南米南部(アルゼンチン・ウルグアイ)ビジネス環境視察ミッション参加報告

2019年5月
企画戦略委員会
運輸サービス部会

ブラジル日本商工会議所はジェトロと共同で4月23日から26日にかけてイノベーション分野とロジスティック分野をテーマにアルゼンチン、ウルグアイを訪問。日系企業30社36名が参加した。企業の大宗はブラジル日本商工会議所が参加を呼び掛けた在ブラジル日系企業。

今回のミッションを通じて参加者からはメルコスール域内での各国の利点把握や、人脈形成が図れ、更なるビジネス拡大の可能性が拡がったとのコメントあり。ブラジルから参加したKumonがウルグアイでの新規事業開始につき発表。訪問を機に具体的なビジネスに動くことを表明した参加者も出てきたほか、南米南部の物流拠点先としてのウルグアイの可能性を評価する声があった。ミッションアレンジの評価としては単独では訪問できない訪問先がアレンジされ非常に良く組織されたミッションとの評価が多かった。一方、全体の行程のなかで、少し自由時間があっても良いのではとの意見もあった。

なお、今回のミッションは2018年11月30日から12月1日にかけて開催されたG20サミットにあわせて安倍総理がアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイを訪問しており、そのフォローアップとしての位置づけも期待されていた。今年8月1-2日にはパラグアイミッション実施も予定している。今回のミッションの受け入れに当たっては福嶌大使および 眞銅大使を始めとする在亜、在ウルグアイ両大使館の全面的な協力により歓迎レセプション開催や要人等のアポイントが実現した。また亜投資庁およびウルグアイXXIをはじめとする各機関にも多大な協力をいただいており、重ねて感謝申し上げたい。

<アルゼンチン発先進ビジネス、中南米に展開>
アルゼンチン訪問ではマリアーノ・マイエル生産労働副大臣とファン・パブロ・トリポディ投資貿易促進庁総裁とも牛肉をはじめとする農牧産業に加えて知的財産をベースとしたデジタル貿易の成長が拡大するとの見方が示された。アルゼンチン・プライベートエクイティ、ベンチャー及びシードキャピタル協会(ARCAP)ブラボ会長はアルゼンチンのユニコーンは6社(ブラジル7社)となり景気後退で有望なスタートアップ企業が割安の状態になっている点を強調した。

視察では同国の先進事例で他国からも注目を集めているティグレ市による街中監視センターを訪問。続いてピックアップトラック生産で年14万台の生産能力を誇り、ブラジルほか中南米各国に輸出を行うアルゼンチン・トヨタ・サラテ工場を訪問した。サラテ工場は参加者の関心と訪問満足度が高く、今回のミッションの訪問先としては参加者からの質問が最も多く寄せられた。現調率や工場運営の実態などミッション参加者の業務と直接的に関連する内容も多かったこと、また、進出日系企業の取り組みということでミッション参加者の関心が強かったものと思われる。

翌日のイノベーション企業訪問では先進的なビジネスモデルが成功してユニコーン企業に成長した中南米最大の旅行会社に成長したオンライン旅行会社(OTA)であるDespegar.comや米ディズニーワールドや世界最大の産業オートメーション機器メーカーであるロックウエルをクライアントにソフトウエア開発を行うGlobant社を見学した。

Despegar.comのビジネスは世界最先端技術ではないが、最も高い教育水準や生活水準を背景に中南米域内ではアルゼンチンで先進ビジネスモデルが誕生し、その後ブラジルを含む中南米地域にビジネスが拡大した経緯が理解できた。Eコマース企業大手のMercadoLibreやティグレ市のセキュリティシステムもアルゼンチン発の先進モデルが他の中南米諸国に展開する事例と言えそうだ。一方、Globant社はアルゼンチンでのソフトウエア開発の優位性につき、インドやアジア諸国と比較してアルゼンチンの独創性、芸術性など文化的な要素が強みと語っている。この強みがユーザーにとって使って楽しいソフトウエアの開発に寄与している強調していた点が印象的だった。

<南米向け、国際市場を睨み進化続けるウルグアイフリーゾーン>
ウルグアイでは国をあげて我々ミッションの受け入れに対応。大統領こそ外遊中で対応できなかったが、同期間暫定大統領となったルシア・トポランスキー副大統領ほか、農牧水産大臣、経済財政省次官、外務次官(暫定外相)との面談が実現した。副大統領は高品質な牛肉を中心とする農業生産・輸出能力が拡大していることや養殖キャビアの開発を進めていることが紹介された。

ウルグアイのフリーゾーンは南米メルコスール域外から域内各国に物流供給基地として十分機能しているだけでなく、シェアサービスを加えた域内サービス拠点としての機能を高め、オフショアビジネスの利点を生かし世界各国へのサービス輸出拠点としても機能していることが分かった。

各フリィーゾーン入居企業は法人所得税、資産税、付加価値税など税金すべてが免除。ウルグアイ居住者駐在員の個人所得税を12%低減。これら税制優遇が政権交代に関係なく入居企業とのフリーゾーンの契約で長年保障されている点が特徴。ウルグアイでの製造活動では組合問題が進出日系企業からも指摘さているが、WTCへの質問の答えは「今後ないとは保障できないが現在のところ組合活動はみられない」との回答であった。

モンテビデオフリーポートとフリーゾーンは双方が保税状態で接続し、フリーゾーン内に設置された進出企業や受託倉庫サービス業者がメルコスール向けにオフショアビジネスを行っていた。それは物流供給のみならず、各国の事情に合わせたプラグ付け替えや外箱印刷箱詰めなどの簡易作業、さらにはフリィーゾーンへの進出企業が南米域内拠点向けに様々なサービスを行う拠点となっていた。世界からサービス企業が入居する高層ビル、ワールドトレードセンター(WTC)はサービス貿易専業のフリーゾーンとなっている。

各フリーゾーンもお互いに競争を続けながら用地拡張を続けてきている。ウルグアイの経済財政省次官のプレゼンや受託倉庫サービス業者のパンフレットは日本語を準備して非常に簡潔で分かり易いプレゼンを行った。さらに訪問先すべての代表から帰国後に丁寧なお礼状をいただき、ブラジルに出張する際にはいたブラジル日本商工会議所に必ず訪問したいと要望していた。彼らの対応はグローバルビジネスで経験を積んでいるのであろう。

