2015年下期業種別部会長シンポジウム(2015年8月20日、Hotel Maksoud Plaza)
テーマ:「2015年上期の回顧と2015年下期の展望」 副題: 必ず復活!ブラジル経済 ~日系企業はどう立ち向かうか~
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司会 相原良彦 総務委員長
(写真右側が相原総務委員長)2015年下期業種別部会長シンポジウムを開催させていただきますけども、その前にブラジル日本商工会議所の方からカタログができたということで、そのご紹介を渉外広報委員会の東様からちょっとお願いしたいと思います。
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渉外広報委員会 東崇徳 副委員長
皆様こんにちは。渉外広報委員会の東です。よろしくお願いします。お手元にパンフレットの方をお配りさせていただいております。ポルトガル語と日本語、2種類ございます。今日、委員長の近藤が欠席させていただいておりますので、代理で私、東がご紹介させていただきます。
3月にですね、平田事務局長から、今年何とかしてパンフレットを改定したいというご指示がございまして、それ以降6回、ほぼ休眠していた渉外広報委員会を開催しまして、パンフレットを議論して参りました。最終的にはコンペを開催させていただきまして、非常に見やすい形で今回パンフレットを改訂させていただきました。
ゴールとしては、8月の下旬にございます経済セミナーでお配りさせていただくということで、短期間で6回議論させていただいて、作って参りました。ぜひ皆様、お知り合いの方とかでまだ商工会議所に加入されていない会社様等ございましたらですね、ぜひこれを使いながらご紹介いただければと思いますので、よろしくお願いします。以上でございます。
司会
どうもありがとうございました。それではただ今から始めたいと思いますが、私は本日前半の司会をさせていただきます、三菱重工の相原と申します。よろしくお願いします。何分不慣れな司会業ということで、何かと不都合もあるかと思いますけども、ご容赦のほどお願いいたします。そして後半の方は隣におられます、ジェトロの石田様にお願いします。 -
石田靖博 企画戦略委員長
(写真左側が石田企画戦略委員長)ジェトロの石田でございます。企画戦略委員長を仰せつかっておりまして、このたび後半の司会を担当させていただきます。皆様ご協力よろしくお願いいたします。
司会
どうもありがとうございました。それでは皆様、特に発表者の方々にはよろしくお願いしたいと思います。なお本日の会場には日本国大使館から小林参事官に来ていただいております。ありがとうございます。後ほど、予定が合えば在サンパウロ日本国総領事館の中前総領事も来て下さるということになっております。なお、御二方には最後の方に講評とコメントをいただきたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。なお本日は約180名を超える方々にご来場いただいておりますが、いつものことなんですけども、ここに来ていただいて、居眠りしなかったら、5時間でブラジル経済の動向が簡単に分かるということでですね、ぜひ眠気を我慢していただいてしっかり聴いていただければと思います。
なお本日の副題ですが、「必ず復活!ブラジル経済~日系企業はどう立ち向かうか」ということで、ちょっと悲壮感も漂っているんですけども。ちなみに1年半前の副題が「どうしたブラジル経済」、1年前が「どうする日伯関係」、そして半年前が「再生目指すブラジル経済、どう頑張る日系ビジネス」ということで、ずっとこの1年半以上、2年近く、頑張れ、どうなる、という話だったんですけども、今回は「必ず復活」ということで、ある意味やっと底が見えていよいよ復活するぞという期待感も込められているのではないかと思っております。
この副題を胸にですね、各発表者が熱い気持ちを持って発表されるということを心から期待しておりますけども、あまりにも熱い気持ちで時間を時々超える方がおられますので、その時は我々司会の方で合図しますので、ぜひ発表者の方はよろしくお願いしたいと思います。
それでは発表の前にまず村田会頭の方から一言ご挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
ブラジル日本商工会議所 会頭 村田俊典
会頭の村田でございます。今日はたくさんの皆様にお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。ご存知の通りですね、いわゆる部会長シンポジウムというのは商工会議所の恒例の、しかも目玉のイベントでございます。年2回行なっております。11の部会の皆様がそれぞれ事前に集まって議論をしていただいて、そしてお手元にある資料のように非常に中身の濃い発表を準備していただいております。大変ありがとうございます。先程相原さんからもお話ありましたように、非常に役に立つシンポジウムでございますので、長丁場ではございますが皆様どうぞじっくりと発表者の意見に耳を傾けていただきたいと思います。
今日は大使館から小林和昭参事官もいらっしゃっておりまして、ご講評を最後にいただくことになっております。基調講演とかをやっていた年もありますけども、今日はそれもなしで、時間もございますので、ストレートに発表の方に入らさせていただきます。
非常にですね、厳しいブラジルの経済の環境だとは思いますが、それぞれの部会がどのようにこのクライシスを乗り切るかということで発表があると思います。皆さんよろしくお願いいたします。それでは私の挨拶と代えさせていただきます。ありがとうございました。
司会
どうもありがとうございました。それではトップバッターですけども、金融部会の深井様にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 -
金融部会 深井泰雄 部会長
皆様こんにちは。金融部会部会長の、みずほ銀行の深井です。本日は、金融部会より2015年上期の回顧と2015年下期の展望というテーマで、マクロ経済、銀行業界、保険業界について発表させていただきます。
先程相原委員長からですね、「必ず復活ブラジル経済!~日系企業はどう立ち向かうか~」ということで、前向きな発表ということを期待されているのかとは思っておりますが、残念ながらですね、まあ皆さんご存知の通りに足元、特に上期の各種マクロ指標については良い数字はほとんど出ていないという状況です。ただ、将来に向けて足元を見つめるということからも、一旦上期について回顧させていただいて、その後今年末にかけての金融部会としての見方、予測等を簡単に触れさせていただきたいと思います。それではまず上期の回顧ということで、最初のスライドをご覧ください
2015年上期を振り返ってみますと、昨年10月の大統領選挙で薄氷の勝利を収めたルセフ大統領の第2次政権が1月にスタートしました。しかしながら、早くも3月には支持率が急落、議会内の求心力も大幅に低下しております。最近ではですね、弾劾や辞任の可能性も否定できないという状況になってきています。またレビ財務大臣をはじめとした新経済スタッフもですね、財政再建策を積極的に進めておりますが、景気低迷や議会の反対等により足元十分な成果は上げられていないと。この結果、財務目標の下方修正を余儀なくされております。
まず経済全般について、インフレ、高金利が進む中、上期はマイナス成長となる見込みで、この流れは下期も継続する見込みです。
GDPについては、個人消費の落ち込み、工業生産の低迷等からマイナス成長、今マイナス0.6と言われています。それからインフレについては、今年に入って公共料金の引き上げ、食料品・輸入品等の値上げ、それから財政政策に伴う税制恩恵や補助金廃止等により急上昇しております。このインフレを抑制すべく中銀は政策目標金利、いわゆるSELICですけども、上期だけで4回、合計で2%引き上げを行なっております。この結果、6月末時点では13.75%。これ下期に入りますけども、7月にはさらに0.5%の追加利上げを余儀なくされております。
為替につきましては、ファンダメンタルの弱さがありますし、レアル安で推移しております。3月には2000年代初頭の通貨危機以来12年ぶりの安値を記録。その後若干落ち着きは取り戻しておりますけども、7月また、中国株式の急落、S&Pの格付け見通し等でレアル安が進行と。本日もマーケット開けたところでまた3.5を切ると、また今3.4で戻していると思いますけども、3.5を超える水準にまで達しているという状況です。
財政はやはり経済の減速による税収減、財政再建策の成果が上がらずということで、プライマリー収支黒字目標を当初のGDP比1.1%から0.15%へ下方修正を行なっています。
失業率は、昨年は歴史的な低水準で推移していたのですが、今年に入り景気減速に伴い急速に上昇、今8%、9%になっております。経常収支も同様にですね、過去最悪の赤字を記録した2014年から大きな改善は見られないという状況です。
これはですね、過去3年、2012年からデータとしてまとめております。内容につきましては今お話した通りなんですけど、データの一部補足ですけども、ちょっと小さいんですが2015/12予測値というのは、年末の値をですね、中銀Forecast、経営機関のエコノミストが発表しているデータをまとめたものですけども、それを入れております。内容については今お話しした通り、GDP成長率については年末にかけてやはりマイナスという予測をForecastの方は出しております。それから経常収支につきましては、これは6月時点ですけども、すでに660億ドルのマイナスという状況になっております。他につきましてはこの後個別にご説明をさせていただきます。
それでは個別にご説明させていただきます。まずGDP成長率と工業生産の伸びです。棒グラフが四半期ごとのGDPの前年同期比の伸びです。2013年の後半から成長率の低下傾向が継続しており、2014年はゼロ成長、2015年ではついにマイナス成長となっております。
折れ線グラフが工業生産の伸び率で、右軸で読みますが、これも2013年後半から前年比伸びが急低下。2015年はマイナス成長になっております。企業および消費者のマインドの悪化に歯止めがかからず、生産販売の落ち込みは業種を問わずほぼ全ての部門に拡大しております。
続きまして小売の売上高です。これはいわゆる個人消費を表しているものですけど、こちらの推移を見ていただきますと、ここ数年ずっと伸びは鈍化しております。昨年からさらに急降下しているのが分かります。原因としては、やはり食料等の物価上昇による実質購買力の低下、それから景気減退による雇用・所得への影響。それから高インフレ、高金利における金融機関、小売販売等によるクレジット供与、オートローンとか銀行の各種ローンですね、これが引き締められている、ということから消費全体が減退させられていると考えられております。
続きまして、インフレです。代表的なインフレ指数として拡大消費者物価指数、いわゆるIPCA、こちらは赤い太字になります。従来中銀のターゲットというのは、上限が6.5%ということになりまして、昨年はほぼ上限に張り付いておりました。ただし今年に入ってこの上限を突破して、上期では8.89%、足下9.56%となっております。
従来ですと、この紫の線のサービスセクターがですね、インフレをある意味牽引していたところがありますが、今年に入りまして、この青い折れ線グラフ、こちらの方がガソリンとか電気代ですね、こちらの政府統制価格、いわゆるRegulated Price、これが年明けから急騰していると。これが大きな要因となってIPCAは6月末で8.89、今足下9%というような状況になっています。
続きまして金利、為替の推移です。こちらの赤線が金利になります。いわゆる政策金利、SELICというところですけども、先ほど申し上げましたように、2015年に入ってインフレの高騰を受け、政府としては4回、合計で2%の利上げを行なっております。昨年末が11.75%、これが6月時点で2%上げて13.75%になりました。
下期に入って、7月29日ですけども、通貨政策審議会いわゆるCOPOMでもってさらに0.5%上げまして、足元いま14.25%ということで、このデータが2008年から取ってあるんですけども、その中でも一番高い状態ということになっております。7月29日のCOPOMの会議の後、一応これ以上の年内の利上げはないのではないかというようなことが示唆されており、マーケットでも年内はおそらく14.25%で続くのではないかというふうに足元言われております。
それから、為替の方です。こちらのブルーのラインですけども、こちらも年初からレアル安がずっと続いております。背景には、米国の利上げ観測、資源価格の下落による新興国通貨の売り、それからブラジルの財政赤字・経常赤字、こちらの状態が良くないということで、マーケットからかなりレアル安の動きに圧力がかかったということがあります。
で、一旦3.3から3.4ぐらいになって、その後ちょっと落ち着いたところはあったんですけど、その後ですね、やはり政治的不安定要素が拡大していると。それから中国株式が急落、S&Pが格付けを見直しといった悪材料が出て、足元さらにまたレアル安が進んでいると。ここに出ているのは8月の17日の終値ですけども、3.47と。これは今日時点で一旦3.5を切っているという状況です。
次は財政です。プライマリー収支。こちらもですね、新聞等でよく報道されておりますけども、政府が目標を下げております。昨年、大統領選挙前、減税を行なったり公共事業の実施等により財政がそもそも悪化している中、第2次ジルマ政権になり、各種財政再建策を打ち出しております。ただし残念ながら経済そのものが減速しているということで、税収が大幅に減っていると。それから一方で財政再建策がなかなか、議会の反対にも遭い、実施に移らないということで、これは下期に入ってですけども、7月22日に2015年のプライマリー収支の黒字目標、こちらをGDP比1.1%から0.5%へと大幅に下げております。ちなみに2016年、2017年の目標につきましても、当初2%を設定しておりましたが、それぞれ0.7%、1.3%へと引き下げております。
こちらも、財政とも関係しますが、政府債務です。こちらもご覧いただくと分かる通り、この赤い太線が政府の総債務ですね、こちらになっております。昨年以降まだまだ増加している状況で、こちらの方もプライマリー収支目標だけでなく、対GDP比の政府債務目標というのがありますが、こちらの方もですね、こちらは比率ですが、上向きに修正しております。元々は対GDP比64.1%という目標を設定していたのですが、現在では64.7%。来年以降も上方修正しております。
この青とピンクの棒グラフのこの面積のところですけども、こちらの方はですね、BNDESを中心とする公的金融機関の貸出残高ということになっております。これも従来から言われています通り、BNDESが政府財政を補填してきたというところがありまして、まだ足元では増加傾向に歯止めがかかっていないと。これは3月までですので、直近のデータはまだ分からないんですけども、まだまだ引き続き高水準にあるということが見て取れます。
こちらはソブリン格付です。これも最近マスコミ等でもう毎日のように報道されているので、皆さん馴染みがあるかと思いますけども、これは1986年からのデータを取っております。大手格付け機関、S&P、フィッチ、ムーディーズですね。この3つの格付け機関の推移を取っております。
S&Pは2014年に投資適格の一番下であるBBBマイナスに早々と格下げをしております。昨年末に下げております。ただその時は見通し、いわゆるOutlookというのは安定的ということにしておりました。一方でムーディーズは、昨年はまだ投資適格の一番下のもう一つ上のBBB、ムーディーズの場合はBaa2ですね、こちらの方を維持して、加えて見通しは安定的ということで2014年を終えております。
これが今年に入りまして、これも上期というよりは最近の話ですけども、7月29日にS&Pが見通しを安定的からネガティブというふうに変えております。こうなりますと、もうこれ以上下がないという、S&Pについて言うともうこの下がないと。この下はもう投資適格から外れてしまうという状況になっております。
ムーディーズにつきましては、7月から評価を行ないまして、先日、8月11日に格付けの見直しを行ないまして、BBB、Baa2から一つ下げてBaa3、BBBマイナスに下げております。当初マーケットではBBBマイナスのさらにネガティブというのが想定されていたんですけども、結果としてはムーディーズはBBBマイナス、Baa3の安定的、Stableといったところで留まりました。これはマーケットの予想よりは良かったという状況になっております。ただS&Pの方がですね、すでに一番下のところに来ておりますので、今後、半年から9ヶ月ですね、改めて見直しが行われた場合には、S&Pについて言うと投資適格を外れるという可能性は否定できません。
格付けによる影響いろいろとあると思うんですけど、一つは海外の機関投資家がブラジルに投資を行う際、やはり格付け、特に投資適格、格付け機関2つ以上の投資適格というのを条件としているケースが多いというふうに聞いておりますので、S&Pプラスもう一つが仮に落ちた場合には大きな影響が出て来るのかなということで考えております。
続きましてこちらもマーケットの情報です。株価と、それからCDSというデータを取っております。株価の方は皆さんご存知のようにBOVESPAの指数を取っております。昨年末は50000ポイントで終わりまして、6月末にかけては株価は上昇して53000ポイントということで6.1%上昇しています。
この株価上昇の上期の要因としては、好業績銘柄による牽引と。それからあと、ペトロブラスが決算発表できずにいたんですけども、今年1月に昨年7-9の決算を発表できたということで、まあ上場廃止の危機を脱したということから資本市場に少しお金が戻ったということが言われております。
ただし下期に入ると、これは7月ですけども、再び下落傾向ということで、8月17日現在では今47000ポイントと昨年末の値を下回っているという状況です。このあと年後半にかけては、まあ色んな要因はあると思いますけども、一つは景気悪化から銀行の不良債権が増加、銀行株の下落が指数を押し下げるというようなことも言われております。
それから、こちらのCDSです。こちらはちょっと馴染みがない指標かもしれませんけども、Credit Default Swapの略です。国債や社債などのポリティカルリスクをですね、ヘッジするデリバティブ契約の一つです。ブラジルのCDSといえば、いわばブラジルのソブリンリスクに対する一つのリスク料ということでお考えいただけたらと思います。
これは3年物のCDSになります。グラフを見ていただくと分かります通り、この2008年ですね、これはちょうどリーマンショックの時、これはブラジルに限らずエマージング・マーケット全体が大きく揺れた、先進国もそうですけども、揺れた時です。この時点ではピークは350ベーシスポイント、これを上回っております。その後は比較的安定して、まあ大体80から150ベーシスポイントぐらいで過去推移しておりました。
それが今年に入りまして200ベーシスを上回る水準ということです。足元では、今週ですかね、確認したところ255ベーシスポイントということで、リーマンの時ほどではないですけどもかなり値が上がってきていると。これの意図するところとしては、やはり海外の投資家を中心にブラジルのカントリーリスクについてヘッジする動きが活発化してきているということかと思います。
続きまして失業率です。こちらの方も先程ご説明した通り、2008年からデータを取っていますけども、昨年、年間で4.8%ということで、ブラジルの歴史上最も低い水準まで下がった状態が続いています。ただ今年に入ってですね、やはり企業の雇用調整が本格化してきたということもあり、急速に上昇してきております。
こちらは外貨準備高です。2012年以降ですね、ほぼ同じ水準、まあ3500億ドル、3600億ドルを超えた状態と。足元、まだデータがアップデートされてないんですけども、3700億ドル程度ということで、外貨準備については今のところまだ大規模な減少というのは起きていません。今後も、外準が大きく毀損するということは今のところは想定していないという状況かと思います。
以上が上期のおさらいということになります。続きまして下期の展望ということで、次に2枚スライドを用意させていただいております。前回2月に発表させていただいたのと同じ、金融部会所属の各銀行による下期の予測を、メインシナリオとリスクシナリオという形で分けております。各行が独自に想定するシナリオに基づく予測を集計しておりますので、金融部会としての統一見解と言うよりは各行見通しの最大公約数ということで考えていただけたらと思います。
このデータの集計時点は一応7月末ということですので、また8月に入ってマーケットが大きく動いておりますので、おそらく各行さんまた見通しを変えている可能性はありますが、その点はご容赦いただきたいと思います。それからこちらのカッコ内の数字ですね、これは2月のシンポジウムで同じ形で発表させていただいておりますが、その時に予測した年末の数値ということです。それぞれメインシナリオとリスクシナリオということで用意しております。
メインシナリオを見ていただいても分かります通り、2月に予測したデータから、わずか6ヶ月間ではありますけども、経済状況が大きく下振れしていずれの数値も悪化しているというのがご覧いただけるかと思います。
それでは個別に、まずGDP、景気についてですけども、景況感は家計・企業ともさらに悪化。第3四半期以降も景気減速は続くのではないかということで、GDPの成長率の予測値はマイナス1.7%からマイナス2.2%。2月の時点では今年はマイナス0.4からマイナス0.5ぐらいというのを予想していたんですけども、足元では大きくそれを下回っております。
インフレにつきましても、これも上期と同じですけども、食品・輸入品を中心とした物価上昇圧力が引き続き強く、年末にかけては9%台になるということを各銀行とも予測しております。それから為替については、足元、財政目標の引き下げ、それからS&Pの格下げ、見通しの変更ですね、それから中国の人民元の基準値の切り下げ、それから逆に米国金利の引き上げ等ですね、色々な内外の要因が出ておりまして、引き続きボラティリティの高い状況が続くというふうに予測しています。7月末時点の各銀行の予測としては、年末にかけては3.2から3.5というレンジで決着するのではないかということで予測をしております。
それから金利につきましては、これも先程来ご説明していますが、現在SELIC、政策目標金利が14.25%になっておりますが、これについては年末まではこれが維持されるのではないかというのが、ここは各行とも同じ意見を出しております。
次がリスクシナリオになります。GDP成長率はマイナス2%からマイナス3%。インフレ率は8%から10.3%。為替は3.7から4.2。年末政策目標金利、SELICは12から15と、かなり幅があります。
