テーマ:「2017年上期の回顧と下期の展望」
副題:「回復途上のブラジル経済-いま打つべき戦略は」
金融部会
貿易部会
機械金属部会
自動車部会
コンサルタント部会
化学品部会
電気電子部会
食品部会
運輸サービス部会
建設不動産部会
繊維部会
全プレゼンテーション
(2017年下期の部会長シンポジウム発表のテープおこし記事掲載)
前半司会
小池淳介 総務委員長
それでは、そろそろ開始時間になりましたので、これより2017年下期業種別部会長シンポジウムを開催させていただきます。私、前半の部の司会を務めさせていただきます、小池と申します。現在総務委員長で、三菱東京UFJ銀行に所属しております。後半は、企画戦略委員長の大久保さんに司会をバトンタッチさせていただきます。
それでは、シンポジウム開会にあたりまして、松永会頭よりご挨拶を頂戴したいと思います。会頭、よろしくお願いいたします。
開会挨拶
松永愛一郎 会頭
皆さん、こんにちは。会頭の松永です。本日の2017年度下期シンポジウムに多数の皆様ご来席いただきまして、誠にありがとうございます。本日は在サンパウロ日本国総領事館より蛭子領事にもご参加いただいております。蛭子領事には最後にご講評、コメントを賜りたいと思っておりますので、後ほどよろしくお願いします。
さて、半期に一度開催しますシンポジウムは、この商工会議所の目玉行事の一つとなっております。業種別に11の部会に分かれておりまして、この11の部会が本日のプレゼンのために何度も会を開き、経済の状況等分析をして、今日この場で披露して下さるということになっています。
会員企業数、約350ということで、その中の代表の皆さんの豊富な経験や分析といったものが込められているプレゼンでございますので、今回、今日ご参集の皆様にも非常に有益な情報になっているかと思います。
また、これもいつも申し上げているんですが、今回のシンポジウムはですね、会員企業以外の皆様にもご参加いただけるような形としております。さらには、今日配布の資料についても、商工会議所のインターネット、これを通じまして、皆様にもアクセスできるようにしております。
これもひとえに、日本企業のブラジルにおけるプレゼンスを高めるための一助ということになればという思いからそういうことをさせていただいている次第でございます。
さて、今回の副題は「回復途上にあるブラジル経済、いま打つべき戦略は」ということになっております。前回、今年の2月のシンポジウムの開会の辞で私の方から、ブラジル経済もやっと潮目が変わってきたんじゃないかということを述べさせていただきました。ところがその後の登壇者の皆さんは、ほとんど全員の皆さんがですね、要するにそういう力強さはまだ感じられないという言葉でした。
その後の状況も、まあ先日政府が発表したように、財政赤字の拡大があったり、政治の混迷は深まるばかり。この先の年金改革の方も、次の大統領選と絡んで、どこに着地するのか良く分からない、といった状況ではあります。しかしながら、労働改革をはじめ、色々な新たな打ち手、これも功を奏してきているのも実態だと思っています。
特筆すべきは、まあ皆さんご存じの通り、インフレがこの1年で2.7%台という数字になっています。基準金利についても、2014年以来の一桁ということで、確実に経済は戻ってきているという印象を受けております。
さらに、ブラジル国内だけではなくて、中南米全域に目を転ずるとですね、やはり、アルゼンチン、ブラジルの政権交代、これによってメルコスールが閉ざされたメルコスールから開かれたメルコスールに、またアメリカのトランプ政権の発足、これによってメキシコがメルコスールの方を向いてくるといったような動きも出てきております。
こういう状況を踏まえてですね、まあ今回皆さんがどのようなプレゼンをしてくださるか、私自身も非常に興味を持っているところでございます。
最後になりましたが、本日の会議のために色々ご準備等ご尽力いただきました会員のご関係者の皆さんに厚く御礼を申し上げまして、私の開会の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
司会
松永会頭、たいへんありがとうございました。それでは早速各部会の発表に移らさせていただきたいと思います。何かと行き届かない点が多々出てくるかもしれませんけれども、タイムキープ含めまして、皆様のご協力を賜れればと思います。先程会頭からお話がありましたけれども、今回の副題は「回復途上のブラジル経済-いま打つべき戦略は」とさせていただきました。
ご記憶されていると思うんですが、前回は「景気回復に向けて今なすべきことは」というふうにテーマを設けまして、各部会よりご発表いただいたところ、景気がですね、長いトンネルから徐々にようやく抜け出す可能性があるなという兆しがある中で、日本企業としては強みの品質や技術力で差別化を図って、基盤強化をすると、そして新規ビジネスを発掘したいというようなお話があったと記憶しております。
そして今回ですけれども、まだ本格回復には遠いと。多分本日ご発表いただく皆様からもですね、いやいやまだだよ、というご意見も出てこようかと思うんですが、一方で株価は6年ぶりに7万レアルを超えたりということで、少なくとも回復途上のレールに乗っかりだしたかなという雰囲気は感じておられると思います。そんなブラジル経済をとらまえましてですね、副題にあえて「戦略」という言葉を使わせていただきました。
この3年、経営環境は本当に厳しい状況でしたけれども、ここで後ろ向きな発想とはなるべく決別いたしまして、積極的に未来志向で今後のことを少しでも語り合えればという願いを込めさせていただいております。
発表者の皆様におかれましては、時間をオーバーされる可能性もあると思いますので、その際は司会の方から合図をさせていただきます。ぜひご協力をよろしくお願いいたします。
それではまず始めに、金融部会の栗原部会長より発表をお願いいたします。よろしくお願いします。
金融部会
部会長 栗原裕二
皆さんこんにちは。今年の4月から金融部会長を前任の大谷から引き継ぎました栗原でございます。よろしくお願いします。恒例によりまして、非常にいつもやりづらいんですが、まずは金融部会よりブラジル・マクロ経済動向、それから銀行業界動向、保険業界動向に関してちょっと発表させていただきます。
なお、各指数につきましては、日々変化しておりますが、本日の資料では便宜的に8月15日現在という体裁をとっておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは最初のスライドに参りまして、2017年の上期を振り返りますと、ご存知の通り、政治・経済ともに非常に大きな出来事がございました。ここでは主なトピックスとして5つ挙げております。
一番目は、これは皆様ご存知のことと思いますが、説明は省かせていただきますけれども、7月に起訴内容は下院本会議にて否決されておりまして、現在は一旦落ち着きを見せている状況です。今後は9月半ばに任期切れとなるジャノー判事が今まで示唆してきた通り、2度目の起訴に踏み切るかどうかが焦点となっております。
二つ目は、会頭からもありましたが、労働法改正案の可決でございます。7月11日に可決されました本法案により、労働生産性が向上し、ひいてはブラジル経済の回復にも寄与するということが期待されております。
三つ目は、年金制度改革についてでございます。これは、財政改革を推進するテーメル政権の最重要施策ではありますが、現在の法案は保険料納付期間や年金受給にかかる計算方式の変更ということで、憲法の改正を必要とすること、依然として政界・国民の反発が強いことなどから、マーケットコンセンサスは原案での可決は難しいんじゃないかということになっております。ただ、まあ、先日たまたまとあるシンクタンクのブラジル担当と話をしましたが、彼曰くは、「可決の可能性はフィフティー・フィフティーより高い。ただし、原案そのままではなく、場合によっては憲法改正を伴わない形に修正して過半数で通すという妥協が行われる可能性があるということでございました。まあご参考までに。
次、四つ目のトピックスが、政策金利の大幅な引下げです。先程、これもまた会頭からもありましたが、インフレ率は順調に低下しております。また今後とも大きく上がって来るということは予測されておりませんので、ご存じの通り、政策金利が7月26日の政策委員会で100ベーシスポイント引下げられて、9.25%と、4年ぶりとなる一桁台に低下しております。市場は、今年度末の政策金利を7.5%と予想しておりますが、一部では7%という声もいま足元では上がっております。
最後はソブリン格付見通しの引下げです。5月のJBSショックを機に、Moody’s社はソブリン格付見通しを「ネガティブ」に引下げました。またS&Pは今後格下げの可能性がある「クレジット・ウォッチ・ネガティブ」に指定しました。しかし先週、ブラジル経済に回復の兆しが見えてきたということで、これを解除して、格付見通しを正式に「BB」に据え置くということを決定しました。ただしアウトルックはそのまま「ネガティブ」です。今後の格付見通しにつきましては、年金改革をはじめとする財政改革の進捗が鍵になってくると思います。
続きまして、経済指標の推移をスライドにしております。
まずGDP成長率ですが、現在推進している金融緩和策や昨年発表されたFGTSの給付資格発生前の引出し許容などの刺激策によって、わずかながらですが、本年度はマーケットは0.3%というプラス成長が予想されています。
貿易収支は上半期に425億ドルの黒字と、統計を開始した89年以降で過去最高を記録しております。穀物や資源の輸出増加、価格回復に加えて、消費の低迷から輸入が伸びていないということが寄与したものと思います。今年度の貿易黒字は600億ドル程度というふうに予想されております。
株価については、5月は70000ポイント近くまで上昇しておりましたが、JBSショックによりまして一時60000ポイント台まで下落。ただしその後はまた、労働法改正案の可決、テーメル大統領に対する起訴の否決などを受けまして、市場リスクセンチメントは改善しまして、本日は70000ポイントを超えております。
次に政策金利とインフレ率でございます。食料価格、人件費の上昇を背景に、2012年以降、インフレ圧力が強まって参りました。それに伴って、ブラジル中央銀行は金融引締め策を採ってきました。この状況下、2014年には大統領選を控えた当時のルセフ大統領が、電力料金やガソリン価格など政府が価格決定できる財について、市場トレンドとは乖離した形で価格を抑えてきました。これにより、2014年はかろうじてインフレターゲットレンジ上限を下回る水準に押さえ込むことができました。
ところが、これらの抑制が電力公社や石油公社の業績に大きなマイナス影響を与えることになりましたので、2015年からは介入を控えるということになりました。その結果、2015年には10%台と二桁台に突入してしまいました。この結果中銀は、今度は金融引締めに動きまして、政策金利をご案内の通り14.25%まで引き上げました。
本年に入りまして、食料価格やガソリンをはじめとする輸送費の安定に伴って、インフレ上昇圧力は次第に収束しております。結果としまして、直近6月の12カ月間累計ベースでのインフレ率が2.7%と、これも99年以降で最も低い数値を記録しております。
市場予測では、年末にはインフレ率が3.45%と、中銀のインフレターゲット内に収束する見込みです。また、インフレの安定を背景に、先程申し上げましたが、金融緩和が推し進められて、今のところFocusでは7.5%まで低下することを見込んでいます。まあ一部では7%という声も上がっております。
次は個別に各指標を見ていきます。
このスライドは四半期ごとのGDP成長率および鉱工業生産推移を示しております。棒グラフがGDP成長率、折れ線グラフが鉱工業生産でございます。2017年第1四半期のGDPは前期比でプラス1%と、8期ぶりのプラス成長を記録しました。ただしこの数字には、天候不順によって不振であった農業部門の急回復、13%ぐらいのプラスだったと思いますけれども、これが大きく寄与しておりまして、個人消費、設備投資というところはまだ盛り上がっておりません。ただ6月単月の個人消費が2.5%増と、まあ予想外に高水準でありましたので、これが持続するかどうか、あるいは設備投資、工業生産というのが回復トレンドに向かっていくかどうかが、本年通年でのGDPの成長率に大きく関わってくると思います。
次は年率ベースですが、コメントが重複しますので飛ばさせていただきます。
次のスライドが財政収支になります。2013年までは黒字を維持しておりましたけれども、2014年の景気鈍化以降、昨年まではマイナス。2017年につきましても、その構造は変わらずに、8月15日、先週、今年の財政赤字目標を従来の1390億レアルから1590億レアルに下方修正しております。来年、再来年についても下方修正されております。ただし、一方で、現政権は財政悪化に歯止めをかけるべく、年金改革のほかに、歳出上限法その他増税策というのを打ち出してきておりまして、財政規律の回復には努めております。
続いて、対USドルでのレアルの推移でございます。
昨年、ルセフ大統領弾劾の可能性が高まった時期から、政治的不透明感払拭への期待によって、それまでのレアル安トレンドからレアル高トレンドへと反転いたしました。今年に入っても、テーメル政権の各種政策を好感しまして、レアル高トレンドが継続しておりましたが、まあご案内の通り5月のJBSショックを受けて一時3.4レアル台までレアル安が進行する局面がありました。その後は、労働法改正案の可決や、テーメル大統領の不起訴等を受けまして、3.1近辺とJBSショックの前の段階まで戻しております。足元は3.1から3.2の間で推移しているという状況です。
対円のレアルですけれども、これも財政改革の期待感、円相場が円安に振れたということで、本年の2月あたりは37円台までレアル高が進みましたけれども、いま足元は35円台で推移しております。
次は株価推移、それから政策金利とインフレ推移ですが、先程のコメントと重複しますので、その次のスライドに移りまして、外国直接投資の推移でございます。
まあブラジル経済の底打ちというところと、国内の財政改革への期待感ということもあるんでしょうが、海外投資家からは一定の評価を受けておりまして、今年度は750億ドルの投資額が見込まれています。近年、特に中国のブラジルへの投資が非常に活発でありまして、例えば電力会社CPFL社の買収などをはじめまして、中国企業はブラジルでのM&Aに非常に積極的になっております。中国企業による買収額は4月時点で昨年の約半分まで達しております。また、投資額も第1四半期時点で62億ドルと堅調でありまして、今後も中国勢による投資意欲は旺盛だというふうに考えています。
次は失業率でございます。ここもとの景気低迷を受けまして、今年3月に13.7%まで上昇いたしましたが、4、5、6月と連続で徐々に低下してきております。前月、7月にも、加工業を中心に3万5900人の新規雇用が創出されたという報道もありました。また、33カ月連続で就労者が減少していた建設セクターも、わずかではありますがプラスに転じました。メイレレス財務大臣も、最悪の状況は過ぎ去ったと発言しておりまして、市場も、年末までに失業率が12%台前半まで低下するのではないかというふうに予想しております。
次は、金融部会所属の各銀行にご回答いただきました2017年、18年の予測について、最大値と最小値のレンジで表記しております。なお、これは8月10日期限で集計いたしましたので、それ以降の材料は織り込まれていないということをご留意いただきたいと思います。
まず成長率ですが、17年、18年それぞれ0%~0.4%、0.6%~2.5%という予想になっています。いずれも、Focusの指標トレンドと同様で、17年は小幅な成長、18年から本格回復が期待できるという予想になっています。
インフレ率は3~3.9%、4.02~4.5%と、これも概ねターゲットレンジの内側に収まるという予想になっております。為替レートは3.2~3.4、来年が3.2~3.5という、あまり大きな動きがない、ややレアル安という予想になっております。
年末の政策金利については、17年、18年両方とも7.5~8%という予想になっておりまして、17年中には金融緩和がさらに進み、18年はその水準がほぼ維持されるという予想になっております。
次に、今回のテーマに基づきまして、各行の今後の見方についてコメントをいただきましたので、そのサマリーをお示ししております。
1項目目の「ブラジル経済回復への明るい兆しは?」という質問についてです。
以前と比べて経済回復への兆候が増えていると同時に、その度合いも徐々に強まっているというコメントが多かったように思います。昨年10月から利下げサイクルに入った後も着実に財政改革への道を歩んでいる。またインフレ率は予想以上に低下しておりまして、それがさらなる金融緩和余地を生んでおります。過去最高の貿易黒字等による経常収支赤字の改善が為替の安定にも寄与している。2015年以降の失業率悪化に歯止めもかかったということ等で、投資あるいは消費を活性化させる条件が整いつつあるというコメントがありました。
二つ目の質問は「ブラジルに対する投資家の信認が回復するのはいつか?」という質問です。
格付機関が財政規律を重視しておりますが、中長期的な財政規律を確保するために欠かせない年金改革がまあ鍵になるという意見が大勢です。年金改革を成立させるためには現大統領の議会掌握力が必要となります。加えて、経済回復トレンドの底堅さ、政治的混乱の収拾、それから大統領選に関する不透明感払拭が視野に入ってくるのは、まあ来年の中ごろ以降ではないかという声もありました。また、ブラジルのポテンシャルに対して、そもそも投資家の信認が大きく毀損していないという意見もございました。外国直接投資、M&A、IPOへの底堅い需要や、足元の落ち着いたCDS等がその根拠として挙がっております。
最後に、「ブラジル経済が最悪期を脱したとみられる中、日系企業が打つべき戦略は?」という質問についてです。
先ほどご説明いたしたように、景気回復への兆しが見きている中、それを前提とした投資戦略を策定すべきという意見がございました。景気回復の流れや競合他社に遅れを取らない積極的な財務戦略、買収、優秀な人材確保などを綿密に検討する時期、という意見が多数でございます。既にご案内かと思いますが、ペトロブラス、オデブレヒト、JBS等の大インベストメント、それからエレトロブラス、今日もちょっと発表されていましたが、ペトロブラス以外も含めて公社の民営化などの大型の投資機会も目の前にあります。中長期的な視野に立ったビジネス拡大のチャンスでもあるということから、まあ中々難しいんでしょうが、本社への継続的かつ粘り強い説明が不可欠という意見がありました。
それでは、マクロ経済を一通り終わりまして、銀行業界についてご説明いたします。
まずは貸出残高推移です。一番下の緑のところですけれども、2011年以降、毎年二桁ベースで増加しておりました融資残高合計は、2015年には6.7%と落ち込み、2016年に至っては3.5%のマイナス成長ということになりました。
17年上半期の貸出状況は、個人向け貸出は前期比4.3%と微増しておりますが、法人向け貸出は依然として7.3%のマイナス。しかも各部門がそれぞれ減少しております。また、BNDES制度融資も上半期は前期比で16.6%の減少ということになっております。これは、金融機関が依然として保守的な与信運営を行っているということや、景気低迷を背景とした企業の限定的な資金ニーズを要因としているものと考えております。
次は、新規与信に対する平均貸出利ざや、スプレッドの推移です。
法人につきましては、ほぼ大きな動きがなく推移しておりますが、個人につきましては、まあ比較的大きなスプレッド縮小という動きになっております。これは、クレジットカードの割賦払いに関する規定が変更されたこと等が背景じゃないかと推測しております。以前まで、消費者はカード残高の最低15%を支払うことによって、支払って、翌月以降もこれを繰り返すことで延滞リストに載ることを免れておりましたが、この割賦払いの金利は月利で平均16%程度と非常に高金利でした。しかし、今回の改訂により、金融機関は、消費者がそのような一部返済を行った場合、消費者側により有利な返済条件に見直すということが義務付けられました。この結果、現在、割賦払いの月利は2~10%程度に低下している模様です。
次は不良債権比率です。
これは90日超の延滞債権の比率の推移でございます。2015年以降、金融機関の保守的な与信方針や失業により延滞債権が増加しております。一方で延滞債権が、比率が増加しているということは新規貸金が伸びていないということもひとつの要因です。しかし、今年の6月は半年振りに不良債権比率が低下に転じております。個人につきましては、先ほど述べました、割賦払いに対する貸出利ざやの低下や、FGTSの引出しが寄与したものと思います。
法人につきましては、個人によるFGTSの引出しがある程度企業のキャッシュフローにも寄与したということもあるかと思いますが、また、返済期限の繰り延べ等、金融機関と企業側で行われて、返済条件の見直しが増加したということが一因かと思います。
最後に保険業界についてご説明させていただきます。
ブラジルの保険監督庁であるSUSEPの統計データによりますと、本年の1月から6月の保険料収入の伸び率は2.7 %に留まっております。二桁成長が続いていました2010年から2014年度と比較しますと、2015年以降は名目成長率が1~3%程度と、インフレ率を下回って、低水準で推移しております。これは、経済の低迷が保険マーケットの成長にブレーキをかけているという構図で、その傾向は変わっておりません。
次は保険種目別の保険料収入を示しております。
経済活動の低迷が続きまして、企業側では減産・在庫圧縮等によって物流が低迷しており、運送保険、火災保険項目では、この上半期は前年同期比でマイナス成長を余儀なくされております。なお、生命保険・傷害保険項目では、団体信用保険の伸びが影響しまして、前年同期比で7.9%の成長となっております。
次は、保険種目別の損害率のデータになります。
全体といたしましては、本年1月~6月累計で損害率45.8%と、前期比若干改善しております。火災新種保険の損害率が前年同期比で大幅に改善したことがその主要因ですが、これは、前年はエルニーニョによる自然災害が多発したということがありましたが、本年はその影響が軽微であったということによるものと考えております。
最後に、今後の保険市場の成長見通しについてご説明いたします。
ブラジル保険会社連盟は、2017年通年の成長率見込みとして、損害保険で3.5%、生命・傷害保険7.8%の伸びを予測しておりまして、合計ベースでは、名目で4.9%、すなわちインフレ率を加味した実質ベースではゼロから若干の成長を見込んでおるということです。
ブラジルの保険業界は、潜在的な伸びしろを有しておりますが、目先、2018年にかけての政治面での不確定要素を払拭するには至っておらず、失業率の高止まりや個人消費の停滞感が続く中で、景気回復の兆しも中々見えず、ブラジルの保険マーケットが本格的な回復基調になるには今しばらくの時間を要するというふうに予想しております。
しかしながら、中長期的には、社会構造の変革等によりまして、保険商品に対するニーズは間違いなく高まると予想されておりますので、かかる将来の需要の発掘に向けて現時点から準備を進めていくということが保険業界の使命と考えております。
以上で、金融部会の発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。
司会
栗原部会長、たいへんありがとうございました。それではここで、ご質問のある方は挙手をお願いいたします。どなたか、ご質問ございませんでしょうか。どうぞ。
質問者
もし分かったら教えていただきたいのですが、投資のところで、随分と外国からの投資が回復基調にあるということなんですが、これに占める中国の割合というのはどれぐらいなのか。
栗原部会長
例えば去年の実績の中で中国がいくらだったかというデータがちょっと手元にないんですけれども、上半期だけで中国が68億ドル投資しておるということなので、上半期の実績は290億ドルでしたので、上半期だけで言えば3割弱ですか、くらいになっていると思います。
質問者
はい、どうもありがとうございます。
司会
はい、ありがとうございます。ほかに質問ございますでしょうか。中国からの投資は、ルクセンブルク国籍とか、統計上はなっていることもあって、ちょっと分かりづらいところもありますが。
栗原部会長
今言ったのは中国から来ているものだけなので、経由してきているともっと、その2倍とかいう規模になっている可能性はあります。
司会
ほかに、よろしいですか。そうしましたら、簡単にまとめさせていただきますと、今のお話の中では、年金改革の行方がポイントにはなるものの、インフレも収まりつつあり、金利も引き下がり、今年はGDPがプラスの0.3%と。で、今お話にありましたように、投資も増えてきて、雇用も多少改善している中での企業戦略としては、長期的な視野で投資戦略の見直しをし、買収、人材確保、そしてこれは一番苦労するところかもしれませんけども、本社の説得というようなところがお話に出たかと思います。それでは、栗原部会長、たいへんありがとうございました。
すいません。ちょっと冒頭で明るいニュースがあったのをお伝えし忘れたんですが、本日は211名のご参加をいただいておりまして、これは史上最高ということでございます。それから、この会の後の懇親会も100名のご参加のお申し込みをいただいております。お酒を飲まれたい方がたくさんいらっしゃるということで、たいへん明るいニュースということで、ご報告させていただきます。
