(ZOOM)山田彰 前在ブラジル日本国大使講演会開催

日本ブラジル中央協会並びにラテンアメリカ協会共催のオンライン講演会は、2022年1月20日午後10時から深夜まで280人が参加して開催、ゲストに山田彰 前在ブラジル日本国大使を迎え、テーマ「4年3か月の駐ブラジル大使を終えて」について講演した。進行役は日本ブラジル中央協会専務理事の宮田次郎事務局長が務めた。

山田彰 前在ブラジル日本国大使は、ブラジル在勤4年3か月の出来事として、2017年8月 メキシコからブラジルに大使として着任。9月 テメル大統領へ信任状奉呈。 2018年2月 ボルソナーロ下院議員の訪日。3月 皇太子殿下の世界水フォーラム御出席(ブラジリア)。7月 真子内親王殿下のブラジル御訪問(5州14都市)。10月 大統領選挙第1回投票。同月 大統領選挙第2回投票。ボルソナーロ候補当選。

2019年1月 新政権発足。1月 世界経済フォーラム(ダボス)における日伯首脳会談。6月 G20大阪サミット:大統領訪日、日伯首脳会談。6~7月 コパ・アメリカ:日本代表参加、ブラジル優勝。9月 アマゾン移住90周年式典。10月 即位の礼:大統領訪日、日伯首脳会談。10月 年金改革の成立。11月 幻のAPECチリ・サミット。

2020年3月 ブラジルにおけるコロナ危機の始まり。(3月11日 ブラジリア最後の大規模レセプション)。–  邦人の帰国支援オペレーション。 — オンライン外交・広報の追求。2021年1月 茂木外務大臣のブラジル訪問。3月 保健相、外相他一連の閣僚の交替。 5~10月 新型コロナウイルスに関する議会調査委員会。7月 東京五輪開幕。9月 副大統領と東アマゾン(パラー州)訪問。11月 ブラジル離任について説明した。

続いて経済成長率の推移。ボルソナーロ政権支持率の推移。 2018年大統領選挙の結果及び教訓。2022年ブラジル大統領選 想定される主要候補者。2022年大統領選挙世論調査。ブラジルについてのいくつかの論点。日系社会との連携。パンデミック下の活動などについて説明した。

最後の質疑応答では、ボルソナロ大統領の再選のシナリオ。次期大統領選での有力候補名。コロナ禍で大きな影響を受けているサンパウロ市の日本人街リベルダーデの現状は。次期大統領選挙の有力候補者のコロナ対策。ボルソナロ大統領とトランプ前大統領とのコロナ対策の相違点。2022年のブラジルのGDP伸び率、金利、インフレ予想。ブラジルと日本の今後の協力体制の展望。昨年のブラジル外相の交代後の外交政策の変換。今年上半期のエレトロブラス電力公社の民営化の可能性。環境行政の動向。ブラジル人と交渉する上でのノウハウ。メルコスール全体との交渉よりもブラジルとのバイのFTAのほうが現実的ではなどが挙げられた。

(ZOOM)今年初めての法律委員会開催 

日伯法律委員会(岩尾 玄委員長)主催のオンライン月例会は、2022年1月19日午後4時から5時30分まで55人が参加して開催、司会はRafael Piccoli Mantovani (Marubeni Brasil)副委員長が務めた。
初めにGRM Advogados弁護士事務所のThiago Mancini Milanese弁護士は、テーマ「納税の機会:IRPJ、CSLL、PISおよびCOFINSの計算基準から州税のICMS税の除外」について、続いて Machado Meyer Advogados弁護士事務所のMurilo Caldeira Germiniani弁護士は、テーマ「従業員への予防接種の必要性と正当な理由による解雇の可能性」についてそれぞれ講演した。

PDF anexos:
1. “Oportunidade tributária: exclusão das subvenções estaduais (ICMS) da base de cálculo do IRPJ, da CSLL do PIS e da COFINS” 
2. “Exigência de vacinação para empregados e possibilidade de dispensa por justa causa” 

 

財務委員会会合開催

左から石川副委員長、平田事務局長、福元委員長、木阪副委員長

19日、財務委員会一行は年始挨拶を兼ね、経済指標の見通し資料を持参して事務局を訪問、午前11時から正午まで今年第一回の会合を開催した。昨今の経済状況など、中銀データや各種経済指数を用いながら、前向きな会議所活動を推進して行くために、22年度収支予算について突っ込んだ意見交換を行った。