リスクシナリオで皆さんがコメントしたのはこの内容なんですけども、色々と想定されるシナリオはあると思いますけども、一つはジルマ大統領が弾劾あるいは辞任といった形で政権を離れると。それに加えてレビ財務大臣も離任してしまうということで、ブラジルに対する信任が大幅にさらに低下すると。加えて、S&Pになるのかもしれませんが、格付けをBBBマイナスからBBと、投資適格を失うというような、まあかなり悲観的なシナリオではありますけども、そういったことを一応リスクシナリオとしては書いております。
この中においてはですね、レアルは、メインシナリオでは足元の3.5からどちらかと言うとレアル高という予測をしていたんですけども、リスクシナリオになりますと3.7からさらに4を切るような水準を予測している銀行もあります。状況としてはやはり政治的な混乱とか、高金利、高インフレがさらに継続、それから資本流失も起こるというような、まあいわゆる負のスパイラルが発生するというのを最悪のシナリオということで考えております。最悪じゃないですね、リスクシナリオとして考えております。
以上が各銀行からのアンケートを基にした下期の予測ということですけども、まあ今回のシンポジウム、タイトルは少し前向きに「必ず復活!ブラジル経済」ということですので、先日金融部会で会合を開いた時に前向きな話は何かないかというのを少し議論させていただきました。それを少しまとめたのがこちらになります。
まず、最初にですね、ここちょっと紙には全部書いていないんですけども、2016年のシナリオというのも簡単にヒアリングをさせていただいています。2016年については、メインシナリオですけども、GDPはマイナス0.7からゼロ。残念ながらプラスにはならないという状況ですけども、今年がマイナス2%程度ということが見込まれていますので、それよりは若干改善するかなということです。それから雇用環境については、引き続き悪化がやはり続くのではないかと。失業率は高水準で推移と。
ただしインフレについては、今年9%、場合によっては10%と言われておりますので、そこからすると来年は5%台前半、5、6%に収斂していくのではないかというような見方をしております。
為替については、先程のリスクシナリオでは3.7から4という話をさせていただいていますけども、これもまあ、財政再建の進捗等によっては今年のベースシナリオの3.5から3.5程度で推移するということも、そういう見方も出ております。
それから金利については、これは今年いま14.25ということですけども、インフレがまあ5%台に低下して来るということで金利の引き下げ余地も出て来るということから、来年については11%から13%台ということで、今年よりは引き下げができるのではないかという見方をしているのが各行の見方です。
それからここにちょっと書かせていただいていますけど、先程のリスクシナリオではルセフ大統領の罷免あるいは辞任ということプラス、レビ財務大臣の辞任というのを書かせていただいたんですけども、こちらでは、大統領は罷免あるいは辞任するものの、レビ財務大臣は残るというような状況において、まあ一時的に政治的な混乱は起こるものの、経営者とか消費者、投資家のマインドが前向きに変わってですね、景気、為替、株価とも底打ち、反転するのではないかというような意見も出ております。
それから、これは金融部会のコメントではないんですけども、先日発表されたVEJA誌なんかでは、まあこちらも同じようにシナリオを3つ書いておりますけども、楽観シナリオとしては、2016年以降ですけども、経済成長はプラスに転じるというようなことを書いております。ただその前提条件としては、財政再建策が政治的合意の下、議会で承認され、円滑に推進されるということが大前提ということは書いてあります。もちろんリスクシナリオも書いておりますので、もしご興味のある方はご覧ください。
それからあと、これはブラジルの強みの一つではないかということで金融部会で話した内容ですけども、安定した金融システムということで、後ほど銀行部門の説明でも触れますけども、ブラジル経済の強みとしては金融システムの安定があるのではないかと。ご存知の通り大手4行、5行でマーケットシェアの70%を占めるという、寡占状態ではあるんですけども、これらの大手銀行の収益力、それから自己資本比率ですね、Capital ratio等は引き続き強く、ここに来て不良債権比率は当然ながら上がってきてはいるものの、引き続き財務内容もしくは収益力等を考えると金融システムそのものに影響を与えるような、銀行の経営不振等というのは予想されていないと。昔日本では、銀行が不良債権問題から非常に大変な状況になって、結果的に経済全体が混乱してしまったという事態もありましたけど、ブラジルにおいては、まあ金融については、少なくとも大手行については非常に強い、財務的にも収益性も強いという状況が続いておりますので、これはブラジルが今後復活する上では重要なファクターになってくるのではないかと考えております。
最後はですね、M&Aや直接投資に期待ということで書かせていただきました。これはですね、為替については先程来お話させていただいている通りレアル安にずっと振れておりますが、海外の投資家にしてみるとですね、今の3.5、さらにこれからまたレアル安傾向になった場合には投資のタイミングとしては非常に魅力的になってくるのではないかと考えております。
先日もオイルメジャーのシェルが50億ドルの投資を発表しておりますし、足元ではペトロブラスの資産売却ということが大きく動いておりまして、外資、日系企業を含めですね、外資の方で戦略的な投資を考えている方、この方たちというのは今後投資機会はさらに増えて来るのではないかということで考えております。これはまあ当然直接投資ということになりますので、ブラジルの経済にとってはですね、まあプラス材料ということで考えております。
続きまして銀行業界についてお話させていただきます。まず貸出残高ですけども、こちらは2015年上期は全体としては10%ということで、前年2014年とほぼ同じ伸びをしております。ただし、内訳を見てみますと、個人向けの貸出、これは2014年の6月のデータと比べてプラス5%となっています。
それ以外については、2014年6月の同時期のデータと比べてマイナス22%。伸びてはいるんですけども、その前のデータですね、2014年の12月期と2013年の12月期、ここら辺を比べたデータと比べると軒並み貸出金は伸び率が減っていると。これはマイナスということではなくて、伸び率が前年もしくは過去のデータと比べて上がっているか下がっているかということです。貸出自体は当然伸びてはいるんですけども、伸び率が個人部門を除いては軒並み下がっているという状況になっております。
あと銀行のところは少し飛ばさせていただきまして、こちらは延滞率ですね。これも先程お話し申し上げましたけども、各部門、法人向け、個人向けとも延滞率は上がってきております。これはまだ上昇傾向にはあるかなとは思っておりますが、銀行全体としては大手行を中心に非常に財務力は強いということで、懸念する材料はないかなと思っております。
最後になります。保険市場です。種目別に見ますと特に企業を対象とした火災・新種保険について成長が鈍化傾向にあります。こちらのスライドですけども、ブラジルの保険監督庁であるSUSEPの統計データによりますと、直近の2015年1月から5月の前年同期比での保険料収入の伸び率は3.6%。二桁成長が続いた2013年度までと比較すると、昨年、今年とも経済成長が低迷する中で保険マーケットも成長が鈍化してきているという状況です。
それから損害率についてですが、こちらもSUSEPの統計データによりますと全体としては悪化。その要因としては、企業を対象とした火災・新種保険、運送保険において損害率が10%を超えて悪化していることにあります。当地の保険業界は保険会社数が多いことも相まって競争が激しく、保険事業の低い収益性を運用収益によりカバーしているのが実態です。
それから、これが最後ですけども、今後の保険市場の将来性についてということで、ブラジル経済の不透明さ、自動車新車販売の落ち込み等、個人消費の停滞により保険業界を巡る環境の先行きは厳しい状況が続いております。しかし、大手再保険会社スイス・リーの調査によりますと、国民1人当たりの保険料水準は日米の10分の1程度ということで、中長期的には貧困層の富裕化により今後も成長が見込まれているということが保険業界のコメントでございます。
すいません、時間オーバーしまして。以上駆け足でしたけれども金融部会の発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。
司会
どうもありがとうございました。ちょっと時間が押していますので、質問ある方、一つぐらいあれば。なければ、後でまとめてしていただいて結構です。では次に行かせてもらいます。2番目は貿易部会の方ですが、富島様にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 -
貿易部会 富島寛 部会長
貿易部会長の住友商事富島でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。それでは早速ですけれども、2015年上期のブラジルの貿易動向について説明いたします。
まず貿易額の推移でございます。グラフをご覧ください。これは半期ごとの貿易額の推移を示したものであります。紺色の棒グラフが輸出額、緑色の棒グラフが輸入額で、折れ線グラフは貿易収支を表しております。また、赤線は貿易収支の黒字ラインを表しております。
折れ線グラフの2013年上半期をご覧ください。ブラジルは2001年以降、鉄鉱石や穀物などの一次産品の輸出が好調だったために貿易収支は黒字を継続してきましたが、2013年上半期には中国経済の減速や資源価格の下落などの影響によりまして赤字に転落しております。同年下半期には56億ドルの黒字となりまして通期では黒字を維持しましたが、翌年2014年には上半期、下半期ともに赤字となり、2000年以降14年ぶりに39億ドルの通期赤字となっております。2015年上半期は22億ドルの黒字となっておりますが、グラフでお分かりの通り前年同期比で輸出は14.7%、輸入は18.5%それぞれ減少しておりまして、貿易規模全体が大幅に減少しております。
輸出が輸入を上回ったのは、ブラジル経済の不振や米国の利上げ観測などにより、資料の右下に記載しました通りレアル安が進んだことが原因として挙げられます。
次のスライドでは2015年上半期の輸出入について、前年同期と比べながらより詳細にご説明いたします。まず輸出動向について商品別にご説明します。輸出商品を一次産品、半製品、工業製品の三つに大別しておりますが、それぞれの数量を見ていただきますと一次産品の輸出が断トツで多く、ブラジルは圧倒的な一次産品国であることが見て取れます。
一次産品の黄色で囲んだ増減率をご覧ください。数量ベースでは9.9%増加しているにもかかわらず金額ベースではマイナス21.6%と大幅に減っております。これは穀物や鉱物の市場価格の大幅な下落によるものです。特に赤い四角で囲んである鉄鉱石につきましては、2014年上半期の市場価格が1トン当たり111.5ドルであったのが2015年上半期では60.5ドルとなりまして、数量は増えたものの取引金額が減少しております。
次にその下の原油を見ていただきますと、数量ベースでは82.4%増加したものの、原油価格の下落によりまして金額ベースでは6.1%減少しております。原油の輸出数量が80%以上増加した主な要因は中国への原油輸出が前年同期比で3倍の540万トンになったことが挙げられます。これはサウジアラビアが中国を含むアジア向けの原油輸出価格を引き上げたことによりまして、ブラジル産原油への一部シフトが起きたものであります。
続きましてブラジルの輸出相手国について説明いたします。左の表は輸出相手先上位10ヶ国、右の円グラフは地域別の構成比率を表しています。左の表の赤枠をご覧ください。中国向けの輸出は前年同期比で22.6%減少しておりますが、それでも2009年来の1位の座をキープしております。ブラジルの輸出品目で大豆と鉄鉱石が全体の20%を占めますが、いずれも中国向けが1位ですので、ブラジルの輸出にとっての中国の存在は非常に大きいものがございます。
一方、2位のアメリカ向けも取引額を減少させていますが、減少率はマイナス6.3%と一桁台にとどまり、1位の中国向けや3位のアルゼンチンなどと比べてアメリカ経済が堅調であることを示しております。
3位のアルゼンチン向けは12.7%輸出額が減少しています。主な原因は鉄鉱石および乗用車の輸出であります。昨今のアルゼンチン国内の経済不振によるものです。
日本への輸出ですけれども、黄色で囲んだ増減率を見ていただきますと32%減少しておりまして、上位10ヶ国の中で減少率が最も大きくなっています。後ほど詳細説明しますが、これは日本向けの鉄鉱石輸出額が大幅に減少したことによります。
右側の地域別構成比率を表したグラフを見て下さい。中国を含むアジアで34%、次に中南米で20%、EU向けで18%となっておりまして、地域による偏りがほとんどございません。これはブラジルの経済が特定地域の景況に大きな影響を受けるリスクが低いことを示しております。
続いて輸入についてご説明いたします。輸入につきましても金額ベースでは一次産品と工業製品が大幅に減少しております。その中でも赤で囲っております原油は金額で55.8%、数量で23.4%と大きく減少しております。これはブラジル国内の景気低迷による輸入数量減に加えまして、国際原油価格の下落の相乗効果によるものと思われます。
次に工業製品のうち液化天然ガスに目を移していただきますと、他の製品と異なりまして数量が121.3%、金額は42.3%と大幅に増加しております。ブラジルは電力の約7割を水力発電に依存しておりますが、昨今の水不足で水力発電による電力が不足しておりまして、これを天然ガスによる火力発電で補うため輸入が増加したものであります。
次にブラジルの輸入相手国を見ます。左の表を見ていただきますと輸出相手国同様に輸入相手国も中国がトップとなっております。中国は2012年以降、それまでのトップでありました米国に代わり輸入相手国1位の座をキープしております。
中国からの輸入額は9.2%減少しておりますが、米国、アルゼンチンなどその他の国からの輸入が軒並み二桁台のマイナスであることに比べますと、ブラジル国内の経済不振にも関わらず通信機器をはじめとする中国からの輸入は比較的安定していると言えます。
2位のアメリカからの輸入につきましては、原油と天然ガスが伸びましたが、燃料油の輸入が大幅に減少したことから全体で17.9%減となっております。3位のアルゼンチンについては、原油の輸入がなくなり、自動車関連部品につきましても減少した結果、全体では21%減となりました。日本は昨年の9位から6位に順位を上げておりまして、詳細は次のスライドでご説明します。
スライド右側の円グラフを見ていただきますと、ブラジルは輸出と同様に輸入相手国先の地域による偏りはあまり見られませんで、特定の国や地域に依存しない貿易体制が構築されていると言えます。
次に日本との貿易について見て行きます。まず日本への輸出ですが、左の表の黄色で囲った輸出金額の伸び率をご覧ください。昨年同期比でマイナス32%と大きく減少しています。商品別に見ますと鉄鉱石と大豆の輸出が前年比50%以上の減少となっています。それぞれの原因を見ますと、鉄鉱石は数量こそ前年同期の1430万トンから1360万トンと微減でありますが、対日FOB価格がトン当たり93ドルから46ドルと半減したため、大きな金額の減少となっています。
一方で大豆は日本への輸出数量が昨年上半期の31万トンに対し今期では18万トンとなって42%減少しました上に、輸出単価につきましても前年平均507ドルであったものが390ドルとなりまして、23%減少したという相乗効果によるものであります。
次に右側の日本からの輸入をご覧ください。全体では前年同期比でマイナス11.3%の26億ドルとなりました。商品別に見ますと、全体が減少した中で緑で囲んだ鉄道関連製品と鋼管が大幅に減少しております。鋼管は在庫調整が一段落しまして、新規買い付けにより増加したものと見られております。
続きましてブラジルへの直接投資についてご説明します。左のグラフですが、2011年度の695億ドルをピークとしまして、2012年、13年と減少傾向が続き、2014年は若干持ち直したものの、2015年上半期は前年同期比でマイナス12.8%となっております。ブラジル経済の不振や先行きの不透明感によりまして、海外からの投資が控えられたものとみられます。
一方で右側の表で国別に見ますと、1位のスペインが大きく伸びております。これはスペインの通信大手テレフォニカによりますブラジルのフランス系メディア企業の買収が大きく影響しています。この表には中国の記載がありませんけども、中国は主にルクセンブルグやオランダを経由した間接投資が多いことからランキングの上位に現れて来ないものであります。
一方、本年5月、李克強首相が来伯した際、中国は総額で530億ドルに上る投資プランを発表しております。実行性には問題があるという声が多いものの、中国が対内投資におきましても大きなインパクトを持つことは間違いないものと思われます。
次のスライドは投資額を業種別に示したものであります。一次産品では64.7%増加しておりますが、全体の構成比で約60%を占めますサービス業への投資がマイナス19.7%と大きく減少したため、全体ではマイナス12.8%となりました。
一次産品の中で石油天然ガス分野が100%の増加率を示しておりますけれども、これはロイヤルダッチシェルによるブリティッシュガスの買収が主な原因と考えられます。
最後でございます。2015年通期の展望を見ます。ブラジル中銀は2015年の通期の貿易収支が80億ドルの黒字となる予想をこの8月14日に発表しております。しかし、冒頭に申しました通り、上半期では22億ドルの黒字でありますので、下半期で58億ドルに近い黒字ということになりまして、ブラジルの国内経済の不振、先行きの不透明感、コモディティ価格の下落などがしばらく継続する模様であることを考えますと、本当に下期でそこまでの黒字になるのか疑問符がつくところであります。
ご存知の通りジルマ政権は史上最低の支持率となり、どこまで政治のリーダーシップが期待できるか分かりませんが、政府は国家輸出計画を発表しまして市場へのアクセスの改善、貿易手続きの合理化、簡素化、あるいは輸出取引への融資と保証の拡大、税制の改善などを通じてブラジルからの輸出を増やす姿勢を明確にしております。また、ブラジル経済のボトルネックであります不十分なインフラを改善すべく、総額約8兆円におよぶインフラ投資計画も先日発表しております。
これらの計画が本当に実行されれば、中長期的には本日のシンポジウムのサブタイトルであります「必ず復活!ブラジル経済」の実現に大きく貢献しますので、その成否が注目されるところであります。
以上で貿易部会からの発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。
司会
どうもありがとうございました。皆さんの方から何かご質問がございましたらよろしくお願いします。ちょっと私の方から一つ、先程中国からの投資が中国という名前で出なくてルクセンブルグとかオランダの国として上がっている理由がちょっと分からなかったので、もし分かれば教えていただけますか。富島部会長
理由についてはつまびらかにされておりませんけれども、税制の問題なのか何か政策の問題なのか、その部分はちょっと詰め切れておりませんが、事実としてはそういうことでございます。司会
ほかに皆さんの方から何かありますか。ではないようでしたら、どうもありがとうございました。それでは引き続きまして、機械金属部会の方につきまして渡辺様からお願いしたいと思います。 -
機械金属部会 渡辺健司 部会長
機械金属部会の渡辺です。よろしくお願いします。私はブラジルに来ましてもうすでに3年ほど過ぎております。もう4年目に入っているんですけれども。このシンポジウムももう6回ぐらい出ているんですけれども、残念ながら傾向としましてはずっと下方に振れている、一向に上昇機運が見えないという非常に残念な状況にございます。
この3年間何が一番違うかというと、石油をはじめとしまして、農産物、第一次産品の市況が非常に悪くなっている。それとブラジルの物価がですね、インフレ、1年前までは大体6%ぐらいで来たんですけども今年は9%ぐらい行きそうだと。まあこれは石油とかガスとか、電気とか水の価格が、補助金が取られまして、正直な姿に帰ってきているんじゃないかなというふうに思うんですが、これが今のブラジルの実力なのかなと。それと、今まで、去年からLava Jato問題、非常に表立ってきておりますが、今まではずっと水面下に隠れてあまり出て来なかったと。それがようやく出始めて、これもブラジルの正常化につながっているのかなという気はしております。
それでは機械金属部会のセグメント別のレポートをご紹介するのと、今日は造船業界でやっておりますブラジル政府関連の組織とのタスクフォース会議の推移について簡単に説明させていただきたいと思っています。
セグメント別では、鉄鋼業。2番目に発電・社会インフラ業。3番目としましてプラント機械・船舶業。4つ目、建設機械業。5番目、農業機械業。6番目としまして工作・計測機械業ということで、各1ページにまとめておりますのでご報告申し上げます。なお全体概況、共通につきましては既に金融部会および貿易部会の方で同じことも説明されておりますので、このページは割愛させていただきます。
1番目、鉄鋼業。2015年上期の回顧。2013年、2014年ですね、2640万トンから2460万トンと前年比7%ほど減っております。2015年も2260万トン程度ということで、前年比8%ぐらいのダウンと。これは毎年200万トンぐらいずつ減っているという傾向がございます。ただ粗鋼生産量に関しましてはですね、3420万トンが3390万トンということで1%の下落に終わっています。そういうことで、内需が減っているということでございますが、粗鋼生産量は大きく落ちていないと。国内の落ち込みを輸出でカバーしてきたという状況にございます。
今年は大手のUsiminas製鉄所の高炉2本が休止を発表しております。そういう意味で2015年は、粗鋼生産量も150万トンぐらい下がるというふうに予想されておりまして、輸出の方も減りつつあるという状況です。背景としましては、自動車製造台数の上期は前年同期比18.5%下がっています。造船、ペトロブラスの関連も大幅減になっているということで、鉄鋼の生産量が下降気味にあるという状況です。
2015年下期の展望としましては、ブラジルの経済概況の好転にはかなりの時間を要するという厳しい見方です。鉄鉱石の市況は中国市場の需要に大きく左右されていますが、その反転回復はですね、中国経済の回復時期を考えると2018年以降というふうに鉄鋼業界に関しましては厳しい見方になっています。レアル安を背景に国内の減少を輸出で補ってきたが、ブラジルの鉄鋼業にコスト競争力があるということではなく、鉄鋼不況の恒常化が懸念されております。
