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司会 近藤正樹総務委員長
司会 近藤 正樹 総務委員長
本日は多数ご参集いただき誠にありがとうございます。本日司会を担当させていただきます総務委員の近藤でございます。企画戦略の田中委員長があいにくご出張ということで、本日は失礼させていただきました。
平田事務局長に応援をお願いしながら議事を進行させていただきますのでよろしくお願いいたします。日本語・ポルトガル語の同時通訳のサービスがございますの で、ぜひご利用ください。また、携帯電話のご使用はご遠慮いただきたく、よろしくお願いいたします。それでは各部会の発表に先立ちまして、商工会議所田中 会頭よりごあいさついただきたいと思います。
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開催挨拶 田中信会頭
開催挨拶 田中信 会頭
皆さんこんにちは。本日は当会議所のメインイベントであります業種別部会長シンポジウムに、ご多忙中にもかかわらず多数ご出席頂きして誠にありがとうご ざいます。特に今回は日本の経済産業省から通商政策局赤星康米州課長、本間英一室長、森川純係長、宮本敏央係長、室住由加係長および大熊靖夫特許庁国際課 課長補佐にご参加をいただいております。さらにサンパウロ総領事館からは大部総領事以下経済関係領事にもご参加いただいております。
終 了後、大部総領事には講評を賜りたく、また赤星米州課長はブラジリアでの交渉の関係で遅れて来られることになっておりますが、ごあいさつをお願いすること になっております。また、一言ここでつけ加えますと、ご記憶の方も多いと思いますが、ブラジリア大使館の経済担当公使をやっておられました大竹前公使がタ カタ・ペトリ・ブラジルの代表者として新しいお仕事を担当されるということで今日ご出席をいただいております。そういうことで、本日のご出席はおかげさま で史上最高ということになっております。
古い方達には繰り返しになりまして恐縮でございますが、メンバーがだいぶ入れ替わっておりますので、最初にこのシンポジウムの歴史および内容を簡単にご紹介したいと思います。このシンポジウムは一年2回、年初と年央に11の業種別部会長がそれぞれの業界の回顧と展望を行なうことになっておりまして、今回はブラジル経済2008年を回顧し、2009年の展望を行うものであります。
このシンポジウムは私事にわたり恐縮ですが、1970年代にブラジル経済の奇跡といわれた時代、当会議所に業種別部会制度が発足しまして、私が初代コンサルタント部会長として「業種別部会長懇談会」という名称で開始したものであります。その後、総務委員会、企画戦略委員会が担当として会議所全体の主要行事となり、今日まで30年以上続いている当会議所の看板行事でございます。
当初は、コンサルタント部会長が司会者となりまして、業種別部会長が集まって座談的にブラジル経済を論ずる文字通り懇談会でありました。その後総務委員長および企画戦略委員長が担当する会議所全体の行事となりました。さらに2003年より「開かれた会議所」の基本方針に従い、会員にはもちろんのこと、一般のブラジル社会にも開放し、日本語の理解が難しい参加者のためポルトガル語の同時通訳も用意し、希望者は誰でも参加できるようにいたしました。設立以来継続してきた部会長懇談会という名称も2006年8月3日実施分より「業種別部会長シンポジウム」に変更いたしました。
こ の会議では各業種別部会の代表者からの生の声でそれぞれの業界の直近の動向が発表されます。この発表のため各部会は部会長を中心に自社業績や業界動向を分 析し、その結果を検討整理されますので、各社の経営戦略の決定に極めて役立つものと思います。さらにこのプロセスを通じメンバー会社の親睦にも役立つもの と思います。さらに外部の官庁、企業、学校、研究所など外部機関にとってもブラジルの現状把握に役立つ、数少ない信頼すべきデーターと評価されておりま す。
昨年8月のこの会では、11業種全部会が史上最高の好況に沸き返るような報告でしたが、昨年第4四半期より、世界は一転して、百年に一度という経済危機に落ち込み、先の見通しは極めて不透明であります。その意味で各部会とも取りまとめに苦労されたのではないかと思います。
最後にこのシンポジウムの担当であります総務および企画戦略両委員会、業種別部会および事務局の皆さんのご尽力と、会員各位のご協力に心から感謝の意を表しまして私のご挨拶を終わります。ありがとうございました。
司会:田中会頭ありがとうございました。それでは部会の発表に移ります。田中会頭のお話にもありましたが合計で11の部会がございます。前回は8月でしたので、●●●苦戦しております。現状はどうなっているのか、今後どうなるのか、大変興味深い●●●地域により業界により、また個々の会社により、ぜひそのあたりも含めて情報交換、現状を把握していただけると。
なお各部会の発表時間は約10分を予定しております。質疑応答を含めて15分をめどとしております。パワーポイントの左上の画面に残り時間が表示されますので発表者の方はよろしくお願いいたします。それではご案内のアジェンダに従いまして進めさせていただきます。まずはコンサルタント部会、都築部会長よろしくお願いいたします。
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コンサルタント部会 都築慎一 部会長
コンサルタント部会 都築 慎一 部会長コンサルタント部会の都築と申します。ジェトロの佐々木さんが多忙のため部会長を辞任され、副部会長になられました。その結果部会長を今年から引き継ぐことになりまして、どうぞよろしくお願いいたします。
コ ンサルタント部会は種々のサービスを提供する企業が属しているため、業界としての動向がまとめにくいこともありまして、毎年マクロ経済の回顧と展望につい てまとめて発表させていただいております。今年もブラジルマクロ経済の回顧と展望につき要約してコメントしたいと考えておりますが、昨年の未曾有の世界金 融危機以降、かつてないスピードで実体経済に対する大きな影響が出て世界中で景気の悪化が進行していることなどから、特に金融危機後のブラジルマクロ経済 に焦点を当ててまとめさせていただきます。
次の4点 に分けてコメントさせていただきます。この後に続く他の部会で発表されるであろう項目についてもコメント重複はできるだけ避けたいと思いますが、仮に重複 する点があればご容赦ください。またデータを除く部分については、一般に報道されている政府関係者や専門家の意見、およびコンサルタント部会の意見交換の 会議の結果をまとめております。
まず最初にIMFおよび政府、金融界、経済成長見通し。次にブラジル政府経済政策、どんなものが出ているのか。それからそれを分析するにあたって経済の動向を考えるにあたってのポイントを考えてみたいと。そしてコンサルタント部会の結論を申し述べたいと思っています。
まず、国際通貨基金は1月28日に新たな経済の見通しを発表しましたが、昨年11月の2009年の経済成長見通しを当初2.2%としていたものを0.5%に下方修正し、戦後最悪の成長率と予測しております。先進国はマイナス成長、そして新興国、中国、インド、ブラジルはプラスの成長ではあるもののやはり大幅な下方修正となっております。平均では、新興国は11月時点では5.1%の経済成長率であったものが3.3%に先月修正されております。
これを国別で見てみますと、経済成長予測は、ブラジルは3%から1.8%へ下方修正されています。一方ブラジル中銀の発表データでは、2008年の公式経済成長率はまだ最終3カ月のデータがそろわないため正式な数値は出ておりません。ただし、5ないし5.5%ぐらいであろうと予想されております。第3四半期の成長率が対前年同期比で6.8%であったことを考えると、ここに出ている2009年の数字というのは大幅なダウンとなっています。
また、国内の2009年の経済成長予測も大方悲観的であり、次々と下方修正するようなことになっており、現在2%以下の予想数値が多いというふうに言えるかと思います。というわけで2009年はブラジルも引き続き世界金融危機の影響に翻弄される年になりそうです。ただ振り返ってみると、金融危機以降を分けて考えれば、2008年のブラジル経済は2007年の5.7%の成長率に続き成長を維持してきたと言えると思います。
好 調であったという理由としては政府の低所得者への所得増大政策が消費を拡大し、それが工業生産の促進につながり、そして雇用の増大へと好循環に回転し、海 外からの投資も増大したこと、それからまた分割払いの期間の拡大など個人融資がさらに拡大して消費を上昇させたことも大きな理由として挙げられると思いま す。
また国際的な資源獲得競争から鉄鉱石や大豆、さとうきびなどの農産物の資源大国としてのブラジルが見直され、これらの分野に内外の投資が増大して好調経済への追い風になったということは皆さんご承知の通りです。
経済成長率は、グラフで表しますとかなりアップダウンがあるんですが、2007年に増えまして、2008年度、世界経済金融危機後で下がった関係で5.5%という数字ですが、ここに書いてございますようにまだ確定した数字ではないということです。次にブラジルの金融危機後の経済状況や政府の政策などについて振り返ってまとめてみたいと思います。
昨年9月 の国際金融危機はブラジルの金融機関がダメージをあまり受けなかったことから、当初は影響も限定的ではないかとの見方も多かったんですが、為替はレアル通 貨安に大きく動き、また短期金融市場の流動性リスクが高まり、中小企業の資金融通が困難になりました。この辺は日本と似ていた、世界的に同じような傾向 だったと思います。また企業も外貨建て融資を受けるのが困難となり、中銀が市場への資金供給、外貨建て融資を行いました。この辺は金融部会からより詳しい 説明があると思います。
その後融資の縮小などから急激に自動車販売が落ち込み、また海外の需要減から急速に輸出が落ち込んだことからブラジルの実体経済にも影響が出始め、ブラジル政府、中銀はG20の合意内容に基づき国内需要刺激の一連の措置を次々と発表しました。
ま ず、そこに書いてございますように、金融政策では今申し上げた市場の流通性確保のため市中銀行の預金準備率の低下を図り、公的金融機関、ブラジル銀行、カ イシャ・エコノミカ、BNDESなどを通じて運転資金の融資、外貨建て融資、農業融資、自動車・建築資材などの消費者融資の拡大を行いました。
また過熱気味の経済によるインフレに対する警戒から中銀は2008年に、先月13.75%まで上げた基準金利を世界金融危機後も当初維持してきたものの、実体経済に対する影響がはっきりと現れてくる中で12.75%に下げました。その結果、市中金利を低下方向に誘導するのが目的であるんですが、この辺どうなっていくのか、ご存知のように支払い遅れの個人・法人も多いことでその辺の実際にどのぐらいまで下がるのかというのはまだ不透明なところがあります。
確かに不動産価格などを見てみますと、民間の研究機関の発表では、昨年1平米方あたりの住宅価格は36% も上昇したということで、バブル的なところもあったのかということで、金利を高めに備えていた中銀の政策というのはそれなりの根拠があったのだろうと考え ます。そして今、今週か来週といわれていますけれども、さらに住宅取得の融資の限度額を拡大し、それからフンド・デ・ガランチーアと呼ばれています公的管 理退職基金をその取得の一部に充てることができる、その辺の利用拡大を目的とした追加景気刺激策も発表されることになっています。
総額では一応ブラジルは、パッケージでどのぐらいという発表をしないで、それぞれ追加政策の形で出しておりますので、報道では総額いくらの刺激策というふうには出ていないんですが、大体今までの金融政策で中銀が発表している段階では1891億レアイスというふうに言われています。
次に財政政策ですが、公共工事への投資拡大、特にPACと呼ばれているルーラ政権の柱の一つである経済成長促進計画への融資の拡大ということが発表されています。具体的には1,420億の追加投資を行うと。ただ、このPACは遅れ気味になっていまして、実際のところ前倒しという形で資金が出て行くのかどうなのかはっきり分からないんですが、方向としてはそういうことで当初の予算にさらに1,420億ドルを追加すると、今年中ですね、というふうなことが言われています。
それで計画の促進を、遅れ気味のPACの政策の促進を行っていくと。それから個人消費の増大を目的とする税制改正が去年●(?)●になりました。これも84●(?)●億レアイスのインパクトがあるという大蔵省からの発表があります。主に個人所得税の累進税率の累進度緩和および自動車等の工業製品税の軽減、それから融資に関わる金融取引税の軽減などにより個人消費の増大を目的として行われます。
また今後、連邦政府段階では、新規投資への規制負担軽減などを図る措置が現在スタディーされています。さらに各州も公共投資計画の実行、ICMS税の納付期限の延長および州立銀行を通じての融資の拡大等企業救済策を発表し始めています。サンパウロ州も2日前に発表しまして、何項目かについては18%の税率を12%に下げるということをセーラ知事が発表しています。
さらにもう一つ、現政権のもう一つの柱である社会政策の継続と。特に最低給与のインフレ以上の増額を通じての低所得者の可処分所得の増加、および失業保険期間の拡大、これはどこか、業種にもよるんですけれども、5カ 月分をさらに拡大すると。それからボルサ・ファミリアといわれる貧困家族への助成金という、この辺の刺激策、これは今後も継続するということで、特にこ の、最低給与のインフレ以上の増額はやはり今までとってきた政策がプラスに働いているということもあり、実績が出ていますけれども、さらに210億レアイスのインパクトが市場に与えられるだろうということが労働省の計算では発表されております。
トータル、それを加えますと、正確ではないんですが、3,600億レアイス、ドルに換算しまして1,560億ドルぐらいの通過供給量の増大を目指すということで行われております。今回、総じて政府の対策は比較的すばやく行われていると言っても過言ではないと考えます。
次 に今後のブラジル経済の行方を考えるにあたってのポイントを整理してみたいと思います。まずポジティブなファクターとしては、今申し上げた政府がとってい る個人消費刺激策。それから、それに安定した政治情勢、特にルーラ政権の人気は日本と比べると正反対で落着いているということで、労働争議なども多少起き ているようですけども、それほどそれが政治を揺るがすほどの問題には至っていないと。それから、去年もそうでしたけれども、抑制目標内で収まりそうなイン フレ率というポジティブなファクターが挙げられると思います。
次 にネガティブファクターですけども、ネガティブファクターとしては失業者の増加が現実の話として出てきています。特にインテリオールと呼ばれる地方都市経 済は、そこに進出する工場等の生産や消費等に依存する度合いが強く、これらの工場が閉まったりするとその都市全体の経済が崩壊してしまうというふうな危険 もある訳で、失業者の増加はきわめて問題であると。
資料1。これは労働省の中から出てきている資料なんですけれども、12月にものすごく失業者、これは新規雇用者と失業者の数字が登録されている数字を発表していますけども、これを足し算して月度で増えたか増減を表しています。そうしますと12月には65万5,000の人が職をなくしたという結果が出ておりまして、これも統計を取り始めて2カ月でこんなに落ちたのは初めてという結果が出ております。
12月は毎年20万人を超える、いわゆる短期労働者の方のクリスマス商戦が終わったところでの解雇があるため、実際には40万ぐらいの人が職を失ったということが言えるのではないかということで、このデータは1月はまだ出てないんですけれども、さらにどういうふうな形になるのか、注視する必要があるかと思います。
それから支払い遅延者、これはやはり景気が悪くなると当然出てきまして。支払い遅延企業の年初からの累積でもってどのくらい増えているのかというのを同時期前年と比較した数字ですけれども、12月までの分で2008年、4.8%の増加を示しておりまして、これもかなり大きな数字で、これも今後増えて行くであろうということで、やはり注視していかないといけない数値であるというふうに考えております。
それから一番やはり話題になりました資料3、工業生産指数、これが去年の12月に前月比の12.38%の落ち込みを記録しまして、これも始まって以来の記録的な数字であると。これはIBGEというところから出ている数字ですけれども、この数字については、ゼツリオ・バルガス大学調べでは工業界の半分の業種において1月に入り製造能力使用率の多少の回復が見られ始めたと報じております。ただ、企業の在庫生産調整は続いていることから、失業者の増加はさらに増えることが危惧されているということです。
次 に、ブラジル経済への影響がマイナスに大きく働くのか、または影響は限定的なのか、不確定である要因としては米国経済の動向であるとか、コモディティー価 格、特に農産物の国際価格が上昇に転じるのか、また経常収支赤字基調で今後推移していくのか、また輸出不振を反映して輸出大手企業の業績悪化による負の波 及効果などの懸念があるということが挙げられると思います。