続きまして、貿易部会、今井部会長様、よろしくお願いいたします。
貿易部会
今井重利 部会長
皆さん、こんにちは。高いところから失礼いたします。貿易部会を担当しております、伊藤忠の今井でございます。これから従来と同じで、貿易収支の数字を中心にご説明させていただきますが、私は今回でお話させていただくのは3回目なんですけど、今回は一番数字的には良い結果になっておりまして、そういうベースでご説明を始めさせていただきたいと思います。それでは次のページお願いします。
これはですね、半期ごとの輸出・輸入の推移を示しておりますが、縦棒の左側、青が輸出、右側、緑が輸入。この折れ線のオレンジが貿易収支。この横の赤の軸が貿易収支ゼロということで、上にこの折れ線が行くところは黒字になっているということでございまして、例えばこの直近の半期ごろ、3期、4期を見ますと、やっぱり輸出がですね、かなり伸びていると。輸入もですね、少しずつ伸びている。ということなので、輸出入の差を見ますと、貿易黒字は、まあ先ほどもございましたけども、かなりのペースになっておりまして。例えば、2016年、これは暦年は貿易黒字がブラジル全体で477億ドル。で、今年の1-6月の上半期だけで362億ドルの貿易黒字ということで、去年の1年間のペースにすると、今、かなり上回った数字で貿易黒字が続いているという状況でございます
一方で、輸入のところはまだもう少し伸びていないということで、例えばブラジルの景気が良かった2010年、11年から14年ぐらいを見ますと、半期で輸出入ともに1000億のレンジを超えていると。年間で輸出入共に2000億ドルを超えているというのが、まあ良い時の数字でございます。
例えば今年の上期を見ますと、輸出は1077億ドルということで、だいぶ戻ってきたのかなと。ただ輸入は715億ドルということで、まだ全盛期にはもう少しだなという状況でございます。
特に輸出が伸びてきました大きな要因は、まあブラジルは農業が好調なので、農産物の輸出量が伸びているということ。あとコモディティ価格、鉄鉱石とか原油のコモディティ価格が上がってきて金額が大きくなったことが大きな要因になっております。
次のページから輸出と輸入で分けてご説明します。
これは輸出でございまして、まず一番下から、総論でございますけど、これは半期ごとの金額と数量でございますけど、数量は全体で3.6%の伸びです。金額が19.3%ということで、金額がやはり伸びているということが結果になっております。
これを一次産品、半製品、工業製品に分けておりますが、一次産品につきましては、先ほどご説明しましたように、大豆もそうですし、鉄鉱石、特に原油は金額もそうですし、数量もかなり伸びているということで、全体、一次産品は金額的には27.2%とかなり伸びております。
半製品につきましては、数量は若干ですけども、金額がやはり伸びているということで、特に粗糖とか、鉄鋼製品のところが伸びているという結果になっております。
工業製品につきましては、これもかなり伸びておりますけど、特に乗用車関係、あと貨物車関係というところが伸びているというようなことでございます。次のページお願いします。
次は輸出相手先でございまして、中国、米国、アルゼンチンというナンバー3はですね、増減としてはかなりの伸びを示しているということでございます。
中国向けはですね、まあ大豆とか、原油、まあ食料・資源のコモディティ関係でございます。 米国向けは原油や鉄鋼製品。アルゼンチン向けは、自動車とか、一部原油、そういうのが伸びているというところでございます。
あと、赤い枠で囲ってますけど、日本は残念ながら、ブラジル全体で輸出がこれだけ伸びていても、対日はマイナス3.1%ということで、マイナスになっていると、残念ながら結果でございます。
あと特記事項はですね、チリとインドというのは従来日本より下だったんですけど、最近貿易量が伸びまして、特に輸出量が伸びまして、チリ、インドがランクの上位になってきたというのがひとつの傾向でございます。次のページお願いします。
今度は輸入でございます。輸入はですね、まず一番下から申し上げますと、数量、金額とも、8%、7%ということで、こちらも少しずつ伸びているということでございまして、これをジャンル別にいきますと、一次産品はですね、これは数量はマイナス3.7%で、マイナスなんですけども、先ほどの、コモディティ価格が上がっているということで、金額ベースでは伸びているということでございます。
一方、半製品は今度は逆でして、数量的には伸びているんですけど、これはどうも金額が下っているようで、全体の金額ベースでは下っているということになっております。
あと、工業製品。これは金額的には全体の85%を占めますけど、これは数量、金額とも伸びていますけど、数量の伸びがかなり寄与しているという状況になっております。次のページお願いします。
今度は輸入の国別ですけど、これは輸出と同じで、米国、中国、アルゼンチン、これがトップ3でありまして、やはり輸入も堅調に伸びているということでございまして、米国からの輸入はですね、燃料油、エタノール、これは多分ブラジルが農業生産が非常に好調なので、その農業機器に使う燃料油等も増えているのかなと思っております。
中国はですね、送受信機、半導体等、工業製品の輸入が伸びています。アルゼンチンからは、小麦とか、一部トラクター、トレーラー等の機械が伸びているということで。日本は若干伸びていますけど、2.4%ということで、まあそんなに変わっていないなという状況でございます。次お願いします。
今度は対日をブレークダウンしましたが、輸出はマイナス3.1%でございます。ジャンル別に見ますと、鉄鉱石は価格が上がったということでプラス50%でございますけども、残念ながらほかの項目で、いくつか、航空機とか食品関係でやはりかなりマイナスがございまして、全体でマイナスになっているということでございます。
輸入につきましては、トータルではプラスの2.4%でございまして、ある程度まばらになっておりますけど、まあ自動車関係と半導体を中心とする工業製品関係が堅調に推移しているという状況でございます。次のページお願いします。
今度は対ブラジルの対内投資の状況でございますが、左側のグラフは半期ごとでございまして、これは半期によって大分ぶれがございますけども、全体で見るとまあ横ばい推移なのかなというふうに考えております。今度は右の表にいきますが、金額的に見ましても、16年上期が209億ドルに対して、17年上期は281億ドルということで、16年度、暦年の投資額が、先ほどの金融部会の数字と若干違うんですけど、536億ドルになっていまして、今年の上期を倍にしますと多分昨年よりももう少し上に行くのかなというふうに見ております。
あと、一方ですね、過去の数年のグラフ、上期と下期を見ますと、対ブラジルの対内投資はこの下重になっておりまして、ずっと下期の方が上期より数字が大きいという統計結果になっておりまして、そうしますと多分、この傾向が続けば、今年の下期も281億ドルを超えるブラジルへの投資になるのかなというふうにみられるので、そうしますと去年の537億ドルよりも大分上に行くのかなと思っております。
あと、国別にはですね、米国がかなり伸ばしておりまして、前期比だと173%アップというすごい数字でございまして。あとは、バージンアイランド、これは多分、先ほどもお話しありましたけど、中国かなと思っていますけど、4倍以上になっていると。これは多分オランダなんかも中国だと思いますけど、この辺のところがかなり伸びているということでございまして、中国という名前が統計上入っていないんですけど、やっぱり中国はですね、全体の、先ほど3割とありましたけど、3割から3分の1ぐらい対ブラジル投資を占めているんじゃないかというふうに私も想定しています。
あともう一つ特筆すべきは、残念ですけど、日本が前期比マイナス63%ということで、日本はやはり激減傾向が全く歯止めがかかっていないということで、これは前回も前々回もかなり日本はマイナスが大きかったんですけど、日本は引き続き、残念ながら来ていないというのが結果でございます。次お願いします。
今度はブラジルへの投資の産業別ですけども、一次産業は、全体のパーセンテージも低いんですけど、伸び率もマイナス53%ということで、一次産業向けへの投資は大分減りました。次の工業関係もやはりマイナス6.4で大分減っています。一方でサービス業関係、これは全体の67%で、全体の3分の2を占めていますけど、ここがですね、プラス97%、倍増しておりまして、その中でもですね、電気、ガス、運送業、水とかありますけど、何しろインフラ・輸送系が圧倒的に多くなっていて、全体の投資を牽引しているというふうに数字上でなっております。次お願いします。
この表は最初のページと同じでございまして、これはそれに7月分を入れただけなんですけど、7月も貿易統計上は黒字が46億ドルということで、1-6月が先ほど362億ドルと申し上げましたので、1-7月でもう400億ドルを超えております。先ほど申し上げましたように、16年度、年間でですね、貿易黒字が477億ドルなので、先ほどの金融部会の今年の貿易黒字見込みは610億ドルということでございましたけど、数字上もそのぐらい、もしくはそれを上回るペースで黒字が続いているという状況でございます。
あと、下の方にまとめを書きました。これは今申し上げたことのまとめでございます。貿易収支はかなり黒字がたまっている。ただこれは、輸出が増えているということで、輸入も増加していますけども、輸入の増加はそれほどでもないということ。2番目、対内投資については、米国、あと中国もあるでしょうけども、堅調に推移していますと。最後に日本、特に日本向けの輸出と日本からの投資、これが残念ながらまだ低調に推移しているというのが実態ですということでございます。次のページお願いします。
これが最後のページなんですけども、「いま打つべき戦略は」ということで、これは部会の中でも話させていただいたんですけど、マジックハンドというのはやはり中々ないと思うので、基本的には皆さんが今考えていらっしゃること、皆さんが今まで経験されて、多分やってきていただいたことをですね、ご意見いただいた中で9個書いたんでございますけども。上から行きますと、やはり日本企業というのは業績が悪くなると撤退しよう、縮小しようということで議論を重ねているうちにですね、最後に縮小する時は大体、底を打つ前か、打った前後でですね、要は、例えば今のブラジルなんかはそうですけど、ピックアップ、あとそれ以降の伸びのところをやはり取りきれないということが結構あるのかなと思っていまして、やはり、今足元固めをすると、そういう体制・組織・人員を維持するというのが、これは守りですけど、まず大切なのかなと。
次、2番目は投資なんですけど、日本は、これもよく言われていますけど、悪い時に早期に撤退する、逆に高い時に買うということで、やはり中国とかアメリカとかを見ますとですね、底で買いに来る、中長期的な視点から投資・参入を決めていくというのがあるので、日本もですね、中国、米国と同じことをやる必要はないと思いますけど、やはり長い目で見なきゃいけないのかなというふうに考えております。
三つ目はですね、どうしてもブラジルはボラティリティが高いというふうにはかなり言われていますので、やはりこれは本社を説得するためにもですね、成長分野やボラティリティの変動を受けにくいビジネス分野に対して積極的に投資・ビジネスを行っていくというのが、一つの考え方であるのかなということ。
四つ目は、今度はファイナンスの方ですけど、まあこういう状況だからこそですね、ブラジルの開発制度、また日本の開発もしくは保険制度など長期の融資・調達制度等をですね、再検討する時なのかなと。その時の視点の一つで、やはり、一方通行でなくてブラジル側の雇用創出・産業育成、この辺の切り口も考えて、ブラジル側から見ても受け入れやすいというところでアプローチするのも一つなのかなというふうに考えております。
次はですね、ブラジルの案件を本社に持って行く時に、総論じゃなくて、できるだけ具体的な、かつブラジルならではの特徴のある個別案件を提案していくというのが一つ切り口であるのかなというふうに考えております。
あと、アイテムとしてはですね、汎用品の競争ではなくてですね、やはりその日本ならではと、技術も生かして、ブラジル国内での高機能や付加価値製品の市場開拓をして、そういうビジネスを追求していくというのがあるのかなと思っております。
あとは、これは悪い時も良い時も継続的にやってきている、またやっていかなきゃいけないことですけど、ブラジル、かなり複雑な色々な制度がありますので、現地制度の経験を積んでいくといううことと、信頼できる地場の現地パートナーを開拓して、人間・ビジネス関係を強化していくということが大切なのかなということで。
あと、最後の2つはですね、日本・ブラジル両方へのアピールなんですけど、広報、宣伝活動、またブラジルの将来性のアピールということで、今年はジャパンハウスも大分成功裏に進んでおりますし、来週クリチバで日伯経済合同委員会もございますし、やはりブラジルをアピールしていく、その中で、例えばそういう機会をとらまえてブラジルアピール特集記事などの掲載とかですね、そういうところでもブラジルを打ち出していくという努力もしていくべきなのかなというふうに思っております。
最後、これは前回も同じでしたけど、やはり同じベクトルを持っている、ドイツとかアメリカとかですね、他の商工会議所とのコラボレーションとかですね、このカマラの中でも他の部会と連携の上、貿易・投資促進上の課題を整理した上で、提案を当局へしていくということが必要なのかなということで。すいません、ちょっと羅列になりましたけど、こういうことをやっぱり、よく整理して、グラウンド・ゼロじゃないですけど、ゼロ、1に戻ったと思ってですね、地道にこれからもやっていくということが大切ではないかということで、貿易部会として話をさせていただきました。
すいません。長くなりました。以上でございます。
司会
今井部会長、たいへんありがとうございました。そうしましたら、ご質問のある方、挙手をお願いいたします。はい、ありがとうございます。マイクをお願いします。
質問者
スライドの33番の主要商品別の輸出のところなんですけれど、鉄鉱石とか、粗糖、あと鉄鋼半製品について、数量の増減に対して金額がすごく増していると思うんですけれども、価格の変動とか、あと為替の影響以外の理由がもしあったら教えてください。数量があまり増えていないのに対して、金額が増えているという点です。
今井部会長
そういう意味では、例えば鉄鉱石ですと、例えば去年の前半ですかね、確か下ではトン当たり40ドルぐらいになったと思います。で今、足元ですね、確かトン当たり75ドルとか、そういう推移なんですけど、その間で動いていますけど、ですので、少なくとも値段は倍ぐらいになっているということでございまして。あと、ブラジルからの鉄鉱石の輸出もですね、まあ金額ほどではないですけども、少しずつ増えているというふうに認識しております。
鉄鋼製品につきましても、今の鉄鉱石ほどじゃないんですけども、どうでしょう、去年と今年ですと1.5倍ぐらい、かなり上がっているのかなと。まあ1.3倍から1.5倍ぐらいだと思いますけど。例えば、今のブラジルの鉄鋼会社の業績を見ましても、去年はほぼ皆さん、残念ながら全社赤字。確か一部黒字がゲルダウとアルセロール・ミッタルぐらいだったとのかなと思うんですけど、今年はですね、多分、年間で見ると、特に下半期はですね、ほかの製鉄会社も含めてかなり業績は回復しているというふうに、これは巷間出ておりますし、私自身もそういうふうに思っております。
司会
ありがとうございます。他にご質問ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、今のお話ですけれども、金額ベースでは輸出は19%伸び、輸入も7%伸び、共に伸びている中で、貿易収支は黒字傾向。そして対内直接投資も堅調に増えているというお話であったかと思います。
ただ、その中で日本のブラジル向け投資が唯一減っているというところがちょっと寂しいというところの中での、今後の戦略のキーワードとしましては、足元固め、中長期的視点、成長分野、ボラティリティを受けにくいビジネス分野、ブラジルならではの個別案件、高付加価値、高機能というというところがキーワードとしていただいたと思います。今井部会長、たいへんありがとうございました。
今井部会長
どうもありがとうございました。
司会
続きまして、機械金属部会の池辺部会長にお願いいたします。
機械金属部会
池辺和博 部会長
皆さんこんにちは。機械金属部会、日立製作所の池辺です。よろしくお願いいたします。
早速ですけれども、本日の発表内容について。まず最初に、これは前回も同様ですけれども、機械金属部会に関連するマクロ経済指標を3つほど紹介させていただいて、その後、我々機械金属部会は多種多様の業種・分野の方々が会員となっておりますので、これ毎回のことなんですけども、今回のこのシンポジウムに際してレポートを提出していただきました企業をこのように鉄鋼、電力、建設機械・業務用空調、切削工具・ベアリング、トラクター・非汎用圧縮機という形で、5つといいますか、8つに分類して報告させていただきます。そして最後に、本日の副題となっております「回復途上のブラジル経済-いま打つべき戦略は」ということについて触れさせていただきたいと思います。
それでは早速、機械金属関連に関係するマクロ指標としてですね、まずブラジル鉱工業生産の対前年推移。これは先ほど金融部会の方からもグラフが出ておりましたけども、金融部会の方は四半期単位でしたが、これは月単位となっております。
前回の時にも紹介したんですけれども、我々の機械金属の製品はですね、生産現場で使用されることが多くて、製造業のお客様が多いんですけれども、2014年4月以降ですね、今年の1月まで、34カ月連続で前年比マイナスが続いておりました。ということで、長い生産活動の停滞が続いていたということが見て取れるんですけれども、ただ、今年の2月にですね、35カ月ぶりのプラスということになっておりまして、その後今年に関して言いますと、2月、それから4月、6月、そして7月とプラスということで、やっとまあ長いトンネルを抜けてきているのかなというのがここで見て取れるかと思います。8月以降もですね、この調子で上方のグラフが続くことを期待している次第です。
続きまして、これもやはり同じく経済生産活動の指標と言えるかと思いますけれども、段ボールの生産の対前年比較でございます。ご承知の通り、経済生産活動が活発になりますと、梱包や輸送に使用される段ボールの需要が増える訳ですけれども、これもやはり製造業の活動の一つの目安になるかと思い、これを示しております。
これも前回に示したんですけれども、これは四半期単位の数字ですが、これは2016年の第4四半期まで13四半期の連続のマイナスというふうになっております。すなわちこれは3年以上ですね、マイナスが続いているということになります。
ただ、今年、これはグラフにはプロットしておりませんが、2017年第1四半期に関しましては、やっと14四半期ぶりにプラスというふうになっておりまして、あとこれは単月になりますが、4月はマイナスだったんですけれども、5月、6月ともにプラスということで、これはまだ合計が出ていませんが、多分第2四半期もですね、プラスに転じたということで、こちらの方も先程の鉱工業生産と同様、生産活動が底を打って、回復基調に向かっているのかなというのは見て取れるかと思います。
続きまして、これは建設関係の実績でございます。我々機械金属部会の中にはですね、建設機械、あるいは空調設備関連の会社もございまして、建設業の動向というのも非常に気になるところでございます。
これも先回にお見せしたんですが、ご覧のように、これも四半期単位ですが、2014年の第2四半期から今年の第1四半期まで相変わらずマイナスが続いております。加えて、やはり政府の財政赤字によるインフラ投資の見送り、あるいは企業の設備投資の抑制、またラバ・ジャットによるゼネコンの体力低下等がいまだに影響しておりまして、今回このグラフを追加したのが2016年第4四半期と2017年第1四半期なんですけれども、マイナス幅がですね、さらに大きくなっているということで、先程の製造業と違って、この建設・建築関係に関しましては相変わらずまだ底が見えないと言いますか、先々まだ苦しいというのが見て取れるかと思います。
以上のマクロ経済の状況を受けまして、我々機械金属部会のですね、業種別の報告をさせていただきます。
まず鉄鋼関連ですけれども、こちらの棒グラフ、これは先回も使わせていただきましたけれども、昨年、2016年まで5年連続で粗鋼生産が前年比を割り込んでおります。それでですね、今年2017年の前半、1月から6月の状況なんですけど、生産に関しましては、ここにありますように前年比12%のプラスということで、まあ6年ぶりにですね、増加に転じているということが言えると思います。ただ実は、これはですね、Valeと韓国企業の合弁でCSP社という製鉄所が新たに昨年の暮れに稼働しまして、この数字が単純に上乗せしているということが大きく牽引しておりまして、既存メーカーだけで見ますとほぼ横ばいというふうになっております
その表れとしまして、ここの国内販売なんですけども、国内販売は相変わらずマイナス、マイナス2%というふうになっております。まあ自動車の生産がですね、回復基調になってきていまして、鋼板としては5%伸びているんですけども、やはり先程の建設関係、それから機械等の需要回復は遅くて、全体ではやはり2%の減というふうになっております。
輸出に関しましては、先程紹介しましたValeと韓国企業の合弁会社でありますCSP社の生産がですね、スラブを生産しているんですけども、ほぼ全量を輸出に回しております関係で、この半製品が14%伸びております。したがって全体もですね、前年比9%の増というふうになっています。
一方で輸入なんですけど、昨年ブラジルメーカーが値上げをした関係でですね、後半から輸入の増加傾向が続いておりまして、今年の上半期も前年比64%と大幅増となっております。
2017年下期の展望ですけれども、生産に関しましては、先程来言っておりますCSP社が、輸出専門的な生産ですけれども、この影響がありまして、全体で6年ぶりに増加に転じるだろうというふうにみられております。ただ、後半はCSP社の分が純増とはなりませんので、この分を考えますと全体で前年比3.8%の増かというふうに見られております。
あと国内販売ですけれども、先程来ありますように自動車の生産は緩やかな回復がされているものの、やはり建設等の需要が弱くてですね、年間でみますと1.3%の微減というのを予想しております。
ブラジルの鉄鋼院の会長の言によりますと、ブラジル国内販売が最高であった2013年のレベルに戻るのはですね、2028年、すなわち今からまだ10年後というふうに言っておりまして、まだまだやはりV字回復というのは難しく、回復には大きく時間がかかるだろうというふうにみられております。
というわけで、我々機械金属部会のですね、鉄鋼業界向けの設備関連のビジネスは非常に厳しいものがあるんですけれども、ただ製鉄会社もですね、ここ4、5年ほとんど投資を凍結しておりましたので、やはり保守関係の引き合いが最近はやはり増えてきておりまして、我々としてはそれなりの引き合いを具体的な案件につなげてですね、投資の回復を引き寄せていきたいと思っております。
続きまして電力ですけれども、こちらの棒グラフ、これも実は先回お見せしたんですけども、やはり生産活動を主体とする経済活動の停滞によりまして、2015年、16年と電力の消費は2年連続で前年比を下回っております。2017年の上期につきましても、経済活動の回復は弱く、前半では0.4%の増、増にはなっているんですけども、ほぼ横ばい状態ということでございます。
あと、工業分野の方の電力消費もですね、2016年10月まで32カ月の減少が続いておりましたが、昨年の11月にプラスに転じて、2017年の前半はですね、まあこれもほぼ横ばいなんですけども、0.05%の増というふうになっておりまして、ここでもですね、鉱工業生産の活動が多少は上向き傾向にあるのかなというふうに見てとれるかと思います。
その、需要が減少している中でですね、昨年新しい水力発電とか、あるいは風力発電の稼働が開始した関係で、総発電容量は今152ギガワットとなっておりまして、電力需給のギャップの方は逆に広がっております。したがいまして、2017年の前半にはですね、エネルギーオークションの実施はなく、あと年末に向けて二つほどオークションは予定されているようなんですけども、まだ詳細については未定となっております。ちなみにA-4、A-6と書いてありますのは4年後、6年後稼働の案件ということです。
また、これは参考になるんですけども、ブラジルの発電に関する構成比なんですが、水力発電が、大型とそれから小型含めますと約67%になっております。それから火力の方がですね、2年ほど前の水不足による発電減をカバーするために若干伸びておりまして、26%。それから風力が約6%ということで、再生可能エネルギーでは風力が伸びております。ちなみに太陽光はまだ0・何パーセントということで、ほとんどまだ数字にならない状態でございます。
というわけで、電力関係の我々のビジネスも非常に厳しいものがございまして、まだまだ電力会社からの投資もですね、大きなものは期待できないということで、電力関連ビジネス、まだまだちょっと苦戦を強いられるのかなというふうにみております。