次、発電・社会インフラ部門。発電に関しましては、2015年上期の回顧としましては、水不足が背景にありまして電力代金の高騰。電源の多様化ニーズを拡大させていました。小型水力、風車、火力の発電案件が実際ありました。先の電力オークションでもバイオマス・ガス大型火力の計画が具体化しつつありまして、ファイナンスとガス安定供給の確保が案件成立の懸念材料となってはいるものの、まあ案件としては具体化しつつあると。まあまだ明るい分野だというふうに言えると思います。
紙・パルプ業界の設備投資意欲は依然高いと。回収ボイラーなどの商談が継続しております。また石油・ガス・石化・製鉄向けの新規案件は凍結あるいは繰り延べということで、一般の売電用というかですね、自家発ではなくて公共用のユーティリティー関係の電気の需要が高まりつつあるという状況です。
交通インフラ案件。サンパウロ地下鉄6号線をですね、昨年正式に契約しまして、プロジェクトの立上げを今現在行なっていると。2020年完工を目指し、現在設計工事を遂行中。サンパウロ市向けに検討している案件はその他数プロジェクトあるというふうに聞いておりまして、期待は持てるものの現在ちょっと商談はほぼ止まっている状況です。
2015年下期の展望としましては、引き続き深刻な水不足により電気代が高騰する様子がございます。電源の多様化が加速される可能性が高いと。そういう意味で再生エネルギー、風力、バイオマス発電案件の増加を見込んでいる。ガス焚大型火力の引合いも期待できます。それと電力事情の悪化を背景に、小型・分散型発電セットの需要増が見込まれると。天然ガス焚ガスエンジンの引合いも出始めています。それと工場関連ですが、電気代が高騰しておりまして、省エネ発電投資の検討も再開されていると。若干明るいニュースです。
それと交通インフラ案件ですが、大都市を中心に都市交通インフラ改善のニーズは依然高いです。複数の都市で地下鉄等の建設計画は有するものの、施主となる州・市政府もですね、新政権発足直後であり、これ新政権発足直後というのは誤りですね、もう1年前になっております。商談プロセスは現在遅れ気味にあります。
プラント機械・造船分野です。2015年上期の回顧としましては、製鉄は需要の減少で新規投資案件は見合わせ。高炉休止・生産調整などもあり、上半期の実績は非常に厳しいものでした。石油ガス。ペトロブラスの業績不振は改善されておりません。新規投資案件は実質凍結の状態。油井管の引合いも停止状態。石油化学。新規投資活動は鈍化した状況で継続したまま。
製紙パルプ。世界的パルプ需要は以前高く、各社設備投資を検討しております。本分野でのブラジルのコスト競争力は世界的にあるということです。
造船関連。ペトロブラス疑惑の影響でですね、傭船会社、SETE BRASILからの入金が滞っておりまして、事業継続に支障をきたしております。FPSO・プラットフォーム案件も商談の凍結状態にあると。
産業機械。景気減速によりましてブラジルのセメント各社は設備新増設計画を延期しております。また客先のプロジェクトは進捗していない状況で、新規案件の成約には至っておりません。設備既納の客先からは安定的にスペアパーツの受注を獲得していると。
下期に関しましては、大体似たような状況ですが、資源価格の下落、市場縮小で明るい材料が乏しいというのが製鉄。石油・ガスに関連しましては、各種案件の資金調達に支障が生じておりまして、大型プロジェクトの計画は凍結もしくは大幅な遅れと。
製紙パルプにつきましては好調継続を見込む。造船はですね、造船会社の資金難を回避できる融資、出資スキームの構築を早期に行えるかがキーポイントと。ペトロブラスの投資計画見直しで契約納期などは大幅に修正が必要になっています。
産業機械に関しましては、南米全体のセメント消費は拡大する方向にあるということですが、ブラジルでは設備投資は低迷。ローカルマニュファクチャリングも視野にスペアパーツの受注を図っていきたいという報告でございました。
建設機械。上期の回顧としましては、2014年度の建設機械は15000台あまりと。前年に比べまして0.4%の微増ということでしたが、2014年は大統領選挙の年でもありまして、景気対策の一環として農業開発省向けテンダーがあったということで、2015年は上期3863台と50%超受注が減っております。その特別なテンダーの分を除きましても35%受注台数が減っておるということで、落ち込みが顕著になっております。
政府の予算不足とか、Lava Jato事件に起因しまして、プロジェクトのサスペンドがありました。景気の先行き不透明感によって建設会社、レンタル会社の投資見送りが原因と言われております。小型建機ビジネスに関しましては、2014年の輸入統計全体では前年比135%伸長しており好調であったと。
続きまして下期の展望ですが、中長期の新インフラプロジェクトが発表されたが、実需につながるのは2016年後半以降と見通しをしております。ペトロブラス収賄事件に関与したとされる大手建設会社は、当面インフラプロジェクトに入札できない状況が続けば、その推移を注意していく必要があります。小型建機に関しましては、労働賃金の上昇ということで、小型建機の増加トレンドは中期的には変わらないと考えておりますが、2015年度中は需要の低迷が継続と推測しております。
農業機械、小型ディーゼルエンジンビジネス。2014年の小型ディーゼルエンジンの販売は全般に前年並みでありました。2015年上期の発電機セット、農耕車両向けのエンジン販売は台数・金額ベースとも約20%アップということで好調を見込んでおります。トラクタービジネスに関しましては、これはちょっと低調に留まっておりまして、前年比78%に留まりました。
下期の展望ですが、小型ディーゼルエンジンビジネスは上期好調の反動で受注ペースは鈍るというふうに予想しております。年間で2014年度を10%上回る程度という見通しです。トラクター需要全体は昨年度比20%減ということで推測しておりますが、新機種を投入することで販売低下を回避したいということを言われています。
各種工作・計測関係ですけども、2015年上期実績はブラジル経済のマイナス成長、特に自動車産業の生産台数が20%超の大幅な落ち込みということで、その中で特にトラックは45%減と深刻な状況でありました。同事業向けの工作・切削・計測機械の売上は大幅に落ちている状況です。
さらに2月以降の50%近くに及ぶ急激なレアル安ということで、輸入金額の上昇となりまして経営を圧迫している。通貨の大幅な変動に対応するため、日本本社との間の決済通貨をレアル建てにしたという会社もございます。それによってレアルの変動リスクを回避するということですね。
それと下期の展望としましては、長引くブラジル経済の低迷と先行きの不透明感から消費者の新車購入意欲改善は当面見込めないと。ブラジル自動車工業会の2015年の見通しでは販売17.8%減、生産20.6%減となっています。景気回復時期については2016年半ば以降であろうと。政権交代までは回復しないという意見もかなり、部会の中ではございました。
対策としましては、自動車業界低迷の中トヨタさん、ホンダさんがシェアを伸ばしております。そういう意味で日本系の自動車企業を中心に事業を伸ばしたいというところと、それ以外に順調な航空機、医療、食品、あまり変動を受けない農業分野ですね、への取り組みを同様にシェアアップを図りたいと。それと新規需要の回復スピードは非常に遅いと。アフターサービス市場の掘り起し、コストダウンが重要という意見もございました。それと工場の人員削減・生産調整などを実施しながら操業利益を確保したいと。それと電気代が非常に高騰しているということで、高性能・省エネ製品の投入で市場開拓していきたいという意見もございます。次のページをお願いします。
これは前回のシンポジウムの時にも書いたものです。ペトロブラス疑惑、Lava Jatoの機械金属部会企業への影響ということで簡単にまとめたページです。これは既に説明させていただきましたので、その後ですね、その影響もございまして、日本の造船会社が出資しております3社、造船会社があるんですけれども、いずれも入金の遅れとかございまして、事業が立ち行かなくなっていると。そういう背景もあって、今年の5月14日、ジルマ大統領、ブラジル政府機関と造船3社、三菱重工さん、IHIさん、それと川崎重工の代表者の面談がございました。
ブラジル側の出席者は鉱山エネルギー省、財務省、ペトロブラス、バーレ、ブラジル開発銀行、BNDESですね、それとブラジル銀行、それとCAIXAも出ていたと思います。
日本側の方から申し入れた点は4つございます。一つが合弁造船所への支援の確認。日伯造船協力枠組みの堅持。SETE BRASILドリルシップ建造資金不払いの早期の解消。それとBNDES他によります必要資金の注入という4つをお願いしました。
それに基づきまして大統領の方から、タスクフォースチームを作って個別に打ち合わせを進めたらどうかということになりまして、第1回のタスクフォース会議が5月26日に行なわれました。その時から日本国政府ということで梅田大使、それと国土交通省の坂下審議官にも参加していただきまして、話し合いを続けております。7月20日に2回目を行ないました。
現状ですね、ペトロブラス・SETE BRASIL再建計画に沿って、ブラジル開発銀行に代わってブラジル銀行およびCAIXAが主導権をとって支払いないしは融資計画を検討しているということです。
他方、LAVA JATO捜査がですね、経済界・政界に広がりまして終息する見通しがないということです。明確なまだ方向性が出ておりませんが、会議は継続していると、そういう状況にございます。以上です。
司会
どうもありがとうございました。何かご質問がございましたらお願いいたします。ないようでしたら次に進ませていただきます。ありがとうございました。次に自動車部会の方につきまして溝口様にお願いしたいと思います。 -
自動車部会 溝口イサオ 副部会長
皆様こんにちは。それでは自動車部会から報告させていただきます。本日はトヨタブラジルの近藤社長に代わりまして、私より説明させていただきます。今回は「必ず復活!ブラジル経済~日系企業はどう立ち向かうか~」と題しまして、まずトピックとして今年5月に開かれました日伯賢人会議に触れ、その後四輪業界、二輪業界のそれぞれの動向をご説明させていただきます。
今年5月、リオデジャネイロで第5回目となる日伯賢人会議が開催されました。日伯の産業界の代表が両国にとっての共通課題をまとめた提言書を作成し、後日両国政府に報告いたしました。日本の自動車産業界からはトヨタ自動車の内山田会長が出席し、ブラジル政府およびブラジルにおける日系メーカーの取り組みについて紹介し、課題の改善についても言及しました。ご覧の5項目がブラジル政府への具体的な提言です。
簡単にご紹介いたしますと、新技術導入を促進する適切な自動車政策、自由貿易政策、輸出促進政策、人材育成・協調的な労使関係、人的交流の5項目となっております。
提言書の両政府への報告では、バルボーザ企画予算大臣より自動車政策における新技術導入の促進、および人材育成への優先的な取り組みへの意思表明をいただき、安倍首相からはブラジルは日本にとって重要な国、日伯賢人会議の活動も継続してほしいとコメントをいただくことができ、今後の両国の課題解決に一定の期待が持てる報告となりました。
それでは次に上期の振り返りについてご説明させていただきます。まず販売台数の推移です。上期の販売実績は約132万台。年率は前年比約80%となる286万台と3年連続で前年を下回る結果となりました。インフレ抑制政策による金利引き上げや、失業率の上昇で景況感が悪化していることが要因として考えられます。輸入車比率も16%と4年連続で低下傾向にあります。
こちらは販売台数を月別に見たものです。1月2月はIPI税率引き上げにより販売が大きく落ち込んでいます。販売不調により、オレンジの文字で表した在庫月数が1.6~1.7ヶ月と高いレベルで推移していることが分かります。
こちらは月別のフリート、つまり法人向け販売比率の推移です。赤色で示した業界平均は昨年よりもさらに高水準で推移しております。中でも今年6月、Fiatは42%、ルノーについては55%となっており、今年も各社台数を維持するために苦しい対応を迫られている状態が続いていることが窺えます。
次に生産・輸出の推移です。15年上期の総生産台数は前年同期比77.3%となる約128万台、年率は276.4万台となっております。在庫調整のため一部メーカーは集団休暇、レイオフ、希望退職、解雇などで生産調整を実施しております。なお輸出はレアル安の影響で前年同期比117%増加となっています。上段左は先程の輸出台数を車両のカテゴリー別に見たもの、右は輸出相手国別に輸出金額をまとめたものです。カテゴリー別では昨今のレアル安を受け、ライトトラックが前年同期比38%の伸びとなっているほか、その他全てのカテゴリーでプラスとなっております。しかし国内販売の激しい落ち込みをカバーするには決して十分と言えない状況となっております。
輸出相手国別に見るとメキシコが約58%の伸びとなっておりますが、最大の輸出先であるアルゼンチンが2割以上のマイナスとなっています。なお下段は中南米の国々の車両輸入先をランキングにしたものです。今回はパラグアイ、ウルグアイのデータが取れたのでご紹介します。
パラグアイは上から韓国、ブラジル、中国、アルゼンチン、日本。ウルグアイは中国、ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、韓国、いずれもブラジルは2位の位置を占めておりますが、東アジア諸国のコスト競争力の高い輸入車との厳しい競争にさらされていることがお分かりになるかと思います。
それではここから下期の展望に入っていきたいと思います。
こちらはブラジル経済指数の推移をまとめたものです。経済成長率の見通しは15年がマイナス1.76%、来年は改善するものの、わずか0.2%。為替は足元はさらに高く出ておりますが、今年が3.25、来年はさらに上昇する見込みです。また公共料金の値上げによりインフレが進行。金利もご覧の通り今年、来年と高水準で推移しています。レアル安の進行は輸入部品の価格上昇につながり、各社の収益を圧迫する大きな要因となっております。こちらは景況感を示す製造業信頼度、消費者信頼度の1年分の推移です。製造業信頼度は昨年同期比で9.2ポイントのマイナスとなっております。7月には過去最低レベルとなる37.2ポイントとなりました。消費者信頼度も4ヶ月連続で減少し、こちらも過去最低レベルとなる82ポイントを記録しました。
こちらはブラジル市場、輸出・生産の15年当初予測と修正予測です。ANFAVEAと自動車部会の予測を比較しております。ANFAVEAは当初、販売予測を前年実績と同じ350万台と見ていましたが、6月には前年比約20%のマイナスとなる280万台に下方修正しています。部会予想はもう少し厳しく見ており、260万台としております。
生産台数は在庫調整により昨年より減少する見込みで、ANFAVEA、部会ともに前年比約20%マイナスの285.5万台と見ております。
これまでご説明の通り、見通しは引き続き暗いと言わざるを得ませんが、ポジティブな見通しとして自動車総市場の推移をご紹介いたします。ご覧の通り青色で示した中古車市場は年々拡大傾向にあり、2014年には過去最高の1005万台を記録しました。緑色の総市場も右肩上がりの傾向にあり、ブラジル市場のポテンシャルの高さは今後も変わらないと見ています。
それではここから、昨今の不況が自動車産業に与えた影響をご説明いたします。こちらは自動車販売店およびメーカーへの影響を表したものです。まず販売店への影響ですが、上期には国内で492店舗が閉鎖し、250の販売店が新たに開業しました。差し引きすると国内7900の販売店の約3%にあたる242店舗が減少し、既に12000人が解雇されたそうです。
販売店協会予測では、年末までにさらに約150店が閉鎖され、解雇も20000人に達する見込みでおります。メーカーへの影響としては、過去12ヶ月で雇用者数が全体の9.4%に相当する約15000人減となっています。レイオフ休暇、集団休暇の総数は約36000人となっております。
このような厳しい状況を受けブラジル政府はPPE、Employment Protection Programを公表しました。16年末まで労働時間短縮に伴う賃金カットが最大30%可能となりました。従来いかなる理由でも賃金カットが許されなかったブラジルの労働法制にとって非常に大きな意味を持つ出来事となりました。
こちらは部品産業への影響をまとめたものです。売上は11年の913億レアルをピークに、15年は11年比で25.5%のマイナスとなる680億レアルの見込みとなっています。また従業員数も11年の23万人をピークに、15年は11年比で23%マイナスとなる17.7万人となっております。なお今年に入り20社以上の部品メーカーが倒産したとのデータもあります。
これまでご説明いたしました通り、自動車業界は依然として厳しい状況が続いております。しかしその中でも健闘が目立つのが日系メーカーです。ここからはその健闘の要因と各社の取り組みをご紹介させていただきます。まず始めに、こちらが2013年からの販売実績です。上位3ブランドがいずれもシェアを落とす中、日系メーカーはシェアを拡大していることがお分かりになるかと思います。
こちらはその日系メーカーの好調を表す新聞やネットの記事です。また日系メーカーの健闘の要因を部会では次のように考えました。独自の商品戦略と、質の高い販売店網構築によるブランド力の形成、さらに生産性の向上とコスト削減。これらを通じて持続可能なビジネスモデル構築に取り組んできたことが要因ではないかと思います。
ここからは、スライドに示した1~3に該当する取り組みをご紹介いたします。
まず、日本ブランド支持の背景を簡単にご説明差し上げます。日本ブランドは独自の商品戦略と質の高い販売店網により、高いブランドイメージとリセールバリューを実現し、お客様の信頼と根強い支持を得てきました。また最近では、景気が悪いからこそ安心できる買い物がしたいという日本車特有のお客様からの支持のさらなる拡大、広まりも見られます。こちらは日本ブランド支持の背景の一つである、独自の商品戦略に関する例です。ブラジル市場は価格帯の低い小型から中型サイズにかけての車がボリュームゾーンを占めておりますが、日本ブランドは高い商品力と品質をベースに中~高価格帯で独自の商品ポジショニングを実現しています。
つまりボリュームゾーンで起きている熾烈な価格・装備競争から一線を画し、さらに透明性の高い販売施策なども相まってリセールバリューや信頼の向上につなげています。結果、お客様に価格を超える価値を提供していると考えます。
次に、2点目の質の高い販売店網についての取り組みです。質の高い販売店作りには販売店の高いモチベーションが重要な要素となります。左にありますように、まずは適切な設備、作業標準、研修体系などをベースとして、一店舗ずつカスタマイズされた最適な目標を設定します。その上で販売店と一緒にPDCAをまわし、達成した場合にはインセンチーボにつながるという改善サイクルで販売店のモチベーションを促しています。このようにお客様やメーカーだけではなく、販売店網も売上増や顧客維持などの利益が得られるウィンウィンの関係を構築することにより質の高い販売店網を構築し、お客様からの信頼をいただいていると考えます。
3つ目の生産性向上とコスト低減の例としてトヨタさんの取り組みを紹介させていただきます。トヨタさんの生産性向上活動の基本的な考え方は、生産性の向上によりコスト増を相殺するというものです。右側のグラフがそのイメージ図となりますが、生産増に伴うコスト増を車両1台当たりの作業時間を減らすことで相殺します。その活動として、不良品割合の低減による稼働率の向上、工場間の生産性向上の取り組みを研究し合う技術研究活動を通じタクトアップを実現しています。
最後に総括としてブラジル政府への提言を再度お伝えして、四輪業界の締めくくりとしたいと思います。
今後我々がすべきことは、これまで紹介してきた取り組みを通じて地道にものづくりに励むことと共に、業界一丸となって、商工会議所、大使館、領事館と連携したり、首脳会議、賢人会議の場を活用して是正・提言を粘り強く続けて行くことだと考えます。どうか皆様ご協力賜わりますようよろしくお願いいたします。
続きまして二輪業界について概況をご説明いたします。
まず生産販売の動向です。インフレ、レアル安、解雇増等の経済環境悪化により厳しい市場環境が続いており、2014年上期の国内卸販売実績は66万台、前年比92%と4年連続で前年割れとなりました。また低調な販売状況を反映し、生産は67万台、前年比87%となりました。こちらは登録ベースの月別販売推移です。コンソルシオ需要の高まる3月を除いて前年割れが続き、15年上期累計は前年比90%となりました。環境規制であるPromot 4対応の新モデル上市が続きましたが、負債の増加、金利高止まりにより下期も厳しい市場環境が予想されます。
最後に二輪販売の支払い形態別推移です。2011年後半以降支払い不履行が急上昇したことから、ファイナンスの審査が厳しくなりました。その結果ファイナンス販売が伸び悩み、ファイナンス比率は急速に減少しました。このファイナンス審査の厳しさについては2015年も変化はされないと思いますし、3月までの実績ではありますが全販売におけるローン比率の減少は続いております。
以上で自動車部会の報告とさせていただきます。ありがとうございました。司会
どうもありがとうございました。何かご質問がありましたらお願いします。どうぞ。質問
すいません。司会のジェトロの石田ですけども、溝口社長にちょっとご質問させていただきたいんですけどもよろしいでしょうか。10月の20日前後にですね、ジェトロが経済産業省さんと協力して、日本から自動車部品メーカーさんを20社ぐらいブラジルに連れてきまして、視察・商談をサンパウロとポルト・アレグレですけども、するという計画を今していまして、その関係でちょっと色々と教えていただきたいんですけども。ブラジル側がですね、自動車に期待する新技術、それからそれに伴う部品の供給、これはですね、具体的にどんなものを期待されているのか。
例えば、まあ素人感覚で考えると、燃費向上とかですね、衝突安全性能とか、それからもっと卑近な例で言うと、坂道でよく後ろにずり下がっている車がいますけども、ああいうずり下がりをですね、防止する装置とか。それから、後はですね、今アイドリングストップが付いている車って日本ではずいぶん増えてきましたけども、ブラジルにはまだそうないと思うんですね。そういうこととかですね、まあそういうちょっと具体的な話をもしご存知でしたら、現場で、お聞きしたいなという質問でございます。
溝口 副部会長
