに個別の企業が儲か るかどうか。そこで判断されているわけですけれども、あのかなりの部分一致しているんじゃないかなと思い国全体としてみた場合、日本は従来だいたい4位ぐ らいの対伯投資額で推移してきたのに、ここ1~2年、10位以下になるというのは、ブラジル、南米市場の重要性を考えた場合、この数字が中長期的に続くよ うだと、国の戦略として大きな誤りであるというふうに言わざるを得ないと思います。

もちろん、投資額というのは、個々の企業の投資の 累計ですから、それぞれの企業の事業によるわけですが、トータルで見て日本のこれだけの低迷というのは問題であろうと考えます。何をすべきかを私なりに考 えているのですが、ひとつはブラジルに対する悪いイメージと実像のギャップを埋めるということです。

能澤さんほか、何人かの方がおっしゃっていますけど、日本の民間及び政府の要人、意思決定の中枢にある人にブラジルの実状を見て貰うということが一番重要なのかと思います。

そういう意味で11月の日伯経済合同委員会の際に来られる方々、これは鈴木大使が日本に帰ったさいにも、経団連の幹部に申し上げて実現しそうだと思いますけれども、民間のハイレベルの方々に会議の前後に見て頂くという事は非常にいい機会だと思います。

エンブラエルというのも非常にショック療法としてはいいのじゃないでしょうか。

日本の要人で、ブラジルの航空機会社が、世界の航空機メーカーのトップに立っている、というような状況を知らない人が殆どじゃないかと思います。

 

政府は制度金融面、戦略上の円借を柔軟に

それ以外に政府側に何が出来るかというと、さきほど制度金融の話が出ました。

確かに直接的にお金の話になれば、制度金融の話、それからJBICの円借、旧輸銀ローンの活用が考えられます。

円借についてはブラジルは中進国なので、環境中心とか、東北部中心となっていますけれども、もう少し柔軟に戦略上必要であれば例えばインフラ整備、とく に奥地から太平洋側に出たいというアクセスの問題がよく言われていますが、日本の企業進出にも益する円借を活用できないかと思います。

ただ、仕込みから始めて完成するまで時間がかかります。

それから個々の色々なブラジルコストに対する対応ですね。政府側に言うことについては、どう個別にあるいは商工会議所などを通してということで、遠慮なく言って頂きたいとそれをブラジル側につなぐ事が重要かなと思います。

最後に、これはまた時間のかかる話しなんですが、アジアと比較した場合、官民共に人脈が薄いという印象です。イメージとして、やはり日本の要人にブラジ ルって言った時に、具体的な顔が浮かばない。5年、10年先を見越して、われわれとしても人脈づくりに努力しなければいけないと思います。

司会:どうもありがとうございました。貞方さんに最後お願いする前に赤嶺さんからどうしても発言したいことがあればどうぞ。

赤嶺:さ きほど能澤貿易部会長の話を聞いて、提案があるんですけれども、本日は貞方会頭もおいでになっておりますし、先ほどかつてリオ・ドセの社長をつとめ、元鉱 動相のエリゼウ・バチスタさんを招いてお話を聞きたいということだったんですが、非常にそれにはもろ手を上げて賛成したい考えです。で願わくばわれわれ一 般会員が聞ける会議所の昼食会の席上でお話を承りたいと思います。エリゼウ・バチスタさん、あるいはボトランチン・グループのエルミリオ・デ・モラエスさ ん、そういうふうに対伯、日本の対伯投資について一家言を持っている方を招いて、その情熱だとか、使命感みたいなものにぜひ触れさせていただきたいと考え ております。

能澤:エルミリオ・デ・モラエスさんにもお願いをしているんですけれども、彼の方は 全然アポも取れないんですね。いまの総領事のお話じゃないんですけれども、人脈がちょっと弱いなあ、と。それからエリゼウさんのほうは来週中の水曜日か、 木曜日かアポが取れましたので、行ってお願いはしてみます。で、ただ伺ってみますと、過去にお願いをしたんだけど、なかなか受けて頂けていないということ のようなので、今回わかりませんけれどもお願いだけはしてきます。

司会:どうもありがとうございました。それでは最後に貞方会頭に総括をお願いします。

2000年下期業種別部会長懇談会-会頭総括

県人会の重要性を認識 ― 兵庫県ミッション迎えての感想

貞方会頭:ヤ クルトの貞方でございます。5月に就任いたしまして、2週間、日本に行って、こちらに帰ってきましたら1カ月間の病気療養がありまして、やっと仕事をはじ めたところでございます。皆様には大変ご迷惑をおかけしました。本日はこちらの左側の席の方は、のど自慢でいったら全部当選ということで、こちらの右側が 萩野さんを除いた方々が不当選ということだったんですけれども、まあそれほど10分以上にわたってレポートを発表して頂いたということは非常にありがたい ことです。

対伯投資について、先ほど何人もの方から発表がありましたけれども、私が一番重要だなあと思っておりますのはですね、ブラ ジルに県人会というのがたくさんございますね。まあ、県人会というのは当初は同じ県から出た連中が昔は顔も知らなかったのに、ブラジルに来て、同じ県だっ たということで、一緒にやっている集まりだろうと思ったんです。ところがこの前パラナ、パラナと兵庫県がこれは姉妹縁組みの間柄になっておりましてね。パ ラナは昔からアントニオ上野下院議員が政治的に非常に強くてリーダーになってくれていたんだろうと思いますけれども、最近では谷口クリチーバ市長がござい ます。

それでパラナ訪問と言うことで兵庫県からこの前93名の方々がブラジルに視察にいらっしゃった。  

この 前、商工会議所で土曜日だったんですけれども、私、ジエトロの水吉さん、川重の佐原さん、それから伊東事務局長と4人がアテンドしました。貝原知事もなか なか鋭い質問をされておりましたけれども、まあこういう交流関係で人的な交流を高めていくと。例えば播磨化成さんみたいにブラジルに工場を持ってくると。 それからUCCコーヒーですかね。まあ、川重さんはあそこに鉄道を通すかどうかは検討しているのかも知れませんけれど、そういうもの、やっぱり日本の人に ブラジルを知ってもらうということが私は一番大事じゃないかと思うんですよ。これにはあまりお金もかかりません。そういう雰囲気づくりのために商工会議所 も少し手伝っていったらいいんじゃないかという感じがいたしております。時間も大変すぎましたのでこれぐらいで私は失礼します。ありがとうございました。

司会:ありがとうございました。どうも皆さん、今日はお忙しいところありがとうございました。これで部会長懇談会を終わります。

終わり

2000年下期業種別部会長懇談会-運輸サービス部会

● 国内航空業界再編の兆し
● 落ち込みにようやく歯止めかかる旅行業界
● 困った税関スト、サボタージュ
● 下期に期待のリテール、広告、ホテル業界
● クーリエ微増、貨物業界落ち込む
● インターネット関係好調

 

業績は回復、改善  ― 後退、低下なはし ―

萩野:部会長である、日本航空の加藤支店長の代わりに報告いたします。

運輸サービス部会は、メンバーの都合によって、今回は部会を開催せず、アンケート用紙をお配りし、それを回収して各社の報告を求めるということを致し ました。前にも申し上げましたけど、同一部会とはいえ、各種の業種が含まれているので、部会としての総括は難しいのですが、敢えてアンケート結果をまとめ てみますと、これまで皆さんご発表があった通り、前年同期あるいは前年の下期に比べて業績が「回復した、あるいは改善をみたと」いう回答が大半で、「後退 した乃至は落ち込みました」、というような回答は皆無でした。