出席者: 財務委員会から福元信義委員長(副会頭、Banco MUFG Brasil頭取)、木阪明彦副委員長(Banco MUFG Brasil副頭取)、石川裕巳副委員長(丸紅ブラジル取締役)。事務局からは平田藤義事務局長、日下野成次総務担当、上田エレーナ会計担当、久場アレッシャンドレ会計担当補佐。

(ZOOM)金融部会懇談会開催 

金融部会(讃井 慎一部会長)オンライン懇談会は、2022年1月13日午前9時から17人が参加して開催、初めに讃井部会長から2021年度下期金融部会活動報告、2022年度金融部会部会長並びに副部会長を紹介、長野 昌幸新部会長は2022年度金融部会活動方針について、3月開催予定のオンラインフォーラムでのマクロ経済、銀行業界動向並びに保険業界動向、勉強会・外部スピーカーによるセミナー、部会懇親会のそれぞれの担当旗振り役やセミナーの内容などについて意見交換を行った。

2022年度金融部会運営体制

部会長:  長野 昌幸(Mitsui Sumitomo Seguros S.A.)

副部会長: 三宅 誠一郎 (Mitsui Sumitomo Seguros S.A.)

副部会長: 弘中 真 (Banco Sumitomo Mitsui Brasileiro S.A.)

 

参加者

ブラジルみずほ銀行 讃井 慎一
ブラジルみずほ銀行 竹尾 大助
三井住友海上ブラジル 長野 昌幸
三井住友海上ブラジル 三宅 誠一郎
ブラジル三井住友銀行 南 誠
ブラジル三井住友銀行 弘中 真
ブラジル東京海上 森谷 伸晃
JBIC国際協力銀行 石川 敬之
ブラジル三菱UFJ銀行 津田 双羅
Bradesco 恒川 益毅
Sompo セグロス 岩尾 玄
大使館 津守 書記官
総領事館 渡邊 副領事
総領事館 中野 副領事
総領事館 吉田 調査員
商工会議所 平田事務局長
商工会議所 大角編集担当

 

全国工業連合会(CNI)日伯ビジネス評議会のLudmila Carvalho事務局長とオンライン会議開催

全国工業連合会(CNI)日伯ビジネス評議会(Cebraj)のLudmila Carvalho事務局長とブラジル日本商工会議所の平田藤義事務局長、日下野政次総務担当、梶原レチシアアシスタント、伊藤ルーベンス編集担当は、2022年1月6日に初めてのオンライン会議を開催、それぞれ自己紹介を行い、今後の日伯経済関係強化など多岐に亘って意見交換を行った。ブラジル全国工業連盟(CNI)並びに経団連の2021年度オンライン日伯経済合同委員会は、2021年11月9日並びに10日午前8時から10時まで開催された。
参照 https://camaradojapao.org.br/jp/2021/11/09/zoom-%e7%ac%ac24%e5%9b%9e%e3%80%8c%e6%97%a5%e4%bc%af%e7%b5%8c%e6%b8%88%e5%90%88%e5%90%8c%e5%a7%94%e5%93%a1%e4%bc%9a%e3%80%8d%e9%96%8b%e5%82%ac/

Porto do Açu港湾一行が訪問 2021年12月15日

Porto do Açu港湾国際担当のMaartje Driessensジェネラルマネージャー並びに戦略パートナー担当のThiago Pacheco氏が2021年12月15日に商工会議所を訪問、平田藤義事務局長、日下野政次担当総務及び伊藤ルーベンス編集担当が応対した。

訪問の目的は、新しいプロジェクトや日本企業とのビジネスパートナー機会について会談。鉄鋼関連を含む、日本との大きなビジネスの可能性を秘めたアルバトロスプロジェクトを紹介。 またAçu輸出加工区(ZPE)の進捗状況や2022年3月に予定されているアジアへのロードショーで日本訪問予定などを説明した。

PDF明日を創り上げるリーディングパワー

ZOOM)「日系企業にコロナ対策を聞く」ウェビナーセミナー開催 2021年12月15日

月間ピンドラーマなどに記事を提供しているフリーライターの大浦智子氏による「日系企業にコロナ対策を聞く」ウェビナーセミナーは、2021年12月15日午前9時から10時まで約70人が参加して開催、司会は部会長シンポ・フォーラム委員会の森谷伸晃委員長が務め、初めに大浦智子氏は、日本政府が支援するサンパウロ日伯援護協会の事業として、ニッケイ新聞が協力する、「海外の日系社会や在外邦人のために、新型コロナウイルスの感染防止に係る啓発や情報提供、ビジネス環境作りに役立つ情報を発信する事業」として、ニッケイ新聞の特集号のページを担当。8月から、2週間に一度、12月初めまで、全19回発行、5回分が、商工会議所会員の日本企業5社のコロナ感染対策をトピックとして取り上げた経緯を説明した。