続きまして、建設機械と業務用空調ですけれども、どちらも建設に非常に密接に関係しているものかと思います。その建設業がですね、先程見ましたように、今年に入っても大きく落ち込んでいて、まだまだ不振にあえいでいるという状況でございますので、それを証明するかのようにですね、油圧ショベルの販売台数でみてみますと、すでに2015年、16年と30%以上の前年比ダウンを経験しておりまして、この2年で2014年に対して半減している訳ですけれども、今年1月~6月、上半期をみましてもやはり21%のダウンということで、相変わらずの下降傾向が続いているということでございます。
下期も大きな回復というのも見込めませんので、3年連続の需要減というのは必至の状況かと思います。ちなみに弊社グループ関連の建設機械の会社はですね、従来北米の方から輸出しておりました南米向けの輸出をですね、このブラジルからの出荷に肩代わりさせていただいてですね、生産と販売をまあキープしているというような状態です。
そのほかに、小型建機に関しましても状況は同じといいますか、さらに悪くてですね、これも先回紹介したんですけども、小型建機に関しては2015年、16年ともに40%以上の前年比ダウンをしております関係で、こちらの方は2014年に対して3分の1ぐらいの市場になってしまっているんですけども、今年に関しましては、上半期、縮小幅は少なくなっていますけども、相変わらず15%の前年比ダウンということでですね、こちらに関しても3年連続のダウンというのはもう免れられないものだと思います。したがって、建設機械以外のですね、農業や製造業、あるいは墓地等への需要でカバーしているというか、しのいでいるというような状況でございます。
続きまして業務用空調ですけども、こちらの方もやはりビル、工場等の建設減によって需要が減っておりまして、2015年、16年と2年連続でマイナスが続いております。まあ空調の方はですね、既存ビルの交換だとか、あるいは増設需要も多少はありますので、先程の建機ほどの大きい落ちはないんですけれども、さらに2017年、今年の1月~6月に関しましては前年比96%と、まあ4%ダウンですけれども、減少幅はかなり縮小し、ほぼ底をついたのかなというふうに言えるかと思います。
2017年の展望ですけれども、やはり先程から言っていますように、建設業界の回復というのはおそらく2019年以降になるだろうというふうにみておりますので、建機に関しましてはまだまだ厳しい期間が1年以上続くだろうと。業務用空調に関しましては、まあこの下期、2017年後半の、天候にも左右されるんですけども、交換需要等で微増を見込んでおりまして、17年通年ではですね、ほぼ前年比横ばいというふうに見ております。
続きまして、切削工具とベアリングですけども、こちらはどちらも主要顧客が自動車業界ということで、後ほど、私の後に自動車部会の方からも詳しい紹介があると思いますので、簡単にですけれども、これも昨年まで4年連続で自動車の生産がマイナスとなっておりました。ただ、この2017年上期に関しましては、各社さんの輸出増もございまして、前年比23%増というふうになっております。
また、最近ですね、年間予測も21.5%増へと上方修正されていまして、自動車の生産の方は回復傾向にあるというふうに聞いております。したがいまして、切削工具、あるいは金属加工油剤に関しましても、自動車生産向けに受注が増加傾向というふうになっておりまして、さらには比較的好調な農業機械や金型分野等からの受注もございまして、堅調に推移し始めているということでございます。
下期に関しましても、まあ自動車の生産は先程言いましたように上方修正されておりますので、自動車生産向けの受注が穏やかに増加傾向になっていくだろうと期待しております。
ベアリングなんですけども、こちらももちろん自動車生産の回復に応じて良くはなってきているんですが、一方で二輪の方ですね、四輪の方は伸びてきているんですが、二輪の方は相変わらず生産の落ち込みが続いていて、かなり深刻な状態、まだまだ底が見えないというようなふうに聞いております。従来は四輪よりも先に二輪がですね、回復が始まって、それに自動車が付いてくるというパターンだったのが、今現在はそのパターンも崩れて、かつ二輪の方はまだ見えないというふうに聞いております。
ということで、一般産業機械向けに力を入れているんですけども、農業機械等の生産は大幅な増加になっているものの、全体的にはほぼ横ばいというような状況ということです。
下期に関しましても、自動車の生産の方は好調ですが、二輪の落ち込みがまだまだ底が見えないということで。さらに言えば、昨年来注力されて来られていました消費者の現有車修理向けアフターマーケット、こちらの方も一時の勢いを失って、反動減が見込まれてですね、全体的にはやはり厳しい見込みというふうにうかがっております。
続きまして、トラクターと非汎用圧縮機ですけれども、トラクター、農業の方はですね、昨年の後半以降非常に堅調に推移しておりまして、2016年のトラクターの販売で既に96%、要はマイナス4%ということで、まあ今まで見てきました大幅前年割れが続いている他分野に比べればですね、非常に早く底を打っているのかなというふうに見えます。2017年、この上期に関しましても、前年比127%ということで、農作物の収穫も良好、政府の農業向け低利融資も発表されてですね、非常に回復基調だというふうになっておりまして、これ実は機械金属部会の他の分野からは非常にうらやましい限りでございます。
下期に関しましても、農作物の収穫も概ね良好が続くようで、全体的には回復が続くだろうということで、トラクターの販売もですね、年間では20%ぐらいの伸びが期待できるのではないかということでございます。
最後に非汎用圧縮機ですけども、こちらは今のトラクターとは正反対と言いますか、主要用途が資源開発、石油精製、石油化学ということで、まあ昨年まではですね、ペトロブラスの投資の抑制、それから資源価格の低下等がありまして、これは先回も使ったんですけども、2016年の数字が前年比でマイナス70%ということで、もう惨憺たる状況であったということが言えます。
で、今年なんですけども、2017年上期、これは上期、1月~6月までのガスコンプレッサーの輸入額の実績なんですが、上期の累計を2016年通年の累計と比較している、要は進捗でございます。この進捗でみますと、全体で35%ということで、まあレシプロコンプレッサー以外はですね、半年を過ぎてまだ35%ですから、再びマイナスの状況であるということになっております。一方で、原油価格の50ドル近辺での落ち着き、それからラバ・ジャットの方も一段落した関係でですね、ペトロブラスの案件や改造案件等の引き合いも徐々に増えてきているみたいですが、ただまだ低レベルということで、喜べるような数字にはならないというふうに聞いております。
したがって、下期に関しましても、そのような少ない案件をですね、実案件化、実ビジネス化していくことを期待しながらやるということと、それからプレサルにおけるペトロブラスの30%以上の権益優先権の撤廃ということがありますので、まあ海外資本の投資に期待したいというふうに考えております。
以上が我々の業種分野の発表でございました。続きまして最後の副題「回復途上のブラジル経済-いま打つべき戦略は」ということで、会員企業のコメントを整理した形で紹介させていただきます。
最初にこの副題の、回復途上のブラジル経済、回復途上かということにまあ異を唱える訳ではないんですけど、先程来見ていますように、まだまだ、先程の農業と非汎用圧縮機じゃないですけども、業種によって状況がかなり違いまして、機械金属部会全体的にはまだまだ厳しいというのが実感かと思っております。
加えて、政治的混乱もまだまだ続いておりまして、これが来年の大統領選挙まで続くとすればですね、本格的回復というのは2019年以降になるのではないかということで、先程貿易部会の方でも話していました、日本企業、中々長期の視点で見れないので、真剣にですね、ブラジル事業継続の岐路に立っているという会社もございます。 ということで、逆に、本当に回復途上にあることを、早くうかがえることを切に希望しているというのが、まず最初に言いたかったことでございます。
それを受けてですね、どの時期においても妙案とか、特効薬というのはないかと思いますので、今のこの時期の戦略というよりもですね、常に行っている事ですけども、その辺をここに書いてございまして。まず最初には、もし景気回復している企業、あるいは好調な企業・業種がございましたら、そこを積極的に攻める。新規開拓、顧客開拓をするということ。で、保守・アフターサービスを含めてですね、小さくとも隠れた需要を発掘するということがまず第一。
それから、ブラジルの不振をカバーすべく、周辺国への輸出や営業を強化するということを行っております。
で、当然ですけれども、コストの削減ということで、お客様の投資額が限定されておりますので、相対的価格競争力の強化と、顧客の投資額低減を図ると。一方で、自社の、まあ人員削減、経営の現地化等を図ることによって、人件費の削減等を行うと。
そして最後に、品質の向上。コストを削減しながらもですね、品質の方は競争力強化、上げていくということで、さらに、何と言いますか、閑散期とは言いませんけども、さほど忙しくない時にですね、親工場なり親会社の支援を受けてこちら現地の技術力をアップするというようなことを進めております。
以上が機械金属部会の発表となります。どうも、ご清聴ありがとうございました。
司会
池辺部会長、たいへんありがとうございました。それではご質問のある方は挙手をお願いいたします。どなたか、ご質問ございませんでしょうか。それではひとつだけ、私から。最後の副題のページで周辺国での営業強化というのがあったかと思うんですが、もう少し詳しく教えていただけることがあれば、おうかがいできればと思います。
池辺部会長
やはりこのブラジルの企業ですね、基本的には、南米においてはブラジルが今まで中心でやってこられたところが多くてですね、そのブラジルがこういう状況なので、それをカバーすべく、チリ、コロンビア、ペルー、あるいはアルゼンチン、最近でいうアルゼンチンとかですね、その辺向けの出荷、あるいはブラジルから出さなくても日本からなりの出荷を増やすべくですね、その辺に力を入れているということです。
司会
はい、ありがとうございます。他にご質問ございませんか。よろしいですか。はい。そうしますと、今のご発表ですけれども、鉱工業生産はじめマクロ指標は低調ながらもやや底打ち感は出てきたと。ただ建設は引き続き不調であると。そして、鉄鋼はじめセクター別に見ると、それぞれ違いはあるものの、平均として横ばいか、まあやや厳しめかもしれないと。その中で、自動車、あるいは農業関連に明るい材料があると。そして戦略面では好調な業種での新規開拓、隠れた需要の発掘などについて触れていただきました。たいへんありがとうございました。
そうしましたら、続きまして自動車部会、溝口部会長よろしくお願いします。
自動車部会
溝口イサオ 部会長
皆様、改めまして、こんにちは。それでは、私から自動車部会の報告をさせていただきます。今回は、主に2017年上期の振り返りと、下期の展望について、四輪業界、二輪業界の順に説明させていただきます
まずはじめに、四輪業界の2017年振り返りでございます。
2017年上期の自動車市場は約102万台、前年比104%と、4年ぶりに前年を上回り、ようやく底打ちからの回復が数字に表れるようになりました。一方、輸入車比率については、ここ数年のレアル安トレンドの影響を受け、10.4%と6年連続で低下しています。
続きまして、こちらは月別販売台数です。左側が2016年、右側が2017年上期となりますが、今年3月の販売実績は2014年12月以来、実に27カ月ぶりに前年を上回りました。また、5月、6月も前年を上回り、下期への期待が持てる実績となりました。なお、直近の7月実績も18.5万台、 前年比102%と、引き続き前年を上回っております。
また、在庫月数については1カ月台前半で推移。引き続き適正な在庫水準となっております。
こちらは生産と輸出の推移です。2017年上期の総生産台数は126万台。前年比124%と大幅に前年を上回りました。また、輸出台数については37万台。前年比166%と、上半期として過去最高の台数を記録しました。こちらは、昨今の国内市場縮小およびレアル安トレンドにより、各社が輸出シフトを進めてきたためと言えます。
こちらは輸出台数をカテゴリー別、輸出相手国別に見たものです。上のカテゴリー別を見ていただくと分かる通り、乗用車を中心に大幅に前年を上回っているのがお分かりいただけると思います。
その下にございます輸出相手国別では、販売が上向きとなっているアルゼンチン向けのほか、中南米域内への輸出が増えています。
次に、中古車・新車別の販売台数です。新車市場に回復が見られる中、中古車の上期実績も前年を10%上回りました。年間でも昨年同様、約1000万台の規模を維持する見込みでございます。
続きまして、こちらはブランド別の販売台数とシェアの実績です。右側の16年通期および17年 上期の実績を見ていただくと、昨年と比べて大きな順位の変動はありませんが、Fiatが1.7%ほどシェアを落としている一方、同じFiatグループであるJeepのシェアが1%以上伸びています。また、GMとワーゲンが若干シェアを伸ばすなど、上位に復調の兆しが見える中、日系ブランドも引き続き堅調な販売を続けております。
次に、上期における最大のトピックは、やはり市場の回復が目に見えて表れたということだと考えますので、こちらのページにそれをまとめております。
上期に得られた好材料としては、まず経済指標がさらに好転し、特に失業率が低下に転じたこと。また、FGTSという保障基金を引き出せる条件が広がりました。そういった中で、自動車市場も販売台数、輸出台数が前年を上回り、工場稼働率が昨年は半分を下回っていたのに対して、今年は50%まで持ち直しています。
また、長期的な観点で言うと、労働法改正案が下院・上院で可決され、労働法の近代化が進むといった点も、業界としてはポジティブに受け止めて良いと考えています。
一方、懸念事項としては、5月にテメル大統領の汚職隠蔽疑惑が発覚したことが挙げられます。自動車業界では、市場回復に向けた準備が整いつつある中、政情不安は払拭されておらず、安定的回復を確信するには至らないといった状況です。
次に2017年下期の展望に移ります。
こちらは2017年の自動車業界予測です。左が年初に立てられた予測、右が今回の修正予測になります。
まず上段の国内市場から見ていきますと、ANFAVEAは通常6月に販売予測修正を発表しますが、今年は6月時点でいまだ予測を分析中とし、前回予測をスライドさせています。
一方、自動車部会は年初時点で210万台と予測しておりましたが、回復が予想より少し早まったため、5万台ほど上方修正し、215万台とさせていただいております。
なお、販売についてのANFAVEA修正予測は9月頃に発表されるのではと予測されています。
次に、その下段にある輸出台数について、ANFAVEA予想は直近のトレンドを反映し、前回より15万台の上方修正。生産台数については20万台の上方修正をしていますので、自動車部会もその数字に合わせた予想としております。
続きまして長期展望に移ります。
こちらは現状の経済、市場環境を踏まえた長期予想ですが、先ほどご説明の通り、足元の市場で回復傾向が見られ始め、長期的には緩やかな成長基調と予想されます。一方で、安定的回復に向けては、引き続き政治状況とその経済への影響を注視する必要があると考えております。
次に、長期展望のトピックとして、今年で終了する「INOVAR AUTO」に替わる自動車政策の枠組み、「ルート2030年」(Rota 2030)を紹介いたします。まだ議論・検討中のため、具体的なことは申し上げられませんが、こちらにございます通り、自動車部品サプライチェーン、技術開発・生産技術、環境、安全、少量生産ブランド、競争力のあるコスト構造、という6つの領域に分け、政府、ANFAVEA、自動車会社など業界全体で議論を推進しておりますので、こういった動きとも連動しながら事業を進めていく必要があります。なお、具体的な方向性は来月末にまとまる予定と聞いております。
続きまして、日系ブランドの課題への対応についてご説明いたします。
こちらは昨年のシンポジウムより一貫してご説明させていただいております、日系ブランドとして認識している課題と、それに対する各社の取組みです。今回は、上段の事業体質の強化について各社のアップデートがありますので、そちらを紹介させていただきます。
まず、トヨタさんでは、前回紹介させていただいたエンジン工場に加えて、Etiosのブラジルからコスタリカおよびホンジュラス向けの輸出を今年6月から新たに開始されました。また、カローラの中南米向け輸出もさらに拡大される予定と聞いております。
一方、日産ではKicksという小型SUVのブラジル生産を今年4月から開始され、今期中に輸出を開始するというアナウンスがされています。
弊社では、ブラジルで開発いたしました小型SUV「WR-V」を2月からブラジルで生産を開始、3月からは南米域内への輸出を開始しております。
このように、ブラジルからの輸出拡大を通して、為替影響を回避するとともに、量を束ねることによってコストを低減し、事業体質のさらなる強化を図っています。
それでは、四輪パートの総括に移ります。
この半年を振り返りますと、主要経済指標がさらに好転し、販売・生産台数など回復が目に見えて表れ始めました。一方で、政情不安により、持続的回復に向けては懸念があります。
このような状況への対応としては、やはり、引き続き環境変化に負けない事業体質強化を推進すること、具体的には現調化と輸出によるコストと為替影響の低減が必要です。
一方で、それらの加速には、先ほど説明いたしましたルート2030年を含め、官民連携の下で自動車産業の枠組み作りが必要と考えております。
それでは、そのような背景を踏まえた政府への提言でございますが、これまでも申し上げてきました、こちらの1~3の項目に加えて、先程のルート2030年についても入れさせていただいております。
具体的には、内外差別や過度な国産化要求がされないこと、新技術の導入を推進する政策であること、燃費基準等国際基準に調和した内容であること、といった点について、引き続き業界全体で議論していく必要があると考えておりますので、どうか皆様ご協力賜りますようよろしくお願いいたします。
四輪については以上となりまして、続きまして二輪業界について簡単に触れさせていただきます。
まず、生産・販売の動向です。長引く不況や、依然高い失業率による購買力の低下などから、2017年上期の国内卸販売実績は40万台。前年比89%と6年連続で前年割れとなりました。また、生産は42万台。前年比91%となりました。昨年に比べると下げ幅が縮小してきてはおりますが、二輪はまだ回復には至っていない状況でございます。
こちらは登録ベースの月別販売推移です。
前年比で見ますと、5月が前年同月を上回り、その他の月も下げ幅は縮小傾向にあります。そのような状況から、クレジットの緩和、金利低下などにより、下期には緩やかな回復を期待しています。
二輪についても四輪と同様に、市場状況に応じた事業体質強化、および商品競争力強化を推進することにより、回復時の飛躍につなげたいと考えております。
はい。以上で自動車部会の報告とさせていただきました。ご清聴ありがとうございました。
司会
溝口部会長、たいへんありがとうございました。それでは質問のある方、挙手をよろしくお願いいたします。はい、お願いいたします。
質問者
販売の件なんですけども、四輪が回復傾向にあって、二輪がまだまだ減っているという事に関して、見方としましては、中間層の購買力は上がっているけれども、中間層未満の購買力が回復しないという見方なのか、それとも、中間層以下の購買力も上がって、二輪を卒業して四輪へステップアップする層が増えている、どちらかなというのをお聞かせいただければと思います。
溝口部会長
中間層の購買力が良くなったとは思えないんですけども、例えばブラジル社会はA・B・C・D・Eと分けますね、その、統計的に、所得によりまして。やはり今回の、不況と言うんですかね、C・D・Eが一番影響を受けています。実は、統計的にはいま失業率は13・何パーセントとか言っていますね。
これをABCで分けますと、実はDとEクラスは30%なんです、失業率は。それがちょうどオートバイを買っていただくお客様なんです。実は地域によってもまだ差があるんですよね。東北と南、これもまた。ということは、ブラジルは平均で語れないわけですよね。統計的には13とか言っていますけども、それをかなり分析しないと分からないんですけども。
一方、自動車産業、特に日系ブランドですか、これはワーゲンとかFiatに比べると落ち幅が少ないんですよね。ほとんど下がっていないんです、生産が。これは何が理由かと言うと、先程の二輪の説明と同じなんです。ワーゲンもFiatも大衆車が多い訳です。
だから、失業率とか、まあ失業率以外に、御存知かと思いますけど、ブラジルの世帯の6割がすごい借金しているそうなんですよね。この借金は実は2009年、10年ごろに始まっているんです。いまだに払えないんですよね。払えない上に仕事を失った、だから底辺の方は非常に苦しい訳で、もう少し時間がかかるのかなと、二輪については思っています。
司会
はい、ありがとうございます。他にご質問ございませんでしょうか。はい、お願いします。
質問者
輸出の台数が飛躍的に伸びているのも本当にすばらしいことだと思うんですけども、まあブラジルは昔からブラジルコストという、色んなコストアップのファクターが多くてですね、中々輸出にはそんなに向いていないんじゃないかと、勝手にまあ私そう思っていたんですけども、で、為替も安定している中で、なぜこういうふうに競争力を持って輸出が増えたのか。元々ブラジルコストはあったんだけど、それでもやっぱりブラジルの自動車というのは競争力があったのか、あるいはもちろん各社さんの努力でコストを削減されているのか、その辺のことをちょっとお伺いしたいなというのが一つです。
もう一つは、実際に競争力があったとすればですよ、先程仰った政府への低減、こういうことが本当に認められれば、さらに競争力が出て、もっと輸出が増えるということなので、日系の自動車会社さんだけではなくてですね、外国企業の自動車会社と連携して政府に対するアプローチをしているといったような事情があるのかもちょっと教えていただければと思います。
溝口部会長
はい、あの、正直言って競争力があるとは思えないんですよね。かなり努力があると思います、各社。やはり、為替リスクヘッジ、それと、国内の工場の稼働率を少しでも上げたいという気持ちがありますから、まあリスク対応と考えられた方がいいのかなと思いますね。よその会社の実力は良く分かりませんけど、多分、ブラジルコストは皆同じですから、多分苦しいとは思います。
ただ、まあ確かにブラジルコストというのはございますけども、もう、変わらないでしょうねという。じゃあどうやってブラジルコストと共存するかといいますと、やはり、例えば、一人一人の従業員の給料は安いんですけど、会社負担の労務費として出ていくお金は本人の給料の倍以上でしょ。
そういうのがすごく影響しますよね、コストに。例えば弊社でいいますと、ブラジルの二輪工場でも四輪工場でも、生産効率という観点で言えば、各部門、例えば溶接とかプレスとかございますけども、世界トップレベルなんですよ。生産効率といいますと。だけどコストに換算すると、世界一高いんですよね。だけど働いている人がね、世界一の頑張り屋なんですけど、お金に換えますとたいへんなんですけど、それが労務費、電気代とかですね。
だからやはり我々は、労務費が高い、しょうがない、もう自動化するしかない、以前からやっているんですけども、さらに自動化を進めていくと。電気代が高ければ自分で作るしかない、うちは風力発電をやっていますよね、例えば。まあ税金は払うなとは言いませんけど、節税、税金も高い国ですから、税金は節税する方法を考えるとか。
それと、やはり、例えば安定している時期でも次に何が来るか分からないのは、まず為替リスクですよね。あとインフレもございますけどね。インフレは今後少しは安定、過去みたいに月50%というのはもう来ないのかも知れませんが、やはり為替はこわいですよね。そこらはやはり、輸出を、輸入した分くらい、輸入した金額分ぐらいは輸出して、どっちに転んでもいいように。ただ技術的には難しいですよ。ブラジルコストをどうやって。輸出するにも高ければ誰も買ってくれませんので。と考えております。
司会
はい、ありがとうございました。他にご質問ございますでしょうか。それでは今のご発表ですけれども、四輪の方は販売が回復傾向にございまして、下期がたいへん期待されると。それから生産も大幅に前年を上回り、輸出は過去最高水準に近付きつつあるということで、全体としては安定しているとは言えないけれども、市場の回復が感じられると。
一方二輪の方は、今お話にありました通り、生産・販売もまだ回復に至っていないと。一方で戦略の方ですけども、現地生産、それから中南米地域への輸出の拡大等、事業体質の強化を進められるということと、それからルート2030での取り組みがしっかり効力のあるものになるよう働きかけていくと。こういうお話だったかと思います。たいへんありがとうございました。
続きまして、コンサルタント部会、西口部会長よろしくお願いします。
コンサルタント部会
西口阿弥 部会長
コンサルタント部会の西口です。どうぞよろしくお願いします。では早速始めたいと思います。
構造改革は必要でありますが、ブラジルは世界でも投資するのに魅力的な国です。EYでの世界対象のアンケートを行い、投資をしたいトップ10の国は、1位がアメリカで、中国、イギリス、ドイツ、カナダ、フランスに次いでブラジルは7位となっています。
