2018年上期業種別部会長シンポジュームプログラム(テープおこし記事掲載)
テーマ:「2017年の回顧と2018年の展望」
副題: 『いま求められる新たな視点は』
日時: 2018年3月1日(木曜日)
13時~18時 シンポジューム(途中コーヒーブレイクが入ります)
18時~19時 懇親会(カクテルパーティー)
会 場: ホテル インターコンチネンタル
(Hotel Intercontinental São Paulo , Alameda Santos, 1123 – Tel.: (11) 3179-2600 )
各部会発表資料
2018年下期業種別部会長シンポジウム
「2017年の回顧と2018年の展望」、副題: 『いま求められる新たな視点は』
(3月1日、インターコンチネンタルホテル)
前半の司会
小池淳介 総務委員長
まだ入場途上のお客様もいらっしゃるようですけども、お時間になりましたので、これより2018年上期業種別部会長シンポジウムを開催させて頂きます。私は前半の司会を担当させて頂きます、総務委員長の小池でございます。よろしくお願いいたします。なお後半は企画戦略委員長の大久保さんに司会をバトンタッチさせて頂く予定です。それでは、シンポジウム開会にあたりまして、会頭の松永さんよりご挨拶を頂戴したいと思います。よろしくお願いします。
ブラジル日本商工会議所
松永愛一郎 会頭
皆さんこんにちは。会頭の松永です。本日の2018年上期シンポジウムに、皆さんお忙しい中多数お越しいただきまして、ありがとうございます。今日はですね、後ほど、サンパウロ総領事館より野口総領事にもお越しいただくことになっております。シンポジウムの最後に、総領事の方からはご講評とコメントをいただくことになっております。
さて、商工会議所のこのシンポジウムなんですけども、毎回ご説明させて頂いています通り、商工会議所の活動の中でも重要な活動のひとつというふうに位置づけております。業種別に11の部会がございまして、それぞれの部会長がそれぞれの視点でもって、経済分析、今後の動向等を発表していただくということになっております。今日のシンポジウムにあわせて、関係者、相当な時間をかけてですね、プレゼン資料も含めて準備をしてきています。少しでも皆様のお役に立てばというふうに思っています。
また、このシンポジウムですけども、会員の皆様以外の企業の皆様にも参加いただけるという形にしております。プレゼン資料につきましても、商工会議所のホームページの方でアップさせていただきますので、そちらをご覧頂くということも可能でございます。これも、日本企業がブラジルにおけるプレゼンスを少しでも向上させるということのお役にでも立てればと、その一助になればということで、そういう対応をさせていただいております。
さて、ブラジルの経済ですけども、長年のリセッションをようやく昨年抜け出し、まあ停滞から成長に転じているというような感触を持っています。2018年度におきましては、マクロの数字もまあだんだん良くなってきていると、こういう中で今日のシンポジウム、部会長の皆さんがどういった発表をするのか、私自身も非常に興味を持っております。
加えてですね、ブラジルで今年最大の皆さんの関心事項といいますと、やはり10月の大統領選挙。この選挙の結果如何、経済に与える影響も非常に大きいわけですが、今の構造改革、経済路線、これを引継ぐような新たな指導者が出てくればというふうに願っておる次第です。
また。ブラジル以外の中南米に目を転じましても、アルゼンチンのマクリ政権、着実に経済改革を推進しておると。昨年末、チリでもピニェラ大統領が再選されまして、経済に大きく舵を切るというふうに思われます。こういったその流れの中でですね、日本・メルコスールのEPAといった議論も今年は本格化するというふうに思っております。我々商工会議所としましても、オールジャパンという旗の下、日本・メルコスールEPAの締結に向けたお手伝いを全力でさせていただきたいというふうに思っています。
今回の副題、「いま求められる新たな視点は」ということになっています。今まで申し上げたような状況の、本当にプラスの変化、この中で各部会長さんがそれぞれの分析を皆さんに発表してくださるというふうに思っています。
最後になりますけども、今日のシンポジウムにあわせて色々と長時間、本当に時間をかけてご準備をしていただいた関係者の皆様に厚く御礼を申し上げ、私からの開会の挨拶に代えさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
司会
松永会頭、たいへんありがとうございました。それでは早速各部会の発表に移りたいと思います。行き届かぬ点も多々あろうかと思いますけれども、タイムキープも含めまして皆様のご協力をいただければと思います。先ほど会頭からお話しありましたけれども、今回の副題は「いま求められる新たな視点は」とさせていただいております。
半年前の前回は「回復途上のブラジル経済-いま打つべき戦略は」ということで発表を各部会より頂戴しまして、皆様のお話の中では、新商品などの付加価値提供による差別化、あるいは優良人材の確保、周辺国への輸出強化、買収戦略、このような事業基盤の強化でビジネス拡大を目指すことが重要というお話しを頂いたと記憶しております。
そして今年ですけれども、経済回復が徐々に現実となってきております中で、ブラジル政府による色々な構造改革、あるいは今年の10月の大統領選、そして日本・メルコスルEPAの動きといった重要な課題やイベントが控えております。このような中で、今回の副題に「新たな視点」という言葉を使わせて頂きました背景は、皆様の経営環境についてはまだ不透明で厳しいというというところも多々あろうかと思いますけれども、周囲を見渡せば中国系や欧米系が積極投資をしているということで、経済がプラス成長する見込みである今年の中でですね、我々日系企業もいつまでも外部環境を嘆いているわけにもいかないということで、前向きにですね、ここから未来に向けて新たな発想、新たな視点を是非語り合えればという願いを込めさせていただいております。
前置きが長くなりましたけれども、ここで各部会長様からの発表をいただきたいと思います。それではまず初めに、金融部会の安田部会長よりお願いいたします。
金融部会
安田篤 部会長
皆さん、こんにちは。長丁場になりますので大変疲れると思うんですけども、冒頭金融部会ということで、金融部会からの話はですね、どちらかというとある意味ウォーミングアップというか、頭の体操というか、去年から今年に起きたことの整理ということでやりたいと思いますので、その後各部会で、業界ごとの深く突っ込んだ話があると思いますので、その入口のところを務めさせていただきたいと、そういうふうに思っています。
今回、副題が「新たな視点」ということで、我々もなるだけポジティブな視点、あるいは切り口、これが見出せるような、こういう数字を見つけてですね、折りしも今時期としては2018年度の業務計画等々を作る真っ最中ということなので、何とかそういうことで会員企業様のお役に立てればと思っております。
お時間だいたい30分弱程度ということなので、よろしくお付き合いの程お願いします。
そう致しましたら、スライドに入る前にですね、2017年全体の振り返りということで、国際社会の方では、トランプ大統領の就任ということと、アメリカがいきなりパリ協定の離脱をしたと。あとは米国における大型減税の成立等の、こういった動きがあったほか、イギリスではEUの離脱の正式通知、それからマクロン・フランス大統領の就任、朴大統領の罷免等ですね、国際社会の方でも去年は引き続き政治の不透明な環境が際立ったと言えるかと思います。
一方で世界経済の方はですね、各国の中央銀行の金融緩和策、これが背景となって、約10年前の2008年の金融危機、その後の欧州債務危機、この辺をようやく脱してですね、循環的な成長軌道に転換した年というふうに言えるかと思います。
転じてブラジルの方はですね、同じく政治面ではテメル大統領の下、ゆっくりとした構造改革、汚職撲滅に関する動きということと、経済の方では、世界経済に伴ってですね、資源需要拡大等を背景にして、まあブラジルの経済も少しずつ良くなってきていると。まあ回復に転じた年だというふうに考えられると思います。
それでは、最初のスライドの方なんですけども、2017年のブラジルの主なトピックスということで、3つの箱がございます。一つ目の箱は、汚職捜査の進展ということで、ペトロブラスのからみのラヴァ・ジャット作戦。これは去年末で第47ステージまで進展してまいりました。昨年5月にはテメル大統領の収賄容疑が浮かび上がってまいりましたが、10月に議会は訴追の要求を否認したということで、そこは一段落ついたと。一方で、ルーラ元大統領への2審の有罪判決というのが今年の1月に下りたということで、汚職捜査はそれなりに進展していると。
2番目の箱の、テメル大統領の改革についてはですね、そこにいくつか挙げてある通りで、公営企業のインフラの民営化であるとか、こういった話が発表されたということで、そこはひとつの進展。それから、長い間中々動かなかった労働法の改正、これがようやく動き、昨年の11月に施行されたというのは大きな一歩だったと思います。最後に、年金改革の方は採択をどんどん延期したんですが、残念ながら先月、2月中の採択は見送ってですね、まあ実態的には年末あるいは来年回し、新政権への課題になるのかというふうに考えられております。
それから3番目の箱、これはですね、外部の格付け機関がブラジルをどのように見ているかというところなんですが、これはムーディーズ、スタンダード・アンド・プアーズともにかなり厳しい見方をしておりまして、ムーディーズは昨年5月に格付けをBa2に引き下げ、S&Pは格付けをBB-にしております。それから、そこには書いていませんけども、今年の2月にフィッチも同様にBB-まで引き下げて、S&P、ムーディーズについては投資適格から3ノッチ下ということになっております。
次のスライドに行きまして、マクロの動きですね。2012年以降の主要マクロ指数の動きを表にしてございます。こちらの方はですね、まずは主な指標についてご説明させていただきますと、まず1番最初の行ですね。GDPの成長率ということで、こちらは2017年、世界経済の改善や国内の各種景気刺激策等を背景にして、ようやく2015年からの2年連続のマイナスを抜け出して、2017年、まあプラス1%ぐらいの見込みになっております。
それから、2つ下にいって、貿易収支、こちらの方はですね、2014年に初めての赤字になりましたけども、国内経済の低迷による内需の停滞と、それに伴う低調な輸入を主要因としまして、2015年、2016年、2017年は3年連続で黒字を確保しているということでございます。2018年についても、コモディティ価格は好調、引き続き黒字を確保できる見込みであります。ただ一方で、内需の回復に伴いまして輸入も増えるということが予想されるので、黒字の幅は若干少なくなるのではないかというふうに見込んでおります。
それから、3つほど下にいって、株価の動きですね。これはいわゆるBovespa、サンパウロ株式指数の動きですけども、こちらは景気低迷、政治的な混乱を要因にですね、2012年から15年まで一貫して前年末終値割れを記録しておりまして、最低値で2016年1月、終値で37000ポイント程度まで落ちました。その後、まあ各国の金融緩和策等の影響でですね、世界中に資金余剰の状況が生まれて、海外投資家のリスクテイクの意欲が改善してきたということと、テメル政権の構造改革が着実に進んでいる中でですね、ブラジル国内の経済基盤も改善しているということを背景にですね、Bovespaも回復しております。2018年に入りますと、相場が非常に強気に展開をしまして、85000台の近辺で推移しているという状況でございます。
それからもうひとつ下にいきまして、政策金利とインフレ率の動きなんですけれども、こちらの方は、2017年、国内需要が非常に弱いということで、インフレ率はインフレターゲットの下限に近い水準に着地しております。また、インフレ圧力が低い環境の中でですね、金融緩和を推進して、歴史的に最も低いSelic金利、7%まで政策金利を下げております。足元、今年6.75まで引き下げておりますけども、今後の経済情勢によってはさらなる引き下げも考えられるというふうに見込んでいます。
そういたしましたら次のスライド、5ページ目ですね。これはGDPの成長率について述べたものでございます。こちらの下の方の年ベースで、ちょっと長いスパンで見ていただくと分かりやすいんですけども、過去、4年刻みでですね、2003年から2006年までが第一次ルーラ政権、2007年から2010年、これが第二次のルーラ政権ということで、最初の8年間はルーラ政権の動きを示しております。この間はきわめて成長が著しい時期だと。唯一2009年、マイナス0.1となっていますけども、これはまあ前年のリーマンショックの影響ということで、この影響も2010年にかき消されているということでございます。で、2011年からジルマ政権の第1次、これが最初の2011から2014年の4年間、で2015年以降がジルマの2期+テメル政権ということですけども、ここで2014年ぐらいから若干かげりが見えて、2015、16というのがマイナスが続いて、ようやく2017年にプラス成長。2018年についても2.8%ぐらいの成長が見込まれていると。こういう推移でございます。次のスライドをお願いします。
次はプライマリー収支ですね。プライマリー、こちらの方いわゆる歳入マイナス歳出で、金利部分の入り繰りはなしで、純粋な歳入マイナス歳出の数字を対GDP比にしたパーセントがこちらです。こちらの方もきわめて対照的なグラフになっておりまして、2013年まではですね、プライマリー黒字を維持しておりましたけども、2014年以降の景気鈍化、これは歳入の方、入ってくる方が非常に少なくなってしまったということで、14年以降赤字に転じて、引き続き赤字と。まあ、テメル政権の中で、色々な歳出抑制の試みをやっておりますけども、まだ道半ばという印象でございます。
では次のページに行っていただいて、これはCDSと為替レートの対比表なんですけども、CDSというのは色々なところでよく出てくる指標、クレジット・デフォルト・スワップといいまして、例えばブラジルの国債のデフォルトリスク、それをヘッジするためのコストがどのくらいなのかと、こういうものを示した指数でございます。これは単位はベーシス・ポイント。ですからその表の左の方ですね、の目盛りが、例えば150というのはそのコストをヘッジするために年率で1.5%ぐらい払わないといけないと。ですからリスクが上がれば、このコストは上がると、こういう構図でございます。これとレアルの対ドルレート、それを組み合わせた表がこちらです。レアル対ドル表示はその右側の表でございます。
これを見ますと、一目瞭然で相関関係が強いということは言えると思いますけれども、そうですね、2016年ぐらいまでは大体ぴたっとはまっておりまして、2017年になりますと若干乖離が見られております。ただ、これはですね、基本的に2017年というのが、先ほど申し上げたSelic金利、一貫して金利を下げているということで、レアルは中々防衛しづらい局面にあったということと、逆にドル金利はじわじわと上がっているということもありましてですね、ここの評価はまあ、レアルの為替が3.3ぐらいで前後したというのは、ある意味レアルが安定的に推移したというような市場の評価でございます。これを受けてこのCDSの評価でもですね、まあ実際にはテメル政権の政策、好感をもってですね、これを受け止めて、リスクプレミアム、いわゆるCDSのリスクプレミアムはどんどんと減っていったということで、170ポイントぐらいまでですかね、大体下っているというのが去年から今年にかけての動きでございます。
次のページは、株式相場、Bovespa指数ですね。こちらのスライド、まあマクロのところでも申し上げたんですけれども、ブラジルに対する投資家のセンチメントというのは一貫して改善をしているということで、すべからく大体の主要銘柄、まあ一律回復基調になっております。年末時点で85000前後のところにつけているという数字でございます。次のページをお願いします。
次のページは、インフレ率の方ですね。インフレ率の推移については、そこの表の通りなんですけども、青の点線ですね、これが政府が決めているインフレターゲットの上限値と下限値、その中間値ということで表にしてございます。そうですね、2010年以降、まあ一貫してターゲットの上限、このころのターゲットって大体上限が6.5%ぐらいだったんですけども、ここに張り付いておりまして、2015年だけぽこっと上がっておりますけども、これは過去の公共料金の引き上げを抑えていたものを一気に上げたというような特殊要因がございます。この辺の、インフレターゲット上限値に張り付いていたものが、2017年については逆にほぼ下限値の数字ということで、この傾向は2018年も続くだろうというふうに見ています。ただ、2018年以降、あるいは2019年になりますと、若干景気の回復が見込まれておりますので、これでまあ国内の消費が戻ってくるということで、インフレは若干上がるかなというような見通しも一部でございます。
それから次のスライドは、これは政策金利、Selicと呼ばれている金利の動きでございます。こちらの方はですね、2016年、インフレ率がようやく沈静化したということを受けまして、いわゆる金融緩和の方がブラジルでも進んできたということでですね、2017年末の政策金利は7%まで引き下がっていると。足元6.75ぐらいまで来ていますので、まあマーケットの環境次第ではさらに下げるかということも見込んでおります。ただ2018年、インフレ率が戻ってくるということで、こちらの方も政策金利を逆に上げて引き締めていくという局面が2018年、2019年にあるかもしれないというような見込みがございます。
それから次のページは、外国直接投資の動き。こちらの方は2016年、17年、大体800億ドルぐらいの動きですので、一応18年も同様の水準を見込んでいるということでございます。
それから次のスライド、これは失業率の推移でございます。これはですね、ここ数年景気低迷のインパクトを受けて、2016年から17年、失業率は大きく上がっているということで、2017年の第4クォーターで12.4%まで上がったということなんですが、2018年については、今の感じだと若干これが改善する見込みをもっております。
次のスライドなんですけども、こちらの方はですね、恒例になっていますマクロの経済指標の予想ですね。これを会議所の金融部会の、特に金融機関の方にお願いをしてですね、各銀行さんから予想を出して頂いたものの取りまとめになっています。この数字は実は2月19日に回答をいただいたものなので、その後の動きについてはこの材料の中に入ってございませんので、その点お含みおきをお願いします。
まずGDP成長率の予想の方なんですけど、大体2018年の予想として2%から3%を見ていると。一方でこのFocusって書いてありますけど、これはいわゆるブラジルの中央銀行がブラジルの主要金融機関の予測を集めて作ったFocusの数字もご参考までに書いてあるということでございます。
それからインフレ率。こちらの方はですね、2018年の予想で3.9から4.4ぐらいを見ていると。2019年については4.2から上は6.0ぐらいまでインフレを見ておりまして、ここはFocusの予想よりも商工会議所の予想が上回っているということでございます。
それから為替レート。こちらの方はですね、2018年については3.2から3.5.2019年は3.15から3.8。19年はちょっとレンジが広がっておりますけども、これは19年以降新政権ということなので、中々ちょっと予想がつきにくいということで、幅がこうやって広がったのかなというふうに我々は見ております。
それから次のページに行きまして、これも各社さんから予想的なコメントをいただいたんですけども、3つ箱がありまして、若干今回のテーマ「新たな視点」というのをちょっと意識して、まあ無茶振りして質問させていただいたところもありますけども、最初の箱はですね、大統領選、不透明で分からないんだけども、どういう契機でもってですね、ブラジルの経済の回復がはかられるのかというところですね。これを聞いたところ、そこに書いてあるようなそういうコメントをいただいております。ただ残念ながら、一番最後のところですね、年金改革法案の可決、これは中々今年中に決着がつきそうにないという状況でございます。
それから2番目の箱はですね、何か外からの要因でもってですね、ブラジルの経済に刺激、影響が与えられないかという投げかけにつきましては、各社さんから、まあグローバルな金利正常化の流れであるとか、特にブラジルに影響の強いEU諸国の動きであるとか、地政学リスクの顕在化、中国経済の動きということに加えて、最後に対ブラジルの直接投資の質ということで、これは、いわゆるブラジルへの投資というのが今まで資源とか原料一辺倒であったのが、違うタイプの投資、例えばサービス業等々への投資も含めてですね、新しい投資の形が出てくるということが外的な要因になるのではないかというようなご判断かと思っています。
それからもうひとつの箱ですね。これはですね、ブラジルをこれまでと違った見方で捉えるとしたらどんな見方をしたらいいんだろうかというような投げかけに対するご回答でございます。一つはマーケットフレンドリーな環境への改革ということで、これは我が商工会議所でも政策対話委員会で色々なテーマにしてきたテーマかと思っています。それから、さっきちょっとご説明した格付けの評価と実際の資金フローの相関関係の低下ということで、かなりブラジルは今まで格付けに左右されてきたところがございますけども、本当に実力があればですね、格付けには左右されないその評価の視点が見れるんじゃないかというようなお話しかと思います。それからもう一つは、ものからサービスへの転換というような、こういう見方があるんじゃないかということです。
それから、マクロの方で最後になりますけども、たまたまですね、2月の7日にメイレレス財務大臣がですね、いわゆる金融機関のCEOを集めてコンフェレンスをいたしました。この際に、メイレレスさんの発言の中で一部ご参考になるかなと思って、3つほど挙げさせて頂きます。