下期の全般的な見通しは、やはりブラジルの景気については、急速な回復 はのぞめないとしながらも悲観的な見方はなくて現状維持乃至、一部の業界では上期より良くなるんじゃないか、という回答を頂きました。すなわち景気の天気 予報ふうに言えば、「曇りないし薄曇り」といったところでしょうか。もちろん、基準をどこにおくかというのは問題ですけれども、そういう回答のようでし た。

各業界について個別に申し上げますと、最初に航空業界。アメリカの景気が大変好調でこれに支えられてアメリカとブラジル間の航空 需要、これは極めて旺盛だったと言われています。しかしながら、優位に立ちますアメリカの航空会社の大幅な値引き競争があり、ブラジルの航空会社はたいへ ん苦しい上期となりました。


日本向け好転、国内路線は横ばいか低下 ― 航空

国際線の需要で日本の航空会社の関連します日本向けにしましては、出稼ぎの需要がピックアップいたしまして好調な需要で、前年比10%ほどにプラスに転 じたと報告されております。それに対しまして、ブラジルの航空会社は昨年のレアル切り下げの影響でドル建て債務が経営を圧迫し、そのため航空会社同士の提 携話、あるいは業界の再編成というのが急速に現実味を帯びてきた、というのが上期の動きでございます。

下期につきましては、相変わら ずブラジルの航空会社の経営はきびしそうで、これがためにブラジル企業とそれ以外の外国の航空会社との間で再編問題が具体化するのではないか、とりわけ ヴァリグとかTAMの2社については、何らかの具体的な方向性が打ち出されるのではないか、というふうに思われているようです。日本線の需要につきまして は引続き人の往来が順調でして、ある程度の収入増が期待されます。

航空業界と並びまして旅行業界ですが、97年以降、需要が毎年落ち 込んでいたのがほぼ歯止めがかかり、若干回復の手応えを感じたという上期だったと報告されています。一番の要因は先ほど出ました、出稼ぎが日本の景気回復 にともなって上向きに転じたということのようです。また、日本航空あるいはヴァリグが日本行きのサービスを強化したことが、勿論どちらがはじめか分かりま せんが、需要を押し上げる要因にもなったというふうにレポートされております。売上高は旅行業界としては前年同期比20%以上のプラスになりました。出稼 ぎのこちらから行く需要は伸びたんですが、逆に日本からの人の動きは予想以上には伸びず、前年を少し上回る程度だったようです。

今度 はブラジル人が国内で旅行する、国内のブラジル人の旅行需要ですけれども、やはりレアル切り下げの影響で経済の低迷を反映してか、対前年並みあるいはそれ を割り込む結果となりました。ブラジル人についてだけ言いますと、94年当時の水準まで落ち込んでいるというのが現状のようです。

下 期は日本向けの出稼ぎ需要がもう少し加速するだろう、あるいは維持されるだろうというふうに報告されております。また、ブラジルに進出しております日本企 業が日本向けに、あの何ていいますか、インセンティヴ、商売上のインセンティヴの目的で旅行を計画しているプランがいくつかあるようで、これも日本向け需 要を押し上げる背景になると思います。

 

定期航路は堅調な荷動き―海運
他方、自動車専用船は全く低迷

次に海運業界。定期船の分野ではアジアからの南米東岸への航路、それからアジアからマナウス、あるいは北米からマナウス、またはブラジルからオーストラ リア、ニュージーランドこういった定期航路につきましては、輸出入ともに堅調な荷動きで運賃水準も安定的に推移しております。しかしながら、ブラジル各港 で発生した税関の長い間にわたるストライキ、サボタージュ、これにより一部輸出貨物の通関に遅れが出る、または輸入貨物についてカスタムクリアランスが出 来ないで、港に長期間滞留させるという事態が発生しまして、船会社側にはコンテナのインベントリーに大きな支障となっております。

完成車、主として日本からの自動車の完成車輸入は全く低迷いたしまして、採算割れとなっております。

下期につきましても、定期船分野では季節的な要因での荷動き低下というのは予想されますが、堅調な荷動きが推移するものと思われます。

貨物業界は、通関とかあるいは引っ越し荷物といったものを扱っておりますが、引越し荷物は日本からの赴任者、日系進出企業の赴任者、駐在員の動きが減っ たために需要は減少しました。そのほか航空貨物の通関とか、あるいは梱包作業というものにつきましては輸入が増加したものの、輸出は減少傾向だったという 報告がございます。下期についてはこの傾向がそのまま継続されるという見通しになっております。

それからクーリエー業界、主として航 空を利用したクーリエーのサービスですけれども、輸出、輸入はともに微増、2%から3%前年に比べて増加しております。またクーリエーを利用しましたエ ア・カーゴにつきましては対前年比で14%の増。数字から判断して一応大きく底を脱したように見えるという上期でございます。

下期は現状のトレンドが続くとは思うのですが、ただメルコスールの中でいえばアルゼンチンの外貨収支が悪化して為替に影響が出るようであれば、若干クーリエーの近隣諸国との動きも含めまして、業績になんらかの影響があるかもしれないとレポートされております。

 

インターネット関連好調

それから通信業界、これはKDD、NTTといったインターネット関連の業界でございますけれども、ブラジル国内でインターネットのフリーアクセスの業社 が出たことから市場が刺激されて利用者が急増しました。ただし、国際回線や国内の接続料金がまだ高額なため事業としての収益は充分に得られなかった。一 方、企業の中でのネットワーク、ホームページをつくったりという事業が順調に伸びたことにより、前年比15%程度売上を伸ばした企業もございました。下期 はインターネットについては利用人口が一定限度に達しますために急激な伸びは期待できませんが、上期同様インターネット関連のビジネスが伸びるのではない かと思われております。

リテール、これは豊田通商の自動車販売のみでございます。販売台数は業界全体で対前年15%ぐらいの販売台数 をマークしております。社会保障基金ですがPISの支払方法にからんだ一部自動車価格の販売店での混乱がありましたが、かえってこれが転嫁されて公平な対 応が可能になるというふうに思われます。下期には景気回復といいますか、全体で140万から150万台の予定を30%ぐらい上回る販売高になるのではない かと思われております。

ホテル業界、広告業界まとめて申し上げますと、下期は選挙等のイベント及びそれに関連するイベントも増えますので、人の動き、あるいは広告の活発化というのが期待されております。

各業種についての上期、下期の予想は以上のとおりです。    

それから「対伯投資を伸張させるためには何が必要か」というのは、今まで皆さんがご発表になったのと同じ様なアイテムがレポートされておりますので割愛させていただきます。以上です。

2000年下期業種別部会長懇談会-運輸サービス部会(レポート)

航空業界

上期の回顧

依然として好調なアメリカの景気に支えられ、伯米間の航空需要は極めて旺盛であった。しかし、絶対的優位にある米国企業の大幅な値引き競争に引きずられ、伯企業は大変苦しい上期となった。

国際線では、景気の上向き傾向にある日本向け出稼ぎ需要が唯一好調であり、名古屋を中心とする当該需要は、対前年を10%ほど上回るところとなった。

伯企業に対しては、昨年のレアル切り下げ措置による、ドル建て債務の支払が大きく重荷となってのしかかり、経営を圧迫する要因となった。そのため提携をはじめ、業界の再編成が現実味を帯び、国内航空会社間で水面下の交渉が始まったようである。