まあ間違いなく、まず、第一優先は安全技術だと思いますね。自動車、交通安全に貢献できる技術だと思います。その次は環境ですね。特に最近皆様、新聞とかテレビで見られると思いますけれども、サンパウロでスピード規制が厳しくなってきます。Marginalとかかなりスピードを落とすようになりましたね。今年、自動車関係の国際会議があるそうなんですね、ブラジルで。サンパウロだそうなんですけども、それでブラジル政府としてはここ数年間約束したことを何もやっていないそうで、急きょ慌ててスピードを落とさせたり、色んな事をやっているんですけども。例えば、我々の商品にも直接影響してくるんですけども、例えば二輪で言いますとブレーキの規制が厳しくなります。
ということで、ABSというブレーキですね。それから四輪でいいますと、2017年か18年ぐらいにはBASAという自動車の、コーナーとかでコントロールをうまくできる制御装置なんですけども、そういう安全ですね。もしくは環境、環境で言えばエミッション規制ですけども、どんどん厳しくなってきます。
それから衝突要件も、NCAPってありますね、ラテンNCAPといってこれは南米独自の衝突要件とかが決まりまして、どんどん採用していくことになると思いますので、まあ最初の質問になりますけども、安全と環境に関する技術をブラジル政府が法律で縛るというような動きをしております。だから日本のサプライヤーさんの色んな技術をブラジルで採用できることになると思います。
司会
ありがとうございました。それでは他にご質問がなければ、では前半の最終になります、コンサルタント部会の方につきまして関根様にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 -
コンサルタント部会 関根実 副部会長
コンサルタント部会からはブラジルの現在の状況をちょっと整理いたしまして、それに対する対応策ということで、皆様の会社経営のまあヒントになるようなお話をさせていただければありがたいと思っております。
まずコンサルタント部会のメンバーの上期の回顧と下期の展望ということなんですけども、直接単独の日本からの投資案件はストップしております。日本からの投資を控えて、とりあえずはブラジルでの代理店を活かそうというような動きになっております。日本からご出張されてくる方の数は減っておりますけれども、一部に市場調査を継続中の企業がございます。
税務アドバイザリー業務につきましては、引き続き一般的な相談、調査依頼はありますけども、まあ具体的に踏み込んで、例えば税務訴訟に至るというようなところまでは至っておりません。
次にリクルート業務ですけれども、ディレクタークラスのリクルートは止まりました。その下のマネージャー、ジェレンチクラスのリクルートが今継続しておりまして、まあ高い給与からその下のレベルへ入れ替えるという作業が進んでおります。このジェレンチクラスのリクルートで我々が再認識したことですけども、当地ブラジルには優秀な信頼性のある日系2世、3世の方が大勢おられるということで、これは中国とか他の新興国にはない非常な、有利な良い点であるということを認識いたしました。
職種別には引き続き、IT、システムエンジニア、このニーズが強いことが続いております。ブラジルの全般的な今の状況ですけども、優秀なブラジルの人材が今、欧米、オーストラリア、カナダ、日本に流出しております。まあ現在のブラジルの政治経済の環境に希望を持てないということで、残念ながら優秀な人材が出ているという嘆かわしい状況にございます。
次に証券アドバイザリー業務ですけれども、今年に入りましてカントリーリスクが上がってきたということで、外国人投資家が出ておりまして、出来高が減少してきております。しかしまあブラジルの証券市場も欧米並みにシステムトレーディング化しておりまして、コンピュータにあらかじめ株価の買値、売値をインプットしておいて、激しく短期売買を繰り返すというようなプロの市場になりつつあります。
ここからブラジルの全般的な状況をまず整理してみたいと思うんですけれども、最初に、現在と、これから35年先の2050年の時点でのGDPの国別ランキングを示したグラフなんですけども、今年の3月にアメリカの経済雑誌エコノミストが出した予想です。
中国が2050年時点ではアメリカを上回ってナンバーワンに出ると。日本、ドイツがそれぞれ3位、4位にいますけれども、これが5位、6位に下がって、3番目、4番目にインド、インドネシアが入って来る。人口の大きい、市場の大きい国がやがて、経済的には上回るであろうという予想を出しております。
この予想の前提は、現在の経済成長が各国それぞれ続いていくだろうという前提です。中国については6.6%の平均成長で見込んでいます。アメリカは4%。インドは10%です。日本は2.5%。ブラジルについては4%。ここで我々が認識しなきゃいけないのは、ブラジルは低成長ではあるけれども、2050年の時点でも引き続き世界のランキングで7位を占める、大きな重要なマーケットであるというのがエコノミスト誌からの予想として出ております。まずこれを念頭に置きたいと思います。
このグラフは国別のGDPの推移を示しています。一番上がアメリカで順調に伸びてきていますけども、下から2番目の青い所が中国で著しくシェアが伸びているわけですね。この中でブラジルは真ん中の茶色いところですけれども、まあ緩やかな伸びではあるけれどもそこそこブラジルも経済規模を拡大してきているということが言えます。
この棒グラフは国別のGDPの内訳を示したものです。左から3番目がブラジルですけども、個人消費が61%を占めております。政府支出が21%。投資、固定資本形成が18%ということで、まあ中国なんかと比べますと投資がまだ少ないというところですね。貿易部門につきましては、データが2010年でちょっと古いんですけども、若干マイナスという構成になっております。
この経済規模の構成を他国と比較してみますと、右の方のイギリス、フランスとほぼ同様のパターンを形成しています。共に個人消費が60%前後を占めて、政府支出が20%台、資本は比較的少なくて10%台。貿易部門、輸出マイナス輸入は若干マイナスと。ここで言えますことは、イギリスとかフランスとか先進国で既に国内に資本が蓄積されている国はよろしいんですけども、ブラジルはまだ国内貯蓄が不足して、外貨流入がないとやっていけない国な訳ですよね。にもかかわらず先進国なみの消費主導の経済であるということは、まあ悪い表現で言えば分不相応の消費経済であると。外資が入って来なければ回らないと、これが流出し始めると困るという減少が今始まった訳です。
このグラフはコンサルタント部会のメンバーの今井さんが作成されたグラフでして、ブラジルのカントリーリスクの推移を示しております。EMBIといいますのは、Emerging Market Bond Index、ブラジルの国債の既発債市場における価格を指数化したものです。真ん中の2002年9月に2436と急に跳ね上がりましたのは、ルーラ大統領が選出される直前、2002年の選挙の前後ですけども、ブラジルが共産化されるのではないかという大変な、まあ今よりもっとすごいリスク危機感がありましてですね、一時的に飛び上がった時です。
この表の見方は、アメリカの国債に比べまして24.36%高い金利を付けなければブラジル国債が売れなかったという時期です。実際にルーラ大統領が就任しますとそれほど激しいことはやらないということが分かりまして、急速にこれが下がりました。2008年のリーマンショックで一時的に688まで上がりましたけども、以後順調に下がって来まして、今年に入ってからこれがまた少しずつ上昇し始めたというカントリーリスクです。
このグラフは3月にブラジル中央銀行が発表したものです。青い線が今見ましたブラジルのカントリーリスクのBond Indexです。赤がドルとレアルの為替レート。ご覧の通り債券市場は比較的緩やかな上昇に留まっているのに対して、為替の方は今過剰反応しまして、急速に今年上がっていると。3.5レベルのところまで来ております。Bond Indexの方は昨日現在で326。ドル金利よりも3%程度高いところでまあ比較的安定しております。
このグラフがブラジルの国債、ドル建ての分ですね、とアメリカの国債との利回りの差を示したものです。黄色く塗りつぶしてあるところがその利回りのスプレッドなんですけども、まあ平均して見ますとブラジルはアメリカの国債に比べまして2~3%高い金利で、まあ比較的安定的に推移しているということが分かります。
現在のブラジルの状況、スタグフレーションといいますか、経済的にはスタグネーション、後退しまして、同時にインフレーションが進んでいるということで、まあ合成語でスタグフレーションと言われますけれども、対外的には今ブラジルは4重苦といいますか、4つの要素で苦しんでおります。
まずはコモディティ価格が下がってきたということ。これに伴って、ブラジルの主要輸出産品は鉄鉱石、大豆ですので、輸出額が減っているということですね。それからカントリーリスクが深まって資本流出が始まったということ。それから今月中国が元の切り下げをやりましたけども、それに伴ってアジア諸国も自国通貨を切り下げて輸出条件の良化に努めておりますけども、ブラジルもこの世界的な通貨安競争、これに巻き込まれて切り下げが進んでいくというところです。
ブラジルは1985年に軍政から民政に移管されました。ちょうど30年経ったところですけども、振り返ってみますと、およそ8年周期で大きな動きがあります。
まず85年から93年の8年間。これは民政移管後の大混乱で、ハイパーインフレーションが起きた時代ですね。その大混乱を過ぎまして、94年にカルドーゾ政権がレアル・プランというのを導入して正常化した。インフレを下げて財政を立て直した訳です。
2003年から12年まで、この10年強はルーラ政権およびジルマ政権の初期ですけども、ちょうど世界的なグローバリゼーションの波、BRICSブームというのが起きまして、それにうまく乗れたと。マイルソンという前の財務大臣がいらっしゃいますけども、マイルソン前財務大臣の表現を借りますと、カルドーゾ政権が植えた木をルーラ政権が皆伐採してしまったと。木を伐採したらばまた種を植えて苗木を育てて行かなきゃいけないんだけども、それを全然しなかったと。それが故に今苦しんでいるんだというのがマイルソン蔵相の表現ですけども、まさにそれが今当てはまると思います。
2003年からBRICSブームというのが始まりましたけども、ちょうど10年で2013年の5月にアメリカがリーマンブラザーズの危機の後に緩めた金融緩和を徐々に縮小するということを発表した時点で、BRICSブームというのは実態的に終わった訳ですね。1年半前この場で私も、もうBRICSブームは終わったと、EasyMoneyはブラジルにはもう入らないということを申し上げましたですけども、まあ実際に今そうなっていると思います。
2013年の時点でBRICSブームの後の対応をブラジルとしては採らなきゃいけなかったんですけども、ちょうど昨年選挙の年だったがために、ジルマ政権はBRICSブームの後の対応というのをやらずに、まあ引き続き消費を刺激して、電力料金、石油商品の価格をまあ凍結して、上げなかったと。選挙が終わって再選されたら、今年になっていっぺんに公共料金を上げたということでインフレが起きている訳ですね。ですからブラジルの現在のインフレは、消費が強すぎる、いわゆるデマンドプルのインフレではなくて、コストが上がっているが故のコストプッシュのインフレだということが特徴です。
85年の民政移管の後、9年間で7回の大きなエコノミック・プランというのがありました。時間的制約から詳しいご説明はできないんですけれども、クルザード・プランとか、ブレッセル・プランというのがありまして、特徴的には価格凍結したということなんですけども、価格凍結すると生産者は生産をストップして出荷しないと、まあ非常に困った時代です。
今のインフレの10%とは比べものにならない、まあ当地に古くからいる私どもの感じでは当時は、まあ毎週10%のインフレというような感じでした。スーパーマーケットに行きますと毎週10%前後の値上げがあったと、で、物は次第になくなっていくという時代から比べますと、今の10%程度のインフレはあまり気にするほどのレベルでもないんではないかと思います。
その後サマー・プランとか、コーロル・プラン、ありました。デノミネーションを、1000分の1にするのを3回やっています。中にはコーロル・プランで預金凍結というのもありました。94年にレアル・プランが導入されて、1000クルゼイロを1レアルにして、当初は1レアル=1ドルでスタートして、まあようやく狂乱物価が終了した訳です。
今回、民政移管後最大の政治危機とか言われていますけども、まあ経済的には今申し上げた通り、当時の大混乱と比べまして落ち着いていると思います。従ってドラスティックな大きなエコノミック・プランというのは予想できません。なぜかと申しますと、80年代90年代と比べまして、一応現在は財政収支のコントロールができていると。対GDPでプライマリー収支黒字目標というのがありますけども、インフレの度合は、今のインフレは当時とは比べものにならないほどまだ落ち着いているということですね。
それから対外的には、債務国だったのが債権国になっている。ここで?マークを付けましたけども、本当に今ブラジルが対外債権国なのかということは、これは実際は良く分かりません。ブラジルの外貨準備、3700億ドル台で安定推移していますけども、2013年から最近2年間はスワップ取引で先物のドルを中央銀行が売っております。これが故に3700億台の外貨準備が保たれていると。これをなくせば当然減っていく訳ですけれども、まあこういう若干のお化粧をブラジル政府は今行なっているということは割り引いて考えないといけないと思います。
それから、為替相場が今は変動相場制になっていると。かつてのような1度に30%とかいう大きな為替変動というのは発生しなくなってきております。
それから最後に、何と言ってもブラジルの地位が80年代90年代からは向上していると。当時G7の世界でしたけども、今やG20で、BRICSの主要国でもあるブラジルがその中の重要な地位を占めている。国際的にもブラジルが孤立するようなことはなくなってきております。
で、このスタグフレーションということなんですけども、現在レビ財務相が行っていますのは財政緊縮、消費抑制の、インフレを高進させないがために金利を上げるということをやっていますけども、まあ金利を上げれば消費を抑制すると同時に投資も当然後退しますので、景気が停滞すると。インフレーションとスタグネーションの同時進行が起きている訳ですね。
世界的に見ますと同様な状況が今、ギリシャです。ギリシャはEUに言われて財政緊縮、金融引き締めをやっております。これに対しまして今日本が採っている政策はまるっきり逆のことであります。消費を刺激して、インフレを何とか2%台に上げようということで、金融緩和、財政拡張、それから民間投資の促進と、いわゆるアベノミクスをやっている訳ですね。
こういう、国が採っている政策がブラジルと日本では正反対であるということをまず皆様のご本社に理解していただいて、まあおそらく本社から今期も売上高および利益についてきつい事業計画の指示が来ているかと思いますけども、これをいかにディフェンドしていくかということなんですけども、こういう、経営環境がまるっきり逆であるということをよく本社に理解してもらう必要があるかと思います。
このスタグフレーションへの対応策としまして、まあ経済学の教科書的には、消費を抑制すると同時に投資を促進しないと効果は現れないと言われております。具体的には投資減税、設備機器の税金を下げて行くと。で、企業の償却負担を軽くするために償却の期間を長くすると。加えて規制緩和で生産性を上げるということですね。これらの投資サイドの促進策はブラジルはまだそこまで入って行けませんで、最初の段階の消費抑制というところに留まっております。
これから、各企業の対応策としては何をすべきかということなんですけども、まあ当面は我慢の時で、リストラをするべきかなというふうに思われます。金利が上がって来ましたのでキャッシュフローの管理を強化すること。インフレが上がって来ましたので、在庫を極力圧縮すること。それから固定費的になっております人件費を抑えるために人員削減、人の入れ替えを行なっていくということ。それから、無理な事業計画は立てないと。ブラジルは市場が大きいですから、製品を売ろうと思えば売れる訳ですけども、問題はその販売代金がちゃんと回収できるかというところにリスクがあります。不渡り率も高まってきておりますので、無理な押し込みの販売は行わないということをお勧めしたいと思います。
今年は12月決算を締めると、経常利益段階で、営業利益は出ていても営業外の金融費用で、為替差損でやられて、当期を締めると赤字という会社が増えると思います。これの対策としては、まあ一番早いのは、親子ローンとか、あるいは輸入の買掛金があるかと思いますけども、これを資本に切り替えてもらうということで、為替リスクを今現地法人が取っている訳ですけども、それを親会社にリスク負担してもらうと。
このためには相当ブラジルの現地法人から説得が必要かと思いますけども、最初に申し上げた、長期的にブラジルは重要なマーケットであるということ、今行なわれている経済政策が日本とブラジルとは逆であるということをよく理解してもらって、増資による資本増強というのが一番早い解決策だと思います。チャンスがあればM&Aのチャンスと。
日本企業は従来ブラジルに、ブラジルの景気の良い時に投資されて、ブラジルが落ち込んだ時には何もしないと、あるいは撤退するということもありますけども、まあ一度撤退された企業がブラジルのマーケットの重要性を再認識して再進出されたというケースもございます。ですから長い目で見て今がチャンス。ブラジルの優良企業があれば資本参加、M&Aで行うということも考えられると思います。
今後我々が注意して行かなければならない事柄としましては、まず国内的には雇用情勢です。9月から業界別のベースアップの交渉が始まると思いますけども、労働組合がストライキ、デモを頻発に行なうようになると思います。あと、政治危機ですね。与野党の対立が激しくなっておりますけども、与党の中でも連立与党の中でPTとPMDBの対立が起きています。で、同じPMDBの中でも、ミシェル・テメル副大統領派、クーニャ下院議長派、レナン・カリェイロス上院議長派、三者三様でそれぞれ勝手なことを言っているという、今、政治的な混乱が起きております。
3番目にImpeachmentの市民運動。16日の日曜日にデモがありましたけども、翌17日の英国のFinacial Timesの新聞にこのデモについて記事が出ました。非常に批判的な厳しい記事です。内容はですね、Impeachmentでたとえジルマ大統領が代わっても、今のこの連立与党がやる限りは何も変わらないであろうと。次の選挙、2018年にPSDBが選出されない限りブラジルは良くならないという、非常に厳しい記事です。PSDB、具体的にアエシオ・ネベス候補の名前は出しませんでしたけども、国際的にも常識的なPSDBに代わらないとブラジルは良くならないであろうというまあ悲観的な記事です。
ブラジルの現在の状況をですね、ブラジルの識者から色んなコメントがでていますけども、まあ一番楽観的なコメントとして見ましたのはブレッセル元財務大臣で、来年からブラジルは良くなると。日曜日のエスタード・デ・サンパウロに一面でインタビュー記事が出ています。エスタード・デ・サンパウロの新聞記者がなぜ来年から良くなるんですかと。
今やっているレアルの切り下げ効果が出て来るからであると、超楽観的なことを言っていますけども。一方で非常に悲観的なことを言われている識者は元中央銀行の総裁のアルミニオ・フラガさんです。彼は、長い不況の始まりに過ぎないということを言っています。アルミニオ・フラガさんはアエシオ・ネベスさんの経済ブレーンなので、かなり政治的なコメントとして割り引かなきゃいけないんですけども、Financial Timesが予想するような、たとえImpeachmentが成立しても経済政策の大きな変更というのは当面期待できないというふうに見ておいた方が安全かと思います。
最後に、中国の経済が減速してきたこと。もはや7%を望めないということで、まあ先程からご紹介ある通りブラジルの最大の貿易パートナー中国ですから、この減速にブラジルも影響を被るということです。
まあ現在のブラジルの政治経済、非常に悪いですけども、まあ循環的なもので、必ずこれは復活するということは間違いないかと思います。よく、経済的に景気の波論というのがありますけども、波のように上がったり下がったりすると。あるいは山と谷という言い方もありますけども、今回ブラジルの情勢は深い谷の中に入りつつあると言う方もいらっしゃいます。また振り子にたとえて、振り子は必ず戻って来るので、ブラジルも復活すると。ただ振り子の振幅が今回はちょっと長いかなという感じだと思います。
私は、風向き論といいますか、風にたとえてみると一番分かりやすいかと思います。今は強烈な逆風が吹いてきた時であると。船にたとえてみれば、逆風の時にあえて船を出すということは止めてですね、風が止むのを待ってから出て、やがて順風になったらば高速で積極攻勢に出るというのが良いんだと思っております。
最後に、現在の状況に対してどうしようかということなんですが、これはコンサルタント部会のメンバーの山下さんの意見ですけども、我々何のためにブラジルに来たのかと。どうしてブラジルに投資したのかを改めて考えてみようと。長期的な目的でもってブラジルから原材料を確保するためだと。あるいは自社製品を全世界的に展開するために中南米の中心であるブラジルに来たと。こういう会社は比較的長期的な観点から捉えられると思うんですけども、まあ短期的に、BRICSブームに乗り遅れないためにブラジルに来たと、利益追求が第一であると、こういう会社は今非常に困ると思います。利益第一ならばブラジルよりもむしろもっと勢いの良い、インドとかインドネシア、メキシコの方に焦点を当てた方が良いのではないかというふうに思います。
以上、マクロ的なお話ばかりしましたけども、各社の状況によって対応策はおのずと違ってくると思います。コンサルタント部会の中には監査法人とか、経営コンサルタントがおりますので、具体的にどのようにしたらいいかというようなご相談がありましたら、ぜひ我々に声を掛けていただければありがたく思います。Ánimo!ということで、元気を持ってこの困難を乗り越えて行きたいと思います。ご清聴ありがとうございました。
司会
ありがとうございました。それでは何かご質問がありましたらお願いします。ないようでしたら、今からコーヒーブレイクということで、15分ぐらいということで、再開は3時40分ぐらいにさせてもらいます。よろしくお願いします。(コーヒーブレイク)
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後半司会 石田靖博 企画戦略委員長
(写真左側が石田企画戦略委員長)後半の部を始めさせていただきます。後半の司会はジェトロの私石田が務めさせていただきます。どうぞ皆様ご協力よろしくお願いいたします。
後半の部の先頭バッターにご登壇いただく前に、インフラワーキンググループからカマラ・ジャパン・インフラサミットについてのご案内をしていただくということでございますので、3分ほどで恐縮でございますが、JICAの那須所長の方からよろしくお願いいたします。