一つ目は改革事案について、メイレレス氏にとっては労働法の改正に続いてですね、2月に年金改正の法案を可決に持って行きたかったと。ただ、これは実は2月7日の時点でのコメントなので、その時点で彼は、もし2月に可決しなければ、問題は2018年中は無理なので、2019年以降の次期政権の課題になるだろうというコメントをされておりました。それから、これに続いての改革ということで、税制改革、電力部門の改革、あるいは中等教育の改革等々を挙げておられました。
それから2番目、これは2018年の成長率、この辺をどう見ているかという点については、3%強の成長を見込んでいると。ただそのためには、いわゆる消費の過熱だけではなくてですね、本格的なインフラの投資、その改革事案の実行、これが必須条件であるということでですね、まあそれなりの成長は見込まれると。ただ、成長があるので、若干のインフレの反動というのは見込まれますけども、これは彼が作っているインフレターゲットの範囲内であるというようなコメントがございました。
それから3番目。これは一番難しい、読みが難しい、大統領選がどうなるのかというところなんですけども、これもメイレレス財務大臣の発言としてですね、ちょっとあまり固有名詞は出さないようにしますけども、彼としては、いわゆる極右政権についてはブラジルについては拒絶率が非常に高いので、中々こういう政権が政権をとるのは難しいんじゃないかというコメントをされておりました。逆に労働者党についてはですね、まあルーラ自身、あるいは代替候補が必ず出てくるだろうということで、まあ代替候補についても皆さん大体ご想像はついているかもしれませんけども、昨今の新聞などでは代替候補も色々汚職の問題があるというようなことも疑われております。それからPSDBについては、いわゆるテレビ司会者、これは非常にカリスマ的な人気があるということで、この人だったらPTとまともに戦えるんじゃないかというようなコメントもございました。
最後に、自分自身はどうなのかという点については、もし自分が大統領選に出馬するとすれば、3月中に党派を決めないといけないと。今彼自身が所属している党派というのは非常に弱小なので、影響力の強い党派のサポートは必要であると。というようなコメントを大体メイレレス氏がしていたということなので、この場でご報告させていただきたいと思います。
マクロ関係の話は以上なんですが、すみません、ちょっと時間が押し迫っておりますので、次の銀行業界の話と保険業界の話はちょっと端折ってご説明させて頂きたいと思います。
まず銀行業界の話なんですけども、貸出残高の方ですね。これはその表の一番下にピンク色になっている合計のところがございまして、貸出残高、2010年以降二桁でずっと伸びてきたんですが、やはり15年、16年、17年は、16年からマイナス成長を余儀なくされているということで、これは実際に資金需要も減っているということに加えて、まあ金融機関の保守的な与信運営によるものだと考えています。
次の17ページ、これはいわゆる貸出利ざやの動き、それを 個人、法人、全体ということで、利ざやの方も、これは金利の絶対水準が下ってきたということで、17年以降ですね、利ざやが少なくなっているという動きは見られると思います。
それから次の18ページ。これは不良債権の比率ですね。これにつきましてもですね、延滞債権というのが、そうですね、16年ぐらいまで伸びてきたんですけども、ようやくここにきて景況感が回復して、企業業績も良くなってきたので、不良債権の比率も回復基調にあるということでございます。
それから金融機関、業界全体の話としましてはですね、まあブラジルもリーマンショック10年経ってですね、かなり色んな危機を乗り越えてきたということで、ブラジルの金融セクター全体はですね、まあ民間地場銀行とメガ3、それとバンコ・ド・ブラジル、カイシャ・エコノミカ等々のいわゆる強大な金融セクターがございますので、基本的には、若干の危機、これを乗り越える強靭性をもっているということで、この金融セクターの健全性がブラジルの強みの一つになりますので、銀行業界としても引き続き強固な金融システムの構築に努めてまいりたいということでございます。
続きまして、保険業界の方のお話。最初の表は、これはいわゆる保険料の推移ということで、保険料につきましても2015年、16年、若干のプラスではありますけども、これはインフレの伸び率以下ということで、2017年、これはまだ11カ月の数字ではございますけども、ようやく4.5%ということで、インフレを少し上回る数字に、増加トレンドにシフトしているという状況でございます。
次のスライドは保険種目ごとの保険料の収入。これを見ますと、一番下の青い部分ですね、これは自動車保険の動きなんですけども、自動車保険の方はあいかわらずマイナスということなんですが、その他の種目、いわゆる火災保険、生命保険、いわゆるマリン保険、こういったものがかなりプラスになっているので、全体を引っ張ったという結果かと思います。
次のスライド、こちらは損害率の方ですね。損害率、全体の数字ではですね、2016年11カ月で47.5。これが2017年は44.8ということで、損害率は全体では改善をしております。ただ一方で、運送保険であるとか、外航保健、いわゆるマリン種目、こちらの方の損害率が悪化しているということで、特に貨物等々の盗難事故、これは依然として多発している状況は続いております。
それから最後のスライド、こちらはブラジル保険市場の成長の見通しということでありますけれども、2018年の成長見通しということで、全体では6.6%ぐらいの成長を見込んでおります。いわゆる損害保険、いわゆる生命保険、どちらも6%台伸びるということで、まあようやく本格的な成長が今年以降見込まれるのではないかというふうに読んでおります。
すいません。ちょっと端折ってしまいましたけども、私からの説明は以上でございます。
司会
安田部会長、ありがとうございました。それではここでご質問のある方いらっしゃいましたら、挙手をお願いいたします。はい、お願いします。
質問者
お世話になっております。日本経済新聞社の外山と申します。マーケットのところについてですね、ちょっと教えて頂きたいんですけれども、私も今日GDPの記事を書いていて、どの程度明るいトーンで、どの程度抑えるのかというのに非常に頭を悩ましたんですけども、良く私も取材していて分からないのが、今のマーケット、外部環境がですね、先ほどS&Pとか格下げの話が出てきたと思うんですけども、S&Pが下げた時も、Fitchが下げた時も、マーケットとしては大きな反応はなく、取材してみると織り込み済みだとか、昔のレアル高だったころに比べるとレアルが安いから、相対的な割安感で買われているという話で。テメル政権の年金改革の棚上げにしても、ちょっと若干今マーケットが甘やかしているから、そういう意味で切迫感が去年に比べてなくなっているのかなという気がするんですけども、果たしてこの、まあブラジル政府とかブラジル経済にとっては良い環境だと思うんですけど、この環境というのはいつまで続くのかと。大分その、格下げしても、財政赤字がどうこうという話になっても、まあ今のところは大きな波乱もなくですね、行っているんですけども、外部要因が、ブラジル以外の外部要因ではなく、ブラジルの中の問題で、この非常に、良い環境というか、というのはこれは今後も持続可能なんでしょうか。どのように見られていますか。
安田部会長
ご質問ありがとうございます。そうですね。まあ先ほどちょっと申し上げたように、いわゆる外部格付けは確かに悪くなっているという状況なんですけども、これは中長期的にはですね、例えばブラジルの国内企業が外で調達をするというような必然性に迫られた時に、まあ今の格付けだと非常に厳しいという状況は将来的には見られると思うんですけども、目先を見ますとですね、一応ブラジルの経済が自己完結しているというところもあってですね、あえて外に調達源を求めなくてもですね、今自国内で資金調達もできるということでですね、そこはまあ今までのブラジルとはちょっと違う構造になってきている。ここはまあ、ある意味、ブラジル自身も自信を持って来ているということなので、多分これは5年前、10年前のブラジルでは中々やりにくかった、つまり、外の環境が崩れると一気に崩れるというところがですね、さっきもちょっとご説明したように、例えば金融セクターについてもですね、かなり強固な基盤を持って来ているということなので、それが今は何とか維持できているということなんですけども、ただおっしゃるように市場環境がまた変わってくるとですね、世界との関わりという中でですね、まあ調達の弁が立たれてしまうということは、ブラジルにとっては非常に難しい状況なので、そこはちょっと我々も見極めていかないといけないかなというふうには考えています。
司会
はい、ありがとうございました。他にご質問ございますか。はい。若干時間が押し始めておりますので、では安田部会長、たいへんありがとうございました。
安田部会長
どうもありがとうございました。
司会
それでは引き続きまして、貿易部会の今井部会長よりお願いいたします。
貿易部会
今井重利 部会長
皆さんこんにちは。貿易部会をやっております、伊藤忠の今井でございます。今日はよろしくお願いいたします。次のページお願いします。
まずは、定番なんですけど、17年の貿易の回顧と18年のレビューということで、これはですね、いつもの半期ごとの輸出入額の推移ということでございますが、左側の縦の線が輸出入額、右の縦の線が貿易収支。輸出がですね、この左から半期ごとの青の棒グラフ。その横の緑の棒グラフが輸入ということでございますが、直近の16年、17年を半期ごとに見ていただきますと、特にですね、輸出がかなり伸びている。輸入もそれなりに伸びているということでございまして、特に輸出はですね、穀物の輸出量がかなり増えているということと、コモディティ価格の上昇ということがドライバーという結果でございます。年間の貿易収支はですね、17年は670億ドルの黒字と。で、16年は477億ドルの黒字という結果でございますが、一方ですね、貿易額そのものの数字を見ますと、例えば11年から14年を見ていただきますと、半期ですね、輸出額も輸入額も大体1200億ドルのレンジが続いておりまして、それに比べると、16年、17年と伸びていますけど、やはり本格的なところの貿易額にはまだ届いていないと。そういう面からも、貿易全体で見てもですね、まだ開発途上かなというのがまあ数字上は見て取れるのかなというふうに思っております。
次、輸出と輸入を別々にいきますが、まず輸出からでございます。これもですね、いつものようにまずジャンルはですね、一次産品、半製品、工業製品と分けておりますが、右の一番下の輸出総額の増減率ということで見ていただきますと、金額ベースですと17.5%、数量ベースですと7.2%増加しているということなので、先程のですね、穀物をベースにした輸出量の増加とコモディティの金額の増加というように見ますと、まあざっくり言いますと、数量で7.2%なので、価格で大体10%、トータルで金額で17%伸びたというふうに読み取れるのかなというふうに思っております。あとコモディティ、アイテムごとに見ますと、上の方から大豆、鉄鉱石、鶏肉の一次産品とかですね、あと半製品につきましては鉄鋼半製品、工業製品につきましては特に自動車の輸出というのがかなり伸びたというのが、アイテム別には見て取れます。次のページお願いします。
次は国ごとでございます。やはり中国とアメリカというナンバーワンとナンバーツーがかなり伸ばしているということでございまして、特に中国はですね、大豆、鉄鉱石、原油の輸出。アメリカはですね、原油とか鉄鋼製品の輸出が伸びておりまして。日本も伸びておりますけども、これは後でご説明します。あと、インド、メキシコ、スペイン等ですね、こういう国も伸びている。全体で17.5%でございます。
右が、円グラフで、地域別の輸出先ということで表してございますけども、まあ中国が伸びているのでアジアが相対的に輸出先としては伸びてますけど、全体的にはですね、世界各地域、まんべんなくブラジルは輸出しているなというのが見て取れます。それで、あと真ん中にですね、輸出総額、年間で2177億ドルとありますけど、これは先程申し上げたように、ピークの時はまあ年間で2400から2500億ドルの輸出だということで、まあ輸出伸びていますけどまだピークにはもう少し達していないという状況でございます。次のページお願いします。
次はですね、輸入でございまして、これもですね、一次産品、半製品、工業製品と分けていますけども、これまた一番右の一番下で輸入総額、全体で増減率を見ますと、金額で9.6%、数量で6.9%ということなので、まあ輸入は数量に応じて金額も伸びているという状況でございます。アイテムでいいますと、半製品はですね、銅版とか合成ゴムも伸びておりますけども、やはりこの下のですね、送受信機、これ中国からがかなり入ってきているということなんですけど、送受信機。あと燃料油、これアメリカでございますけど、もかなり伸びて、トータルで9.6%という結果になっております。次のページお願いします。
次はこの輸入の国別でございますが、全体で9.6%ですけど、やっぱり中国が一番伸びていまして、先程申し上げたように、送受信機とまあ各種工業製品が伸びていると。アメリカは先程の燃料油と工業製品が伸びている。あと、ずっといきますと、メキシコがですね、20.1%増で、これは自動車部品周りの輸入が伸びているというふうに統計上なっております。あとチリがですね、19.8%伸びているんですが、これは銅版、銅の板類が伸びているというふうになっております。右側の地域別も、円グラフ作っていますけども、これもですね、輸出とほとんど同様の地域ごとになっておりまして、まあブラジルはですね、従来と同じなんですけど、中国の伸びでまあ輸出と同じようにアジアがだんだん多くなっているんですが、基本的には輸入も輸出もまあまんべんなく地域ごとに取引しているというのが現状でございます。次お願いします。
次は今度、対日でございまして、左側は輸出でございます。全体で14.3%の伸びなんですけど、このグラフどおりなんですが、主に伸びているのは鉄鉱石とか鶏肉とか、合金とかですね、窒素化合物、こういうのが輸出としては伸びていると。右側が輸入でございまして、やっぱり輸出に比べて輸入の方が、伸びてますけどちょっと少なくて、5.5%なんですが、基本的には自動車とかですね、自動車部品関係、半導体、機械類が伸びているというのが結果でございます。次のページお願いします。
今度は対ブラジルへの対内投資でございまして、左側の棒グラフで過去数年間の推移ですけども、2011年がですね、697億ドルでピークですけど、それ以降も年間だいたい600億ドルぐらいで推移しているのかなというふうに見て取れるんですが、例えば右側のグラフの16年と17年を見ましても、16年の537が17年は603億ドルということで、過去数年の平均に戻ってきたかなというのがレベル感でございます。
国別にはですね、アメリカがかなり伸びていると。で、一つ空けた下のバージン諸島がすごく伸びているんですけど、この辺はですね、多分中国かなと思われます。一説によりますと600億ドルのうち中国がそのうちの200億ドルぐらい占めているという説もございますし、かなり中国がやはり来ているのかなという感じでございます。
問題は今度、日本でございまして、日本はこれまた17年はかなり急激に投資額が減りまして、5億ドル強ということで、全体でも0.9%しか占めないということで、やはり日本の地盤沈下がすごく激しく感じられるということでございます。次のページお願いします。
これは分野別でございますけども、同じように一次産品、工業製品、サービス業というふうに分けましたけども、やはりサービス業がですね、かなり投資分野としては伸びているということで、工業製品分野の投資も伸びていますけど、やはりサービス業で、電気、ガス、運送業関係がこれかなり伸びていて、これは特に中国がですね、水力発電所とか、送電網、これを買収したということで、その大型投資がかなり効いているんじゃないかというふうに考えております。次のページお願いします。
これはですね、いつもと違う、日本の対ブラジル投資の過去10年間というのを作ってみたんですけども、2011年はですね、75億ドルということで大きいんですが、これはキリンさんがですね、当時のビール会社を約30億ドルで買収したというのがあるんですけども、それを除いてもですね、45億ドルぐらいということなんですが、一方、右の方の過去4年を見てみますとですね、例えば2014年がですね、37億ドルだったのが、もう4年で、倍々ゲームの逆の二分の一ゲームになっていまして、昨年は5億ドル強ということで、かなり低くなっているというのが大きな課題じゃないかというふうに考えております。次のページお願いします。
これはですね、前回のまとめなんですけども、今回のテーマの視点のところもやはり前回のが生きていると思っていまして、地道にこういうことをやっていくのがですね、今も必要なのかなと思って、前回のを少しまとめたんですけども、やはり、体制をきちんと維持とか、中長期的観点から検討する、成長分野・景気の変動を受けにくい分野を選択hしていく、融資とかそういう制度を検討する、ブラジルならではの個別案件とか付加価値のある市場を開拓するとか、パートナー、ブラジルの将来性、あとは投資・貿易の課題を当局へ提言と、この辺は地道にずっとやっていくのかなというので、皆さんのリマインドも含めましてもう一回挙げさせて頂きました。次のページお願いします。
これ最後のページなんですけども、今回のテーマでございまして、「いま求められる新たな視点は」ということで、まず現状認識で、上の左から行きますけど、ブラジルの国内景気回復していますと。ただ輸出入の相手の他の国も経済成長していますと。という中で、我々本社の目をどうやってブラジルに持ってくるかというのがやはり大きな課題でございまして。右側に書いたのが現状トピックでございますが、これは皆さんご存知の通りでございます。
で、その大きい矢印の下で、今申し上げましたけど、2018年は確実に輸出入も増大するでしょうと。対内投資も、巷間18年は800億ドルに達する可能性があるというふうに言われてますし、そういう中でやはり日本の企業をもっと呼び込まなきゃいけないというのが大きな課題というふうに認識しておりまして、それをするために、下の四角の中で丸を五つつけさせていただきましたけど、これは部会の中で皆さんのご意見もいただきまして、まとめたんですけど、やはり成長分野、日本の強みを生かせる分野をまず見極めましょうと。IoT、AIから始まって技術、サービスの例をいくつか挙げておりますけども、やはり日本が勝てる分野、技術、サービスを見極めるというのがまず一つポイントなのかなと思っていまして。
二つ目は、今がチャンス。ブラジルは多分、今年も回復途上で、多分2019年が本格回復なのかなというふうに言われておりまして、私もそういうふうに思っておりまして、やはり今来ないと遅いですよと。というアピールをしていくのかなというのが一つあるのかなというふうに考えております。
三つ目はですね、ブラジル特有の、190万と言われている日系社会がございますので、こことのですね、連携、協働をですね、さらにやはり強化していくと。やはりブラジルの日系社会の人脈も含めてですね、それも活用しながらですね、アピールして、何とかブラジルへの投資を引き出していくということが一つ視点であるのかなと思います。
四つ目はですね、中南米横展開の推進ということで、ブラジルに来れば、ブラジルだけじゃなくて、中南米の展開をできるというのが一つの観点かなと思っていまして。例えば、会員様の一つの企業の例で、チリのサーモンに投資しましたと。で、そのチリのサーモンをブラジルに持って来て販売を開始しましたという例のご紹介がありましたけど、やはり中南米展開の面白さというのをやはりアピール、一つするのかなと。
最後の5番目は従来と全く同じでございまして、やはり投資しやすい環境づくりを引き続きですね、当局、関係者に働きかけ、推進していくということでございます。
私のプレゼンは以上でございますが、最後にすみません、私事なんですけど、私貿易部会2年間務めさせて頂きましたけど、3月末で帰国することになりまして、帰国して東京の伊藤忠で金属関係の仕事をしますので、また皆様と引き続き接点あると思いますけども、よろしくお願いします。あと後任がですね、猪股というのがまた金属資源から4月に来ますので、この貿易部会もですね、猪股が担当させていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いします。色々お世話になりまして、どうもありがとうございました。
司会
今井部会長、たいへんありがとうございました。貴重な意見を多々ご発表いただけたかなと思います。ご質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。よろしいですか。それでは今井部会長、あらためましてたいへんありがとうございました。
続きまして、機械金属部会の池辺部会長によろしくお願いいたします。
機械金属部会
池辺和博 部会長
皆さん、こんにちは。機械金属部会、日立製作所の池辺と申します。よろしくお願いいたします。2017年の回顧と2018年の展望ということで、今日の私の発表内容ですけれども、まず機械金属部会の会社のビジネスに関連するマクロ関係の指標を3点ほど見て頂きまして、その後セグメント別の状況を発表させていただくんですけども、機械金属部会はですね、54社の多種多様な業種、分類の企業が会員となっておりますので、毎回のことですけれども、このシンポジウムに向けてレポートを提出して頂いた企業をこのように、鉄鋼、電力、それから建設機械・業務用空調、切削工具・ベアリング・ドライブシャフト、それからトラクター、非汎用圧縮機という5分類の形で分類させて頂いた上で発表させていただきます。そして最後に、今回の副題となっております「いま求められる新たな視点は」ということについても触れさせていただきたいと思います。
そうしましたら、まずマクロ指標関係ですが、先ほどの今井さんと同じく、私もですね、この機械金属部会の部会長を2年間やらせていただいておりまして、これが4回目のシンポジウムの発表なんですけども、今回初めてですね、対前年比マイナスじゃなくて回復基調だというような発表ができることをですね、嬉しく思っております。