下期の展望

景気の急速な回復は見込まれず、伯企業の経営は引き続き苦しい状況となるものと推測される。そのため外国キャリアも含めた業界の再編問題が具体化し、伯国航空業界はRG,TAMの2社を中心に何らかの方向性を打ち出すものと思われる。

需要としては、引き続き日本線の好況が持続され、この方面はある程度の収入増が期待されるものの、その他の路線については国内線も含め、依然として苦しい状況になるだろう。

 

旅行業界

上期の回顧

97年度以降継続していた低落傾向に歯止めがかかり、若干回復への手応えを感じた上期であった。その要因には日本の景気回復傾向に伴う出稼ぎ需要が増加に転じたことがあげられる。またこれに伴い、JALおよびRGが日本線を増強したことが需要を押し上げる要因になったものと考えられ、売上高は前年比 22%増となった。

出稼ぎは伸びたものの、日本からのインバウンド需要はブラジル発見500 年等のイベントにもかかわらず低調に終わり、前年並みに留まった。

一方、ブラジル人の外国旅行は、レアルの切り下げに伴い激減し、対前年を大幅に割り込む結果となった。即ち、ここ5年にわたり二ケタの伸びを見せていたものが一気に6割減となり、94年当時の水準をも下回る176 万人となった。

ブラジル人が訪問する国別では、例年第一位にあった米国が対前年を52%下回った他、第2位のアルゼンチンで88%、同3位のドイツで74%と、それぞれ大幅に落ち込んだ。

下期の展望

日本向け出稼ぎ需要の増加傾向は、このまま維持されるものと思われる。またブラジルに進出する日本企業の、日本向けインセンティブ旅行が何本か計画されており、これが日本向け需要を押し上げる要因となるだろう。

ブラジル人の海外旅行需要は、例年下期の主流となる欧州向けが順調に推移すれば、94―95年の水準である260万人まで回復すると思われる。

 

海運業界

上期の回顧

<定期船部門>
アジア/南米東岸航路、アジア・北米/マナウス航路、大洋州/南米航路のいずれも輸出入ともに荷動きが堅調であり、運賃水準も安定的に推移した。

しかしながら、ブラジルの長期にわたる税関ストにより、一部輸出貨物の通関遅れ、輸入貨物の港頭地区滞留等が発生し、コンテナインベントリーに大きな支障を生じた。

<自動車専用船部門>
自動車輸入は依然として回復せず、南米東岸向け運航は大幅な採算割れとなった。

下期の展望

定期船部門は年度後半に荷動きが低下するものの、引き続き堅調なものとなると考えられる。自動車専用船については上期と同様の状態が継続されるものと思われる。

 

貨物業界

上期の回顧

<引越し貨物>
査証の発行が極めて厳しく、日本からの赴任者が減ったため、引越し貨物の動きも減少するところとなった。

<航空貨物・海運貨物>
昨年のレアル切り下げ以来同様の傾向であるが、輸入が増加したものの、輸出は厳しく減少傾向となった。

下期の展望

上期の傾向がそのまま継続されるものと思われる。このように需要の少ない中、業績を左右するのは、グローバリゼーションの流れにいかに乗り、ITを駆使した作業形態を作り上げることが出来るかという業務改革のスピードであると考える。業界としては、ITをベースとした作業改革を推し進めつつ、顧客の満足を得るべく事前の書類準備等に工夫を凝らし、下期を明るいものとすべく努力いたしたい。

 

クーリエ業界

上期の回顧

<輸入>
対前年比3%増

<輸出>
対前年比2%増

<エアカーゴ>
対前年比14%増
数字から判断すると、一応底を脱したように思える上期であった。

下期の展望

アルゼンチンの外貨収支が悪化し、為替に影響が出るような事態になれば、一旦底を脱したかに思える業績に悪影響を及ぼすことが考えられる。その意味から上期実績に安穏としていられない下期となるだろう。

 

通信業界

上期の回顧

インターネットのフリーアクセス業者の出現により、市場が刺激され利用者も増加したが、国際回線、国内接続料等が未だ高額であるため事業として収益を計上するには至らなかった。一方、企業内ネットワーク、あるいは電子商取り引きを可能にするホームページ作成等の事業が好調に伸び、対前年比15%程売上げを伸ばした企業もあった。

下期の展望

上期に伸ばしたインターネット人口も一定の数まで到達し、下期にはその動きも止まるものと思われる。今後は通信インフラの整備、パソコンの低価格化、回線費用の低下がない限り、インターネット接続のみに依存する企業の存続は難しくなるだろう。

従って下期も企業内ネットワーク、電子商取り引き、サーバーホスティング等を通じてインターネット関連ビジネスを伸ばして行くことが望まれる。また WAPサービス(セルラーからインターネットに接続して各種情報を収集したり、メールのやり取りを行う事が出来るサービス)をブラジル内で初めて導入するところから、この分野での成長が今後期待される。

リテール業界(自動車販売)

上期の回顧

販売台数は業界全体で対前年を15%上回る実績となった。

当初、一定年数を経過した中古車の買い替えを促進すると言う「中古自動車買い替えプログラム」によって販売が増加するとの期待があったが、当該プログラムがアルコール車のみとなったため、業界側ではこれを打ち切ると言う事態が発生した。

PIS(社会保障基金)の支払い方法が6月より変更になり、それまでこれを収めていなかった多くのディーラーが支払いを求められるところとなった。これにより業界は一時混乱したものの、それぞれのディーラーが納税後の同一状態で価格競争に臨めるようになり、公平な対応が可能になると期待される。

下期の展望

景気回復が確実との期待があり、年間140―150万台、即ち計画30%増の販売が見込まれている。

 

ホテル業界

上期の回顧

当初期待された「ブラジル発見500年」イベントに関わる集客は、北伯で数多く見られたものの、サンパウロではそれ程の成果は挙がらなかった。しかしアニェンビーで行われた各種イベントに関する集客が予想よりも多く、サンパウロの4つ、あるいは5つ星クラスの客室占有率は対前年を28%上回るところとなった。

下期の展望

経済動向に左右されるが、回復基調にあると言われるブラジル経済のもとで、対前年同期比20%の客室占有率を期待したい。下期には「ブラジル発見 500年」イベントがサンパウロ周辺でも開催されるため、これによる集客増を見込んでいる。また地方自治体の選挙もあるところから、人の往来が多くなり、これが客室占有率の向上に寄与するものと考える。

 

広告・宣伝業界

上期の回顧

TV放映、アウトドアー、販促プロモーションについては昨年並みの成果を得る事が出来たが、新聞、雑誌等の印刷媒体は期待通りの結果を得る事が出来なかった。

下期の展望

本年は選挙の年にあたるため、これに関する宣伝が多くなるものと期待される。以上

「いま、対伯投資を伸張させるために何が必要か」

―運輸・サービス部会―

  • 複雑かつ手間のかかる輸出入手続きの簡素化
    ブラジルコスト増加の一因となっている
  • 規制緩和
    不透明な裏金、商慣習を生む温床となっている。
  • 治安対策強化
    生活の基盤が脅かされれば対伯進出の意欲が減退する
  • 為替の安定化、自由化
    南米唯一の為替管理国家か?
  • ブラジル関連情報(含む観光情報)の発信
    対外的に、ブラジル情報が極端に少なく在外公館がこの役目をになっているものの、対伯進出のために必要な精度の高い情報を得るのが困難である。
  • ビザ発給制限の緩和
    対伯投資の伸長には人(人材)の 往来が不可欠。