特に国際収支では金融危機後にやはり輸出が大幅にダウンしております。面白いのは直接投資が、この後お見せしますけれども、それほど減っていないんですが、1月の貿易収支だけを見ますと貿易収支では初めて約5億ドルの赤字ということで、日本経済のサンパウロ支局の壇上さんの調べでは単月ベースで8年ぶり、2001年3月以来ほぼ8年ぶりの貿易赤字転落であるというふうに書いておられます。
世界的な景気後退を受けた鉄鋼半製品や自動車の輸出減が響いていると。1月の輸出額は前年同月比22.8%減、輸入は12.5%減で輸入の減少より輸出額の減少が多くなっているということです。ブラジル政府は貿易収支悪化を懸念しており、輸入申請許可制を発表しましたが、保護貿易の台頭を懸念するG20声明に沿い直ちに撤回をしたということがあります。
ここにありますのが国際収支の金融危機前と金融危機後の比較です。貿易収支はそこに書いてございますように2009年 には輸入が増えています。それ以外の数字はまだ中銀から発表されておりません。そこにサービス+所得収支とありますけれども、所得収支というのは主に利益 配当です。日本では利益配当を受け取る方なんですけど、ブラジルの場合は多国籍企業が送る傾向がありますので、この数字はかなりいつも高いと。特に景気が 良かった去年は配当金額が多かったと。ただし10月から12月にはその前の第3四半期と比較すると減っているということが言えると思います。
次に資本収支ですけれども、そこにございますように対内直接投資、外からブラジルに対する資本等で入ってくるお金ですけども、インターカンパニーローンも入るんですが、これは●●ございますように141.31から142.09とほぼ同じ金額で推移しております。さらに間接投資、間接投資というのは証券投資ですけれども、この金額が大幅に減っております。
こ れはご承知のように金融危機後、その前から少しずつ資金の引き上げが行われていましたけども、その後はブラジル市場の株式市場であるとか、国債を買うと か、入るよりも出て行った方がこれだけ多いということです。その他為替の変動等がございますけれど時間の関係もありますし、金融部会の方からも話があると 思いますので、我々の結論を述べさせていただきたいと思います。
結 論は、ブラジル金融機関はダメージがあまりないものの、実体経済への影響は輸出、特に工業製品・半製品の輸出落ち込みに顕著に現れてきていると。世界経済 全体の悪化から特に穀物を除き、輸出の大幅な減少は避けられないため、国内消費の回復に期待せざるをえないだろうと。というわけでブラジルは先進諸国に比 べ国内消費の落ち込みは限定的とする見方も多い。次々と打ち出される政府の金融政策、財政政策が第2半期には消費の回復につながり、雇用の悪化に一定の歯止めがかかることを期待したいと思っております。
ま たここしばらくは企業の収益環境は悪化するであろうが、内需の低迷を背景に企業は急ピッチで生産・在庫調整を進めていることから、今後収益を生み出すよう な構造改革の成果が出るようなことを期待したいということです。次に、我々コンサルタント部会、人・物・金ということをどのようにそういう意味で守って行 けばいいのか皆さんと一緒に考えて行きたいというふうに思っています。よろしくお願いいたします。
また、ジェトロさんの話では金融危機以降も日本からお見えになるお客さまは減っておらず、現在20社 を超える企業が進出を予定しているということです。危機こそチャンスということもありまして、ブラジル市場に積極的な姿勢がビジネスの機会をつくることも あることを忘れないでほしいというのが多くのコンサルタント部会のメッセージですと。最後に松下幸之助さんのお言葉をお送りしてコンサルタント部会の発表 を終わらせていただきます。不況もまたよし。不況の時こそ会社の問題がよく見える。どうもありがとうございました。
司会:都築部会長、詳細かつ多くを網羅したご説明ありがとうございました。ご質問ございますでしょうか。それでは次に参ります。金融部会山崎部会長よろしくお願いいたします。
プレゼンテーション資料: コンサルタント 部会
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金融部会 山崎展生 部会長
金融部会 山崎 展生 部会長こんにちは。金融部会のブラデスコ銀行の山崎でございます。高い席から失礼いたします。よろしくお願いいたします。
2008年の回顧と2009年 の展望ということでお話をさせていただきたいと思います。コンサルタント部会さんと非常に重複するところも多いんですけれども、一応通例に従いましてマク ロ経済の回顧、それと銀行部門の回顧、続いてマクロ経済の展望、最後に保険部門の回顧と展望という形で進めさせていただきます。なるべく早口で時間内に収 めたいと思いますのでよろしくお願いします。では1ページ目お願いします。
まず簡単に2008年の政治面での動きについて触れさせていただきます。様々な疑惑などの政治的混乱はあったんですけれども、10月に実施された全国の市長・市議選挙では連立与党のPMDBが勝利。26州都の結果で見ますとPT、PMDBが他党を圧して同数を獲得ということで与党勢力の底堅さが確認されました。一方PT候補が敗北したサンパウロ市長選挙は2010年の大統領選挙をにらんでのPSDBのセーラ州知事の影響力が強まる結果となりました。
一方世論調査によるルーラ大統領の支持率は3月に73%、6月に72%、9月に80%、国際金融危機後の12月においても84%と上昇傾向にあります。これは今までの福祉政策の実現に加えまして、国際金融危機に政府がよく対応しているという評価、支持率が62%だそうですが、こちらが背景かと考えられます。続いて経済面についてお話をします。
2008年の前半は米国のサブプライム問題など国際金融危機の兆候はありましたけれども、デカップリング論に象徴されるようにブラジル、中国、インドなどの新興国を中心とした世界経済の拡大が続いて、投機マネーの動きもあって資源価格も上昇が続いていました。
大 資源国であるブラジルは資源価格高の恩恵を受ける形で貿易収支黒字、対内直接投資の拡大などによって外貨準備を蓄積、堅実な国内経済運営の結果としてのイ ンフレ抑制とそれにともなっての金利低下による内需主導の経済成長ということで投資適格国になりました。しかしながら、9月のリーマンブラザーズ破綻に始まった国際金融危機によって、米国を起点に急速かつ大規模な信用収縮が発生しました。
米国消費の急激な冷え込み、欧米通過の急落、資源価格の急落を通じて世界の実体経済に影響を与えまして、2008年後半には世界同時不況、新興国では資本逃避があいつぎまして十分な体力がなかったアイスランドやパキスタンはIMFの金融支援を受け、エクアドルは債務デフォルト宣言をするという形に至っています。
ブラジルでは国外からのファイナンス縮小によって国内金融市場が縮小、内需拡大の牽引エンジンであった金融機関貸し出しの伸び率にブレーキがかかりまして、特に耐久消費財を中心とした国内消費が冷え込みまして、労働需給にも影響を及ぼす状態になっています。
ま た世界的なファイナンスの縮小によりまして、株式市場からの外国人投資家の流出、コモディティー価格低下を経由しました輸出減を通じて為替レートも影響し まして、大幅なドル高レアル安をもたらしています。しかしながら十分に積み上げられた外貨準備と中央銀行の適切な対応によって国際金融面での混乱は回避さ れています。統計数字で確認したいと思います。
まずGDP成長率の予測値は前年同期比、一応プラス5.6%を予測しています。世界の主要国がマイナス成長に転じました第3四半期まで個人消費、設備投資に牽引されて堅調に推移したことが理由でこの数字に着地する見込みです。インフレにつきましては、消費者物価指数(IPCA)は通年で5.9%となりました。年央には食品価格であったり、燃料価格の上昇によりまして6%を超えるという予測もありましたけれども、年後半の資源価格急落、景気後退によってインフレターゲットの範囲内に収まるという結果になりました。
続きまして期末の政策金利、SELIC金利ですけれども、こちらは13.75%になりました。年初からの物価上昇に対応して中銀は4月以降順次金利引上げを実施しまして、9月に13.75%となり、しかしながら以降、国際金融危機にともなってインフレ懸念が後退したこともありまして年内は据え置きで推移しました。
貿易収支は暫定値で247億ドルの黒字と前年比で37%の減少となっています。これは9月までレアル高にともないまして輸入が非常に増加したこと、それから9月以降資源価格の下落、世界同時不況による輸出の低下が要因と考えられます。貿易収支の減少と9月までのレアル高による外国企業の親会社への配当送金などによりまして経常収支は283億ドルの赤字になりました。
国際金融危機にともなう国外からの証券投資の大量引き上げもありましたけれども、中銀は無理な介入をせず為替レートが切り下がることを容認したため、外貨準備高は2,068億ドルと対外債務に匹敵する水準に温存され国際金融面での混乱を回避する一因となっています。
一方為替レートは年の前半好調な資本収支に支えられて8月1日にピーク、1ドル1.559レアルをつけましたけれども、国際金融危機によって急落、年末は1ドル2.337レアルとなりまして年間で31.9%の下落率となりました。またBOVESPA指数につきましては5月29日に7カ月●●●73,920。終値ベースでは5月20日に73,816という高値を記録しましたが、9月以降国際金融危機の影響で株価下落、年末では37,550となりまして年間で48.5%の下落となりました。EMBI+指数は株価●●175bps●●●●していましたけれども、年末では428bpsと前年末比93.7%●●上がったと。
続いて金融面についてご説明いたします。2008年 の後半には米国発の国際金融危機によりまして国内銀行はドル資金調達に苦しみました。同時に国内金融市場が縮小しましたので中小金融機関を中心に生き残り のための資産売却、あるいは合併等の動きが活発化。集中化が進みまして、金融界の状況も大きく動きまして、その結果としてのイタウ、ウニバンコ両行の大型 合併もありまして、国内金融機関は国内民間系のイタウ・ウニバンコそれとブラデスコ銀行、で政府系はブラジル銀行、また外資系のサンタンデール銀行の4強が競う場面となっています。
こちらの結果、貸出等の数字ですが、設備投資の増加にともなって法人向けの貸出増加がありました。あるいは所得向上、低金利を背景として個人ローンが増加しておりました。ということで2008年枠の銀行貸出総額は1兆2,274億レアルということで31%の拡大となっております。ちなみに2009年の予測は15%の拡大という予想でございますので、ちょうど半減するという動きと。
貸出スプレッドにつきましては、国内金融市場の急激な縮小によって資金の需給バランスが崩れたこと、それから世界同時不況による●●の高まりを受けまして拡大しております。2008年枠の平均スプレッドは法人18.3%、個人は45.1%となっております。一方延滞債権比率ですけれども、法人は2008年は1.8%と2007年比0.2%の低下を見せています。しかしながら個人につきましては、申し訳ございません、こちらの数字が間違っておりまして、増減のところ、こちらを1.1%と直していただけましたらよろしくお願いします。
個人の延滞債権比率8.1%ということで前年比1.1%悪化しております。世界同時不況が悪影響、雇用で悪影響を及ぼしている中で今後も上昇傾向にあるように考えられます。金融機関は貸し倒れ引当金の積み増しなどの対策によって●●●●●●。続きまして2009年の展望についてお話ししたいと思います。
まず政治面につきましては現職のルーラ大統領が出馬しない2010年の大統領選挙を展望した次期大統領選挙戦を視野に入れた政策が行われるものと考えられます。さらに世界同時不況●●●●中央銀行による金融政策、国営銀行を通じた資金補強、減税等の財政政策を●●●市場需要の拡大策を取るものと考えられます。
世界経済は、各国が総需要の拡大策を打ち出しておりますけれども、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●という見方が大勢を占めております。ブラジル経済におきましても世界同時不況の影響を受けて低迷することは避けられず2009年のGDP成長率は1.8%の成長が見込まれています。
成 長に大きくブレーキがかかった形になりますけれども、世界の主要国はマイナス成長であることを鑑みますとブラジル経済の底堅さを表わしているとも言えると 思います。また他国比金融セクターの痛みの少ないブラジルは最も回復の早い国のうちの一つという見解が多くあります。金融セクターについて申しますと2009年は、先ほど申しました不良債権のマネージが非常に大きな課題となると思われます。
ほかの指標ですけれどもインフレ率は経済活動の低下、資源価格の低下を受けて引き続き低下傾向にあり、4.8%のインフレ率が見込まれています。政策金利はインフレ率が下がっていく中で総需要拡大のための金利引下げがあると考えられていまして、年末の政策金利10.8%。貿易収支につきましては資源価格の下落、同時不況の輸出減少などの影響を受けまして141億ドルの黒字。
為替レートは、まあ一旦国際金融危機による資本流出は一段落したと考えられますが、ほぼ横ばいながら若干のレアル高ということで1ドル2.29レアルというふうに予想されています。次のページお願いします。
今申し上げたのは主要銀行が集計している市中の各金融機関の予測数値の平均です。こちらが当部会に所属しております4つの銀行、金融機関の見通しということで、金利につきましては6月末で10.25%から11.5%のレンジ。12月末では9.5%から10.75%のレンジ。為替は6月末で2.27から2.3。12月末で2.2から2.4の範囲というふうになっております。続きまして保険業界の発表をします。
2008年の回顧につきましては2008年12月末の保険監督当局の統計に基づいて2008年の保険業界を振り返りますと、全保険種目の収入保険料は前年比15.0%増と二桁の増率を示しています。上期に伸び悩みました任意加入の自動車保険、前年1-5月比6.6%増につきましては10月ごろまで好調であった自動車販売に支えられて通年では12.8%の増加となりました。
しかしながら自動車保険の厳しい競争環境は続いています。自動車強制保険であるDPVATにつきましては28.3%の増加になりました。また収入保険料に占める支払い保険金の割合である損害率については、全保険種目の損害率は53.2%と前年同期比で0.3pt悪化とほぼ横ばいでした。種目別には自動車保険損害率は68.3%で2.8pt、火災・新種保険は36.5%で0.9ptの悪化、運送保険は61.1%と2.0pt悪化と、損害保険種目における悪化が目立っています。生命・傷害保険は38.3%で3.2ptの改善となりました。次のページお願します。
2009年 の展望ですが、保険マーケットの展望としては楽観的な見方も一部には存在しますが、厳しいマーケット環境が続くものと予想されています。再保険市場の自由 化にともないまして、国際的な再保険マーケットの影響を受けやすくなっております。金融危機にともない再保険マーケットは資本強化を目指しハード化、業率 アップの傾向を示すと考えられております。
一 方、自動車販売台数の落ち込み、オートクレジットに対する与信制限、国内経済の減速といった影響によりまして保険マーケットの実質成長の余地は限定的と予 想されています。全体的にこれまでの競争による収益性の悪化も観測されております。保険業界再編の可能性につきましては、主として銀行が規模を大きく求め る再編にともなうもの、例えばイタウ・ウニバンコの合併など銀行がひとつありまして、他に銀行が資本規制の相対的に厳しい保険業を手放すといったシナリオ は考えられますけれども、資本調達が困難な状況を鑑みますと外資の参入も含めた活発な活動が行われるとは考えにくくなっております。以上でございます。
司 会:山崎部会長ありがとうございました。何かご質問ございますでしょうか。ご遠慮をなさらずにもしございましたら。では私の方からひとつ。ブラジルの金融 セクターは比較的良好だと言われてますけれども、そのように評価してよろしいんでしょうかということと、あと政策金利が下がるということですけれども、実 質の貸し出し金利、これが本当に下がるのかということと、スプレッドの動向ですね、この辺につきまして説明していただければと思います。
山崎部会長:ブラジルの金融セクターにつきましては、まず自己資本比率が、例えば14%程度ということでですね、押しなべて14% 程度ということで自己資本が厚いというところがまず一番の景気是正の下支えになっていると。それに加えまして各国で問題となりました特に不動産向けの融資 の伸びといったものが少ないというところで、やはり貸出のポートフォリオ悪化の影響が限定的であるということが言えると思います。
二 つ、大きな要因として金融セクター自体は比較的健全というふうに言えると思います。政策金利につきましてはですね、まあ総需要を上げるということで金利引 下げが予想されています。貸出金利につきましてもですね、まあそれとスライドする形で動くのではないかというふうに予想されておりますけれども、それに反 対の圧力としましては先ほどご説明をさせていただきました不良債権比率のアップ、こちらが、やはり各行とも、ブラジル銀行等の発表ありましたけれども、貸 し倒れ引当金の積み増しを行っているというところはありますし、その分で危険率というか危険コストとしてのスプレッドが拡大して行く可能性はあると。まあ 全体が下がるので、基本的には少し下がるんではないかというふうに考えております。