<「信頼」と「安定」が同国の投資誘致キーワード>
ウルグアイ政府高官や各フリーゾーン関係者が口を揃えて最も強調していた言葉は「信頼」と「安定」であった。その言葉は今までの南米メルコスール市場の閉鎖性、不安定性を逆手にとって信頼をベースにグローバル市場とのゲートウエー機能の一翼を担い、かつ高品質な農業を育ててきた小国職ウルグアイならではの巧みな戦略を象徴する言葉に思えた。その首都モンテビオは落書きが殆どみられない美しい街並みだった。ブラジルから参加したミッションの一行は空のゲートウエーである「カラスコ国際空港」から帰国の途に着いた。

2009年に新装した同空港のデザインは「東京国際フォーラム」のデザインしたウルグアイ・モンテビデオ出身のラウルグアイ・モンテビデオ出身のファエル・ヴィニオリ氏によるもので南米唯一のフリーエアポートに指定されている。ターミナルビルの曲線が美しく、とても快適な空港であった。

南米南部(アルゼンチン・ウルグアイ)ビジネス環境視察ミッション概要

◆日程:2019年4月23日(火)~4月26日(金)
◆主催・共催
ジェトロ、ブラジル日本商工会議所、ウルグアイXXI(ウルグアイ投資輸出促進機関)
◆協力
在ウルグアイ日本国大使館、在アルゼンチン日本国大使館、アルゼンチン・投資貿易促進庁
◆参加者:30社36名
◆CSアンケート結果:上位二項目100%(最上位75.9%)
◆報道件数:42件
◆政府要人
面談:
①マリアーノ・マイエル生産労働副大臣(アルゼンチン)
②ファン・パブロ・トリポディ投資貿易促進庁総裁(アルゼンチン)
③パブロ・フェレーリ経済財政省次官(ウルグアイ)
④ルシア・トポランスキー副大統領(ウルグアイ)
⑤アリエル・ベルガミノ外務次官(ウルグアイ)
⑥エンソ・ベネッチ農牧水産大臣(ウルグアイ)

◆企業等訪問先

(1)アルゼンチン:
Tigre市街中監視センター(NECの技術を活用)、アルゼンチン・トヨタ・サラテ工場(ロジスティックとイノベーションを説明)、Despegar.com社(現地オンライン旅行大手企業)、Globant社(現地IT新興企業)、日本国大使公邸(ネットワーキングレセプション)
(2)ウルグアイ:
モンテビデオ港(フリーゾーン)、GENEXUS社(現地IT企業)、World Trade Center Montevideo(フリーゾーン)、Zonamerica(フリーゾーン)、Costa Oriental社(現地物流・倉庫企業)、Grupo RAS社(現地物流・倉庫企業)、Sabre社(米系IT企業)、Ricoh SADC社(日系企業)、日本国大使公邸(ネットワーキングレセプション)

 

1.アルゼンチン訪問先概要

(1)ビジネス環境セミナープログラム(2019/4/230 9:00~10:30於:亜投資貿易促進庁)
①マリアーノ・マイエル生産労働副大臣

アルゼンチンでは知的財産をベースとしたデジタル貿易が進んできており、昨年度ベースで
60億ドルの輸出額がありこれは牛肉の輸出の3倍規模に相当する。この分野は今後10年で伸びてくる分野であり、アルゼンチンの経済成長を牽引していく可能性が十分にあるとコメント。
②ファン・パブロ・トリポディ投資貿易促進庁総裁プレゼン(資料①参照)
アルゼンチンの経済成長は鈍化しており、2018年は新興国への投資が減少した影響を受けアルゼンチンも対内直接投資額が減少。また米中貿易摩擦や保護主義の台頭の影響でも経済成長にブレーキがかかった。今後は国際競争量を有する農牧業だけでなくデジタルエコノミーの輸出にも力をいれていく。
③アルゼンチン・プライベートエクイティ、ベンチャー及びシードキャピタル協会(ARCAP)ディエゴ・ゴンサレス・ブラボ会長プレゼン(資料②参照)
中南米のベンチャーキャピタル概況を説明。中南米のベンチャーキャピタル投資は2017年、2018年の過去2年で急増。2013-2017年の取引額の半分はブラジル。アルゼンチンはメキシコに次いで32位。2018年同取引額のブラジルシェアは7割弱。コロンビアが2位。2013-2017年の取引額の大半はIT企業向け投資でフィンテック、ロジスティック流通、輸送、アグリテックの順。ユニコーンはブラジル7社、アルゼンチン6社、メキシコ2社の順。会長はアルゼンチンが景気低迷で有望なスタートアップが割安な状態で存在している点を強調。
(2)ティグレ市街中監視センター(NECの顔認証技術を活用)
市内に1,800台のカメラを設置し300人体制で24時間監視、設置後盗難件数激減、殺人は0件に。ティグレ市は高所得者の住民が多く、市税を上乗せで徴収して市のセンターが街中監視システムや家庭への緊急連絡端末配布、警備団・車両を組織している。
(3)アルゼンチン・トヨタ・サラテ工場(ロジスティックとイノベーションを説明)
生産設備(14万台/年)やメルコスール市場でのロジ戦略(6割超の部品を現調)他、アプリを用いた現地ディーラー網での車両貸与事業について説明を受けた。
(4)Despegar.com社(オンライン旅行(OTA)大手、ユニコーン企業)(資料③参照)
アルゼンチンのユニコーン企業4社の一つで中南米最大のオンライン旅行会社に成長。オンラインで航空券、バス、レンタカー、エクスカーション業者への旅行プランの手配が可能。2015年からエクスペディアとの資本提携を行っているがDespegar.com中南米地域では優位性を維持している。中南米はまだOTAの市場浸透率が他地域より低く、今後の市場拡大に期待できる。現在20カ国で事業展開中だが、税制度が違うため各市場にどう適応するかが肝心とのこと。同社の創業は学生時に米国に旅行した際に航空チケット手配に苦労したのが契機で、仲間5名で創業したもの。
(5)Globant社(現地IT企業、ユニコーン企業)
ソフトウエア開発を手掛けるユニコーン2社目、14ヵ国32都市でサービス展開をしており14年NYSE上場、従業員1万人超を抱える。米ディズニーワールドのリストバンドと連動したファストパスのデジタル化の開発他1,000件以上のプロジェクトを同時並行でグローバルに行っている。