経済成長へのドライバーですが、まず政治的、産業環境から申し上げますと、産業によっては厳しい状況にあり、なかなか回復の兆しはこれからであると聞きます。しかし一般的には、2017年からブラジルは景気回復の兆しが見え始め、市場の回復につながるのではと言われています。
政治的にはまだ不安定で、残念ながら必要な改正成立が遅れる可能性はあります。幸いにも労働法改正は7月に議会で承認され、11月に施行されますが、税制改正、年金改革についてはまだ成立しておりません。
経済については、一般的には、2016年に底を打ち、2017あるいは2018年から回復し始めるのではと言われております。インフレは落ち着き、政策金利Selicの引き下げも行われましたが、残念ながらまだ消費者用の貸出金利については、経済の不安定性、不透明性から同じ比率で下がっておりません。それでも、天然資源が豊富で、大きな消費基盤を持つブラジルでインフラ開発への投資がされ続ければ、投資するのに魅力的な国であります。
「回復途上のブラジル経済-いま打つべき戦略は」。コンサルタント部会では、まだ回復途上である間、特に政治的には不安定ではありますが、経済回復の見込みがあり、低いマルチプル、弱い通貨では、M&A環境が好ましいのではとの意見がありました。
労働法改正によって、以前問題となっていた特定な場合の通勤時間を勤務時間に入れないことや、残業のフレキシブル化によって、社内の人事ポリシーなどについて整理することも考えました。業務プロセスのデジタル化やロボット化については、特にロボットについてはまだ将来先のようですが、他の国などの企業の動向などを見て、特定業務の効率化、アウトソーシング化などについても考えるのはどうでしょうか。
コンサルタント部会では、特に会計士や、日本で言うブラジルの税理士にあたる業務については、将来93~84%の業務をロボットがこなすことができるとされていて、切実なチャレンジとなっております。
コンプライアンスでは、2018年に導入されるeSocialとBlocoKについての準備をすること。税務についてはキャッシュフローの圧迫の対応策としてはPERT、連邦税の決算特別プログラムで、国税庁、あるいは裁判で議論になっている連邦税を分割し、罰金などの支払いを税務上の欠損金と相殺可能とするプログラムを利用したり、または貯まったICMSのクレジットの対応で解消することを検討することが考えられます。また可能な場合、移転価格の計算方法を変えたりすることなどで節税も考えられます。
キャッシュフロー対策としては、多くの日系企業は対応されており、在庫の管理、債権や、債務管理、資金貸借、増資や借り入れの比較分析などの検討をされております。
コンサルタント部会では特に、景気回復に向けて、M&Aを行う際、現実はブラジルで買収後、中々その後の業績改善が見られない、投資の回収ができないなどと日系企業さんからの声を聞きます。ブラジルの状況も分かっている日系企業の担当者の方は多くいらっしゃいますが、中々日本の本社に、ブラジルの文化、なぜ必要以上なデューディリジェンスが必要なのかが説明が難しいと聞きます。それでは、できるだけ数字で表し、難しさを見えるように、件数や他の国との比較など「見える化」をすれば説明しやすいのではないかと意見がありました。
また、先進国と発展途上国でのM&Aは気をつけるポイントが異なり、ブラジルでのM&A環境、ブラジルで案件が成立しない主な理由、リスクと課題についてと、労働リスクについての話をという声があり、発表したいと思います。ご参考までに2017年3月から4月にかけて行われた、EYでの45カ国、2300人対象の統計です。ブラジルの回答者は黄色、灰色はその他の回答者となっています。
M&Aにつき、過去1年に買収計画を取りやめ、あるいは成立しなかった経験があったか。ブラジルの回答者は64%が成立させることができなかったとしています。そのうち、経済と政治の不安定性では65%。DDによって発覚した問題は59%となっております。他の国は43%となっております。ブラジルでのDDと同じ比率で、サイバーセキュリティに関する懸念で成立しなかったことが理由となっております。
コンサルタント部会では、先程申し上げましたように、M&A環境がいま好ましいのではという意見がありました。またブラジルは、ラテンアメリカでは2億5000万人で最大な人口を持ち、ファミリーオーナーの事業が多く、特定産業については分断化していて、買収しやすい利点もあります。また特定産業分野は高成長の可能性もあります。インフラ投資も高い需要があります。また、特定の地域や産業については、税制優遇策もございます。
ブラジルで案件が成立しない主な理由としては、大きな要素としてはブラジルと日本の文化の違いを考慮していない点がございます。DDに関しては、税務、労務はもちろん、会社や産業によっては不正リスクについてのDDや、人事のDD、環境のDDなどを行うことが必要な場合もございます。ブラジルコストに含まれる過剰なブロクラシー、M&Aに関する法的手順なども理由の一つです。税務、環境、労働問題などによる複雑な規制環境も挙げられます。特にファミリーオーナーの買収先のインフォーマルな経営品質、その管理も挙げられます。
また、買収先が中々情報を提供しない。また、入手できても、その財務や他の情報品質が低いということも挙げられます。また、ファミリーオーナーの会社の公表されている情報はほぼありません。M&Aから得られる組織統合などから得られるシナジー、組織再編から得られる効果、ゲインの過剰評価、非効率な取得後、統合後の会社のモニタリングが挙げられます。ジョイントベンチャーなど統合した際のパートナーが財務問題を抱えている場合のリスク、取引が完了するまでの期間の過小評価、つまり考えている期間よりも多く一般的には時間がかかります。
M&Aのリスクと課題については、文化要素はビジネス、交渉、DDなど色んな場面で異なることがあります。労務問題については後でお話します。財務については、租税、債務者の引き継ぎが注意点です。ブラジルの複雑な税法によるコンプライアンスが行き届いていないことへの税務リスク、組織再編に関わる課税もございます。特に財務・会計に関する情報の品質や、透明性に関するチャレンジは多くあります。オフィシャルに帳簿に記帳されていない取引、債務、見えないリスクがある場合も多くあります。
ブラジルでCaixa2と言われている、帳簿に記帳されていないキャッシュなどがある小規模な会社、あるいは特定な産業もございます。小中規模の会社は、ITに関しては時代に遅れた、あるいはアップデートされていないERPなどを使用し、買収先のビジネスを理解することができないことで、買収後の統合の際に課題を残すことが多いケースがございます。
ブラジルの会計基準はIFRSにコンバージョンされておりますが、大規模会社や上場会社を除き会社の義務はなく、IFRSが十分に認知されているとは言えない状況です。その結果、収益認識が曖昧であったり、開発費の資産計上や営業費用の繰り延べ費について会計方針の策定が不適切な場合がございます。また、訴訟損失や長期従業員給付にかかる引当金が計上されていない場合もあります。
ターゲット会社が大口の売上やその他の収益、費用によって大きく利益が変わる構造であることがございます。変動費用に関しては、顧客への価格転嫁が難しく、結果、営業利益を押し下げる要因となることもあります。また、為替に対するポジションも不適格で、大きな影響を受けることもございます。売掛債務の未回収や入金サイトの長期化はキャッシュフローや経常利益率を減らすことになり、債権にかかる貸倒引当金や在庫のカ陳腐化、引当金不足は一般的です。
次にブラジルの労働訴訟についてお話ししたいと思います。
ブラジルでは労働訴訟の数は世界でも多いと言われております。日本の労働関係民事通常訴訟の受理数は2015年でも3389件で、労働審判は3679件、合計7068件です。ご参考までに、労働審判手続きは、労働審判員3人で組織され、個別労働紛争の調停を試み、調停による解決に至らない場合には事案の事情に応じた柔軟な解決を図るための紛争解決手続きです。労働審判に対して当事者が異議の申し立てをすれば、訴訟に移行します。
ブラジルは2015年で376万8454件訴訟が受理され、日本を大きく上回る受理数となっております。年々増え続けており、2016年には約400万件の受理数がありました。
また、御参考のため、弁護士の数は2015年では日本は3万6415人、ブラジルは2016年で104万4753人となっております。
主な労働訴訟の提訴の理由としては、労働法に基づく残業代を支払っていない、ブラジルでいうcargo de confianca、つまりマネージャークラス以上で管理職であった場合は、残業代は支払う義務はありませんが、労働法に従った管理職ではなかったための残業代の要求などが挙げられます。休憩時間、契約内容を超えた業務履行による追加給与支払い、同職種による賃金格差の支払いなどが挙げられます。
コンサルタント部会では、日系企業はある程度の会社の労務債務、労働訴訟のリスクについて認識しているのではとの意見がございました。
そこで、ブラジルでは労働債務について顕在的債務と潜在的債務があるのではとの意見がありました。顕在的債務は会社が労働リスクを認識していて、労働裁判になり得ることを見据えている場合となります。潜在リスクは例えば、管理職の残業の例や、契約内容を超えた業務履行による追加の給与支払いのように、会社側は労働法に則った残業や給与支払いをしていたと認識していたが、従業員はそういった認識をしていなかった時のリスクとなります。
潜在的債務については、弁護士が成功報酬を要求して、悪意に従業員を促したり、以前に退職し労働訴訟を提訴した昔の従業員のケースを聞いたり、会社に何らかの理由で不満を持って提訴されるケースが多くございます。
コンサルタント部会の懇談会で一番M&Aなどでうまくいかない例として、文化の違いを考慮していない場合があると多く挙げられました。法律に関わる文化の違いは、日本の法律は辻褄がつき、発想は常に簡便化をするとなりますが、ブラジルの法律は皆さんご存じのように、法律、裁判手続き、全て複雑で、辻褄が合わない場合もございます。複雑な法律環境はブラジルで言われるinseguranca juridica、法的不安定性を招き、法律の解釈などの違いから専門家や裁判判事などによって法的見解が異なる可能性がございます。
労務についての最後のコメントとしては、M&A後の労働雇用、債務の継承に注意すること。多くのブラジル企業は短い間勤務する前提で雇用している事で、日本企業が従業員雇用の際の条件が異なる場合がある事があるので、その再検討。労働訴訟が少しでも起きにくくするためのより良い環境をつくるのはどうかという提言で終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
司会
西口部会長、たいへんありがとうございました。ご質問のある方、よろしくお願いいたします。はい。
質問者
非常に分かりやすいご説明ありがとうございました。細かい説明はなかったんですが、税務の所に出ておりますPERTですか、直近の案件だと思いますが、税務上の係争、あるいは訴訟といったことが起きている企業多いと思うんですけども、そういった場合、いまPERTはやっぱり活用した方がいいのか、あるいは活用しようと思った時に、リスク、あるいは注意するような点は何なのか、ちょっとポイントでお教えいただければありがたいです。
西口部会長
そうですね。PERTはですね、もう議論されている場合の分割なんですけれども、まあ日系企業さんで、将来勝つ可能性が高いという場合には、どちらが良いか考えないといけないんですけれども、その可能性が低い、それによってキャッシュフローがすごくインパクトされているといった場合には、まあ活用することもありなのではないかと思います。こちら、一応8月末までになっておりますので、もしご検討される場合にはできるだけ早くお願いしたいと思います。
司会
はい、ありがとうございます。先に手を挙げられたので、緑の方にお願いします。
質問者
NTTブラジルの矢沢でございます。M&A断念の主な理由のところにですね、ページは4ページです、サイバーセキュリティの懸念というふうにあるんですけれども、この懸念というのは具体的に何か、もし分かれば教えて下さい。
西口部会長
そうですね、まあ、私の方で見るのはですね、会社内での、特に、例えばメールだとか、電子的な情報のリスク管理ができていなくて、本来だったら情報を持ってはいけない、あるいは持つ必要がない従業員が、そういったサイバーセキュリティの管理がなくて、まあ見えてしまっている。あるいは、それを悪用して不正を行っているといった例がございます。
質問者
了解しました。ありがとうございます。
質問者
もしお聞かせ願えたらなんですけど、コンサルタント部会に参加なさっている企業の業績の動向というのが、もし伺えたらうれしいです。
西口部会長
そうですね。申し訳ございません、ちょっと今回ですね、コンサルタント部会での懇談会はどちらかというと日系企業さんへの提言がメインのお話になってしまいまして、次回は業績の方も。
質問者
私の質問もサイバーセキュリティ関連なんですけども、要するに、M&Aを断念した理由がサイバーセキュリティということは、結構業種によってそれは偏りがあるんですか。例えばIT関係の買収だったり、金融関係の買収であったり、そういったところはそこを重く見ると。逆に製造業だとか他のところだと、まあそんなにこれがノックアウトファクターにならないのか、そこの点が一つと、あと、私なんかの感覚ですと、例えば銀行の、色んなその、個人的な送金にしてもですね、日本なんかよりも、スマホを使ったりですね、非常に多いというふうに、発達していると思っているんですけど、これは逆に、無茶ぶりですけど、小池さんなんかにもお聞きしたいんですけどね、ここはそんなに脆弱なんですか。ちょっと、そんなことをやってて、危ないのかなと。スマホの送金とかですね。他国に比べてここのそういった、銀行のシステムだとか。
司会
競合他社さんのことはコメントしづらいかもしれないですけど、まあ一般的には、金融界においては、各国の金融当局がですね、このぐらいのレベルのセキュリティ対策をしなさいという目線が示されておりますので、その中で行われていると。国によって水準がやはり違うというのが、確かにあるとは思います。
西口部会長
サイバーセキュリティについてのご質問は、例えば、もちろん金融機関ですとかなり厳しいセキュリティはないといけないんですけども、ブラジルの場合は、金融機関である場合と製造企業である場合というよりは、会社の規模ですね。やはり会社の規模が小さいですと、そこまで、例えばファミリーオーナーさんの企業さんですと、そこを買収する場合には、そこまでの管理が行き届いていないということで、どちらかと言うと規模の方でリスクが高いという傾向はございます。
司会
はい、ありがとうございます。それでは最後にもう一方、お願いします。
質問者
労働法の改正のことでお聞きしたいんですが、メリットとデメリット、日本の企業の方々が感じるポイントをいくつか教えていただけないかなと思いまして。
西口部会長
私の肌感覚なんですけども、あまりデメリットはないような気がします。メリットとしてはですね、ちょっと先程申し上げましたように、例えば工場を持っていて、近くに従業員の方が住まわれていない場合の、例えばバスとかですね、通勤手段を助けている会社さんとかがあって、以前はその通勤時間も勤務時間としてみなされるということが、これからはみなされないだとか、あと残業についてもですね、週あるいは月によって、例えば1日6時間、今までは8時間ですけども、6時間働いて、あまり業務がない時にはですね、でその分を、その2時間を業務が集中している時に働いてもいいといったようなフレキシブル化がされますので、どちらかと言うと、日系企業さんに有利な労働法改正だと思います。
司会
はい、ありがとうございます。そうしましたら、今の発表ですけれども、経済回復が期待される中で、現在の為替や株価からすればM&Aのチャンスはあるのではないかと。それから細かい所で言うと、ロボティックスとかの導入の流れなども要注目であると。それからブラジルで日系企業がM&Aを断念する理由には色々ありますけれども、ブラジル固有の問題や課題や文化をしっかり予見して、準備すれば、恐れることもないのではないかといったお話であったかと思います。それでは、西口部会長、たいへんありがとうございました。
そうしましたら前半の部はここで終了とさせていただきまして、今3時19分ですが、予定通り3時半から後半の部を開始させていただきたいと思います。コーヒーブレイクですので、外にコーヒーをご用意させていただいておりますので、また3時半にこちらにお集まりください。よろしくお願いします。
コーヒーブレイク
後半司会
大久保敦 企画戦略委員長
よろしくお願いいたします。まず、化学品部会の発表をいただきたいと思います。鎌倉部会長より発表をいただきます。鎌倉部会長、よろしくお願いいたします。
化学品部会
鎌倉勇人 部会長
あらためまして、皆様こんにちは。スリーボンドの鎌倉です。本日は私の方から化学品部会の2017年の上期の回顧と展望について説明させていただきます。お願いします。
本日は以下の順番で説明させていただきます。業界的に大きな動きがございましたので、世界の化学業界の動向、日本の化学業界の動向、そして、メインになりますブラジル日系化学業界の動向を市場別に、最後に総括と日伯両国政府への要望となります。
まずはじめに、化学業界の世界的な動向について説明させていただきます。
こちらのグラフは化学産業界の世界売上規模ランキングを示しております。1位はドイツのBASFとなり、一部、ケムチャイナ、中国とかですね、サウジアラビア、台湾ですね、等々アジアが台頭しておりますが、比較的アメリカとヨーロッパが強い傾向にあります。
その背景としましては、化学産業の発展というものは自動車産業、石油産業、そして戦争と、そういうものが結びついて成長してきたという背景がございます。そんな中、2015年に2位のダウケミカルと8位のデュポンの合併が決まりまして、現状グループとしては10兆円規模となり、化学産業界でも飛び抜けた存在となっております。それに触発を受け、3位のケムチャイナがスイスのシンジェンタというところを買収し、農業分野ではダウ・デュポンを上回る規模というふうにと言われております。さらに合併の余波は続きまして、2016年下期に10位のバイエルがアメリカのモンサントを買収しております。昨年から世界の化学業界が大きく動き始めております。
それでは、日本の化学業界の動向はいかなるものでしょうか。化学業界は多岐にわたる分野であることから、その規模を示す指標として、農薬と石油化学をピックアップして説明させていただきます。
農薬関連では大手日系企業がこぞって買収や子会社を設立しており、攻めの姿勢を見せております。しかしながら、石油化学の方に関しましては、リーマンショック、その後の大震災等々影響がありまして、海外進出が続き、日本国内では各生産工場の停止が続いており、次の方策を模索しなければいけない状況となっております。
以上のことから、化学業界は世界でも日本国内でも大きな変化点を迎えております。
そんな中、ブラジルの日系化学企業はどのような状況だったのでしょうか。ここから化学品部会の2017年の上期の回顧と展望について説明させていただきます。
現在、化学品部会所属企業と団体は約71社となり、今回は約26社から60件のアンケートを取り、本発表をまとめさせていただいております。細かく市場を分けてしまいますと化学業界の動向がわかりにくいことから、今回は大まかに市場を分けさせていただいております。本日は、輸送市場、ヘルスケア市場、農業市場、印刷市場、この4つにフォーカスし、説明させていただきます。
まずはじめに、輸送市場について説明いたします。主な用途は、エンジン用のシール剤、プラスチック部品、潤滑油などになります。
2017年の上期の結果はグラフの通りとなり、多くの企業で売上・利益ともに増加傾向となります。先程の自動車部会の説明がございました通り、自動車に関しては販売・生産台数ともに増加傾向であり、市場自体が回復傾向となります。
バイクに関してはマナウス地区での生産がメインとなりますが、市場の回復が遅延しております。売上増減の原因としては、まだ一部顧客の信用不安は残っておりますが、積極的な設備投資、周辺諸国を含めた市場開拓、また、工場を持つ企業が多いことから、生産体制の見直しなど、随所で各企業の対策が見受けられ、増加につながっていたものと考えられます。
輸送市場の下期の展望については、市場の回復傾向が顕著になっていくとの予想から、売上・利益ともに増加していくと考えられます。これを機に、失ってしまった顧客の再獲得、コストのかかる輸入品からブラジル内製品に切替など、各社で積極策を検討しております。
次に、食品、化粧品、医薬品を代表とするヘルスケア市場について説明いたします。主な用途は食品添加剤、スキン&ヘアケア用品、一般医薬品などになります。
こちらに関しましては、最終的に消費者が扱うものが多く、まあ消費者の購買意欲はブラジルの経済の状況の回復とは少し時間差があり、まだ各市場ではっきりと回復傾向にあるとは断言できない状況です。結果としまして、売上や利益は増加と減少、半々の結果となっております。先程の輸送市場と同様に、新規開拓や新製品の投入などポジティブな要因もありますが、顧客の信用不安、価格競争激化など、ネガティブな要素が昨年から続いております。
ヘルスケア市場の下期の展望です。消費者の購買意欲が戻ってこないことには対策が立てづらい状況ではありますが、市場活性化のための新製品の導入、プロモーション活動の強化など、各社で積極策を検討していることから、下期は増加に転じていくのではないかと考えております。
次に、農薬や肥料を代表とする農業市場について説明いたします。主な用途は、殺虫剤、野菜やフルーツの薬剤、検診用の酵素になります。
こちらの市場は気候の影響が大きいことから、ブラジルの経済の不調に加え、今年は天候に恵まれたことから、苦戦が続いている市場となります。天候に恵まれてしまうと、作物価格が下落し、製品の販売が伸び悩み、結果として在庫が増えてしまいます。そこに加え、中国やインドからの安価なジェネリック製品が攻勢を続けていることから、農業市場としては売上・利益ともに減少傾向が多い結果となっております。
農業市場の下期の対策として、周辺諸国への展開、新製品の展開、原点回帰とも言える営業活動など、ポジティブな要因はあるものの、先ほど説明させていただいた通り、気候ばかりは予測できるものではございませんので、売上・利益は不変であるという予測になっております。
最後に、インキ、フィルム、製紙を代表とする印刷市場について説明いたします。こちら、市場自体が低迷しており、高機能製品の投入やブラジルに合った販売戦略の見直しなど、積極策を行っているものの、やはり高い税制が障害となって、他社との価格競争ができないというところがあり、売上・利益ともに各企業でばらつきが多い結果となっております。
印刷市場の下期の対策として、商流の変更や周辺諸国への展開など企業内努力を続けながらも、我慢が続くという予想となっております。
その他の市場については以下の結果となります。昨年とほぼ同等の結果となり、全体的に、市場回復についてはまだまだ遅れているなというところになります。
以上までをまとめます。化学品部会の2017年の上期の結果として、一部の市場で回復傾向にありますが、多くの市場では依然として低迷が続いており、低調な結果となってしまいました。昨年からの経済不振は顧客に与えるダメージも大きく、市場の回復に連動できず、信用不安が続いております。消費者の購買意欲も同様に、一般生活レベルはまだまだ回復していないと言えます。
2017年の下期の展望になりますが、まだ市場の回復には時間がかかるとの予想から、我慢を続けるしかないというふうに考えております。この状況を打破するため、新製品の投入を多くの企業が検討しております。しかしながら、ここに多くの企業が課題を抱えています。
特に、化学企業の製品は自社の保有技術とも言えるオリジナルブランドであること、また人体や環境に関わることが多いことから、特許や当局認可が必要となります。こちら、前のグラフに特許、当局認可にかかる日数を記載させていただいております。
まあ全般的に言えることですが、特許に関しましては、大体、日本では2年か3年ぐらいで申請が終わりますが、ブラジルに関しては6年から8年。農業の認可に関しましては、日本では大体3年ぐらいかかるところが、ブラジルでは5年から7年。また、その認可に関しましても、日本では一つのところに提出すれば終わるんですが、ブラジルでは色んな当局の認可が必要というところもあり、内容自体も複雑であるというところ。医薬に関しましても、日本では1年で済むようなものがブラジルではどうしても3年かかってしまうという状況になります。
つまりは、日系企業が得意とするオリジナルの保有技術がブラジルでは生かせないということになります。化学品部会としては、このあたりについての改善を熱く、熱望させていただくとともに、ブラジルが国際競争力豊かな国になることを期待しております。
補足になりますが、スイスのSolAbility社が持続可能な競争力について各国を格付けしております。その評価は、保有資源やガバメント能力などから行われています。保有資源が多く、ガバメント能力が高い北欧が上位を占めておりますが、保有資源の少ない日本でさえ11位にランクインしております。しかしながら、ブラジルは24位となり、まだまだ先進国と差があるということを示唆しているのではないでしょうか。
