今年初め5か月間の化学製品部門の貿易収支は前年同期比マイナス16,3% の196億ドルに留まる(2023年6月13日付けヴァロール)

ブラジル化学工業協会(Abiquim)の発表によると、2023年初め5か月間のブラジル化学業界の貿易収支赤字は、前年同期比マイナス16.3%に相当する196億ドルに留まっている。また今年5月のブラジル化学業界の過去12か月間の累計貿易赤字は、591億ドルの赤字を計上している。

今年初め5か月間のブラジル化学工業界の輸入総額は前年同期比15.3%減少、特に農畜産部門向け肥料や農薬の輸入が大幅に減少している。

一方今年初め5カ月間の輸出は前年同期比11.9%の63億ドルと二桁台の減少を記録している。今年初め5か月間のブラジル化学工業界の輸入製品のうち樹脂の輸入量が31.5%と大幅に増加、合成繊維は20.8%増加、各種化学繊維は5%増加した。

「既存の設備による生産能力では、海外企業との競争力の困難と、ブラジル政府の工業政策では国内製造を脅かす驚異的な輸入に結び付くとAbiquimは指摘している。

樹脂関連グループの輸入増加の加速は「既存の産業に圧力をかけ、国内の製造業そのものを脅かしている」とAbiquimのFátima Giovanna Coviello Ferreira理事は指摘している。

「Reiq(化学工業部門向け特別制度の撤回と輸入関税引き下げは、熱可塑性樹脂に対するLetecの削減によってさらに悪化し、特に化学製品の戦略的グループにダメージ、その結果、設備容量の遊休状態が大幅に増加した」と幹部は指摘している。

 

 

ペトロブラスが新たな燃料価格戦略を同社理事会が承認したと発表

ペトロブラスは5月16日、同社の製油所が販売するディーゼル油とガソリンの価格の設定に関して、輸入平価(PPI)に代わる新たな販売戦略を同社理事会が承認したと発表した。

新たな販売戦略では、顧客の代替費用を価格設定における優先的価値に据える。言い換えると、同一の製品もしくは代替の製品であれ、サプライヤー、すなわち供給における主要な選択肢により提示される価格を優先する。

さらにペトロブラスにとっての限界価値も、製品または製油所で使用する原油の生産と輸出入など、同社にとっての様々な選択肢に基づく機会費用を考慮して算出する。

同社は声明の中で、「販売戦略は、顧客が利用できる最良の代替品を考慮し、国内外の市場とのバランスを考慮して、それぞれの販売時に競争力のある価格を提示することを前提にしている」とコメントした。

またこの価格調整は、ボラティリティーが国内価格に反映されるのを回避すべく周期性を持たせず、引き続き市場及び価格検討グループにより実施される。

この新しい販売戦略を通じてより効率的で市場シェアを考慮し、精油資産の最適化を図り、持続可能な方法で利益率を追求することが可能になるとしている。

その上で同社は、長期的な財務の持続可能性と、市場とのバランスの取れた経営の維持、価値創造に向けて取り組んでいくと改めて表明、競争力のある価格設定を通じて戦略計画で想定する投資を保証すると強調した。(2023年5月16日付けバロール紙)

ペトロブラスが23年5月15日から価格戦略の変更を検討へ

ペトロブラスが5月14日、市場への声明を通じて、社内でディーゼル油及びガソリンに対する価格政策の変更を協議していることを明らかにした。新たに導入する計算式について詳細を明らかにしたかったものの、同社はこの変更について、同社の経営審議会がこの週明けに協議して燃料の価格を決定するための新たな販売戦略にまとめられる可能性があるとしている。

同社の声明によると、「この点に関して当社は、起こりえる変更については技術的観点及びガバナンスの実践及び社内の手続きに準拠することを明確にするものである。この問題に関して下される判断は重要事実として、市場に対して適時公表される」という。

国際相場をベースに販売価格を決定するという同社が現在採用している価格政策に対して連邦政府から変更を求めて圧力がかかる中、この議論の成り行きに市場関係者らは注目している。5月12日には、同社のジャン=ポール・プラテス総裁が、来週(5月第3週)にも同社が新たな価格戦略を発表すると発言したが、詳細については言及しなかった。