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インフラワーキンググループ 那須隆一 グループ長
すみません、皆様、インフラワーキングループ長を務めさせていただいております、JICA事務所の那須です。インフラワーキンググループではこのたび、先般ブラジル政府から発表されました新ロジスティックプログラム、PIL 2ですね、についての説明会を8月の28日、金曜日の2時から6時までWorld Trade Center Sao Pauloで開催することにしております。
これはご存知のように空港、港湾、鉄道、道路の4分野にわたる1984億レアルのインフラ整備計画についてそれぞれの各省庁の担当されている方から講演をいただくとともに、第2部では日本企業の方からの質問を、BNDESとか、あるいは予算企画省の担当の方も含めましてパネルディスカッションという形でより理解を深めるというふうな形式をとる予定にしております。
ぜひ、こういった形で、皆様関心が強いインフラの部門でブラジル政府と直接対話ができる良い機会でもありますので、インフラサプライヤーの方も含めましてですね、ぜひ積極的にご参加いただければと思います。参加の申し込みは事務局の方までお願いいたします。当日は同時通訳も用意しております。以上、インフラワーキンググループからです。よろしくお願いいたします。
司会
那須所長ありがとうございました。それでは早速でございますが、電気電子部会の千野部会長の方からご報告をお願いいたします。 -
電気電子部会 千野浩毅 部会長
こんにちは。電気電子部会、ソニーの千野と申します。よろしくお願いいたします。では2015年上期の回顧と15年の展望ということでご報告差し上げたいと思います。
まず電気電子関連の事業環境についてお話をしたいと思います。これはいくつか新聞等々の記事をそのまま持って来たんですけれども、ここに色々書いてあることなんですけれども、6月以降事業環境が急激に悪化してきたということがまず最初にあります。
元々、去年ワールドカップがあって、その時に短期的にテレビの需要が非常に盛り上がったというのがあった反動というのは、まあテレビが今年は悪いよねというのは織り込み済みだったんですが、それ以外、これまで好調であった白物家電であるとか、ずっと倍々ゲームで伸びてきたスマートフォンみたいな、そういったカテゴリー、まあこういったところも一気に雲行きが悪くなってきたということです。
ここにも書いてありますけれども、白物家電でいうと上期の6ヶ月の状況として10%以上のダウン。それから下の方にある携帯電話の方、スマートフォンですね、これも業界の予測値として言うと、それまで本当に二桁成長、あるいは倍々ゲームぐらいで伸びてきた業界というのが一桁成長に留まるであろうというふうな予測が出たのが6月の9日ぐらいですね。ただ実際これは6月の販売の実績というのが締まってみると、実は6月に前年を割ってしまったというふうな状況にございます。次お願いします。
これはテレビについてです。グラフで見ていただきたいのは、赤いライン、これが2014年、それから白いラインが2015年ということで、まあ前年に比べるとかなりテレビの台数というのは大幅に落っこちているんですけれども、ここに書いてありますように去年はワールドカップがありましたということでかなり特殊な需要があった訳ですけれども、ではこれを差し引いてその前の年、前々年と比較するとどうなるかというのが次のチャートになります。
これ、右側の方のチャートで前々年と比較した時にテレビが、台数ベースですけれどもどういう状況にあったかと言いますと、去年の年末ぐらいまではそれでも、2年前に比較すると3割ぐらい伸びていたと。それが今年の1月に入ってマイナスに転じ、6月にはマイナス26%ということで3割ぐらい落ちると。2段階にわたってガンガンと落ちてきたというふうなのがテレビの状況になっています。
これは2013年から15年の3年間でマナウスの、こういった家電製品、それぞれのカテゴリーの生産台数の推移を表したものになります。液晶テレビ、デジカメ、オーディオ、携帯電話、それから白物家電として電子レンジ、エアコン、こういったものを並べてありますけれども、実はこれ1月から5月の5ヶ月間の数字になっています。
今回Suframaのスト等の影響でですね、6ヶ月分のデータがとれなかったということで5ヶ月分になっていますけれども。ここで見ていただいても液晶テレビ、それから携帯電話、電子レンジといったところは前半の5ヶ月で前年よりもかなり顕著に落っこちてきているというのが見て取れます。一方、エアコンだけが、非常に好調に見えるんですけど、一部業界筋の話ではエアコンも現在の時点で言うとかなり在庫が積み上がっているというふうなことも聞いております。
消費の状況をここに、ちょっと一杯字が書いてあって申し訳ないんですけれども、下線を引いたところだけフォーカスをして見ていただきますと、これは8月5日時点での報道なんですけれども、わずか4ヶ月の間で消費者の予想というのが大きく悪化しています。
それから消費者の47.7%、半分ぐらいですね、これが必需品ではない製品の消費を止めるよ、というふうに考えている。Aクラス、Bクラスで6割ぐらいの人ですね、それが贅沢品の消費を止めると。A、BのみならずCクラス、Dクラス、そういった所得層に関しても、ここでは割賦での購買というのが非常に主流になる訳ですけれども、こういった耐久消費財の消費、割賦の購入が非常にしづらい状況になっているということで、まあそうしたことができなくなってきている状況。また、今まで、良いものならば高い値段を出してもいいなと思っていた消費者も、1ランク2ランク下のランクのもので、安いもので我慢すると、そういったような回答というのが増えてきているというような状況がございます。
これは、2つ、家電関係の小売業の状況についての報道ですけれども。上にあるのがVia Varejo。これが家電の量販店でいうとCasas BahiaですとかPontofrioという名前でこのサンパウロの中でもよく見かけるお店だと思うんですけれども、その2つのお店を持っているVia Varejoグループというところ、これが4月から6月の3ヶ月間、ついに赤字に転落しました。
それからもう一つ、これもやっぱり家電の量販店ですけれども、マガジニ・ルイーザ。ここも去年と比べると、もう利益がほとんどなくなったと、88.6%減ですから10分の1に利益が落ちたというふうな状況がレポートされています。
こうした中でですね、流通業の収益が悪化して、過剰在庫になって、それゆえに資金繰りが悪化して。こういったこともあって、昨今の状況で言いますと、7月8月ぐらいは流通業から我々こういった製造業に対しての仕入れが非常に低調に推移しているというふうな状況がございますのと、あとはまあ我々の立場から見ると、こういった流通業が非常に厳しい状況になってくると売った分の売掛金の回収はちゃんとできるのかなというふうな懸念もかなり出てきているという状況でございます。
まとめてみますと、先程コンサルタント部会の方から非常に論理的な説明があったので、非常に恐縮なんですけれども、リセッション、その割にインフレと。スタグフレーションというような状態。で、レアル安があって、政治危機があって、ということで、まあ我々のようなところの耐久消費財、それもConsumer向けだけでなくてBtoBの需要、あるいは公共事業に関連したところ、こういったものが軒並みインパクトを受けているというのが昨今の状況というように理解しております。
こうした中で、15年の上期、販売の状況は前年と比べてどうでしょうかというふうなことを電気電子部会の中でアンケートをとりましたところ、14社から回答をいただきまして、これで見ていただきますと、改善あるいは維持と答えられた企業が大半で、去年よりも悪化していますというところは実は2社だけに留まっております。
これ、状況が悪い中で、この数字だけ見るとそんなに悪くないじゃないかというふうに見えるんですけれども、中身を色々話を聞いてみますと、どちらかというと電気電子という領域においてはむしろ経営環境の悪化というのが2012年の後半ぐらいから、かなり、為替の悪化ですとか景気の減速だとかいうのが見られたような時期から始まっていて、ある意味2013年ぐらいがボトムであったという中で、各社色んな形での事業構造の転換を図ってきましたと。
既存の領域のセグメント、こういったものを見直したり、規模を縮小したり、あるいは新規領域を開拓したりと。そういった色んな努力を重ねて来た結果として、まあ今何とかわずかながらでも改善できている、あるいは維持できているというふうな会社が多いというふうな状況でございます。
ここに例が書いてありますけれども、例えば高付加価値商品へのシフト、新規市場の開拓、サービス事業の拡大、あるいは輸出の拡大、あるいは新規領域に入っていくに当たっての企業買収といった、そういった色んな取り組みをしながら何とかこう業績を維持させているというふうな状況でございます。ただ、一番下に書いてありますけれども、14年と比べて改善あるいは維持できてはいるんだけれども、決して当初予定していた、計画していたようなレベルにはございませんということで、まあ期待には届いていないんですという非常に厳しい状況かと思います。
15年の下期への展望ということなんですけれども、ここでも改善・維持とお答えになった会社が8割、9割に近い。悪化するよと答えたのはわずか2社にとどまっていますけれども、ただこれ上期から下期にかけてというところで見ますと、悪化するという回答は増えてはいないんですけれども、まあ改善から維持というふうにやっぱりペースダウンしていったり、あるいは改善率の低下と書いてありますけれども、これは売上の成長率というのが明らかに上期よりも下期の方が鈍化するというふうに答えられた会社というのが非常に目立っております。
さらには、この回答に付け加えてなんですけど、今の状況がさらにリセッションが深化していったり、深まっていったり、為替の状況がさらに悪化する、それがコストアップの要因。コストアップをすれば当然値上げせざるを得ないと、そうすると売上が減ると。こういった悪循環に陥るリスク。それから、取引先の会社の経営状況によっては資金回収のリスクというのも増えて来るということで、ここにある以上にどちらかと言うとさらに悪化する懸念というのが大きいだろうというのが電気電子部会でのコンセンサスになっております。まあこうした中で、とにかく守りを固めていく、その中でも投資等々一切止めてしまうのではなくて、投資は厳選して将来を見据えた投資を何とか継続していこうというふうなことになっております。
これは副題にもあった「必ず復活!ブラジル経済~日系企業はどう立ち向かうか~」ということについてなんですけれども。まあ皆さん、これは繰り返すまでもないと思いますけど、ブラジルという国自体の中長期的なポテンシャルというのはきわめて高いだろうと。
また、既に各社色んな形で取り組みをされているんですけれども、これから新規に取り組む価値のある事業領域、これも色々マーケットの中を見渡すと色んなものがあるということで、そういった新たな投資領域というのもどんどんどんどん発掘していくという、そういうオポチュニティーがあるマーケットだと。
それから3番目にですね、過去のクライシスに比べれば今は景気循環の一局面じゃないかと。先程80年代90年代大変でしたという話もあったと思うんですけれども、過去に比べればまあこんなのは大丈夫なんだと。20年30年、それ以上事業を続けられている方々から見るとですね、こんなことでへこたれてどうするんだということだと思うんですけれども。それから、今は守りを固めて、リセッションの出口、まあ必ずリセッションというのは終わりが来ますので、その出口に向けて今やるべきことをしっかりやる。
で、最後になりますけれども、これはむしろ今のレアル安というのは、特に国の外からお金を持って来る場合ですね、こちらのレアル安というのはどちらかと言うとメリットに働くだろうということで。レアル安が悪いばっかりではなくて、むしろ投資をするんであれば好機とも言えなくもないだろうということで、先程投資の厳選ということもあったんですけれども、まあそういったところポジティブに色々ものを見て行こうということだと思います。
最後になりますけれども、ブラジル政府への要望ということで、これ実は電気電子部会始まって、過去3回ぐらい資料見たんですけど、ずっと同じことが書いてあるんですけども、為替の安定、消費の活性化、公共事業の正常化、それから税制改革。それから4つ目の、税金を支払わない輸入に対する厳格な取締り。これは特に、昔で言うとブラジルとパラグアイの国境あたりで税金を払わないものが馬の背に乗って色々入ってくるみたいな、そういう話が多かったんですけれども、昨今はですね、国際インターネット通販みたいなもの、これでですね、結構国際小包のそういった通関のシステムというのが何かパンクしているという話があって、中々こう適正に税金を払わないで、それでどんどん税金を払わないものが入ってきてしまうことが新たに起きているようで、そういったところも含めてですね、こういったところをしっかりやってほしいなというのがここに書いてあります。それから治安の改善ということになります。
これ、全部含めて言いますとですね、一番上に書いてある、やっぱりブラジルという国が魅力のあるマーケットであるんだという、そういうふうな評価を回復させるといったことをですね、ぜひぜひブラジルの政府には努力をしていただきたいところじゃないかというふうに総括できるかと思います。
まあ過去は色々、複雑な税制ですとか、税金が高いとか、障壁が非常に高いとか、色々文句は言いながらも非常に経済成長の成長率が高いということで、それで外資を一杯引き付けてきたところがあるかと思うんですけれども、いまやそんな高度成長を期待できないような中ですので、やっぱりブラジルという国のマーケットのインフラストラクチャーというのをしっかり魅力あるものに作って行っていただくというふうなことをですね、ぜひぜひやっていただけたらなというのが総括になるかと思います。電気電子部会からの発表は以上です。ありがとうございました。
司会
ありがとうございました。ご質問をお受けいたします。ご質問ございませんでしょうか。では私から一つだけよろしいですか。来年のオリンピックのことに関しては特にコメントはなかったんですけど、オリンピック景気にかける期待みたいなもの、御社の立場でも結構でございますので。回答
一般消費という意味では、オリンピックに対する期待というのを述べられた会社というのはありませんでした。一部、オリンピックのインフラ関係ですね、放送関係ですとか通信関係、そういったところでいくつかの需要がありますというふうなことを述べられていた会社がありました。が、まあ全般的に言うと、ワールドカップも盛り上がらなかったというのもあるし、今の環境が非常に悪い中で、あまり、オリンピックに期待するんじゃなくて、むしろ浮ついたことをせずにやっぱり守りを固めるのが大事だよねというのが大方の意見だったというふうに理解しております。
司会
はい、ありがとうございます。他にございませんか。なければ次に移らさせていただきます。食品部会の発表を藤江部会長の方からお願いいたします。 -
食品部会 藤江太郎 部会長
皆さんこんにちは。食品部会、味の素の藤江でございます。6月に転勤して参りまして、勉強中でありますけれども、しっかりとご報告申し上げたいと思います。また若干時間も押しているということですので、ポイントをなるべく絞って簡潔にご報告をさせていただきます。
本日はですね、この3点を中心にご説明をさせていただきたいと思います。
まず、はじめに2015年上半期の食品市場の概況ですけれども、2014年度の下半期から始まりましたレアル安に加えまして、インフレ率の一段の上昇、金利の上昇、また雇用状況の悪化などの経済情勢が消費マインドに大きな影響を与えております。食品市場は内食、外食市場とも非常に厳しい時期となっております。また、昨年の同時期はワールドカップの効果によって市場の拡大も、食品市場につきましてはありましたものですから、多くの分野で数量が前年比では減少したというふうに見ております。また、低価格志向が強まっておりまして、嗜好品への支出を特に抑制する傾向も共通して指摘されているところでございます。これらの環境下におきまして、低価格のファストフード、またコーヒー、日本食材は売上を伸ばしております。輸入食材の販売に関しましてはレアル安による輸入価格の上昇が小売価格の上昇につながっておりまして、厳しい逆風の状況にもなっております。
2015年の上半期の業界の動向。食品部会の各社の業界動向について簡単に触れておきたいと思います。まず飲料ですが、発酵乳飲料、本数ベースで98%と前年割れでございますけれども、果汁飲料は108%ということで好調に推移をしました。また粉末ジュース市場は7%増で推移をしております。
続いてブラジルの調味料市場ですけれども、金額ベースで8%増。値上げも加味しますと数量ベースではほぼ前年並みであったというふうに見ております。ちなみに弊社、味の素の食品事業は前年比2%増でございます。他社との競争が厳しくなっていますけれども、4、5月は特に厳しかったんですが、6月に入りましてやや好転の兆し、7月につきましてもその好転が継続をしているという状況でございます。
コーヒーにつきましては、国内消費は3%程度上昇したというふうに考えられますけれども、高価格品の売上が落ち込みまして、安売り業態での売上が大きく伸びるという市場の変化が見られております。
低価格が魅力の即席めんですけれども、数量ベースでは3、4%減少したというふうに見ております。これまでの市場の伸びをけん引してきた北部、また東北部、各州の内陸部など、中低所得者が多い地域での落ち込みが特に顕著になっております。
JT社によるタバコにつきましては価格の据え置きなどの施策が功を奏しておりまして、低価格志向の消費者の獲得につながって、順調な成長を確保しております。
日本食材は全体としては伸びておりますけれども、昨年度までは好調でありました輸入販売については、先程申しましたレアル安の影響で価格がどうしても上昇するということで、大きく前年を下回っております。続いて、BtoB向けの食品の業界動向をご報告申し上げますが、2年近く高止まりしておりましたココアバターの価格低下によりまして、代用油脂の売上および価格が減少しております。香料は飲料向けが不調でしたけれども、香粧品向けが順調で、全体として成長を確保をしております。
種苗につきましてはF1ハイブリッドといった付加価値商品の需要がさらに伸びておりまして、部会企業でありますタキイブラジル社の販売も順調に伸長しております。
食肉や濃縮果汁の輸出に関しましてはレアル安の影響で好調であります。食肉では日本での鶏肉、豚肉の一時的な不足にもよりまして日本向けが好調に推移をしております。外食産業ですけれども、ゼンショー社による「すきや」が所属するファストフード業界は好調に推移をして、前年比プラスで推移しています。今後も低価格帯のレストランやファストフード、これは引き続き堅調に推移するというふうに見ております。「すきや」も上半期に新店舗を1店オープンしております。
一方で、中価格帯、また高価格帯のレストランはどうしても消費マインドの低下の影響を受けまして、これらのレストランに食材を販売する日本企業におきましてもターゲットを絞った販売施策によって何とか販売の維持を目指して取り組んでいるというところであります。
利益面では輸入原材料の値上がりによる影響を大きく受けている事業においては減益の傾向。原材料の国際価格の低下による恩恵を受けている事業においては利益を堅調に伸ばしているということで、また食品業界にとりましても電気代に代表されるようなエネルギーコストの上昇、また人件費などの固定費の上昇は収益にとって大きな影響要因となっております。
続いて原燃料動向であります。食品の原料は国際的に順調な生産動向を受けまして、国際相場は安値傾向になっております。いくつかの市場についてご説明をいたします。
まずご覧の砂糖ですけれども、順調なサトウキビ生産に支えられまして安値安定の国際相場でありした。しかし国内相場はレアル安の影響でむしろ上昇傾向にあります。続いて乳相場でありますけれども、2009年以来の安値相場になっております。一方でブラジルの閉鎖的な市場という特殊要因によりまして、国内相場は大きな変化は生じておりません。
続いてコーヒーのニューヨーク先物市場でありますけれども、ブラジルの水不足への懸念から一時200セントを超える高値圏となっておりましたけれども、15年明け以降順調な降雨が観測されるとともに値を下げまして、現在は120から125セントというところで落ち着いております。
続いて燃料につきましては、サンパウロ州の渇水の影響を受けて電気スポット価格がですね、ご覧の通りなりましたけれども、15年に入って300レアル台に落ち着いてきていると。しかしながら各社の電気代コストは前年を大きく上回っておりまして、収益への影響が大きくなっております。サンパウロにおける渇水問題は若干の落ち着きを見せておりますけれども、貯水量につきましては昨年同時期を下回っているというデータもございますので、抜本的な解決策が打たれてないことから、雨季の開始の遅れなど予想外の事態による問題の再燃、これは懸念をしているところでございます。
最後でございますが、15年下期の展望と日系企業の取り組みというところで、3点ございます。
1点目。経済、雇用環境の変動に由来する消費マインドの低迷は当面継続するというふうに予想をしております。正常に戻るには時間が要すると考えられて、各社は新製品の発売による新しい市場の開拓、買収・提携などによる将来の成長への布石を打つことに取り組んでおります。2点目。輸入に頼る事業はもちろん、国内生産販売の事業におきましてもレアル安、輸入原料およびエネルギーコスト上昇、人件費上昇によりコストが確実に上昇しておりますけれども、市場動向が厳しい中で販売価格への転嫁が困難な状況にもあります。短期的に収益の悪化が予想されるわけであります。
続いて3点目。最後でありますけれども、このような環境におきまして食品部会の各社は低価格指向や健康志向、また日本食への関心など消費者の動向および社会的な変化を的確にとらえまして、この変化の時期を構造改革、また体質強化のチャンスと見て、ブラジル人の食文化や生活の向上に取り組んでいきたいということでございます。
以上、簡単でありますけれども、食品部会からの報告でございます。ありがとうございました。
司会
ありがとうございました。ご質問をお受けいたします。はい、どうぞ。質問
食品の即席めんのところのコメントでちょっと意外だったのは、中低価格のところというのはもう少し下げが遅いのかなというふうに思っていたんですけど。ノルデステだとか他の地方都市というのはまだまだ堅調なのではないかというふうな予測をしていたのが、まあ実際には販売が落ちているということだったと思いますが、これは食品部会の読みでは今後もまだ厳しく落ち込むというふうに見ていらっしゃるのか。それから全体、即席めんというかそういう低価格の食品のところというのはノルデステとかそういうところでも全体的に下がっているのか、ここら辺を少し、もし分かれば教えていただきたいと思います。