2.ウルグアイ訪問先
(1)ビジネス環境セミナープログラム(2019/4/25 09:00~10:30於:Hotel Hilton Garden Inn)
①パブロ・フェレーリ経済財政省次官(ウルグアイ)プレゼン(資料④)
「なぜウルグアイ?中南米への最良の入り口」をテーマに日本語スライドでウルグアイの強みを分かり易くプレゼンした。
次官はウルグアイが開放的かつ安定的で健全でマクロ経済を有しており外国投資家から信頼できる国であること。日本からも22社が進出。品質の安全性やデジタルタグ技術活用でトレーサビリティを確保した高品質な農業輸出国(最大5,000万人分の生産能力)、中南米随一のネットワーク環境を整えて年32億ドルを世界各国に輸出するサービス輸出国、人口350万人を上回る観光客が流入する観光立国、発電の98%を風力で賄うクリーン発電のリーダー。制度面の強みとして中南米で汚職腐敗指数が最も低く、為替自由化や資金還流非制限など国際ビジネス上の規制撤廃。事業所得税、付加価値税、資産税を免税するソフトウエア開発など投資インセンティブとフリーゾーンの存在。モンテビデオ・カラスコ国際空港は南米唯一のフリーエアポート、モンテビデオ国際高港は南米大西洋岸唯一のフリーポートであること、などのメリットを説明した。
②ウルグアイ日本商工会議所プレゼン(資料⑤⑥⑦参照)
ホルヘコスタ代表挨拶に引き続き、Guyer & Regules Law Firm代表共同経営者のハビエル・オテギ氏がウルグアイの外国投資家に対する法的枠組みとメリットを説明。Andersen Tax &Legal共同経営者のフアン・イグナシオ・トロコリ氏が「ウルグアイの法的枠組み」と題して,日ウ投資協定、労働法、社会保障制度、在留資格、知財・商標、フリ―ポート規則、一時輸入、ソフトウエア法人所得免税、ソフトウエアサービス法人所得免除、シェアサービスセンター法人所得税減免、外国投資保護法および同法人所得税・資産税・付加価値税減免などの各種制度概要を説明。Andersen Tax &Legal共同経営者のフェデリコ・フォルメント氏が「Doing Bussiness Urguay」と題してウルグアイビジネスの特徴は税制・税負担について紹介した。