以上

2016年上期の業種別部会長シンポジウム

2016年上期の業種別部会長シンポジウム

テーマ:「2015年の回顧と2016年の展望」
副題: 『景気低迷期だから見えてくるビジネス機会 ~経済回復期はいつか?日系企業はどう備えるか?~』

Pdf金融部会    原 敬一 部会長
Pdf貿易部会    寺本 将人 副部会長
Pdf機械金属部会    渡辺 健司 部会長 
Pdf自動車部会    溝口 イサオ 部会長
Pdfコンサルタント部会     西口 阿弥 部会長
Pdf化学品部会     中村 博 部会長    
Pdf電気電子部会    千野 浩毅 部会長  
Pdf食品部会     藤江 太郎 部会長   
Pdf運輸サービス部会     細谷 浩司 部会長
Pdf建設不動産部会     藤井 健 部会長 
Pdf繊維部会     浅川 哲 部会長 

Pdf全プレゼンテーション掲載

2000年上期業種別部会長懇談会-貿易部会

  • 貿易黒字達成できず
  • 対メルコスールは初の黒字
  • 対米および対日輸出は
  • 2000年は輸出増傾向
  • 今年は20~30億㌦の貿易黒字か

 

99年は約12億㌦の貿易赤字

能澤:丸紅の能澤でございます。三菱商事の今宮前社長が、急遽帰国ということで、その後を受けまして、私が残りの任期1年間、やらせていただくことになりましたので、よろしくお願いいたします。

貿易部会といたしまして、99年の回顧と2000年の見通しを発表させていただきます。まず99年の回顧ですけれども、総括というか概観で申し上げます と、一言で言いますと、去年の年初に立てた期待と結果を比べますと、がっかりしたといいますか、相当番狂わせな結果だったと思います。

先ほどから出ていますIMFとの合意事項、約束事項のなかで、唯一大幅に目標達成できなかったのが貿易収支ですけども、当初、IMFと110億ドルの黒 字ということで、合意したわけですが、輸出が伸び悩んで、期の半ばでこれを37億に低下させ、さらに、年末にこれはもう、黒字は無理だ、赤字だということ で、赤字の10億ドルということに修正したわけですけれども、結果的には赤字の10億も達成できずマイナスの12億ドルと、いうことに終わったわけでござ います。簡単に数字だけ申し上げますと、99年の最終数字は輸出につきましては480億ドル、これは、98年度対比マイナスの6.1パーセントでございま す。

99年輸入は14.8%減

一方、輸入のほうは、492億ドル、これは同じく98年度対比14.8パーセント減ということで、輸出・輸入とも落ちているわけですけれども、輸入の方 がかなり大きく落ち込んだがために、貿易収支としては98年の65億9000万ドルの赤字から99年は、11億9000万ドル、まあ約12億ドルの赤字と 云うことで、貿易収支の面では、何らかの貢献は出来たであろうと言えます。ただし、年初より立てた輸出の伸びが思ったように伸びなかったということで、そ の原因の究明でございますけども、これは皆さん色々研究なされていると思います。間違いなく言えることは、ブラジルがメインに輸出しております一次産品、 農作物ですとか、鉱産物の国際相場が、世界的に低迷をしたということで、後で品目別にご報告したいと思いますけれども、世界の市況低迷による影響をもろに 受けてしまった。

それから、切り下げ直後に為替がこれほど下がれば輸出がそれだけ伸びるだろうと言われていたわけですけども、ご存知 の通り、貿易というのは為替が下がったから翌日からすぐ伸びるというものではなく、いわゆるJカーブ効果といいますか、まあ6カ月から10カ月くらい、結 果が出るまでに日数がかかるわけで、その間輸出が伸びなかった。

それから、加えていうならば、貿易金融そのものが、ブラジルの金融危 機ということで、なかなか銀行が原資を調達できずに貿易方面に原資がまわって来なかった。ということで、企業が価格に合意をしても、為替調達の手立てが出 来なくて、なかなか契約の成立までは至らなかった。

大豆、鉄鋼品、輸送 車両軒並み輸出低調

ただ、去年、99年の貿易で一つ特筆すべきことは、メルコスルとの貿易収支がメルコスルと貿易を始めた95年以来初めて黒字になった。従来のメルコスル との貿易は輸出・輸入とも大体90億前後あるんですけれども、これはやはり、輸出の方が68億ドル、輸入が同じく67億ドルと、落ち込んではいるんですけ れども、5896万ドルと、約6000万ドル、わずかですけれども、初めて、メルコスル貿易でブラジルが黒字を記録したという年でございます。ちなみに、 メルコスルの貿易の内訳ですけれども、これは、アルゼンチンが伝統的に全体の80パーセント、のこりの10パーセントをパラグアイとウルグアイで分かち合 ているという事です。80パーセントを占めるアルゼンチンとの貿易が去年は26パーセント落ち込んでいるということが、メルコスル全体を低下させた事の主 因だと思います。

それから輸出では、先ほど申し上げましたように、価格減により大きくダメージを受けた品目といたしまして、大豆の輸 出、これが国際価格が20.6パーセント、対前年比落ちております。それから鉄鋼製品、半製品、両方含めまして、14.07パーセント、対前年比落ちてい る。ということで、価格減によって、結果的に貿易金額が落ちてしまったという事でございます。

それから極端な例ですけれども、コー ヒー豆、これは、全体的には対前年比3割以上ふえたが、国際市況が落ちたために、全体としては落ちてしまったという事でございます。それから一方、数量そ のものが、落ちてしまったものでは、輸送車両、靴・皮革、オレンジジュース等がございます。

それから、価格は落ちたんだけどもそれを 上回る数量増で、全体的には対前年比、プラスに転じたよという物のなかで、パルプ、肉、電器製品等がございます。特に肉について顕著で、価格は26.7 パーセント対前年比落ちておるが、数量が26パーセント増えて、全体的にはプラスに転じております。

それから、昨年度の比較で数量・価格ともに上昇したというものでは、石油製品、木材、木材製品と、これらは対前年比増えております。

米向け輸出目立つ航空機

地域別の分析では、先ほど申し上げましたように、メルコスル市場については対前年比90億ドル台だったものが、67億ドルと大幅に落ち込んでおる。唯一、去年ブラジルが輸出を伸ばした地域としては、米国が8.8パーセントと伸びております。

それから、アジアの景気回復に伴ないまして、アジアだけが1.8パーセントで、残りの地域全部、対前年比輸出金額はマイナスだと思います。ちなみに、日本向けは98年度対比、1.1パーセントのマイナスということでございます。

では、アメリカ向けに何が8.8パーセント伸ばしたんだという中身でございますけれども、見ますところあの、エンブラエルの航空機で、これが相当金額的に去年、出ております。

日本向けには1.1パーセント落ちたわけですけれども、具体的に伸びた品物としましては、鶏肉ですね、これが大きく、31.3パーセント伸びております。二番目がアルミニウムで27パーセント。

一方、輸出で一番大きく落ち込んだものの筆頭は、コーヒー豆、これは、価格が落ちて、対前年比、19パーセント落ちている。それからあと、タバコの葉、鉄鉱石、これもやはり価格の減で、12パーセント台の落ち込みを記録しております。

輸入は各分野で減少

輸入の方に目を転じますと、各分野とも大幅に減少しております。特に、耐久消費財の自動車、の減少が大きく目につきます。落ち込んだ品物としましては、 完成品、完成車ですね、これが対前年比56パーセントの減、食料が34パーセントの減、事務機器が20パーセントの減、それから輸送用機器が12パーセン トの減ということで、あと特筆すべきものは.原油です。これは、数量的には21パーセント、前年比減っているんですが、国際価格が高騰したために、全体と して、ほぼ前年と同じ金額になったということでございます。