プラテス総裁によると、これと併せて価格の変更についても発表される可能性がある。同総裁はこの日、「今ここで明かせば、後で誰も興味を持たなくなる。基準となるのは、安定性対ボラティリティーだ」とコメントした。

2023年第1四半期決算に関するマスコミとの共同記者会見の席上、プラテス総裁は、1年を通じて価格の変更がなかった時代にも、2017年のようにわずか1年で118回もの変更が行われた時代にも戻らないと断言した。

この席上、同総裁は「内外価格差は存在しない。存在するのは輸入に対する価格差だ。販売機会を失う気はなく、顧客に対して魅力的な価格を提示する」とコメントした。ペトロブラスは2016年から、輸入平価(PPI)を採用している。この計算式は、国際市場における原油は製品の価格変動と為替相場の変動を考慮する。ルーラ政権発足後に就任して以降、プラテス総裁は、PPIが同社のドグマ(無批判に盲従してきた教条主義)になってはならず代替の価格政策を模索すると度々発言してきた。

リオデジャネイロ・カトリック大学(PUC-Rio)エネルギー研究所のエジマール・デ・アルメイダ教授は、同総裁のこれまでの発言について、PPI政策を逸脱することなく技術的基準に基づき価格政策を調整することを示唆してきたと指摘する。「ジャン=ポール・プラテスの発言だけでなく声明からも、それを強調している」という。

同教授によると、ペトロブラスの価格政策には、例えば調整のタイミングや地域ごとの価格差などに関連して部分的に改善する余地があるという。「常に、技術的に調整する余地はあり、それによって同社が2010年から2014年に発生したような問題を抱え込むと意味するものではない」という。アルメイダ教授はさらに、政府が当初発言していたのは価格決定において国際市場にもはや追従すべきではないということを示唆していたが、もはやそのような価格戦略は実現不可能だという考えも示した。「ペトロブラスに損害をもたらすというだけではなく、エタノール燃料も含めた燃料市場のバリューチェーン全体に構造的混乱を与えるからだ」という。

ただし、銀行のアナリストや燃料業界の専門家の間では、ペトロブラスが原油の国際相場を無視して国内で販売する燃料の価格を引き下げかねないという強い懸念がある。プラテス総裁が言及したような地域別あるいは州別、個別の顧客に対する価格慣行の実現可能性についても疑問視する声が強い。複数の専門家が、ペトロブラスは何をしようとしているのか詳しく説明する必要があると指摘している。(2023年5月15日付けValor紙)

今年初め2か月間のブラジルの化学業界の貿易収支赤字が8.7%縮小(2023年3月13日付けヴァロール紙)

ブラジル化学工業協会(Abiquim)の発表によると、2023年初め2か月間のブラジル化学業界の貿易収支赤字は前年同期比8.7%縮小の74億ドルに留まった。

今年初め2か月間のブラジル化学業界の輸入総額は8.3%縮小の97億ドルに対して、輸出総額も7.0%縮小の23億ドルを記録。輸入量は10%縮小、輸出量も3.2%縮小している。

今年2月のブラジル化学業界の輸入は前年同月比22.7%縮小の43億ドル、輸入量は330万トンと2020年2月以降では最低の輸入量を記録している。今年2月のブラジル化学業界の輸出は14.9%縮小の11億ドル、輸出量は14.9%縮小の110万トンに留まった。

ブラジル化学工業協会(Abiquim)経済戦略部門のFátima Giovanna Coviello Ferreira,取締役は、化学業界に対する特別制度(Reiq)の復活と、共通対外関税(Letec)の例外リストからの熱可塑性樹脂の削除など、2つの緊急課題を指摘している。

Reiq の再活性化と熱可塑性樹脂の輸入料金適用の再開は、国内の産業活動に必要な法的安全を再確立し、現時点で外部の脆弱性から国内市場を保護するための緊急かつ不可欠な措置であり、かなりの世界的な生産能力過剰に陥っていると説明している。

2022年のブラジルの化学製品の貿易収支は630億ドルの赤字計上(2023年1月23日付けヴァロール紙)

ブラジル化学工業協会(Abiquim)の発表によると、2022年のブラジルの化学製品輸入総額は803億ドルに対して、化学製品輸出総額は僅か173億ドルに留まり、貿易収支は前年比36.4%増加の630億ドルの大幅な赤字を計上、赤字幅は記録更新している。