最後になりましたが、ネガティブな話が続きましたので、少しだけ明るい話題をさせていただいた上で本発表を締めさせていただきます。
例えば、化学品部会にも所属していただいているカネカ様、素材メーカーとして非常に有名な企業でございますが、さらなる飛躍を目指しまして様々な分野での挑戦を続けていらっしゃいます。その中でも、自社の保有技術を進化させた結果、こちら、再生細胞のプロジェクトを立ち上げ、今まで未知の領域だった市場に挑戦されております。
リンテック、こちらは粘着技術で業界をリードする会社様になりますが、同じく保有する技術を進化させ、他社との差別化を図っておりまして、その中でも人口筋肉の開発というのは、まあ異例とも言えるような話になります。
このように、化学業界の強みは、まず独自の技術を保有していることになり、その用途は多岐にわたるものとなります。そのため、比較的世の中の変化には強い業界と言えます。冒頭にもお話した通り、化学業界自体が大きく変化しようとしています。そこに加え、浮き沈みの激しいブラジルの経済の変化にも対応し、化学品部会一丸となってさらなる飛躍を目指して頑張っていきたいと考えております。
大分時間は短いですが、以上になります。ご清聴ありがとうございました。
司会
はい、非常に分かりやすくまとめていただいて、どうもありがとうございます。ただ今の発表につきまして、ぜひ、質問ある方は挙手をお願いできればと思います。
質問者
三井物産の土屋でございます。私もこの業界に30年関わってきたので、ちょっと質問なんですが、日本の業界が進出するにあたっての、ブラジルの政治だとか経済状況だとか、あるいは法規制とかいうのは、これは全ての業界に共通することなので、それはさておいでですね、高い技術を持った日本の企業が進出するにあたって、例えば原料調達の面とか、そういった面でブラジルが他国、例えば東南アジアあたりと比べて不利、あるいはやりにくいといったような声は部会の中で出ておりますか。
鎌倉部会長
はい。原料の調達に関しましては、よくよく話題になる話なんですが、そもそもですね、化学品部会のほとんどの原料はですね、石油から大体のものは取れることになるんですが、ブラジルでは石油を加工していないと思います。
ほとんどが輸出をして、戻って来るというところになりまして、実は化学原料メーカーというのがブラジルにはほとんどございません。そういった関係から、どうしても原料の調達というのは、アジアですとか、近いアメリカというふうになるんですが、やはりどうしても、化学業界、先程もお話ししました通り、オリジナルブランドを保有しているものですから、どうしても原料も高機能なもの、高付加価値を持ったものを輸入してこなければいけない観点から、どうしても一番遠い日本から引っ張って来るケースがございます。そういったところで、まあ移転価格の回避ですとか、商流の見直しというのは各企業やられているんですが、やはりまだまだしんどいところかなというふうに感じている次第です。
司会
はい。よろしいでしょうか。他に質問ございますでしょうか。時間がまだありますので、ちょっと私から質問させていただいてよろしいでしょうか。
先程の4つの先見的な事業を創設というところで、自社の保有技術をさらに進化させてということなので、きっとブラジル国内で研究開発的なものをやっているのではないかなと思うんですけども、その際の研究開発資金というのはどのように賄っておられるのか、そういった議論はございましたでしょうか。
鎌倉部会長
他の会社様の意見、対応というのは聞いていないんですが、弊社の場合で言いますと、基本的にヘッドクォーターの方で研究の基礎がなされます。それをブラジルに持って来まして、ブラジル流にカスタマイズするというところが研究所の方でやっております。
やはり、日本のものをそのまま持ってきても中々こちらでは通用しないというところがあります。というのは、やはりコストの問題もございますので、ブラジル好みのところのクオリティに合わせていくという作業が各企業あるかと思います。
司会
はい、どうもありがとうございました。他に質問ございますでしょうか。では、ないようので、ただ今、前半の慣例にならいましてちょっと総括させていただきますと、まず、輸送関連、ヘルスケア、一部の業界ですね、こちらを除くと引き続き我慢が続いている状況ではないかなと。そういった中で、新製品の導入、さらに自社の技術をさらに進化させてブラジル市場に投入していくといったことがですね、対策の一つとして重要に位置付けられているという議論であったかと思います。
そうした中での環境整備、まあビジネス環境整備になるかと思いますが、当局の認可、特許で言えばINPI、あとANVISAですかね、ANVISAの認可、迅速化というのが重要な課題になっているということで、そういったことを働きかけていきたいということなので、カマラも、うちもそうなんですけど、引き続きですね、迅速化に向けて取り組む必要性を痛感した次第でございます。以上、化学品部会の発表ですけれども、鎌倉部会長、どうもありがとうございました。
それでは引き続きまして電気電子部会の発表に移りたいと思います。千野部会長より発表をいただきたいと思います。千野部会長、よろしくお願いいたします。
電気電子部会
千野浩毅 部会長
こんにちは。千野です。電子電気部会の発表ということで、よろしくお願いします。私、今日が実は、ここでお話しするのは5回目になるんですけど、この最初のチャートはですね、実は、過去、2回目からずっと使い続けているチャートで、使い回しをして、手を抜いている訳ではないんですけども。
電子電気業界、あるいはそれに従事する会社ということで、真ん中にあるようにですね、耐久消費財であったり、産業用の機材であったり、あるいは公共投資関連であったりという、こういうビジネスを生業にしているというのが我々の産業になります。それに対して周りに色々と書いてあるんですけども、レアル高ですとか、リセッションがあり、失業率が上昇し、政治は混乱し、財政赤字だし、インフレだし、高金利だし、良い事は何もないというので、まあご存じのように、これまで皆一緒に苦しんできたということで。去年ぐらいまでの状況で言うと、もう本当にあらゆるものが厳しかったというのが状況だったかと思います。次お願いします。
今日現在、これは皆さんよくご存だと思いますけれども、為替の方もずいぶん安定してきているし、それからリセッションというのも底を打ったのかなと。インフレもずいぶん下がってきたし、まあ政局の混乱というのが本当におさまったのかどうか分からないんですけれども、まあ一息ついていると。こういった中でですね、これからお話ししますのは、一部のカテゴリーでは確かにかなり、こう、回復というのが見えてきていて、一方でまだまだちょっと回復が見えないと、そういうふうな事業分野もあるということで、かなり、商品のカテゴリーであったり、あるいはそれぞれが入って行っている市場によってずいぶん、まあ回復の速度の違い、あるいはその度合いの違いというのがあるのかなというのが、今回の総括になります。
これは毎回お見せしている数字ですけれども、主要な家電の製品に関しての、マナウス、あのアマゾンの真ん中の、アマゾン川の上流のところですね、そこで生産している生産数量の推移ということで、14年~16年まではこれは年間、それから17年は上期6カ月分の数字ということで、これは全て前年に対する成長率ということで示しています。
最初に見ていただくのが、14年から15年にかけてというところなんですけれども、ここを見ていただくと、液晶テレビ、スマホ、電子レンジ、エアコンと皆軒並みがーっと落ちたということで、これはまさしくリセッションの影響だった訳です。オーディオだけ実は例外的に落ちていないんですけれども、オーディオはどちらかというと、カテゴリーとしてかなり、衰退カテゴリーに近いようなところがあるので、また別の要因があります。次お願いします。
15年から16年にかけてですね、実はこれ生産数量ということで言えば、いち早く液晶テレビとスマホというのは回復に向かっていたというのがデータに表れています。液晶テレビとかスマホ、なんでこうやってぱっと回復したのかというと、やっぱりこれは必需品というところがあるのかなというふうに思っています。
かなり、景気が急速に悪化する中で、買い控えというのは一瞬は起こるんですけれども、さすがにテレビが壊れるとテレビなしで1年間過ごすというのは中々厳しい事ですし、最近でいうとやっぱりスマホなしでの生活というのは中々考えられないのかなということで、こういう、家電製品の中でもどうしても必要だというものに関しての需要というのはやっぱり一番早く戻って来ると。次お願いします。
今度は、16年から17年にかけてですね、ここで、今年に入ってから生産数量で回復してきているのが、特に電子レンジ、エアコンといった類の商品群。これは元々リセッションの前にですね、ブラジルの中でも急速に需要が伸びていた成長カテゴリーだったんですけれども、これがリセッションがあったので一時期買い控えが起こっていたと。これが徐々に戻ってきていて、回復率としても非常に高い率を示しているということで。今生産数量がこうやって増えてきているので、これが次に今度は販売数量の増加につながっていくのかなというふうに見ています。
一方で唯一の例外がオーディオなんですけれども、オーディオカテゴリーというのは唯一こうだらだらだらと落ち続けていると。これはどちらかというと、景気の問題というよりは、元々オーディオの商品というのはCDであったり、USBのメディアであったりという、そういうものをオーディオ機器で聴くというのがオーディオの楽しみ方だったんですけども、最近はSpotifyですとかYoutubeみたいな、ああいうストリーミング系のコンテンツを、それこそスマホだったり、あるいはスマートテレビでそのまま聴いてしまうと。
そうするとオーディオ機器がだんだんいらなくなってきちゃったと。こういったところで、ずいぶん、カテゴリーとしての変化というのがあって、それも含めてですね、オーディオというのはどちらかというと用途として衰退しつつあるのかなというふうに見ています。
一方でですね、先程生産の数字を見ていただいたんですけど、今度は販売の方です。これは小売店の店頭での実販の数字ですね。小売の数量の数字になります。テレビとスマホということで二つ用意しています。このブルーの線がですね、これは12カ月の移動累計の販売数量。で、赤線がですね、単月、それぞれの月の前年に対する成長率というものの変化を出しています。
まずテレビの方なんですけれども、ここを見ていただくと、今年の3月ぐらいから、100%、前年に対して100%というところを上回り始めて、その後それをずっと継続していると。この数字だと、6月までの数字なんですけども、実は8月ぐらいまで前年比30%プラスぐらいのところをずっと継続してきているというのが今の状況です。
スマホなんですけれども、テレビより若干早く、これは2月ぐらいからですね、2月ぐらいから前年を上回るようになってきて、こちらもその後前年プラスアルファと。これも20%から30%アップというのをずっと続けているということで、この辺はかなり回復が顕著に見えるカテゴリーかなというふうに思います。
今回このシンポジウムに先立ちまして、2017年の上期の回顧の下期の展望ということで、会員の皆様にアンケートをお願いした結果のサマリーです。これは電気電子部会の各社の販売の動向を、前年に比べて改善しているのか、維持しているのか、悪化しているのかということで示しています。ちなみに維持というのは大体100%~109%ぐらいまでを維持というふうに、皆さんにはパーセンテージで答えていただいているので、そういうふうに類別しています。
今年の2月の時点で2017年の展望ということでアンケートでうかがった時は、改善もしくは維持というのがありまして、悪化するだろうとお答えになった企業はゼロだったんですけれども、まあその当時でいうと、いい加減2年ぐらい厳しい状況が続いてきて、景気も底を打ったのでそろそろ改善してもいいよねと、そういう期待も非常に大きかったと思うんですけれども、実際にふたを開けてみた上期の回顧として実績を見てみると、改善したとお答えになった企業が9社、64%。維持が1社、7%。悪化しましたというところが実は29%ありました。ということで、確かに回復の基調はあるものの、上期の前半戦だけ見てみるとそんなに単純にみんな改善している訳ではないよねというのが見て取れるかと思います。
一方で、じゃあこの後、下期、7月以降6カ月間はどうだろうねということなんですけれども、ここでは改善というのが10社、72%、維持が1社で7%、それから悪化というのが、実はまだ3社残っています。まあ悪化するとお答えになった企業は、上期から下期にかけて減ってはいるんですけれども、やっぱりまだまだ改善が見えないというふうなところもあるということです。
あと、ちなみにですね、これ、14社の回答の中で、上期と下期を比べてどうなんだと。ここにデータはないんですけれども、それを見てみますと、14社中の8社が上期よりは下期の方が改善するだろうというふうに見ているというふうな結果になっています。
あとこれ、定性的にですね、皆さんのコメントをサマリーしました。マイナス要因、プラス要因ということで。まず上期の回顧について。マイナス要因として言うと、やっぱり厳しいのが産業系の需要、それから官需、この辺の停滞が続いていること。それから、前年の同期はまだオリンピックがありまして、まあオリンピックに関連した特需があったと。
それが今年はないというのもマイナスの要因になっていると。それからラバ・ジャットの影響というのが相変わらず続いていたり、取引先の経営の困難、これも一部にはまだあると。特に取引先の信用の縮小ですとか、資金難、こういったことで中々売上が上がっていかないというふうなところが残っているということです。
一方でプラスの方ですけれども、特にこれは一般耐久消費財ですね、この辺の需要に関しての底打ち感が見えてきているということと、まあ回復、実際先ほど見ていただいたようにテレビ、スマホなんていうのは回復していますし、エアコン、電子レンジ、こういったところもずいぶん回復の色が出てきたんじゃないかなというふうに見えます。あとは為替が改善して安定しているということが非常にポジティブに効いていると。
それと、あと為替だったり、景気だったりということは非常に環境的な要因になるんですけども、この下に書いてある6個ぐらいの要因というのは、実はどちらかというと、それぞれの企業の内部努力、これは、リセッションの最中であったり、あるいはその前からずっと続いてきたような色んな企業努力というのがだんだん実を結びつつありますよといったところで、まあ企業努力で改善した部分ということになるんですけれども、経営体質の強化によって成果が出ている。
あるいは競争力の強化、これは例えば商品であったり販売戦略であったりというところでの色んな活動というのがシェアの拡大につながっていたり。新規ビジネスを立ち上げたり。この中には企業買収もありますし、それから自社でe-commerceを立ち上げて、そこで新たに販売を拡大していくという活動があったり、こう色んなことをやられていると。
それから輸出の拡大。それとあと、為替というのも、今はいいんですけど、先行きどうなるか分からないよねというふうな中でも、できるだけそういったメリットを機動的に活用して、それを販売増につなげていくと。こういったようなことをやって、それがうまくいっている例ですとか、あとは、そうした中で投資の方も、これも、非常に選択的ではあるものの、一部分積極的にやって、それが成果に結びついていると。こういったような状況になっています。
一方で、2017年下期に向けてということなんですけれども、下期に向けてネガティブな要因として見ている事としては、まあ基調としては回復というものの、そんなに急速には回復しないだろうと。時間はかかるだろうねというふうな見方。それから、相変わらず公共投資、それから産業向けの需要というところに関しては、まだ厳しい状況が続いている中で、非常に限られた需要を取り合うために、厳しい競争、これに直面しなきゃいけないということで、こういった厳しさ。
それからラバ・ジャット、これもまだまだ続くんだよねというところであったり。あるいは、グローバルボラティリティと書いてあるんですけれども、これはどちらかというとブラジル国内というよりは、海外で何か起こるとそれで急にレアルが悪くなっちゃうだとか、トランプさんが何か言うと為替が動くですとか、ヨーロッパの影響ですとか、中国の影響ですとか、まあこういった中々読めないところがあるというところがマイナスとして挙げられています。
一方でプラスの要因ですけれども、まず3つ。これは外部要因になりますけれども、購買力の回復、これには結構期待ができるんじゃないかと。環境として言うと、インフレの率も低下しているし、金利も下がってきている。失業率も、まあこれ以上は上がらない、これから下がる傾向だろうねといったところへの期待。それから為替も、ここのところずっと安定的に推移していますので、まあこれが安定的に推移してくれればという期待があると。それから政治の安定。こういったところがあれば、結構ビジネスはポジティブな方向に動くだろうという期待があります。
あとは、それぞれの各社の自社努力として、まあこれはこれまで続けてきたような経営体質強化、こういった活動で、やはりこれが業績に結び付いていくということへの期待であったり、あるいは競争力の強化、あるいは輸出拡大、こういったところ、それぞれ色んな形でやってきている工夫ですとか、施策というのを、ちゃんと成果に変えていくということを挙げられています。
あとは、最後にもう一つあるのは、改正労働法のメリット。これにはやはり大きな期待があるということです。
以上、まとめますと、市場回復の速度と度合いというのは、事業の領域ですとか、商品カテゴリーによって結構大きな差があるなということが一つ。特にその中でも、産業用機器、公共投資関連というところは、まあ依然厳しい状況が続いているということです。ただこれは、懇談会の時にもいくつかコメントが出ていたんですけれども、そうは言っても全然ないわけではなくて、ぼちぼちではあるんですけれども、即効性のある投資ですとか、小規模投資みたいな領域ではぼちぼちそういう需要が出始めているといったこともコメントとして挙がっておりますので、まあここにも回復の兆しがあるのかなというふうに思います。
それからあと、景気回復、政治の安定、それから為替、こういったものが良くなるといいなという期待が、ある意味現実に変わりつつあるのかなという中で、まあそうは言っても、あまり過度の期待はせずに、慎重にやって行こうということと、あとは、リセッションの時、あるいはリセッションの前からということもあるんですけど、色んな取り組みをしてきている会社が多い中で、まあ景気が回復するので量的にまた回復してきてという、ボリュームに頼ったビジネスの改善ではなくて、むしろ色々やってきている、差異化ですとか、新規事業ですとか、体質強化、こういったものをきちっと結実させるというふうなことが一番大事なんじゃないかというふうなコメントになっております。
これはシンポジウムの副題で、回復途上のブラジル経済、いま打つべき戦略は何なのといったところについてです。回復後も、相変わらずボラティリティは高いんだろうと。まあそういった事業環境の中で、やっぱりリーマンショック以降に、ブラジルなんかは特に典型的だったと思うんですけど、非常に伸びたマーケットなんですけれども、まあある意味新興国バブルに近いようなところがあったのかなと。
同じことがまた起こるわけではないし、同じことを期待して同じようなやり方をするんではなくて、そうではなくて、不断の経営体質の強化であったり、それから、事業環境の変化ですとか、制度変更、こういったものにいかに迅速に対応できるかという、そういうふうな会社としての体力をきちっとつけていくこと。あとは、自社の強みというものをしっかり見つめて、それに立脚して長期視点で経営判断をしていこうと。
あとはですね、まあ世の中どんどん技術革新が進んでいく訳で、最近でもIoTですとかAIですとか色んなことがあるわけですけども、そういったものがどうやってビジネスのオポテュニティになっていくのかと、そういうところをしっかりと見極めて、それは社会インフラだったりライフスタイルだったり、色んなところにオポテュニティが出てくるんだと思うんですけれども、そこを何とか業績に結び付けると。こういったところが非常に重要だろうというような意見になっています。
これは最後のチャートになりますけれども、商工会議所、ブラジル政府、日本政府への要望ということで、まあ一言で言うと、急成長するわけではない、高度成長するわけではないブラジルの経済、もちろん回復はするんでしょうけれども、そうした中で、本当にじゃあブラジルって投資する場所としてどれだけ魅力的なのかということがやっぱり非常に重要だということで、何とかしてやっぱりブラジルを魅力的な投資場所にしていただきたいというのが総括になるかと思います。
政治、経済、為替、治安、こういったものの健全化、安定化というのはこれはもちろんですけれども、新規事業、輸出拡大、こういったものへのインセンティブ。これもまあ一部では色んな事を言われているんですけども、それもその場しのぎではないようなしっかりしたものというのを整備してほしいということであったり。あるいは、ずっと懸念になっています税制ですね。相変わらず複雑ですといったところ、これにもどんどんどんどんメスを入れていって、やっていただきたいということ。
それから、労働関連法規。ここは今回非常に画期的な改善がなされる訳ですけれども、まあこれに終わらずですね、さらなる改善というのを目指していただきたいなということ。あと、改正労働法に関するセミナーの開催というのは、これは商工会議所にお願いしたんですけれども、早速9月1日にやっていただけるということで、どうもありがとうございます。
それと、あとは、まあいくつかの部会からも出ていましたけれども、パートナリングですとか、ファンディング、ファイナンス、こういった、色んな活動をする中で色んなスキームが必要になってくることがあると思いますので、そういったところへの支援、連携の促進。
それと、あとは南米の周辺国。ここは輸出の拡大というのもある一方で、もう一つはやっぱり、日本企業として言うと、南米のビジネスをやる時にどこに拠点を置くのと。会社によってはアメリカに置いていたり、ブラジルにもちろん南米の拠点を置かれている会社もあると思いますし、あるいは、パナマに置かれている方はちょっと分からないですけど、メキシコだったりとか、こう色んな選択肢がある中で、やっぱり、ブラジル、しかもサンパウロにぜひとも南米の拠点を置きたいんだと、それぐらい思ってくれるぐらいのことをやっていただけると、みんな喜ぶんじゃないかなといったことがあります。
ということで、発表は以上になります。ご清聴ありがとうございました。
司会
千野部会長、多岐にわたる報告をいただきまして、どうもありがとうございました。ただ今の発表につきまして、ご質問、ぜひお受けしたいと思います。挙手をお願いできればと思います。いかがでしょうか。前の化学品部会では、知財とかですね、INPIの認可の申請の迅速化という話があったんですけども、電気電子部会ではそういう問題というのは特にないという理解でよろしいでしょうか。
千野部会長
部会の懇談会の中ではそういう話は出てはいないんですけれども、例えば弊社の例で言うと、電波法関連ですとか、あるいはIT機器に関しての認証ですとか、まあそれなりに時間はかかりますね。だからあれがもっと早く済んでくれればというところは、例えばWi-Fiの認証ですとか、ああいうのも結構時間がかかるので、結局、新しい製品を持ってきてここで作ろうとすると、それなりに、他の国で作り始めるより時間がかかってしまうと、そういうことはあります。改善の余地はいっぱいあると思います。
司会
ありがとうございます。質問の方はよろしいでしょうか。ではないようなので。事業環境はだんだん良くなってきていると。ただ、商品のカテゴリーによって大きな差があって、まあ必需品、テレビ、スマホは早く回復して、その後成長商品の回復が続いているというような状況があり、産業用機器ですとか公共投資は依然として厳しいんですけれども、まあぼちぼち小規模投資での需要があるということですね。
それで、あとは、今までも不断の経営体質努力をやってこられて、その成果が出てきていると。また、競争力強化に向けてですね、商品販売戦略を見直して、新規ビジネス、e-commerceですとか企業買収を含めた取り組みもやられてきている。あとは輸出の拡大といったところに取り組んできていて、各社さん、改善への見通しというのが、ウェイトが大きいですけれども、今までの流れで行くと当初の予想よりはちょっと遅れているかなという感じで、今後の回復もあまり楽観は許さないけれども、回復見通しにあるけれども楽観は許さないというような状況ではないかなというふうに思います。
それから、技術革新の動きですね。IoT、AIの影響ですとかいうのも提起されていたかと思います。また、色々な要望が出されておりますので、こちら、既に改正労働法のセミナーはやってきております。ビジネスインフラの整備というところも、またインフラ会合等もありますので、そういったところでまたフォローしていかないといけないのかなというふうに考えております。また、ファイナンス、ファンディング、パートナリング支援・連携促進というのは、今回初めて出てきた項目なんじゃないかなと思いますので、またちょっと具体的な中身もうかがって、考えられればなというふうに考えております。以上で、電気電子部会の発表を終了したいと思います。千野部会長、どうもありがとうございました。