地域別に見まして、ブラジルが輸入した地域では、世界全部、対前年比赤 でございます。ただ一つの例外は、アフリカだけが18.1パーセント輸入増となっております。なぜアフリカだけが去年増だったかと申しますと、原油の高騰 に伴い、アルジェリアとナイジェリアからの原油の輸入が増えたということで、アフリカだけが18.1パーセント。で、ちなみに日本からの輸入は昨年は 22.9パーセントという大幅な落ち込みとなっております。

日本からは送受信機、自動車部品輸入も増

日本からの輸入で一番落ちたものは何かといいますと、CKDを含む乗用車、これが、61.9パーセント落ちております。それから、次に通信機器、これが やはり50パーセント落ちております。それから、伸びたものとしましては中身が分からないんですが、送受信機というものが約40パーセント弱伸びておりま す。それからあと伸びた物としましては、自動車用の部品、これは、ホンダさん、トヨタさんなど生産を始めておられますので、その関連かなと思います。以上 が輸入でございます。

部会の新年の予想

それから、2000年の予想は、部会の方でも色々と議論をいたしましてですね、米国の株価ですとか金利動向、中国、アルゼンチンの通貨変動、という外的 な要因が非常に大きな影響を与えるだろうということなんですけども、これらが大きく振れない、という前提で、輸出は、昨年より増加傾向、これは間違いない だろうと。それから、輸入についても原油の値上がりや経済成長がかなりしっかりしたものになってきているので、増えるであろうと。

ただ、総論としては、輸入の伸びよりも、輸出の方がおそらくは、かなり大きく伸びるのではないだろうかと。で、その背景としましては、経済成長率、これ私どもの部会では、年2から4パーセントくらいは行くのではないだろうかな、と見ております。

それから、インフレはやや低目ではございますけれども、先ほど申し上げた外的な影響がないということで、7から8パーセントくらいで終わるかなと。それ から為替は、1.8レアル前後で推移して、年末頃に2レアルくらいにいくのかなと見ております。一方、金利は現在、19でございますけれども、年末には 16パーセントくらいはいくかな、と見ておりまして、国際収支についての我々の見方はですね、さきほど田中先生からもFGVの数字が出ましたけれども、そ れの一番低い数字が28億ドルだったと思いますけれども、それより低く、20から30億ドル程度の貿易収支に終わるのではないだろうかなと、いうことで意 見をまとめました。以上でございます。

司会:ありがとうございます。能澤部会長のご説明によれ ば、数字から出た現象としては、日本の景気が99年以来やっぱり、よくなってきたんではないかなあと。たとえば、オレンジジュースは全体的に輸出数量が 減ったにも拘わらず、日本では、増えてる。そういうことと、それから、日本からの輸入が激減しているということは、円高になってきたかなと、いうことが言 えると思います。貿易収支の黒字に関しましては、コンサルタント部会から、大体28億から40億ドルと、いうのに対して貿易部会では高目にみて、 20~30億ドル、せいぜいいっても30で、20億いけばいいほうだろうという見方をされております。

それから、乗用車が大幅に落ち 込んでいるという車については宇治さんから後で、説明していただけると思いますけれども。今まで、コンサルタント部会、金融部会、それから貿易部会と、大 体産業の全体を見ている部会長さんから、回顧と見通しがありましたけれども、他の部会の方、それから今日ご出席の各委員の方、自分の見方はこうなんだけれ ども、とか、それから、こういう見方は出来ないものだろうかとか、いうことがあれば、全体的な見方ということで、この、3人の方にいろいろ質問をしていた だければと思いますけれども。赤嶺さん、いかがですか。

赤嶺:急に指名されて、どぎまぎしてます が・・。まあ、昨年に比べてですね、西暦2000年の年初は、大変落ち着いた情勢のなかで推移してるせいか、岡田総務委員長を始め、今までにご発言なさっ た田中コンサルタント部会長、山浦金融部会長の発言内容も、レアルの切り下げで不透明感の強かった昨年に比べて、非常にすっきりして分かりやすく、今のと ころ、疑問を残さないで来ております。これからの、各部会長さんのご発言に注目したいというふうに思います。以上です。

矢島:今の能澤さんのお話でですね、昨年はコーヒーが3割増えたと。
能澤:はい。

矢島:おっしゃられましたが、私の部会に農薬メーカーさんがおられまして、農薬を通じましてコーヒーのお話があったんですが、昨年はコーヒーが不作だった、ということですが。

能澤:それは生産の方じゃないかと思うんですけど。

矢島:生産のほうです。

能澤:輸出は量としては3割強の32.28パーセント増えてますね。数量で増えて単価で27.69パーセント落ちています。

矢島:あー、分かりました。

司会:では、農薬の方の売れ行きが悪かったから、コーヒーは実際にはあまりとれていなかったというご指摘ですね。
矢島:はい、確かに農薬が減っているわけです。

後藤:減っています。ドルベースでね。数量ベースでも減っていますね。

 

2000年上期業種別部会長懇談会-貿易部会(レポート)

部会長 : 能澤 信一

1.1999年の回顧

総 括

1999年の貿易実績       (単位:百万㌦)

  1999年 1998年 増減
輸出 48,011 51,140 D 3129
輸入 49,210 57,730 D 8520
貿易収支 D 1199 D 6590 5,391

年初の為替切り下げにより政府は110億㌦の黒字目標を掲げたが、結果的には約12億ドルの赤字となった。輸入は国内の景気不振による需要減と切り下げによる価格上昇により前年比で85億㌦減少したが、増加の期待された輸出が逆に2年連続の対前年比減少となったためである。

輸出が減少した原因は一次産品を始め主要輸出品目の価格の低下および、為替切り下げによる輸出増が期待された工業製品が直ちに海外市場で販売増とならなかったことによる(リード・タイムの必要性や、国内市場向けが優先されるなど)。

但し、貿易収支は98年の赤字幅66億㌦に比べれば54億㌦改善し国際収支改善に貢献した。また為替切り下げの効果として、メルコスルとの貿易収支は95年のメルコスル発足以来始めて黒字となった。

メルコスルとの貿易収支の推移                             (単位:10億㌦)

輸出 輸入 貿易収支
対 メルコスル 対 アルゼンチン 対 メルコスル 対 アルゼンチン 対 メルコスル 対 アルゼンチン
1997 9.04 6.77 9.61 8.11 D 0.57 D 1.34
1998 8.88 6.75 9.42 8.03 D 0.54 D 1.28
1999 6.77 5.36 6.71 5.81 0.06 D 0.45

SECEX貸料

 

輸 出

主要品目では、計数の発表されている1―11月累計で前年同期と比較すると、大豆・鉄鋼製品/半製品・化学品など多くの品目が価格減により前年比減少し、コーヒー豆は3割以上の数量増にも拘わらず大幅な価格減により微減となるなど、一次産品を中心に全体として価格低下による減少が目立った。数量効果で減少したのは輸送車両・靴皮革・オレンジジュースなどである。パルプ・肉類・電機製品/機器類などでは価格は減少したが、これを上回る数量増により前年比増加した。石油製品・木材・木材製品は価格・数量共に増加した。

地域別では総じて減少しており、特に工業製品の主要輸出先であるメルコスル市場向けがアルゼンチンの経済不振を主因として△26%と大幅に落ち込んだ。米国向けのみが同国の好況を反映して約9%増加し、アジア向けもアジア危機からの回復に伴い若干ながら増加した。