初めにイグアスコーヒー社のコロナ感染対策では、自社独自で制作した無料配布の「コロナ感染ハンドブック」、日本では「絆」などとよく言われるように、人のぬくもりを感じることが必要で、体温や心を温めるような対策は、少しでもウイルスを遠ざけるために必要な取り組み。同社が工場のある町と連携して、地域ぐるみで感染予防に取り組むために、社員だけでなく、その家族や、町の人々にまで、気を配ってきた同社のモットーなどを説明した。

次に取材したブラジル味の素は、社員の提案で作られた高品質の自社特性の消毒用アルコールの製造で、工場のある町で、地域ぐるみでコロナ禍を乗り切っていくため、自社の食料品を含めたセスタバジカや衛生キットなどの寄付活動も活発に行っている。在宅勤務で社員が疲弊することを心配した、同社は長時間座っても体が、守られるように設計された椅子を推奨、会社が費用負担して、購入できるなどを実施している。また産業医を社内に置いて、心身に異変が起きたらすぐに診察できるような態勢などを説明した。

商社の伊藤忠ブラジル社は、 コロナでブラジルが外出自粛となった最初の4か月間は、日伯間の12時間の時差で、日本にいる社員は、社長を筆頭に深夜業務で、ブラジルの仕事をリモートで行い、「商社は人が命」という言葉通り、秋葉社長が、夜勤の社員を丁寧に労っていたことが印象的であった。今年に入っても、原則全員が在宅ワーク継続を余儀なくされており、「会社との距離感」に不安を訴えられる相談が増えたために、会社ではメンタルケアや、これまで以上にオンライン上での密なコミュニケーションに注意が払っている。オンライン生活が中心になってからは、以前から行われていた、eラーニングのマイクロスタディを、自己研鑽の更なる活用などを説明した。

三井化学様と商工会議所化学品部会のコロナ感染対策として、食品パッケージを製造・販売するスターパック社は、ブラジルでの外出自粛開始とともに、デリバリーサービスが急成長で同社の食品パッケージの売上増加。自社で製造したパッケージに、アルコール等を詰めた衛生キットを社員に配布、コロナ対策計画表作成で、工場での感染防止の活用などについて説明した。

トヨタ社内のコロナ対策では、行政のガイドラインに沿った事務職をリモートワーク、社内コミュニケーションはオンライン会議で実施。同社の優先事項として、従業員と取引先の安全、地域社会への貢献のため、寄付や慈善活動に取組、今年10月までに、事業を展開している町に、救急車に使用できる4台のハイラックス車、25トンの食糧、サンパウロ州に3万本のアルコールジェル、2万8千枚の布製マスクなどを寄付。サンパウロ州内のコロナウイルス患者に対する呼吸器をメンテナンスする、11企業の一つに選ばれていることなど大浦氏は、各取材企業の社会的貢献に感銘を受けてと説明した。

また大浦氏は、一般的には余り知られていないが、ブラジルでの難民生活を余儀なくされている特にパンデミックから、サンパウロに暮らす、中東やアフリカ、アジアなど、社会経済が不安定な国々からブラジルに来ている難民の多くが失業し、食事や住居費支払いが苦しい難民の現状を説明した。

ニッケイ新聞の深沢正雪編集長は、ニッケイ新聞は今週いっぱいで廃刊になるが、来年1月4日からブラジル日報として再出発、来週一週間は試験配信を予定。今後はブラジル社会面の更なる充実、日本側に対する意見、更なる日本企業に役立つ情報提供を説明した。

商工会議所の村田俊典会頭は、大浦氏にはブラジルで活躍する日本企業のコロナ対策を詳細に取材して素晴らしい発表をして頂き、非常に意義のあるセミナーとなった。今年は部会長シンポ・フォーラム委員会による会員企業にとって非常に有意義なセミナーが開催された。来年も会員のニーズに合う有意義なセミナー開催を予定していると説明した。