これはブラジルの鉱工業生産の対前年比の推移をグラフ化したものでございます。まあ我々の機械はですね、生産現場で使われることが多いということで、製造業のお客様が多いわけですけども、その製造業の生産の推移ということで、これは先回にも報告させていただきましたが、2014年の4月以降ですね、昨年の1月まで、34ヶ月連続で前年比を割るというマイナスで生産活動が停滞しておりました。で、昨年の2月にですね、35ヶ月ぶりにプラスに転じて、その後4月、6月とプラスになり、まあ長いトンネルを抜けたということを報告させていただきました。その後、6月以降、今年の1月までですね、8カ月連続のプラスとなっておりまして、少なくともこのグラフにある2012年以降ですね、8ヶ月連続のプラスという経験はなかったですから、ここにおいても生産活動の回復が裏付けられるのかなというふうに見て取れます。
ちなみに、マイニングの鉱業を除いたインダストリーだけの工業で見ましてもですね、昨年1年間で2.5%のプラスということで、これも2010年以来の回復と。自動車業界が20.1%、家電で10.5%という成長をした耐久財がですね、13.3%になったというのが、まあ貢献しているものかと思います。
続きまして、段ボールの生産のやはり対前年同期比較ですけども、これもやはり経済、生産活動が活発になりますと、段ボールの需要が梱包、輸送に増えてくるということで、製造業の活動の一つの目安と言えるかなと思いまして、ここに挙げております。
これは四半期ごとの前年比較で、2017年の第2四半期まで、ここにプロットされております。これも先回、2013年の第4四半期から2016年の第4四半期までですね、13四半期連続でマイナスが続いていたということを報告させていただきました。で、昨年の第1四半期にですね、14四半期ぶりに若干のプラスに転じたんですけれども、再び第2四半期でマイナスということになっています。ただ、この段ボールの販売の方は昨年2017年の1年間で約5%弱伸びているというデータがございますので、この後の2017年の第3、第4四半期はですね、おそらくプラスに転じているものと思います。従いまして、先ほどの鉱工業生産と同様、この段ボールにおいてもまあ生産活動が底を打ってですね、回復基調に転じたということが言えるかと思います。
続きまして、これは建築業界の実績でございます。我々の機械金属部会の中にはですね、建設機械や空調設備関連の会社もございまして、建設市場の動向というのも気になるところでございます。
これも四半期ごとの前年比較でございまして、先回も報告させて頂きましたが、2014年の第2四半期以降ですね、これ去年の第3四半期までプロットしておりますが、相変わらずマイナスが続いております。おそらく2017年の第4四半期もですね、まあ浮上には至っていないんじゃないかというふうに思われます。政府財政の赤字によってですね、インフラ投資が見送られていること、それから企業の設備投資が抑制されているということ、ラバ・ジャットによってゼネコンの体力が低下しているという、このような影響を受けているものかと思われますけども、今年は選挙の年ということもありましてですね、この建設業界の回復はやはりいましばらく時間を要するのかなというふうに思っております。
以上のマクロ指標を受けまして、我々機械金属部会の状況を報告させていただきます。
まず鉄鋼関連ですけども、このグラフにありますように、ブラジルの粗鋼生産がですね、6年ぶりにプラスに転じました。前年比で10%の増加となっております。これは一昨年の後半から稼動を始めている新会社、CSP社という会社の前半部分が純増になっているということもありますけども、国内需要も回復しているということが言えるかと思います。その表れとして国内販売ですけども、自動車・家電の生産が回復してきておりますので、鋼板類がですね、そこにもありますが6%伸びております。ただ、先ほど見ましたように、建設業、あるいは機械等の需要の回復は遅く、条鋼類は依然マイナスの3%ということで、全体では2%の増加というふうになっております。輸出に関しては、先ほど紹介しました、バーレと韓国企業の合弁でありますCSP社がですね、スラブを生産しておりまして、大半を輸出している関係でですね、半製品が17%の増加ということで、全体で14%の伸びとなっております。輸入に関しましては、やはり自動車生産の回復ということで、鋼板類の輸入がですね、72%対前年比で伸びているということがございますので、全体では24%の増加というふうになっております。
2018年の展望ですけれども、国内販売はですね、やはり自動車の生産の継続的な回復ということ。それから機械・建設需要も穏やかには伸びていくんじゃないかというようなことがありまして、鉄鋼協会の方ではですね、国内販売は4%の伸びを見通しておりまして、生産もそれに合わせたような伸びになるだろうと。ただし、2013年のピークに戻るのはですね、まだ10年先、2028年になるだろうというような予測になっております。
輸出に関しましては、ブラジルの鉄鋼ですね、アメリカ、あるいはEUでアンチダンピング訴訟の対象となっている関係でですね、鋼板類の伸びは期待できないというような見込みになっております。
あと、休止しておりましたウジミナスのイピランガ製鉄所第1高炉がですね、この4月に再稼動されるということで、製鉄会社もですね、ここ4、5年設備、保守等への投資を凍結しておりましたものですから、我々機械金属部会の鉄鋼関係社としましてはですね、これからこの製鉄会社の設備、あるいは保守の投資への積極的なくみ取りをやっていきたいと思っております。
続きまして電力です。経済活動の回復に伴いまして、電力消費もグラフにありますように、3年振りに前年比をアップしまして、昨年は0.8%増えております。特に工業部門ですけれども、これは一昨年の10月まで32ヶ月連続で減少していたんですが、昨年は1.3%の増加ということで、一般家庭も0.8%、それから商業部門も0.3%の増加ということでですね、電力使用が増えているということからも、経済活動が上向きになっているということが言えるかと思います。
これを受けてと言いますか、2016年、一昨年ですけども、29件、158メガワットしか実施されなかったエネルギーオークションがですね、昨年の末ですけども、2つの89件3160メガワット分のですね、オークションが実施、落札されました。その中にはガス、風力、太陽光がですね、前年より大きく伸びているというような結果になっております。
参考までですけど、この円グラフはですね、ブラジルの発電手段別の構成比なんですけれども、風力がですね、一昨年、約6%だったのが、昨年は8%まで伸びておりまして、能力的には12.8ギガワットの風力発電の能力があります。これはブラジルが世界8番目の風力発電の国になっておりまして、ちなみに1、2、3はですね、中国、アメリカ、ドイツです。
2018年と言いますか、今後の展望ですけども、ここのエネルギー研究公社によりますと、今後年間500メガワットくらいのですね、バイオマスの発電がまず予想されると。一方で大型発電案件はですね、あまり期待できないということで、分散型発電所がこれから建設されるだろうということですから、我々機械金属部会の電力関係社としましては、これらバイオマス、あるいは小型・分散型発電所向けのですね、需要に取り組んでいきたいなと思っております。
次は、建設機械・業務用空調です。我々の部会には建設機械や業務用空調の会社がございまして、やっぱり建設業に密接している関係で、先ほどの建設業の動きというのが気になるところですけども、先ほども言いましたように昨年も大きく落ち込んでおりまして、まだ回復の兆しが見えないというのが状況でございます。
その影響をまともに受けたといいますか、ここにあります油圧ショベルの販売ですけれども、昨年も3年連続の前年比ダウンと、91%。この3年でですね、ごらんのように約半減以下まで落ち込んでおります。ただ、道路や土木工事用の機械全般、ブルドーザーとかバックホーとかというものはですね、昨年の第3四半期に底を打った感がございまして、対前年、年間では2%の減でとどまっておりまして、市場の過剰在庫もですね、一掃されたというような見方が出ております。それに加えて、各社の努力の成果でもあるんですけど、輸出が前年比54%と、2016年に続いて2年連続で50%以上の伸びとなっている関係でですね、生産そのものは36%の増ということになっているようです。
業務用空調ですけれども、これは工業・商業の回復、しかもこれが下期ということで、下期はこちらの夏ですから、空調の需要期も重なりましてですね、昨年の後半、7月から12月はですね、対前年12%増と。年間になおしても5%増ということで、3年ぶりに前年比をアップする結果になっております。
2018年の展望としましては、まあ建設業界の回復はやはり2019年以降になると予想しているんですけれども、まあこれ以上の前年割れはなくですね、希望的観測ですけれども、横ばい程度になるだろうということで、ショベルは前年比横ばいを予想しておりますし、あと道路・土木工事機械全般ではですね、8%ほどの増加を予想しております。あと業務用空調、空調関係ですけど、これも商工業の回復を受けてですね、5から10%%の伸びが期待できるのではないかというふうに見ております。
続きまして切削工具・ベアリングその他ですけれども、これは主要顧客先が自動車業界ということで、私のすぐ後に自動車部会の方からこの自動車に関する詳しいデータは発表されるものと思いますけれども、これは皆さんご承知の通り、自動車生産、昨年はですね、4年ぶりに回復しまして、前年比25%増の270万台になったというふうに言われています。2018年もですね、生産においては13%、販売においては12%の増加になるだろうというのが自動車業界の予測になっております。
これを受けまして、切削工具・金属加工油剤ですけれども、やはりこれの影響がございまして、各社ともですね、前年実績を二桁伸びに、前年がかなり落ち込んでおりました関係もありまして、二桁伸びたというふうになっています。また、自動車業界以外のですね、農業機械、金型分野等の産業もですね、比較的順調に推移しているということで、こちら向けの販売も好調だというふうにうかがっております。
2018年も、先ほど自動車が13%生産が伸びるというふうに予想されていました関係で、この切削工具・金属加工油剤関係もですね、二桁の伸びを予想されているようです。
あと、ベアリング・ドライブシャフト関係。これも自動車生産の回復に加えてですね、遅れておりました二輪車の生産もですね、昨年の下期以降やっと増加に転じたということ。ただし一般産業機械向けの農業機械の販売は、増加したもののですね、やはり市場在庫との調整があった関係で生産は前年比を割ってしまったということがあってですね、全般では前年比微増であったというふうに聞いております。
2018年に関しましては、先程来ありますように、自動車生産の継続回復、それから二輪の生産もですね、7%から9%の増加を見込めると。それから一般産業機械の方も、景気の回復とともに需要増が期待できるということ。さらには、自動車の補修市場となっています、消費者向けのアフターマーケットもですね、堅調に推移しているということで、まあ全般的にですね、明るさが増すような年になるのではないかというふうに見ております。
最後に、トラクターと非汎用圧縮機ですけども、皆さんご承知のように農業は昨年非常に好調でですね、政府の農業向けの低利融資もですね、順調に実行されたということで、トラクターの需要もですね、これも4年ぶりに前年比アップというふうに、約3%アップということになっております。やはり2018年、今年もですね、農業生産、農作物の収穫は概ね良好というふうな予想になっておりますので、このトラクターの需要もですね、今年は二桁増も期待できるんじゃないかというふうに見ております。
一方で、この非汎用圧縮機ですけども、これは自動車や農業ではなくてですね、資源開発や石油関連等が主要用途なんですけども、ペトロブラスの投資抑制、それから若干回復はしていますが資源価格の低位安定等があってですね、このコンプレッサーの需要の方はここ3、4年は非常に低調に推移しております。このコンプレッサーの輸入のグラフですけども、ほとんど市場が輸入品なものですから、ほぼこれが市場というふうに言っていいと思いますが、ご覧のように2015年で前年比60%、2016年はさらに30%ということで、ほぼ壊滅的な状態になっております。2017年は、数字上は158%と、まあ3年ぶりに回復したような数字になっていますけども、絶対額的に言いますとこれは、メンテナンス需要の増加ということで、例えばScrewコンプレッサーでいいますと依然ダウンしてですね、ほぼゼロの状態というふうになっています。
2018年の展望ですけれども、まあ原油価格の上昇によってですね、上流の石油生産の方は活発化し始めておりまして、従来からの引合いがですね、現実化していくことを期待しております。一方で、下流の石油化学の方はですね、当面投資の縮小傾向が続いておりまして、回復は4、5年先となるのではないかというふうに見られておりますので、当面はこの上流向けの営業に力を入れていくということになっております。
以上が我々の業界の状況報告でした。では最後にですね、本日の副題となっております「いま求められる新たな視点は」ということについて、部会の方から頂いた意見をですね、整理した形でご紹介させていただきます。
全般的には各社、今だからという特別な視点はなくてですね、従来通り地道な活動、努力を継続していくというような話でしたけれども、新規需要・新規顧客の創出というような話がありました。一例としましてはですね、ブラジルの土木建築においてコンクリート構造のシェアが高いということで、土木建築用の鋼材の消費規模はですね、あまり大きくないということがあります。したがって、これからのインフラ投資拡大に備えてですね、土木建築における鋼構造の利点、工期の短縮だとか、施工のしやすさ、それから人件費の圧縮等ですね、建築コンサルタントや設計事務所に積極的にPRして、鋼材そのものの需要を創出しようというような取組みでございます。
他に、製造業への設備の自動化、あるいは統合設備の利点を啓蒙することによって、ブラジル製造業の競争力向上に貢献するという謳い文句でですね、自社販売を増やしていくというお話しもございました。
それから、量の拡大から質の拡大への経営。それから変化に柔軟に対応できる組織作りということで、これどちらもですね、まあ大幅な需要減等、ボラティリティの高いブラジルですので、この対応力を強化ということを言っているのかと思います。
それから、最後になりますけども、景気の回復や需要拡大を見据えて、将来の成長に向けての投資機会の模索、見極めを行っていくというところもございました。
以上が機械金属部会の発表でございます。ご清聴ありがとうございました。
司会
はい、池辺部会長、たいへんありがとうございました。それではここでご質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。どんな質問でも結構ですので、ぜひよろしくお願いします。非常に広範な、多岐にわたる分野をご分析いただいてですね、ご発表いただいて、たいへんありがたかったかと思いますし、全般的には回復の兆しが見れるけれども、まだちょっとまだらかなというところではあるかなという印象は受けました。ではすみません、簡単な質問をひとつだけ。ちょっと私素人的に、詳しいことは分かっていない前提でお聞きしますけど、中国勢であるとか、あるいは欧州勢、それから米系、先ほど貿易部会の発表にも色んな国が投資を伸ばしているという話がありましたけど、機械金属部会さんの中でいうと、日系以外との競合というところで何かお気づきの点とかございますでしょうか。
池辺部会長
ご承知の通り、ブラジル、欧米の企業がもう大分昔から投資して、製造もしておりますので、新たな競争という訳じゃないですけども、やっぱり欧州企業、米州企業ですね、やっぱり我々の一番のライバルといいますか、競合相手としてはその既に進出してここで実績をあげている欧米企業、もちろん中国が最近盛んに投資していますので、これはこれでまた新たな脅威かと思いますけども、今現在という意味ではやはり欧米企業がですね、もう既にインサイダー化している欧米企業がやはり一番の競争相手かと思っています。
司会
わかりました。では、松永会頭、よろしくお願いします。
松永会頭
質問じゃなくてですね、細かい点の訂正なんですけど、一応マイナーシェアホルダーとしまして、弊社、ウジミナスのイピランガってこれ書いてあるんですけど、イパチンガが正でございます。以上です。
司会
貴重なご意見ありがとうございます。他にご質問ございますか。それでは池辺部会長、たいへんありがとうございました。
続きまして、自動車部会の下村部会長によろしくお願いいたします。
自動車部会
下村セルソ 部会長
自動車部会の下村セルソと申します。よろしくお願いします。皆様こんにちは。私は自動車部会の報告をいたします。今回は主に、2017年の振り返りと、2018年の展望について、四輪、二輪の順に説明いたします。
まず始めに、四輪の2017年の振り返りです。
2017年の自動車市場は約224万台、前年比109%でした。2013年以降ずっと自動車は縮小していますが、昨年は5年ぶりに前年を上回り、やっと市場が回復しました。ただし、レンタルやフリート向けなど、ダイレクトセールの比率は縮小しており、今後注意が必要だと思っています。
続いて月別の販売台数です。2017年の初めは100%前後で行ったり来たりしていましたが、5月から8ヶ月連続で前年を超えました。市場の回復が鮮明になっています。また、在庫についても、1カ月台前半で推移しており、引き続き適正な水準です。
こちらは生産と輸出の推移です。2017年の総生産台数は約270万台、前年比125%と昨年を大幅に上回りました。また、輸出台数についても約76万台で過去最高でした。
次に新車・中古車別の販売台数です。新車・中古車の合計台数は近年、120から130万台レベルで推移しています。昨年は新車・中古車ともに前年を上回りました。
続きまして、ブランド別の販売台数とシェアの実績です。16年から17年に向かってFiatを除くビッグ4はシェアが上昇しました。日系ブランドは引き続き堅調な販売を続けています。
2017年をまとめると、最大のトピックは、市場が本格的な回復基調に入ったことだと思っています。良かった面は、まず経済指標がさらに好転したこと。自動車販売も国内販売台数、輸出台数、生産台数が前年を上回り、また、労働法改正案が可決され、労働法の近代化が進むといった点も、業界にとってはポジティブに受け止めています。
一方では、懸念事項としては、テメル大統領や政府高官、スキャンダルが話題になる等、引き続き政治面が不安定なことです。市場回復に向けた準備が整いつつある中、政治面の安定がどういう影響をおよぼすか、注意する必要があると思います。
次に2018年の展望についてです。こちらは昨年の状況を踏まえた、自動車部会としての2018年の予測です。まず国内市場については、ANFAVEA同様の250万台程度を見込んでいます。前年112%程度で、2017年に続き市場はさらに拡大すると見ています。生産台数の予測も、ANFAVEAと同様の303万台で、こちらも昨年に続き拡大する予想をしています。
続きまして、長期の展望についてです。長期の展望について説明を、少し昔から並べてみました。
1年前の2017年の2月は、底打ち状態にあると言いました。半年前の2017年8月は、回復の傾向が見られるが、安定的な回復になるのはまだ分からないと言いました。そして今回は、回復に入りました、と言いたいと思います。長期的に年間300万台レベルの回復も期待されますが、そのスピードは昔よりゆっくりで、政治状況が市場に与える影響について引き続き注意して見ていく必要があります。
次に、長期展望のトピックスとしては、まだ正式に発表されていませんが、Inovar-Autoに代わる自動車政策、Rota2030を紹介します。ポイントとしては、WTOの指摘があり、IPIの罰則が緩くなること。また、CAFÉなどの規制が長期スパンであること。それから、セーフティやコネクティビティなど、新しい分野を強化する狙いがあることです。こういった動きをよく見ながら、ビジネスを進めていく必要があります。
続きまして、日系ブランドの課題への対応について説明します。まず昨年からの継続としては、ブラジルの厳しいビジネス環境に対応するため、現地生産とユースの強化を図る点です。
次に新たな視点として、メルコスールと各国のEPAについてです。メルコと欧州は既に交渉に入っており、韓国とは事前の協議を終えています。また、中国とも協議がスタートする可能性があります。日本とはまだ協議に入っておらず、このままではサプライヤーを含めた業界全体として、大幅に影響を受けることになります。メルコと日本のEPA交渉の推進を図ることに、各社では課題の洗い出しと対策立案を早期に実施する必要があります。
また、ブラジルコストを低減し、競争力を強化しないと、EPAの相手からブラジルは飲み込まれてしまいます。EPAの推進と競争力強化をセットで進めていかなければいけないと思います。
最後は、お客様のニーズは変化して、スピードが速いです。電動化と環境対応、安全、コネクティビティへの対応を確実にやっていく必要があると思います。
それでは、四輪の総括へ移ります。2018年は販売・生産台数ともにさらに拡大すると思われます。しかしながら、大統領選挙など、政治の影響に注意が必要であります。また、EPAの動きからも目が離せません。これに対する対応としては、引き続き環境変化に負けない事業体質強化を推進すること。具体的に、現調化と輸出によるコスト、為替影響の低減です。加速するためには、企業努力のほかに、官民連携での自動車産業の枠組づくりが必要です。また、メルコ・日本のEPAを推進するとともに、変化が激しいお客様のニーズを確実につかむことも大事だと思っています。
こちらは、そのような背景を踏まえた政府への提言です。新技術の導入の促進、自由貿易の促進、コスト削減、競争力の強化につながる抜本的な取組みなどについて、業界全体で議論していく必要があると考えております。
四輪の説明としては以上になります。引き続き業界一丸となって粘り強く提言を続けていくことが大事ですので、どうか皆様のご協力を賜りますようよろしくお願いいたします。
続きまして、二輪について状況を説明いたします。まず生産・販売の動向です。
景気が緩やかに回復する一方、高い失業率などの影響で、2017年の国内販売実績は81万台、前年比95%と、6年連続で前年割れとなりました。一方、生産は、輸出が増加したことから88万台とほぼ前年並みとなりました。二輪市場は昨年に比べると下げ幅が縮小しましたが、まだ回復に至っていない状況です。