実際スプレッド自体は各セグメントが、先ほど個人と法人の差を二つ出しましたけれども、やはり個人と法人では大きな貸出スプレッドの差が存在しています。法人の平均で18.3と個人は45.1、 まあそういった意味ではセグメントに分けられて、例えば法人の中ではより細かく分けて安全な●●●、健全な企業さんに対するスプレッドは非常に●●、まあ 適性な水準で、そうでないところに対しては逆に●●といった形でセグメント化とそれに応じたスプレッドの応用というものが今後とも逆に金融機関側の課題に なるというふうに考えます。以上です。
司会:ありがとうございました。他にご質問ございますでしょうか。それでは次に参ります。貿易部会伊藤部会長お願いいたします。
プレゼンテーション資料: 金融 部会
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貿易部会 伊藤友久 部会長
貿易部会 伊藤 友久 部会長こんにちは。貿易部会の伊藤です。貿易部会からは2008年のブラジルの貿易動向を中心に発表させていただきます。
開発商工省貿易局の統計データによりますとブラジルの2008年の輸出総額は1,979億4,200万ドル、輸入総額は1731億9,700万ドルと過去最高を記録しました。一方で貿易黒字は黄色の折れ線グラフの通り前年400億3,200万ドル比38.2%減の247億4,500万ドルとなり2年連続で減少しております。貿易黒字の大幅な減少理由としましては、第3四半期までの旺盛な内需による輸入の増加、金融危機の深刻化による10月以降の輸出の減少が挙げられます。特に12月はレアル高で輸出が伸び悩んだ3月に続き2008年で2番目の前年同月比減となりました。
2008年の輸出総額は前年比23.2%増の1,979億4200万ドルでしたが、カテゴリー別では一次産品が41.5%増の730億2,800万ドル、半製品が24.2%増の270億7,300万ドル、工業製品が10.4%増の926億8,300万ドルと全てのカテゴリーで最高記録を更新しました。表には記載されておりませんが数量ベースでは年前半のレアル高と後半の外需の低迷によりまして工業製品は9.8%減となっています。
一次産品の主要輸出品目別に見ますと、鉄鉱石が56.6%増の165億3,900万ドル、原油が52.2%増の135億5,600万ドル、大豆が63.2%増の109億5,200万ドル、鶏肉が38%増の58億2,200万ドルとなっております。8月ごろまでの旺盛な外需、価格高騰が影響して金額ベースでは軒並み増加しています。
またこれも表に出ていませんが数量ベースでは鉄鉱石では対世界では4.5%増の2億8,168万ドルと微増でしたが、特に10月以降の需要減により中国、イタリア、フランス向けなどは前年比減となりました。原油も対世界では2.8%増の微増でしたが、国別一位の米国向けは8.8%減となっています。一方米国企業の原油ターミナルがあるカリブ海のセントルシア向けは前年に続いて2位で161.4%増の大幅増です。また国別3位の中国も32.7%増で290万tとなっています。
輸出産品の第2位となっている原油につきましてもう少し触れさせていただきます。この表は2007年末の原油埋蔵量を表わしたものです。サウジアラビアの2640億バレルが1位、以下イラン、イラク、クウェートと中東各国が占めますけども、ブラジルはわずか126億バレルに過ぎません。
しかし最近ペトロブラスが所有するブラジル国内の確認済み埋蔵量は1,027億 バレルとして発表されました。これはプレ・サルと呼ばれる深海海底油田も加えたものですが、事実とするとクウェートと肩を並べるレベルになります。すなわ ちプレ・サルの生産については多額の設備投資を必要とするものの、この生産が実現すれば輸出産品としての原油はこれまで以上の伸びが期待されることになり ます。
3位の大豆の輸出額も危機が深刻化する以前の国際価格の影響が大きく、数量ベースでは3.2%増の2,450万tに留まっています。国別の輸出額では中国、スペイン、オランダ、タイの順に多くなっています。鶏肉も金額では58億ドルと38%伸びていますが、数量ベースでは8.7%増と前年よりも伸び率は落としております。ちなみに鶏肉の国別輸出額では日本、サウジアラビア、香港、ベネズエラ、アラブ首長国連邦が上位を占め、日本とサウジアラビアでそのシェアは32.5%を占めています。
次に半製品輸出にいきますと、鉄鋼半製品が71%増の40億200万ドル、パルプが29.5%増の39億100万ドル、砂糖が16.6%増の36億5,000万ドル、鋳鉄・銑鉄が68.5%増の31億4,500万ドルとなりました。数量ベースでは、上位品目は大半が微増にとどまっていますが、鉄鋼半製品は韓国、台湾、インドネシア向けなどが急増し、11.1%増となっています。
工業製品では世界第3位の航空機メーカーであるエンブラエル社が輸出する航空機が16.5%の54億9,500万ドルで1位となりました。輸出先は1位から米国、オーストラリア、英国、中国の順で、日本航空が購入したエンブラエル170の引渡し式も11月に実施され、現在は日本の空を飛んでいます。
2位以下の品目は乗用車が5.6%増、自動車部品が10.2%増、送受信機・同部品が8.4%増、エタノールが61.8%増と続き、数量ベースでは航空機とエタノール以外は減少しています。
乗用車の輸出額はアルゼンチン、ドイツ、メキシコ、ベネズエラの順に多くなっています。対メキシコでは自動車協定により2007年以降完全自由化されていますが、年前半のレアル高で前年比23.7%減となったほか、ベネズエラ向けも79%の大幅減となりました。自動車部品の輸出額はアルゼンチン、米国、メキシコの順に多くなっています。
エタノールの輸出額は各国向けに順調に伸びており、1位の米国は105.1%増で7億5,700万ドル、ついでオランダは82.4%増、ジャマイカは59.4%増、エルサルバドルは77.3%増となっています。エタノールということでちょっと脇にそれますと、米国は引き続きブラジル産エタノールにガロンあたり54セントの関税をかけています。
一方で通称CBIと言われるカリブ海沿岸イニシアチブによりカリブ海諸国からのエタノール輸入について域外にあるブラジルの原料を利用してもカリブ海諸国で含水エタノールの脱水処理加工をした場合、米国内消費の7%までは無税となります。ブラジルからジャマイカ、エルサルバドルなどへのエタノール輸出が伸びている背景はここにあります。2008年はこのCBIにより、バージン諸島への輸出も312.5%●●●●。
ブラジルからの輸出についてまとめますと、一つ、ブラジルは資源の輸出大国というイメージが大きいですが、実際には工業製品が総輸出に占めるシェアは5割近く、原油依存度の高いロシアなどに比べるとブラジルの輸出というのは非常に拡散されていると言えます。また金額ベースでは年前半の資源高を反映して通年でも大きな伸びが記録されたということになります。
次に輸入について見ていきます。2008年の輸入総額は前年比43.6%増の1,731億9,700万ドルでした。カテゴリー別では資本財が43%増の359億2,900万ドル、原料・中間財が40.2%増の832億7,700万ドル、消費財が40.5%増の225億2,500万ドルと全て4割以上の伸びを記録しました。
資本財では工業用設備・機械が49.4%増の109億9,000万ドル。事務・科学機械が28.8%増の70億8,500万ドル。工業用資本財部品が22.5%増の54億2,000万ドルとなり、いずれも3割以上かそれに近い伸びを記録しました。
ブラジル地理統計院によると2008年11月の季節調整済みの工業生産指数は前月比で6.2%減、前年同月比では5.2%減となっています。したがって輸送機部門を中心とする9月までの好調な生産活動が資本財の輸入増につながったと見られます。
消費財を見ますと依然として耐久消費財が伸びが非耐久消費財の伸びを上回っております。年後半は主に金融機関の融資への態度慎重化により低下しましたが、通年で見ると国民の購買力向上が示された年となりました。耐久消費財では乗用車が71.9%増、家庭用機械・装置57.7%増でした。乗用車の輸入相手国は1位からアルゼンチン、メキシコ、韓国、ドイツとなっています。
次に貿易の相手先について見てみたいと思います。まず輸出相手国は上位から米国、アルゼンチン、中国となっており、この順位は2005年から続いています。ただ米国は一桁台の伸び率にとどまっています。米国向けの輸出について言えば、この棒グラフの通り輸出額全体は毎年微増ではありますが増加しています。ただ伸び率は非常に低く結果として全体に占めるシェアは6年連続で低下しています。
ルーラ第一期政権開始の2003年 より脱米国市場が進む一方で、その他新興国への輸出が増えていることが分かります。脱米国市場が進んでいることは、米国のリセッションからブラジルが受け る影響の減少要因になっていますが、一方米国は依然輸出相手国の第一位であり、上位品目が原油、航空機など外貨獲得の要であることから、米国経済が一層失 速すればブラジル経済のリスクも高まると思います。
輸出国二位のアルゼンチンでは前年比22.1%増で自動車関連や携帯電話など工業製品を中心に好調な輸出を維持しています。2008年5月にはアルゼンチンとの自動車協定交渉が決着し2014年7月からの完成車の完全自由貿易が実施されることになっています。中国向けは大豆、原油、大豆油など輸出額の大幅増益、52.6%増を記録しました。
中国向け鉄鉱石の伸びは大豆等ソフトコモディティーに比べれば低く31.7%。ロシア向けでは牛肉が引き続き好調であるほか、タバコ、大豆油も大きく伸びて全体では24.4%増の46億5,300万ドルとなりました。しかし両国向けとも11月12月の輸出額は11月以前より大幅に減少しております。中南米域内ではメルコスールへの正式加盟が決まっているベネズエラがアルゼンチンに次いで多くなっています。
輸入相手国について見ますと中国、韓国、インド、台湾などとアジア勢の高い比率が目立ちます。中国からの輸入では2007年と同様、集積回路、パソコン部品、液晶画面などが上位を占めているほかコークス、携帯電話の急増も目立っております。韓国は59.6%増の54億1,200万ドルとなり、品目別では前年2位の自動車が前年比141.1%増の7億4,700万ドルで1位となりました。
2位以下の品目は電子部品、半導体、液晶画面と続いています。インドからの●●です。糸、繊維、医薬品などの輸入が伸び、64.3%増の35億6,400万ドルとなりました。対インド貿易では2004年1月のルーラ大統領初の公式訪問を契機に2005年以降急速に増加しています。現在メルコスール・インド間の特恵関税協定も発効に向けて各国で批准が進められています。
最後に、台湾からは半導体ほかディーゼル油、電子部品が大きく伸びました。輸入額3位のアルゼンチンからは二国間の自動車協定を活用した乗用車の輸入が最も多く、44.7%増の23億8,800万ドルとなっています。ブラジルが輸入に依存する数少ない食料である小麦は、数量ベースではアルゼンチンよりは24.8%減の423万tでしたが、金額ではアルゼンチン政府による輸出税の引き上げ等により8.4%増の12億6400万ドルとなりました。2009年は旱魃によるアルゼンチン産小麦の不作が確実となっておりまして、政府は現在ロシアからの輸入に向けた交渉をはじめています。
対日貿易。2008年の対日貿易は輸出が前年比41.5%増の61億1,500万ドル、輸入が47.7%増の68億700万ドルとなり、対日両国の貿易額は初の100億ドル突破となりました。ブラジルの貿易額に占める日本のシェアは輸出が3.1%、輸入が3.9%で、国別順位としては輸出が前年の8位から6位、輸入も6位から5位へと上昇しました。また2007年に入超に転じた対日貿易収支は2008年も6億9,200万ドルの赤字となっています。
対日輸出品目では鉄鉱石、鶏肉、アルミニウム、合金、コーヒーが上位を占めています。鉄鉱石は年前半の価格高騰で輸出額は69.3%の大幅増となりましたが、数量も14.6%増で3577万トンとなりました。鶏肉も年前半の大豆・とうもろこしなど飼料価格の高騰による価格の上昇で輸出額は201.4%増となっています。
先 ほどブラジルは工業製品の輸出も多いと申し上げましたが、こと対日輸出に関して言えばこの通り資源、食料がほとんどとなっています。輸入の上位品目は自動 車部品、自動車エンジン部品、乗用車、ベアリング・歯車など自動車関連を中心に順調に伸びています。年前半のレアル高に加え、危機の影響の顕著となった10月までの日系の二輪、四輪、部品メーカーの生産活動の拡大を反映していると思います。
2008年の対日貿易を総括すると米国格付け会社による投資資格の投資適格への引き上げ、日本移民百周年による注目の高まりなどにより、日本企業のブラジルへの関心が非常に高まった年と言えます。金融危機により2009年は1%台後半の低成長との見方が多くなっていますが、百周年で盛り上がった日伯間の経済関係の強化と機運が今後も継続することが期待されます。その意味で日伯貿易投資促進合同委員会の活動の重要性も高まっていると。
最後に2009年の見通しですが、まずは直近の事象について●●しなくてはいけません。2009年1月の貿易収支は欧米、アルゼンチン向け、特に自動車関連の輸出の落ち込みによって1月としては8年ぶりとなる貿易赤字5億1,800万ドルを記録しました。それに先立ち1月26日には、年初から前日までの収支が赤字となったことを受け、開発商工省は突如船積み前の輸入ライセンス必要品目の大幅拡大を発表しました。これは産業界などの強い反発もあり2日後には撤回されましたが、貿易赤字に対する政府の強いアレルギー反応が露呈した形となっています。
中央銀行のレポートでも2009年の貿易黒字が前年比43.3%減の140億ドルになると見込まれています。昨今の金融危機下では外需が低迷しており貿易収支を悪化させる一因となっていますが、ただその一方、金融危機下においてもブラジルの内需が落ちないことも貿易収支を悪化させる一因と見られています。
この表は2007年、各国の購買支出合計と、2002年から2007年で総消費支出がどれくらい伸びたかを示しているグラフです。ブラジルの消費支出は約8,000億ドルで、資源高により国が潤ったこともありますが、中国に次いで2位。支出の伸び率も150%超と他の新興国に比べて高くなっています。
我々日本人の貯蓄率に対する考えとブラジル人の貯蓄率に対する考えはかなり違い、日本人に比較してブラジル人の貯蓄率は相当低いと思われ、この消費支出の伸びと貯蓄率の低さというのが内需が比較的堅調という一因となっていると思われます。
2009年の見通しは、現在の不透明な世界動向の中で推測が非常に難しい状況ではありますが、建設的な面から考えればブラジルは世界の中でも比較的早い段階に経済が回復する国の一つになると期待しています。ブラジルの強みは、一つ、人口1億8,000万 人を抱え広大な領土を持ち国内市場が非常に大きいこと、二つ、ご承知の通り豊富な鉱物資源、食料資源、エネルギー資源を有していること、三つ、米国発のサ ブプライムローンの影響をブラジルの金融機関は受けておらずいまだに金融機関の体質は健全であること、そして最後に民族・宗教の対立のない、テロのない安 定した国であること。これらの強みが経済回復の大きな基盤になると確信します。
残 念ながらブラジルにおいて現状、貿易、投資等経済面で我々日系企業は欧米企業に遅れをとっていると言わざるをえません。しかしながらこの危機が我々にとり 巻き返しのチャンスであるとも考えています。日本とブラジルは補完関係にある国同士で、このチャンスの時期にブラジルにおける日本のプレゼンスを高め逆に ブラジルの日本におけるプレゼンスも高め、さらなる関係の強化、そしてその結果の実現を切に望んでおります。以上です。
司会:ありがとうございました。何かご質問ございますでしょうか。それでは次に参ります。ありがとうございました。建設不動産部会大滝部会長代理よろしくお願いいたします。
プレゼンテーション資料: 貿易 部会
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建設不動産部会 大滝守 部会長代理
建設不動産部会 大滝 守 部会長代理皆さんこんにちは。ホス建設の大滝と申します。本日は建設不動産部会の2008年の回顧と展望ということで話させていただきます。建設業の概要から次にサッシ・セメント関係の資材メーカーさん、家具メーカーさん、そして最後に不動産関係、住宅関係の業界につきまして説明をさせていただきます。
2008年の建設業界は、全体としまして2007年 に引き続き工事受注は好調でございまして、計画と引き合い含めましてたいへん多忙な一年でございました。主に自動車・オートバイ関連工場の施設、病院、 ショッピングセンター等の、あるいは食品関連の工場等の工事の受注がたくさんありました。しかしながら建設資材の値上がりが激しくて、作業員、資材の市場 での不足がありまして、工事完成にはたいへん苦労した一年でございます。
表の1では労働者の増加の傾向を書いておりますけれども、建設業界で働く方が2007年に比べますと56%の増加をして、建設業に働く方が増えたという結果でございます。次に表の2ですけれども、工事の件数でいいますと、2007年に比較しますと61%も件数が増えております。それから建設労働者の組合発表によります給料の調整が毎年5月に行われるわけでございますけれども、給与発表が例年以上の8.51%の給料上昇の発表がありました。