(ZOOM)第3回イノベーション研究会ウェビナーセミナー開催 2021年12月8日

イノベーション・中小企業委員会(原宏委員長)主催の第3回イノベーション研究会ウェビナーセミナーは2021年12月8日午前11時から12時まで約60人が参加して開催、司会はジェトロサンパウロ事務所の松平史寿子次長が務め、初めに原宏委員長は開催挨拶で、第1回及び第2回セミナーは英語のみであったが、今回は業務管理の観点から駐在員も理解しやすいようにポルトガル語および日本語での開催を説明した。

講師はTozziniFreire Advogados弁護士事務所のビクター・フォンセーカ弁護士、テーマは”ブラジルでのオープンイノベーションにかかる法的側面”について、ブラジルのイノベーションに関する環境、エコシステム、ベンチャーキャピタル、16社を数えるユニコーン企業、1万3,616社に達するスタートアップ企業、大手企業のスタートアップ企業への投資、オープンイノベーションの目的や特徴、スタートアップ企業への投資のキーポイント、hackathons、スタートアップ企業や革新的な起業、個人投資家による起業家への資金提供などに法的根拠が与えられるブラジルのスタートアップ法182号/2021では、投資に伴う企業の債務やガバナンスのリスク排除、エンジェル投資家によるブラジルのスタートアップ投資がこれまで以上に活発になる施策などについて説明。質疑応答では、共同技術開発でスタートアップ企業とタイアップする場合の資金面や法的側面。ブラジルのイノベーション法規制は、企業育成にとってブレーキにならないかなどが挙げられた。

PDF Open Innovation – Câmara Japonesa TozziniFreire Advogados弁護士事務所のビクター・フォンセーカ弁護士

(ZOOM)第3回SDG’sオンラインセミナー開催 2021年12月7日

環境委員会並びにコンサルタント部会共催の第3回SDG’sオンラインセミナーは、2021年12月7日御前9時から10時30分まで100人以上が参加して開催、進行役は小郷環境副委員長が務め、初めに秋山環境委員長は開催挨拶を行い、Deloitte社のAna Lia Ferro de Sousa Touso氏、Felipe Donette氏、テーマ:「SDG’s/ESG」「カーボンニュートラル」「再生可能エネルギー」「サプライチェーン・マネジメント」「人権問題」について講演、安岡正哉氏が日本語に翻訳した。

講演では初めに1980年以降のESG変遷、コンセプト、ビジネスチャンスの開発、グローバルリスクの分布図、マネージメント、消費者のESGに関する評価、今後2年間のESG対応、COP26のハイライト、カーボンクレジット取引、京都議定書、パリ協定第6条、Climate Action 100+ 、kabin社、Suzano社、MalWee社並びにVale社のCO2削減目標及びアクション、カーボンニュートラルの現状の把握、ブラジルの再生可能エネルギーの種類、比率、サードパーティ―及びサプライチェーンによるマネージメント、持続可能なサプライチェーンの構築、強制労働などなどによる人権侵害、人権尊重のガイドラインの構築、モニタリングなどについて説明した。

JICAの門屋篤典氏は、今年4月から環境負荷を減らした農業推進のために、EMBRAPAとタイアップしたプロジェクト開始などについて説明。続いてオリエンタルコンサルタンツ社の本城正行氏は、テーマ:「アマゾン荒廃地活用のためのアグロフォレスタリー推進」について、アマゾンの植生の現状、トメアスーで実施されているアグロフォレスタリーの紹介。アマゾン森林が荒廃地に至る過程および今後の考えられる方向性、2000年当時栽培面積ゼロであったが 2020年には約7万㌶の大豆畑に拡大しているパラゴミナス市の荒廃の危険性及大豆に代わる、経済性の高い営農方法( SAF )導入およびそのためのエコシステムの構築、アグロフォレストリーの拡大とパーム椰子栽培導入の可能性、CAMTA(トメアス総合農業協同組合)のパイロット事業紹介、大豆とパーム椰子単位面積当たりの生産量比較、大豆導入とパーム椰子導入の比較、JICA 「ブラジル国アグリフードチェーンにおけるイノベーション・エコシステム及び持続可能性強化のための精密・デジタル農業共創プロジェクト」委託調査実施などについて説明した。

PDF ESG _デロイト

PDF アマゾン荒廃地活用によるアグロフォレストリーパーム椰子オリエンタルコンサルタンツ社の本城正行氏

(ZOOM)アルゼンチン政治経済動向オンラインセミナー開催 2021年12月6日

部会長シンポ・フォーラム委員会(森谷伸晃委員長)主催のオンラインセミナーは、2021年12月6日午前9時30分から10時30分まで100人以上が参加して開催、進行役はジェトロサンパウロ事務所の古木勇生ディレクターが務めた。