こちらは登録別の月別販売推移です。前年比で見ますと、5月と10月に前年同月を上回り、その他の月も下げ幅は縮小傾向にあります。
最後に二輪販売の支払い形態別推移です。緑のグラフはローンによる販売比率を示していますが、与信審査の厳しい状態が続いているローン比率が少々回復傾向となっていることがお分かりいただけると思います。このような状況から、クレジット緩和、金利低下などにより、2018年は緩やかな回復を期待しています。
以上で自動車部会の報告を終わります。ご清聴どうもありがとうございました。
司会
下村部会長、たいへんありがとうございました。それでは質問おありの方、よろしくお願いします。じゃあ外山さん、お願いします。
質問
日経新聞の外山と申します。ありがとうございます。ちょっと一点、メルコスールについて教えて頂きたいんですけれども、日本政府とメルコスールのEPAというのはずっと前から言われていて、中々現実的に進まないという中で、先ほどもおっしゃったように欧州、EUであったり、また韓国も新たに始めるということで、あちらの方は具体的なレールに乗っている状況なんですけども、具体的に、欧州であったり韓国が先にEPAを結ぶと、日系メーカーにとってどのようなデメリットがあるのか、具体的にどういうところで競争が降りになるかというのをですね、例えばフォルクスワーゲンとかフィアットとかヒュンダイに対して日系メーカーはどこら辺で劣後するのかというところをですね、ちょっとその危機感というのを教えていただけますか。
下村部会長
質問ありがとうございました。すみません、私の日本語はちょっと上手じゃないんですけども、何とか頑張って答えます。その通りで、例えば、色々皆さん頑張っているんですけど、輸入のコンポーネントまだ多いんですね。うちはまだ日本から輸入しているんですけど、18%程度輸入税がかかって輸入しています。例えば欧州とFTAができる場合には、それゼロになります。そうすると、うちは18%払っていて、例えばフィアット、GMとか欧州でビジネスできる会社はゼロに全部なりますので、その影響でだいぶコスト的には大きくインパクトがあります。さらに、当然ですね、うちは頑張らないといけない、安くしないといけないんですけど、まだ時間かかると思います。ですから先に欧州と他の国が早くやったらですね、うちは遅くなってですね、大分影響があると思います。それは部品だけじゃなくて、機械もそうです。うち、トヨタの例で言うと、まだ機械はほとんど日本から輸入しているんですけど、それはまださらに20%とかそういうタックスがかかるんですけど、それは欧州から輸入したらゼロになりますので、その辺も大きな影響があると思います。そういうふうに今考えております。当然、本当はうち、全部現調しなきゃいけないんだけど、先ほど言ったようにまだ時間がかかりますので、だから日本とのEPAを同じタイミングで。前かどうかじゃなくて、同じタイミングでやらないと、そういう影響が大分インパクトがあるかなと思っています。
外山氏
ありがとうございました。
司会
はい、ありがとうございます。では会頭お願いします。
松永会頭
セルソさん、ありがとうございました。私の方からは2つ質問があります。一つはですね、メルコスールの中で、ブラジルとアルゼンチンがこれから関係を強めていかないといえないと思うんですけども、一方でアルゼンチンへの車の輸出の超過が相当、新聞なんかにも出ているんですけど、これを受けて、じゃあブラジルはアルゼンチンへの自動車の輸出の数を減らすのか、あるいは他の国に輸出するのか。あるいはアルゼンチンの自動車の輸入を増やすのか。どういった方向でいくのか、分かれば教えて頂きたいというのが一つです。
下村部会長
はっきり良く分からないんですけど、ただ、一つ考えるのは、今ブラジルとアルゼンチンが60%の国産化できたら、税金ゼロでやっています。この状況が欧州になりますので、欧州カーメーカーはその方がもっと持ってくる可能性があると思いますし、もう一つ、先ほど話しました新しいテクノロジーですね。コネクティビティとか、セーフティのところが入りますので、その辺、多分うちはそんなに同じスピードでいかないので、そうすると欧州からどんどんもって来るかなと思っています。そういう可能性があるかなと思っています。
松永会頭
分かりました。ありがとうございます。あともう一つがですね、ご説明いただいたRota2030ですか、これができるとですね、電気自動車の製造だとかそういったものというのが、輸入も含めてですね、増えるんですかね。あまりブラジルは電気自動車ってそんなに、他の国に比べるとですね、あまり取り上げられていないような感じがするんですけど、これはどういうふうにご覧になっていますか。
下村部会長
まず、Rota2030ですね、本当に大事なことだと思っています。それだけじゃなくて、今までどっちかというとInovar-Autoが5年間だけのスパンでやったんですけど、Rota2030が15年のスパンになっているんです。それはですね、うちに対しては大事なことです。やっぱりもうちょっと将来のフォーカスがないと、計画的なビジネスはできないんですよね。例えば、どこまでセーフティであることが必要になるかどうかを決めるとか、ちゃんと15年のスパンが見えたらですね、うちはもっと現調できるし、色々計画してきちんとできると思います。それがなくて変わったり、一番困っているところです。まずこれは一番良いところだと思っています。EVのことは、確かにおっしゃる通り、まだ時間がかかります。なぜ時間がかかるかというのは、やっぱりEVはインフラが必要ですね。電気のプラグとか、どこに入れるか、そういうところが時間がかかるんですけど、だけど、と言いながら来るんですよ、いつかに。で、さっき言ったEPAになったらものすごく早めに来るかもしれない。ただ、ブラジルのインフラがまだ時間がかかるものですから、だからうちは、他のカーメーカーにしても、例えばハイブリッド、そんなにインフラがいらない車をやったらどうですかと。それは、100%EVより、そのステップをいって、市場が大きくなるなら多分そうなるかもしれない。だけど、ブラジルがもう一つディスカッションがあるのが、そういいながらCO2のreductionを目指しています。その時ブラジルはエタノールを言うんですよね。エタノールはやっぱり一つの大きなCO2に対しては良い方法ですから。ただ、これはブラジルだけですからね。だから、どうなるか、まだANFAVEAの中でも政府と一緒にディスカッションしているんですけど、ただ、言いたいことは、確かにEVとかそういうレアレッジはそんなに早く来ないと思っているんですけど、いつかには来ますので、うちは準備しないといけない。だからRota2030を、例えばR&Dのインベスティメントとかそういうものもやって、色々、サプライヤーもちょっと強化して、そういうプレパレーションをやらないと。一気に来ると皆困るんですよね。だから、例えばEVになっちゃうと、エグゾーストパイプ売っている会社ですね、EVになるとエグゾーストパイプないんですよね、困るんですよね。だからちょっとずつステップをいかないといけないと思っているんですけど、ただ将来そういうことは来る、絶対来ると思っていますので、だけどそう言っても準備を始めましょうと今思っています。
松永会頭
ありがとうございます。
司会
はい、ありがとうございました。
質問
すいません、引き下げられるという発表がなされましたけども、これの導入時期というのがいつごろかということについて教えていただければと思います。
下村部会長
それは、私も知りたいです。ただ、本当は色々、ANFAVEAとか、非常に、1年かけて今ディスカッションしています。これを言ってもいいか知らないんですけど、うちはMDICと一緒に色々やりました。やりましたけど、足りなかったのはファゼンダですね、エコノミックの調整が、根回し、最後にしたので、それが大間違いと思っています。今は、皆がRota2030必要ですと、それは間違いなく大体政府の中にコンセンサスはあると思いますけど、ただその中にはインセンチーボがありますので、そのインセンチーボのバジェットが今ファゼンダとMDICを中々ディスカッションできなくて、今待っています。その中にも、色々、テメル大統領もペンションプランのディスカッションをしたり、政治家的な交渉になってですね、ちょっとおかしくなったんです。ご存知の通り、Inovar-Autoですね、12月に終わりました。皆1月から新しいRota2030が始まると思ったんですけど、中々delayになっています。今言っているのは、3月のエンドか、今考えているんですけど、本当かどうか分からないです。もう一つの質問はEV、ハイブリッドのIPIのreductionですね。これも、Rota2030は関係なくて、そういうところもあったんですけど、政府の方から、MDICの方からも、やりますと言ったんだけど、中々やってなくて、今うちも、いつになるかいえないんですけど、ただ、いつ出るかどうかも今のところフォーカスできません。
司会
はい、ありがとうございました。他にご質問ございますでしょうか。私、ひとつだけすみません、確認なんですけど、63ページでブランド別のシェアというページがあったんですけど、これは、聞き逃したかもしれません、販売ですか、それとも生産台数のシェアになりますか。
下村部会長
販売です。
司会
ちょっと素朴な疑問だったんですけど、真ん中の2016年の縦の列、拝見したら、日系3社の台数がですね、2013年と比べても、まあ、マーケットは縮小しているにも関わらず、踏ん張って頑張って、それほど日系3社は下げずに、シェアも伸ばしてきたと。ところが、2017年でマーケットが少し回復してくると、リバウンドするのが、ビッグ4というか、ここで言うとGM、フォルクスワーゲンさんが台数を比較的伸ばされているというところで、そこらへん、ターゲットとされている購買者層が違うとか、戦略の違いが出ているのか出ていないのか、そこについてちょっとコメントがあれば。
下村部会長
これは、トヨタの例で回答しますけど、うちは確かにそのとおりで、ただ、うちはもうキャパシティがないんです。さっき言ったように、ユースも増えたし、全部まとめると、各カーメーカーはちょっと状況が違うと思うんですけど、トヨタの場合は全工場がフル残業で、土曜日もフルで出ていてですね、それ以上もうできません。だから本当は、もしもっと作るキャパシティがあったら、多分もっと上がったと思うんです。うちは、まあ基本的には続いて上がったので、それがキャパシティがなくてちょっとそこに対応できませんでした。だから、今年うちは、まあしょうがなくて、三直を今考えております。ただ、これはトヨタの状況で、他のカーメーカーさんはよく分からなくて、たぶん色々あると思います。
司会
承知しました。ありがとうございます。それでは下村部会長、たいへんありがとうございました。続きましてコンサルタント部会の西口部会長にお願いいたします。
コンサルタント部会
西口阿弥 部会長
皆さん、こんにちは。コンサルタント部会、EYの西口です。どうぞよろしくお願いします。
まずブラジルの政治・経済環境について、簡単にお話したいと思います。
ブラジルの2018年GDP予想は2.8%と予測され、2017年の1.1%を上回ることが期待されています。経済活動回復に伴う失業率の低下、製造業部門の生産回復、一般消費者向けクレジット部門の拡大、クレジットの延滞率低下などの要因が挙げられます。インフレはブラジル中央銀行が目標としている4.1%を上回る可能性は低く、金利も低い事が期待されています。ブラジルは直接投資の受入れは引き続き高いことが期待されていますが、大統領選挙の結果によってブラジルの市場、投資家に不安を高める要素となる可能際はございます。
最近の動向としては、2018年大統領選挙において有力な候補がなく、出馬候補がまだ定かではありません。選挙結果によって将来の不確実性が大きく左右されます。年金改革、税制改革の実行も遅れ、政府財政の改善は選挙後となってしまいました。
良いニュースとしては、2017年7月に労働法改正の執行が決定され、11月に施行されました。また後で話しますが、この改正は労働者と企業での交渉を可能とする規定が多く盛り込まれております。
ブラジルリスクシナリオとしては、先程申し上げました、直接投資は去年と同じくらいを期待していますが、大統領選の結果により減少する可能性はございます。対内公的債権残高はGDP比較約74% で、まだ高い数値となっています。必要な改革も先送りされ、短期的な減少は見込めません。ブラジルコストはまだ課題で、複雑な税制、インフラの不整備、ブロクラシーの問題などの課題はまだ多くあります。中国の経済成長率もブラジルの経済に影響を与えるのではないかと言われております。
こちら、皆さん、各部会のプレゼンテーションで詳しいお話をされているので、簡単にご説明したいと思います。どの業界も一応、見込みとしては成長する見込みとなっております。不動産業に関しては、低いインフレと金利の低下で業界の投資と消費が増えるのではないかと言われております。住宅購入に関しましては、ブラジル貯蓄・不動産・信用協会では、2018年の住宅購入向けクレジット総額は、前年の1010億レアルよりも15%増加することを予想しております。
サービスについては、経済回復をあおって、特にメディア、広告、コンサルティング会社は成長率が上がるのではと言われております。
ブラジルのサービス業ですが、ブラジルのIBGE、ブラジル国家統計局での統計は、正式に設立されたブラジルの会社で20人以上の従業員を雇用している場合のサービスのボリュームと収益の統計をとっています。サービスは金融関係、教育と医療サービスを除いたものになります。大きく4つに分かれておりまして、まず宿泊・食事などを含む家族に提供されるサービス、情報通信・技術・オーディオ・ビジュアル・出版・通信サービス。三つ目は、専門家理その他のサービス。4番目に運輸・郵便、こちら航空・船・トラック輸送、倉庫などを含んだサービスに分かれております。
2017年のブラジルでのサービス業のボリュームは、去年と比べ2.8%マイナスとなりました。2.8%のマイナスですけれども、2014年以降の高指数で、2016年には5%マイナス、2006年は3.6%マイナスを記録していました。運輸サービスについては、特に貨物や倉庫について、製造業の回復に直接ひもづいたもので、製造に関わる原料などの輸送に関わるものだそうです。
経済は回復しつつありますが、その他のサービスについては一歩遅れて反応するのが一般的と言われております。家族へのサービスについても、2017年で、個人の所得の増加はありましたが、一般的はサービスではなく物品の購入に使われた傾向にあります。公的機関も財政難なため、まずは外注サービスをカットするのではないかと言われております。
ただ、良いニュースとしては、2017年12月には同年11月に比べて1.3%のプラスとなっています。2018年のブラジル経済の状況によって業界の回復、成長率も伸びるのではないかと言われております。
コンサルティング会社の増加している案件や、よくある事例としては、まず景気が良くなったことによるM&Aや投資の問い合わせが去年末から少しずつ増加しております。一時止まった案件などを再検討しているケースもございます。
あと、引き続き問い合わせがあるのが、情報の量が多くなっている事で ITセキュリティによる対策をされている会社が多くあります。日本でも仮想通貨のセキュリティについての報道などもされております。
不正防止や不正調査についての問い合わせも引き続きあります。腐敗防止法規定の対応や、内部通報制度を設けている会社も多くあります。不正調査については、特定の不信感をもって問い合わせるケースもあります。また、買収先が公的機関と取引が多く行われている場合の調査を依頼されるケースもございます。
税務については、引き続き移転価格の問い合わせが多くあります。よく使われている再販売価格基準法、PRLを適用する会社が多くありますが、計算によって調整額、つまり追加で法人税を多く納税する必要がある場合には、その他の基準法が可能ではないかなどの問い合わせがあります。ブラジルはOECDに加盟したいと希望していますが、そのためにはブラジルの移転価格はOECDのルール、あるいはそれに近いものに改正する必要がございます。あと税務については、間接税 、特にICMSのクレジット滞留についての問い合わせはまだございます。商工会議所でもセミナーなど行われておりますが、会社のキャッシュフローを圧迫するため、大きな悩みとなっております。ただし、そういった対策を採っても、どの州も税収不足のため、その回収許可が遅れている傾向にございます。
あと、南米の組織編制についてですけど、こちら、ガバナンス目的であったり、効率化を図るためストラクチャーについて検討される案件もございます。南米戦略ですが、その国々の税務、労務、カルチャーなどを考え、検討しております。
最後に、以前に比べアルゼンチンの問い合わせも増えました。アルゼンチンでの投資の問い合わせは、ブラジルを除いての他の南米国よりも多い傾向にございます。アルゼンチンに既に子会社がある場合は、追加の投資がマクリ大統領以来多くなっている模様です。エネルギー関係やマイニング投資の興味も増えております。
コンサルタント部会で、「いま求められる新たな視点は」ですけども、コンサルティング会社から見て新たな視点は、景気が良くなったことにより通常会社は利益も増え、不良債権の処理、固定資産の減損なども多くなり、会社がフィットな状態で、赤字から黒字になった、あるいはそういった予定の企業が多く、増えています。会社にとってはとても良い結果となります。
税務では、ブラジルは繰越欠損金は、限度はありますが、無期限で繰越が可能となっています。赤字の場合は、多くの場合、法人税を納税する必要はありません。したがいまして、黒字になりますと、法人税を納税することになります。法人税を納税し始めるに当たり、税務、節税対策、コンプライアンスなどが必要になると思われます。
また、コンサルタント部会での打ち合わせでは、ビジネスモデル、戦略についても再検討する機会ではないかと話し合いました。ビジネスモデルですけれども、経済環境、テクノロジー、消費者の動向が以前より早いスピードで変わっています。常にイノベーションについて考え、戦略を考える必要があるとは以前から言われております。第4次産業改革の中、将来が不明で、付加価値を見出すための長期的な戦略はとても難しいと言えます。その中で、ブラジルの市場にあった日本の商品や、インターネットによる販売での物流の変更や、ブラジルで実際に売れる商品は何かを考えるのはどうかと話し合いました。
ブラジルでの戦略を考える場合、三つの要素を考える必要があるのではないかと話し合いました。まず1に、ブラジルはとても大きな消費基盤があること、国土面積も世界5位、850万平方キロメートル、人口も2億770万人、こちらも世界5位であり、最近の購買力向上に伴い、大きな消費市場があります。
次に、国土面積は広いんですけども、ブラジルの市場は地域によって異なる事です。例えばブラジルの南部と北東部では現実が違います。ブラジル国内での各地域の戦略を考える事も必要かと思われます。
3つ目は、日本や他の国に対し特有性があることです。自動車でいいますと、フレックスタイプはブラジルに特有なタイプとなったり、会話するのも電話よりWhatsAppというアプリでのメッセージを送る方法が最近多くなっているため、伝統的な電話通信会社の競争相手は変わって来ました。ブラジルのメディアでは、例えばグローボなどの伝統的なテレビの放送局ですけれども、競争会社はNetflixだと言っています。
労働法改正は2017年11月に施行され、ブラジル統一労働法が74年ぶりに改正されました。従来は、多くの労働訴訟をまねき、ブラジルでは企業の競争力を阻害する意味でブラジルコストのひとつと呼ばれてきました。この改正により、現地進出日系企業にとっても、これまで過剰に課せられた労働コストを少しでも削減できる可能性があると考えられます。
今回のブラジル労働法改正の大きなポイントとしては、規定の明確化および労働契約の柔軟性の向上が主な点です。労働法の改正によって、労働訴訟が少しは減少するのではないかと見込まれております。2017年では、1カ月約20万件を突破していたにもかかわらず、新労働法施行後、12月では労働訴訟案件は約8万4000件にとどまりました。ただし、ブラジルでは一時的に労働訴訟は減りましたが、今後どうなるか分からないのが現状です。改定での変更された規定で、労働訴訟で提訴側が敗訴した場合には、労働裁判費用、弁護士費用などを敗訴した側が負担することになりました。従業員が提訴した際には、提訴した内容が不実であることは会社に証明責任はありますが、敗訴する可能性が低い、根拠のない提訴をするケースは少なくなるのではないかと言われております。
ただし、改正反対であった裁判所の判事などの判例がまだないので、実務上の対応についてはまだ十分検討の上、慎重に判断する必要はございます。
大統領選挙の結果によって経済が左右される可能性がありますが、良くなることが見込まれた際に、投資について準備されるのはいかがではないでしょうか。選挙後に準備を始めるのでは遅いのではないかという意見もございます。ブラジルでの投資の機会ですが、エレトロブラスの電気会社の民営化の計画をはじめ、今では約75社の民営化の計画がございます。
また、日系企業ではない他の他国企業の投資動向としては、ブラジル政府は医療と教育に関し予算を制約する代わりに、民間にインセンティブを規定し、投資の柔軟化を図っています。ご存じのとおり2015年には医療関連会社への外資の投資が認められました。
ブラジルの健康保険会社の保険料が増大、高齢化が続いています。大都会でもブラジルの公的保険制度、SUSへの不満度はとても高いです。ブラジルでは約40%の国民は、病院がない、あるいは離れた場所に住んでいます。そこで、ブラジルでは新たなビジネスモデルが要求されております。最近ブラジルの会社では、よく町で見かけるDr.Consultaなど、高齢者向けにおさえた保険料を提供している会社もございます。
教育では、ブラジル教育省はオンライン教育での規定を柔軟化しました。特に大学や大学院でのオンラインの教育についての施設の開設の際の要件の柔軟化、科目によってはオンライン教育を認めるようになりました。ブラジルの投資家とパートナーシップで投資を検討している外国企業が多くあります。