回答
中期的にはですね、即席めん事業も、それほど大きな伸びではないですが安定的には伸びて行くのではないかというような想定はしております。ただ厳しい雇用情勢等々もありまして、収入も落ちていますから、金額ベースが特にですね、今まで1レアルで買っていたものが0.8のものに移ったり、そういう価格の低下というものはありますし、また、より安い主食に移っているというような傾向もあるのではないかということで想定をしております。ただ中長期的に見るとですね、二桁の伸びというほどではないと思いますが、安定成長は見込める市場でもあるというふうな見方をしております。質問者
ありがとうございました。司会
他にございますか。それではないようでございますので、藤江部会長ありがとうございました。続きまして運輸サービス部会のご報告を細谷部会長の方からお願いいたします。 -
運輸サービス部会 細谷浩司 部会長
運輸サービス部会の日本通運の細谷です。よろしくお願いします。今食品部会で好調という言葉を久々に聞きましたので、一種の清涼感がありましたけども、我々のこの運輸サービス部会、物流、鉄鋼業界内の構内物流、あと海運、航空貨物、航空旅客、旅行、ホテル、通信、ITなど多岐にわたっています。好不調、色々説明の中で出てきますので、それぞれの業界別のシートを分けてありますので、それに沿って説明いたします。
まずは物流業界。上期回顧からですが、昨年上期より、大体ワールドカップの前ぐらいですかね、輸出入の物量が実際減っておりました。それと比べても今年も上向くことなく上半期が終わってしまっています。またトピックスとしては、10年間凍結していたサントス港の港湾料金、これが31.7%ほど5月に値上げしております。下期の展望としましては、3年前に半年にも及ぶ税関ストライキ、皆さん覚えていますでしょうか、それが現在の経済状況を背景に、今後同様なことが起きるかどうかが懸念材料としてあります。実際昨日より、各全国の税関のストライキが始まっております。また、港湾諸料金や燃料費、様々なコストが値上げされていることから、この状況下で国内物流費は徐々に値上がりしていくのかなというふうに思われます。
あとは、データとしてこの下に赤青で入れたんですが、世界各都市の引越荷物の到着からお客様へのデリバリーの日数の比較をちょっと取ってみました。これは日通の社内独自の資料なんですけども、サンパウロが一番下にあるんですが、赤が航空、青が船便です。航空便で来た荷物、およそ16日後にデリバリーと。東京と比べると、エアーも船便も3倍ほどかかっているということになります。これでも若干、徐々に良くなってきている状態ですね。
次に鉄鋼業界の説明です。上期の回顧としては、機械金属部会さんで説明された粗鋼生産量とか販売量、まあ芳しくなく動いているんですが、その状況下で鉄鋼業界は需要の減少に伴い、一部製鉄所での高炉の休止などの施策を行うとともに、外注業務の内製化による余剰人員の吸収など、検討を実施しています。
下期の展望としましては、引き続き業界に対しては厳しいコストダウン要求が継続するものと思われ、この中でどのように生き延びていくか、合理化投資がどこまでできるか、非常に難しい状況が続くものと予想しています。鉄鋼業界内の協力業者として設備投資による要員合理化策を実施するためにも、客先との外注契約の長期化の交渉を強力に進める必要があると考えています。
次に海運業界です。上期の回顧から。コンテナ船はレアル安の影響で前年同期比にて輸入が1%減少、輸出が6%増加となりました。輸入ではアジアトレードは横ばい。欧米からが6%減少。輸出は顕著なのが米国向けの輸出で、8%増加しています。が、輸入超過の構図は変わらず、輸出入全体で前年同期比2%増となっています。不定期船、いわゆるバラ積み船というものですけど、中国の鉄鉱石輸入が前年比で0.9%減となり、鉄鉱石を運ぶ大きな、ケープサイズという船の傭船料市況は低迷しています。
下期の展望です。コンテナ船の輸入の停滞傾向は続く見込みです。不定期船は通常下期は鉄鉱石輸出の繁忙期を迎えるために、中国による購買次第では市況回復が期待できるかなというふうにここに書いてあるんですけど、昨今の中国の経済状況ではそれも懸念されるところです。
海運業界のまとめとしてですが、ブラジルの経済の停滞と船型の大型化の影響で運賃環境は厳しく、15年下期も業界全体としては厳しい状況が続くのではと思われています。
次に航空貨物業界の説明です。上期ですが、日系企業が使う主要な空港、3都市なんですが、サンパウロ、マナウス、クリチバの貨物量の合計を比較してみました。輸入量は12.8%減、輸出は4.9%の減。各メーカーの部材や製品の輸入に現在の為替状況が大きくインパクトを与えていると思われます。
下期の展望ですが、輸入は当面停滞傾向が続くと思われます。その半面、レアル安により今までは国内向けだった商品のうち新たな輸出品目が生まれて来るのではないかなという可能性に期待しています。また、オリンピック特需、日伯修好120周年記念関係での荷動きの活発化に期待したいところです。
下は主要3都市の航空輸出入の取扱量のデータを記載しました。2013年から15年、3年間の上期の数字を取ったんですが、徐々に取扱物量が下がっており、輸入は20%の減、輸出は6%の減少というふうな形で暗い数字になっております。
次に航空旅客ですが、まずは国内線ですが、国内線景気が良いんですよ。座席の拡大以上に旅客の利用が多い非常に良い実績となりました、というコメントです。国際線は、データはブラジルの航空会社のみしか取れないので、その合計となりますが、利用率は0.4ポイント低下しているものの、座席数の拡大に応じて旅客の利用が10%以上伸びています。あわせて外国航空会社の運航規模も増大していることを勘案すると、旺盛な需要傾向が続いたと言えます。
下期なんですが、国内線は引き続き堅調な伸びが続くと思われます。しかし先日、TAM航空の発表があったんですが、TAM航空がブラジル国内線を10%カットすることを発表したことに伴い、規模減による利用客の減少が懸念されるところです。国際線はブラジルからの出国者数が為替動向の影響で減少するかなと。もしくは停滞するというふうに予測されております。
下、この特記・周知事項、トピックスなんですが、皆様に関係あると思います。エチオピア航空が4月下旬にアジスアベバ=成田線に新規就航し、週2便でサンパウロ=成田間が乗継可能となっております。また全日空が6月12日から成田=ヒューストン線に新規就航しまして、ヒューストン=サンパウロ・リオデジャネイロ線でユナイテッド航空とのコードシェアを開始しました。
その全日空が所属しているスターアライアンスにアビアンカブラジルが7月22日から正式に加盟しております。ちょっと使いやすくなるんですかね。一方、ワンワールドでは10月中旬頃にアメリカン航空がサンパウロ=ロサンゼルス線にボーイングの787という、ドリームライナーという最新鋭機材ですね、を投入予定です。それに合わせてグアルーリョス空港のターミナル3に新たなラウンジがオープンするそうです。
次に旅行業界いきます。まず上期は、業界の統計によると国内線も国際線も前年同期と比べ航空券発券枚数、売上額において増加が見られております。国内線は発券枚数12.8%増と伸びた一方で、売上額では1.5%の微増に終わっております。
これらの数字から国内の旅行は近場への旅行が増え、かつ一回の旅行での滞在日数は減ったものと分析いたします。また国際線はレアル安にも関わらず発券枚数が14.8%の伸びを示しています。その一因は航空会社各社が運賃の格安キャンペーンを頻繁に実施したことだというふうに推測しております。
下期の見込みですが、レアル安における海外旅行客の減が予想されます。一方で、海外旅行をあきらめ、国内旅行に変更する人も多く出ることが想定できますので、国内旅行の需要の伸びを期待したいと思います。
今後の課題としましては、日伯修好120周年にもなるのに、まだ日伯間にはビザ免除協定が締結されていません。それを実現化することで日伯間の観光の往来が活発になることを期待したいと思います。またオリンピック関連では、一部視察団などの来伯が始まっており、今後の来伯グループの先行受注も増加見込みとなっております。
次にホテル業界です。上半期のホテル業界は部屋使用率は60.75%でした。この60.75%というのは大体、業界では70%行くとすごく良いということですかね、というバーがあるらしいんですが、60.75%。および平均宿泊料金は18.7%のダウンの315レアイスでした。しかし、直近の6月度の部屋使用率は前年同期比8.6%のアップを記録しており、現在の経済および政治面の微妙な局面にもかかわらず、ドル高騰は国内観光および外国人来伯の促進を促していると見ております。
下期には各ホテル業者が独自のアイデア、コストダウン対策など頑張りが必要となる時期となります。ドル高により国内観光のチャンスも見出せますが、観光シーズン以外のパッケージ企画商品に関して大きな提案力、販売促進策、サービスなどの開発が要求されることとなります。業界の調査に基づくと、サンパウロ市内のホテルを除いてサンパウロ首都圏のホテルは2015年度累積で2.7%の適度な部屋使用率上昇を記録していく見込みだということです。
次は通信業界に行きます。通信業界は2つありまして、携帯モバイルと固定といわれるテレコム関係ございます。まずは携帯モバイルから。上期状況ですが、スマートフォンの普及ペースが鈍化しています。端末市場においてはサムスン、LG、アップルなどに加えて廉価版スマホを提供する中国シャオミ社が6月にマーケットに進出しております。
現在の加入件数は2億8245万、普及率は138%、世界第5位です。そのうち、2G、いわゆるガラケーと言われるのはシェアがまだずいぶんありまして32%。3G、これがシェアが57%。4G、これは前年比75%の伸長しているんですが、まだ4%となっています。
下期の展望ですが、4Gの普及拡大に伴ってさらにデータ通信サービスが増加。一方で音声サービスは徐々に低下する見込みです。オリンピック関連ですが、特に開催地であるリオの通信品質の向上については携帯各社の基地局の増強が図られる見込みでございます。
次に固定といわれているテレコム関係ですね。上期時点ではブロードバンドのマーケットシェアはNETが32%、Vivoが29%、Oiが26%となっております。ブロードバンドユーザは2400万9000人を突破しております。
インターネット普及率は約57%で、これはまだ世界70位。ここにグラフがあるんですが、すごい右肩上がりで普及率は来ております。Windows10のアップグレードなどアプリケーションの提供がクラウド型へシフトし、グーグル、アマゾンを含めて大手ITサービス企業を中心に国内のデータセンターを使う需要が急速に高まっています。
下期展望としましては、まだまだ通信インフラ基盤の安定化がなされていないため、この安定化、低価格化が期待され、今後家庭、事務所までの光ファイバー敷設が普及し、利用が増加する見込みです。インターネットを基盤化する中で大都市中心部以外、例えばカンピーナスとかジュンジアイなどの郊外の工業団地などで高速化・安定化・低価格化が求められています。一方で継続的な技術者の不足、人件費の高騰で、IT専門家の確保の困難さが慢性化しており、その対応策が求められているところです。
次はIT業界ですね。上期回顧ですが、2015年度の当初に予定されていたITの企業の投資予想額、これはGartner社というのが発表しているんですが、それが125USビリオンから現在では116USビリオンに下方修正されております。7~8%減になっていると思います。その状況も踏まえてお客様からのITコスト削減要求が厳しく、その対応には苦慮しております。また新規の日系企業の進出に関わる案件も減少傾向にあります。
一方では、やはりコスト削減を目的とした意味でのIT活用、具体的にはアウトソーシング系の需要は比較的旺盛と言えます。またブラジルですと、SPEDという、公共簿記システムのシステム導入への対応が引き続き増加しております。
下期展望ですが、引き続きIT投資額はさらに削減される傾向にあるというふうに見ております。ITコスト削減のためクラウドサービスやデータセンターなど、ITのインフラ部分の需要自体は増加していき、その流れを受けたITインフラの価格削減が期待されます。あとは、いわゆるSPEDという公共システム等、eSocialですね。eSocialへの対応は各企業が確実に対応しなければならないのでこの需要増加も期待されるところです。
中々ITコストは見える化が進みづらい所ですが、全体最適化と標準化の観点からITにおける保守・運用業務のコストの削減がお客様からさらに求められ、一方でIT技術者の不足に加え、急速に高度化するIT技術に人材育成が追いついておらず、優秀な人材の育成や確保は今後も大きな課題というふうに捉えております。
この下の表、2013年の市場規模のデータですが、1位はアメリカで、2位は日本。日本は何と前年対比16.2%の減というふうになっています。ブラジルは世界8位の市場規模で、中国・インドといった新興国よりも市場規模が大きく、先進国に引けをとらない状況でございます。
最後に副題になります。「必ず復活!ブラジル経済~日系企業はどう立ち向かうか~」という副題に対して、各企業、我々色んな企業が集まっていますので、様々な意見が出されました。順に行きますと、
日系物流業者としてのアドバンテージのない国内業界に参入し、日本品質で地場企業と戦っていく。
コスト競争力を高めるための社内技術開発により、合理化、機械化、技術力を高めるための体制作りと実施。日伯間の観光ビザ相互免除協定の締結推進により、さらなる来伯客の誘致を導く。
ブラジルおよび欧米系の航空会社との連携を強化し、ブラジル=日本間の路線網の拡大と乗継ぎの利便性を向上し促進する。当地旅行会社との協業にてブラジル人の訪日旅行者数を増やす旅行商品を作成し、販売の強化を図る。 需要を待つのではなく創造することが大事。決して業界独自の内容ではなく、他業界にも通じるところがある方向性であると思います。
最後に、ここで連絡となりますが、今年も運輸サービス部会主催の視察旅行を計画しております。決まり次第商工会議所経由で連絡させていただきますので、大勢の方の参加をよろしくお願いいたします。これをもって運輸サービス部会の発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。
司会
はい。ご質問をお受けいたします。挙手を願います。質問
ちょっといいですか。最後に細谷さんが言われました視察旅行ですけども、大体どの辺を考えておられるか。回答
過去2年間はサントス港の視察をバス1台でやっておりました。今年はですね、やはりトピックとして考えられるのは、リオのオリンピック直前ということで、我々旅行業界、通信業界、運輸業界、色々混ざっている部会ですので、リオに飛びまして、リオの空港を見たり、あとマラカナン競技場、開会式・閉会式があるんですが、それの視察をしたり、メイン会場であるバーハ地区の今の、政府が言っている、82%建設が終わっているというふうに言われているところを、本当なのかなというのを見たり。それに付随して、今プレ・オリンピックと言われるプレ大会が結構来ておりますので、もし日にちが合えばそれの応援もしてきたいなということで考えているところですが、まだ決まっておりません。決まりましたら報告差し上げます。
司会
ありがとうございました。ただ今中前総領事にご来場いただきましたけれども、引き続き部会報告を進めさせていただきます。次は化学品部会のご報告を高橋部会長からお願いいたします。 -
化学品部会 高橋智 部会長
化学品部会、K-Iケミカルの高橋でございます。K-Iケミカルというのは日本のクミアイ化学で、農薬会社でございます。では次お願いします。
部会のアンケートをベースに説明を進めたいと思いますが、部会のメンバー、大体56、57団体あるんですけども、企業じゃない団体さんもありますものですから、企業の数で言うと55ぐらい。アンケートで回答下さった会社と回答の数が違うのは複数業種にまたがっているからでございます。次お願いします。
会員会社さん。緑色が回答くださったところですね。それでは次お願いします。
こちらですね、前回も出したんですけども、昔からブラジルに進出されているところと、比較的この最近進出されたところと、大体二つあると。次お願いします。回答の事業分野で見て行きますと、非常に多岐の事業分野にわたる業界にですね、化学品を供給しているということが分かります。では次お願いします。
これは会社さんですね。では次に行きまして、回顧と展望の方に行きたいと思いますが。明るい色で書いているところは増加している、それからグレーというか黒っぽいところは減少している。明るければ良くて、暗ければ暗いと、そういう見方でございます。これで見ますと、化学品部会全体の合計としては、上期はまあ良かった訳ですね。その下を見ると、利益の方は売上ほどではなかったと。下期についてはこれはぐっと明るい色が減りまして、それほど良くないだろうと、利益の方も厳しいであろうと。これが全般的な見方でございます。次に事業分野別に見ますので、次お願いします。
工業材料ですけれども、こちらの方はやはり同じような傾向で、上期売上は良かったけれども利益はそこまで良くはなかったと。下期の展望で行くと、これは両方とも非常に厳しいと、大体同じですね。
続いて消費財製品の方に移っていきますと、こちらの方はですね、上期の方は工業材料よりも全般的に明るい色が多くなってございまして、まあ上期良かったし、それほど儲からなかったけれども。下期の方もですね、比較的明るい見方が割合なされているという傾向です。では次お願いします。
農業畜産関係ですけども、上期の売上、まあまあ良かったと。売れたけども利益の方はそれほどは儲かっていなかったと。下期がどうなるかと言うと、下期が売上・利益とも色つやが良いんですけども、これは一つには農薬というのは季節商売でございまして、ブラジルの場合は年に二作三作作物を作るんですけれども、一番のメインはまあ10月ごろから始まって次の年の2月3月ぐらいまでのその時期がメインですから、大体下期に買ってもらえる訳なんですね。ですからこれは季節商売のずれということでございます。次お願いします。
石油製品ですけれども、こちらの方は非常に色具合が良くてですね、これは、2社いらっしゃるんですけども、どちらかと言えば比較的最近進出された企業さんで、かなり新規開拓等どんどんなされているところで、まあ明るい状態になっていると。
これまでのまとめ方ですと、消費財とか工業材料とかとても大雑把なので、今度はちょっと見方を変えて、最終製品がどういった業界、どういった事業に属するかと、そういう見方の方で見ますと、この表の見方ですけど、下の方がちょっと見えるか分かりませんが、奥の方に最終製品が自動車・二輪とか、電気・電子工作機器とか、食品・医薬というふうに、最終製品となって出て来る業界、事業分野が示されていまして、それを先程と同じような、増加であるとか、不変、減少という形で出ています。
これは上期の回顧の売上の部分ですけども、上期まではそれほど悪いことはなくて、特にこの食品関連のところとか、化粧品のところとかはかなり良かったことが窺い知れますね。次お願いします。
その上期の利益ですけども、利益はまあ全体的には、最初の方にも出て来ましたけど、売上ほどには利益は上がったというところは多くなかったんですけど、若干やっぱり全体に下がっていまして、それでも上期については食品等々、それから化粧品のところまで非常にこの三つはそこそこ良かったと。ここから下期の方に移ります。次お願いします。
下期になりますとこの明るい色がぐっと下の方に下がって参りまして、やはり増加するというふうに見ているところは、先程の農業のところを除けば、化粧品がありますが、かなり少なくなって来るという傾向にあります。次、利益の方ですけども、この利益もですね、それでも結構増加するとか、不変というところが割と多くなっていると思うんですけども、これは部会の中で話し合いの中では、まあ実際にそうなるという見方よりも、そういうふうに持って行こうという目標的な、そういう考え方で一応アンケートには協力しましたという会社さんがいくつかありました。どっちにしましても、利益も、こちらにあります通り、落ちて来るという、こういう状況だと思います。
次に、今までの全体の傾向の要因の解析の方に行きたいと思います。プラス要因とマイナス要因がありまして、めぼしい所をトピック的に行きたいと思いますが。まずは工業材料ですね。販売対象で見た場合の工業材料ですけども、プラス要因としては、設備投資の効果が上がったとか、新規分野とか新規顧客さんの開発ができたというところがあります。マイナスでは、顧客の資金繰りが悪いとか、銀行さんがあまり貸してくれないとか、そういうことがありました。次お願いします。
次、消費財ですけれども、まずこのプラス要因の一番上。平均生活水準向上による需要増大。これがやっぱり基本的な流れではあると思われるんですね。あと、自助努力された、新しい販売チャンネル、地域拡大、それから直販等、これは開拓されたというところがプラスの貢献であると。また、新しいサービス、ソリューション等の提案をしてそれが成功しているというような報告がいくつかございました。
マイナスですけど、マイナスは今まで色んなプレゼンターの方が発表されてきたような状況が色々あるわけですけれども、まあ化学品部会の中で目を引くのは、デジタル化によって化学品・化成品の需要が減っている部分があるとかですね、こういうところは化学品独特かなと。それから予算削減で公共病院の投資も入らなかった。それから印刷関係で、中国製の印刷物が増えていると。なぜかというと中国製の印刷物はどういう訳だか輸入関税がほとんどかからないのではないかとか。
それ以外のところとしては、輸入品の安全性テストが時間がかかったり、検査機関で色々違いがあるんだよというようなのもありましたが。これはブラジルの国の認証とか登録、それから検査、そういったサービスを行う機関がいくつかあるんですけど、化学品部会に関係するところは三つぐらいあるんですが、それが一部やっぱり阻害要因になっているというところが時々指摘されております。では次お願いします。
次は農業畜産ですけども、プラスの要因ですね。プラスの要因としては、サトウキビ関連産業がですね、石油の値段、ガソリンの値段が上がるとエタノールがつられて上がりますので、それのおかげで、砂糖の値段は良くないんですけど、そういうことでちょっと復調の兆しがあると。それからデング熱の発生が増えたのでプラスになったと。
マイナスの方はですね、やはり顧客の与信力の低下とか、在庫過剰とか、色々あるんですけども。大豆で、芋虫みたいな、Helicoverpaというのがいるんですが、これが去年一昨年すごく出て殺虫剤がたくさん売れたんですね。今年になるとこれがばったり出なくなったということで。基本的には農薬の場合は雨が降ると虫が一杯出るので殺菌剤がたくさん売れて、乾燥すると殺虫剤が売れるという、まあ季節商売なところがあるんですが、ブラジルの場合には他の国、周りの国とかよりもそれがかなりドラスティックに変わるという傾向がありますね。