講師のブエノスアイレス事務所の西澤裕介所長は、テーマ「アルゼンチン政治経済動向」について、初めにアルゼンチン概観では、2015年以降の主要経済指標の推移、中南米第 4 位の人口、経済規模は2位で1人当たり名目GDPを有する大国。ブエノスアイレス州に人口の45%が集中。各州の主要生産物、大豆、とうもろこしなどの穀物、大豆粒、大豆油、大豆油かすの輸出金額は世界トップクラス。豊富な天然ガス、鉱物資源、アルゼンチンの輸出入先に占めるブラジルの割合は大きい。工業国との FTA によりブラジル市場で競争力を失うことは死活問題。最大の投資国は欧州も米国も存在感。中国の投資は一見少ないにも拘らず、第三国経由の投資が多い。再エネ発電にポテンシャル、アルゼンチン経済は長期的に低迷。経済規模は縮小傾向となっている。

信用不安を生み出す構造的問題では、アルゼンチンは信用不安を生み出す負のスパイラルから抜けられずにいる。また内的要因、外的要因、歴史的要因が複雑に絡み合っている。
2015年にリベラルな政権が発足も、左派イデオロギーの政権もリベラルな政権においても経済政策においては、インフレ退治を目指す点で共通している。2002年以降、ペソの対ドルレートは一貫してペソ安で推移。国民は自国通貨ペソを信用せず。為替規制の強化で並行レートが復活。アルゼンチンは深刻な外貨不足の現状。それに起因する厳しい資本規制は企業活動の足かせ。これまでに9度のデフォルトを経験。食料、鉱物資源が豊かでバラマキ型の政策が定着していることが背景。アルゼンチンの債務残高は高水準。政府債務残高はGDP比で100%超。債務再編交渉が政権運営の足かせになっている。膨らむ政府支出。社会保障費、補助金が支出の5 割を超える。政府部門の労働者数も年々増加 。政府部門の債務が拡大する要因。歳入拡大に努めるも歳出拡大に追い付かず財政収支赤字は増加傾向。財政収支赤字を紙幣増刷により補填して、インフレの要因の一つとなっている。

アルゼンチンは内需の国。民間消費が経済の大部分を占める。金利、賃金をインフレ率が上回っており、購買力の低下により個人消費は低迷。民間消費の落ち込みと伸び悩み、輸出の落ち込みが常に経済成長を下押し。フェルナンデス政権を支えているのは低所得者層が中心。若年層の貧困率の高止まりは左派政権の未来の支持者を生み出す要因になりかねない。新型コロナウイルスの影響を受け、 2020年は零細・中小企業の数が大幅に減少。サービス部門、特に卸・小売業、運輸業、飲食・宿泊業の廃業・非正規化が目立つ。

最近の経済動向、経済見通しでは、2021年の経済動向のポイントでは、緩やかな回復続くも2020 年の落ち込みを取り戻せず。自動車生産は前年超えも半導体不足の影響。コモディティ価格の上昇が輸出額を押し上げて外貨獲得の生命線に。自動車、鉱業で新規投資の動き。インフレは10月時点で前年の水準越え。価格統制では抑制できず。労働指標は改善も非正規雇用が失業者を吸収。ペソの対ドルレートは過大評価。並行レートとの乖離は過去最大に水準。外貨準備高は枯渇寸前か。カントリーリスク上昇。

最近の政治動向では、2021年の政治動向のポイントとして、党内基盤の弱いフェルナンデス大統領は苦境に。選挙ターゲット、イデオロギーと実践主義に基づく経済政策を実施。 2021 年にようやく独自の経済政策。政権発足時から党内基盤の弱いフェルナンデス大統領。中間選挙予備選挙で大敗も本選挙で若干巻き返し。民政化以降初の上院過半数割れで与党連合は厳しい政策運営。与党連合内は休戦状態。後半戦も関係維持か。IMF との債務再編交渉が当面の優先的取り組みなどについて説明した。

質疑応答では、アルゼンチンの経済成長を促す政策。アルゼンチン政府の為替変更の可能性。2019年6月の日本とアルゼンチンの租税条約署名後の進捗状況などが挙げられた。

PDFアルゼンチン政治経済動向