それでは、引き続きまして、食品部会の発表に移りたいと思います。黒崎部会長より発表をいただきたいと思います。黒崎部会長、よろしくお願いいたします。
食品部会
黒崎正吉 部会長
味の素の黒崎でございます。この7月に前任の藤江から引き継いで、担当をさせていただいております。
目次としましては、ざっくりこの3点ということでございますが、全体の概要動向と、あと、食品部会、それぞれにですね、当然ですけれども企業さんの事情異なりますので、若干複雑な所もございますが、ちょっとそこの辺を丁寧にポイントでですね、市場と食品部会企業の状況ということを報告させていただいて、ちょっとイメージをつかんでいただければいいのかなと思います。原材料系動向ということでポイントで、下期の展望ということでご説明させていただきます。
国内市況でございますけれども、まず、我々のメインの市場でありますスーパーマーケットでございますけれども、こちら、食品に限らないで、トータル、全ての商品を含んでの売上高前年比はですね、6月まで直近1年のうち10カ月間で前年を上回っていると。
まあ2月、3月だけですかね、前年を下回ったのは。その前2年間ずっとマイナスであったのが、ここにきて12カ月のうちの10カ月が上に来ているということで、経済情勢の悪化に底入れ感が出てきております。緩やかな回復基調が続いているという状況でございます。全体としましてはですね。これはブラジルスーパーマーケット協会のデータです。まあ明るい兆しということでございます。
2点目に、一方、それでは我々が担当しております食品・飲料・日用雑貨の部分はどうかと。これは直近の17年1月-3月のデータをチェックしておりますが、数量前年比、まあ94%と。同金額比、これカッコで実質と書いておりますのは、インフレ率を差し引いておりますので、実際はもうちょっと大きいという数字でございます。
これが96%強ということで、厳しい状況のように見えますが、3月には若干の回復基調に来ているんじゃないかと。後ほどこれは表でお示ししますが、その表を見ても、本当に回復基調なのかというふうに読み取れるかどうかというのはございますが、で、若干のということで。ただ、ポジティブにちょっと見ていけるんじゃないかなという実感は徐々に湧いてきているのがこの部会でございます。ただし、事業によってですね、色んな出っ込み、引っ込みはございます。
3点目でございますが、やはりこの不況の中で言えますのは、低価格志向が強まっているということ。嗜好品への支出を抑制する傾向がまだ続いています。じゃあ必需品は回復しているのかという話でございますが、このあたりはちょっと複雑でございまして、必需品も必需品の中で、こちらにありますように低価格志向が強いと。必需品の中でも、高級なもの、あるいは価格が割高なものについては、まだ回復していないという状況でございます。
全体はそういうことでございますが、ちょっと丁寧に、ポイントでございますけれども、我々の食品部会の状況、各企業のポイントをご報告いたします。
調味料については、市場はほぼ前年並みでございますけれども、食品部会所属企業では、まあ対前年で107%とか、一部商品は102%とか、良い状況になってきているということが言えます。
飲料でございますけれども、飲料全体は落ち込んでおりますけれども、カテゴリーとしてはですね、乳飲料のところですね、これはまあどこの企業さんかと言えばヤクルトさんを中心にということでございますけれども、金額ベースで前年並み。数量ベースでは前年比6%減も、新製品投入や販促活動により5月以降回復の兆しを感じていらっしゃると。
まあ非常につらい時期を我慢しながら、工夫をして、これからさらにやって行くぞといったような状況でございます。粉末飲料については、市場はほぼ前年並みですが、これはもうちょっと、実際は、税の関係がありまして、正確にデータ取れないんですけども、若干伸びてきている。伸びているのが実態です。これ、低価格なんですね。
続きまして、しょうゆでございますが、こちら輸入をされていますので、非常に、現地メーカー、つまりSakuraというメーカーでございますけれども、販売価格差によって非常に厳しい状況が続いております。日本食材輸入代理店とともに販路拡大の取組み。新たなターゲットや需要発掘を目指していこうという姿勢でいらっしゃいます。
清酒につきましては、これは非常に厳しい状況でございます。10%程度の減少ということでございますが、これ、酒類全般で言いますと3%の減なんですけども、やはり嗜好品の中でも、高級なもの、つまり価格の張るものはかなりまだまだ厳しい状況が続いているということで、酒に対しても顧客の低価格志向が強まっています。
コーヒーでございますけれども、レギュラーコーヒーについては、原料相場がですね、豆の方が若干軟化の兆しということで、いい感じにちょっとなってきているのではないかと。かたやインスタントコーヒーの方ですけれども、これはまた原料が異なるんですね。こちらの方は若干いま苦しんでいると。ただし、数量ベースでは12%減ですけれども、金額ベースでは10%増という努力をされています。これはつまり商品力があるということかと思います。
即席めん市場ですけれども、市場はまあ大体横ばいと。本来、不況になると即席めんって強いんですね。それがまだ横ばいかなというところは、いかにまあ、中々厳しい不況が続いてきたのかなということの表れかと思いますが、ただし、所属企業は金額ベースでも数量ベースでも微増ということで、良い成果を出されているということでございます。
食肉の方ですけれども、食肉業界は3月の食肉不正問題、これは品質チェックのまあ、一部偽装的なものですね、の中で、ちょっと相場は安定感に欠くという状況です。ただし、輸出は堅調と。まあ国内での活性化が課題といったような状況。
チョコレートにつきましては、やはり嗜好品ということで、数量ベースでの減少は17年もまだ継続しております。ただ、金額ベースでは値上げが進み、横ばいから微増の方に移ってきている状況ということでございます。食品部会所属企業は不二製油さんですけれども、不二製油さんはチョコレートメーカーに対して加工油脂という原料を供給されているということでございます。こちらについては、金額ベースでは微増ということで、堅実に進めているということかと思います。
香料でございますけれども、こちらは高砂さんですけれども、事業を拡大しているということでございます。主に清涼飲料、乳製品、ベーカリーが得意先として、数量を拡大していると。これ、飲料自体は落ちている中でですね、こういう拡大を図られているということでございます。そういうこともできるんだということかと思います。
食品添加剤でございますけれども、こちらは食品部会所属企業では既存顧客への販売はほぼ前年並みも、新規顧客との開発テーマは増加中ということで、今後に期待ということでございます。
次にアセロラ製品ですね。こちら、原料がちょっと不足していると。ただし需要は非常に堅調ということなので、原料状況が良くなれば確実に良くなっていくという状況。
種苗事業でございますけれども、こちらの方はかなり今苦しんでいるということでございまして、しっかり状況をウォッチしながらどういう手を打っていくかということが大切な時期と。
最後に外食産業なんですが、こちらにつきましては、まあブラジル全体の外食産業、つまりレストラン、フードサービスのところが非常に厳しい状況にある中で、こちらゼンショーさん、すき家さんですね、は、こちらにありますように予想以上の売上増と。サンパウロ郊外にも出店したということで、拡大路線を着実に進められています。まあこの不況の中でも、やはりブラジルの生活者の方々、消費者の方々がおいしいと感じる、あるいは品質に安心できる、そして、リーズナブルといいますか、アクセプタブルな価格ですかね、そこがきちんとはまると、こういう拡大路線というのが進めていけるんだなという状況でございます。
以上が各企業の状況と市場のポイントでございますが、次に原料動向ということで、4つ重要な食品部会として原料をピックアップしております。
一つは砂糖相場でございますが、2015年度後半の相場は高騰しましたけども、砂糖生産国での減産懸念が軽減したということで、16年以降下げ相場に転じているということであります。国際相場は安値にあるものの、レアル通貨安の影響でレアル建て国内相場の下げ幅は限定的になっているということでございますが、悪い状況ではないというふうに見ております。
乳相場でございます。この表でですね、先程来出ていますが、茶色がいわゆるブラジル国内、下のもう一つの色が国際相場というふうにざっくりご覧いただければと思います。乳製品、国際相場は大きく下落したんですけれども、国内相場は高値を維持しているという状況でございます。国際相場は比較的落ち着いているが、国内相場は高止まりのちょっといま状況にあるかなということでございます。
次にコーヒーでございます。これはアラビカ種の価格ということでございますが、左がUSドル、右がレアルということで、同じく茶色がブラジル国内ということで。これ、一番右側の16年と17年をご覧いただきますと、先程申しましたように、ちょっと高値で来ていたのが、ブラジル国内も価格が軟化してきていると。これは期待できる傾向かなというふうに見ております。
次ですけれども、こちらの方が鶏肉の状況です。これは後ほどご覧ください。簡単に申しますと、鶏肉の価格も安定してきていると。
今4つ、ざっくりとご覧いただきましたけれども、全般で言いますと、もちろん原料によって色々な違いは、出っ込み引っ込みございますが、全体で言うと、悪くない状況になってきているのではないか、我々メーカーにとってですね、というふうに見ております。それでは、次のページお願いいたします。
これは最初に申しました、スーパーマーケット全体の傾向ということで、青が単月の前年比、赤色が累計ということで、これ、4%弱、実質というふうにしております。インフレ率を引いておりますので実際の金額ベースではもうちょっと赤も青も上に上がるということでございます。確実にトータルではまあ良くなってきているということを示しております。
次に、冒頭申しました、2点目の食品部会対象の部分ですね。食品・飲料・日用雑貨は、ということですけれども、これ何だと、17年1月2月3月、右側ですね、マイナスじゃないかということでございますが、これ累計なので表が分かりにくいんですが、要は3月単月ですとこれが5%のマイナスになっていると。ここの1カ月だけで何とも言えないんですけれども、これはしっかりウォッチしながらやっていこうと。ただ、耐えるべきは耐えるけれども、ネガティブにはやりたくないねということでございます。
食品の方ですね、カテゴリーでざっくりポイントでちょっと見ますと、プラスアルファのポイントで見ますということで言いますと、飲料、これで言いますと赤丸してあります飲料と洗剤のところが、物量的にも金額的にも、緑のところが金額ですね、紫のところが物量です、これマイナスになっているということですね。という意味では、金額的には飲料と洗剤がかなり大きいマイナスには、この中では相対的になっているんですけれども、飲料はやっぱり嗜好品であるというところが大きいと。
洗剤は必需品じゃないかということでございますが、やっぱり使い方を節約しているのと、洗剤の中にも高いものと非常に安価なもの、安価なものがやっぱり選ばれているというふうに我々見ております。まあ、これがどう変わっていくかもしっかりウォッチしながら、タイミング良く戦略・戦術を打っていく必要があるということかと思います。
この6つの枠の中で、一番左の食品のところが結構大きいポーションを占めるんですけど、その中をちょっと見ますと、次のスライドでございますけれども、金額が増加している商品、あるいは商品群、コーヒー、砂糖、ミルク、粉ミルクというのは増加しています。逆にアイスクリームなんかはやっぱり嗜好品ということで、落ちてきている。まあ、一部ですね、こういった商品は、コーヒー、砂糖、粉ミルクといったような商品は上がってきているということでございます。
もう一点だけ、飲料のところもちょっと大きいので、ざくっと見てみますと、飲料全体ではこういうふうに落ち込んでいますと。で、一番落ち込んでいると言っていいのが炭酸飲料ですね。やはり割高なんですね。この非アルコール類のところの大半は炭酸飲料の落ち込みがやっていると。
ところが、アルコール飲料というと、その中で3%ぐらいしか落ちていないと。嗜好品なんですけど、人によっては必需品だということだろうと。その中では、必需品の中でもやっぱり高級なもの、高いものと価格が安いもので今分かれてきていると。で、全体としてはまだ下であるというふうな見方を我々はしているということでございます。
それでは、こういった状況を踏まえて、最後に食品部会、いま打つべき戦略はということでございますが、1点目は、ABRAS、スーパーマーケット協会の予測では、2017年度のスーパーマーケットの販売額は、これ1月時点では対前年101.3と初めて上にくるという予測を立てておりましたが、7月予想では今101.5。0.2%上がっているだけじゃないかというふうに見えるかもしれませんが、そうではないと。これから上がっていくようになっていけばいいんじゃないかなと。0.2%も大きいぞと。いずれにしても、それまで2年間続いていた景気低迷が、スーパーマーケット市場全体としては明らかに回復しているということでございます。
そういった中で、景気回復の波に乗れるような事業基盤の強化、新たな事業の種まき等を進めていこうということでございますが、まあ事業基盤の強化、これは好調な時もピンチの時も当然やるべきことなので、つらくてもやりぬくということ。ここで申し上げています新たな事業の種まきというのは、これは新しい商品という視点もございますし、あるいは新しい事業ということもあろうかと思います。
その中で、やはり我々の部会で重要だというふうに考えておりますのが、やっぱりブラジルの消費者あるいは生活者の方々、消費者視点で我々は、例えば商品を作っていくのであれば、作っていく。そこにやはり、ブラジルの生活者が認めて下さる価値、あるいはスペシャリティと言ってもいいかもしれませんけど、それをどう作っていくのかということが当然こういう時期にも大切だし、チャンスが来たらそれをぐっとこう押し出すと。
と同時に、この時期には、やはりある部分謙虚になって、プラス、やっぱり価格のところをどう我々は設定することができるんだろうかと。それは、妥当な価格ということかもしれませんし、簡単に言えばアクセプタブルな価格、消費者の方々のアクセプタブルな価格をどう我々、企業努力で、コストダウンもしながら、作っていけるのかというところかと思います。これを徹底的にやっていこうじゃないかということでございます。
最後の3番目は、会員企業の新たなビジネスチャンス発掘につながり得るカマラ食品部会の取組みを継続して進めて参りたいということでございます。以上でございます。
司会
黒崎部会長、どうもありがとうございました。ただ今の発表につきまして、質問をぜひお受けしたいと思いますけれども、身近な話題でもございますので、いかがでしょうか。後半になりますと急に質問がなくなってしまって。
黒崎部会長
私自身は質問がないのは嫌いな方じゃありませんので、大丈夫でございます。
司会
よろしいですか。では、ないようですので。ただ今の発表ですけれども、かなりスーパーマーケットの販売というのは底入れ感が出てきて、緩やかですけれども回復基調になっている。ただし、やはり価格低下傾向が強まって、嗜好品が厳しい。低価格のものは逆に良いという状況も生まれていると。
おそらくそれは、そういったものは、食品もそうですし、外食産業もそういうことなんじゃないかなというふうに考えております。また、そういった販売を維持するために、新製品の投入というものを行ってカバーしてきているということで、今後もですね、まあ私、外食のNew Wave Baulとか、食べましたけれども、そういったものでカバーしているということで、今後もそういったところですね、事業基盤の強化は引き続きやりながらも、新しい商品、それから新しい事業というのは、どういったものなのかなというのは興味があるところではございますけれども、ブラジルの消費者の視点に立って、新たな商品をリーズナブルな、アクセプタブルな価格で投入していくと。
そのための新商品、新たな事業というのをですね、各社さんが持っている技術ですとか、スペシャリティを生かして投入していくというのが課題と。今後もそういった取組をやっていくということではないかなと思います。そんな感じでよろしいでしょうか。
黒崎部会長
はい、ありがとうございます。その通りでございます。
司会
それではですね、食品部会の発表をこれで終了したいと思います。黒崎部会長、どうもありがとうございました。続いて、運輸サービス部会の発表に移りたいと思います。細谷部会長より発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
運輸サービス部会
細谷浩司 部会長
こんにちは。それでは運輸サービス部会、説明したいと思います。私、日本通運の細谷と申します。よろしくお願いします。
まず運輸サービス部会の対象業界なんですが、現在6つあります。物流、これは国内の輸出入とか港湾関係ですね、あと海運、航空貨物、航空旅客、旅行・ホテル、通信、ITという6分野でリーダーを決めまして、色々レポートを書いていただきました。まず、物流業界について説明しましょう。
上期の回顧としましては、国内空港の民営化に向けた入札が行われました。これはサルバドール、フォルタレーザ、ポルト・アレグレ、フロリアノポリスの4空港が、3月の入札で経営権がドイツ、フランス、スイスの企業によって入札されています。民営化されることになりました。また、Infraeroというのが将来的に廃止が検討されておりまして、2018年末にかけて残る国内54空港の民営化に向けた入札が行われるというふうに聞いております。楽しみですね。輸出入関連にいきます。2行目。
元々ブラジルではカーニバル休暇後から荷動きが活発化するんですが、今年は意外に順調に活発化しておりまして、いい感じでございます。先程貿易の方でも話がありましたが、上期の輸出総額は対前同19%増、輸入の方は対前同7%増ということで、輸出入ともに取引額は増加傾向でございます。
三つ目、3行目ですね。港湾関係の話です。税関ストライキというのがいつも悩みのネタなんですが、上期に入ってからも断続的に発生しております。3月にはサントス港の労働者がストライキで一時業務を停止。5月には空港付税関職員のストライキ宣言がされて、その11日後にストライキが実施されています。しかし6月に、税関職員の待遇改善を含む法案が議会にて可決されて以降はストライキは実施されておりませんでした。上期はそんな感じで乗り切りました。
下期の展望です。今税関のストライキの話をしたんですが、税関関係の待遇改善、中々、法律が決まったんだけどお金が払われていなかったり色々しておりまして、いつストライキが始まるか、これが懸念される材料です。あとは、物量的には、自動車関連部材の荷動きが何か期待できそうな感じ、今までの説明でもありましたけど、自動車関係、電子関係もそうですね。
この下の表を見て下さい。これは日本通運さんの実績数値より抜粋したんですが、まず引越のデータです。中米向け以外は、全体的には減少傾向にあります。日本もちょっと景気が悪い、海外も景気が悪いのか、あまり外に出る人がいなくなったのかというデータですね。右のデータは航空便のデータですが、これはちょっと面白くてですね、各地域とも増加している事が分かります。
このグレーの色で見て下さい。これは単身で赴任される方が多くなったようです。単身の傾向は特に南アジアと東アジアにて特に多く見られるんですが、我々のいる南米、ちょっと薄くてあまり見えないかもしれないんですけど、これはですね、船便ほど件数は下がっていないということ。これは輸送日数が長いために、船便が敬遠されて、航空便の利用が増えているというふうに我々は分析しております。
次、海運いきましょう。まず左下の表を見て下さい。コンテナ船です。ブラジルの経済悪化のため、コンテナ船による輸入貨物量は2015年以降、ここ2年ほど減少を続けてきました。上期の統計数値では、前年同期比約15%の増加を記録しており、回復の兆しがみられております。輸出量は横ばいで、安定した状態が続いています。南米東岸のコンテナサービスは過去2年間の荷動き低迷による採算悪化から、船会社の合理化が続きまして、スペースの供給量が減った状態のところに、輸入量が増加したために、特にアジア-南米東岸航路を中心に運賃市況は反転して、上昇傾向にあります。
右下の図ですね、ドライバルクですね。業界全体で船舶過剰の状態が続いており、運賃市況は今年3月頃に一時的に市況反転しましたが、いまだに船会社の採算分岐点を大きく下回るレベルで推移しています。完成車輸送の上期ですが、ブラジルの自動車販売低迷から、輸入車の数量は低レベルで推移しており、輸出がアルゼンチン向けを中心に増加しておりますが、船会社にとっては厳しい状況が昨年から継続しております。
下期の展望です。まずコンテナ船。コンテナ輸送分野では例年クリスマス商戦前に貨物量が増加する傾向にあります。スペースが不足する状況になった場合は、船会社が臨時船を入れ、対処する見込みです。例年この方式をとっているそうです。業界全体では、コンテナ船運航会社の合従連衡が進む見込みであり、既に発表になっている邦船3社、日本郵船、川崎汽船、商船三井によるコンテナサービス統合新会社というものが2018年4月に営業を開始する予定です。シンガポールに本拠地を置くというふうに聞いております。
ドライバルクの下期なんですが、船舶過剰状態のために各船会社は船腹の合理化を進めており、需給バランスは改善の傾向にあります。しかし、市況を大きく反転させるほどの要因には乏しく、マーケットは先行き不透明な状態が続く見込みです。完成車、自動車船ですね。ブラジルの四輪車市場は回復の傾向にあるものの、こちらも市況を大きく反転させるほどの要因にはなりがたく、上期同様に船会社にとっては厳しい状況が続くと思われます。
次は航空貨物業界。航空貨物業界というと我々運送業の業界ですね。貨物量の推移を主要3空港の取扱量で見てみました。まずサンパウロの主要2空港、グアルーリョスとビラコポスの年間取扱重量は前年比45.9%増となっております。マナウスが同じように39.4%増となっています。輸出はというと、やはりサンパウロ地域は前年比30.1%増。マナウスも同じように11.3%増となっております。主要3空港ともに、輸出入貨物取扱量が増加しております。特に輸入に関しては自動車関連部材の荷動きが好調に推移している数値となっております。
あと、ここには書いていないんですが、業界的には上期にエティハド航空の撤退や、輸出増による貨物スペースの不足の懸念がされましたが、特に輸送上の大きな影響はなく過ごしております。一方でカタールが周辺国との外交断絶行いまして、その影響によりカタール航空の利用を控える動きが見られております。
航空業界下期の展望なんですが、下の図を見てもらいましょうか。下期についても、輸出入ともに貨物取扱量は対前年同増で推移していくものとみております。それによって、貨物量増加によるスペース不足が予測されます。皆様早めにブッキングをしてやっていただくことが必要となると思います。また輸出に関しては、7月より新しい申告システムが開始しまして、手続きが一部簡素化されることが期待されます。たしか7月から始まって、9月から旧システムが使えなくなるというシステムです。次行きます。
これがキャリアさんですね。航空旅客。17年の上期の回顧としましては、国内線は有償旅客キロが対前年プラス0.6%、提供座席キロはマイナスの0.6%、利用率は1ポイントアップで、需給ともにほぼ横ばいの実績となっております。国際線は、有償旅客キロが対前年11.7%アップ、提供座席キロは7.2%アップ、利用率は3.4ポイント上昇し、供給の伸び以上に旺盛な需要が続いております。
あと皆様気になるところで、最近航空会社の受託手荷物の預け入れ条件が変わっております。今までエコノミーであれば32kg×2個だったのが、23kg×2に変わりました。これはご注意ください。
下期の展望です。国内線は各社の不採算路線の運休・減便も一旦終息した感があります。景気動向にもよりますが、下期は緩やかに回復すると思われます。国際線も国内線同様に、下期に主要路線を運休・減便する情報はなく、かつ去年のオリンピック・パラリンピックの特需はほとんどありませんでしたので、下期も引き続き前年を上回る実績が続くことが期待されます。
特記事項として書いてありますけども、6月上旬にカタールと周辺6カ国が外交断絶したことに伴いまして、カタール航空のサンパウロ=ドーハ線はアラビア半島を横切ることができなくなったので、南北に迂回するルートに変わりました。よって所要時間は約2時間プラスの16時間というふうになっています。あと、お隣の国のアルゼンチンなんですが、アルゼンチン政府がブエノスアイレスの市内にあるホルヘ・ニューベリー空港での国際線の運航禁止を決めたことに従いまして、ブラジル発着の国際線は2018年4月から徐々にエセイサ国際空港に集約されます。今ちょうど飛んでいるのが、ブエノスアイレス市内から大体7キロにあるニューベリーなんですが、来年4月からは市内から28キロ離れたところにあるエセイサ空港に集約されるということです。
ここから資料が一杯あるので、これが皆様何か分かるでしょうか。緑の線が空港アクセス鉄道です。今一生懸命つくっているやつ、本当はワールドカップに間に合わせないといけなかったやつなんですが、これはですね、12号線、この青い線の、サファイア線とかいったかな、ブラスから直通運航でターミナルに入るようになります。ただですね、ターミナル1のところで止まってしまいますので、1からは巡回バスか、徒歩で1、2、3というふうに行くという。一応環境問題があって、2と3の方には延伸ができなかったということです。ちなみにこれは、2018年上期中に運行を開始するということです。楽しみにしてください。