(2)ルシア・トポランスキー副大統領表敬(2019/4/25 14:30~15:15於:ウルグアイ国会議事堂)
産業は農牧が強く、量より質を掲げ、牛肉のトレーサビリティは世界トップクラスを誇るが、遅れているのは漁業関係。海は陸の2倍あるが、漁業インフラが欠けており、政府としても課題を解決しきれていない状態。打開策の一手としてキャビア養殖の開発を進めている。日本からは国道
と環境の管理や建築技術を見習いたい。安藤忠雄氏は尊敬する建築家である。
(3)アリエル・ベルガミノ外務次官表敬(2019/4/25 16:00~16:45於:ウルグアイ外務省)
地理的にはウルグアイはメルコスール諸国に囲まれているが、檻の中に囲われているのではなく、世界に広がるプラットフォームとして活動を展開してきたい。
両国は1921年に外交関係両国間系樹立、1952年に関係復活以降、今日現在では色々な協力関係が築かれている。09年と16年のバスケス大統領の訪日が一つの例であり、昨年は安倍総理に来訪いただき、我々も3月に訪日し、牛肉輸入解禁、JETROとUruguay21のMOC締結、租税条約大筋合意などがあり、そして今回のミッション訪問がある。ウルグアイは100%完璧な国ではないが、南米の中でも安定した国であるという点を是非ご覧頂きたい。ミッション参加者を全面的にバックアップするので今後の成果を期待したい。
(4)エンソ・ベネッチ農牧水産大臣挨拶(2019/4/25 19:00~21:00於:ウルグアイ日本大使公邸レセプション)
日本は技術に優れて発展しており、我が国は農産物輸出が主要産業で食料生産力は人口
の10倍の3,000万人分を生産できる。牧畜以外にも乳製品や水産資源もある。日本とは相互補完的に協力して行く関係を築きたい。
(5)モンテビデオ港RASグループ(フリーポート物流倉庫企業)訪問 (資料⑧参照)
RASグループはベネズエラ南米各国、メキシコ、米国マイアミに45拠点を有しウルグアイをゲートウエーとしたロジスティックサービスを行っている。同グループはモンテビデオフリーポート港内倉庫とコンテナヤード、Zonamericaフリーゾーン内倉庫(含む仕向け地に応じた箱詰めほか簡易加工)、国際コンテナ輸送、国際エアカーゴ輸送、トラック輸送、鉄道輸送、河川国際輸送、工場・ロジスティックパークの各サービスを行っており、これらのサービスを有機的に組み合わせることでお客様の要望に応じた包括的なサービス提供できるのが強み。港内倉庫には欧米・中国・日本メーカーの製品が多く保管されていた。
(6)GENEXUS(アプリケーションの自動生成ツールメーカー) (資料⑨参照)
1980年代に創業。各企業が開発するアプリケーションの自動生成ツールを開発。いわゆるソフトウエアを開発するためのロボットに相当。同ツールはデータ項目や画面、業務ルールといった設計情報を入力すると、JavaやRubyなどのソースコードを自動的に生成し、これと同時に各種データベースソフトに対応したテーブル定義情報も自動的に作成する。他ツールに比較してもライフサイクルを考慮した非常に価値の高いシステム構築が可能な画期的なツール。同社はそのツールを販売・メンテナンスサービスを行うことで世界のクライアントから絶大な支持を得ている。米国、メキシコ、ブラジル、日本に支社を置き世界30カ所にクライアントを有する。
(7)ワールドトレードセンター(WTC)モンテビデオ(サービス企業入居フリーゾーン)
(資料https://www.wtcmontevideofreezone.com)
入居者を物流以外のサービス業に特化したフリーゾーンオフィスビル。フリーゾーン法に基づき入居企業との契約で搬入品にかかる輸入税、法人所得税、資産税、付加価値税などすべてのウルグアイ国内税免除がウルグアイ政権交代に関係なく保障される。ウルグアイ国内へのサービス提供が可能。外貨導入に中銀制限なし。配当送金も自由で制限がない。いわゆるオフショアビジネスが可能となる。ウルグアイ在住の駐在員の社会内保障負担免除と個人所得税は12%に減税。カラスコ国際空港への近接性と会社と自宅、他の企業にも30分以内で行ける、ショッピングセンターなど周辺アメニティを活かしたフリーゾーンオフィスビスとなっている。世界的な大手コンサルタント、アパレル、穀物、アグリビジネスなど各国企業がオフィスを構える。WTCは新ビル建設も計画。ミッション一行は同施設に入居するフランス系穀物企業現地法人Louis Dreyfusのオフィスも見学した。
(8)Zonamerica(フリーゾーン)
①Leandro Bonillaビジネス開発マネジャー・プレゼン (資料⑩参照)
Zonamerica内には350社25万平米相当のオフィス・倉庫が所在し約1万人が働いている。創業1992年でウルグアイでは最も老舗のフリーゾーン。フリーゾーン法に基づくメリットはWTCウルグアイと同様でオフショアビジネスが可能。
モノは輸入税等その他関税措置が無税で搬入でき無税減に保管が可能。入居企業は南米の物流ハブとして同施設内の倉庫を活用する企業以外に、特に2003年はナレリッジ経済にも注力、中南米域内サービスセンター(顧客サービス、サプライチェーン、調達、域内拠点の財務会計、域内拠点への支払いやITインフラ、ソフトウエア開発)としての活用が拡大。消費財や部品・原材料のほかIPO/BPO、金融、ITソフトウエア企業、さらにはバイオ関連企業も入居している。2014年米タイムズ誌で、米州で最も優れたフリーゾーンに選ばれた。ウルグアイ進出日本企業22社の半分がZonamericaを活用、域内の物流・流通拠点や域内サービスセンター拠点など)として活用している。
②Kinben Supply Chain Strategies LLCのダニエル・ジル社長(Zonamerica内に拠点を置くリコーラテンアメリカ元社長)プレゼン
ジル社長はウルグアイフリーゾーンにブラジルおよびペルー以南の南米地域に製品供給を行う効率的な物流ロジスティックを提唱。①日本やアジアの工場からマイアミ等の米国法人拠点経由せずに工場から直接ウルグアイフリーゾーンへ輸送することで輸送コストと輸送日数を半減、①フリーゾーンで保管梱包配送拠点として同在庫で対応により域内拠点の在庫削減、②ブラジルでの物流ルート見直し(サンタカタリナ州やエスピリットサント州の港湾と内陸港税関活用)、③ウルグアイでの地域本社を設置による業務集中管理と総務シェアサービス拠点化、などを通じて物流コストの効率化とコスト削減が可能だと説明した。
③Sabre(Zonamerica入居企業、米系IT企業)訪問
Sabreは航空券旅行システムの開発運営する企業で世界シェアの2~3割を保持。航空会社や旅行代理店が同端末を利用する基盤システムで中南米最大のオンライン旅行会社であるアルゼンチンのDespegar.comもユーザー。
④    Costa Oriental(Zonamerica入居企業、現地物流・倉庫企業)https://www.costaoriental.com
Costa Orientalはメルコスール向けの物流倉庫管理・加工受託企業。もともと地場企業だがベルギーのKATHOEN NATIEが株主に。多国籍企業からの受託で商品の保管や域内各国のニーズに応じた外箱やプラグの変更などの加工を行っている。日本企業との顧客獲得にも積極的であり日本語パンフレットを用いてプレゼン。同社のサービスを利用している日本企業は8~9社に上る。取扱商品は電化製品等の通常の消費財に加えてクリーンルームによる化粧品や医薬品の保管加工、部品・スペアパーツ、原材料にも取り組んでいる。
⑤    Grupo Ras(Zonamerica入居企業、現地物流・倉庫企業)
ウルグアイをゲートウエーに国際物流・倉庫を展開するRasグループのZonamerica入居倉庫。コンピューター周辺機器の保管やCosta Orientalと同様の箱詰めやプラグ付け替え、ブラブラジルからの牛皮革を調達して絨毯を加工する製造工程を見学(フリーゾーン内の製品ではあるが、同製品はメルコスール例外規定としてウルグアイ原産が容認。欧州に輸出)
⑥    リコー(Zonamerica入居企業、情報処理・事務機器メーカー)
Rasグループ施設内に隣接。RICOHの中南米域内ディストリビューションセンター。域内の物流・流通や関連サービスはすべてこのセンターで集中管理している。

(報告執筆:ブラジル日本商工会議所企画戦略委員長 大久保敦)

【プレゼン資料】

資料①2019.04.23_Argentina_Seminar_AAICI

資料②2019.04.23_Argentina_Seminar_ARCAP

資料③2019.04.24_Argentina_DESPEGAR.COM

資料④2019.04.25_Uruguay_Seminar

資料⑤2019.04.25_Uruguay_Seminar_Guyer

資料⑥2019.04.25_Uruguay_Seminar_AndersenTax

資料⑦URUGUAY DOING BUSINESS 2019

資料⑧2019.04.25_Uruguay_Grupo RAS

資料⑨2019.04.25_Uruguay_ GeneXus

資料⑩2019.04.26_Uruguay_Zonamerica

 

 

 

130人が参加して4月定例懇親昼食会開催

4月定例懇親昼食会は、2019年4月18日正午から午後2時までマクソウドホテルに130人が参加して開催、司会は平田藤義事務局長が務め、初めに特別ゲストとして、ブラジル産業開発庁(ABDI)のLuiz Augusto de Souza Ferreira総裁代理のRodrigo Rodrigues ABDIデジタルエコノミー・コーディネーターを紹介した。