1999年の輸出構成(1―12月)  (単位:百万㌦)

1999年 1998年 増減率 %
一次産品 11,828 12,977 D  8.9
製品 35,311 37,507 D  5.9
半製品 7,982 8,120 D  1.7
完成品 27,329 29,387 D     7
その他 872 656 32.9
合 計 48,011 51,140 D 6.1

出所: SISCOMEX

輸出の地域別内訳(1999年1―12月)        (単位:百万㌦)

地 域

1999年

1998年

増減率 %

構成率 %

1999

1998

EU

13,736

14,748

△    6.9

28.6

28.8

ALADI

10,494

13,327

△ 21.3

21.9

26.1

メルコスル

6,778

8,878

△ 23.7

14.1

17.4

その他ALADI

3,716

4,449

△ 16.5

7.7

8.7

米国

10,849

9,872

9.9

22.6

19.3

アジア

5,732

5,616

2.1

11.9

11

日本

2,193

2,205

△  0.5

4.6

4.3

東欧

1,175

1,163

△   1

2.4

2.3

アフリカ

1,336

1,651

△ 19.1

2.8

3.2

中近東

1,496

1,614

△  7.3

3.1

3.2

合 計

48,011

51,140

△  6.1

100

100

注:各ブロック総額と合計額の差額説明はページ末尾。

輸 入

輸入は各分野共に減少したが、耐久消費財の減少が特に大きい。国内景気の不振および為替切り下げによる価格上昇により、買い控えおよび国内品へのシフトによるものである。

主要品目では、自動車(△56%)・食品(△34%)事務機器(△20%)・輸送用機器(△12%)などが大きく減少した。原油は数量が21%減少したが価格が27%上昇したことにより相殺された。

地域別では、殆ど全ての地域からの輸入が減少し、特にメルコスル市場からの輸入の減少率が大きい。アルゼンチンからの自動車などの輸入減少が主因である。例外はアフリカからの増加で、アルジェリア・ナイジェリアからの原油輸入増加によるものである。輸入の地域別内訳は下記。

1999年の輸入構成(1―12月実績) (単位:百万㌦)

1999年

1998年

増減率 %

資本財

13,555

16,098

△ 15.8

原料・中間財

24,042

26,813

△ 10.3

消費財

7,356

10,712

△ 31.3

非耐久消費財

4,174

5,470

△ 23.7

耐久消費財

3,182

5,242

△ 39.3

燃料

4,257

4,107

3.70

49,210

57,730

△ 14.8

 

2.2000年の貿易収支予想

総 括

昨年12月初に発表されたIMFとの第4次見直しによれば、貿易収支は99年の赤字△10億㌦から2000年は50億㌦の貿易黒字目標となっている。

2000年は、下記材料から輸出・輸入共に増加すると見込まれるが、農産品の生産量が今後の天候により予想外に減産することがなければ輸出の増加が輸入の増加を上回ると見込まれ、少なくとも約20―30億㌦程度の貿易黒字は期待されよう。

但し、米国の株価・金利動向、中国・アルゼンチンの通貨切り下げなどの大きな波乱要因がないことが前提である。

輸入の地域別内訳(1999年1―12月)(単位:百万㌦)

地 域

1999年

1998年

増減率 %

構成率 %

1999

1998

EU

14,987

16,847

△ 11.0

30.5

29.2

ALADI

9,444

12,357

△ 23.6

19.2

21.4

メルコスル

6,719

9,424

△ 28.7

13.7

16.3

その他ALADI

2,725

2,933

△ 7.1

5.5

5.1

米国

11,869

13,695

△ 13.3

24.1

23.7

アジア

6,475

7,885

△ 17.9

13.2

13.7

日本

2,576

3,277

△ 21.4

5.2

5.7

東欧

704

808

△ 12.9

1.4

1.4

アフリカ

2,222

1,819

22.2

4.5

3.2

中近東

1,078

1,245

△ 13.4

2.2

2.2

合 計

49,210

57,730

△ 14.8

100.0

100.0

注:各ブロック総額と合計額の差額説明はページの最後の2表。

 

輸 出

下記の理由で昨年より増加が見込まれる。

1)ブラジルの主要輸出先市場での需要増が見込まれること。

● 米国は、引き続き経済成長の継続が見込まれる。
● アジアを中心として欧州でも経済回復が堅調であり、日本も回復の兆しが出ていること。

2)一次産品価格は昨年に比べて上昇が見込まれる。

3)工業製品も昨年1月の為替切り下げ効果による競争力強化を踏まえた海外市場への販売が次第に進むと見られること。

日本向け輸出(1999年1-12月)       (単位:百万㌦)

1999年

1998年

増減率 %

鉄鉱石

423

503

△ 15.77

アルミニウム

357

266

33.93

コーヒー豆

182

226

△19.24

パルプ

157

142

10.45

鶏肉

157

125

25.16

合金鉄

115

107

7.41

オレンジジュース

75

70

6.99

大豆

64

71

△10.01

タバコ葉

61

70

△12.67

大豆粕

52

50

△5.31

その他

544

570

△4.55

合 計

2,192

2,204

△0.56

SECEX貸料

日本からの輸入(1999年1-12月)                (単位:百万㌦)

1999年

1998年

増減率 %

送受信器

224

164

36.03

チップ・電子部品

139

159

△12.23

自動車部品

128

111

15.10

機械部品

87

103

△16.00

乗用車(CKDを含む)

123

220

△44.05

内燃エンジン・部品

84

90

△6.41

精密化学品

76

88

△13.33

検査機器類

61

63

△2.19

モーター発電機・変圧器

45

52

△14.58

通信機器・部品

43

88

△50.93

その他

1560

2133

△26.85

合 計

2,575

3,277

△21.41

SECEX貸料

輸 入

昨年に比べてブラジルの経済回復および石油価格の値上がりにより、増加が見込まれる。

 

背景となるマクロ経済見通し

● 経済成長率: 2―4%。金利の一層の低下により昨年末からの経済回復の進展が見込まれる。
● インフレ:7―8%程度。
● 為替:インフレが安定するとみられることからR$1.8前後で推進し、年末でもR$2.00程度までにとどまると見られる。
● 金利:インフレが上昇しないこと、国際収支面で昨年より楽な運営が期待されることから海外からの資金導入のための金利高目維持の圧力が少ないことから、昨年9月以降のSELIC金利率19%から、更に引き下げが見込まれる(但し一定の内外金利差を設けておく必要から引き下げには限度があり、16%程度までとみられている)。

主要品目別輸出実績(1―12月)                              ドル/t

主要品目

99年

98年

増減率

数量(t)

平均価格

単位

百万㌦

百万㌦

(%)

増減(%)

増減(%)