それから綿とかもですね、石油が安いもんですから化学繊維が、ポリエステルと競合していたんですけど、ポリエステルが安くなっちゃうと綿の値段にやっぱり影響してくるということとか。今度またコットンボールウィーブ゙ルという、綿の玉を刺して吸うゾウムシみたいなのがいるんですけど、それが発生してきて、これが1シーズンで20回ぐらい殺虫剤を撒いてものすごくお金がかかるんです。綿栽培が経済的に、これが原因であわなくなってきているという傾向とかがあります。
あともう一つ、ちょっと構造的な問題なんですけれども、ジェネリック品の参入ですとか、中国品との競合というのがあるんですけど。農薬というのは一つ開発するのにほどほど時間がかかるんですけど、特許で守られているんですが、特許って20年しかなくて、開発して色々な試験を終わるまで、登録を取るまでに10年かかっちゃうんですね。そうすると実際に売ってお金を稼ぐ時間というのは10年ぐらいしかなくて、その後、本当に良い薬だとすぐジェネリックが中国からどんどん出て来る訳です。そうするとどんどん美味しいところは持っていかれる訳ですね。まあジェネリックが出なければいいんですけど、ジェネリックが出ないぐらいの薬というのは、成功とも言えるし、まあ、という程度で、良い薬になれば必ず出ますので、それとどう戦うかというのがやはり構造的に難しいところなんです。
そのジェネリック以前にですね、ブラジルとか南米の特徴としてコントラバンドというのがありまして、違法品がウルグアイとかパラグアイとかそういうところからどんどん来てしまうんですね。そうするとそれが、取り締まってくれればいいんですが中々、完全に陸続きで取り締まりもできないので、それがまた市場価値と全体の価値を下げられてしまうというようなことがあります。次お願いします。
次、石油ですけども、石油関係はですね、自社ブランドを確立されて、BtoCとか、価格改定を適宜に行なってそれが奏功しているとか、そういったことが挙げられておりました。次お願いします。
ここからはまた、最終製品となる業界の方という、その見方で見ているんですけども、大体これまでの皆様のご発表でカバーされている内容でして、大体同じようなことがありますけど、プラス要因で日系メーカーさんが新工場を設立された効果があるとか、そういったことがあります。では次、食品、化粧品の方をお願いします。
食品・化粧品ですけども、受注とか稼働率が向上したとか、まあ食品の方はこちらの方は低価格の粉末飲料に行くとかいうのもありまして。また化粧品は全般に化学品の中で特に調子良いんですけど、半期で見た場合には23年ぶりに前期割れしたというようなこともありまして、化粧品といえどもやっぱり今回の不況の影響というのは現れていると。それからまたもう一つ、化粧品材料の認可が遅いというのがありまして、先程も出ましたがやはりこの許認可とか登録とかやるところがちょっとリスクになっているところがあると。次お願いします。
医薬関係ですけど、これはちょっと先程と逆で、ANVISAという医薬・農薬の安全性評価登録を下さるところがあるんですが、この審査をやってくれるANVISAですね。これは大体、ANVISAは審査する人が非常に人数が少ないので、審査がすごいいつも遅れて中々登録取れないということで色々出るんですが、今回の場合はちょっと違いまして、今回医薬品の場合は値上げOKということで許可がしてもらえたので、これがプラスに働いたというところがあります。
それでは最後に、色々話して参りましたが、日系企業はどう立ち向かうかというところを、これについてちょっと突っ込んでいきたいと思います。
まず、ブラジルの場合は高性能であっても価格と両立しなければならないので、これをどう理解してもらうか。それから周辺国とのシナジー、ブラジルと主要国含めたシナジーを狙いたいんだけれども、メルコスールとパシフィックの国とでかなり事業環境が違うと。何が違うのかというと、関税等が違って、どうもメルコスールの中はやりにくいという意見がございました。
それからインフレ、高金利、人件費の上昇とか。この、インフレで自動的に上昇する賃金制度ですね、これがやっぱり競争力を下げているんだと。そうすると企業側としてはレイオフするしかないから、社員を継続雇用するには障害となっていると。労働分野が一番厳しいと。この下ちょっと労働のことがならんでいますけども、まあ化学品部会でですね、ブラジルでのビジネス環境の中で課税、通関、労働、インフラ。産業競争力その他色々ある中で何が気になるか、複数回答で出してみますと、課税が一番多かったんですけど、労働がやっぱり2番目に来るんですね。労働に関して結構意見がありまして。まあ労働裁判が増えていると。コスト競争力を上げる仕組み、これがなければ根本的に変わらないと。労働力の底上げするためには結局教育をやらなきゃいけないんだというところで、この辺がありました。
しばらく景気低迷するけれども、次の成長ステージへの体制強化を今やる時期なんだよということで、労働面でも人材確保ということを考えれば、これまで採用困難だったようなそういった人材へのアプローチが容易になるんだから、そういうふうにポジティブに捉えたいというような意見がありました。
あとはちょっと精神論的なものになってしまうんですが、ブラジルとはこういうものだという理解が重要なんだと。ブラジルのマーケットに対するこだわりが重要だと。今は短期の不況なんであって、中長期にはまた良くなるんだから、これをどうつなげていくかであるということで、まず絶対撤退しないと、次の成長期を見据えたマーケティング調査等を継続するとかですね、そういったことをやっていくべきではないかというような議論を化学品部会では交わされまして、化学品部会員は会員同士で励まし合ってですね、立ち向かっているというところを報告させていただきました。以上でございます。ご清聴ありがとうございました。
司会
はい、ありがとうございます。ご質問をお受けいたします。
先程ANVISAの話が出て参りましたけども、来月10日にジェトロとANVISA、それから厚生労働省の関連の団体のPMTAという日本の団体、この3者共催でジェトロ東京本部でセミナーを開催する予定でございます。そこにはブラジルANVISAのバルボーザ長官もですね、ご来場いただけるご予定になっておりますので、皆様にも今ご報告をしておきます。
質問はございますでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。部会報告を続けさせていただきます。先程中前総領事にお出でいただいたというご報告をさせていただきました。通常でございますと、部会報告が終わって小林参事官の講評の前にコメントという形でお話をいただくということになっておりますので、ご準備のほどお願いしたいんでございますが。よろしいですか。途中からお入りになったということで全ての講評は無理だと思いますが、ご挨拶をいただくということでご了解いただけますでしょうか。はい、ありがとうございます。
それでは部会報告を続けさせていただきます。建設不動産部会の藤井部会長、よろしくお願いいたします。
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建設不動産部会 藤井健 部会長
建設不動産部会、ケミカル・グラウトの藤井でございます。それでは建設業界の話をいたします。最初に、ペトロブラスの汚職、財政削減、非常に上期は厳しく、この景気は来年いっぱい続くということは危惧しております。その中で当建設不動産部会員が現在取り組んでいることを発表いたします。
最初に部会メンバーの上期の回顧と通期の展望を話し、具体的に業界ごとの状況を報告いたします。
これはアンケート結果です。各業界の上期の回顧と通期の展望。最初はゼネコン業界です。上期は日本企業のブラジル進出の激減。それと日本からの問い合わせがなくなる。しかし非日系企業の工場拡張が堅調だったということです。また労務費や材料費の高騰、ブラジル企業との差別化でその辺の生産性の向上を上げまして、対応したということです。
下期。一つは非日系企業の営業強化をしたいということです。現在各社60%程度がシェアですので、それをさらに比率を上げていきたいと。二つ目は、ブラジルの建設会社ができない施工、工法と提案力、および高コストに対応し、さらに生産性の向上を上げたいということです。
次は不動産業界。ちょうど1年前に始まった売買の鈍化がそのまま継続され、現在は土地が動かず、マンションが売れ残りだしております。今ではマンションの価格の下落が始まりそうです。
次はプレハブ業界。大型工事の延期や中止がありましたが、小規模工事が非常に堅調でした。この工法の特徴であります、短い工期で品質が高く、まして移設増設が非常に容易であることがブラジル人に認知され、下期はさらにその辺を増やして開拓したいということです。
特殊技術は、インフラ工事が政府の財政削減のためサンパウロが止まりました。しかしオリンピック関連の下水道工事が1年間の中断を経て再開しています。リオデジャネイロの地下鉄工事、まあオデブレヒトさんがやっているんですけども、その辺のコンサルさんからも信頼を受けまして、現在他社が失敗しました問題の部分の補修を担当しております。下期はブラジルのトンネル学会から特別講演の依頼を受けました。次お願いします。
それでは具体的な取り組みです。最初にゼネコン業界です。日本の企業の進出はおろか、設備投資も二の足を踏む企業が増えてまして、工事の規模がどんどん小さくなっています。サンパウロの建設業界の4月の予想では、今年の産業別GDP、建設業界は5.5%落ち込む。解雇者30万人に達する見込みと。
そのような中ゼネコン業界が取り組んでいることは、まず最初は戸田さんですね。サンパウロの周辺の工場建設から、学校や病院といった案件に注力しております。そして5月にはクリチバ営業所を開設しています。クリチバというのは日系企業が多く、昔からお客さんが多いということがあるので、注目しています。
また注目しているということは、スマートシティーに適した土地であるということです。2月のシンポジウムでも紹介いたしましたが、環境配慮技術、これをブラジルでエコ技術としまして普及にイニシアチヴを発揮しているということです。5月中旬にはクリチバ市内の大学で開かれましたスマートシティ・ビジネス・アメリカの会議にスポンサーおよび後援企業として参加しまして展示ブースを出したということです。次お願いします。
これが発表した内容です。2020年の実用化を目指しています。ZEBネットゼロエネルギービルということです。建物の省エネ、再生可能エネルギーの利用で建物の一次エネルギー消費者を概ねゼロに近づけるという建物だそうです。既に導入されているものの中では、照明が、LED照明よりも30%削減できているという状況です。ブラジルではこのような環境技術を展開するべくスタディーを現在始めておりまして、サンパウロ州にある大学をフィールドに環境配慮技術を導入できないかということです。こうしたセミナーでの発表機会をできるだけ増やしていきたいと言っておりました。次お願いします。
次はHOSS建設さんの取り組みです。これは日本式安全活動での差別化です。これは日本の方は当たり前の光景で、ブラジルの建設業界では非常に珍しいことなんです。
私もブラジルに来て3年経ちますが、ブラジルの建設現場にはラジオ体操、安全朝礼、小規模ミーティング、TBMと言いますけども、そういうものがありません。現場はいつの間にか仕事をする人が集まって来まして、仕事をする人だけが仕事をして、帰ります。仕事をしない人も帰ります。統制のない現場というのは、工期が守れない原因の一つです。HOSSさんは日本式の安全活動を取り入れまして、これによって一日の重要部分、危険部分、その辺を全員で把握しまして、安全に生産性の向上を上げて行きたいということです。
ちなみにブラジルの現場での安全対策というのはどういうことをやっているのかと言いますと、安全担当が現場の中をうろうろします。で、自分の仕事を肯定するために、法律上違反となる、些細なことで工事を止めます。度々こういう、担当のエンジニアと現場で議論になっています。これが計画性のないやり方。工事の遅延の一つです。次お願いします。
次は不動産業界です。マンションの賃料と販売の価格の推移です。ちょっと薄いかもしれないんですけど、左が賃貸、右が販売です。2008年からのアップ率、上昇率を示しています。左の賃貸は2008年から100%の上昇です。赤がリオデジャネイロ、青がサンパウロです。しかし不動産の売買が止まりました昨年の8月から家賃の上昇が止まっています。
右側の販売価格は2008年から200%以上、これは伸びておりますが、今年に入ってから鈍化が始まりました。6月の時点では上昇が止まりました。賃料に比べて販売価格は上昇率が2倍以上、下落がいつ始まるかが懸念されています。これによりまして今年は、購入よりは賃貸と、スターツさんが言っていました。次に、この中でリオデジャネイロの販売価格というのは、250%の伸び率です。今は高止まりしている状態ですが、オリンピック後に大幅な下落が懸念されています。次お願いします。
これはサンパウロ近郊の工場用地の価格です。これも1年前とまるで変わっておりません。2年前には上昇率60%、していたものがですね、現在止まっております。不動産業者によりますと、最近の土地は全く売れない、過去12ヶ月横ばい。今後の見通しは、今年一杯はこのまま。来年は下がる可能性もあるが、しばらくは様子見という状況です。次お願いします。
そのような中で、商工会議所会員の不動産会社が頑張っております。これはジャグアリウナに工場団地を持っています。サンパウロから120キロ、カンピーナスから15キロ。全体62万平米、現在80%外資系の会社が入っております。プラスチック生産、金属部品メーカー、製薬薬品、自動車部品、データセンター、テレビサテライト運営会社。あと20%残っています。多分、すぐご提供できるそうです。次お願いします。
これは工場の賃貸物件です。これはお客様のカスタマイズド、要するにお客さんのオーダーで新築したものをそのままお貸しできるということです。インフラの整備、全てそろっております。お値段は別途交渉です。安いと思います。次お願いします。
次はプレハブ業界です。上期は大型工事が延期や中止が相次ぎ、しかし低価格な小規模工事で需要が堅調だったということです。安定した品質と施工の早さ、移設・増設が簡単にできるということがブラジル人が分かり始めております。現在非日系企業、100%、が受注主です。注目されるのは日本で当たり前の、写真のものです。しかしレンガ造りが主流のブラジル人は知らないことが多いですね。工場内の検査室、これもすぐです。工場内の間仕切りもすぐです。屋外工事もわずか2週間で本設建設物が建造できます。次お願いします。
次は特殊技術です。オリンピックの社会資本整備は急ピッチです。あと1年、非常に疑問です。その中で、リオデジャネイロの地下鉄工事、ちょうどここの部分ですね、この部分は全区間16キロのオデブレヒト区間の中でイパネマ=レブロン地区、ここの部分が砂の非常に厳しい難工事区間です。写真のように駅部の水没、換気塔の水没、これは一つ一つ土嚢袋ですね、積んでおります。非常に苦慮しております。
現場ではあらゆることをして、結果修復できない時点で日本企業が呼ばれました。簡単に問題点を解消し、現在進んでおります。現在も他の依頼を受けております。この対策工事、日本人技術者を派遣せず、サンパウロからの遠隔操作で現地化したメンバーで対応しています。元請けのオデブレヒト社は非常に高い評価をしていただきまして、論文発表を行いたいという話です。
現在、一昨年ですかね、5Kmにわたり高速道路が爆破された部分があります。それは現在地下化工事をやっておりますが、そこの部分にも問題解消の今後お手伝いに行きます。次お願いします。
これはブラジルのトンネル学会からの招待です。ブラジルのトンネル学会から、日本の話が聞きたいと、初めて講演依頼をいただきました。ブラジルの知識人というのは欧米式やブラジル式が最良と考えられているため、日本の土木技術には興味を持っていただけませんでした。しかしブラジルでの実績が多くなってやっと聞く耳を持っていただいたようです。この話ができるまで7年かかりました。日本では古く、青函トンネルの異常出水等止めてきました会社ですので。高倉健の映画にも出演したことがあります。今から何を話してあげようかと考えております。次お願いします。
次は道路に穴があくかの第二弾。なぜ川が臭いかです。これは実は下水がないからです。
左の写真は川の脇で下水工事をしている状況です。奥には第二のパウリスタを目指している地区がありますが、十分な下水道がありません。全て川です。右側は有名なショッピングセンターの前です。下水工事をしています。ここにも下水がありません。下の写真は汚い川にいるカピバラ親子です。もうちょっときれいな所だと。この状況で、財政削減計画のため今年6月11日にSABESPは下水道工事を一斉中止いたしました。自転車道は作っています。実は今年の初めにSABESPに呼ばれまして、実は検討依頼を受けたものがあります。20年前に完成し、現在使用していない、川に沿った全長3Kmの大型トンネルの補修工事です。大金をかけて作ったものと分かりましたが、20年間使われておりません。トンネルの先は新政権がプロジェクトを中断したそうです。
日本では最も汚い川であった玉川が、今は100%の下水道が完備されまして、日本で有数のアユの生息地です。社会資本整備、これを政治の遊びにしなければですね、いつかはチエテ川もきれいになると思います。次お願いします。
最後、まとめです。経済の低迷で、ブラジルの建設業界が直面している問題は負の要因だらけです。しかしこの中で設備投資を行う会社があります。失業者が多い今、人材の獲得ができる時期でもあります。生産性の向上を図る教育時期でもあります。この機会を有効に使い、日本で当たり前のことを行う建設不動産部会のビジネスチャンスと考えております。以上で発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。
司会
ありがとうございます。質問をお受けいたします。それでは、大変面白いお話、藤井部会長ありがとうございました。それでは最後の部会別発表になります。繊維部会、田中部会長よろしくお願いいたします。 -
繊維部会 田中雅春 部会長
皆様こんにちは。ただ今ご紹介いただきました繊維部会、日清紡の田中です。最後の発表となります。皆様お疲れのこととは思いますが、簡潔に努めますのでよろしくお願いします。
繊維部会の発表は3部構成ということで、2015年上期の回顧、それから下期の展望、それからサブテーマの順番でご説明します。次お願いします。
2015年上期の回顧につきましては、まず原材料である原綿の動向、それからそこから作られる綿糸の動向、それから合成繊維の動向、それから繊維の輸出入の動向、アパレルの小売の動向という順番でご説明します。
まず原綿動向ということで、このスライドでは国際原綿の需給バランスについてまとめたものです。表が二つありますが、まず左側の表は世界の原綿生産、それから消費を2011年から15年の5年間に分けて、生産、消費、生産、消費ということで国別に書いたものです。右側はその結果、各季末にどうなるかと、在庫はどうなっているかという数字を表したものです。
これを見ていただきますとお分かりのように、2011年から2015年にかけての5年間で在庫は増加傾向にあるということです。その在庫水準ですが、この左側の消費とほぼ同じぐらいになっていると。これ、我々業界では在庫率と言っていますが、在庫率はほぼ100%に近いということで、まあ非常に需給バランスは世界的には緩いという状態です。
ただこの季末在庫の内訳を見ていただきますと、これ色別に国別なんですけど、青の中国およびオレンジ色のインドの数字が多いことが見て取れると思います。要は中国、インドが自国の農業を守るために、綿花の流出、他の国に出ることを止めているという統制施策を採っていることによって相場の暴落を抑止しているということになっております。ですので、このスライドの結論としましては、世界の需給バランスは緩いけれども、中国、インドが統制施策を採ることによって相場の暴落を抑制していると。で、綿花相場、原綿相場はこの在庫が多い状態にも関わらず、下落せずに安定的に推移しているというのがこの世界的な結論です。次お願いします。
次も原綿動向ですが、これはブラジルでとれる原綿の相場について表したものです。先程世界の原綿相場は安定していると申し上げましたが、ブラジルの中で見るとそうではありません。左側が国内原綿の需給予想ということなんですが、ご注目いただきたいのはブラジル国内で生産される数量のうち半分がブラジル国内で消費されるんですが、半分が輸出に回っているということです。要はブラジルの原綿は国際競争および国際価格に左右されているということで、下に下線で引いていますが、レアル安になると原綿輸出が増加して国内バランスはタイトになり、原綿価格は上昇するという構造になっています。
右側がその相場の推移を、2014年度初めから2015年の半ばでまとめたものなんですけど、ちょっと色々グラフの線がありますが、一番上のグレーがニューヨーク相場、要は世界の相場ですね。一番下の濃い青と黄色が混ざったような線がブラジルの国内の相場です。
この左側から真ん中ぐらいまでは、このグレーの相場が下がるに従ってこの青の相場も下がっているということなんですが、この為替、オレンジが2014年の終わりからこちらの右端の2015年7月ごろまでレアルが安くなるに伴ってブラジルの相場は上がっているということです。従ってブラジルの原綿相場は、世界の相場が安定しているにもかかわらずレアル安の影響で上昇しているということがここから見て取れます。次お願いします。
次は、ブラジルの原綿相場が上がっていることによって国内の綿糸市況にどう影響しているかということをまとめたものです。まずこの表なんですが、今申し上げましたブラジルの原綿相場につきましてはこの濃い青色で表しています。軸は右側です。綿糸価格につきましては、色んな綿糸の種類があるんですが、この水色とオレンジ色と点線の緑色、この一応3種類の綿糸の価格を表したもので、軸は左側です。
昨年の10月から3月中旬ごろまでは市場の需給バランスも取れていて、しかも原綿のコストも安かったこともあって順調に推移しておりました。ただし3月後半以降、消費不振が本格化し、各段階の在庫が増大し、綿糸発注が減少したと。これに合わせまして、たまたま同じ時期で先程申し上げた原綿代がアップして来ているということで、原料代がアップする以上は、まあ紡績としましては値上げしたいんですけども、逆に市況が悪くなって在庫が過多になって、値崩れを起こしているという非常に厳しい状態になっているのが今の状況です。次お願いします。