そのほか先ほど申しましたように、資材の値上がりがありまして、この表の3で説明しますと、ご覧の通りに約30%から50%の資材の値上がりがありまして、たいへんなコストがアップしたと。で、建設業が好景気なためにですね、作業員や技術者が不足を招きまして、新規の雇用をする場合には高い給料を要求されるなどで、たいへんに人材確保に苦労したと。
建 設の労働者の特色としましては、食事を現場ごとにあげたり、交通費、あるいは宿泊費の負担、また、工事現場が遠いと法律的に割り増しの料金を払わなきゃい けないなど、コストを上昇させる要因が大きいものでございます。ブラジルの建設のコストなんですけれども、レアル高、また建設資材の価格は高止り、賃金の 上昇や、労働裁判所の費用の負担とかコストが異常に高くなりまして、建築主、そのお客様の納得を頂くのにたいへん苦労したということでございます。
2008年の後半の世界的な経済の危機の影響で、2008年に新築あるいは増築の計画をしておりました、あるいは設計まで終わっていた工事の案件をですね、工場建設の見直し・延期または中止が発表されまして、建設業界では急に工事の受注ということが少なくなったわけでございます。
2009年の建設業の展望としましては、2009年の年初全般につきましては2008年のお引き受けしました工事が継続しておりますので、まあ活気は続くようでございます。ただ受注工事のメインであります生産工場新築の計画とか増築の計画につきましては、やはり全般として動きがなくてですね、今年の5月あるいは8月にならないと具体的な工事計画までは進まないのではないかと危惧しております。
ま た生産工場の業種によりましては、増築または改築工事の発注が期待されますので、それに取組むように考えています。商業ビルあるいは店舗、学校、集会施設 等では必要な建物もございますので、この建設は継続して行われるだろうと思います。それから最近では、ニュースにありました教会の施設の屋根が落下しまし た事故が起きておりますけれども、それにともないまして役所関係の許認可、建物の規制、安全等が一段と厳しく審査されまして、違法建築、無許可の建物に対 します罰則等が強化されると考えております。
次に建築資材の中心になりますセメントやサッシ関係の市場動向を説明させていただきます。2008年のセメントの生産量は5,110万tでございまして、2007年に比べますと14%の増加を見ました。2008年12月だけを見ましても2007年の同月比で11%の増の390万トンの出荷量を記録しております。これはですね、世界不況が始まった昨年の12月暮れとなってもセメントの出荷量は増えておりますので、建設はストップはしてないと、継続している状況がわかると思います。
次に地域別のセメント使用の割合でございますけれども、表の方にありますが、セメントの大半はサンパウロ州、ミナス、リオの3州が約52%使っておりまして、この3つの州でほぼ半分ぐらいの建設が行われているという状況でございます。あとは順で行きますと、様々、各方面での建設の状況がわかると思います。やはりアマゾナス州とか北の方に行きますと件数は少なくなってくるという状況でございます。
次にサッシ関係の業界でございますけれども、特に住宅、高層アパート、商業ビルの建設の動向を知る上でわかり易いんですけれども、2008年は堅調な受注でございまして、どのサッシ会社も忙しい1年であったようです。しかし10月頃より見積引き合いが少なくなってきましたので心配を始めたと。2009年は昨年に受注した工事は継続していますが、工事の中止は今のところないみたいなんですが、ただサッシ業界は建設会社からさらに遅れて受注に影響が出てきますので2009年後半には厳しい局面を迎えるのではないかと心配しております。
家具業界では、事務所・ホテル等に供給しておりますが、2008年は新築や改修件数が多かったので家具の注文はたいへん多かったようです。またIT関係で事務所の中が様変わりしておりますので、新しい機能をもった事務家具、あるいは古い型から新しいデザインの家具への交換が多くありました。ただ2009年は不況の影響を受けますので、後半にはたいへん心配しております。
次に不動産、住宅建設の動向について説明申し上げます。2,008年の不動産、特に土地価格ではですね、2007年から引続き需要が大きくて上昇したまま高止まりの傾向でありました。住宅の建設件数でありますが、2008年は記録的な進展を見せまして、特に郊外では比較的土地価格の安い所で中クラスの購買層を狙いました集合アパート群の建設が増加しました。
また環境の良い場所で一戸建住宅のコンドミニオが増加したのも特徴であります。後半からは金利上昇、それから貸付ローンの引締め、建設コストの上昇等がありまして、まあ花倍価格が上昇するわけですけれども、住宅の販売は徐々に落込みが現れてきました。
2008年の各月別の住宅購入数を表で説明しますと、2007年に比較しまして61%購入が増加しております。ただこれは民間の住宅融資を受けた方の人数でありまして、実際は融資受けない方を含めますともっと購入した方の数は多いのではないかと、このように思います。
2009年 の住宅の販売状況予測でございますけれども、新規のアパート建設開始や売り出しは少なくなりまして、工事の途中のアパートにつきましては完成を急いで販売 に注力して『売り急ぐ』という現象が起きております。完成して早く建物を売るという形でございます。住宅の開発不動会社の大手もですね、現在は株安などで 経営が低下しておりまして、明るい見通しが少ない業界であります。
建設不動産業界の全体としまして2009年 の見通しと方針でありますけれども、一つは、しばらくの間は建設工事の減少に備えて各会社とも無駄をなくして、節約に努め、技術などの蓄積を図っていく年 になると。それから二番目は、まあ工場の業種によりますけれども、新規の投資や工場の拡張もありえますので、重点的に技術サービスに努めて、そちらの方を 受注できるように注力していくということでございます。
予 測としましては、景気の落ち込みに対して、浮揚の公共工事の増加、それから工場生産のインセンチブ等が政府主導で出るためにですね、建設件数の極端な落込 みは今年中は少ないのではないかと。また建設のコスト、それから不動産価格につきましても高止まりのまま推移していきそうであります。
しかしながらですね、建設業といいますと他の産業の回復に対しまして6カ月ほどの遅れが出ますので、実際に局面を迎えるのは2009年の半ばから2010年のところに結果が出てまいりますので、その方に向けまして建設不動産関係会社は苦境にたたされて、その回復に予断が許されない状況であると考えております。以上で建設不動産部会の説明を終わります。ありがとうございました。
司会:大滝さんありがとうございました。何か質問ございますでしょうか。それでは次に参ります。ありがとうございました。機械金属部会西岡会長お願いいたします。
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機械金属部会 西岡勝樹 部会長
機械金属部会 西岡 勝樹 部会長
皆さんこんにちは。先ほどご紹介をいただきました日立製作所の西岡でございます。それでは機械金属部会の2008年の回顧と2009年の展望についてご説明させていただきます。聞こえますでしょうか。
ご存知のように機械金属部会は多種多様な業種に分かれております。今回はこの1から9についてご説明させていただきます。
鉄鋼・鋼板分野。2008年の回顧。前回は矢印で好調、絶好調を連呼させていただきました。今回はちょっと趣きを変えまして、快晴のち雷雨。皆さん、ご覧いただいている通り2008年はこの天候のように急激に変化をした年であります。その概況は、鉄鋼の国内市場。10月まで好調維持、前年比はプラス8%。しかし11月以降は急激に落ちました。雷雨です。
11月マイナス25%、12月マイナス35%。しかし通年では横ばいのプラス0.2%でございます。好調だった自動車、全産業分野が失速いたしました。輸出では10月まで国内好調・輸出減、輸入では10月までの国内需要不足でプラス59.5%という状況でありました。
それでは2009年のお天気はどうでしょうか。雷雨のちくもりです。その概況は。国内市場、金融危機による実需減、在庫調整、買い控え。ファーストクォーターではマイナス45%の大幅減と予想されております。回復は在庫調整の終わるセカンドクォーター以降でしょう。輸出では国内減の穴埋めで輸出図りますが、やはり世界レベルで低迷いたします。輸入。国内需要減、レアル切り下げ、大幅減、という状況でございます。それでは次に移ります。
電力および大型プロジェクト。2008の お天気は、晴れのちくもり。概況、前半は引き合い、話題も多かったです。例えばペトロブラスの案件が受注された企業もあります。HRSG、これはボイラー の一種ですけれども受注されました。各社好調に推移して参りました、ですので晴れです。しかし後半は金融危機の影響で新規投資の見合わせなど影響が出てま いりました。しかし変電関係などで会社を買収して事業拡大を図った会社もございました。
それでは2009年のお天気は。くもりのち薄日です。その概況を見ましょう。ペトロブラス新5カ年計画の投資に期待。高速鉄道、新幹線プロジェクトに期待。省エネ、環境、発電ビジネスに期待。製鉄所向け、経営者の判断は前向きです。後半の回復に期待。期待ということでこの薄日です。
次にプラント、紙パルプ、石油化学、エタノール等。2008年 のお天気はどうだったでしょうか。晴れのちくもりでした。その概況は、紙パルプ業界、前半やはり好調でした。後半、金融危機の影響、世界的に紙パルプの需 要が落ち込みました。石油化学業界。影響は小さいが投資に慎重になっております。鉄鋼・非鉄業界。金融危機の影響、減産・計画見直し。エタノール業界。原 油価格との差縮まり需要減。
2009年、 どうでしょうか。くもりのち薄日、さてその概況は。紙パルプ業界。金融危機、影響がいつまで続くんでしょうか。石油化学業界。ペトロブラスの投資に期待。 鉄鋼・非鉄業界。影響はいつまでなんでしょうか。エタノール業界。新規期待できず、ただしメンテビジネスに期待。期待、期待で薄日を待っております。
その次、4。建設機械。2008年の天気、どうでしょうか。快晴のちどしゃ降り、雷雨です。この概況はどうでしょうか。総需要台数、2008年やはり好調維持しておりました。しかし2008年、スリークォーターをピークに下降傾向。ただし前半はブラジル経済の好調を反映して良かったということです。生産台数の推移を見てみましょう。前半、好調維持。ただし後半は欧米向け輸出はブラジル市場より早く下降、下降幅も大きいということです。
それでは2009年のお天気は、雨のちくもり。その概況は、総需要台数2009年前年度比57%のレベルまで落ち込みます。生産台数209年、前年比53%のレベルです。操業体制の見直し、人員の適正化を図っていくそうです。
次、産業用圧縮機。2008年のお天気、晴れのち雨、極端ですね。概況を見てみましょう。やはりこの業界も前半は相対的に好調を維持しておりました。2008年年間売上げは一昨年のレベル。しかし10月以降の落ち込みが大きかった。新規投資減少している中でのサービス・パーツの販売や設備改造案件は継続しております。
そして2009年 の天気は、くもり。さてその概況は、ペトロブラス関連では計画の変更は聞こえてきておりません。また豚・鶏肉関連ではロシア・中国向けが再開して投資が継 続しております。牛肉関連では、牛の数が少ないというのと、安価な鳥にシフトされているそうです。オレンジ関連では、生ジュース。先進国では上昇している そうです。増設の計画もあります。乳業関係では、他業界ほど深刻な話は少ない模様です。
次に鋳造機械。2008年のお天気は、晴れのち雷雨です。その概況は、2008年9月まで機械需要は50から70%の伸びがありました。金融危機以降は大幅に減です。10月から12月、前年度同期比80%以上の下落です。それでは2009年のお天気予報。雨のちくもり。そして概況は、2009年、3月までは機械投資やはり静観の構え。市場の回復は自動車産業、部品産業、製鉄・鉄鋼、インフラ産業の回復次第です。2009年全体、前年度比はマイナス40%の予想です。
次に各種工具・精密機器、切削工具、耐磨工具ほか。2008年のお天気はどうだったんでしょうか。晴れのち雨。そして概況は、切削工具、やはりここですね。10月まで好調な経済に支えられ、販売実績好調、利益も過去最高です。ただし11月以降販売が7%から10%のマイナスダウンです。マイナスです。原因として、レアル安、輸入コストのアップだと。耐磨耗工具、これは好調でした。前年度並み。鉱山工具、前年度比60%アップ。精密機械工具、10月までは良好でした。それで、2009年の天気。くもりです。
概況は、切削工具、現状は様子見の状態です。計画では2007年ベースを予想しており、販売は2008年並みを目標としております。ただし設備投資は据え置かれ、経費節減に努めてまいります。耐磨耗工具。鉄鋼業界の状況、期待薄。鉱山工具、鉱山の減産。需要は減ります。精密機械工具、逆風が予想。レアル下落、輸入コスト大であります。
次、軸受。この2008年のお天気はどうだったんでしょうか。晴れのち雷雨です。この状況、概況は、9月まで軸受需要はたいへん強かった。やはり10月、金融危機以降、軸受需要大幅に縮小いたしました。需要先の自動車、2輪車、電機、家電、鉄鋼、鉱山、製紙パルプ、エタノール、ほとんど全ての業界が生産調整に入った。
軸受業界も一斉に生産調整。それでは2009年の天気。雨のちくもりです。概況。やはり2009年の前半は需要先、製造業も改善の見通しがない。1998年以来の不況の年でしょうか。後半。流通過程での過剰在庫の解消。生産の回復を期待しております。ブラジル政府の景気回復策の効果に期待しております。
次に潤滑油。最後ですが、2008年のお天気。くもりのち雨。さてその概況は、2008年はやはり好況の継続により好調に推移してまいりました。しかしやはり11月以降金融危機の影響、販売低下。しかしこの業界、一年間で見れば金融危機はありましたが販売は昨年並みでした。しかし原料高の影響で減収となっております。2009年のお天気。雨であります。その概況は、金融危機の影響がどの程度か。カーニバル後の3月まで様子見が続きます。販売数量、前年80%程度を予想しております。大幅減収になると予測しております。
最後に機械金属部会全体として2008年のお天気はどうであったんでしょうか。晴れのちくもり。その概況は、やはり2008年9月の金融危機まで、全体として好調を継続しておりました。金融危機以降、自動車、2輪車、鉄鋼、家電等の落ち込みの影響がはなはだ大きかったです。しかしインフラ部門、ペトロブラスの強気な投資計画もあったりして少しは救いもあったようです。それでは2009年、ブラジルをはじめ世界各国の金融政策に期待をいたしまして、雨のち薄日。これは期待、ほとんど願望を込めて太陽が顔を出してもらうことを期待いたしまして私の報告を終わらせていただきます。ありがとうございました。
司会:西岡さんありがとうございました。とても分かりやすい説明で、また元気のあるプレゼンどうもありがとうございました。ネガティブな内容であってもそ うでないように、この時代こそ一番大事なことだと思います。ありがとうございました。次にまいります。自動車部会、長谷部会長お願いいたします。
プレゼンテーション資料: 機械金属 部会
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自動車部会 長谷部省三 部会長
自動車部会 長谷部 省三 部会長
順番から言いまして西岡さんの後が一番やりにくいプレゼンテーションになるんですけれども、●●●●引き継ぐ訳には行きませんので原稿通りにやらせていただきます。
自動車部会の部会長をやらせていただいております、長谷部でございます。2008年のレビューと2009年の展望につき説明させていただきます。
まず四輪業界からはじめさせていただきます。2008年の生産台数は321万台となりました。この321万台は過去最高でございます。ANFAVEAの予測値の343万台には及びませんでしたが、前年からは8.1%増と。また、この台数は、2007年ブラジルの世界ランキングは7位でございましたが、2008年はランキングで6位ということになります。
先ほどから各部会の発表にあります通り、9月までのレアル高の影響から輸入が伸び輸出が減少するという傾向でございます。引き続きまして販売台数でございますが、282万台となりました。2007年に比べ大きく伸長いたしました。先ほど生産台数についてランキングをお話しましたが、販売台数についても世界第6位ということで、自動車大国の一角を占める大市場となっております。
ここに挙げましたのが排気量別の推移でございまして、リッターカーは昨年で50%まで落ち込みました。年々大排気量化が進んでおります。この背景には、まず一つ目が所得増による上級移行、二つ目がSUVなどのボディータイプの変化に伴うエンジンの大型化、三つ目に輸入車の増加が挙げられると思います。
リーマンブラザーズの破綻に始まるレアル安、通貨流通量の低下、金利の上昇から影響が出ているというふうに言われておりますが、これにも増してやはり将来の経済の不安による購買意欲の低下から10月以降の市場が落ち込んだというふうに見ております。