砂糖

1,911

1,943

-1.68

44.54

-31.98

カカオ

107

152

-29.54

-12.3

-19.65

コーヒー豆

2,230

2,332

-4.37

27.69

-25.11

インスタントコーヒー

211

246

-14.08

16.95

-26.54

肉類

1,907

1,575

21.07

29.29

-6.36

靴/革

2,009

2,125

-5.44

-3.55

-1.96

石油製品

1,118

865

29.22

17.75

9.74

煙草/葉

961

1,559

-38.34

-8.69

-32.48

木材/木材製品

1,391

1,127

23.43

6.08

16.35

機械/機器類

2,863

3,112

-8.02

-4.12

-4.06

輸送車両

7,119

8,203

-13.22

-22.64

12.18

電気製品/機器類

1,813

1,712

5.87

11.1

-4.71

鉄鉱石

2,746

3,253

-15.59

-6.93

-9.3

ボーキサイト

115

122

-5.38

4.55

-9.5

マンガン鉱石

26

52

-50

-53.52

7.56

紙/パルプ

2,144

1,979

8.33

10.38

-1.85

化学製品

3,450

3,657

-5.65

9.32

13.7

鉄鋼・製鉄半製品

5,056

5,422

-6.76

9.43

-14.79

繊維製品

1,010

1,113

-9.26

0.1

-9.35

大 豆

3,733

4,761

-21.6

-1.52

-20.39

オレンジジュース

1,235

1,262

-2.16

-4.87

2.84

その他

4,622

4,568

1.182

合計

48,011

51,140

-6.12

-0.7

SECEX資料

主要品目別輸入実績(1―12月)      ドル/t

主要品目

99年

98年

増減率

数量(t)

平均価格

単位

百万㌦

百万㌦

(%)

増減(%)

増減(%)

原 油

2,169

1,964

10.41

-17.13

33.23

送受信機 / 機器類

1,757

2,034

-13.61

-16.28

3.18

自動車/トラクター用部品

1,423

1,558

-8.66

-3.19

-5.65

人/獣用医薬品

1,310

1,060

23.57

-30.98

79.03

乗用車(含むCKD)

1,213

2,676

-54.65

-53.76

-1.94

ナフサ

1,115

931

19.72

1.65

17.78

チップ/電子部品

1,059

866

22.26

-9.09

34.49

精密化学品

1,002

1,111

-9.78

-6.91

-3.08

モーター発電機、変圧器

952

809

17.65

9.06

7.87

内燃エンジン

937

1,134

-17.39

-19.37

2.46

小 麦

832

813

2.24

7.75

-5.12

通信機器、部品

864

828

4.32

14.08

-8.56

情報処理機器類

825

974

15.24

-26.2

14.84

検査機器類

764

889

-14.13

-25.34

15.02

燃料油

691

637

8.5

0.67

7.77

窒素化合物

557

601

-7.32

2.19

-9.31

ジェットエンジン

520

405

28.38

7.09

19.88

石 炭

528

633

-16.49

25.55

-33.49

航空機、部品

520

405

28.38

7.09

19.88

ベアリング、関連部品

501

692

-27.52

-36.92

14.89

ポンプ、コンプレッサー

466

620

-24.86

-30.89

8.72

電気制御機器

443

473

-6.29

-4.78

-1.59

貨物車両

448

865

-48.15

-46.6

-2.89

航空機

343

473

-27.48

-29.42

2.74

無機、有機化合物

391

399

-1.95

13.24

-13.24

その他

27,580

33,879

-18.59

総合計

49,210

57,729

-14.76

-6.23

 

SECEX資料

説 明

注: 上記「輸出の地域別内訳(1999年1―12月)」の輸出の表は中米・カリブ、カナダ、オセアニア諸 国向け輸出及び約7億㌦に達する航空機、船舶用物資含まず。

上記「輸入の地域別内訳(1999年1―12月)」の輸入の表にはカナダ(約10億㌦)中米、カリブ、 オセアニア諸国よりの輸入含まず(商工開発省報道部解説)。

2000年上期業種別部会長懇談会-電気電子部会

  • 家電製品は昨年需要半減。大手量販店倒産たたる
  • 今後DVDが目玉商品か
  • 携帯電話は今年5割増期待
  • プロバイダーは競争激化

 

TVメーカー国際競争力つき輸出めざす

江口:それでは、電気電子部会の99年の回顧と2000年の展望についてご報告させていただきます。

電気電子部会は4つの部会から構成されています。一つめが家電および耐久消費財、2つめが部品、3つめが通信・電力・産業、4つめが精密事務機器輸入販 売と、この4つの分会から構成されております。それぞれの分会につきまして、99年の回顧と2000年の展望について御報告いたします。

まず第一分会の家電・および耐久資材ですが、99年始め通貨の大幅切り下げがありまして、輸入商品、輸入部材のコストが急騰しましたので、このコスト アップ分を、販売価格に転嫁しました。その結果、購買力が相対的に減ってしまったと。ということで、需要が激減しました。数字で申し上げますと、需要は 98年比台数ベースでTVが63%、ビデオが55%、オーディオが85%、電子レンジが73%減りました。カラーTVにつきましては、96年850万台の 需要がありましたが、99年度は、先ほど矢島さんが400万弱と申し上げたはずですが、380万台。ビデオデッキは、96年度が240万台が99年では 110万台。半分以上も需要が減ってしまった、という非常に惨たんたる結果になったようです。

この生産台数が減ったということで稼働 力も下がり、これでまた、収益性も一段と下がった。さらに、大手販売店のアラプアンだとか、マッピンなどの倒産で不良債権を抱えてしまって、特に海外から 資金を調達しているメーカーは、この通貨切り下げで非常に大きな打撃を受けたということで大変な1年でした。

しかし一方では、この厳 しい価格競争と、それから通貨の切り下げでブラジルのこういった製品の国際競争力が非常につきまして、アメリカは世界で1番カラーTVの激戦地域なんです が、ICMS、この税金を除けば、ほぼアメリカの市場価格と匹敵するところまで下がりました。これからは輸出を目指そうということです。この分会のアン ケートでは99年の販売実績は98年比55%と非常に大幅に減っています。

セルラー電話今年1,200万台生産予定

2000年の展望のほうですが、需要は99年に底打ちをして2000年は緩やかに回復するだろうと、ということで購買力は大きくは改善されないと予測し ております。せいぜいGDPの伸びの4%程度の伸びではないかという予測です。ただ期待できる商品としてはDVDというのがありまして、アメリカでハード の値段が下がって、ソフトも充実して参りましたのでこれからブラジルでもビデオデッキに代わってこれが大きく伸びるんではないかなと予測をしております。 それから携帯電話ですが99年度は800万台生産して2000年は1200万台生産されるだろうという予測になっております。唯一これが明るい材料になっ ております。

2000年度の売り上げ予測が99年度比約14%増ということです。続きまして第2分会の部品のほうです。99年の回顧 としては為替の切り下げでスタートして年初はインフレ・高金利・不況と、暗い見通しでスタートしましたが、その後の政府の見事な金融政策・情報通信分野の 活況・それから必死の拡販努力・リストラが功を奏しまして、概ね年初の予想を上回る結果となりました。特に情報通信に顧客を持つ部品各社の売上は2ケタ以 上、中には2.5倍の伸びを示したというところがあります。

先ほど申し上げました家電・オーディオビデオ向けの部品を中心としていた 産業の方は、低迷から前年を大きく割ってしまったと、明暗が大きく分かれた部会でした。2000年の展望の方ですが、先ほどの第一分会と同様オーディオ・ ビデオも99年が底でこれからは緩やかに回復するだろうと予測しております。

ただ心配材料としては、ブラジルが国外からのインパクト に非常に弱いという事と、もう一つは携帯電話が800万台から1200万台の伸び5割増というところで各部品メーカーが、これらの部品の供給についていけ るかどうか、というところが非常に大きな問題になっております。2000年の販売予測は、99 年に比べて約12%くらい伸びると予測しております。