会頭就任挨拶・4月常任理事会および活動報告として、村田俊典会頭は4月1日付で会議所 の会頭に就任。 会員企業の皆様に広く裨益となるよう会議所活動に取り組んで参る所存で御座いますと挨拶。 (会頭挨拶PDF参照

会議所活動報告では、今日の常任理事会で 4月8日に東京で開催された日伯賢人会についての報告として、翌日9日に同メンバーが安倍総理を訪問し、産業分野での連携強化、人口と食料問題への対応、人的交流の促進について盛り込んだ提言書を安倍総理大臣に手交した後、提言内容の具体化を目指して両国の経済界と連携しながら活動していきたい旨の報告。また財務委員長から今年、第1四半期の財務報告があり、P/L上の実績が予算内に収まっていることを確認しましたことを報告した。

連絡事項では、大久保 敦企画戦略委員長はイノベーション研究会の立ち上げについて、世界から注目が集まるスタートアップやオープンイノベーションに関心を有する会員企業などの当該分野の情報共有・理解促進・人脈形成を行うことで既存ビジネスの改善や新規ビジネスの創出に役立てる目的に、活動内容として、(座学)スタートアップ・エコシステム概況・展望 、エコシステム視察会 、政府機関、業界団体、シンクタンク、アクセラレーター、企業、大学、他国機関などとの意見交換を予定、今後研究会参加への呼びかけを行うと説明した。

着任挨拶では、MITSUI & CO. (BRASIL) S.A.の佐藤 真吾氏は、4月から土屋社長の後任。ブラジル勤務は34年前に2年間勤務、2回目は1992年から98年でサンパウロ並びにリオで勤務。インフラ・機械関係でブラジルに出張したが、ブラジルも随分変わってきた。新政権に対するブラジルの日本企業への期待は大きいが、補完関係にあり、ブラジルのポテンシャルが花開く時期に着任して、未来の大国の姿を見たいと説明した。

MITSUBISHI CORPORATION DO BRASIL S.A.の篠崎 幸男氏は、今年1月に着任、ロスアンゼルスに勤務していて、日本への帰国命令を覚悟していたが、ブラジル勤務は無上の喜びを感じている。前任の松永社長は25センチメートルの後ろ髪をひかれながら帰国したが、その分ブラジルに貢献しなければと肝に命じている。相互啓発委員長を拝命、ゴルフと忘年会の世話役は、私にフィットした役で喜んで拝命した。村田会頭を少しでも支えたいと抱負を語った。

SOCIEDADE COMERCIAL TOYOTA TSUSHO DO BRASIL LTDAの今井茂博氏は、3月27日に赴任、インドネシアに駐在して30年間アジア地域を担当。食事がおいしい、ブラジル人気質が気に入っており、最低5年間は勤務したいと述べた。新入会員紹介では、DAIICHI JITSUGYO DO BRASIL COMÉRCIO DE MÁQUINAS LTDA.の藤田秀央氏は、機械関係商社で設立70年、事業の柱は自動車関連や産業機器で会議所には再入会と説明した。

村田俊典会頭の講師歓迎の辞の後に、Rodrigo Rodrigues ABDIデジタルエコノミー・コーディネーターは、テーマ「インダストリー4.0 -ブラジルと日本の同分野における協力関係」について、インダストリー4.0促進プログラム(Programa Rumo à Indústria 4.0)は、ブラジル商工サービス省(MDIC)傘下にあるブラジル産業開発庁(ABDI)のブラジル官民合同事業であり、今後10年間でブラジル企業の15%がインダストリー4.0のコンセプト採用で、第4次産業革命に突入すると予想されている。

輸出総額に占める中小企業の割合がドイツは30%以上もあり、特定の系列や下請けに甘んじずに、独立独歩で活躍する中小企業が多いドイツでは、国を挙げてインダストリー4.0を推進している。

ブラジル産業開発庁(ABDI)は、イノベーション技術の促進や各省庁間の調整など約15年間プロットタイプの施策や新しい行政母体、今後の工業政策などを模索、実験を行って世界の知的活動団体と綿密な繫がりがあり、ポルトガル並びにイスラエル、米国、日本、英国との連携をしている。

ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるデジタルトランスフォーメーションによる新しいビジネスモデル、インターネットセンサー、グラウド、スタートアップなどについても説明した。

またネットワークで繋がる社会になると、大量生産型の方が価格を抑えられるという、これまでの常識は脆くも崩れ、オーダーメイドでも大量生産品と同等の価格で製品を製造できるようになる。工場が変われば労働者の生活が変わり、価格や物流の変化が消費者の行動を変える。新しいビジネスモデルが誕生し、社会が変わる第4次産業革命に繋がることなど新形態のビジネスモデル像を説明した。

質疑応答ではブラジル政府のインダストリー4.0に対する姿勢、日本の協力、ソフトバンクや日本商社のスタートアップ企業への投資、ブラジル産業開発庁(ABDI)のスタートアップ関連のサポートなどが話題となった。最後の村田会頭からロドリゴ・ロドリゲス デジタルエコノミー・コーディネーターに記念プレートが贈呈された。

講演中のブラジル産業開発庁(ABDI)のRodrigo Rodrigues ABDIデジタルエコノミー・コーディネーター

Toshifumi Murata, presidente da Câmara

O coordenador de economia digital da ABDI, Rodrigo Rodrigues, recebe placa de agradecimento da Câmara através do presidente Toshifumi Murata

Shingo Sato, novo diretor-presidente da Mitsui & Co. (Brasil)

Yukio Shinozaki, novo diretor-presidente da Mitsubishi Corporation do Brasil

Shigehiro Imai, novo diretor-presidente da Sociedade Comercial Toyota Tsusho do Brasil

左から5人目の村田俊典会頭を囲んで記念撮影

 