ちなみにこれが去年までの結果でございますが、1月の前年比は92%、2月の直近では108%ということで、回復の兆しを見せている自動車指標でございます。次に支払い形態別で見てみますと、現金の比率は安定して32%から35% ということですね。一般に自動車市場が伸びたのはクレジット、リースというローンがかなり支えたのではないかということでございました。このグラフを見る 限りにおいては現金の比率は変わっておりませんので、まあ全体の経済がマーケットを後押ししたというふうに見ております。ただしその中でも対応が良く、 ファイナンス、オペレーションタックスの関係から有利なクレジットが年々伸びてきております。
先ほどご説明いたしましたが、輸入車および国産車については、輸入が大きく伸びました。ただし昨今のレアル高がこの伸びは今後鈍化するものと考えております。下の方にANFAVEAの2008年の年末在庫の数字を引用いたしましたが、全体で21万台以上、在庫日数といたしましては36日ということでございますが、これは私自身の感覚でございますが、各メーカーさんの在庫調整からしまして、この発表数字よりもマーケットにはもっと大きな数字が、台数が残っているんではないかというふうに推測いたします。
また公式なマーケットの発表、2009年の発表というのはされておりません。部会の中のこれは2社の2009年のマーケット予想の平均でございます。2008年が282万台、2009年は243万台というふうな単純平均の数字になっております。
引き続きまして二輪の方の発表に移らせていただきます。四輪同様販売は188万台と前年比17.4%増、生産は212万台と22.9%増と伸長しております。しかしながら10月以降は世界の金融危機の影響によりまして、減速しております。輸出に関しましては、前半はレアル高、後半は金融危機の影響で減少しております。
次に生産販売の昨年の月別推移でございますが、10月より急激に落ち込んでいることが分かると思います。12月は環境法規対応期限ということで上昇しておりますが、厳しい状況にあることがご理解いただけると思います。二輪の支払い形態別でございます。クレジット比率が約6割を占めて、クレジット販売が市場を牽引していることが分かります。こちらも昨今の金利、インフレ等の引き締め、これが今後の市場を左右するものというふうに考えております。
最後に部品業界でございます。こちらはSindipecas(部品製造者協会)発表の部品売上高でございます。まだ予測数値しか出ておりませんが、52社の売上げの伸び率の合計でございます。08年は767億レアルに達する見込みという●●ですが、2009年については本体の自動車生産台数、これによるわけなんですが、やはり●●●●●●●●●●●●●●。以上で自動車部会からの発表を終わらせていただきます。天気といたしましては、くもり、ということではないでしょうか。以上でございます。
司会:長谷部部会長ありがとうございました。それではここでコーヒーブレイクといたします。15分間の休憩で後半の方は4時15分に開始いたします。よろしくお願いいたします。
プレゼンテーション資料: 自動車 部会
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電気電子部会 三好康敦 副部会長
電気電子部会 三好 康敦 副部会長●●●●●●●●●●●●●●●●●(冒頭、音声なし) 去年の全体の数字としましては携帯など通信、あとパソコン、産業機器関係は二桁の成長を達成しております。一方で家電の関係、オーディオ、ビジュアル等白物の関係は金融危機の影響もあり、前年比100%に留まっています。レアルベースでは業界全体では11%増加を●●ました。一応家電・部品を除き全てのセグメントで成長が●●●。数量ベースでは家電関係は薄型テレビが大きく成長しましたが、単価の下落も大きく、金額ベースでは前年の額を維持する形で終わっております。
先 ほど皆さまから話があった通り、ブラジル自体は豊富な資源、技術、あと安定した政治体制等々もございまして、まだ周期的に成長余力が大きいと。消費市場と してもまだまだ分野によりましては成長の余地があると。さらに家電関係ですと、例えば古い機種がまだ、家電がたくさん使われていますので、これらの買い替 え需要とか、近代化とか、まあいろいろな需要増が期待できます。
一 方でこの整備されたインフラとか司法制度とかございますけれど、一方で昨今取り上げられております労働法の問題とか、金利の問題とかが製造業としては積み 残し課題として残っている限りです。マナウスフリーゾーンの生産動向について簡単に説明さしあげます。薄型テレビはまあ大きく伸びている一方で、ブラウン 管テレビが縮小しております。
あとデジカメは大きく伸びておりますし、カーオーディオも特に自動車販売の好調であった関係で大きく伸びています。ただ、第4四半期には減速という結果に終わっています。電子レンジも高成長が数年、幸運にして続いていますが、輸入品の、完成品ですね、入り込んできている中で若干踊り場に達しているというような状況です。
マ ナウスフリーゾーンの輸出入と雇用状況ですが、基本的に輸入部品に依存している産業の関係から輸入が生産とともに年々と上昇しております。特に新製品のデ ジタル家電なんかですと、やはり現地産品の比率が非常に低く、輸入が大きく伸びている一つの要因です。雇用については一応前年比2%減の結果ですが、今年に入ってからまだ生産調整、今後の需要動向も不透明な中で最終的にどうなるかというのはもう少し状況を見極めなければ結論を出せないような状況です。
あと、これはテレビの価格と部会参加企業の概況なんですが、ご覧の通りブラウン管テレビの価格というのは二つ、上の21と29インチのところなんですけども、価格の下落は一応下げ止まりと。一方で大型テレビは年々と下落、年末のクリスマス商戦ではこの32インチのテレビなんかですと市場のお店では1,200レアルとか、1,000レアル接近と、去年の比率で行くと半額。これはまあ、8月9月までは為替の切り上げ、レアルの切り上げの関係で値下がりして来ているんですが、為替の切り下げ以降在庫が市場に出回っている関係もあって、この為替切り下げ分の売価への転嫁がまったく進んでいないというような状況です。
こ れは競争の中で在庫消化が終わった後どこまで値上げができるのかというのはテレビメーカーさん方の大きな課題であるというふうに認識しております。この辺 の収益性とかを含めてですね、特に韓国系のメーカーさんなんかは値段を頑張っているというような話もうかがっております。
あ と部品関係ですと、金融危機以降の納期の引き延ばし等々いろいろ調整がはいっており、受注状況も非常に不安定、先がなかなかよく見えないというような状況 が続いております。デジタルテレビ関係についてもセット側含めて大きな立ち上がりにはまだ今のところなってはおりません。
あ と事務機器については、金融危機後大幅にダウンしてますが、一部ではまだBtoB向けの業務効率化をねらった引き合い等々がまだ入ってきているというよう な状況です。電子楽器関係は同じく金融危機までは順調に来ていたものの、レアル安の関係で売価に即転嫁、売上げが下がったというふうにうかがっておりま す。
全体をまとめますと、2008年 については前半は好調であったが、後半に来て金融危機以降急激にダウンしたと。で、結果的に売上げ減と在庫の急増により資金繰りの悪化、資金繰りへの影響 が出てきているというような状況です。部会の会員の企業の業績評価としましては、一応まあレアルベース、ドルベース両方とも維持ないし成長というような結 果で、全体も3分の2は良かったというような結果となっております。
2009年の展望についてですが、当面は為替の安定、あと利下げ、消費者向け金融、この辺が需要の回復に向けての最大のポイントであるという認識でおります。その中で、1月のこの貿易収支の悪化、耐久消費財の販売が鈍っているというところもございますが、特に後半に向けて在庫調整等々も終わり回復を期待しているというような状況です。
た だし業績の評価の観点で見ますと、レアルベースで売上げが概ね半数が伸びたのに対して、ドルベースでは維持から縮小と。これは、基本的に需要が減る中でド ル建ての売上げ下がると、一方レアルの切り下げの部分である程度レアルの収益・歳入を確保できるというようなことはしているかと思います。
あと2009年の部会会員の経営課題についてですが、複数回答の中でやはり多かったのは3分の2がやはりキャッシュフロー、資金繰り、在庫というポイントと、あと6割 ぐらいがコストダウン、合理化、ほかにもまあ商品・商流を替えだとか営業を強化する、もしく事業規模維持拡大に向けて注力していくというところも、有望な 市場を中心に注力していくというような意見も出ていましたが、まあ全般的に、天気で表わしますと、くもり、ないし霧でしょうかね。先が全く見えないという ような状況です。
最 後に地デジ関係の動きを簡単にご説明申し上げます。これが一応、一昨年前の放送開始の計画ですが、ほぼこの計画にそって大手の放送事業者が放送を開始して おり、まあこんな感じで主要都市、計画が発表されているところですとこの緑の部分が既に放送が始まっている場所でして、黄色が今年の年内に開始すると、全 てカバーされれば人口的には5,500万人、まあ人口の3分の1近くがカバーされるということです。
ただこれのインフラ投資につきましても、昨今のドルの切り下げの関係から投資を見合わせるという動きが出てきており、具体的には7月以降、すでに発注ずみのものは流れるとして、7月以降に結論、まあファーストクォーター中には決裁を下さないというような放送事業者が大半であるという状況です。電子電機部会の説明は以上です。ご静聴ありがとうございました。
司会:三好さんどうもありがとうございました。何かご質問ございますでしょうか。それでは次に参ります。ありがとうございました。化学品部会松尾部会長よろしくお願します。
プレゼンテーション資料: 電気電子 部会
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化学品部会 松尾新一郎 部会長
化学品部会 松尾 新一郎 部会長
皆さんこんにちは。3年 ぶりにですね、資料を提出いただきました富士フィルムさんを最初にもってきたんですが、残念ながら、デジカメ市場、先ほどありました通り急速な伸長とか、 プリント市場の多様化などプラス要因はあったんですが、為替の急落、前期のレアル高による輸出採算悪化などで、それからフィルム市場の収縮加速というマイ ナス要因がございまして、結局売上げは減少。利益につきましては10月以降のレアル安を小売店価格に転嫁できずに残念ながら大幅に悪化して、大幅減少でございます。
09年 度の見込みにつきましては、為替の販売価格への転嫁を浸透させ、現地生産による競争力アップ、それからデジカメ普及によるプリント市場の拡大を見込んでお りますけれども、先行き不安による設備投資見合わせ、為替の販売価格への転嫁が十分にできるかなどの懸案材料はございますけれども、一応売上げ・利益とも 増加を見込むということでございます。次お願いします。
筆記具。これはパイロットペンさんでございます。8月までの好景気、レアル高による輸入部品のコストダウン、輸入新製品の販売拡大で絶好調だったんですが、ただ10月よりレアル安で輸入品がコストアップし若干悪化したと。トータルとしましては売上げ・利益ともに増加と。
09年。 新製品の上市。国産品もありますが、輸入製品、昨年はオードマーカーのペン、今年はフェルトペンを新製品として上市するらしいです。テレビのコマーシャル が結構影響するみたいでございます。レアル安によって輸入価格の高騰、それから金融不安による小売店、流通業者の資金繰りの悪化がちょっと心配なんです が、09年も売上げ・利益ともに増加を見込むと。ただし状況は3月の、カルナバル明けの3月になってみないと分からないなあ、というコメント付きでございます。次お願いします。
高級化粧品、これは資生堂さんです。マーケティングはまあお金持ち相手でございますので、サンパウロとリオの高級店に集中して富裕層を対象とした価格体系でありますから、10月からの世界不況の影響はほとんどなし。ただしレアル安による商品コスト、輸入商品コストがアップしたと。またあいかわらず税関のストによる輸入品入荷遅れにともなう新製品発売時のずれが生じたりしましたけれども、売上げ・利益ともに増加と。
09年、引き続きですね、富裕層対象のために、女性向けですから、男性向けは若干影響あるかもしれませんが女性向ですので、不況の影響がないと思われる層ですが、先ほどの筆記具同様3月までは状況を見ないと何とも言えないと。不安材料はやっぱりですね、レアル安によるコストアップ、それから通関トラブルなんですが、売上げ・利益ともに増加を見込むと。次お願します。
一般用医薬品。これは湿布剤、久光製薬さんです。テレビコマーシャル、もちろんサロンパスカップというバレーボールもございますが、新製品が伸長したと。10月以降のレアル安による輸入原材料のアップと為替の差損、それから医薬品卸、ドラッグチェーンの資金繰りの悪化、在庫圧縮などマイナス要因はあるんでございますが、売上げは増加した。ただし利益は減少したというのが08年の回顧でございます。
09年、 広告投資は継続するが、レアル安、それから広告規制の強化、これはどうもですね、有名人を使って“よく効きますよ”とか“サロンパスをここに張ったり”と か、こういうよく効きますとかいうのをやっちゃいけないそうなんです。これが急に決まったので、いろいろ高いお金を使ってコマーシャルフィルムを作ってた らそれが使えなくなったと、えらいこっちゃと、こういうことでございました。売上げは増加しますが、ことほど左様に利益は減少するであろうと見込まれてい ます。もう一点ございますね。次お願いします。
家庭用防疫薬。一般消費財、コンシューマープロダクト、最後でございますけれども、08年は生活レベルの向上と言いますか給料のアップですね、それからデング熱だとか黄熱病が出たとかマラリア汚染地区でのボルサ・ファミリアで殺虫剤を買うというようなこともございましたので、売上げ・利益ともに大躍進でございました。
09年は残念ながら、皆さん感じておられる通り、夏時間は終わったんですけども全然暑くなりませんでした。蚊はですね、やはり25℃ 以上ないと活躍してくれないんです。従いまして、南の方はラニーニャ現象といいますが、低温で雨が多いということで蚊の発生が少ない。発生してもがんばっ てくれないと、こういうことでしてね。皆さんお使いになっていないんです。従って在庫がございまして、今年の売上げ・利益ともに減少するであろうと思って おります。ここまではコンシューマープロダクト。次お願いします。
次は農薬です。農薬はですね、たくさん使う棉栽培は残念ながら作付け面積が減少したり、それから製造コスト増があったんですが、年初の、穀物の国際価格が高かったと、それから貿易部会でも出ておりましたけれども、大豆が絶好調であるということで07年実績の53億ドルからですね、70億ドルまで30%いきなりジャンプアップ。それで部会に加入されている会社の方々4社ございますが、全部売上げ・利益ともに増加したと。
ただし10月以降ですね、結構注文のキャンセルがあったと、それから支払い遅延が一気に発生してきたと。この農薬の場合ですね、1年間の有残数●(?)●なんです。要するに収穫払いということですね。それでもさらに作物を売ったお金で支払ってくるということで、1年後またどうなるかというのはもうクロスシンガー●(?)●しかないということです。
09年はですね、原体メーカーといいますか、有効成分を輸出している会社は在庫が残って減少と見られますけども、製剤したり最終製品にして売る販売会社は増加を見込んでおります。市場規模は63億ドルぐらいまで下がるであろうと見積もっています。残念ながら日本の企業のシェア、例えば63億ドルの中で大体10%には達しておりません。次お願いします。
この農業分野で農薬はまだまだ元気はいいんですが、肥料につきましてはですね、9月までは製品価格は上昇したんですけれども10月からのレアル安で利益は減少したと。売上げ増加、利益減少というのが08年の回顧で、09年にいたりましては農産物価格の低下と、やはりですね、農家の銀行融資の引き締めで先行きが暗いということもございまして、売上げ・利益ともに減少を見込んでおられます。次お願いします。
新しい分野ですけれども、ついでに農業を言うんなら、農薬・肥料とくれば次は種にしようということで種の会社さんも化学品部会に強引に引っ張り込みまして、状況を伺ってまいりました。10月以降ですね、やはりどの会社も同じですが、利益は為替差損で圧迫されたけれども、欧州向けメロンの種の販売が大幅増、それから新規商品の投入の成功もプラス要因になりまして、売上げ・利益ともに増加したと。
09年 の見通しにつきましては、やはり欧州向けがちょっと不安だなということもあるし、それからサンパウロ州での玉ねぎの作付けがどうも減ったみたいで、という 状況はありますけれども、野菜の種子はやはり大型のロークロップと申しますか、大豆、棉、とうもろこしなんかと違いまして、フレッシュ野菜の市場でござい ますから、そんなに大幅に変動はしないということで、売上げ・利益ともに増加を見込んでおります。