民営化後の通信新規発注あるも価格競争激化

第3分会の通信・電力産業ですが、99年の回顧としては電話関係の企業は民営化後の新しいオペレーターが投資計画、あるいは調達メーカーの選定に非常に 遅れてしまいまして、新規の発注が99年の第3四半期、あるいは第4四半期になってからということ、さらにまた、この調達メーカーに入り込もうということ で新規メーカーも加わり、価格競争が非常に激化してしまいまして売上が大きく落ちました。電話関係の業種にとっては非常に厳しい1年に終ったということで す。電話関係以外ではほとんどの分野で第一四半期通貨の切り下げの影響を受けましたが、それから以後だんだん回復して参りまして、レアルベースの売上では 前年比の売上を確保することが出来たということです。

それからコストの上昇分について価格転嫁が出来るところと出来ないところでその 分かれ目が出て、業績にも大きな差がついております。第3分会のアンケートでは販売実績は99年比92%ということで前年を割っております。2000年の 展望の方ですが、まあ為替・金利が比較的安定して推移するだろうと見られておりまして、オペレーターの調達マップも決まって、電話関係を含めて今後は顕著 な需要が期待できると予測しております。それを含めまして2000年の売上は、99年比約19%の伸びと予測をしております。

精密事務機器昨年並み売り上げ予想

第4分会のほうです。精密事務機輸入販売ですが、やはりこの業界でも通貨の切り下げで輸入品、それから部品共にコストアップになって、値上げを価格転嫁 しましたが、幸いなことにブラジルで最大手のゼロックス社が値上げを強行しましたので、価格転嫁が非常にスムーズに行えました。その後も徐々に需要も回復 してきましたので、ドルベースで98年並の売上をできたということでまずまずの年になったということです。

2000年の展望として は、やはり事務機器分野では為替・インフレを含め景気がこのままであれば2000年の売上が、99年並みというふうに予測しております。これは昨今リスト ラ流行りで需要がそれほど伸びて来ないという予測です。しかし商品ではレーザープリンタだとかデジタル複写機と、こういった高付加価値の製品が出て参りま すので若干は伸びるだろうというふうな期待をしております。
インターネットの分野がこの分会に入っておりますのであわせて報告いたしますと、イン ターネットサービスは顧客が増えて競争が激しくなってきましたので、お客は増えたものの業績は予想をかなり下回ってしまいました。2000年も最近ブラジ ルの大手銀行がインターネットの無料接続を始めたということで、ブラジル国内のプロバイダーにとっては非常に脅威になっています。今年は単純にインター ネットのアクセスをするだけのプロバイダーというのは段々淘汰されていって、より付加価値を付けたプロバイダーになっていかなければ生き残れないのではな いかというふうに予測をしております。以上です。

司会:どうもありがとうございました。電子部品を除いては非常に苦しかったということでございますね。日立の出石さん何か、ご指摘とかありませんか?。

国産化率高めたい

出石:今、 江口さん言われた通りでして、私どもは業務用の空調機が主体なので、ちょっと分野としては特殊なんですがご多聞に漏れず、例の為替の切り下げの後しばらく 為替とか金利が大きく振れていた時期は非常に受注が落ち込みました。ただ年の後半にきて注文ベースが増えてきまして、最終的には物量ベースでは98年を業 界全体として上回ったというところです。

需要としてはあるんですけれども、先ほどの江口さんのご説明で価格転嫁が上手くいったところ と上手くいかなかったところとある中で、うちは価格転嫁が上手くいきませんで、その意味で収益はかなり落としたという状況です。受注があるので直接員の方 ではリストラはやってないんですけども、間接員の方はかなりリストラをやりまして、それと国産化をやって今年に期待するというのがうちの状況です。

司会:どうもありがとうございました。それでは引き続きまして建設不動産部会、林部会長お願いします。

林:ご紹介頂きました戸田建設の林でございます。それでは建設不動産部会の発表をさせて頂きます。当部会は建設・設備関連会社が9社、不動産関連会社が5社の計14社で構成されております。最近のブラジル建設業界の主な話題からお話をさせて頂きたいと思います。

 

2000年上期業種別部会長懇談会-電気電子部会(レポート)

部会長 : 江口 信彦

1999年の回顧と2000年の展望

電気電子部会は幅広い業種で構成されています。そのため部会の中を4つの分会に分けています。

各分会の分類は次の通りです。( )内は分会長。

第一分会 「家電および耐久消費財」
(パナソニック・ド・ブラジル 喜多川雅彦)
第二分会 「部品」
(TDK ド ブラジル 鈴木雅博)
第三分会 「通信・電力・産業
(Industrias Hitachi 出石峯敏)
第四分会 「精密・事務機器・輸入販売」 
(ミノルタ・コピアドーラ・ド・アマゾナス 北野孝明)

本レポートは各分会の回顧と展望を報告します。

1.第一分会「家電及び耐久消費財」

(1)99年の回顧

99年年初の通貨の大幅切り下げで輸入商品や部材が急騰し、このコスト吸収のために販売価格を是正した。この結果、購買力を相対的に低下させて需要が激減した。商品別の需要は98年比でTV:63%、VCR:55%、オーディオ:85%、電子レンジ:73%であった。

カラーテレビ、VCRは96年のピークに比べてそれぞれ56%減、59%減になった。

加えて稼動損も重なり収益性も一段と悪化した。さらに大手販売店(アラプアン、マッピン)の倒産でメーカーは大きな不良債権を抱え、海外から資金調達しているメーカーは通貨切り下げで大きな打撃を受けた。

しかし、他方、厳しい価格競争とブラジルの国際競争力が一挙につき、世界最激3.第三分会「通信・電力・産業」

第一分会のアンケート結果では99年の販売

 

2000年上期業種別部会長懇談会

主題 ’99年回顧と2000年展望

当所総務委員会(岡田委員長)主催の「部会長懇談会」は2月1日正午から3時間にわたって行われ、主題の回顧と展望に副題の委員会、部会今後のあり方について熱のこもった報告、質疑応答、討議が活発に行われた。

 

出席者

会頭 三好幸彦 (ブラジル東京三菱銀行)
司会:総務委員会 委員長 岡田茂男 (ブラジル三井物産)
コンサルタント部会 部会長 田中信 (リベルコンビジネスM&A)
金融部会 部会長 山浦秀雄 (日本興業銀行サンパウロ事務所)
貿易部会 部会長 能澤信一 (丸紅ブラジル)
化学部会 部会長 矢島章 (ブラジル出光ケミカルズ)
機械金属部会 部会長 宇治嘉造 (ブラジルトヨタ自動車)
運輸サービス部会 副部会長 萩野敏久 (大阪商船三井船舶)
建設不動産部会 部会長 林 恒清 (ブラジル戸田建設)
電気電子部会 部会長 江口信彦 (NEC・ド・ブラジル)
食品部会 部会長 上原清助 (日清味の素食品)
繊維部会 副部会長 室元明 (ラニフィシヨ・クラシキ・ド・ブラジル)
副委員長 後藤芳信、 赤嶺尚由
委員 出石峯敏、 渡辺英明
在サンパウロ総領事館 小島総領事、渡辺領事、玉川領事

 

副題「委員会・業種別部会の今後のあり方」

三好会頭講評:

● 国産化を念頭におく必要あり
● 日本勢は技術面の優位性を発揮せよ

 

部会長懇談会

コンサルタント部会

金融部会

貿易部会

化学部会

機械金属部会

繊維部会

食品部会

電気電子部会

建設不動産部会

運輸サービス部会

会頭講評

部会活性化案

レポート-コンサルタント部会

レポート-金融部会

レポート-貿易部会

レポート-化学部会

レポート-機械金属部会

レポート-繊維部会

レポート-食品部会

レポート-電気電子部会

レポート-建設不動産部会

レポート-運輸サービス部会

資料室の文献紹介