2022年のブラジルの化学製品輸入では、特に農薬製品輸入は前年比75.1%大幅増加を記録、主に肥料中間体の無機化学品輸入は63.2%増加、その他の有機化学品輸入は27.9%増加。 輸入先は38%が中近東地域を除くアジアであった。

昨年のブラジルの化学製品輸出は前年比19.5%増加の173億ドルの要因として、化学製品の国際コモディティ価格が23.7%増加、 一部のメルコスール近隣諸国の経済的困難にもかかわらず、ヨーロッパおよびラテン アメリカ諸国への販売増加の一方で、化学製品の輸出量は前年比マイナス3.4%の1,560万トンであった。

昨年のブラジルの化学製品の貿易赤字は、630億ドルと2021年の462億ドルの赤字を170億ド近く上回っている。COVID-19パンデミック前の2019年の貿易赤字は315億ドルであった。

昨年のブラジルとメルコスール圏内との化学製品の貿易収支は15億ドルの黒字を計上、ラテンアメリカ統合連合(ALADI)とは2,800万ドルの黒字を計上している。

昨年のブラジルのヨーロッパ連合と北米自由貿易協定(NAFTA)との化学製品の貿易収支は250億ドル以上の赤字を計上、アジアとは前年の160億ドルから220億ドルの赤字に拡大している。

今年の化学工業部門売上及び貿易赤字は記録更新予想(2022年12月10日付けヴァロール紙)

ブラジル化学工業協会(Abiquim)は、化学関連派生商品の国際コモディ価格の高騰の影響を受けて、2022年のブラジルの化学工業部門売上は前年比24.0%増加の9,694億レアルが見込まれているが、化学商品の生産量は昨年並みに留まると予想されている。また今年の化学工業部門売上はドル換算で27.3%増加の1,870億ドルが見込まれている。

また今年の化学工業部門の貿易収支は前年比40.3%増加の648億ドルの赤字予想、今年の化学製品輸入は36.1%増加の826億ドルに対して、化学製品輸出は22.1%増加の177億ドルに留まると予想されている。

ブラジルの化学工業部門の天然ガス消費は全体の約30%に達しているが、長年に亘って製造業部門の投資が等閑にされてきたために、ルーラ次期政権での工業化推進政策が期待されている。

「ヨーロッパでは現在、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で天然ガス危機に直面しているが、天然ガス生産で余剰能力のある中国と米国が先行している。 ブラジルは、低価格で生産能力を高めるのに十分な量の天然ガスがあり、関連税の軽減とインフラ整備で、天然ガスプレーヤーになることが可能と」とAbiquimのFátima Giovanna Coviello Ferreira理事はコメントしている。

今年のブラジルの化学工業部門売上の1,870 億ドルのうち、半分弱に相当する883 億ドルは、樹脂やエラストマー、さまざまな調剤などの工業用化学製品によって生み出されます。 このセグメントは前年比24.6%増加が見込まれている。

2021 年のブラジルの化学工業部門が国内総生産 (GDP)に占める割合と3.1%、 における化学産業の割合は 3.1%と統計を取り始めた1995 年以降では2004年の3.6%に次ぐシュアを記録していた。一方、製造業セクターは食品と飲料、石油製品、バイオ燃料に次ぐ 3 番目のGDP比12.4%であった。

今年初め9か月間の化学製品輸入金額は625億ドルに達している(2022年10月7日付けヴァロール紙)

ブラジル化学工業協会(Abiquim)の発表によると、2022年初め9カ月間のブラジルの化学製品の輸入金額は、前年同月比47.4%増加の625億ドルを記録している。

今年8月及び9月の化学製品の輸入量は減少しているにも関わらず、化学製品の国際コモディティ商品価格高騰した影響で、化学製品の輸入金額は大幅に増加している。

今年9月の化学製品の輸入金額は前年同月比43.3%増加の一方で、ブラジルの化学製品輸出金額は、前年同月比30.6%増加に留まったために、化学製品の貿易赤字は拡大している。

今年初め9か月間のブラジルの化学製品輸出金額は、前年同期比33.0%増加の135億ドルを記録、化学製品の貿易収支は、昨年同期の463億ドルの赤字から490億ドルの赤字に増加している。