Fotos: Rubens Ito / CCIJB

4月の労働問題研究会に48人が参加して開催

企業経営・地場企業推進委員会(ワグネル 鈴木委員長)の労働問題研究会は、2019年4月17日午後4時から6時まで48人が参加して開催、初めにNewland Chase (Assessoria Técnica Atene)  ラテンアメリカ担当のDANIELA LIMA取締役は、『ブラジルに於ける新移民法の現状とプロセスについて』、Madrona Advogados労働法担当のPRISCILLA CARBONEパートナーは、 『ブラジルに於けるエグゼクティブの契約と規定について』それぞれ講演した。

PDF anexos: 
1. "Lei de Migração no Brasil: Atualizações e procedimentos" 
2. "Contratação de executivos" (a ser disponibilizado em breve数日以内に掲載予定

Ricardo Sasaki (Ajinomoto do Brasil), Priscilla Carbone (Madrona Advogados), Daniela Lima (Newland Chase) e Fernando Seiji Mihara (Stüssi-Neves Advogados) (Fotos: Rubens Ito / CCIJB)

RI / CCIJB – 17/04/2019

「労働組合と労使交渉」セミナーに40人以上が参加して開催

政策対話委員会(佐藤真吾委員長)労働ワーキンググループ(山崎一郎グループ長)主催の「労働組合と労使交渉」セミナーは、2019年4月16日午後4時から5時30分まで40人以上が参加して開催、司会は山崎一郎グループ長が務めた

講師は名コンビのFator法律事務所のダグラス・マイア弁護士がポルトガル語で説明、佐藤ジルセウ弁護士が日本語に翻訳して説明、初めにダグラス・マイア弁護士は、ブラジルでの労働組合の成り立ちとして労働組合の初期では、1888年の奴隷解放、1989年の共和国宣言などの歴史の変化並びにヨーロッパ移民の影響を受けた。ヨーロッパ移民は労働者の権利が比較的保証されていた母国の経験を踏まえて労働者組織を作った。その後バルガス政権から民事政権の移行期間には、ブラジルン組合は政治色の色濃い労働者グループによって組織され、バルガス政権誕生で労働組合は政府の統制下に置かれ、1930年に労働省設立、1934年に労働法(CLT)制定、次いで社会保障院(INSS)の設立。労働組合運動は1964年の軍事クーデターで中断、再び政府の統制下に編入された。

1970年代後半にはサンパウロ州内工業地帯でストライキ運動、組合運動も表舞台に登場して統一労働者連合(CUT)や労働者党(PT)の設立、大統領直接選挙を求めるDireta Ja運動へと繋がった。

民政化とともに制定された1988年憲法は組合運動の自由化、公務員の組合参加が承認された一方で、バルガス時代の遺産として組合費の義務的徴収や単一組合制度が組み込まれた。また組合所属制度並びに特別職業カテゴリ―についても説明した。

1943年の制定以来実に74年ぶりとなるブラジル労働法の改正は、2017年11月11日から施行され、労働組合費の支払い義務から任意支払いへの移行で、一連の労働組合の組合費徴収額は80%以上減少。多くの労働組合では、労働組合費収入の大幅減少に伴って労働組合所属の職員削減、組合支社数削減、社用車や組合員のみが利用可能なリゾート地に擁するリゾートホテルの不動産売却、組合の合併などを説明した。

また社員が200人以上の企業による労働者代表委員会の形態や目的、裁判外合意件数の推移、労働組合の今後などについて説明、質疑応答ではBoletoの支払い拒否、雇用者組合、組合の力の復帰の可能性、労働者組合委員会での問題発生、特別労働者の雇用比率などが挙げられた。

ホンダのリカルド・キタジマ氏は「ブラジルに於ける労働組合との交渉」と題して、ブラジルの自動車メーカーと労働組合では地方労働組合との関係、実質賃金交渉、交渉の内容や力関係、経験則に於けるアドバイスについて説明した。

Pdf労働ワーキンググループセミナー「労働組合と労使交渉」Fator弁護士事務所(2019年4月16日)

左からFator法律事務所の佐藤ジルセウ弁護士/ダグラス・マイア弁護士

左から講師のホンダのリカルド・キタジマ氏/Fator法律事務所の佐藤ジルセウ弁護士/ダグラス・マイア弁護士

日メルコEPA準備タスクフォースWG会合を実施

2019年4月15日(月)正午より、図書室にて日メルコスールEPA準備タスクフォースWG会合を実施、去る4月8日(月)東京で開催された第9回日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議の報告と、また翌9日(火)に日伯賢人メンバーより合意提言書が安倍総理大臣へ直接手交されたことが報告された。

賢人会議の議論の結果、最終提言書のグローバリゼーションに向けた方向性の再構築のセッションで、「賢人会議は、日メルコスールEPAを(日伯二国間協定の可能性も含めて)進めるための公式対話を出来るだけ早く開始すべきことを繰り返し表明する」とし、その内容が安倍総理へ手交されている。

(第9回日伯賢人会議最終提言書:https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000469343.pdf

(安倍総理表敬訪問:https://www.mofa.go.jp/mofaj/la_c/sa/br/page1_000775.html

またWG会合の中で、7月末に予定される第22回日伯経済合同委員会に向けての活動計画について意見交換が行われた。

出席者は、村田俊典 会頭(双日ブラジル)、芦刈宏司WGメンバー(ブラジル三井物産)、二宮康史WGメンバー(ジェトロサンパウロ)、佐橋拓哉WGメンバー(伯国三菱商事)、大塚未涼WGメンバー(ブラジル三井物産)、事務局から平田藤義事務局長、日下野成次総務補佐、近藤千里アシスタント。

Foto: Rubens Ito / CCIJB

4月の日 伯 法 律 委 員 会開催

4月の日 伯 法 律 委 員 会(藏掛 忠明委員長)は、2019年4月10日午後4時から6時過ぎまで、51人が参加して開催、初めにMachado Meyer (Machado Meyer Sendacz e Opice Advogados)のDIOGO MARTINS TEIXEIRAパートナーは、“訓令1861号/2018における新たな輸入業務規制について”、Madrona Advogados税務担当のIGOR NASCIMENTO DE SOUZAパートナーは、“サンパウロ州に於ける税支払い請求書に関する補償について” 、KPMGのJULIANA BROCHADOマネージャーは、.“ 社会保障関連クレジットX連邦税に関する補償について”、EY移転価格税制担当のDANIEL BIAGIONIシニアマネージャーは、“訓令RFB 1.846/18並びにBEPSプロジェクト-ブラジルに於ける“MAP”プロセスについて”それぞれ講演した。