次に農業からちょっと離れまして、次お願いします。飼料添加物、これは鶏用のえさに混ぜるやつですけども、貿易部会でもありしたように鶏肉が絶好調であると。で私どももですね、これは住友化学が売っているんですが、原価がですね2倍以上に跳ね上がったという状況にあったんですが、玉不足、鶏の数も増えたということで値上げを強行しまして、それ2007年2008年と大幅に上げました。8月までの為替差損が差益があったんですけども、残念ながら9月以降で全部はき出してしまいましたけども、売上げ・利益ともに増加と。
09年 の見通しにつきましては、レアル安も輸入価格アップにつながるが、まだ供給がタイトでございますので、タイトでございますけれども、やはりここまで値上げ したらそれ以上やったらそっぽを向かれるなということで、前年度並みといたしましたので、今年は売上げ・利益ともに変わらないであろうというふうに見込ん でおります。ここまでが農業関係で、次お願いします。
ここからはですね、皆さん関連があるんですが、輸送機器、まあ自動車と二輪関連になりますと。10月まではもう絶好調であったと。11月からはもう、説明するまでもないんですが、自動車部品それからネジなんかに使う需要ががくんと落ちたということで、前期の貯金を合わせて売上げも利益もやや増えたという状況でございます。
2009年 も何とか微増を期待したいということでございますが、一般大衆の生活といいますか、最低給料が上がったということもございますけれども、やはり接着剤とい うのは、前回も言いましたけれども、景気が良くなると接着剤は使わないと。修理しないで新しいものを買うと。ところが景気が悪くなると、ちょっと壊れると やっぱり修理して使おうかということでですね、瞬間接着剤は増えるであろうと。それからレアル安でございますから、輸出が増加するであろうということで、 売上げ・利益ともに変わらないと見込んでおられます。次お願いします。
これはプラスチック用着色剤。これもですね、車関連向けでございますので、販売の急減、それから急激なレアル安による為替差損が生じてしまい売上げ・利益ともに減少したと。09年の展望につきましては、売上げはあいかわらず減少するであろうと。ただしこの時期にリストラを敢行すると、10%ぐらいのクビ切りを行うというふうにおっしゃって、利益は微増してくるであろうと。全般的にやはり、この会社は回復までにはまだ時間がかかりそうだと。もう一点まいりますのが、債権回収の不安が出てきたなと、こういうことでございます。次お願いします。
これはポリオレフィン、いわゆるスポンジです。スポンジで、自動車生産の拡大にともなって9月までは快進撃であったと。で結局年間を通しては微増、それから利益につきましては大幅減少したと。品質・生産性というのは内部の状況で、外部的要因ではございません。09年は内部問題を解決して、売上げも微増。利益も増加するというふうに見ておられますが、自動車産業への販売比率が高いので、やはり心配かなということでございます。次お願いします。
ロ ジン。これは前回はアグロと車に関するのは絶好調で、唯一ロジンですね、松脂を原料としたロジンとかテレビンオイルにつきましては減少だったんですが、下 半期より徐々に売上げも低下し、製造コストも上がり、販売価格が低下し競争激化というトリレンマに陥り、売上げ・利益ともに大幅減と。それから09年はさらに減少するでありましょうということです。次お願いします。
化学部会に属される商社の方ですが、取り扱い品目、商権等によってですね、売上げ・利益増加のところもあれば横ばいのところもあると。皆さん異口同音におっしゃっているのは国内需要好調で、それから農業関係の快進撃と。ただし10月以降の急激落ち込みとエタノール向けの輸出減がありました。
09年の展望は、変わらないか、まあ良くはならないだろう、減少するであろうと。一つ良くなるであろうと見られているのは逆に、アジアが不景気になったのでアジアに回っている玉がこちらに回ってきて自社の売上げに寄与するかなというふうにおっしゃってました。次お願いします。
08年の全般ですが、前半はほとんどの分野で好調に推移しました。10月以降はですね、消費関連物質、それから農薬などは景気の悪化の影響は顕著ではないんですが、素材産業なかでも輸送機器に関する業種は急速に業績悪化したと。
それから09年はですね、これまでのアグロと運送業はまあ快進撃であったんですけども、増加がだいぶ分かれましてですね、09年は売上げ・利益ともにプラスになるのは半分以下であるというふうに、快調であった化学部会もちょっと静かにしとかなきゃいけないなというふうなところでございます。ありがとうございました。
司会:えー分野ごとにきめ細かな分析をされ、売上げだけでなくて利益までご説明いただきましてまことにありがとうございます。続きまして食品部会尾崎部会長お願いいたします。
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食品部会 尾崎英之 部会長
食品部会 尾崎 英之 部会長どうも皆さんこんにちは。2007年7月より食品部会の部会長をやっております、東山農産加工キリンビールの尾崎と申します。今日はよろしくお願いいたします。
食品部会は全部で登録が39社、そのうち主要メンバーが17社あります。主要メンバーの中からホテルや通信関係の方を除きますと、実際に食料品の製造販売をしている会社は14社ありまして、今回は9社、9業界について発表させていただきます。
持ち時間が10分、質疑応答を含めて15分いただいているんですが、9業 界ということでそれなりに各社を報告させていただきますとかなり短くなりまして、また食品部会はいつも時間が超過の常連と言われておりますので、今日は ちょっとスピードを上げて上の左の数字を見ながら、目標としては黄色から赤になる前に終わりたいという思っておりますが、こう言っているいる間にもう1分 半経ってしまいました。まずは全体のまとめから発表させていただきます。次お願いします。
簡単に申しますと08年 ではですね、前半と後半で大きく変化いたしました。特に後半の国際金融危機以降ですね、業界は減速状態に入っておりますが、ただあの食品ということで、口 に入るものと。不況でも食べたり飲まなくちゃいけないということで、他の業界に比べると影響は少ないようです。今回は天気予報が流行っていますので、食品 業界も言わせていただくと、雨が降り始めてちょっと先行き西の方に雲が出てきたと、そういう感じだと思っております。
生活必需品の乳製品の免税や即席めん業界等でですね、低所得者向けの製品が好調で、いい業界がある反面私たちの酒類業界等には大幅な増税があったり、また後半のレアル安による輸入原材料アップ等で利益減に苦しんでいる業界もございます。
2009年度につきましては、まあ不透明な景気感からですね、業界は伸び悩みを予想しておりますが、レアル安による輸入コスト増等や一般食品の増税懸念、これのちほど報告させていただきますが、一般食品が来月の3月から増税がサンパウロ州で予定されています。
ま た国内会社との競争激化なども予想されておりまして、一段のコスト削減を各社で図って、限界利益を上げる一方、一方食品業界も成熟してきておりますので、 高付加価値を投入したりですね、国内に持っている強みのある商品を南米市場の方へ輸出をすると。レアル安を利用して輸出を強化する会社も出てきておりま す。次お願いいたします。
乳酸飲料でございます。会社はヤクルトさんであります。08年につきましては前年同期比で10%以上の売上高を計上されております。あと同社の特有な訪問販売の効果、また健康食品に対するブラジルでの志向が強まったということで10%増の成長と。なおかつPIS/COFINS、免税サンパウロ州でされたということで販売増とその免税効果によってコストの増や人件費増を相殺しまして、さらに利益は30%増と非常に好調な業績であったようです。
09年度につきましては先ほど申し上げました一般食品への課税懸念、3月から開始されますICMSへのSubistituicao Tributaria制度、これは輸入元や製造会社がその後発生するICMS税への過程にあるものを、代替というんでしょうか、立替をする納税制度です。これの課税標準額、税率とかどれくらいになるかが懸念されております。09年度きましてはコストを吸収した上で5%の販売増を目標としております。次お願いいたします。
国内家庭用食品、これは味の素さんでございます。調味料として業界の下期は市場が減速をしております。他業界に比べて食品業界については影響は少ないと見ております。売上高につきましても金額ベースで前年比9%増、109%の達成ということで、調味料はプラス4%。これは金額ベースでございます。
外食事業は好調でプラスの36。南米市場への輸出は絶好調で57%と、08年はこのような状況でございました。09年につきましては、まあ不景気や失業率の上昇から市場の伸び悩みを予想しております。
レ アル安等による輸入原材料価格からコストダウン、製造原価や経費等へのコストダウンの取り組み、さらにコストをどういう形でいつ価格調整として組み込んで いくか、消費者ニーズを見きわめながら価格調整を考えていきたいということです。またレアル安を利用しました南米市場への積極進出を図っていくということ でございます。次お願いします。
素材用食品。これは同じく味の素さんの飼料用のリジン等やバルクの調味料、MSGでございます。08年につきましては、下の矢印の3点ございますが、価格の転嫁が実施できたということ、また9月以降のレアル安、さらに下期になりまして原料・輸送コストの増加がですね、落ち着きを見せたと、この3点から事業関係が好転しまして採算が大幅に改善されたということでございます。
本年度につきましては世界経済の情勢の悪化から市場の縮小と価格、国内、海外含めて価格の競争の激化を見ておりまして、現状で為替安を利用した現状の市場ポジションを維持していくということになっております。次お願いいたします。
冷凍果汁はニチレイさんでございます。果実全般としては、マンゴーとブドウがここに書いてありますが、これは輸出ベースで行きまして2008年度は30%ほど減少したということでございます。で、ニチレイさんがやってらっしゃるアセロラの栽培数量ですね、2007年が1.9万tから2万tと。93年ベースでいきますと93年から2008年まで15年間ですが、0.4万tから2万tということで5倍以上増えております。
アセロラは年間に、サンフランシスコ川流域では年に8回収穫できると、アマゾンでは3回から4回ということで、これは2009年の展望にもあるんですがアセロラの数量増が今後も期待できると。その結果、戻りますが、2008年ですが、売上げがプラスの22と。利益改善が、まあ最終的な当期利益が若干赤字ではあるんですが、営業利益ではプラスを確保し当期利益ベースでは93%を確保していると。
2009年度につきましては欧州を中心にアセロラの需要の拡大が続くだろうと。で、ドルベースで値上げの合意を30%されておりまして、また2006年から2008年にかけて濃縮ラインの設備を導入されたということで製造歩留まりの向上と。ということで、売上げ原価の歩留まり向上ということで2009年度はさらなる大きな利益改善を計画されております。次お願いいたします。
輸入調味料。これは日本の醤油メーカーのキッコーマンでございます。2008年度につきましては、2008年3月に日本産の価格の値上げが17年 ぶりにあったということ、それと、リベルダージで皆さんご覧になっていると思いますが、並行輸入品が増えているということでキッコーマンさんがシンガポー ルで作ってらっしゃる、作ってこちらに持ってきていらっしゃる正規輸入品に対して、日本産の価格が値上がりしたということと並行輸入品が増加ということで 大きな影響があったと。
具体的には並行輸入品の方が正規輸入品よりも安いと、またシンガポール産より日本産の方が商社が好むということで2008年度につきましては厳しい状況であったということです。で、Oriental市 場、これはブラジルの醤油のメーカーの市場なんですが、現地の会社、法人のサクラ社ですが、まあ寡占状況が続いていることで、キッコーマンさんとしては西 洋市場に対して現在開拓中と。まあ限られた経営資源の中で特定の市場のエリアマーケティングや口コミ等で販売の増加を図っているというところでございま す。
2009年度につきましては、シンガポール、USA産 の値上げがあるということで、ターゲットを絞って、ブラジルの富裕層をターゲットすると。また経営資源の限られた中で全てにマーケティング投資をできない ので、富裕層を中心にマーケティングを行いまして、富裕層からのシャワー効果等を期待をしていらっしゃいます。偽造品・模造品につきましては、オリンピッ ク前にリベルダージでいくつか、まったく同じような製品が見られたということですが、オリンピック後は減少しているということでございます。次お願いしま す。
食品添加物。これは三栄源さんです。08年につきましては日本の食品偽装問題があるということで海外のトレーサビリティーを強化されているということです。また日本の、こちらから出す原材料の輸出ですが、景気の悪化や日本の志向がオレンジからグレープフルーツへ変わっているというところが2008年の特徴でありました。
ま たブラジル国内におきましては健康の志向から着色料のニーズが合成着色料から天然着色料に変わってきているということでございます。来年度の展望につきま しては、ブラジルの消費者の志向の変化、まあ健康、ライト、本物志向やダイエット関連の販売を強化していくということでございます。
ただ、天然色素のニーズは拡大しているんですが、ANVISA等からまだ許可されていない色素もあるということで、輸入障壁がまだまだブラジルにあるということですが、今後の市場が拡大されますので、天然着色料については力を入れていきたいということでございます。次お願いいたします。
健康食品。健康食品は輸入健食と輸出健食、輸入につきましては日本から持ってきていらっしゃるサンクロレラ社、輸出につきましてはMNプロポリス、アガリクス、プロポリスを販売されております。全体で言いますと輸入健食についてはレアル安がコスト高になるんですが、ダイレクトメールを中心にやった結果、売上高20%強。
輸出健食につきましてはアガリクス、プロポリス日本向けの輸出が不調で、米国向けのアサイ、アマゾンにあるアサイなんですが、これが昨年度1万1千トンということで57%増ということで大きく成長しております。来年度の展望につきましては、輸入健食は他業界に比べて健康食品への影響は小幅と見ておりまして、不況期こそ体が資本だということで長期スパンの中での販売増の計画を考えていらっしゃいます。
輸出健食につきましてはレアル安で追い風ではあるんですが、アガリクス、プロポリスが不調という事で国内販売にシフトと。化粧品業界向けのオーガニックアルコールが絶好調だということでございます。次お願いいたします。
即席めん。これは2社、味の素さんであります。昨年度の10月までは4%の成長で即席めん市場は伸びていたんですが、11月12月は1%に減少しまして、トータルで見ると3%という拡大でございます。他の小麦製品に比べますと、小麦粉がマイナス6.8%、ビスケットがマイナス1.4%ということで、他の小麦製品に比べれば高い伸びを示したということであります。
売上げにつきましては二桁増、北東部や所得層の下のC層以下の消費が拡大している、まあ具体的にはボルサ・ファミリア等の影響があるというふうに考えております。また第4四半期以降のですね、レアル安等もありまして、今製造原価等が大幅に上昇して来ていると。
2009年の展望につきましては、ほぼ今年同様の4%の継続を見ております。懸念材料としては食料品の立替制度、サンパウロ州におけるICMSの立替制度が3月から始まりますので、それが懸念材料。また原材料の価格上昇も懸念材料ということであります。もう一点につきましては、競合他社による値引きが開始されており、こういったことも懸念材料の一つになっております。次お願いいたします。
コーヒーです。コーヒーは一般的な情報なんですが、昨年度のブラジルの輸出が2,930万俵ですか、4.4%、金額ベースでいくと22%の増と。世界消費としてはプラスの1.1%で1億2800万俵と。ブラジルの国内を見ますと9月までは絶好調だったんですが、9月以降大幅に客先の信用収縮や在庫が圧縮し、契約のキャンセルや船便の遅延が起きていると。
今年の展望につきましては、ブラジルの天候不順等の影響もありまして18%減の3,900万俵と。市場は、ただし下期以降安定するのではないかと、一つはレアル安による輸出の追い風、また市中の在庫も下期には解消するだろうというふうに見ております。次お願いします。
酒類でございます。酒類は当社でございますが、日本食の業務市場は穏やかに昨年度は成長しました。ただ6月にレイ・セッカによるアルコールの飲酒運転の厳罰化による需要減、地域によってはレストランでは40%ぐらい落ちたところもありました。また食料品に先立って昨年度の2月から酒類に関してサンパウロのICMSの増税があり、また原料米の高騰等がありましてですね、国際価格が3倍くらい、日本米についてはそれ以上のコストがアップしております。
またそれに追い打ちをかけるようにレアル安が始まりましたので、製造原価がかなり増えてきております。一方ですね、唯一プラスとしては大手スーパー向けがたいへん好調に推移しましたので、昨年については一桁の成長を遂げることができました。
今年度につきましては、まあ業務用の市場の減速、レストラン向けなんですが、ICMS、IPIの 増税がどの程度あるか、また原料の米相場やそのほかの輸入原材料のコスト増をどういうふうにして製品に転嫁していくかを今年がテーマになっております。ま た南米諸国への輸出ですね、酒類についてはブラジル国内のみなんですが、南米諸国、ブラジル以外のアルゼンチンやチリにですね、輸出をして外貨を稼ぎたい なとそういうふうに考えております。次お願いいたします。