今年5月以降の月間平均輸入金額は70億ドルを突破しており、Covid-19パンデミック以前の月間平均輸入金額の2倍に相当する金額に増加している。

ブラジルの化学工業部門が成長するためには、安価な電力エネルギーや持続可能な成長率をつける価格競争力のある原材料の国内調達、税負担の軽減など一向に改善しないブラジルコストの軽減が不可欠となっている。

 

7月の輸入化学製品量は5.1%増加(2022年9月1日のヴァロール紙)

ブラジル化学工業協会(Abiquim)の発表によると、2022年7月のブラジルの化学部門の輸入量は、前年同月比5.1%増加した一方で、ブラジル製化学製品の製造業部門の消費は0.4%増加を記録している。

今年7月の付加価値の高い化学製品生産は2.98%増加、国内販売は0.99%増加、7月の設備稼働率は前月比2.0%増加の68%を記録、化学製品輸入は前月比8.4%増加している。

国内市場の化学製品の平均価格は0.26%増加、6月は0.04%増加、今年初め7か月間の国内市場の化学製品価格はマイナス1.4%した一方で、国内生産は0.05%増加、国内販売は1.03%増加、ブラジル製化学製品の輸出量はマイナス4.8%を記録している。

今年初め7カ月間の輸入化学製品の国内マーケットシェアは、42.0%と昨年同期の45%から3.0%減少して、ブラジル製化学製品のマーケットシェアが拡大しているとブラジル化学工業協会(Abiquim)では説明している。

今年第2四半期のブラジルのGDP伸び率が予想を上回ったことは、ブラジルの化学部門のGDP伸び率の上方修正につながるとブラジル化学工業協会(Abiquim)経済戦略担当のFátima Giovanna Coviello Ferreira理事は指摘している。

 

7月の化学部門輸入は57.3%増加の83億ドルで記録更新(2022年8月9日付ヴァロール紙)

ブラジル化学工業協会(Abiquim)の発表によると、2022年7月のブラジルの化学部門の輸入量は、前月比5.8%増加の600万トン以上を記録、前年同月比では13.8%の二桁増加を記録している。

また今年7月のブラジルの化学製品輸入総額は、前月比4.5%増加の83億ドルに達し、月間記録を更新、前年同月比の輸入総額は57.3%大幅増加を記録している。

今年7月のブラジルの化学製品輸出は、前月比9.5%増加の15億3,000万ドル、化学品輸出量はマイナス13.9%の120万トン、今年初め7か月間の化学製品輸入金額は、前年同期比54.5%増加の469億ドル、一方同期の輸出金額は34.0%増加の103億ドル、平均輸出金額は40%増加している。

今年初め7か月間のブラジルの化学製品の貿易収支は、前年同期比70.3%増加の365億ドルの赤字を計上、7月の過去12か月間の貿易収支赤字は601億ドルに達し、記録を更新している。また2022年の化学製品の貿易収支は、650億ドルの赤字が見込まれている。

 

今年5月の過去1年間の化学品貿易は、550億ドルの過去最高の赤字を計上(2022年6月20日付けヴァロール紙)

ブラジル化学工業協会(Abiquim)の発表によると、2022年5月のブラジルの化学部門の貿易収支は、輸入金額は前年同月比16.5%増加の714億ドルに対して、化学品輸出金額は13.4%増加の164億ドル、貿易収支は550億ドルの赤字を計上して記録更新している。

今年初め5か月間の化学部門の貿易収支は、前年同期比59.4%増加の235億ドルの赤字を計上、今年5月の化学部門の輸入総額は、78億ドルに達して赤字幅の拡大を招いている。

今年初め5か月間の化学肥料や農薬などの農畜産関連の化学品輸入金額は132億ドル、医薬品関連は63億ドルに達し、農畜産及び医薬品関連だけで化学品輸入の3分の2を占めている。

今年初め5か月間の化学品輸入量は、前年同期比6.5%増加の2290万トンに達して記録更新、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で世界的な輸送ロディステック問題が在庫調整の足枷となっている。一方今年初め5か月間のブラジルの化学品輸出量は、前年同期比2.6%減少の640万トンに留まっている。