次は合成繊維についてご報告します。合成繊維は主にファッション衣料や機能性衣料に使われることが多く、ブラジルではここ数年需要も旺盛だったんですが、今年はブラジル経済低迷の影響を受けてここ数年旺盛だった合繊需要も減少しているということです。この右側の表で見ていただきますと、グレーが国内生産、上が2014年で下が2015年、ちょっと減っています。それからオレンジが輸入、これも減っています。この青、ほとんどないんですが、これは輸出なんですけども、レアル安の状況なんですが、2014年から2015年にかけて輸出も減っています。従ってここでは合繊においてもブラジルの国際競争力が低下しているということを示していると思います。次お願いします。
ここから3枚のスライドでは、繊維製品の輸出入動向についてご説明します。上のグループが綿糸、真ん中のグループが薄地織物、一番下が合繊織物の輸出入についてで、輸出が青色、輸入がオレンジ色です。一目でお分かりいただけますように、青色の輸出がほとんどなく、輸入のオレンジ色がほとんどという状態になっています。ただ2014年と2015年の輸入を比べますと、このオレンジの輸入が若干2014年から2015年にかけて減っているということがあります。これはレアル安とブラジル国内の市況が低迷していることにより輸入が減っているということで、輸出入収支は前年比で改善はしているということです。次お願いします。
この表は、織物全体、ちょっと大雑把ですが織物全体と、それから縫製品全体ということで、輸入動向に絞ってまとめたものです。同じく2014年と2015年の比較なんですが、2014年については濃いオレンジ色、2015年については薄いオレンジ色ということで上半期で見たものです。
上の織物全体の方で見ますと、レアル安の影響を反映しまして、それぞれ若干輸入が減少しているということが見て取れるんですけども、下側の製品輸入に移りますと、レアル安にもかかわらず輸入量が減らず、若干増えているということで、ここからは小売店の海外製品依存度が上昇しているということが見て取れます。次お願いします。こちらも輸入動向についてまとめたものなんですが、左側の表は衣料の輸入相手国別にまとめたものです。このグリーンが中国です。ずっと過去から50%以上、大体60%ぐらいがブラジルに入って来る衣料のうち中国品が占めているという状態が続いております。
ただこの2014年と2015年、1月から6月の比較ですね、左側の表の右側の端ですけど、見ていただきますと、中国からの伸び率は鈍化しています。その代わり、その下のオレンジの、これはバングラディシュとかベトナムとかインドといった他のアジア諸国の伸び率が増加しています。ここから、縫製の中国からアジアの他の国へのシフトが加速しているということが見て取れます。
右側の表は中国からのファスナー輸入の動向を示したものです。2014年から15年を比較しますと、まあ若干増えたように見えますが、これは資料をいただいたメンバーのYKKさんによると年末年始のでこぼこによるということで、ほとんど実質的には前年横ばいということです。次お願いします。
上期の回顧の最後としましては、アパレル、小売の市況について簡単にご報告します。まずアパレルの生産ですけども、先程から申し上げますように、市況が悪いということと、それから輸入が多いということで、上半期の国内衣料生産は昨年比で18%ほど減少しています。内訳で申し上げますと、ブラジルで比較的元気だったジーンズも製品在庫が高止まりしていて、生産調整を実施していると。婦人服は、製品輸入がレアル安でも増加していることと、販売不振で生産を抑制している。それから靴分野につきましては、小売低迷と輸出減少で国内生産が低迷しているという状況です。
下側の小売全体で見ましては、GDPの3分の2を占める家計消費が2003年以来初めてマイナスになっているという状況が繊維にも反映しておりまして、例えば書き入れ時である5月の母の日、6月の恋人の日も前年割れと不発で、小売店の中では前年比10%20%ダウンしているというところがたくさんある状態です。次お願いします。
次は下期の展望ということで申し上げます。残念ながら下期につきましても上期のこの厳しい状況が大きく変わるというふうには見ておりません。まず世界の原綿需給ですが、先程申し上げた状況、すなわち世界的にバランスが緩んでいるが中国、インドの抑制政策により国際相場に大きな変動はなさそうだと思っています。
次にレアル安の影響ですが、原綿相場が上昇するということを懸念するという側面と、一方では製品輸入が歯止めがかかるんじゃないかという期待があるという側面、相反するプラスマイナスの要因があって、各社この間でのかじ取りになっていくと思います。
ただ、綿糸、織物の輸出入については大きな変化はないと思っております。その理由としましては、まず輸入についてはブラジルの国内の経済、市況が悪くて中々輸入がないということ。それから輸出につきましては、多少レアル安になってもブラジルの国際競争力が低いことからすぐに伸びるとは思えないということです。それから市況につきましては、景気回復の材料が見当たらないと。金利高やインフレも続くでしょうし、材料がないということでさらに厳しい状況もあり得るかなというふうに思っております。
まとめとしましては、市況自体の急回復が望めない中、レアル安によって輸入に歯止めがかかることと、国産品への需要改善に期待したいということです。次お願いします。
サブテーマについてご報告します。「必ず復活!ブラジル経済~日系企業はどう立ち向かうか~」についてなんですけども、繊維部会でまず出ました話としましては、中長期的なブラジル経済のあり方を想定して長期の目線で戦略を策定、実行するということです。
先程ブラジルのポテンシャルは高いと発表された部会もありましたけども、現状が厳しい状態なだけに、今のところを見るだけではなくて、中長期的なブラジルの経済、社会がどうなるかということを調査・分析・想定して、今からどのようなことをやっていくかということを戦略を立てて行くということです。
それに関連しまして、今の枠にとらわれることなく、同業他社や他業種とも協業して用途開発、市場開拓を優先していくと、そういうことを調査もしていくという意見が出ました。
これらのことでやはり目指したいところは、高付加価値品、独自製品へのシフトをすることにより、今の価格競争からの脱却を提起していきたいということです。これらのことを実現するのは、具体的にはどうするのかということは、各社まあ事情が違いますので、一概にここで申し上げることはできないんですけども、ただ今回のテーマが日系企業はどう立ち向かうかということですので、やはり日本的な良さ、きめ細かさや誠実さといった過去の先輩方が築かれて皆様がそれを受け継がれているこういった財産は継続して市場・顧客の信頼を勝ち取っていくということが必要なことだろうと思っております。
最後、繊維部会からブラジル政府や関係の方への提言ということでまとめさせていただきました。現在の政治的・経済的に混乱した状況で国民が前向きになれない状況では消費の回復は望めないと思っています。そのためにも徹底した経済政策の推進を進めていただくことによって経済への信用の回復、それから汚職の追放により国際社会の信用回復やそれから国民が誇りを持てる国にしていただきたいなと思っております。
それから、以前の発表でも申し上げていることですが、ブラジルコストの改善を改めて必要だと思います。我々製造に関わる者としましては、やはりブラジルの国際競争力がないことにはどうしようもないと思っておりまして、例えばそのためには複雑な税制の整理・撤廃や減税。それからこれもずっと言われておりますが、旧態依然たる労働法の見直し。それから色々問題のあるインフラの改善。といったことをぜひ進めていただきたいなと思います。
それから繊維部会として最後に申し上げたいのは、繊維産業の重要性ということを改めて再認識をお願いしたいなということです。
ブラジルという国は、自分の国で原綿を生産して、かつ伸長する大衆消費層を有するという非常に恵まれた国だと思っております。要は入口とそれから出口がしっかりと存在していて、真ん中に160万人という結構たくさんの人数が従事しているという繊維産業なんですけども、先程申し上げましたように、その入口の部分の原料は輸出され、最後の製品が輸入されているという状態で、その真ん中にある産業が疲弊しているというのが現状です。
この状態を認識していただき、単純に保護していただきたいという意味じゃなくて、その産業を強くする政策、例えば上のブラジルコストの改善もそうですし、あと他の部会の方もおっしゃっておられました、教育の充実により労働力の質の向上もそうですし、繊維業界に限ってみましたら繊維産業に関係する教育機関の充実ですとか、例えばブラジルファッションを追求していくとか、そういったことをお願いしたいなということを最後に申し上げまして、繊維部会の発表とさせていただきます。皆様ご清聴ありがとうございました。
司会
はい、ご質問をお受けいたします。今の発表を聞いていて、鉄鋼業も同じようにやはり原料はとられて、製品は中国からの安い製品で、国内の産業が疲弊しているというようなコメントを、相方の相原社長から今うかがったんですけど、何かそういう共通点をご覧になって繊維産業としてブラジル側にご提言されることとかというのは今何かございますか。回答
すいません、最後の部分がちょっと。司会
鉄鋼業もそうですし、生産業も同じように原料がとれて、製品が外から入ってきて、国内産業が疲弊するという構造になっているんですけども、何かこれを解決するためのご提言みたいなのはお考えでいらっしゃいますか。回答
具体的なところまではまだ部会で話し切れてなかったんですけども、やはり先程申し上げたことと繰り返しになる部分もありますが、もちろん自助努力は必要なんですけども、ブラジルコスト、特に労働費がどんどん上がっていくというような問題もありますし、そういったことについては全体的に、税制の部分とか、労働部分とかいうことはやはり解決していく必要があるのかなと。産業全体に関わってくることだとは思うんですけども、そういうことは日々の業務を通じて、何とかならないかな、じゃいけないんですけど、まあ常に実感しているところです。司会
ありがとうございます。他にご質問お受けいたします。それではないようでございますので。どうもありがとうございました。それでは続きまして、恐縮ではございますが、中前総領事からご挨拶、コメントをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
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コメント 中前隆博 在サンパウロ日本国総領事館総領事
皆さんこんにちは。ただ今ご紹介いただきました、総領事の中前でございます。今日は大変申し訳ございませんでした。出席させていただくというふうに申し上げておったところなんですけれども、急にサンパウロの市議会が、日本とブラジルの120周年の事業を行う特別委員会を作るので20日の3時に来いと1週間前に言ってきてですね。それで非常に悩みまして、平田事務局長にもご相談して、大変申し訳ございません、遅刻させていただきますというふうに申し上げ、お許しをいただいたところでございます。そういうことで、途中からの参加になりましたことを改めてお詫び申し上げます。
私、運輸サービス部会さんの途中からお話をうかがうことができました。後で小林参事官から講評を差し上げるので、私の方からあまりおこがましいことを申し上げるのは控えさせていただきますけれども、若干の感想と私なりの、私どもがそういう中で何ができるんだろうかということを考えながらお話を伺った、その感想めいたものを申し上げさせていただければと思います。
伺った限りではいずれの業界におかれましても、現状についての厳しい認識、それから政治および経済における将来に向けての不透明感というものが共有されているんだろうと思います。そういう中で、お話の中からうかがい知ることができましたのは、いずれも中長期的な視点から戦略的にものを考えて手を打っていくという意識であったろうかと思いますし、それは極めて正しいことだろうと思います。同時に、私どもも同じような視点で活動をしていかなければいけないかなと思いながら伺っておりました。
ちょっと振り返りますれば、去年の今頃確かに私どもも、これから先ちょっと経済きついよなということは言っていた訳でございます。これから1年半、2年はちょっと、これはブラジルの経済は良くないぞということはある意味共通していた観測であったんだと思いますけれども、おそらくそれに加えて政治的なスキャンダルという要因が加わって、その不透明感が高まり、経済活動の状況に輪をかけて悪い要因となったということだろうかと思いますが。これは裏を返せば、そういう政治的な要因が、まあどのようになるかというのはともかくとして、政治的要因が何らかの形で解決した時にはそれは経済にとって非常に良い要素となり得るということがいつ起こり得るかも知れないということはあるのかなと思っております。
それに加えて、ブラジルの本来持つポテンシャリティを鑑みて、どなたかがおっしゃっておられましたが、本社の関心をつなぎとめるというお考えがあったこと、ちょっと私もなるほどなと思いながら伺っておりました。日本でもそうだったかと思いますけれども、やはり危機に直面した時はある意味改革のチャンスであるということでありましょうから、そこに日本が皆様の企業活動において、それから私どもが政府との関係などにおいて何ができるかということを考えるのかなと。
今日のシンポジウムのテーマが「必ず復活」というふうなものと承知しておりますけれども、その「必ず復活」ということを前提とするならば、戦略的な視点の形成の強化というのが今の時期というふうなお考えを提示しておられたのは、これはまさに正しいことだろうと思います。その中で私どもも、大使館や総領事館が何ができるかということもそこに通ずるところがあるんだろうと思います。
ブラジルの対日認識の一層の向上、これはこういう時期にあって安易な資金源に走る誘惑は強いと思いますけれども、その中でやはり日本、これは単にジェネラスな日本に対する期待ではなくて、正しい方向に向けた協力、協調というものが期待されるような日本を打ち出していく。ブラジルの弱みをひたすらかこつのではなく、その強みを活かしながら、そこで日本人のあり方とか、日本人の職業倫理であるとか、ジャパン・クォリティと言われるものであるとか、そういうものを周知していき、そういうものを武器としながら、私どもから報道対策を行なっていく。
それから、来年度末までに発足を目指しておりますジャパンハウス、こういうところもお役に立てる一つの場になるんではないかなというふうに思いながら伺いました。その場合、日本の売るものはクォリティでありますから、その競合相手は欧米を含めて全世界にわたる訳でございまして、その中で幸せなのは、ブラジルにおいてはですね、日本に対する評価が非常に高い、その中で日系社会の存在、その歴史が築いてきた資産、そういうもののアドバンテージがあるということを認識しながら、それと連携をしていくということ。
それから、ご指摘のありました産業人材の育成という課題について、JICAさんとも協力をしながら、何が課題で、どこに手を打てばいいのかと。資源も限られておる中でどう効果的に手を打っていくかということのご相談をビジネスの皆様方と意見交換、対話をしながら進めて行くということが重要であるんだろうというふうに考えつつ伺ったところでございます。
安倍総理が昨年、ちょうど1年ほど前にブラジルに訪問した時に、このサンパウロで講演した時のテーマが「Juntos」、共に、ということであります。ブラジルと共に発展し、共に啓発し、共にリードしていくというメッセージを総理は残していかれましたけれども、それをまさに今、具体的な施策を考えて、実施していくというのが今の私どもに課せられた課題、まさにこういう時期であればこそそういう姿勢が重要なのかなと思って伺った次第でございます。
非常に雑駁で抽象的な感想で申し訳ございませんけれども、思ったところを述べさせていただきました。どうもありがとうございます。
司会
どうもありがとうございました。それでは講評に移らさせていただきます。ブラジリアからお出でいただいている、在ブラジル日本国大使館参事官の小林和昭様にお願いをいたします。 -
講評 小林和昭 在ブラジル日本国大使館参事官
本日は2015年下半期業種別部会長シンポジウムに参加させていただきまして、本当にありがとうございました。今回各業種の状況を聞くことができ非常に勉強になりました。私は普段ブラジリアにいますが、ブラジリアという土地柄、そんなに今のところ失業者も出ておらず、高給取りの方は高給取りのままで、まったく不景気を感じることがなく、そういった中で仕事をしているので、こういった形でサンパウロの皆様、ビジネスに直面されている方の貴重なお話が聞けるということは非常に勉強になります。
今回皆様の話は、私が普段ブラジリアで新聞で見ているように、厳しい話がたくさんございました。その中でも一部の業界の方、ビジネスに成功されている方もいらっしゃいました。この難しい状況の中で、「必ず復活」というかなり難しいテーマで今回シンポジウムを開催された訳ですけれども、各業種の方が「必ず復活」のためにはこうしたら良いという、自ら処方箋を考えられて、またそれを実行に移していこうとされていることをお聞きしまして、非常に心強い感じがしました。
さて、2月のシンポジウムの際私から、ジルマ政権は対話路線に変更し、ブラジリア政府は改革の必要性を感じているので、今がまさにチャンスだということを申し上げたと思います。このスタンスというのは今も変わっておりませんが、私がここ半年間で感じたことは、改革を考えるといってもやはりブラジルテンポなんだなというところが非常に大きく感じました。
やはり期待が大きかったので、失望も少しあったのですが、まあブラジルでやはり一番気をつけなければいけないのは、勝手に自分でその方に期待して、その期待に対して実現しなかったからといって失望するというのを自分の中でやってしまうのが一番いけないことだろうということで、これからも、ブラジルは今姿勢が変わっていますので、テンポは遅いかもしれませんけれども、その中で着実に一歩一歩、皆様が要望されているような事項、そういったものを実現させるために、大使館としても支援していきたいと思っております。
ブラジル日本商工会議所におかれましては、AGIR(多大な投資実現に向けた行動計画)をまとめられまして、今ブラジルのブラジルコストに関する色々な改革を取り組まれておりますが、大使館としても最大限支援していきますが、このブラジル政府が変わろうとしているこの姿勢を一つ一つ積み上げて、一つ一つ実現していくという形でやっていきたいと考えております。その他、個別案件についてももし問題を感じることがあれば、大使館にも情報をいただければと思います。
「必ず復活」の話の中で、中長期的には魅力的な市場であるとのコメントが多かったと思います。大使館としてもまさにその通りだと思っています。ブラジルは自由主義、民主主義、人権の尊重、そういったところで日本をはじめとした先進国と多くの価値観を共有する立場にございます。またブラジルの中には民族対立、宗教対立といったものは顕在化しておりませんので、そういった意味においてもブラジルというのは、今後人口も増加傾向にあるということで、必ず安定的に、持続的に成長することが見込まれていると思います。
今回ペトロブラス汚職をはじめとして、政治分野でもかなり大きな問題となっておりますが、これも近代化のステップの一つと考えて、しっかりと見守ることが必要だと思います。これらのことについては必ずやりきるということがおそらく一番ポイントになると思いますので、そういったところを、まあ経済対策にしても汚職問題にしてもブラジルにはやりきってほしいというところを期待しているところでございます。
最後に、今年は120周年事業であり、要人の往来も今後も発生するものと思われます。さらに年末にはルセフ大統領の訪日も計画されていると聞いており、来年にはリオ・オリンピックが開かれ、さらに要人の往来が予定されております。
今後日本とブラジルの二国間関係という意味においては、小さな力かもしれませんが、追い風も吹いてくる時期になっておりますので、今後、ブラジルに関する問題、あとブラジルの中の改革というところに日本政府としてもそこを支援していきたいと思っております。ブラジルで活躍される日系企業、今後増えて行く皆様がこの危機を耐えて、次のステップに行くことを祈念しまして、私の講評、コメントとさせていただきます。
司会
小林参事官ありがとうございました。それでは最後に閉会の辞を述べさせていただきます。相原総務委員長、よろしくお願いいたします。 -
閉会の辞 相原良彦 総務委員長
(写真右側が相原総務委員長)本日は長い時間本当にありがとうございました。特に発表者の方々、そしてその資料を準備された部会のメンバーの方々、本当に今日はありがとうございました。
拙い司会だったんですけども、お陰様で10分も時間が余っているということで、別段長引かす気はないんですけども。今日、自画自賛ではないんですけども、カマラの常任理事会のメンバーで今回のサブテーマ、何をしようかということで考えたんですけども、皆で決めた「必ず復活!ブラジル経済~日本企業はどう立ち向かうか」というテーマにした訳なんですけども、本当に、日本企業はどう立ち向かうかという言葉に対して各発表者の中から、先程もちょっと話が出ましたけども、例えば同業他社、多業種とも連携して用途開発、市場開拓を優先するとか、あと日本的な良さ、きめ細かさ、誠実さを継続して市場・顧客の信頼を勝ち取るとか、そういう非常に前向き、本当に復活を信じて、あるいは復活を成し遂げるぞ、というような言葉がありました。
さらに電気電子部会でも、ブラジルというのはやはり中長期的なポテンシャルは高いんだと、それを信じてやろうとか、あと新規に取り組む事業領域もありますよとか、あと過去に比べたらまだましじゃないかと、まだまだ頑張ろうと、頑張れるぞ、へこたれるなとかですね。あとレアル安、不動産価格の下落というのは逆にピンチだけどもチャンスなんだということはまさにそうだと思いますので、そういうポジティブな思考とかですね。
あともう一つ、まず撤退しないこと、これだと思うんですね。次の成長期を待って頑張ろうと、こういう非常に勇気づけられる言葉があったかと思いますので、ぜひ皆様方、そういう言葉とか前向きな気持ちをですね、持って帰っていただいて、今後に向けて頑張っていただいたらなということでお願いしたいと思います。
それから今日の開催にあたりまして、色々と準備運営に協力していただいた皆様にも協力ありがとうということで締めのあいさつとしたいんですけども、まだちょっと時間がありまして、石田さんも一言おっしゃりたいと言うので、よろしくお願いします。
石田靖博 企画戦略委員長
皆様のご協力のおかげでタイムマネージメントうまくいきました。ありがとうございました。この後懇親会が、先程コーヒーブレイクをしました会場であるそうでございます。参加費は70レアルでございます。払っていらっしゃる方はもう結構でございます。まだお支払いになっていない方は受付で払っていただいて、ぜひ参加をしていただければというふうに存じます。本日はどうもありがとうございました。
相原良彦 総務委員長
それではこれでお開きとさせていただきます。どうもありがとうございました。