講演PDF

1. "Aspectos relevantes sobre os novos contornos das modalidades de importação nos 
termos da Instrução Normativa n° 1.861/2018"

2. "Compensação de débitos tributários com precatórios judiciais"
3. "Compensação cruzada" 
4. "Procedimento amigável no Brasil (IN 1.846/18): Atualizações tributárias"

Daniel Biagioni (EY), Diogo Martins Teixeira (Machado Meyer Advogados), Igor Nascimento de Souza (Madrona Advogados), Juliana Brochado (KPMG) e Luiz Fujio Sato (Marubeni Brasil) (Fotos: Rubens Ito / CCIJB)

RI/CCIJB – 10/04/2019

異業種交流委員会主催の平上博泰氏講演会開催

異業種交流委員会(長野 昌幸委員長)主催の平上博泰氏の講演会、テーマ:「日雇い労働者」から「りんご経営者」を経て「ゴルフ場経営者」への道(ブラジルで成功する秘訣を聞き出す会)は、2019年4月3日午後6時から7時過ぎまで40人が参加して開催、初めに長野 昌幸委員長が開催挨拶で平上博泰氏の略歴を紹介、進行役はユーモア溢れる根岸誠副委員長が務めた。

初めに弟さんの平上文雄氏が出演した日本のドキュメンタリー番組「世界の村で発見!こんなところに日本人」のVTR上演で、平上家がサンタ・カタリーナ州の広大な農地で行っているリンゴ栽培やワイナリー事業、敷地が13ヘクタールで二世の奥さんと二人暮らしの住居を案内しながら移住時の苦労話などを語った。

平上博泰氏は小学6年中退で離婚した母親と3人兄弟でブラジルに移住したが、勉強しなくて済むとほんの子供だったので気苦労もなくブラジルの環境に溶け込めた。初めに入植したのは、パラナ州ウライ市のラミー栽培農場に日雇いとして、日の出から日没まで1日12時間労働。次いで同州アプカラーナ市の野菜農場で日雇いをしたが、農場主からブラジルで生活するには、フェジョンを食べなければならないと口酸っぱく言われたことが記憶に残っていると説明した。

次にサンパウロ州ボツカツ市の桃農園管理。新米移住者には土地分譲ができないと分譲地購入できずに、すぐに同州ジュンジャイ市に移転して桃農園の管理支配人となり、収穫期には寝る暇がないほど働いたが、母親の口癖で「他⼈様の仕事と思うな、自分の仕事と思ってやれ」と黙々と必死で働いた。

次にサンパウロ州マイリンケ市で農地購入、歩合制でも桃、プラムも栽培したが、栽培技術向上に専念。漸く1967年に14ヘクタールの土地を購入。1989年にコチア組合を脱退して、平上兄弟商会を設立した。

母親の教えとして、他⼈に使えておるときは自分の仕事と思ってやれば、 何時かは自分の物になる。“ なにくそ!” 糞にも良いのと良く無いのがあり。焼け糞、ええ糞は良く無いが、なに糞は良い。 人生は何時も上り坂、頂上に着いたと油断するな。「お前たち兄弟は右手と左手のようなもの。 父さんがいないので、二人で仲良く頑張らなければならないよ」といつも思い出しながら歯を食いしばって頑張った。

1970年代に入りサンパウロ近郊での狭い土地での農業に疑問を持ち、1971年に北伯地域のサンフランシスコ河流域バイア州とペルナンブッコ州の熱帯果実栽培視察に1カ月間参加したが、当時ブラジルのカリフォルニアとも云われ常に有望と思われたが、当地は想像もつかない程の貧困で、子供の教育を考えて再移住を断念した。

1972年かねてから後澤憲志博士の声掛かりであったサンタカタリーナ州のリンゴ栽培視察に、 コチア産業組合から十数人が出向き、カサドールやフライブルゴ、クリチバーノス等視察したが余り乗り気にならず、 最後にサン・ジョアキンの果実試験場(標高1400m)へ行きリンゴ樹の結実に目を疑ったが、土地は起伏状態、石だらけの岩山でどこに植え付け可能か途方に暮れていたが、後澤博士の「山や石は削り動かせられるが、気候は人間の力ではどうにもならない。」とのアドバイスで、サン・ジョアキンへの入植決定のいきさつを説明した。

しかし1974年に入植、 20ヘクタールを作付したものの最初の数年間は収入が無く サンパウロからの送金や当地でのジャガイモの種苗栽培で乗り切る。その後徐々にリンゴ、桃、プラム、キウイ等を拡張し、1978年度にコチヤ産業組合に見切りをつけて脱退して土地を購買、金融等を自力で行う。現在は300ヘクタールでリンゴ栽培してサン・ジョアキン市の発展に貢献している。

現在の平上博泰氏の教訓として、若い時の苦労は買ってでもせよ!自分の生涯は人生の学校で卒業は無い!年齢は60歳でストップ、付き合いは自分よりも年少者と!肝に銘じて邁進している。

サン・ジョアキン地域のブドウの特徴として、海抜が1300メートル以上と高く、収穫期間が他の栽培地域よりも1カ月間遅いために23度まで糖度が上昇する。またワイナリーにも微量投資して、日本にワインを輸出した経験はあるものの、100年のスパンでの投資ができなければ投資回収は難しいと説明。

サンパウロ市から西方のカステロ・ブランコ街道51キロ地点に300 ha の用地を購入して、バイーア州のIlha de Comandatubaゴルフ場を設計したアメリカ人のダンブランケン氏の監修でVista Verde Golf Clubを造成したが、分譲地の販売は未だ開始していないと説明。最後に講演に関したクイズ問題では参加者全員が足元を掬われて笑い転げていた。講演後には、平上博泰氏差入れのワインや非常に大きくて糖度の高いフジや軽食をつまみながら非常に楽しい懇談会となった。