いろいろ資料があるんですが、これは国際線ですが、国際線の需要が多い月は1月ですね。
次、これが、ブラジルから二国間の航空需要が多いのがアメリカ、アルゼンチン、チリの順です。アメリカが全体の21%を占めております。またそれ以外は、移民政策等の歴史的背景から、欧州諸国との旅客流動は比較的大きいということが分かります。
これも国際線の資料ですが、国際都市間ではサンパウロ=ブエノスアイレスが最も多く、168万人が年間で移動しております。
国内線の、どこが多いかというものなんですが、もちろん皆さんの期待通りにサンパウロ=リオデジャネイロ線、これは日本でいうと東京=福岡線と同じ規模の人数が乗っているということです。ちょっとびっくりしますね。
今の航空の資料はウェブにアップしますので、ゆっくり見て下さい。
次に旅行・ホテル業界。これはこの上の図から読み取ってほしいんですが、2016年が悪かった分、2017年第1四半期の数字を見ると前年同期比、国内線・国際線ともに、発券枚数・売上高ともにプラスへと大きく改善しております。またホテルは、販売可能客室1室あたりの売上は前年同期比マイナス5.3%と落ち込んでおりますが、これはオリンピック・パラリンピックの反動により今年は下がったものとみられます。
下期展望としましては、航空券は国内線・国際線とも、上期よりさらに改善することが見込まれます。国内ホテルはオリンピック・パラリンピックの反動で今年の下期は大きく落ち込むでしょうから、数値も去年を上回ることは期待できません。航空券の販売実績が前年度比プラスとなっていますが、旅行代理店は地上手配やパッケージの販売が落ちているそうです。
全体的には業績は16年より悪化しています。やはり経済低迷と治安の悪化により、日本からの観光客は衰退の一方だそうです。景気回復と治安改善がない限り、観光客が増加する見込みはないというふうに仰っていますので、裏を返すと景気回復と治安改善があれば日本からどんどん人が来てくれるのかなという感じはします。
3月25日をもってエティハド航空が撤退しております。その代わりにエミレーツが大きいA380を入れたんですが、格安運賃で飛んでいましたエティハド航空が撤退したために、平均的に日本向け運賃が去年より高めとなっております。この傾向は下期も続くのかなということで、そういうふうに見込まれております。
また、旅行代理店の数が増えていることで、10年前はカマラの会員であった旅行代理店、まあ日系関係でしょうね、5社程度でしたが、今年は11社あります。それ以外にも多くの旅行代理店が存在するんでしょうけど、狭い日系マーケットで些細な手数料や、例えば30日を超える支払いタームをオファーして、顧客を取り合っている状態だそうです。
旅行代理店の経営はますます厳しくなっているので、ここを強調していただきたいと言われました。今後、無理な経営により破綻する旅行代理店が出ることも懸念されるそうで、皆様予約に際しては、好条件に目を奪われる前に旅行代理店の経営状況を見極めることも大切だということです。まあ日本でも、旅行代理店、やらかしたりしていますので、お気をつけください。
トピックスとしましては、先程航空旅客の方でも説明しましたが、今まで無料でした航空機の受託荷物が6月以降自由化されました。航空会社によっては受託荷物の取り扱い規定が異なります。詳細については、航空会社か、もしくは旅行代理店にご確認お願いします。都度確認した方がよろしいそうです。
次に下の方の、日本政府が日系四世への就労ビザの検討を開始しました。今ニッケイ新聞、サンパウロ新聞で色々出ておりますね。今後出稼ぎ需要がさらに増える事が期待できますが、現時点では就労ビザについての発給条件、運用スケジュールなどは未定です。いろいろ新聞などでは先走りしているようですが、未定です。
日本政府への要望としましては、日伯間で早く観光ビザの免除協定を結んでもらいたいということ、それとブラジルの運転免許証の取得要件が緩和されるよう日伯間で協定を締結してほしいということです。よろしいですね。次行きます。
通信業界。通信業界は3つあります。まず一つ目、携帯電話・モバイル関係。
表Aを見てほしいんですが、全体的な契約者数は、キャリア間の接続料金引下げに伴う複数SIM保有者の減少より、約200万減少しました。4Gの契約者に関しましては、2Gと3Gからの移行が進んでおりまして、約1623万増加しまして、ブラジル市場の31%を占めております。
下期の展望としましては、この表のBを見てほしいんですが、4Gへの移行はさらに加速し、年内に3Gの契約者数を超える見通しです。IoT/M2M(Machine-to-Machine)に関しては、狭帯域・低電力化に対応したNB-IoT (Narrow Band IoT)の運用が開始され、さらに普及が進む見込みでございます。次に行きます。
通信業界のテレコム・データ関係ですね。表の真ん中の左側のCを見て下さい。インターネットユーザ数は1億3911万ユーザとなり、多さでは世界4位ですが、総人口あたりの普及率で見た場合、約66%にとどまっておりますので、まだまだ伸びる余地はございます。これは南米の周辺諸国と比べても低い値となっております。
表の真ん中、Dをいきますと、ブロードバンドのマーケットシェアは、NETが31%、Vivoが27%、Oiが23%で、上位3社ともに16年から減少しております。
表のE、右側を見て下さい。インターネットの通信速度、皆さんご不満あると思いますけども、徐々に良くなっているそうです。6.8メガビットという単位ですが、前年からみると約1.5倍となっており、周辺諸国と比較しても高い数字となっております。ちなみに日本は20メガビットというふうになっております。まだまだこれも改善の余地があるので、がんばってほしいと思います。
下期の展望としましては、個人のインターネット利用多角化に加え、ビジネスにおけるインターネット経由でのシステム利用が増加するなど、引き続き増加が見込まれます。また、大都市中心部以外で高速化、安定化、低価格化が求められ、インターネットのエリア拡大や、ハイスピード回線の提供が進むことが想定されます。しかし、個人の動画サービス利用や、企業のサービス型システム利用などの大容量データ通信サービスの提供が進み、帯域の圧迫による回線安定性のさらなる低下が懸念されるところです。
これが通信の3つ目です。IT業界全般の話です。サンパウロ・ニューヨーク間をつなぐ海底ケーブルSeabras1というのが竣工しました。あと無線通信用の人工衛星の打ち上げも成功しております。通信環境の改善に繋がる取組みがありました。これらインフラ設備の本格的なサービス開始は2017年下期から18年上期に計画されております。
企業の業務用アプリケーションのクラウド化が進んでいるそうです。あとはITベンチャー企業が外部資本を得て拡大し続けており、特にフィンテック分野、ファイナンスとテクノロジーをあわせるとフィンテックというらしいんですけど、これの利用した金融商品やサービスは、2017年上期までに240以上まで増加しました。例えばスマホでのカード決済とか、クラウドで家計簿つけるとか、複数枚数を一つにまとめるとかという、そんなシステムらしいです。
下期の展望としましては、このF、右側の表を見て下さい。クラウドやアウトソーシングなど外部へITプロセスを移管する動きは継続するものと考えられており、クラウドサービスの市場は3.4billionまで伸びる見込みです。また、企業向けのセキュリティやマネジメントサービス、サービス提供事業者向けのハイスペックデータセンター、サーバー、高帯域幅インターネットの需要増も見込まれております。
次、まとめに入りたいんですが、その前にちょっと宣伝させてください。運輸サービス部会、色々セミナーや視察をやっております。今年は二つ考えておりまして、ICTトップセミナー、経営視点から考える日本企業の情報セキュリティと、IoTの最新動向について、講師をお呼びしたセミナーを開催します。時は10月19日、場所はカマラの会議室です。多く入れても50名ぐらいでしょうから、早目に申し込むようにしてください。NTTグループの専門家が来ますので、ぜひ皆様ご参加ください。この写真の下にちょっと1行だけ書いているんですが、11月開催予定で物流施設の視察会を例年通り行います。場所、まだ決めていません。発表できません。乞うご期待です。はい、最後に行きます。
副題、回復途上のブラジル経済-いま打つべき戦略は、ということで、なすべきことは何かということでまとめました。
最低限の機能を残した組織を維持し、品質・キャッシュフローの悪化を防ぎ、景気回復を待つ。先への投資能力があれば、システムの強化、社員教育への投資を行う。労働法改正に伴うコスト削減策への一手を検討、それで採用につなげていくと。
モバイルを活用した新たな商品やサイバーセキュリティ関連のサービスなどの開発による新市場の創出を行う。これに関するセミナーだそうです。魅力的な商品を創出し、需要喚起を行う。
日系移民110周年、来年です、7月です、に向けた、経済だけでなく文化・スポーツ・芸術などへの様々な分野でのブラジル・日本間の交流活発化と相互理解を高める。
ブラジルへの旅行者呼び込みのため、相互ビザ免除協定の締結、運転免許証にかかる協定の締結を行うよう働きかける。国際法にならって標準化を進めるように促していく。先程も出ましたね。税制簡素化とか色々ありました。
とにかく景気が良くなってきたのかどうか、安定してきたのかどうか、まだ判断実際につきません。また業界によってばらつきがありますので、ただ今の表、説明というより実際の数字を見る限りでは、何か明るくなってきたなという感じは、私は思っております。とにかく、やるべきことは行って、もうひと踏ん張り頑張っていきたいと思います。以上です。
司会
運輸サービス部会、非常に多岐にわたる、毎回毎回、発表で、非常にたいへんだったかと思いますけれども、どうもありがとうございました。こちらの方の発表につきまして、質問等いかがでしょうか。よろしいですかね。
ちょっとこれをまとめるのは、非常に難しいんではございますけれども、全体の傾向としては物流、海運、航空貨物等々ですね、景気に左右されるところというのは、徐々に、全体的には良くなってきているのかな、まあ急激にではないですけれども、徐々に良くなって、特にその辺の対策が結構とられて、前回はかなり厳しいような話をされていましたので、色々、再編ですとか、コスト対策とかですね、そういったとれるところはかなり改善してきているのかなという気がしました。
それから、旅行ホテル業界も同様ではありますけれども、ただ旅行業界ですね、非常に代理店の数が多くなっているとか、特殊な事情がありますので、そういった中で、やはり、日系四世の就労ビザの検討が開始されて、それが早く導入されること、そして、観光ビザの査証免除ですとか、運転免許についての協定を締結してほしいという要望は非常に切なる願いなのかなという感じがしております。
また、成長分野につきましては、堅調にやはり需要が伸びてきていて、またそういった中で新たなサービスを投入するという動きがありますので、こちらの分野というのは引き続きビジネス拡大に向けて各社さん取り組んでいっているという印象を受けました。運輸サービス部会をこれで終了します。細谷部会長、毎回毎回、どうもありがとうございました。
続きまして、建設不動産部会の発表に移りたいと思います。奥地部会長より発表いただきたいと思います。
建設不動産部会
奥地正敏 部会長
皆さんこんにちは。戸田建設の奥地でございます。細谷部会長の話が非常に長くてですね、時間も押していますので、まあ皆さんもお疲れのところだと思いますので、建設不動産部会の発表は手短かに切り上げたいというように思っております。
それではまず、今回の発表の内容でございますけれども、まずは部会内の動向ということで、これはアンケート調査のまとめでございます。2番目に建設不動産市場の現状ということで、これはデータの方から市場の内容をお示ししようということでございます。
3番目が、現状打開の策ということで、まあどういう策を打つべきかということでございまして、最後にその打開策の一環として、各社の、日本の技術の導入例をご紹介しようということにしております。それでは次お願いします。
まずは部会内の現状ということで、アンケート調査の集計でございます。その前に、部会の中でちょっと移動がございまして、3月でサッシのYKKさん、プレハブのナガワさんが退会されまして、今回から、機械金属部会に所属されております、ファクトリーオートメーションのアズビルさんと、空調その他、エレベーターの三菱電機さんに一応オブザーバーとしてですね、部会に参加をしていただいております。
アンケート結果でございますけども、まず建設のゼネコン2社ですね。これは2社とも、前年比で2割減と、上期の実績として2割減ということでございます。まあゼネコン業界としてはまだまだ回復基調に乗っておらず、通期予測も両社とも昨年の8割程度にとどまると、売上がですね、というような見通しでございます。
不動産業者さんのA、Bというのは、1社は駐在員向け住宅の斡旋業さんですね。まあスターツさんでございますけども。もう1社は、工場用地、レンタル工場の斡旋業さんということで、この2社ともですね、昨年同様。通年予測でも同じような売上と、変わらずということでございます。
あと、昨年来業績を伸ばしておりました特殊技術、これは地盤改良のCGCさんでございますけれども、インフラ関連事業が停滞しておりましてですね、昨年同期に比べて大幅な落ち込みになるということでございます。下期に関しては、下水道、地下鉄などの公共事業が再開されれば、回復の期待があるということでございます。次お願いします。
上期の特徴と課題としましては、まず建設としましては、自動車を中心とした製造業の設備投資がまだはかばかしくないということで、工事規模が小さいのとですね、受注競争が激化しておりまして、まあ業界全体がまだ回復していないという見解では一致をしております。現状の打開策としましては、価格競争力を高めて、施工の効率化、あるいは工業化を進めること。また、価格だけではなく、環境性能、あるいは省エネ性能を付加した価値をつけることによって、ローカルゼネコンとの差別化を図るというようなことが挙げられるかと思います。
不動産に関しましては、駐在員向け住宅斡旋業様はですね、昨年来駐在員の数が非常に減っておりまして、2014~2015年と比べると2割から3割の減、取扱量の減ということになっております。また、家族帯同が減りまして、単身者が増えていると。これは細谷さんからもご指摘ございましたけども、これも特徴であるということでございます。
賃料に関しましては、2015年以降低下傾向にありましたけども、現在はまあ底を打った感があります。また、最近は同一建物内でもですね、賃料の幅が非常に広がっておりまして、最大25%ほどの差がある物件もあるということでございます。現在はアパートの売買価格が高止まりしておりますので、今後の価格変動に備えて、実利の利益がもう少し高まるのを待ってですね、オーナー業などの新規事業も検討の余地があるということでございました。
工場用地と工場レンタルの斡旋業はですね、少しずつ相談件数が増えてきているものの、まあクロージングに結び付けるというのが中々難しいというような現状でございます。
特殊技術に関しましては、前期の大型工事受注のおかげで施工高は前期の9割を確保しておりますけども、受注が大幅に減少しているということで、特に案件の多かったサンパウロの下水工事、あるいは道路、地下鉄関連工事などのインフラ関連事業ですね、これが止まっているというのが大きな影響を与えているということでございます。次お願いします。
次は建設不動市場の現状ということで、まずは全産業の四半期ごとのGDPの成長率ですね。前年度比を見てみますと、まあ2015年、16年はですね、マイナス成長を続けたものの、今年に入ってですね、1%のプラス成長となり、まあ全体的には景気は緩やかに回復しているということが言えるかと思います。次お願いします。
しかしながら、やっぱり産業によっては非常にばらつきがあるというのが特徴かと思います。特に、構成比で5%近くを占める農業ですね、これは前年同期比で15.2%の伸びを見せておりまして、全体の産業を牽引しているということが言えるかと思います。あと、構成比で1割を占める製造業ですね、これは昨年第1四半期がマイナス10%だったのが、今第1四半期はマイナス1%%となりまして、まあ回復に向かっているという傾向が見えるかと思います。
これに対して建設業というのは、非常に厳しい状況に置かれていましてですね、これは池辺部会長の方からもご指摘がありましたけども、マイナス成長のままということで、今年の第1四半期においてはマイナス6.3%でございまして、全産業中最下位ということで、他産業と比べて回復の見通しが立っていないということが浮き彫りになっております。次お願いします。
これは失業率のデータでございます。これは、ブラジル地理統計院によればですね、今年第1四半期の全体の失業率がまだ13.7%に上っていると。第2四半期は13.2%に改善したものの、まだやっぱり失業者というのは1350万人を数えてまして、ブラジル史上最悪の事態というのは続いているということでございますね。
その中でも建設業界というのは非常に悪い状況でございまして、過去2年間で100万人就業者を減らしたというようなデータがあります。失業率は14.5%で、全産業中ワースト1位ということになっております。まあ非常に、これを見てもですね、厳しい状況であるということが言えるかと思います。次お願いします。
次は不動産市場についてであります。マンション価格、まあアパート価格ですね、これは過去1年間、売買、賃料ともにほとんど動きがないということですね。直近12カ月の物価上昇がですね、2.7%に対して、マンションの売買価格は0.08%の上昇。賃料は0.5%の下げというふうに一定しております。ただ、売買価格は現状高止まりをしている状況でありまして、まあ賃料も下げ止まりしたというのが市場の見方で、今後価格変動が予想されるということでございます。
次に、現状打開に向けてですね、日本企業が打つべき方策ということでございますが、この業界に関しましてはですね、まずは受注競争を勝ち抜くためのコスト低減努力ですね。これは不断の努力が必要であるということでございます。さらに、日本企業ならではの品質ですね、そして納期、アフターサービスの保証ですね。これを付加してですね、競合他社との差別化を図るというのが一つの策かと思われます。
そして、新規顧客ですね、特にブラジル企業の開拓ですね、顧客の開拓を積極的に行うというのが今行うべきことではないかというふうに思う次第でございます。また、イニシャルコストを重視しがちなブラジル企業に対しまして、ライフサイクルでのコスト提案をするということがかなり有効な手段じゃないかというふうに思っております。その中でもですね、日本の技術ですね、これをブラジルに導入するというのは非常に有効な手段だというふうに我々は思っております。
で、この例としてですね、部会員が実践している、または今後実践したいと思っております日本の技術の導入の例ですね、これをご紹介いたします。
まずはじめはですね、特殊技術のCGCさんですね。これは地下工事の総合エンジニアリングの会社でございまして、主に地下水や軟弱地盤の問題に取り組んできております。CGCさんの技術というのは、基本的にはブラジルにはない技術でございまして、これを日本から持ち込んでいるということでございます。
まずその、左上の写真ですね。これは薬液注入と申しまして、地盤に薬液を注入しましてですね、地下水の流れを遮断して、トンネル工事、あるいは地下工事の掘削をしやすくする技術ということで、これは元来ブラジルにはなかった技術を導入して、去年のリオのオリンピックの時の地下鉄ですね、これを開業までに間に合わしたというのはこのCGCさんの技術があったということでございます。
その下がですね、ジェットグラウトということで、地下の地盤を高圧のジェット噴射のセメントミルクで混合攪拌させることで、地盤を強固にする技術ということで、これはブラジルにも技術はあったんですけども、大口径の改良ができる新しい機械を持ちこみまして、改良をしておるということでございます。この二つの技術に関しましては、CGCさんが 8年をかけてブラジルで根付かせてきた技術で、実績の件数は150件以上に上るということでございます。
右側の技術がですね、これは今後導入を検討している技術ということで、これは皆さんニュースでもご存じかと思いますけども、福島原発のですね、放射能汚染の地下水を遮断するために今使われている技術で、凍結管を地中に打ち込んで、凍結帯を作って、凍土を人工的に作って地下水を遮水するというような技術でございます。これは薬液注入をしないということで、水を使ってですね、氷を作って地下水を遮水するということですので、環境に配慮した遮水技術ということで、今後の展開が期待される技術でございます。次お願いします。
次はオブザーバーの三菱電機さんの実例でございます。これは、今年5月にオープンした ジャパンハウスにですね、空調設備、そしてハンドドライヤー、あるいはエレベーターのほかにですね、省エネのBMSですね、これはBuilding Management Systemといいまして、これを納入しております。省エネの性能に優れる個々の製品のみではなくて、建物全体のエネルギーを監視して、省エネを実現する技術というのがそのBMSということで、これはトータル・ビルディング・ソリューション技術の導入例ということでございます。ジャパンハウスに関しましては、ほかに衛生機器等も含めてですね、日本の建築機材ですね、そのショールームとも言えるような建物になっているということでございます。次、お願いします。
次も、オブザーバーのアズビル様の技術でございます。これはファクトリーオートメーションですね。工場全体のエネルギーを可視化して管理するBMSですね、これを導入をしております。また、医薬品工場ではですね、専用の空調制御・監視システムを用いまして、データの改ざん防止、あるいは操作履歴の確認システムで製造環境を保証する技術を日本から導入しております。また、製造現場ではですね、1台で長持ち、省エネ、コスト削減につながる日本の計器類や、制御機、またエア漏れの感知器を導入しまして、ライフサイクルでのローコストの提案をされているということでございます。次にいきます。
これはホス建設さんが今後導入を検討されている技術でございます。これは床面の吹出の空調を用いまして、タスク&アンビエント空調を実現するというような技術です。このタスク&アンビエント空調というのはですね、人が作業をするタスク領域ですね、ここに集中して冷暖房を行う空調方式でございまして、従来の全体を空調する技術に比べて空調の負荷を低減できるというような省エネ技術でございます。日本では最新の省エネビルに採用をしておりますけども、今後ブラジルでも発展していく技術かというふうに思っております。
最後に弊社の事例でございますが、これもやっぱり空調の省エネ技術ということで、比較的容易にブラジルに導入できる省エネ技術として、我々はですね、クール&ヒートトレンチの導入を計画しております。クールヒートトレンチといいますのは、この図のようにですね、建物の地下にトレンチを設けてですね、地下の温度は比較的年間を通して一定ですので、夏は涼しく、冬は暖かい空気を空調機に取り込むことによって、空調の負荷を低減する技術でございます。これは条件によって異なりますけども、まあケースによっては15%程度のコスト削減につながるという技術でございます。現在、某工場でですね、来年度の設置を目指して設計のシミュレーションを行っているところでございます。
もう一つの技術はですね、粒子線治療施設ということでございます。これは、がん治療に利用される放射線というのはですね、大きく分けて、図のように光子線と粒子線の2種類があります。光子線というのは従来のX線などの放射線治療に利用されています。それに対してこの粒子線というのはですね、水素や炭素の原子核を利用した放射線で、これらの粒子を用いた放射線治療を粒子線治療と呼んでいて、粒子線の治療の中でも、陽子線の治療がですね、日本では始まっておるということでございます。
この粒子線治療の特徴はですね、高い放射線量を狭い範囲に集中して照射できるというのが特徴でして、がん細胞に致命的なダメージを与えることができて、かつ副作用は少ないというような発展した技術ということでございます。この粒子線治療においては、重い原子核を加速して照射するため、この図のような加速器ですね、シンクロトロン、あるいはガントリーですね、このような大掛かりな装置が必要となります。また、放射線を遮蔽する構造の躯体ですね、これも大きくなるというのが、特徴でございます。
次はですね、当社がいま施工している物件でありまして、兵庫県の小児がんの治療センターということで、この中に加速器とガントリーが入っていまして、これでございますけども、ここに機械が二つ入っていまして、それを遮蔽する分厚いコンクリートを設置しているということでございます。ちなみにこの機械の方は三菱電機さんの製品ということでございます。
今年の6月にですね、サンタクルス病院と日本の筑波大学病院が技術提携を行いまして、その中の一つにですね、この粒子線治療のブラジルへの導入を図るという項目がありますので、今後、このような技術がブラジルでも発展してくるというふうに考えられております。