これは、昨年度も同じようなリクエストだったんですが、日伯EPAの実現の可能性について探索していただきたいと。まあブラジルの外務省の情報収集等ですね、多国間の交渉のブラジルの基本の方針がどうなっているのか、今後の行動計画づくりや、経済団体、FIESP、CNI等への積極的な要請などを商工会議所を通じて働きかけていきたいという要望が当社のメンバーからございました。以上でございます。2分20秒オーバーしてしまいました。すいませんでした。
司会:尾崎さん、盛りだくさんな内容ありがとうございました。ご質問は、ございませんね。それでは次に参ります。運輸サービス部会和田会長お願いいたします。
プレゼンテーション資料: 食品 部会
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運輸サービス部会 和田亮 部会長
運輸サービス部会 和田 亮 部会長運輸サービス部会の和田でございます。ご存知のように運輸サービス業界というのは皆さまのいわゆる好調さに支えられた上で成り立っている業界であるということで、皆さんが2008年非常に絶好調の時期もそれに乗ってたいへん儲けさせていただいた所とそうでない所、非常に苦労した所といろいろございます。その辺りを中心にちょっとお話させていただきたいと思います。
まず、運輸サービス業界は、航空業界、海運業界、フォワーダー業界、旅行ホテル業界、そして通信IT業界、この5つの業界でお話させていただきます。
まず航空業界の2008年の回顧。飛行機がずーっと上まで上がりましたように、非常に国内線、総需要5.9%伸びをしていると。この国内線なんですが、以前は2007年まで二桁でずっと伸長してたんですね。それがやはり国内線が5.9%と一桁になったと。
この大きな原因としましては、やはり国際的な金融危機の影響なんですかね、10月11月と対前年を大きく下回っています。その影響で全体的に5.9%しか伸びなかったというような状況です。ご存知のようにTAMとGOL、GOLの場合Varigが買収しておりますのでその2社で見てもらっただけで94%のシェアがございます。その他の6%というのはオーシャン・エアー、ウェブ、そして最近出てきましたアズールですね、この3社で分けております。
続きまして国際線、総需要。これも同じように4.7%伸びております。しかしここはですね、先ほど国内線のところで10月11月が対前で落ちているといいましたけれども、国際線はちょっと遅れまして、1カ月遅れまして11月12月と対前度落としています。その結果4.7%という、この伸長率が高いのかどうかというのは分かりませんけれども、それほど伸びていないと。特に11月は対前度から見ますと94%、12月にいたっては25%、だから75%ですね対前度、それくらい落ちております。
続きまして航空業界の話題としましては、燃料費の問題を避けて通ることはできないと思います。ご存知のように、前回もお話させていただきましたが、シンガポールケロシンの1バレルあたりが去年の7月には166.5ドルしておりました。これがやっと落着いて12月にはなんと58.6ドルまで落ちました。
ですので非常に金融危機以降急降下しているんですが、これが来年以降どういうような状況が出てくるかというのはまた2009年の展望のところでお話させていただきたいと思います。それともう一つは、日本発ブラジル向け渡航者の動向としまして、やはり百周年の記念事業がございましたので、6月7月が日本発としてはピークだったそうです。で9月以降はやはり皆さんご存知のように、在日ブラジル人の帰国が増えているみたいです。次お願いします。
2009年の展望。飛行機ちょっと上がっているんですね。JALさんによると下がるんじゃないか言われていたんですけど、やはり縁起悪いんでちょっと上げてみました。国内線、国際線需要ともに不透明であると。特にこちらの航空局のANACはですね、需要想定を下方修正しています。7%伸びるかなと言っていたやつを3%に下げております。
加 えて、状況的にはどういう状況になっているかというと、やはり航空会社は抜本的な改革をかなり迫られているみたいです。就航路線を減らしたり、路線数、ま あ人員削減などちょっと暗いニュースが今後続くんじゃないかと言われております。特に皆さんご利用に最近なられると思いますが、あのエミレーツ航空も名古 屋―ドバイ線の運休を発表しておりますので、こういったところにいろいろな影響が出てくるんじゃないかと思います。
プラス日本市場では、先ほども言いましたようにブラジル人失業者の帰還が2009年前半まで継続すると想定されております。先ほど抜本的な改革というところでお話すべきだったんですけれども、先ほどシンガポールケロシンの価格が166ドルから58ドルまで下がったということなんですが、当然のことながら燃油が下がると非常に経営上良くなるかと思うんですが、この燃油は先物買いされているそうなので、この効果が出てくるというのがかなり先の話だそうです。
166ドルで予約していたやつが未だにあるのかどうかは分かりませんけれども、かなりその時の費用増というのが各航空会社とも非常に経営を圧迫しているということだそうです。次お願いします。
続きまして海運業界。2008年の回顧。1/2と入っておりますね。なぜ1/2としましたかというと、第3四半期と第4四半期がころっと変わってしまうんですね。第3四半期までは皆さんの経済状況と同じように絶好調でしたので、絶好調というのはその経営が絶好調というのではなくて、荷物を運ぶということについては非常にタイトな状態で動いておりました。
特 にレアル通貨が強かったので、輸入が非常に絶好調で動いておりました。その結果かなりトレードのインバランスを加速しまして、運賃もちょっとおかしくなっ たというところはございます。特に不定期船市況が高騰、これは鉄鉱石ですね、鉄鉱石の不定期船市況が非常に高騰いたしました。
加 えて、まあ先ほどにも言いましたが、燃料費の価格が暴騰しておりましたのでこれが運賃に非常に転嫁せざるを得ないという苦しい状況が続いておりました。プ ラスインフラ未整備で各船社スケジュールの維持に苦慮ということなんですが、これは、インフラ未整備が正しいかどうか分かりませんが、一番大きいのはやは り税関のストライキのところで、やはりスケジュールを上手くオペレーションできなかったというのが大きく響いているそうです。次お願いします。
それが第4四半期、10月以降どうなってきたかというと、不定期船、鉄鉱石が急減しました。特にケーブサイズバルカー、これはいわゆる18から30万tクラスの傭船なんですが、これが一日あたり、これ極端な例なんですけども、一日あたりUSドル27万ドルを超えていたのがドル1万以下になったと。これはあくまで一例です。
それだけドンと落ちたという意味合いで、実際1万ドル以下で動いたことがあるそうなので一応書かせていただきました。それだけ非常に落ちたということです。インフラ未整備も幾分解消ということなんですが、船の行き来が少なくなったのでそれほど影響が出なかったということぐらいです。その他としまして、やはり11月のサンタかタリーナ州の水害、特にイタジャイ港において大型船が入港できない甚大な影響が出ていたそうです。次お願いします。
では2009年 の展望、海運業界というのはどうなるのかいうと、やはりこの実運送業者というのは皆さまどうしても受身の立場なもので、皆さまのいわゆる経営状態が好況不 況によって大きく左右されます。ですのでここに書いてあります通り、各産業の動向にかかると。せめて雨からくもりに変わってくれたらいいなというところで す。
た だ鉄鉱石に関してですね、一時の底打ちから若干、やはり中国の需要も上がってきましたので回復しているみたいです。今後海運各社の動向としましては、やは り老齢船のスクラップの促進、古くなった船ですね、スクラップにしてしまう。で、新造船投資の見直し、各定期船サービス網の見直し・調整をしていかない と。やはりかなり物流的にですね、動く量が減るだろうと見ておりますので、こういった調整が必要だということです。
続きましてフォワーダー業界。2008年の回顧。毎回いっているんですが、日本発ブラジル向けの航空貨物の動向はどうだったんだろうといいますと、25%増。やはり絶好調という感じで動いておりました。ただしかし、11月よりは減少。11月12月の対前月25%ずつ減少しております。フォワーダー業界のトピックスとして、やはり税関ストライキ、これによって非常に混乱がいたしました。
皆さんも非常にこれに迷惑を蒙ったかと思います。その後、SISCARGA導入で遅延発生。初めてですね、これは通関を早くするための制度なんですが、やはり完全に準備をしないままに導入したものですから、かなり当初は遅延が発生いたしました。現在はかなり安定化しております。
ロジスティック関係から見ますと、製鉄構内物流もまあ10月まで、前回の8月のこの会では3年先まで受注があるというふうに申し上げていましたけども、それも立ち消えしまして、減産で作業量は30%ほど減になっております。
あと、原油価格高騰は航空貨物の運賃を押し上げてしまい、それとプラス、サンパウロ市のトラック走行規制が始まりました。これは7月から、午後の9時から午前の5時まで、いわゆるマージナルの中ですね、ここの中にトラックが入ってこれないというのが。これはですね、それほどあまり影響はなくて、運送業界としてはほっとしております。加えて一時期サンパウロの市内が交通量が減ったと皆さんが喜ばれていた通りでございます。
2009年 の展望としましては、先ほど航空業界のところでも述べましたように、航空各社の便数が減って、また機材が大型から小型化されるということで、ブラジルに 入ってくる飛行機、また出て行く飛行機ともスペースの減が見込まれて、ひょっとするとまた運賃が値上がりするんじゃないかと危惧しております。
加えて、先ほどからの皆さんの業界のとおりなんですが、やはり設備輸入が減少傾向にあると見ております。ロジスティックは企業の減産で大幅に受注源になるというふうに見ておりまして、フォワーダー業界としまして2009年の展望はかなり厳しいというふうに見ております。
次に旅行ホテル業界です。2008年の回顧としまして、やはり海外旅行はレアル高の時は非常に良かったんですが、それがだんだんレアル安で航空運賃が高騰していきました。国内旅行に関しましてはやはり金融危機以降、大手パッケージ会社も苦戦するようになっております。
ただ、ホテル客室稼働率は、これは11月までの統計なんだそうですが、67%から68.5%へ若干前度を上回る規模になりました。特にメジャー地のホテル稼働率アップ。特にリオ・デ・ジャネイロから北伯地方にかけて70%の稼働率を示しております。これは2009年の回顧の方でちょっと述べますので。
あ と、どういうふうに見ているかといいますと、まあカーニバルまでは例年通りだろうと。ただローシーズン以降はちょっと見通しができない状況であると。国内 リゾート地の稼動は伸長と、クエスチョンマークがついてますね。で、ブラジル人も安近短とこうクエスチョンマークが続いています。これは何かといいます と、やはりこれまでレアル高によって海外へ行っておられた方が国内に、国内も長く遠くへ行かれていた方も近く、そして安くいう、日本でも流行りました安近 短という言葉がそのまま旅行ホテル業界にあてはまるようになるんじゃないかと見ております。
今 後としましては都市型ホテル、まあサンパウロを中心としたこういう都市型のホテルですね、やはり日帰り出張とかインターネット会議の増加によって非常に利 用が減っております。ですのでホテル独自として勉強会とかコンベンションでの利用を増加させようといろいろ仕掛けをしていく時に来ているという状態だそう です。
続きまして通信IT業界なんですが、これは毎年言っているんですが、携帯の電話加入者数が1億5,064万台、世界第5位。最近3G携帯というのが出てきましたですね。これが281万で市場の1.5%を占めるようになってきています。あと、ナンバーポータビリティーとか固定電話加入者数とかずーっと書いてありますけども、やはり国内のPCの販売台数が1,200万台を超えまして、対前度20%増えたと、これが特筆すべきところじゃないかと見ております。
あと最近徐々に増えてきていますのがノッタ・フィスカルの電子化、ICMS税ですね。これも順調に伸びて、多いかどうかちょっと分からないですが、ここに書いてありますように9,365万枚発行を実現していると。今後これは非常に加速されるんじゃないかと見ております。
今後通信IT業界はどうなっていくんだと、2009年の展望としまして、ちょっと話題性がないなということだったんですが、やはり環境に配慮してCO2の削減。グリーンITと書いておりますが、まあ簡単に言いますと、コンピューターの皆さんのモデムのところでブーンとモーターが回って熱い空気が出ますね、これはCO2を発生しているそうなんですね。これをいろんな形でなくしていこうというような今動きがかなり出ているそうです。それとやはり3G携帯の利用が増大すると、そういうふうに見ております。以上でございます。どうもありがとうございました。
司会:和田部会長ありがとうございました。続きまして、最後になります。繊維部会本間部会長よろしくお願いいたします。
プレゼンテーション資料: 運輸サービス 部会
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繊維部会 本間昭一郎 部会長
繊維部会 本間昭一郎 部会長繊維部会の本間です。あと10分から15分ご辛抱いただきたいと思います。
昨年8月の発表の時に私、先ほどから皆さんが言う通り天候のことを、繊維業界の上半期を評して天気に例えたら、晴れのち曇りと発表させてもらったんですけど、後半は非常に各業界皆さんと一緒で、天気に例えると、曇りのち嵐というふうに表現したいと思います。
それでは、いつものように綿花、綿糸、合繊、薄地織物、紳士婦人服地、ファスナーの順で発表させてもらいます。
昨年のNY綿花相場は年初、大豆、トウモロコシの高騰に引きずられて、3月見ていただいたら分かりますように、90セントをオーバーするような高値が出ておりますけれども、それがリーマン・ショック以降の金融危機到来で、昨年11月には40セントを下回る相場が出たという一年でたいへんに大きな変動の相場の年となりました。
今年の世界綿花相場の予想を見てみますと、今年の1月12日にアメリカの農務省から発表された数字と、昨年の7月の数字の比較で見ていただきますと、大きな生産減と投資減、輸出入減による季末在庫増という数字が現れております。季末在庫率で見ますと昨年の7月に42.3%と発表していたやつが、今年の1月の発表では51.6%まで在庫が増えたという形になっております。
国内綿花。2008年の国内綿花の生産は史上最高と言われる160万tを記録しました。綿作地は10年前まではパラナ、サンパウロがメインでしたが現在はマット・グロッソとバイアが中心で、この2州で約83%の綿が作られています。2008年の品質は問題含みでしたが、価格は政府が決めた最低価格以下のいい安定の価格で推移しております。今日現在も、ここに書いてありますように1.15レアルということで、政府が決めた最低価格以下となっております。
国内綿糸。2008年は好調な国内経済に後押しされてまずまずの成績が残せました上半期に比べ、下半期は10月 より急速に悪化、在庫増、売値の低下、生産調整等を強いられる紡績が続出しております。この主な原因としては、秋冬物衣料マーケットの不調、輸入衣料、輸 入綿糸の急増、異素材の増加。先ほどもありましたけれどもサンタカタリーナ州、繊維も一緒ですけれども、繊維の一大産地でありますサンタカタリーナ州の大 洪水の影響が挙げられます。
2009年の展望としては、消費不況のあおりで国内の荷動きは今ひとつ活気がなく、当面、輸出も視野に入れての我慢の年となると見ております。
綿糸貿易。2008年はレアル高に伴い、輸入は急増、輸出は急減、綿糸貿易は2007年以降、貿易収支は赤字となっております。輸入綿糸の約8割はインド品となっております。ただし、9月以降のレアル安で輸入は急減、新規成約は進んでおりません。
2009年の展望としては、現在の為替水準、約2.3レアルが持続すれば、輸入綿糸は国内綿糸と比較して価格競争力がないことで、輸入は減少しなくても、増加はしないであろうと見ております。
合繊と化繊。これもドル安レアル高の影響で輸出は価格競争力を失い、輸入は増加。国内生産は合繊は昨対微増、化繊、これはビスコースですけれども、40%の大幅減産となっております。2009年の展望としては、為替の関係で輸出入とも減少、国内生産は合繊は昨年と同水準,化繊はさらに減少すると見ております。
薄 地織物。織物全体としては、これも一緒ですけれども、レアル高の影響で輸出減・輸入増でありました。綿織物は価格競争力をなくした輸出は減少、輸入は天然 繊維志向もあり大幅に増加、国内生産・販売ともに好調であった前半と比較して、金融危機以降、大型店の引取り遅延やキャンセルが出たこともあって年末の在 庫は増加しました。2009年の展望としては、輸出は相手国の景気が悪く減少、輸入も合繊の需要減で減少と見ております。
紳士婦人服地。上半期の母の日、下半期のクリスマス商戦ともに好調でした。小売、アパレルともに10%から15%増になった模様です。リーマンショック以降為替が40%ほど上昇ししたために、輸入品の価格上昇を小売りの方に転嫁できなくて、たいへん苦労しているというのが現状のようです。