また、コンサルタント部会でのミーティングでは、景気回復を機に売りに出ているブラジルファミリー企業が多くあるようですので、そこでもチャンスが見受けられます。
以上となります。
司会
はい、たいへんありがとうございます。非常にご示唆に富んだご意見、ご発表だったかと感じました。ご質問等ございませんでしょうか。はい。
質問
リオに住んでいる堤と申します。後半ちょっと出れないので、この時間の質問になっちゃったんですが、本当だったら池辺さんにご質問した方が良かったかもしれませんけども、数年前からローカルコンテンツというのがね、結構リオに住んでいると毎日、特に油関係とかがあるものですから、聞くんですが、今日まだ一言も出ていないんですね。というのが非常に不思議だと、多分地域性があるのかもしれませんけども、思った点と、例えばペトロブラス、ラバ・ジャットの話が冒頭でちょっとリファーされて、今年頭に5カ年計画が新しく出て、8兆円規模の新たな指針が出て、それに向かって、幸いペトロブラスも深い海から出る油が、予定通り以上のですね、何と言うんですかね、貢献で、州とか市とか、あるいは国全体の財政を潤すというような方向性に間違いなく私も行っていると思っているんですけども、話は、さきほどのローカルコンテンツに戻ると、あまりサンパウロでは、例えば進出されている方々が多いので、多分出ない傾向があるかもしれませんが、リオの場合は例えば油の周辺を求めて日本から地方のメーカーさんたちがですね、ひょっとしたら売れる物がないかとか、お見えになって、どうしても精神的な足かせとして、ローカルコンテンツの話が出ると、まあちょっと腰が引けるというのが、まだ、去年から今年にかけても繰り返されているんですね。
ジェネラリースピーキングで、そのローカルコンテンツというものをどうサンパウロの、例えば池辺さんだったら機械の分野でお感じになっているのか、あるいはコンサルタント部会で、あまりローカルコンテンツというテーマがかき消されつつあるのか、というのがちょっと、興味という意味で質問としてさせていただきたいと思います。ちなみに、ローカルコンテンツというのは、リオでもですね、ペトロブラスが色々と大きな開発・生産機械を買う時に必ずテーマとして出るんですけども、例えば90%の要求がゼロになったりですね、要するに、輸入メーカーさん、こちらで見ると輸入する対外のメーカーさんたちに非常に有利な形で今、色んな機械が海外調達という形で入って来るような、間口が広くなりました。これは、ある意味で日本から見てもいいことだと思うんですけど、私はノルウェーとかヨーロッパの機器メーカーのコンサルタントもやっているんですが、彼らが来ても必ずローカルコンテンツというのがやっぱりこう、精神的な足かせになっているというか。サンパウロではあまりそういう話が出ないので、ちょっと違いを、数年前よりも今日新たに、景気が良くなったからもうそういう話題が出ないのかなというような感じでちょっと受け止めちゃっているんですけども、何かあまり、そういう話は出ませんか。
西口部会長
そうですね。コンサルティング会社ではですね、まあ企業さんからローカルコンテンツについての、計算といいますか、ローカルコンテンツについてのそういうサービスの問い合わせはあるんですけれども、何かサンパウロで違った、サンパウロ州での動きは私の方では聞いていないですね。何か変わるということは。
質問
話題になる場面というか、フィールドがあまりないのかもしれませんですね。私、Abimaqという全国機械工業連盟のエネルギー部門の会長の顧問みたいなことをちょっとやっていて、エネルギーなので、リオになると必ずその、何と言いますか、施設産業の方々が、組合レベルでローカルコンテンツのことをアピールするんです。要はプロテクションということになるんでしょうけど。6500社も全国にある会員をもったAbimaqの中で、かなりの部分はサンパウロにメーカーさんたちが散らばっているはずなんですけども、そういう、雰囲気的に今、ローカルコンテンツを楯にとって、例えば日本からの進出を拒もうとかですね、あるいは対外の障壁を作っちゃおうとか、そういうようなネガティブな動きに包まれているような空気感というのがあまりないということなんでしょうか。
司会
はい、ありがとうございます。コンサルタント部会さん以外でも構わないと思いますけれども、もし、すでにご発表いただいた部会さんからでも、もしご意見あるいはご回答あれば、お願いできますでしょうか。はい。堤さんありがとうございます。
発言
三井物産の土屋でございます。ローカルコンテンツの件に関して、私どもリオでもこちらでも色々やっておりますので、事実上この数年を見ていますとですね、今おっしゃっていたようにローカルコンテンツで縛りを入れてくるんですが、現実にはコストだとかを見るとですね、ローカルコンテンツだけではコスト高になる、ペトロブラスをとってもですね。ということで、結局入札してもですね、値段が合わなくなったりということもあって、見ていると、やっぱりそこらへんのところはローカルコンテンツの縛りを入れて、コスト高で現地産業を保護するというよりは、むしろやはり効率だとかコストを考えて、ある程度ペナルティを払ってでもですね、輸入品を入れて、製品あるいはプロジェクトを完成するというような方向に、例えばペトロブラス1社見てもですね、行っているのかなということで、確かに一時期のローカルコンテンツの縛りというのと比べると、ペトロ自身見てもですね、私どもから見ると少しやはりその辺のところは変わってきているということもあって、もちろん分野ごとによりますが、特に大きな8兆円という投資規模で進めていくようなペトロを見てもですね、ローカルコンテンツで高いお金を払うというよりは、むしろ効率、あるいは将来のことを考えて、輸入品ももちろん受けていくというふうになりつつあるので、これが撤廃されるかどうかというのは言いきれないと思いますが、数年前と比べると、あまり気にしなくなってきている。ローカルコンテンツの要求してもどうせ無理だよというふうに、私どもなんかは思っていますので、その辺はちょっとトーンが変わってきたというのが現状ではないかと思います。
司会
はい、貴重なご意見ありがとうございます。自動車部会さん、機械金属部会さん、ございますか。
発言(池辺氏)
例えば電力業界なんかで、再生可能エネルギーに投資される方はですね、BNDESのファイナンスを受ける場合はですね、ローカルコンテンツが要求されますよね。最近これ聞かないのは、BNDESそのものが最近あまりファイナンスしていないというのがあるのかなとも思いますし、案件もそれだけ少なくなっているんじゃないかという気もします。いずれにしましても、BNDESのファイナンスを受ける場合は当然ローカルコンテンツというのは出てくるんですけど、自己ファイナンスする場合はこの問題は出てこないということで、最近はその話は聞かないというのが実態ですね。
司会
はい、ありがとうございます。面白い着眼点をご提供いただきまして、またご回答いただきまして、たいへんありがとうございます。ちょっともう時間もやや押してきておりますので、ここで前半を終了させていただきたいと思います。西口部会長、たいへんありがとうございます。
今からコーヒーブレイクに入らせていただきまして、予定通り3時半から午後の部を開始したいと思います。よろしくお願いいたします。
後半の部
司会 大久保敦 企画戦略委員長
そろそろシンポジウムの後半戦を開始したいと思いますので、皆様ご着席をよろしくお願いいたします。間もなく開始いたします。ご着席お願いいたします。
はい、それでは時間になりましたので、2018年上期業種別部会長シンポジウムの後半戦をですね、開始したいと思います。私、後半の部の司会を担当させていただきます、企画戦略委員長でジェトロサンパウロ事務所の大久保でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速各部会の発表に入りたいと思います。タイムキープを含めて、皆様のご協力をお願いいたします。まずは化学品部会の発表に入りたいと思います。羽田部会長より発表をいただきます。羽田部会長、よろしくお願いいたします。
化学品部会
羽田徹 部会長
皆さんこんにちは。今年から化学品を担当することになりました、日本曹達の羽田と申します。昨年の4月にブラジルに着任してから1年弱、まだまだ勉強不足のところもございますけども、御指導いただきながら役割を果たして行きたいと思っています。よろしくお願いします。3時55分まで時間いただいております。よろしくお願いします。
まず、初めにブラジルの化学業界、統計が出ておりますので、少し話を触れたいと思います。そして本部会の昨年の回顧と今年の展望について分野ごとにお話したいと思います。そして最後に副題である「いま求められる新たな視点は」についてお話して終えたいと思います。
ブラジル化学工業会の統計が出ております。2017年業界売上、3793億レアルということで前年比1.2%増加しております。ドルに換算すると8.2%の増加となっております。主に自動車関連、白物家電関連、建築関連で需要増大が牽引したと報告されております。
視点を変えまして、貿易収支を見てみたいと思います。2017年、マイナス234億ドルということで、前年比赤字が6.3%増えているという報告になっております。輸入依存が進んでいるというような状況です。ブラジル石油・ガスの生産量、年々増えておりますけれども、依然原料価格に競争力がない、まだ電力など生産コストが高いということで、輸入の依存が年々続いております。
将来の化学業界における投資見込みについてもですね、縮小していくと見られておりまして、今後ますます輸入依存というのが進んでいくと見られております。
そんな中、本部会についてです。回顧と展望ということで、例年通りアンケート形式で、メンバーから業績の推移、また見通しを聞きとっております。化学品部会、所属70社からなっております。その中からアンケートに協力いただけたのが26社。昨年と同じ個数になっております。工場保有がそのうち14社ということになっています。
本部会が関わる市場、ご覧のように多岐にわたっております。アンケート総数として55件、その中から多い順番に、輸送、ヘルスケア、農業、印刷とお話したいと思います。次お願いします。
まず化学品部会の集計です。このグラフ、見方を説明しますと、縦軸に回答件数、横軸に業績の推移を売上、利益で並べております。
まず2017年、どうであったか。かなりの数で増加という結果が返ってきております。一方で、不変、減少したという結果もあります。不変・減少の総数と増加を比べると、半分半分ということで、業績が分かれた年でした。2018年については、減少を見込むメンバーさん、かなり減りまして、大方が増加すると見ております。これが全体像です。次お願いします。
では分野別に見てまいります。四輪・二輪に代表される輸送というくくりでまず紹介したいと思います。用途が、内外装プラスチック部品、エンジン用シール剤、樹脂添加剤、着色剤などとなっております。
取り巻く市場環境。昨年はですね、自動車部会からも説明ありました通り、四輪の生産・販売台数の増加。一方二輪では、市場低迷というような状況でした。自動車向けに供給しているメンバーさんにおいては増加したという結果が多かったのですが、二輪に関しては不変だった、もしくは減少した、というような結果になっています。
そのような中、各社の増減要因というのも聞きとっております。自動車向けに供給されているメンバーさん、自動車の生産台数増加による販売アップに加えて、価格対応や機能性原料の紹介を通して、顧客の再獲得、または新規開拓というのを成し遂げております。また、現地生産化を進めたり、アルゼンチン輸出で成長したというメンバーもいらっしゃいました。一方、二輪分野、市場低迷している中で、汎用品、いわゆる中国・韓国品との競争激化が進んでいるということで苦労されておりました。また、顧客の与信枠を減らさざるを得ず、受注減ということになってしまったというケースもございました。次お願いします。
2018年の展望です。自動車。生産台数の増加。二輪においても市場が回復するという意見もありました。それを受けて、グラフでご覧のように、減少を見込むメンバーさんがなくなり、増加するであろうという非常に明るい見通しとなっております。各社さんの取り組みを聞きとったところ、機能性原料の投入だとか、新規開発アイテムを立ち上げる、また販売条件に前向きな柔軟性をもたせてはどうかと、そういったアイデアも出ておりました。
本部会のメンバー、最も多くが携わるこの自動車の分野で減少を見込むところがなくなったというのは非常に明るい兆しだと思います。次お願いします。
ヘルスケアというくくりにさせてもらっています。用途として、食品添加剤、包装フィルム改良剤、包装着色剤、化粧品原料、一般医薬品などとなっております。
食品以外、化粧品、一般医薬品については市場回復せずということで、それぞれが関わる分野で業績が分かれる結果となっておりました。皆様の売上増減の要因を聞きとったところ、新規開発アイテムを増加させたり、顧客の輸出案件に協力して業績を伸ばしたという企業がありました。また、販売体制の見直しや、販売費を積極投入して一定の伸長は見せた。とはいうものの、価格競争の激化が進んでおり、増加を果たせなかったというメンバーもいらっしゃいました。また、重要顧客との契約が終了したことで受注減やむを得ずといったケースもございました。次お願いします。
ヘルスケアの2018年の展望です。一変しております。食品、化粧品、一般医薬品、全ての分野で市場回復が見込まれております。各社の取り組みとしては、販売費の継続投入、セールス増員、新商品の上市、周辺国へさらに展開していこうということで、皆さん増加を見込んでいます。
先程の自動車分野と、このヘルスケア分野で、アンケートの約半分になります。そこで減少を見込むメンバーがいなくなったというのは非常に、景気回復が本格化してきているのかなと期待させてくれるところです。次お願いします。
農業分野です。用途、いわゆる農薬、飼料添加剤、診断薬原料などとなっております。2017年、この分野、天候にも恵まれ、歴史的な豊作の年でした。また、中国向けを中心とする農産物の輸出、食肉の輸出、堅調に推移し、ブラジル経済を下支えしていました。一方で、農薬についてなんですけども、欧米の大手の過剰販売の結果、流通在庫膨大になっておりました。その関係で、最終ユーザーである農家レベルでの使用量というのは増えているんですけども、我々メーカーの出荷が縮小したという現象が起こっておりました。
そんな中、各社の取り組みですが、新製品の上市や周辺国への展開などを通じて増加させたというメンバーがおりました。一方で、これも農薬なんですが、中国を中心とするジェネリックの攻勢が強まっているということで、値段対応を余儀なくされ、増加を果たせなかったというケースがございます。また、遺伝子組み換え作物の浸透、これにより自社製品の使用場面がなくなってしまったということで減少したケースもございました。次お願いします。
2018年の農業分野での展望です。ただ今作付けシーズン真っただ中でございます。天候も良く、作柄も良好と。最大の作物である大豆、これが過去最高の収穫量になるであろうと見通されております。農薬の約半分が大豆向けですので、このおかげで農薬の流通在庫の整理も進むだろうと期待されております。ただ一方で、ジェネリックの攻勢という大きな課題は目の前に横たわったままであります。
各社の取り組みについてです。スタッフを増員させたり、販売網の拡充ですね。新製品の上市。周辺国への展開を強化するということで、成長を計画するメンバーいらっしゃいましたが、一方でジェネリックの攻勢。ジェネリックに対する対抗のためにですね、価格対応というのはやむを得ず、ということで、売上はキープするけど、利益は減ってしまうであろうと見ているメンバーさんもいらっしゃいました。
これまでの自動車、ヘルスケアと違って、ずっと好景気が続いてきた農業分野です。今年も好景気だと思っておりますけども、メンバー皆がポジティブなわけではなく、現状維持が妥当だろうというふうに意見の分かれる特徴をみせております。
続いて印刷分野です。用途は出版・パッケージ用インキ、感熱紙原料、印画紙などです。
大変苦労した昨年だったと聞いております。市場の低迷、在庫過多、価格下落傾向。顧客のニーズも変化してしまって、販売減という状況。輸出でがんばったけれども、カバーしきれませんでしたというような状況。ということで、増加したメンバーさんいらっしゃいませんでした。次お願いします。
2018年、印刷分野での展望です。少し状況が好転するようです。印刷・インキ分野の需要低迷というのは続くようですが、一部の分野では高機能化が求められており、成長機会となっております。また感熱紙原料、需要増が見込まれております。そうした中、製品ラインナップの見直しをし、高機能製品の投入、また、新顧客を開拓、周辺国への展開を強化というようなことで成長を計画しております。一方で、価格の競争激化は避けられず、減収減益やむなしというようなメンバーもいらっしゃいました。業績が増加と減少に分かれるという結果になっております。次お願いします。
以上でアンケートの約8割をカバーしました。ここで総括に移りたいと思います。
17年の回顧としてですね、見てみますと、約半分、53%の回答が売上増加という状況でした。昨年この場でのシンポジウムで総括されました、我慢の時期はまだまだ続くであろうという言葉を引用するならば、17年の回顧はですね、我慢の時期は終わったと言えるのではないでしょうか。また、機能原料や新規案件の立ち上げ、販売体制の見直しなど、成長への布石を打ったという年でありました。
2018年の展望です。約8割が売上増加を見込んでいる、とても明るい状況です。これまで遅れてきた一般消費者の購買意欲も復調するであろうと。そういった中、機能原料や新商品のさらなる投入、価格対応や販売条件の前向きな見直しという積極的な話も聞かれました。まさに、攻める時が来た、という言葉で総括したいと思います。次お願いします。
最後に副題、いま求められる新たな視点は、についてです。企業努力の面から見ますと、これまで話してきた通り、ここには書いておりませんけれども、三つに集約されると思います。まず一つ目が、機能製品の投入や新規開発アイテムの立ち上げということで、変化する顧客ニーズにいかに対応するか。そして二つ目。価格対応や販売条件の前向きな見直し・検討。そして三つ目。国内販売体制の拡充、また周辺国の販売体制の構築、そういった視点から各社の取り組みがみられたかと思います。
それに加えて、ここの下の方に書いてあります、環境配慮型製品に可能性があるのではないかという意見もありました。例えば、生物農薬に着手しているところもありましたし、自動車分野、当局が規制の改革を突然やってくることを想定し、準備をしておくべきではないでしょうかというような意見もありました。また、競争激化の中、コスト削減のための設備投資、いまこそ必要ではないかというような意見もありました。
いずれにしましても、この意見交換を通じて非常に強く感じたのはですね、ビジネス環境の整備、これなくして、やはりさらなる積極的な攻めには出にくいというジレンマです。例えばこの上の方に書いてあります、許認可プロセスの簡素化・迅速化。例えば農薬の場合、申請から登録まで約5年から7年かかってしまいます。これでは市場ニーズが変わってしまっておりますので。また次の、輸入ごとの品質検査、これもそうですね、簡略化。また、メンバーが最も苦労されている税制。簡素化のみならず、関税の軽減、国内工場を持っていらっしゃるメンバーの中には国内生産品に対する優遇などの意見もありました。
また、労働法。これさらに修正ありきと聞いておりますが、この法的安定性の確保というのは、雇用主としてぜひ求めたいところです。また、違法品ですね。オリジナル品に便乗したまがいものの取り締まりを強化するべきだというような意見もありました。企業努力だけではどうにもならない部分なのですが、むしろカマラの活動、政府、当局への要望といったところと重なるのですが、この必要性というのをあらためて強く感じたところです。
はい。時間にもなりましたので、ここで化学品部会の話を終わりたいと思います。ご清聴ありがとうございました。
司会
羽田部会長、どうもありがとうございました。ただ今の発表につきまして、ご質問のある方、挙手をお願いできますでしょうか。いかがでしょう。やはり発表の中で、結構、ジェネリックの攻勢とか、中国・韓国品との価格競争とか出てきましたので、やはり、市場の変化のニーズにあった新たな商品、原料をいちはやく投入するには、やはりネックとなっているのは、許認可プロセスが非常に時間がかかるというのがネックになっているというところが浮き彫りになって、やはり政策対話の重要性というのが再認識されたという発表であったかと思います。それではですね、質問ないようですので、化学品部会の発表は以上とさせていただきます。羽田部会長、どうもありがとうございました。
それでは引き続きまして、電気電子部会の発表に移りたいと思います。千野部会長より発表をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
電気電子部会
千野浩毅 部会長
皆さん、こんにちは。電気電子部会の発表をさせていただきます。実は私、ここでこういうふうに発表するのは7回目になるんですけど、このチャートを使うのは6回目です。手抜きじゃないかと言われるかもしれないんですけど、最初に私がここに来た時、2014年の10月だったんですけれども、まあその時からすでに景気の後退というのが始まって、翌年の夏、15年の夏にはリセッションに突入ということで、その時に使ったチャートがこれなんですけども、電気電子部会の会員各社というのは、耐久消費財であったり、産業用の機器であったり、あるいは公共投資向けの色んな機器であったり、そういうのを生業にしている会社になるわけですけれども、それに対して、ここに書いてありますように、レアルは安くなるわ、リセッションだわ、失業はもうどんどん増えるわ、インフレ、高金利、政局は混乱しているし財政赤字だと、一体何重苦だろうという、こういうふうな状況になりまして、当時は一般消費者向けの耐久消費財、それから産業用、公共事業向け、これ全てがどん底というような状況になったと。これが2015年から16年ぐらいまで続いた状況だと思います。次お願いします。