以上が建設不動産部会の発表となりますが、全体としましてはですね、業界全体としてはまだまだ景気回復の実感はないというのが実情でございます。しかしながら、来年以降ですね、ブラジル経済が回復してくる時期に、我々業界として重要になるのは、今までこの国になかった日本的な付加価値ですね、これをいかにブラジルの社会に提供できるかというのがポイントになってくるかと思います。
ご存知のように、ジャパンハウスはですね、オープン以来大盛況でございまして、今週で30万人以上の来場者を迎えるということになっております。これは、やっぱりブラジルの方々が、今までの伝統的な日本のカルチャーだけではなくてですね、日本の最先端のテクノロジーですね、これに非常に興味をもっているということの証拠ではないかと思います。これは、我々日本企業にとってもですね、大きなヒントになるというふうに考えております。
以上、発表を終わりたいと思います。ご清聴どうもありがとうございました。
司会
奥地部会長、どうもありがとうございました。ただいまの発表につきまして、質問はございますでしょうか。はい。建設不動産部会は非常に厳しい状況ではありますけれども、将来に向けて日本技術を導入していくということが、いま打つべき戦略ということで、重要な戦略に位置づけられている。こういうことではなかったかと思います。奥地部会長、どうもありがとうございました。
いよいよ最後の発表となります。繊維部会より発表いただきたいと思います。豊田部会長より発表をお願いしたいと思います。
繊維部会
豊田明生 部会長
こんにちは。繊維部会を代表いたしまして、ユニチカの豊田が発表させていただきたいと思います。皆様たいへんお疲れのところですね、ようやく最後の発表となりましたので、もうひと頑張り、よろしくお願いしたいと思います。
発表は、17年上期の回顧、それから下期の展望のそれぞれをですね、我々の製造業にとっての原料、それと加工した製品の面から見ていきまして、今のブラジル繊維産業の構造的問題も考えながら要望とか戦略とかを説明していきたいと思います。ブラジルでの繊維部会の現状によりまして、繊維とは言いながらですね、話が綿紡績中心の説明となりますけども、ご容赦お願いします。
この写真は、今申し上げました我々にとっての原料、綿花です。綿紡績の主原料である綿花。これは、ブラジルというのは世界で5番目の生産量を誇るところの綿花。ただしブラジルの農産物の中ではパーセンテージが非常に小さい、1%未満だと思いますけども、それでも世界の5番目にたくさん作られている綿花の畑でございます。先程来、ちょっと、奥地さんの説明なんかは堅いというか、原子核とか粒子線とかそういうのが出てきましたけど、私の業界は非常にやわらかい、こういうコットンの世界からちょっと話を進めていきたいと思います。
今の時期ですね、ちょうど8月がブラジルにおける綿の収穫の時期でございますので、今マット・グロッソとかバイーアとか、その辺に行きますと、こういう景色がご覧になれます。次お願いします。
原料である綿花の価格相場に影響を与えますのは、やはり世界の綿花需給なんですけども、この図はですね、過去、去年と今年と来年の予想ということで、生産量の変化を表しております。生産量は安定的に増加しております。数量的には、2100万トンぐらいから2300万というふうに徐々に増えておりまして、来年は2500万トンぐらいというように、世界あわせますと安定的に増加しております。国別の生産量順位は、1番がインド、2番が中国、3番がアメリカ、4番パキスタンで、5番目がとなっておりまして、この順位は近年不動できております。次お願いします。
世界の綿花の今度は消費量です。綿花を消費するということは、すなわち糸に作られていくということで、ほぼ糸の生産量と同じというふうに解釈していただけるかと思います。消費量もですね、生産量と同じように、安定的に増加しておりまして、このグラフで見ますと大体2400万トンから2480万。来年予想としては2550万というふうに安定的に増加しております。
国別の消費量順位は、1番が中国、2番がインド、3番がパキスタンということで、この上位3位も近年順位は変わっておりません。特徴的なのはですね、綿花を生産していないバングラディシュ、あるいはベトナムが最近急増しております。アメリカやブラジルを追い抜きました。これらの国々は、世界の繊維加工基地化しておりまして、ポスト中国ということでそういう繊維の加工基地としても非常に最近増えてきておりまして、そこらで加工された繊維の加工製品がこちらブラジルにもですね、多く輸入されてきているのが現状でございます。次お願いします。
国際綿花相場というんですけども、いま申し上げました通り、生産も消費も安定的に増加しております、世界全体では。わずかに生産より消費のほうがちょっと多い状態の、そういうトレンドが続いておりますので、結果的にですね、在庫も徐々に減って、ニューヨーク先物綿花相場というのが世界の綿花の価格というのを大体決めている指標となっておりますけども、この1年半ずーっと上昇が続いておりました。ところが17年の、今年の6月、アメリカのですね、農務省が発表しましたけれども、綿作の豊作を予想しまして、久しぶりにその指標の相場が下がり始めた。一番右にちょっと下がり始めたところが特徴となっております。次お願いします。
今度はですね、ブラジルの国内、世界のそういう相場に影響を受けながら、ブラジルはブラジル国内で特徴的な部分がありまして、ブラジル国内の原料であります綿花の事情を説明いたします。このグラフではですね、先程来の世界の表とちょっと違ってですね、16年度の不作だったということを示すために、そのひとつ前の15年のところから、1年前の実績から示しております。16年はですね、特にバイーア州で綿花の不作がございました。天候が主な原因ですけども。そのためにやはり生産が非常に少なくなりました。それと、生産者のですね、輸出志向がその前の年から続いておりました関係で、国内向けの供給は非常に不足になりました。
16年はですね、15年ほどのレアル安ではなかったにもかかわらず、綿の輸出に関しては前の年の15年と同じ水準を維持しました。したがって、元々生産量が減っておりますので、国内向けの供給が非常にタイトになりました。その結果、まあ我々紡績メーカーの原料が、取り合いとまでは行きませんけども、当然需要と供給の関係で、非常に値段が上がったということになっております。
17年の予想としましては、ちょうど今8月で、先程申し上げた通りブラジルの綿の収穫の真っ最中でございます。生産が昨年に比べると回復しまして、輸出もレアル高がちょっと高すぎてですね、さすがに農家さんも輸出にそんなに回せなくなるという予想から、国内向けの供給は増加する見込みとなっております。次お願いします。
ブラジルの国内原綿価格の相場は、今申し上げたような需給バランスからですね、16年の初めごろから原綿価格はずーっと高止まりしておりました。高いところを、多少のでこぼこはありますけども、ずっと高止まりしておりましたけども、17年の収穫が今ちょうど始まって、豊作の見込みという情報が出ておりますので、それが判明しましたちょうど17年の7月、先月あたりから、原綿価格は1年半ぶりに下がり始めて、まあ我々にとっては適正化に向かいつつあるかなという。具体的に申し上げますと、Esalqという業界での指標、原綿価格の指標価格があるんですけども、ずっと2.8レアル/ポンドあたりまで上がり続けていたんですけども、7月からは一気に2.5レアル/ポンド、キロ当たりにすると5.5レアルぐらいですか、まで下がってまいりました。次お願いします。
続いては、我々がそういう原料の綿を使って、加工して作る製品の糸についての説明です。綿の写真は先程見ていただきましたけど、糸についても、まあ一般消費者には売られていませんので、皆さんあまり見たことないと思いますけども、こういう形状で販売しております。これを、業界の中でですね、我々の川下の業界である、編み屋さんとか織り屋さんというところに行って、その後染めたりして生地ができあがって、それを縫製して最終的な衣料になるという、そういうプロセスでございます。次お願いします。
国内販売価格、すなわち我々にとっての製品販売価格ですから、糸の値段のことですけども、この表ではちょっと傾斜がゆるすぎてよく分かりませんけども、要するにですね、17年の上期一杯までは先程来私説明しました通り、原料の原綿代が非常に高止まりしておりましたので、しかしながら我々はそれを販売価格に転嫁できないという厳しい状況が続きました。
その理由は何かといいますと、まあもちろん長引く不況で需要が伸びない、繊維業界の衣料売れ行きが伸びないということ。それと、差別化しにくい製品、我々の糸は非常に差別化しにくい部分がございまして、意外と簡単に輸入品も入ってきて置き換わる可能性もあるということで、輸入品価格がいわゆる上値を抑えるという形になって、ある程度、我々が高く、値上げをすればするほど、お客さんが輸入品の糸を買ってしまうと、そういう状況にありました。
この1年弱でですね、原料代は70センターボほどキロ当たり上がったんですけども、我々の売値はまあ40センターボぐらいしか上げられていないと。これは、我々の糸値の売値というのは、繊維部会の推定価格ではございますけど、そういう状況で、スプレッドも維持できていないという状況がこの1年近く続いておりました。次お願いします。
輸入綿糸の貿易について見てみますと、16年の下期、17年の上期ともにですね、レアル高だったので、輸入が非常に伸びました。輸入が大きく増加しております。この赤いのが輸入、これは半期ごとに、16年上、16年下、それから17年上という半期ごとに見ておりますけども、非常に輸入の量が増えました。17年下もそのままのレベルで、たぶん増えたままで行くだろうというふうに予想されていて、見込んでおります。
まあ、年間輸入量、糸の輸入量はおよそ2万トンぐらいのレベルですので、国産の糸は70万トンぐらいありますから、それに比べたらたいしたことないような量でございますけども、それでもやはりそういう非常に価格競争の厳しい糸値に関しましては、影響を受けやすいという状況になっております。でまあ、ブラジルコストですね、先程来皆さん色々出ておりましたけど、ブラジルコストを非常にまともにくらうブラジル製の糸というのはですね、輸入の糸との競合にまともにさらされているというのが現状でございます。次お願いします。
続いてですね、製品。我々紡績メーカーの製品は糸ですけども、それ以外繊維の製品についてちょっと簡単に見ていきたいと思います。どんなものかといいますと、先程ちらっと言いましたように、我々の糸を使って、織物にしたり、あるいは編み物にしたそういう生地ですね、あそこに反物が積んであります、それが生地。あるいは、タオルとかハンカチとか、で右下にありますのは、ご存知の衣料ですね。その辺について見ていきたいと思います。次お願いします。
生地輸入も、もちろん増加していますね。このように、角度、右向きに上昇している通り、輸入が非常に増加しております。その下は、衣料製品も輸入が増加しております。生地も製品も、輸入品との競合に非常にさらされているというのが、ブラジルの繊維業界でございます。織編物、衣料製品ともに前年同期比、全てのアイテムで輸入は増加しています。国内の繊維産業を非常に圧迫していると。次お願いします。
ブラジルの繊維産業について、その構造的な部分をちょっと見てみたいと思うんですけども、今申し上げた通り、輸入品に苦しんでおります繊維産業というのは、典型的な労働集約的な製造業でございますので、ブラジルコストの影響を非常に大きく受けます。
ここに書いてあります通り、ブラジルの繊維産業はですね、元々の特徴としまして、1番、原料の綿花をですね、全部国内で調達できると。それから2番、繊維産業のすべての段階のプロセスをブラジル国内に備えております。就業150万人と言われております。そして3番、2億5000万人ですか、赤ちゃんから老人まで皆さん、衣料を使いますので、大きな消費市場を持っているという、非常に恵まれた経済構造になっているんですね、繊維で見れば。したがってですね、1955年以降、日系の紡績もブラジルに進出してきて、60年以上の歴史がございます。次お願いします。
ところがですね、現状を見てみますと、繊維では原料の綿花を輸出して、完成衣料品を輸入するという、いわば中抜き構造ですね、が最近ずっと進んでおります。いわゆる加工付加価値の部分である、ブラジルコストの影響が非常に大きい部分、そこを外国に任せるような構造にどんどんなってしまっている。行政面といいますか、ブラジルの現状を見てみますと、長期的視野で産業を育成することができずに、コツコツものを作るよりも、安い、安価な調達が優先されているのが現状。
したがって、コストであるとか、研究開発とか、そういう部分での国際競争力がどんどん落ちていってしまいました。一方、労働者サイドから見ますと、下の欄ですけども、地道に働くよりも、安易な目先の所得の方についつい皆が目が移ってですね、それと保護政策、労働者保護が長いこと続いておりましたので、そういう保護政策の悪用ですとかが非常に顕著に見られてですね、コツコツ真面目にやっているそういうのが、真面目が損するような雰囲気さえ出てきているんじゃないかなと。
具体的には、労働訴訟。サンパウロなど大都市近郊では、非常にもう、半ばビジネス化しているんじゃないかと思われるほど、労働訴訟が多くて、我々非常に悩んでおります。それから社会保険。年金ですとか失業保険なんかの社会保険ですね。あるいは補助金への依存、あるいは場合によっては不正利用ですね、それが野放しになっているのが見受けられます。このような厳しい環境の中ですね、2016年は、非常に残念ですけども、日系紡績は6社あったうちの3社が繊維事業から撤退しております。
まあ日系だけじゃなくて、繊維業界、ブラジル系もかなり、15年から16年にかけて撤退したというのが事実でございます。不況が長引いているということももちろんございますけども、今申し上げたような構造的な問題があるのは事実でございます。次お願いします。
17年の下期と、それとさらに長期的な展望と、我々の願いでございますけども、1番はやはり早期の市場回復を願う。回復の兆しがあるという話もちらほら出ておりますけども、まだまだちょっと、過去にもそういうのを何度も言われましたけども、ちょっと中々今、うかつに信用できないというような状況でございます。
2番目、早期の制度改革を願う。まあ労働法の改正とか、年金改革などがようやくちょっと動き始めたと思っておりますけども、まだまだ時間かかるんじゃないかなと思います。それらを待っている、他力本願では、我々生きていけませんので、やはり可能な自助努力を続けていかないといけないということで、次お願いします。
いま打つべき戦略としましては、これはですね、部会の中の各社それぞれ事情が異なりますので、統一見解というわけではございません。順にちょっと説明していきますけども、高機能製品での市場開拓。長らくですね、高機能品はブラジル市場ではあまり必要とされていなかったんですけども、最近やはりそういうところをようやく攻める時期が来たのかなということと。
それから、差別化志向メーカーですね。我々の売っているお客さんは同じく製造業でございますので、そういうメーカーの中で差別化を志向するメーカーに対して、日本企業の得意とする付加価値品を提案していくと。そういうやり方、従来のやり方を変えたいという動きも我々のお客さんの中にも出てきています。
それから、輸入対抗として有力小売店との一体取組み。あるいは国産品の購買キャンペーン。ブラジルの綿花生産者協会がそういうブラジル製の国産品を買おうよという、そういうキャンペーンをやっておりますので、そういうところに我々としても積極的に乗っかっていきたいなと思っています。
それから、信頼できる現地パートナーの探索。環境配慮の綿製品のキャンペーン。これはヨーロッパなどを中心に、Better Cotton Initiativeという、そういうキャンペーンがはられていますので、日系企業が得意とするそういう品質を売り込むために、そういう戦略に乗っかっていきたいなと。
それから、日系の強みであります、顧客フォロー、正確なデリバリー、それから品質の安定、そこをまた推していこうと。汎用品をですね、省力化したり、機械に設備投資して量産するブラジル系とか輸入のそういうやり方とはちょっと差別化して、我々日系企業の強みを生かそうじゃないかと、そういう考え方です。
ブラジル法制に対応する体制構築。それから、まあ継続的なコスト削減、この辺はちょっと、一言で言いますと簡単すぎますけども、この辺は非常に奥が深くて、簡単には説明できないと思います。この辺に各社とも非常に注力しているんだと思います。
以上で繊維の説明はおしまいでございます。非常に、昼からずっと半日、堅い話がずっと続きましたので、最後にちょっと和んでいただこうと思いまして、癒しの画像を入れておきました。これはちょっと宣伝になりますけど、綿素材の衣料をまとっている風吹ジュンといいまして、40年前の写真、ユニチカの初代マスコットガールでございます。以上で繊維の発表を終わらせていただきます。
司会
豊田部会長、最後、風吹ジュンの癒しで締めくくっていただきました。どうもありがとうございました。ちょっと時間オーバーしておりますけれども、ご質問のある方いらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。これで一応11部会の発表をすべて終了しまして、色々日本企業が、我々会員企業が今打つべき手はというところで、周辺諸国への輸出だったり、財務体質強化だったり、コスト削減だったり、差別化だったり、いろんなアイデアが出てますけども、非常に印象的だったのは、やはり日本の強みを生かしてですね、中長期的な視点に立って、日本の優れた、新しい技術なり、サービスなりを、今この時期にですね、市場に仕込んでいくと、打ち込んでいくと、そのための研究開発をやるところも出てきているといったことが印象的で、そのための環境整備というものも重要になってくるというのがですね、印象的な気がしました。
その辺はやはり、成長分野のところをめがけてですね、取り組んでいく話で、ボラティリティの低い分野でもありますし、またそういった分野がですね、非常に、市場としてですね、有望なのではないかなと。
ルート2030とかですね、ロボット化、デジタル化の動きでしたり、色々ございますけれども、そういった新たな技術を導入する時期でもあるのかなというような気がしております。はい、では以上で各業界の発表がなされましたので、ここでですね、在サンパウロ日本国総領事館より特別に出席いただいております、皆様おなじみのですね、蛭子領事にですね、本日の各部会の発表につきまして講評・コメントをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
講評・コメント
蛭子英稔 在サンパウロ日本国総領事館領事
先程の風吹ジュンの写真を見て、多分一番、緊張している私が和んだのかなと思います。ちょうど1974年の、私の生まれた年だったので、なおさら何か相通ずるものがありました。普段、中前前総領事はですね、ここをジャンプして上がっていたんですが、皆さんにご心配をかけるのもたいへん恐縮なので、普通に登場させていただきました。蛭子でございます。
シンポジウムでは、例年、総領事の講評と、大使館の参事官のコメントというのが近年の流れでしたが、総領事自体もいま未着任で、小林参事官にあっては帰国直前ということで、たいへん僭越ではございますが、私の方から、コメントというか、一言申し上げさせていただきます。
総領事にはですね、いつも警備員がついておりまして、私と同じ髪型の警備員が何人もいるんですよね。で、皆様の混乱を避けるために、今一度ちょっと私自己紹介させていただこうと思います。2年半ほど前に厚生労働省から外務省に出向して、サンパウロ総領事館の経済班で領事をしています、蛭子です。蛭子という漢字は、よく言われるんですけど、ギャンブル好きの漫画家の蛭子さんがいますね。親戚ですかと言われるんですが、まったく親戚ではありません。
私が所属しています経済班には、農林水産省から、本日も来ていますが、農林水産省からの出向者である相原と、キャノンからの出向者である中富という者がおります。中富にあっては、ジャパンハウスを担当しています広報文化班も兼務しております。ジャパンハウスをご活用いただく際はですね、ぜひ中富の方をコンタクトパーソンとして利用していただければ、幸いでございます。
私、相原、中富の3人で、今回を含めこれまで計5回のシンポジウムに参加させていただきました。シンポジウムに先立つ各部会の懇談会にもできるだけ参加させていただき、色々と貴重なお話を聞かせていただきました。総じて暗い話が続き、皆様にとってもたいへん厳しい状況であることは肌で感じてきたつもりです。そして今回の事前懇談会や、シンポジウムに参加させていただいた印象として、これまでの中では最も回復の兆しが見られるとの意見が多かったように感じております。
また、景気変動を受けにくい分野への積極的な投資、付加価値品の提案、ローカル競合他社との差別化、買収や有料人材確保、新製品導入、本社への粘り強い説明、説得、そしてその説明資料としての見える化ですね。あとブラジルの高い将来性のアピール、輸出周辺国での営業強化、環境に負けない事業体質の強化の推進、事業基盤の強化、事業機会に結び得る努力、など、これからどう進めていこうかという具体的かつ前向きなご発言も多かったように思います。
また、本日の出席は最多とうかがっておりますが、まあ皆さんのこれからの活動へ生かそうとする期待の表れではないかなかと思っております。
シンポジウムでは毎回副題がございますが、回復の兆しが見えない状況下、副題の決定はさぞかし困難なものであったとお察しします。そして今回の副題は、回復途上のブラジル経済-いま打つべき戦略は、でした。この戦略という言葉を分解すると、戦を略す、となります。昔から正面衝突による消耗戦を避ける方が好ましい結果をもたらすと考えられていたことが読み取れます。
また、まったく話は変わりますが、恐竜は強い生物であったにもかかわらず、絶滅しました。一方で、昆虫は弱い生物にもかかわらず、3億年前から生息しているといわれています。これは、強いから生き残るのではなく、適応するから生き残れるということの証です。
今申し上げた二つの内容の大元は、残念ながら私が考えたものではなく、以前読んだMBAの本の経営戦略の項目に書いてありました。
ブラジルのビジネス環境や、文化に適応することは、一筋縄ではいかないことは、少しは理解してきたつもりです。ただ、このカマラには、戦略、適応による生存、この二つの要素を満たすことができる活動があるということをお伝えしたかったわけです。
皆様はブラジルで事業を進めていく上で、競合することもあるかと思います。そんな中、シンポジウムや、政策対話など、カマラの様々な活動を通じ、知恵を出し合い、力をあわせ、ビジネス改善や適応に向け、地道に活動されてきたことに、疑いはございません。
シンポジウムに先立った懇談会でも、個別企業の相談に対し、皆様で対応策を提案する姿も拝見しております。このカマラでの皆様の結束力は、他国では中々見ることができないとお聞きしたことがございます。もしこの結束力がなければ、より厳しい局面を迎えていたかもしれません。
引き続きこの結束力を維持することで、様々な情報を共有、相互補完、そしてビジネス環境の変化にも適応され、皆様の事業が持続的に繁栄されることを切に願っております。そしてその結束力の中に、日本政府、大使館や総領事館も仲間に入れていただけますと幸いでございます。
官民連携の強化には、問題点などの共有が不可欠であると考えております。政府関係者は様々な決定、判断をする上で、経済感覚のあるなしがどのような経済結果を招くか、理解を深める必要があると思っていますので、引き続きご教授ください。
総領事館も微力ではございますが、できることは精一杯ご対応させていただきますので、何卒よろしくお願いいたします。
本日はこのような機会を与えていただき、誠にありがとうございました。
司会
蛭子領事、恐竜ではなく、昆虫のように適応するために、一致団結するという、明快なご講評をいただきまして、ありがとうございました。それでは、ちょっと時間をオーバーしてしまいましたけども、最後に閉会の辞を小池総務委員長にバトンタッチしたいと思います。よろしくお願いいたします。
閉会の辞
小池淳介 総務委員長
大久保委員長、たいへんありがとうございます。あらためまして、蛭子領事、たいへん素晴らしいコメントをありがとうございます。それから皆様、長時間にわたりましてご参加いただきまして、本当に心から御礼申し上げます。たいへんお疲れ様でございました。
本日は、蛭子領事のコメントにもございました通り、戦略をキーワードにさせていただきました。まだまだ景気もまだら模様で、良いとこも悪いとこもあるなと伺っていて思いましたけれども、ただ、皆様のお知恵、そこから生まれてくる戦略、今日いろんなご示唆を賜ってですね、私もたいへん勉強になりましたし、たいへん僭越ではございますけれども、頼もしく感じた次第でございます。ぜひカマラの、このお集まりいただいている皆様の間でですね、さらに、蛭子領事からのコメントにもありましたように、結束をいたしまして、2017年の後半、ますます盛り上げられるように頑張っていければなというように思います。
それから、いくつかの部会から頂戴しました日伯両政府へのご要望等はですね、松永会頭の下で、政策対話委員会を通じまして、対応をしていきたいと思います。それでは以上で、本日は閉会させていただきます。たいへんありがとうございました。
なお、懇親会でございますけど、出口を出まして右手の部屋でご用意させていただいております。よろしくお願いいたします。