               講演中の平上博泰氏

開催挨拶を行う異業種交流委員会の長野 昌幸委員長

平上博泰氏の移住の苦労話に感銘を受ける参加者

講演後の懇談会では参加者全員で記念撮影

 

日系主要5団体に安田篤副会頭が出席

                     日系主要5団体会議 議事録

2019年3月26日(火)12時~ / 文協・貴賓室(2階)
出席者(敬称略) 文協 : 呉屋春美、松尾治、福原カルロス
援協 : 税田清七
県連:山田康夫
商議所:安田 篤
アリアンサ:吉田エドワルド
110周年委員会: 菊地 義治
文協事務局:中島 エドアルド 剛、佐藤 エジナ

開会の言葉:呉屋春美文協会長が出席者全員に感謝の意を表す。中島 エドアルド 剛 氏が司会進行に指名され、実行する。

1. 平成から新元号祝賀会
5団体主催の平成から新元号祝賀会が文協の多目的スペースで4月30日、18時30分に開催されることが決定された。イベントの総合コーディネート(会食業者、音響サービス、照明サービス、式次第など)は文協が行い、式の催しとなる弦楽器ユニットの手配はアリアンサが引き受けた。会費は出費計算後設定される。
ブラジル日本移民史料館が7階再開館式と明仁天皇ブラジル訪問写真展開会式を同じ日に行うので、改修工事スポンサーへの感謝状贈呈式は祝賀会の始めに開催することについては史料館委員会と調整を行う。

2.ブラジル日本移民110周年記念祭典委員会
a)110周年報告書
菊地義治委実行委員長は1,000部を印刷し4月30日の祝賀会で招待客に配布する予定だと報告した。
b) 国士舘大学開発計画
国士舘大学スポーツセンターにて貴賓、実行委員会、理事会、建築会社やメディアを招待し起工式を
行うことが決定された(会議後日時が4月30日10時と決まった)。
c) 5団体会議最後の参加となった菊地義治実行委員長は今までの協力に感謝の言葉を述べた。

閉会の言葉:県連の山田会長が出席者全員に対し挨拶し閉会とした。

次回の会議日時 :2019年4月23日(火)12時~ 文協・21-A号会議室(2階)にて

第4回国際通商年次コンファレンス開催

IRICE(国際外交・通商政策研究所:非営利団体)とFGV-EESP(ゼツリオバルガス財団大学サンパウロ経済学部-グロ-バル通商・投資研究所)共催の第4回国際通商年次コンファレンスは、2019年3月25日午前9時から午後6時までゼツリオバルガス財団大学サンパウロ経済学部行動に20人が参加して開催された。

進行役はVera Thorstensen教授が務め、初めに22日の商工会議所懇親昼食会で、「ボルソナーロ政権における国内及び外交のチャレンジ」と題して講演したIRICE(国際外交・通商政策研究所:非営利団体)代表のルーベンス・バルボーザ元駐米大使が開催挨拶を行った。

同カンファレンスの総論として、連邦政府当局はメルコスールの対外共通関税(TEC)を産業競争力強化の観点から引き下げるべきだが、実際には加盟各国の調整や国内産業界への配慮が必要で時間と政治的コストが必要。TEC以外にもビジネス上の規則や制度の統合、域外交渉の今後の形態、メルコスールの機構改革の必要性も論じられた。グローバライゼーション進展や中国の台頭などの国際情勢の変化は、メルコスール改革を促す構図となっている。メルコスールの枠組みを資産若しくは負債と捉えるかの議論は意味をなさず、枠組みは加盟各国の目的達成するための手段として捉えるべきであるとIPEA研究所のフェルナンド・リベイロ氏は指摘した。またメルコスール強化を掲げるジャイール・ボルソナロ政権がメルコスールを生産性や産業競争力向上目的でどのように活用するかが今後のポイントと指摘している。

ルーベンス・バルボーザ元駐米大使は、メルコスールをめぐる議論として、対外共通関税(TEC)、域外交渉では一体かバイか、ビジネス関連規制・制度、メルコスールの機構改革の4点に集約され、ブラジルのリーダーシップが重要で、ブラジルの取組如何にかかっていると説明。過去10年間の域外交渉はイスラエル並びにパレスティナ、エジプトに留まっており、他の国の締結スピードに後れを取っているが、挽回するための手段としてTPP加盟の一つの方法と述べている。

外務省メルコスール・地域統合部長のミッシェル・アルスラニアン氏は、ボルソナロ新政権はメルコスール強化を掲げており、経済アジェンダで重要な位置を占めている。過去2年間の流れでは政府調達協定を図り、投資ルールの整備も進めており、協定内容の充実の方向性になる。域外交渉としてEU、EFTA、カナダとは2019年中に交渉完了、2020年内には韓国との交渉終了が予定されている。今後のメルコスールの課題はTECのみならず制度面での統合の進展で国際スタンダードとの整合性、原産地証明などの民間セクターのニーズの反映・改善の重要性を指摘している。

経済省のルカス・フェラス貿易局長は、ボルソナロ政権はメルコスール重視のスタンスを維持しており、高いTEC税率に象徴されるような閉鎖的なメルコスールの改革の必要性を示唆している一方で産業界や政治家の個別の利害調整が不可欠。市場開放はあくまで生産性並びに産業競争力を高める手段。EU側の問題点は農業分野での困難な譲渡の一方で、メルコスール域内、特にブラジルの産業構造自体が最先端のFTAモデルに適合していないと指摘している。

Rubens Barbosa, Celso Lafer, Michel Arslanian Neto, Vera Thorstensen, Lucas Ferraz e Felix Peña 
(Fotos: Rubens Ito / CCIJB)

Vera Thorstensen, Sandra Rios, Valentina Delich, Fernando Ribeiro, Lia Valls Pereira e Welber Barral

Vera Thorstensen, Rogério Correa, Renato Baumann, Oscar Afonso da Silva Júnior, João Ortega Terra e Luís Fernando Tironi

Vera Thorstensen, Beatriz Milliet, Fabián Yaksic, Thomaz Zanotto, Patrícia Gomes, Denise Naranjo e Luiz Cornacchioni

RI / CCIJB – 25/03/2019