で、今日現在どうなんですかというと、これもある程度、今までいろんな発表があった中でのコンセンサスだと思うんですけども、レアル安ですとか、リセッションもまあ一段落し、インフレも収束し、という中で、まあまだちょっと、財政赤字ですとか、政局、混乱ではないけどもやっぱりまだかなり不安定と。それとラバ・ジャットなんかもあると思うんですけれども、そうした状況の中で、まあ一つ言える事は、前回もお話しましたけれども、一般消費者向けの耐久消費財というのはこれは明確に回復しているという状況が見えるんですけども、一方で産業用の機器ですとか、公共事業向けのこういった需要というところに至っては、まだまだ回復っていうところまでは来ていないということで、この電気電子部会の中でも、扱う商品ですとか、事業の領域によって、回復のスピードというのはかなり異なるのかなと、こういうふうな状況が続いています。次お願いします。
これは一般消費者向けの商品の販売動向ということで、液晶テレビとスマホですね、これの動向についてのデータになります。これは小売店での販売のデータを月別に見たものです。Gfkという第三者機関のデータになります。これは前回8月にもお話したんですけど、液晶テレビは3月ぐらいから、スマホは2月ぐらいからかなり需要がぐっと回復してきて、前年を上回るようになってきたと。前回8月でしたので、そういう傾向になって来ましたよということをお話したんですけれども、今回お見せするのは12月までのデータになるですけども、その後もですね、こういった液晶テレビですとかスマートフォン、こういったものに関して言うと、回復の傾向がずっと続いております。テレビで言うと前年比3割アップというのをずっと維持していますし、スマホも前年比2割ぐらいというところがずっと維持されていると。
この赤いラインが単月で前年に対しての成長率というのを示していまして、これで見ていただくと、テレビ、それからスマホ、それぞれが2月、3月ぐらいからぽーんと赤い線が上がって、100%を超えてそれを維持しているというのが見ていただけるかと思います。一方で青い線ですね。これは12カ月の移動累計で、業界の大きさがどういうふうに推移しているかというのを表しているんですけれども、これもやはり昨年の1月、2月ぐらいというところをボトムにして、ぐーっと上がってきていると。テレビに関しては、ワールドカップ終わったぐらいでは年間で1400万台ぐらいの規模があったんですけれども、一時期それが800万台を切るぐらいまでのレベルに落ちたんですけど、それが1000万台規模までぐーっと回復してきた。ちなみにテレビは、普及率ですとか、耐用年数から考えると、大体1000万から1100万台ぐらいというところが業界の規模、適正規模というふうに見られていますので、ほぼ適正規模に戻りつつあるということです。次お願いします。
これはオーディオの販売。同じように小売りの販売のトレンドを今回はもってきました。オーディオに関してはですね、どちらかというとオーディオコンテンツというのが昔はCDですとか、USBのコンテンツですとか、そういうものがあったんですけれども、最近はもう完全に電子化が進んでしまって、オーディオ機器そのものの需要というのがどちらかと言うと衰退傾向にあるという中で、景気の回復の割には中々回復してこないというふうなカテゴリだったんですけど、実はオーディオ商品の販売動向で見ても、昨年の6月ぐらいに底を打って、もうこれ以上あまり落ちなくなってきたということがあるので、まあこれを見ても、結構一般商品というところでいうと、かなり鮮明な回復の傾向があるのかなというふうに思っています。次お願いします。
続きまして、これは生産ですね。マナウス地域での家電製品の生産のトレンドをまとめたものです。先程見ていただきましたように、液晶テレビ、スマホ、こういったのはどちらかというと必需品に近いようなアイテムになるかと思うんですけども、こういったカテゴリについては非常に回復が早くて、販売が回復するよりも若干早く、2016年の後半ぐらいには回復の兆しが見えて、それが維持されていると。電子レンジ、エアコンというのは実はリセッション突入前には非常に成長率の高い、これからの成長商品というふうに見込まれていたんですけれども、これがリセッションで一回落ちましたと。ところが今度2016年から17年にかけて、ここは大幅に、かなり大きな改善をしてきているというのが見て取れます。あと、一番右にあるオーディオですけど、これもずーっと下落してきたのが2017年には下落の傾向が止まって、まあ前年を維持するぐらいの生産数量になっているというふうなデータになっています。次お願いします。
これもいつも、うちの部会の恒例なんですけども、売上高、前年に対して今年はどうでしょうかと、こういうふうなアンケートをしていまして、パーセンテージで何%増えますか、何%減りますかというふうな形でアンケートお答えいただいているんですけども、昨年の8月の時点で2017年どうなりそうかという質問に対して、一番上に書いてありますけども、14社から回答をいただきまして、改善するだろう、10社、72%。維持レベルであると、7%。まだまだ悪化していると、21%。こういうのが昨年8月時点での17年の展望でした。これ、17年実際に締まってみて、結果はどうでしたかというのが今回のアンケートの結果になるわけですけれども、17年に関して言うと、良いニュースでとしては、悪化するだろうと、3社なんですけど、この割合が減っていると。で、改善がちょっと減っているんですけれども、実はこれ、100%から109%という前年比のものは維持というところに入れていますので、まあそういった意味で言うと、概ね良くなっているというふうに見てとれるかと思います。
一方で今度、18年はどうでしょうということに関しては、ここにありますように改善9社、維持3社、悪化はゼロというふうになっていますので、かなり、今年に関して言うと昨年よりは期待できそうだというふうなのが全体のコンセンサスになっているというふうに見て取れます。次お願いします。
この辺の、17年どうだったか、18年どうなりそうということに関して、色んなコメントをいただき、また色んな議論をしたんですけど、それをまとめたのがこのチャートになります。
まず17年の回顧について。マイナスというのはこれはネガティブな側面、プラスがポジティブ。プラスマイナスと書いてあるのはですね、ネガティブ、ポジティブどっちにも転び得るような要素であり、変化であるというものをここに類別しています。
まずネガティブな方ですけど、これは色々すでにコメント出ていると思うんですけども、産業系の投資、公共投資、この辺の停滞がずっと続いていたと。ラバ・ジャットの影響もありましたと。あとは、特需の減少。これは2016年が実はオリンピックの年で、オリンピックの年にあわせて結構色んな特需があったと。17年はなかったということで、そこがマイナス要因になりましたと。あとは、自社の状況以上に取引先の経営困難、例えば資金難によってものが買えない、信用が縮小している、こういったところで中々ビジネスがうまく回っていかないと。こういったところにネガティブな要因があったと。
ポジティブな方ですけれども、一般耐久消費財、この辺のビジネスに関しては底打ちから回復というのが非常に鮮明になってきたと。為替が安定し、金利の低下によって、そういうところで事業の機会というのが増えてきたということ。それからあと、電気電子部会の中でも結構自動車関連で色々商売があるということで、先程自動車の部会の方からも報告あったと思うんですけど、自動車が回復してきているということで、ここもやっぱりビジネスオポチュニティとしてかなり大きく回復しているというのがポジティブな要因。それと、自社努力の成果。これはリセッションを機に、あるいはリセッションの前から、数に頼るのではなくて、商品力ですとか、コスト体力の強化、販売戦略の刷新、新規ビジネスへのチャレンジ、あるいは輸出にもっと力を入れてみるとか、各社さんが色んな努力をされている訳ですけれども、そういった努力が、2年3年やっている中でどんどん花開いてきているといったこと。それとあとは、需要がある程度回復してきたのにあわせて、投資の再開ですね。増産の対応ですとか、新規ビジネスへの投資、こういったものに対して積極的に取り組むようになってきた。こういったことが挙げられています。
最後のプラスマイナスですけれども、競争というのが再開されてきたと。今まではみんな、各社ひーひー言っていて人の事なんか考えていられないという感じだったんですけれども、マーケット環境というのが正常化してくると、競争環境というのがまた元に戻って来ると。まあいい意味で言うと市場が活性化している。悪い意味で言うと収益にはインパクトがありますねということで、そういう意味でプラスマイナス。それから、景気回復後の成長シナリオが不明。これは、1%の成長、2%の成長というと、成長はしているけれども、普通はこれ低成長って呼びますよねと、この先どうなるんでしょうねといったところ。それと、あと、顧客企業の事業モデルが変化していますと。これは、リセッションを機にということもあるんでしょうけど、先程もビジネスモデルの変革みたいなことがいくつかコメントで出ていたと思うんですけど、そういったことが色んなところに起こっている。ハードからソフトへ、あるいは、今まで長く取り引きをしていた取引相手でも、まあマルチベンダー化をしますだとか、色々こう、経営上の工夫というのが変わってきているといったことが挙げられます。あとは、結構大きく伸びているのがこのEコマースですね。このEコマースがどんどんどんどん拡大してくることで、流通業界の構造が大きく変化していると。これにどういうふうに対応しなきゃいけないのかというのが結構大きな課題になってきたということです。次お願いします。
2018年、展望としてのコメントを同じようにまとめてみました。ネガティブな領域としては、まあこれは引き続きなんですけれども、産業投資、それから公共投資、この辺の回復がまだまだ遅れていて、これがぐーっと回復してきたなという実感がまだないということです。それから、グローバルボラティリティに関する懸念というのがあるんですけれども、昨今、為替がものすごく変化している時というのは、実はブラジルの要因じゃなくて、トランプさんが何かやったとか、中国で何かが起こったとかいうので結構荒れる領域があって、そういったところに引っ張られる、こういうところの不透明感があるということ。それから、EPAの話がさっきから出てたと思うんですけども、もちろん日本もこれからメルコスールとの間でEPAの話というのは色々進んでいくんだろうなという期待はあるものの、一方でやはり他の国を見てみると中国、フランス等々、こういったところはすでに色んなことを始めているという中で、非常に危機感は強いということです。
プラスの領域で言うと、景気の回復というのは継続するだろうし、物価、為替というのもそれほど暴れないんじゃないかというふうな期待があると。それから改正労働法、これは間違いなく色んなメリットをもたらすだろうという期待があります。それから自社努力の継続。まあこれは色んな工夫をしながらやってきたものというのも努力を継続・拡大していると、そこに対して結構自信が出てきている、といったところがプラスの面ですね。
プラスマイナス、両面あるところなんですけれども、まず大統領選挙。これはあらゆる部会の会員の方が全て大統領選挙だと。まあ皆さんもここにいらっしゃる方は皆そうだと思うんですけれども、一体どうなっちゃうんだろうと、これが一番気になると。それから年金改革の行方。こういうのによってはプラスにもマイナスにも転びますよと。それから、今年はワールドカップの年になります。ワールドカップの年になると、家電製品、特にテレビなんかがワーッと売れるんですけれども、まあそういった需要拡大というプラスの面もあるんですけど、一方で、需要拡大をねらった各社の動きというのが激しくなりますので、そうするとマーケットが乱れると。それが最後、過剰在庫につながったりするとマイナスの面もあると。こういった面も含めて、ワールドカップはオポチュニティであり、リスクであるという認識をしているということです。あとは事業環境変化、ここにどう対応していくのか。特に顧客、それから取引先、こういったものはずいぶん変わってきているんだということを認識しながらやっていく必要があるだろうということです。
サマりますと、市場回復の速度、度合い、これは電気電子部会の会員の中でもですね、事業領域や商品カテゴリによってまだまだ差があると。特に産業用、公共投資、このへんはまだ厳しい状況から脱したとは言い切れないなということです。それから、景気回復の流れの中でですね、事業規模を再拡大、もう一回元に戻していくんだという、こういったところへの準備を、あまりおっかなびっくりじゃなくて、しっかり進めようというふうに変わってきているのかなということ。それから、リセッションの時から取り組んできた、市場の量的な拡大に頼るのではなくて、差異化ですとか、新規事業、体質の強化ですとか、こういったところをよりどころにした事業運営を維持強化していくと。あと、事業環境の変化ですね。これを見定めた事業展開というところを留意しながらやっていかなきゃいけないだろうと。で、最後になりますけど、大統領選挙、年金改革、これは懸念ですといったところになります。
今回いただいたシンポジウムの副題、「いま求められる新たな視点は」ということについてなんですけど、中々これ難しいんですけど、中で出たポイントとしては大きく分けると二つあります。一つは IT通信環境っていうものの進化、それから急拡大の中で、特にこれの影響で市場の質的な変化というのが起きていると。消費者のITリテラシーというのが非常に高度化しています。非常にお客様は賢くて、お店に行って店員の意見を聞いてものを買うなんていうことはなくて、自分が欲しいものなんていうのは、インターネットに行って検索をして、アメリカでいくらの値段で売っていて、じゃあブラジルの中ではどこで一番安く買えるんだろうと、そういったことをあっという間に調べますし、じゃあこの商品本当に良い商品なのか悪い商品なのかというのに関していうと、あらゆる口コミのデータというのを駆使して、やっぱり私はこれを買おうということで、非常に賢い消費者という、今までと全然違った消費者の像になってきているといったこと。それから、Eコマースが拡大していて、このEコマースと、それから既存の店売りですね、こういったものとの間でどういうふうに我々の商売を組み立てていかなきゃいけないのかということをよくよく考えなきゃいけない。それから、特にIT通信環境の変化の中で、広告、プロモーション、それから顧客へのアプローチの手法というのがやっぱり大きく変わってきているということをよく認識する必要があると。それとあとは、企業間の情報連携、コミュニケーション、こういったもののあり方というのも大きく変わっているということを認識する必要があるだろうと。この辺を含めて、特にIT通信環境、この変化を見据えて、これにどう対応していくかという、そういう視点が必要だろうというのが一つ。
それから、IT関係にも関連するとは思うんですけれども、やはり技術革新のスピードがものすごく速くて、電子化、ソフト化、IoT、それからAI、ロボテクスと、色々話題になってきているものというものが、まあぼんやりしているとあっという間に世の中に広がってしまうと。こういったところに対してもアンテナを高くして、早い対応をしていくということが必要だというふうな話が出ています。
最後、商工会議所、ブラジル政府、日本政府への要望ということになります。これも前回とあまり変わってはいません。特に一番下の項目ですね、日本メルコスールEPA締結の動きというのがある中で南米周辺国との輸出入拡大に向けた手続き、税制の改革、体系的な取り組み。先程もあったんですけど、中国、フランスのような官民一体となったような取り組み、そういったものにやっぱり負けないようにしないといけないよねといったようなことが挙げられております。
最後になりますけれど、私ごとなんですけれども、私も3月末でブラジルを去ることになりました。3年半色々とお世話になってありがとうございました。ブラジルはですね、難しい国だし、色々面倒くさいこともあるし、何よりも日本からすると地球の裏側というのもあって、中々積極的にやろうかなっていう気になりにくい。しかもつい最近までリセッションとかあったりしまして、中々、だから皆さんも日本の本社に対してブラジル一生懸命やろうよって中々苦労されているところあると思います。私もそうでしたけれども、なんですけれども、やっぱりこう、3年半やらせていただいた中で言うと、この市場は非常に大きいし魅力的だし、何よりもブラジルっていうのは日本とか日本人が大好きな国なので、そういったことも含めてですね、本当に可能性の大きいマーケットだと思いますので、リセッションもあってこれから上昇気流にあると思いますので、皆様ぜひ、がんばってください。皆様の成功をお祈りしております。どうもありがとうございました。
司会
千野部会長、示唆に富む新たな視点、そして要望ですね、いただきましてありがとうございました。ただ今の発表につきまして、ご質問のある方、挙手をお願いできればと思います。挙手をよろしくお願いいたします。はい。マイクお願いできますか。
質問
お世話になっております。日本経済新聞の外山です。2点お願いします。1点目が、Eコマースの伸長のところなんですけれども、去年アマゾンが参入して、大分何かこう、地元メディアなんかを見ていると、ブラジルでもついにE-commerceが盛り上がっているという話を聞くんですけれども、メーカーさんから見てこのブラジルにおけるE-commerceというのがどの程度インパクトがあるものなのかというのをですね、ちょっと教えて下さい。あともう1点、中国、フランスの官民一体となった活動とあるんですけど、これって具体的にどういうことを彼らがやっているのかというのを、よろしければ教えていただけますか。お願いします。
千野部会長
まずE-commerceについてお答えしますと、アマゾンの参入というのは確か去年の年末ぐらいに発表されたと思いますね。ただ、実はアマゾンが来る来ないにかかわらずですね、ブラジルってすでにE-commerceは、一つはメルカードリブレ、それからブラジルの中にあるB2Wですとか、一般の家電リテーラーが持っているE-commerce、こういったものがもうかなり大きくなっています。なので、実際にアマゾンが入ってきて、彼らに勝てるのかというようなところの方が正しいんじゃないかなというふうには思います。もう一つ、これですね、中国、フランスの取り組みなんですけど、これはですね、確かNECさんのコメントだったと。今日NECの方ってどなたかいらっしゃいますか。いないか。すいません、別途、
質問者
では別途、NECさんにまた取材します。ありがとうございます。
司会
よろしいでしょうか。他に質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。はい。それでは電気電子部会の発表は以上とさせていただきます。千野部会長、どうもありがとうございました。
それでは、引き続きまして、食品部会の発表に移りたいと思います。黒崎部会長より発表をいただきます。黒崎部会長、よろしくお願いいたします。
食品部会
黒崎正吉 部会長
食品部会、味の素の黒崎でございます。よろしくお願いいたします。
本日はこの大きな3つの流れでご報告させていただきたいと思います。
まず最初に、食品部会、会員企業42社ということでございますが、こちらにございますように、業種といいますか、主な商品ですね、今回ちょっと挙げてみました。皆さんにご覧いただこうと思いまして。ご覧いただいていますように、コーヒーから、お醤油から、即席めん、あるいは調味料、あるいはお酒類、あるいは外食というふうに、各メンバーですね、それぞれ様々な事業状況を抱えている中で、それぞれのストラテジーでやっている企業の集まりでございます。したがいまして、会議の時に議論は活発でございますけれども、中々、この手でいこうとか、この1本で行こうみたいなのは難しい、まとまりにくい部会のひとつかというふうに思っています。ただ、ところが、会議が終わりまして懇親会に行くとあっという間に一本化するという、たいへん元気の良い部会かというふうに思っております。本日はこれまでの流れとちょっと変えまして、今までよりも、そういったことですので、各食品部会企業の取り組みの事例を少し挙げていきたいなというふうに思っています。とはいえ、まず市場の状況ですね。どういった状況かというところから入らせていただきます。
こちらがですね、ブラジルスーパーマーケット協会のデータなんですけれども、こちらにありますのは、16年度から17年度にかけてスーパーマーケット、まあ我々の主戦場なわけですけれども、緩やかな回復傾向が継続しているということですけど、17年年度に入って、正直言って、こういう回復傾向にあるなというのは私などは感じ始めたというのが実態でございますが、今後もスーパーマーケット全体としては18年度以降も回復していくだろうというふうに見ております。ただしこれは、食品に限らず、電機、あるいは衣料といったトータルですね。皆さんご存知のように何でも売っていますので、こちらのスーパーマーケットは。そのトータルでの伸びということでございます。ただまあ、良い傾向ということでございます。
じゃあ食品、あるいは飲料といったところはどうなんだろうかと。これはニールセンのデータでございますが、こちらにありますように、ちょっと読ませて頂きますが、食品、直近4半期にて、7割を占める主食の出費節約が要因で、伸長率はまだ下落傾向と。ところがコーヒー、チョコレートの主力嗜好品、これ本当にブラジル人の消費者の方にとって嗜好品と言えるのかどうか分かりませんけども、生活必需品に近いのかもしれませんが、こちらは増加しておりますと。ところが、高価格のヨーグルトは大きく下落、例えばですね。
かたや飲料。直近の4半期にて6割を占めるアルコール飲料は下げ止まり感があると。ただこれはビールを中心にして、まあ下げ止まり感がある状況。ただし、高価格のものはまだ下落しているというのが状況でございます。非アルコール飲料、特に炭酸飲料ですね、これ継続して下落していると。