ファスナー。これも前半は、第3四半期までは好調に推移しましたが、第4四半期より急速に悪化。通年では前年並みというふうになったということです。2009年の展望としては、繊維輸入が、現在の為替であれば輸入が減るということで、輸出の再開も期待できることから、上半期はかなり厳しいものの下半期の市況は回復するというふうに予測しております。
繊維業界のまとめとして、為替と原綿コストアップ、繊維製品の国内消費というこの4つのキーワードを挙げてまとめとしました。為替動向で中国からの繊維製品やインドからの綿糸などの輸入が抑制されます。今まで価格競争力のなかった綿糸・衣料品のヨーロッパや近隣諸国への輸出が再開できると。
原綿については、紡績コストの約60%を占める原綿の作柄、品質がちょっと懸念されております。それと20%を超える減産がこれから我々にどう影響してくるか。コストアップ。インフレにスライドして上がる電気代、労務費、荷造り材料費等の採算悪化への対応をどうするか。
最後に国内消費。先ほど皆さんの中にもありましたけれども、給与は繊維業界8%去年の11月に上がっております。最低賃金のアップ、ボルサ・ファミリアの継続、1億9千万人のブラジル国民の楽観的性格で消費が減速しないことに期待しております。以上で繊維部会の発表に換えさせていただきます。ご静聴ありがとうございました。
司会:本間部会長ありがとうございました。これにて全ての部会の発表が終了いたしました。講評をいただきたいと思います。在サンパウロ日本国総領事館総領事、大部一秋様よろしくお願いいたします。
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講評 大部一秋総領事
サンパウロ総領事館 大部 一秋 総領事
総領事の大部でございます。今日は非常にこういう活発な部会長シンポジウムということに出席させていただきましてありがとうございました。データといいプレ ゼンといい、すばらしいの一言に尽きると思います。全ての方の関心は今の金融危機が実体経済にどう影響を与えて、その実体経済、総需要が減っていると、そ の総需要をどういうふうに回復していくか。いつ底を打って、いつ反転に向かうのかというのが、おそらく万人の共通の関心事項だと思います。
そ ういう意味で、マクロとミクロ、両方を見て行く必要があるという趣旨でも、今回のこの部会長シンポジウムの趣旨は全くすばらしいものだと思いますし、おそ らくこういうような形でブラジルの経済、まあ日本とブラジルとの経済を見ておられる所というのはないんだろうと思いまして、私の同僚なんかにもぜひこうい うデータ、理論、プレゼンの資料を渡したいと、知らせたいという思いを強くしております。
大先輩方で、私も来て1カ月しか経っておりませんので、気の利いたコメントもできないし、これからいろいろ教えを乞うていくという立場でございますので、感想めいたような話をいくつかさせていただければというふうに思っております。
お聞きしていますと、全体として2008年は晴れであったと。まあ快晴ないし晴れというのが、お天気でいうとそういう評価になって、その後2009年 の見通しについては、まあ雷雨、嵐、くもり、薄日というようなことで評価されておりまして、雷雨・嵐がものすごく多いかなと思っていたんですが、それほど 多くはなくて、まあいくつかはもちろん雷雨・嵐ということですが、また大体くもり、雨、部会によっては薄日といったような感じが少し強かったのかなという 感じがしております。
一つ目として私が感じたのは、この2008年までの経済の上昇ぶりというのがすごかったんだなということを、輸出にしても20%、輸入にしても40%の上昇。経済成長も5.7、2008年は5.6ぐらいという事で、2割3割ぐらいの生産の増、まあ建設業にしても雇用者、労働者の増、それから件数、戸数の増というその増加幅が3割4割を超えているということで、非常にこれが印象深いもの、印象を受けました。ひょっとしたら、若干過熱気味になりかけていたんではないかなという感じをもちました。
にもかかわらず消費者物価の指数が2007年で4.5、2005年からいくと5.7、3.1、4.5、2008年5.9% と、よくこれだけの低さに、中南米を見ますと、収まっているなと。私がアルゼンチンにいたせいかも知れませんが、インフレ、中南米の場合二桁超える可能性 も出ていますし、おそらく金利が高いのもインフレを念頭に置いた構造的なものかなというふうに思うんですが、よくこれだけの生産の需要の拡大の下で消費者 物価を一桁の段階に押さえてきているなということで。
ま あこの辺は結構、マクロマネージメントというのが上手くいっているんではないかなという感じをもちました。若干、このまま景気がこの傾向で行った場合には バブリーな感じになっていたのかなというふうに思うと、まあ若干調整の時期のような要素もあるのかなという感じがちょっとしました。
それから二点目で、10月以降、リーマンショックがあって実体経済が落ち込んだ、数字的にも落ち込んでいますし、かなりのパーセンテージで落ち込んでいる、日本もマイナス12.7%で10、11、12の四半期は35年 ぶりというたいへんな落ち込みをしましたけれども、それから比べればブラジルの落ち込みというのはまだプラスの範囲に留まっているわけで、非常にあの、軽 症とは言えないのかもしれませんけれども、比較的軽く影響を受けているというのは当たっているのかなというふうに思います。
ま あどこまで、いつまでこれが続くのかということで、全体の今日の部会長シンポジウムのトーンですと、上半期は落ち込むでしょうけど、下半期には期待したい という意味での反転、もしくは底打ちといったものの期待感が出ているし、その裏づけとなる国内のマーケットが大きい、金融システムが健全であると、それか ら楽観的な予想が結構信頼感を支えているといったようなことで、そういうような見通しになっていくんだろうと思うんですけれども。
いろいろな議論の中で出ていました強気の材料の一つとして、例えばペトロブラスの、クウェートに匹敵するような確認埋蔵量で1,000億バレルを超えるというような話が、これは私もサウジアラビアにいましたので、まあサウジは世界一の確認埋蔵量で2,500億バレル、もう2,600になっているんでしょうけども、1兆バレルの4分の1ぐらいの確認埋蔵量がありますけども、ブラジルが1000億バレルを超えるということになると、たいへんな衝撃的というか大きな話で、そのための必要な投資、そのために必要なマンパワーなり機器というのは相当なレベルに上がると思いますし、ペトロブラスが強気の姿勢でそういったインフラ投資というものを5カ年計画なりで進めて行くということであれば、そういうのは強気の材料の一つとしてあるのかなというふうに思います。
それからエンブラエルの、航空機産業ですけれども、世界第3位ですけれども、この前JALが買って、また近く日本からもまた買うということなんですが、聞き及ぶところによるとかなりの、20億ドル近くの受注の、まだ作っていない注文が入っていて、相当これから先も売れて行くというような話もある。まあ強気の材料かなと。
ま た希望的には高速鉄道の話もあるし、いろいろなインフラ整備の話も出てくるしということで、強気の材料といったような意味では、元々資源・エネルギー・食 料といった意味で潜在性が高いことがあると思いますが、そういった強気の材料が全体としてブラジル経済の先行きを少しこう支えているのかな、という感じが しました。
お そらく、ブラジルが個人的には見ていく必要があるのかなと思うのは、政府がこれから行って行く財政政策、金融政策の効果がいつ行われて、その効果がどこま であって、いつごろ効果が出てくるのかということと、その辺りが非常に大きな要素になるのかなということで、まあブラジル政府が取る財政金融政策の中身と 効果がどこまで出るのか、いつごろになって出てくるのかというのが、結構大きなポイントになるのではないかなと思います。
金 融システムで不良債権がたくさんあって、そもそも実体経済を支える金融の面でお金が出すにも出せないという状況にある、まあかつての日本のバブル崩壊後の 話とか、今の住宅の債務のアメリカのような話、ヨーロッパの話、金融債券、不良債権自体で身動きができないという状況にブラジルがあるわけではないでしょ うから、実体経済の総需要を上げていくためのお金の流れ、資金の融通という意味では、不良債権の問題がそんなに深くあるわけではないんだと思いますので、 他の国とはちょっと違う要素があるのではないかなというふうに思っています。
二番目としておそらく、消費の動向が、国内マーケットが大きいから今後まあ底打ちも早いし反転に転じるだろうという根拠になっている国内消費、GDPの6割 が消費支出だということで、非常に大きな期待がかけられるし、外需依存型、どの程度外需に依存という事になるのかは私自身もうちょっと勉強する必要がある と思うんですが、かなりの部分国内に消費が伸びると、継続するということに経済はかかってきている部分もあるかなと思います。
外需の代替としての内需の拡大、その内需の拡大を支える金融面での処置といったものが上手く有効に働いていけば、反転して上向いて行くことになるのではないかなというふうに思います。
それから2,000億ドル、外準が2,000億ドル近くもあって、これも538から858、1,803、2,068という急激に外準が増えて、まあ2,000億ドルで対外債務と同じくらいの外準があるということですので、5億ドル程度の貿易の赤字が1月に出ても全体として予想では140-150億ドルの黒ということも出てますので、それほどその貿易の赤字で外貨が流出して外準が崩されてなくなって混乱するというようなかつての、まあアルゼンチンもそうでしたけども、ブラジルのような話にはならないだろうし、その辺の底固さもあるという気がします。
そ ういう意味で非常に私自身としては、いろいろ見ていくポイントが、コモディティーの価格もそうだと思いますけども、ポイントがあると思いますけども、今日 その部会長シンポジウムのお話を聞いていた限りにおいては、もちろんミクロで見て厳しい状況に置かれたところも当然あると思いますが、やはりブラジルの持 つ潜在力、持てる国と持たざる国という昔の分け方がありますけども、資源・食料・エネルギーをもっている国と資源・食料・エネルギーをもっていない国との 潜在力の差が今の経済の影響をどの程度受けるのか、どの程度回復力が早いのかということに対して、かなり依存してきているのではないかと。
そ ういう意味でブラジルの持つ潜在性、ポテンシャリティの高さが、結構この国に対するクレディビリティ、信頼感につながっていて、それほど落ち込まないで反 転していくのではないかなという感じをもちました。全く素人的なあれで恐縮でございますけれども、とりあえず感じたこととして、こういうことを述べさせて いただきました。
非常にすばらしい、こういうプレゼン、データ、分析、見方がありますので、ぜひこういう、今日のこの場のプレゼンなり分析なりお話を我々の方でも活用させていただければというふうに思っております。本日は本当にありがとうございました。
司会:大部総領事ありがとうございました。続きまして、経済産業省通商政策局米州課長の赤星康様にごあいさつをいただければと存じます。よろしくお願いいたします。
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コメント 赤星康米州課長
経済産業省通商政策局 赤星 康 米州課長
ただいまご紹介いただきました経済産業省米州課長をやっております赤星と申します。今日はたいへん貴重なお話をいろいろ伺えて勉強になりました。どうも本当にありがとうございました。前回、私は7月に米州課長に着任しまして、前回こちらにうかがいました9月15日でちょうどリーマンショックがあった日でございました。それでその時の夕食会でも非常にたいへんなことになったねという話で非常に一色であったのを今も覚えております。
今日も何人かのその時に会った方にうかがうと「ああリーマンの時に来ましたよね」という、ちょっと妙な覚え方をされたりもしたんですけども、また今日何かあったらもう来るなと言われそうなあれだったんですが、まあちょっと日本のGDPとか若干暗いニュースはあるにせよ、まあ世界的にここまでブラジルまでに大きな波紋を及ぼすものでもないのかなというふうに思っております。
そ の時いろいろうかがった話は、少なくともその時まではブラジルは絶好調でイケイケドンドンということだった訳ですけれども、今日いろいろうかがっています と、快晴のち雷雨というようなお話もありましたけれども、ちょうどうかがった日が転機になったんだなと若干感慨を覚えるものもありますが、今の大部総領事 のお話にもありましたように、そうは言いつつ、いろいろ今うかがっていると2009年そう暗いばかりでもなくて、むしろ、まさにおっしゃった通りブラジルの持つ潜在力を発揮してまた回復して行くということを期待させていただきたいと思います。
この場をお借りしまして一言、今回私ども同僚数人と参っておりますのは、19日、20日、今週の木曜日と金曜日でございますが、第1回、初めての日伯貿易投資促進委員会というのをブラジリアで開催することになっているために来て、ちょうどこういう機会があったのでお邪魔をいたしております。こちらの田中会頭以下商工会議所の幹部の方数人および島内大使とかにもご参加いただくことにもなっております。
先 ほど触れていただいた方もいらっしゃった訳でございますけれども、これは甘利前経済産業大臣とこちらの開発商工大臣との間で去年の夏に決まりました、まあ ビジネス環境改善を中心とした、目的としたそれぞれの国の政府と民間での協力の枠組みでございます。したがいまして、私どもとしてはぜひ皆さまのお役に立 つように、ブラジルの、変な制度と言っちゃうとちょっと問題あるかもしれませんけども、そういうものの改善を、ちょっと今回初めてということなので一朝一 夕という訳にはいかないのかもしれませんけれども、図っていきたいと思っております。
他 方、貿易投資促進ということなので、これは当然双方向ということでございまして、ブラジル側からもいろんな協力要請みたいなものが、例えば特許の協力とか ですね、そういうのが寄せられておりまして、ちょっとした交渉のようなことになる訳でございます。私はブラジルの方を相手に交渉を、交渉というほどのこと もないんですけれども、そういうものをするのは初めてなんですが、非常にタフなネゴシエーターで次から次といろんな話をされるので中々非常に手ごわいなと 思いまして、ここでビジネスをやっていらっしゃる方々も非常に苦労されておられるのじゃないかなと拝察したりする次第でございます。
いずれにしても1回目なので、この委員会を今後動かして、どういうふうに動かすとどういうふうに上手い成果が上がっていくかというのは1回目を開いてみて見ていかなくちゃ、いってはいけないところもあるわけでございますが、ブラジル側も非常に熱心で、まあ今回2月にやって10月には東京で第2回をやろうと。
本来1年1回なんですが、ちょっと今回延期して1月になっていることもありまして、もう10月 には東京でというようなこともオファーがありまして、まあブラジル側も熱心ということでございます。先ほど申し上げましたように今回やってみた結果も踏ま えて皆さんのお役に立てるようなものにしていただきたいと思いますので、ぜひ皆さまからの、今回もいろいろいただいているんですけれども、インプットを引 き続きいただければと思っております。以上、ちょっと簡単ですがごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願い します。
司会:赤星様ありがとうございました。官民一体、さらにはオールジャパンとしてできることはかなりあると思いますが、引き続きよろしくお願いいたします。今日ですね、2月17日、何もないと思うんですけども、実はアメリカではGMとクライスラーの再生計画の提出期限ですね、これがちょうどブラジル時間の7時、あと1時間に迫っております。ちょうど非常な注目が集まり気になるところではございます。
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閉会の辞 近藤正樹総務委員長
閉会の辞 近藤 正樹 総務委員長
世界の金融経済危機ですね、ブラジルも決して例外ではないということでありますが、ただブラジルはどこかが違うと、何かが違うということをですね、皆さん感 じておられることと思います。そういった意味でですね、今回のシンポジウムが何かを説明できる、そういったヒントがあったんじゃないかと、そういうふうに 思います。
各部会の皆さま、盛りだくさんな内容でコンパクトにエッセンスをまとめていただきありがとうございました。次回のシンポジウム、6カ月後、8月18日を予定しております。明るい話題がたくさん出ますよう期待しております。
一点連絡事項です。この後カクテルパーテイーを用意しております。会場を出られてすぐ隣の会場でございます。6時から7時までやっております。お時間ある方はぜひご参加いただき、引き続き情報交換、懇親を深めていただければと存じます。予約されてない方も大歓迎です。費用は50レアルです。本日は長時間どうもありがとうございました。これにて閉会いたします。ありがとうございました。
開催日:2009年02月17日(火)
会場:ホテル ソフィテル
時間:午後2時から6時