これ、我々のスーパーでの食品・飲料の実感とは若干、トータルとしてずれているような気がするんですが、よくよくこれ、見てみますとですね、どういうことが言えるかと。全体としては落ちているんですけども、高価格品が軒並み落ちているんですね。ところが、低価格品は伸びていると。その足し算がまだマイナス基調であるというのがどうも実態のようでございます。高価格品、まだまだ厳しいぞと。低価格品が今伸び始めていると。でも、よくよく見ますとですね、じゃあ低価格なら伸びるのかということでございますけれども、それもそうではなくて、消費者の目はより厳しくなってきていると感じています。低価格、というよりも、やっぱりそこにきちんとした価値がある。つまり、消費者の方が、買いたいよと、買えるよと、これアベイラブルな価格というふうにちょっと言わせて頂きますけども、低価格というよりも、アベイラブルな価格、そこにきちんとした消費者の方が求めて頂く価値があるというところが、伸びている要因と。あとでまた出てきますけども、トータルとしては伸びていくだろうけど、この傾向は続くのではないかなというふうに見ております。
それでは、先ほど申しましたように、食品部会のそれぞれの企業、業種での17年度の市場動向のポイントと、会員企業の状況ということで、簡単にご報告いたします。
調味料。これはまあ弊社のことですけれども、市場はやっぱりアベイラブル、あるいは低価格な粉末調味料が伸びているんですけども、高価格な付加価値型のメニュー用調味料ですね、は大きく下落していると。だからまだ、そこまで価値を認められていないということだと思います。弊社の場合も、まあ市場以上に汎用性のある粉末の調味料は伸びておりますが、やはりメニュー用調味料は大きく落としているといったような状況ですね。
酒類。東麒麟ですね、銘酒東麒麟。中々やっぱり、辛い状況がここ数年続いておりましたが、やっぱり17年度、東麒麟さん手を打たれて、売上は前年並みで着地の見込みと。今後さらに新たな手を強化していく状況ということでございます。
コーヒー。豊作で、原料相場は軟化に転じていると。日系会員企業の方は、価格競争に入らないようにどう付加価値型の商品開発をして打って出るかということを準備されている、あるいは新たにスタートしているという状況です。
チョコレートについては、13年以降ずっと落ちてきていましたが、ここに来て18年以降も増加傾向というのが見て取れます。
即席めん。市場がシュリンクしましたけれども、会員企業は売り上げ増という中でシェアアップと。
あと、食肉ですね。こちらについても、日本への輸出だけではなくて、今後どう販路を広げていくかという検討に会員企業は着手しているという状況でございます。
ひとつにまとめるのは難しいんですけれども、市場の現状・今後と。現状は先ほど申し上げた通りです。いかにアベイラブルな商品、価格、そしてそこに、より見方が厳しくなっている消費者の方に価値を認めてもらえるかといったことが必要になってくるということでございます。で、2)の今後でございますけれども、景気全体の緩やかな回復に伴い、下げ止まりつつある食品・飲料への出費は徐々に回復していくものと、我々はある意味楽観的に見ています。ただし、先程来出ていますけれども、大統領選の結果、あるいはそれと連動して失業率がどうなっていくかといったところが、我々の業界にとっては非常に大切なポイント。やっぱり我々は、失業率でいいますと、要は胃袋の数で勝負をしていく、胃袋の数どれだけとれるかということでございますので、やっぱり失業率も大きなポイントとなってくるということでございます。
これから求められるキーワードということでございますけれども、そういった中で、とはいえ、我々食品部会、一つは先程来申しましたアベイラブルな価格ですね。提供可能な製品のさらなる強化。もうひとつは、スペシャリティーの追求と提供ということかと思います。このスペシャリティーも、まあ簡単に言いましたら、付加価値。しかも、消費者の方に受け入れられる付加価値ということになってくるかと思います。はい。お願いいたします。
それでは、最後の副題でございますけれども、今回はそういったことで、まあスペシャリティーの強化。あるいは、二つ目は、将来に向けた事業インフラの強化といった視点で、会員企業でのですね、既に始まっている取り組み、あるいはこれからやろうとしている取組みについてご紹介をさせて頂きたいと思います。
まずこれ、スペシャリティーの強化のところですけれども、酒類、これは東麒麟さんですけれども、やっぱり高価格の東麒麟、高品質で苦労されていましたが、新製品が登場しております。スパークリングサケと、3種類ございます。こちらはアベイラブルな価格のカテゴリで、非常にスペシャリティー、付加価値をもった商品ということでございます。これをエリア限定で発売が開始されているということでございます。ちなみに、Made in Japanさんですか、私土曜日毎回、単身ですのでそこで食品を調達するわけですけども、Made in Japanさんにもございます。売上好調でございますので、お寄りの際にはちょっとお試しください。たいへんにおいしくございます。
二つ目の例でございますけれども、スペシャリティー。これはおしょうゆ、キッコーマンさんの例ですが、これはやはり、地場の低価格の商品に対抗するのが非常に常に厳しい状況があるわけですけれども、要は価値を認めてくれる層を見極めるということと共に、こちらにラーメン専門店、居酒屋等々ございますけれども、皆さんご存知のように、ブラジル、サンパウロのラーメンの質は本当に高いですよね。世界的に見ても。そういった中で、やはり価値の天然醸造を認めてくれるところへの納入。それにとどまらず、開店、あるいは原料対応等ですね、サポート、ソリューションをしていってスペシャリティーを作っているという例でございます。
さらに、先ほどございましたコーヒー、価格競争に入らないぞと、一部入らざるを得ない部分はございますけれども、そこでスペシャリティーをどう作るかということで。これは三井アリメントスさんの例でございますけれども、3種類のカプチーノということで付加価値型商品を強化していくという例でございます。
あと四つ目、これ、食品添加剤、ナガセさんの例でございますけれども、景気低迷中の顧客への提案を通じた機能訴求を継続してきたという中で、トレハロースという素材でございますけれども、それが甘味料ですね、の味覚、糖質を、トレハロースの技術によってより砂糖に近づけていくということで、いま顧客が増大しているという状況でございます。これもスペシャリティーの例かと言えると思います。
最後のポイントでございますけれども、一応ここでは将来に向けた事業インフラの強化というふうに銘打っていますが、これからのチャンスに備えて、既に打っている手を強化する、あるいは新たに手を打っていくということの例でございます。
こちら一つ目は、キッコーマングループさんの例でございますけれども、JFCですね。USAを、15年からこちらにキッコーマングループさんとして導入されて、しょうゆだけに限らず、ソリューション提供ができるように、色んな商品をそろえていくという手を打っておられまして、これをさらに強化していくという事例でございます。
2)は、これはヤクルトさんの事例ですが、2018年にこちらでの創業50周年ということでございますけども、彼らの販売手法というのはひとつのスペシャリティーでもあり、強い事業インフラですね。それをさらに強化していこうという取組みを始めていらっしゃると。
食肉。NHフーズさんの例でございますけれども、先ほど申しましたように、日本のみではなく、輸出先をですね、ラ米に販売エリアを拡大していく準備をしていくという状況でございます。
最後は高砂香料さん。これもナガセさんの例ですけれども、こちらも販売地域の拡大ということを取り組んでいるということでございます。
各社各様でございますけれども、いずれにしてもこのチャンスをどうつかむかと。出遅れてはいかんと。機において敏にいくということかと思います。さらに申せば、この機に、事業ポートフォリオ、あるいはプロダクトポートフォリオのですね、さらなる進化というか、あるいは転換みたいなこともですね、これから食品部会各社にとって重要なポイントになってくるのではないかというふうに考えております。以上でございます。
司会
黒崎部会長、どうもありがとうございました。ただ今の発表に就きまして質問のある方、挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。化学品部会では、例えば、許認可プロセスの簡素化・迅速化とかですね、輸入ごとの品質検査の簡略化とか、そういった要望が出ていたんですが、その辺がネックになって、食品部会の方ではそういった話というのはございますでしょうか。
黒崎部会長
基本的にはですね、似ていると思います。同じような課題は各社抱えていると思います。Anvisaとの対応をどうしていくのかとか、そういったことも、我々が事業を拡大していく上で重要なポイントになってくるし、色んな規制がやはりございますのでね、それをどう解決していくかというのは常に各社抱えている課題です。
司会
はい、ありがとうございました。他に質問のある方、いらっしゃいますでしょうか。後ろの方、一人、お願いいたします。マイクお願いします。
質問
すいません、キャノンの大沢と申します。宅配のところでですね、宅配に関する物流に関してはどういうふうに考えていらっしゃるのかなと思いまして。先程アマゾンの話もありましたけど、彼ら最初、オンラインのブックスで来て、それでやっぱり実際のものとしては物流が悪いということで、参入を大分遅らせているんですけど、このブラジルの物流網というのをどういうふうに考えられて、強化したいと。
黒崎部会長
ひとつは、やっぱり広大な国であると。そうなので、例えば弊社の場合、やっぱり物流をどう効率化していくか、しかもそのコストを下げてどうやっていくかというのは、もうずっと課題です。あともう一つありますのは、弊社の場合も今後Eコマースをどうやっていこうかというのは当然検討をしておりますが、要は、物流効率、あるいはこんだけ広いところでということで考えた時、あるいは原料の物流インフラみたいなのを、ブラジルのですね、考えた時に、ここは手は打たなきゃいけないんだけれども、そうそう簡単にはですね、他の国みたいにはいかないのではないかなというのは、私の個人的な感想と今の見方です。ただ、これは必ず準備をしていかなければならないと、Eコマース対応ですね、というふうに思っております。
質問者
ありがとうございました。
司会
ほかに質問ございますでしょうか。それでは、食品部会の発表は以上とさせていただきます。黒崎部会長、どうもありがとうございました。
それでは引き続きまして、運輸サービス部会の発表に移りたいと思います。今回は矢澤部会長より発表をお願いしたいと思います。矢澤部会長、よろしくお願いいたします。
運輸サービス部会
矢澤吉史 部会長
こんにちは。今年ですね、運輸サービス部会長を拝命しました矢澤と申します。よろしくお願いいたします。NTTがなぜ運輸サービス部会かと、ちょっと違和感があるかと思うんですけど、我々もデータの運び屋ということで、運び屋仲間ということで、運輸サービスの部会の方に入れてもらっていると思っております。よろしくお願いします。
実はですね、運輸サービス部会は業界的には6つに分かれておりまして、まず物流、航空貨物、海運、航空旅客、ホテル・旅行と、我々ITということで、非常にですね、コングロマリットのような様相を呈しております。今回ですね、発表資料の方も各業界のチームの方に作っていただきまして、質問の方もですね、各業界チームの方にお答えいただくということで、ご了承いただいております。それでは発表に入らせていただきます。
まずは物流になります。ブラジルのメインの貿易港でありますサントス港が、17年ですね、1年間に扱った貨物の量は、輸出・輸入ともに前年度を上回っております。輸入貨物は、肥料、軽油、そして肥料に使われる硫黄の扱い量がですね、上位を占めているという状況でございます。輸出貨物はですね、とうもろこし、大豆など穀類と、砂糖、これら3品目で扱いの量は輸出貨物の全体の6割を占めているということでございます。
展望でございますけれども、昨年下期より開始しました税関ストライキが、まだ現在も続いております。今後も注視が必要ということでございます。特にですね、書類監査扱いや検査扱いの場合は通常よりも許可が非常に長いということでございます。
昨年ですね、景気低迷により駐在員の数が減っているということでございますけれども、海外引越荷物を見る限りでは増加傾向に転じるということでございます。
トピックスでございます。昨年より木材の規制、特に梱包資材等で使われる木材の燻蒸規制、これは病害虫の侵入や蔓延防止が目的ですが、強化されております。規制に従わない場合は、輸入手続きができず、戻しを命じられるという状況でございます。注意喚起をお願いいたします。
続いてですね、航空貨物でございます。輸入・輸出ともにですね、ブラジル全空港の70%の取り扱いをするグアルーリョス、あとビラコポスの輸出入統計を見ますと、輸入が対前年比が22.5%増、輸出は対前年比7.9%増となっているようです。輸入はですね、2014年水準に近く、輸出の方はその水準を超えているとなっております。
展望でございますが、景気上昇により、原材料を含む物品の輸入が伸びると思われます。一方でですね、輸出・輸入ともに、需要増によるスペース不足や、運賃の上昇が懸念されております。
トピックスでございますけども、空港インフラのですね、拡充が進んでおります。民営化、すでになっているものは、左の方ですね、青の字で書いてございますけども。右側の方ですね、今年の民営化が入っております。サルバドール、フォルタレーザ、ポルト・アレグレ、フロリアノポリスという空港4つですね、民営化対象となっております。
次はですね、海運になります。ブラジルに最も関係が深い3つの船ですね、コンテナ船と、自動車船、ばら積み船に分けて見ていきたいと思います。
まずですね、コンテナ船ですけども、市況は世界経済の回復に伴う荷物の増加が、世界全体でプラス4%となっています。これにより運賃水準は回復傾向にありますが、大型新造船投入による船腹供給も出ており、全般的には運賃は上がりにくい状況が続いていますと。グラフが小さくて申し訳ございませんけども、左下でございます。前年同期比で輸入がプラス13%弱、輸出は前年並みでございます。
世界の主要コンテナ船は、船腹供給過剰が続いていますので、コスト競争力を強化する目的でM&Aやアライアンス再編に向けた動きが続いていると。で、赤字で書いてございますけれども、邦船では日本郵船、商船三井、川崎汽船様ですね、3社がコンテナ部門を統合し、新会社のONE、Ocean Network Expressをつくりましたと。2018年4月よりサービス開始を予定しています。
グラフの真ん中になりますけども、自動車船でございます。昨年末よりですね、回復の兆しがございますけども、自動車販売数にしても数字で表れているかと思います。しかしながら、今年は概して、国内需要の低迷から、各社メーカー様は輸出に比重を置き、貿易実績にもその数字が顕著に出ているということでございます。特にトラック・バスを含めた完成車は、輸送は輸出がアルゼンチン向けを中心に前年比でプラス48%と大きく躍進する一方で、輸入はマイナス10%と、基本的にはアルゼンチンとかですね、輸出・輸入のアンバランスが大きくなっているということでございます。極端に言うと、アルゼンチン向けはマンパンで、ブラジル向けはガラガラということでございましょうか。
次ですね、右下のグラフでございますけれども、ばら積み船でございます。今年はですね、世界経済の回復で荷動きがプラス5%の見込みとなっております。特にQ4は、中国ヨーロッパを中心に鉄鉱資源等の需要が伸びていまして、17年全体の輸送需要を大きく支える結果となっているようです。17年のブラジル全体のばら積み船の値動きは、鉄鉱石を中心に前年同期比で、輸出がプラス8%弱となっております。
18年の海運ですが、同じく3つの船に分けてお話いたします。
まずコンテナ船につきましては、荷動きは、欧米経済が個人消費を中心に好調を維持しています。ブラジルの成長鈍化の懸念はあるんですけども、中国の景気も後押ししまして、全世界でプラス4%の増加が見込まれています。一方で、船腹供給量も4%程度ですね、増加が期待されていまして、運賃はこれも上がりにくいという傾向でございます。
自動車船ですけれども、輸入・輸出量のアンバランスな構図は変わりません。ブラジル・アルゼンチンの貿易においては、二国間協定の縛り、すなわちですね、完成車・自動車部品の輸出価格がブラジル 1.5に対してアルゼンチン1.0、輸入税回避のため輸出・輸入量の調整が検討される可能性があります。全体ですね、輸送需要としては、アルゼンチンを中心に南米全体へ販路拡大も含めて、増加と見込んでおります。
ばら積み船については、中国を中心に引き続き貨物輸送の需要が伸び、新造船投入による船腹供給も緩やかな伸びに収まると見込まれているということです。
次ですね、まあ我々駐在員にも一番なじみがある航空旅客になります。
まずはですね、ブラジル国内線。有償旅客キロですけども、対前年比プラス3.0%、提供座席キロについては対前年比プラス1.2%、利用率は1.4ポイント上昇しまして81.3%と、年間を通して堅調な実績を維持しています。
国際線に関しましては、ブラジル系の航空会社の累計ですけれども、有償旅客キロは対前年比プラス12.2、提供座席キロは対前年比プラス10.5、利用率は1.3ポイント上昇して85%となっております。旺盛な需要が続いているということだと思います。
世界的にもですね、日本への観光が注目されています。ブラジルからの訪日数も、日本の政府の統計データによりますと、対前年比で18.2%と伸びてはいるんですけども、規模の方はまだ月3500人程度ということでございます。
見通しでございますけども、国内線は17年に続き緩やかに回復すると思われていますけども、昨今話題になっています大統領選の影響で旅客移動の鈍化が懸念されます。
国際線はですね、16年のリオ五輪の以降、運休や減便、または撤退が相次ぎましたが、18年はですね、LATAMによる新航路の開設、エミレーツの増便など、路線拡充の動きが活発化しているということでございます。
また今年はですね、日本人移民の110周年でございます。記念行事等でブラジル=日本間の旅客の流動が増えると思われています。また、アルゼンチンではG20やユースオリンピック等の政治面・スポーツ面での大きなイベントが開催予定ですので、こういったところの南米全体への航空需要も増えるという期待がされます。
特記事項が2点ございます。1点目ですけども、サンパウロ市内とグアルーリョス空港ですね、アクセス鉄道、2018年3月末、今月末ですね、もしくは4月初旬に開業する予定。あくまでも予定だと思うんですけども、となっているようです。ちなみに、ルス駅=空港間の直通電車もあり、所要時間の方は35分となっているようです。
2点目でございますけれども、アメリカのボーイング社によりますエンブラエルの買収報道がありましたが、ブラジル政府は容認しない姿勢を示しているということでございます。参考までにですね、日本のエアラインによるエンブラエル機保有機数はですね、2018年1月現在でございますけれども、日本航空グループ 29機、フジドリームエアラインズ 11機で合計40機となっているようです。
次はですね、ちょっと各スライドを見てまいりますけども、これが先ほど話しました空港アクセス鉄道になります。エンジェニェイロ・ゴウラールからグアルーリョスの間に作られますと。CPTM 12号線のブラスから直通運転され、繰り返しになりますけど、ルス駅と空港間では直通運転も1日数本あるようです。ただしですね、懸念事項ですね、空港駅はターミナル1の近辺にありまして、ターミナル2、3を含めてですね、巡回バスでの移動となるようです。時間は書いていませんけども、徒歩も可能と書いていますね。
次はですね、ブラジルの国際線の月別の輸送実績になります。17年においては、最も多い月は12月と。1月は前年割れでしたけども、2月以降は全て前年実績を上回っている状況でございます。
次はですね、ブラジルの国際線のエアライン別の輸送実績です。ブラジルをだいひょうしますLATAM航空ブラジルが圧倒的に強いと。GOLも年々伸ばしている状況でございます。
次はですね、ブラジルと、2国間ですね、2国間の輸送実績でございます。最も需要が多いのはやはりアメリカでございますと。全体の20%を占めている状況で、ヨーロッパもですね、基本的には移民政策等の背景もありまして、輸送実績は比較的大きいということでございます。
次はですね、国際都市間の輸送実績になります。サンパウロ=ブエノスアイレスが最も多く、南米域内でも最大の高需要路線ということでございます。
次はですね、ブラジル国内の月別の輸送実績でございますけども、ドメスティック、一番需要が多いのは、月は1月でした。1月から2月は前年実績を下回っていますし、3月以降は前年を超えているという形かと思います。
次はですね、ブラジルのドメスティックのエアライン別の実績でございますけども、実績では、GOLですね、GOLが一番多いと。LATAMもほぼ拮抗している状況でございます。
航空、最後のページは、ブラジル国内都市間の輸送実績でございます。サンパウロ=リオデジャネイロの需要は非常に旺盛で、国内路線の8.7%でございます。以上が航空旅客でございました。
次はですね、ちょっと字が小さくて申し訳ございません。旅行・ホテル業界でございます。
17年はですね、国内線・国際線ともにですね、航空券の発見枚数、売上においては前年比で大きな伸びがありました。特にですね、国際線においては発券枚数がプラス25%と。売上高は22%と大きく改善しています。
国内ですね、ホテルの方ですけども、前年比で売上がマイナス5.3%でした。このマイナス要因の大きな理由は、客室占有率は前年比1.7%で高いんですけれども、客室のレートですね、平均レートがマイナス6.9%下ったことが原因と言われています。
展望でございますけれども、ブラジルの景気回復に伴い、航空券ですね、国内・国際ともにより一層改善することが期待されます。
ホテルでございますけども、同じくブラジル主要都市における客室占有率はさらに改善が見込まれているという状況でございます。
18年はですね、平昌五輪、今月はパラリンピックが控えていますけども、また7月にはロシアでサッカーのワールドカップの開催があります。まあこれに関しましては、ブラジルからわざわざ観戦に行く人はほぼいないだろうということで、日系旅行社、これらのイベントの恩恵うけることはないということが書いてあります。あとですね、今年は、繰り返しますけどもブラジルの日系移民110周年記念と。記念行事が7月の日本祭りで開催されます。日本政府、あと官公庁から多くの来賓が見込まれているようです。
あとですね、出稼ぎ関連ですね。ここ数年、ブラジルの不景気とですね、日本の好景気でですね、かなり出稼ぎが増えているということでございますけども、この傾向は18年も続くということでございます。また、日系四世ですね、の就労・在留についてのですね、意見公募が先月をもって終了し、年内に日系四世を対象にした査証発給ですね、新しい基準ができれば、さらに日本への出稼ぎが増えるという見込みが伝えられています。
ブラジルの景気が回復基調ではあるんですけども、日系進出企業様の拡大がすぐには期待できない状況の中で、今年も狭い日系マーケットの中でですね、10数社あります日系旅行代理店さんですね、わずかな手数料や、IATAが定めた、支払期日よりも長い期日をオファーするような、健全とは言えない条件でお客様の争奪戦が展開されているようです。旅行代理店様の経営状態はさらに難しくなると、様相を呈しているということでございます。こういった状況下では、やはり各社がですね、新サービスや新しい商品で差別化を測っていくことが大事かなと思います。
トピックスは2点ございます。1点目ですけども、まずですね、2018年1月12日よりですね、ブラジル政府が日本国籍者に対して、観光と商用に限り、インターネットによる電子査証ですね、e-VISAの発給を開始しました。従来通りブラジルの領事館でも申請も可能でございますけども、大きな違いは、e-VISAは2年間有効期間ですね、領事館の発行のものは3年間ということでございます。
2点目はですね、昨年11月に新移民法の施行令第9199号が発布されましたと。新移民法の運用がすでに開始されているということでございます。
やっと最後に、ITになりました。まずはですね、携帯モバイルでございます。全体的な契約者数は、長引く景気の低迷もありましてですね、キャリア間の接続料金値下げ。あと、複数SIM保有者の減少が続いて、17年下期で約700万減少しています。しかしながら、4Gですね、に関しましては、2G、3Gからの以降が順調に進んでいまして、前年比で70%増加。ブラジル市場の43%を占めていると。3Gの契約者数を完全に超えました。
展望としましてはですね、話題に出ていますIoTですね、M2Mではですね、Narrow Band IoT、これ簡単に言いますとですね、家電やセンサーにつける広帯域を必要としない、いわわゆるLETですね、のチップですが、その許認可が、18年上期、もうすぐ下りる予定だということでございます。このNarrow Band IoTを使いますとですね、モバイル課金ですとか、決済ですね、スマートフォンを利用したサービスがさらに増加していくというふうに見込んでいます。まあこういった状況の中で一歩一歩、前回のITセミナーでも申し上げたとおりですね、2045年のターミネーターの世界が来ると、一歩一歩近づいているわけです。かたやそういう危機感も感じられる状況です。
次にですね、インターネットでございます。インターネットのユーザー数は1億3911万人です。世界の第4位ということでございまして、総人口あたりの普及率で見た場合には65.9%になっております。これはですね、アルゼンチンや南米のほかの国と比べてもですね、非常に低い数字でございます。決して高くないということが見て取れます。
ブロードバンドですね、マーケットシェアにつきましては、皆さんお使いのNETが31%ですね。あとVivo、Speedy等ございますけども、27%。Oiが22%。上位3つともですね、減少傾向にあるという状況です。これはですね、Skyですとか、新しい業者の参入が大きな原因になっております。ブロードバンドですね、アクセス数の方は2867万ですね、前年度比7.2%上昇となっております。インターネットの平均速度は、ブラジルは6.8Mbpsと、前年の約1.5倍ではありますが、これは他の日本とかと比べると非常にまだ低い数字となっています。
展望でございますけれども、個人のですね、インターネット利用がどんどん増えていますと。ビジネスにおいても、ILP丸ですとかそういったシステム利用で、どんどんこれもまた増えるという傾向でございますね。あとまあ、大都市以外、サンパウロ郊外でもですね、例えば高速化ですとか、低廉化、安定化が非常にいま進んでいましてですね、さらに提供のエリアの方も拡大していくということが伝えられています。一方でですね、こういった需要ですね、個人の動画サービスですとか、企業のクラウドの利用なんかも含めてですね、大容量のデータがどっと流れているわけです。こういう中でですね、既存の回線の圧迫ですとか、スピードの低下なんかも場所によっては起きているようです。
次ですね、こちらITの総括になります。引き続きですけども、国際間の海底ケーブルはですね、敷設が続いていますと。Seabrasの1の運用がサンパウロ=ニューヨーク間でもうすぐ開始されますし、無線用の通信の人工衛星SDGCの打ち上げも成功していますと。どんどん通信インフラは拡大しているということでございます。こういう形で、通信格差がどんどん減ってくるということが期待されています。あとですね、SaaS、これはソフトウェアアドサービスの略なんですけども、あまりなじみがないかもしれません。例えば今お使いのGoogleAppですとか、あとはDropboxなんかがこのSaaSの例なんですけど、アマゾンの方ですね、要するにクラウド経由のサービスの利用もどんどん増えてくるということでございます。これも企業のITのクラウド化や、IT業務のアウトソーシングがどんどん進んでいるということの一例です。
皆さんお使いのですね、99タクシー、あると思うんですけども、過去日本のソフトバンクが投資しましたけども、これも中国企業により買収の報道発表がありました。あと、再建中のOiですけども、これにも中国の通信大手が意欲を示していますので、中国勢が非常に今この通信分野に入ってきていると。我々も危機感を抱いています。
あと、ランサムウェアですね。ランサムは身代金ということですけども、基本的にはですね、こういった目的で、コンピュータのいわゆるウィルスでございますけども、ロックしたりとかですね、使えなくするといった被害がどんどん増えています。我々の昨年のITセミナーでも触れましたけども、一旦こういったものに感染しますとですね、甚大な被害が出るということで、ますますですね、こうした対策は必須でございます。ここにございますように、ブラジルは攻撃先としても世界第2位、攻撃元としてもですね、第5位というですね、まあセキュリティーホールだらけの国と。ハッカーの格好のえじきになっている国でございます。非常に注意が必要です。
展望としましてはですね、同じく引き続き国際インフラ、通信インフラの拡充が見込まれますと。ブラジルとアルゼンチンを結ぶ海底ケーブルなんかもどんどん増えています。更なる国際通信改善が見込まれます。またですね、企業向けのクラウド、ITO、ITアウトソーシングもですね、どんどんITプロセスを外部に委託する動きが増えているということでございます。同時にですね、サイバーセキュリティですとか、そういったことも需要が増えていると、増加していくものというふうな傾向でございます。先ほども話がございましたように、オラクルですとか、アマゾンやグーグルなんかもですね、どんどん南米に来ていますと。そういったハイパースケーラー向けのハイスペックな箱、器ですね、データセンターなんかもどんどんできていまして、ますますサンパウロ近郊、こういったインフラが増えていくものといった傾向でございます。当然それに伴ったインターネットの需要も増えていくという状況でございます。
以上、6つの業界のですね、現状と見通しを発表させていただきました。最後にですね、いま求められる新しい視点ということで、6つの業界から色んな意見が出ましたということでございます。要約しますとですね、ここにございますように、現状の打開、それから新たな価値の創造、市場への需要創造型アプローチということに集約されました。各意見を5つほど紹介しますと、経済以外の文化・スポーツ・芸術等の分野での交流ですね。日本との交流の活発化ですね。相互理解の深化が必要と。あとはですね、触れていますけども、ITですね、新サービスや新ビジネスモデルに向けた攻勢のIT投資も必要と。
あと、運輸ということでですね、細かいお話しになりますけども、日系物流関係会社様連携で、ブラジル日系企業様向けの、工場から部品・製品の一貫輸送等、陸上海上含めたパッケージで輸送効率を高め、かつコスト競争力が出るような新サービスの提供と。あとは、南米域内ですね、アルゼンチン、ウルグアイへのですね、通関業務への取り組みを増やすという意見も出ています。あと、ブラジルの悪い点をあまり言い訳にせずですね、良い点を見つけて事業を創っていこうという意見も出ました。
今日この中でですね、私の分野、B2B2Xモデルということで、少しITに特化して話をさせていただきます。B2Cですとか、B2Bとかよく聞くと思うんですけども、今はインターネットの世界以外にも、一般のビジネスでも使われる言葉です。ここにございますように、B、2は英語のtoと、でB2Xということでございますけども、初めのBはですね、我々のような通信業者ですとかAIですとか、クラウドとか、そういったいわゆるインフラ・サービスを提供する業者になります。その先がですね、今度はメインプレーヤーになります。メインプレーヤーの方は皆様がですね、誰でもなれる世界ということでございます。アイデア次第でメインプレーヤーになれるということでございます。で、その皆様の業界のエンドユーザーに提供するサービス、それは付加価値であったり、新サービスであったり、安全ということで、企業様のですね、現場ですとか、個人のメンバーとか、色んな方々がいらっしゃるということでございます。先ほど言いましたように、各産業分野ございますと。製造業ですとか、農業ですとか、交通をはじめとした分野、まあブラジルに一番親和性がある分野でございますけども、こういったところでですね、この普及が進んでいます。実はですね、安全運転、交通渋滞の緩和ですとか、いわゆるバスの運行システムなんかも、非常に我々NTTグループも注視をしていましてですね、こういったところで試行実験をこれから検討している最中でございます。バスの運行システムに、センサーをつけてですね、安全運転の管理ですとか、業務の効率化なんかも含めて試行実験を検討しております。こういったところでですね、新たな需要発掘と、新しい価値の創造ということで、最後ですね、運輸サービス部会締めくくらせて頂きます。どうもご清聴ありがとうございました。
司会
矢澤部会長、広範囲にわたる分野でたいへんだったかと思いますけども、ご報告と、あと非常に興味深い視点をいただきまして、どうもありがとうございました。ちょっと時間が押しているんですけども、質問ある方はですね、挙手をお願いできればと思います。いかがでしょうか。よろしいですかね。はい。そうしましたらですね、矢澤部会長、どうもありがとうございました。
引き続きまして、建設不動産部会の発表に移りたいと思います。奥地部会長より発表をいただきます。奥地部会長、よろしくお願いいたします。
建設不動産部会
奥地正敏 部会長
ブラジル戸田建設の奥地でございます。本日はよろしくお願いします。本日の建設不動産部会の発表としましてはですね、ご覧のように、まずは市場の概況ですね。それと、部会内の企業様の動向。そして、最後に副題であります、いま求められる新たな視点に関してですね、各社様の具体的な取組みをですね、ご説明をしたいと思います。
それではまず、建設不動産業界の市場の概況ということでございます。このグラフは2007年以降のGDP成長率を、経済全体とですね、そして建設・不動産で比較したものです。グレーが全体、そして青が建設ですね。そしてオレンジが不動産です。
ブラジル経済は2017年第3四半期以降ですね、回復のきざしを見せ始めています。ブラジル地理統計院が本日発表した昨年のGDP成長率は、通年でプラス1%ということで、2年連続のマイナス成長を脱することができました。世界銀行が1月初旬に発表した予測では、今年は2%の成長が見込まれるということになっております。その一方でですね、景気減退が始まった2014年以降、不動産業界ではですね、横ばいが続いているという状況です。また、建設に関してはですね、2014年以降、マイナス2.1%、マイナス6.5、マイナス5.3という大幅な原則が続いていまして、昨年2017年についてもマイナス5%ということになっております。
先ほどの機械金属部会の池辺部会長の発表にもありましたように、建設不動産業界においてはですね、いまだ不況を脱し切れていないというのが現状かと思います。
続きまして、このグラフは2014年以降の全産業の四半期ごとのGDP成長率を示したものです。建設と不動産は太い棒線で、建設は青、不動産はオレンジで示しています。先ほども申しましたように、不動産は2014年以降大きな増減がなく、まあ一定を保っているということですね。これに変化がみられたのは昨年第3四半期で、ようやく回復に向かうきざしが出てきたということでございます。また、建設に関しては、下に大きく伸びている青い棒ですが、他の産業と比べて落ち込みが目立っているということですね。黄色の製造業も大きく一時落ち込みましたが、こちらについては自動車業界が牽引しまして、昨年下期以降ですね、プラスに転じているというような状況でございます。
次に、このグラフはセメントの国内売上高の推移でございます。日本でもこれは同じですけども、建設市場の景況というのはですね、セメントの売上に表れてくるということですね。全国セメント産業組合の統計によれば、セメントの売上は2014年に約7000万トンを記録しましたが、その後一気に減少し始めまして、2015年は6400万トン、2016年は5700万トンですね。そして2017年、去年は5380万トンという結果で、売上高は過去3年間に24%も下落しているというような状況でございます。
次に、このグラフはですね、建設就業者の増減を表しています。ブラジルの全体失業率は昨年第4四半期は11.8%ということでございました。元々失業率が高いところに、不況が影響しましてですね、2016年に10%を超え、昨年第1四半期には13.7%を記録しましたが、これをピークにですね、徐々に下ってきているということでございます。一方、この建設部門においてはですね、ご覧の通り2014年以降、正規雇用の就業者を大幅に減らしているというのが現状でございます。
建設市場の回復が他産業に対して遅れている理由としましては、このように経済リセッションの長期化に加えまして、公共工事の減少、そしてラバ・ジャットの影響、そして不動産市場の低迷が挙げられます。
公共投資については、全国で中断している工事が今約8200件ということで、総額320億レアルですね。そして、国家予算が下りずに着工に至らない工事も、1万1200件あるというような状況です。昨年9月までの連邦政府の公共投資額は、10年前の水準に逆戻りしまして、公共交通網、あるいはスポーツ・レジャー施設の修復、あるいは衛生インフラですね、このような公共工事はことごとく予算を削られております。
また、政界汚職事件の影響としましては、ご存知のようにオデブレヒト、あるいはOAS、あるいはカマルゴ・コレアなどの大手ゼネコンがですね、インフラコンセッションの入札への参加を禁じられまして、BNDESのインフラ関連事業融資はですね、凍結されているというのが現状です。2016年9月に政府が打ち出した、インフラ事業のさらなる民営化を目的とする投資パートナーシッププログラム、PPIですね、これに関しても停滞しておりまして、宙に浮いているというのが現状でございます。
また、不動産市場に関しましては、経済リセッションに伴うインフレとですね、従来の金利高が影響しまして、低迷をしております。他産業と比べて建設市場の回復が遅れているのは、こうした理由からというふうに考えられます。
次に、このグラフはブラジル貯蓄貸付システム、SBPEですね、これによる融資額でございますが、これも見ての通り、建設、購入ともにですね、2014年を境に大幅に落ち込み、過去3年間は低い水準が続いています。不動産市場は2014年以降、成長は横ばいですが、インフレと従来の金利高が影響して、買い控えが続いております。新築マンションが売れ残ってですね、市場がだぶついているというのが不動産市場の現状でございます。次お願いします。
ただ、不動産に関してはですね、明るいきざしも見えてきています。先日、サンパウロ住宅不動産組合ですね、ここが発表したところによれば、2017年のサンパウロ市内の新築住宅販売は約2万3600件で、前年比46%の増です。そして新築住宅のリリース、発売ですね、この件数は2004年以降最多のですね、2万8600件に達しておりまして、前年度比48%という大幅増ということになっております。これに加えて、PAC、経済成長加速プログラムですね、この一環の大衆住宅建設プログラムによる低価格の新築住宅リリース件数も大幅に増加しておりまして、クレジット枠も拡大しております。
公共投資の方は、市政府、州政府、中央政府ともに、今後数年間はかつてのような投資はできないという状況ですが、不動産市場にこのような明るいきざしが見え始めたことで、建設市場も少しは上向くのではないかというふうな期待ができるという状況でございます。
続きまして、部会内の各社の業績の動向でございます。このグラフはですね、2015年の実績を100としまして、2016年と17年の実績、さらに今年の予測ですね、これを聞いたアンケートをまとめております。
これによりますと、建設A、Bに関しましては非常に苦戦が続いているという状況です。
それに対して、不動産Aに関しては、結構好調。不動産のBは、落ち込みましたけども、上向きかけているというような状況です。
あと、特殊技術ですね。これは主に地下鉄、あるいは上下水道の止水工事の業種ということでございますが、昨年大幅に落ち込んでおります。これは、公共工事の相次ぐ中止、中断によるものです。公共工事の減少はこうして日系企業にも影を落としているというような状況でございます。
エネルギー関連コンサルタント業。コンサルタント業ですね、そして建物制御といったソリューション系は、コンサル業がやや落ち込み、そして建物の制御に関しましては売上を年々大きく伸ばしているというような状況でございます。
こういう状況ですので、建設不動産の部会内でもですね、業種によって業績の違いが出てきているというのが状況ということでございます。
次に、各社の2017年の回顧と今年の展望、または課題についてまとめております。
まずは、一番上の建設に関しましては、設備投資の抑制で工事量が減り、工事も小型の増改築などの小規模化する傾向にありました。また、受注競争の厳しさは続いておりまして、低い利益率で受注せざるを得ない状況が続いております。価格競争力の向上というのは当然不可欠でございますけども、営業の強化とともに、施工の効率化や工業化により採算を確保していく必要があるということでございます。
次の不動産に関しましては、工場用地の購入やレンタル需要は、一昨年に引き続き低調なままですが、ショッピングセンターの開発業は後半、復活のきざしを見せてきております。また、駐在員向け住宅の賃貸業ですね、これは駐在員の数の減少により、低調に推移しているという状況です。ショッピングセンター開発業については、ローコストオペレーション化をはかり、賃貸マンション業はですね、営業対象を日本人駐在員に限らず、現地にも拡大していくということで、現状の打破を図っていきます。
3番目ですね。サンパウロの水道局や地下鉄の仕事を手がける特殊技術ですね。これは工事の中止や中断で大打撃を昨年受けました。再開のめどが立たず、不安定な状況にありますが、検討案件は増加傾向にあるということでございます。
最後のエネルギー関連コンサルタント業というのは、新規設備に伴う案件は少ないですが、既存設備の改修や契約の更新ですね、これが目立っております。また、工場オートメーションは好調で、今年も堅実な受注に向けて注力していくということでございます。
最後にですね、シンポジウムの副題であります、いま求められる新たな視点ということで、部会各社のですね、取組みを具体的に紹介しようと思います。まあ各社ともに、方針としましては、日本の最新技術をですね、ブラジルに導入して、コスト以外の付加価値をですね、ブラジルの顧客に提供するという取組みを行っております。
まずは、地下特殊技術のCGCさんですね。CGCさんではですね、IoTあるいはICT技術の活用した新たな取組みとして、施工状況の見える化を行っています。施工機に各種センサー、あるいは計測器を装着して、取得したデータをですね、リアルタイムにクラウドに転送することにより、タブレットやスマートフォンを使いまして、どこにいても施工状況を把握することができるというようなシステムでございます。つまり、日本にいながらブラジルの現場を確認することも可能で、資料作成もシステムがほぼ自動的に行うため、作業時間が非常に短縮されるというメリットがあります。将来的にはこのシステムで蓄積されたデータや画像を人工知能、AIで分析・解析して、地層の予測や施工の自動制御に役立てたり、資料を全自動で作成したりすることを目指しております。次お願いします。
次はHOSS建設さんの事例でございます。HOSS建設さんではですね、日本の技術導入の取組みとして、提携先であります清水建設さんとの人的交流を行っております。清水建設の安全衛生講師をブラジルに招きまして、現地エンジニアへの安全衛生講習および現場での実地指導を1週間にわたり行っております。日本や世界の建設現場の事故例を基に、安全衛生管理の知識と行動力を習得させ、法令順守および災害防止の推進者をローカルに育てるというのが目的であります。ブラジルでは専門エンジニアが安全を担当するというのが一般的でありますが、HOSS建設さんでは各工事責任者がですね、災害防止について学ぶことが、品質、コスト、工期、そして環境面における競争力の向上につながると考えておられます。この写真の安全保護服はですね、これ日本のものでございますが、熱中症対策とですね、女性の現場進出を受けて、通気性の良いヘルメットと作業服を開発したものです。ブラジルに関してはですね、まあ安全基準の違いもあり、そのまま採用する予定はありませんが、参考までにご紹介するということでございます。
最後にですね、当社、ブラジル戸田建設の事例でございます。当社ではですね、建設会社としての発電事業に目を向けています。ブラジルの再生可能エネルギーは、風力、太陽光、あるいはバイオマス等が考えられますが、当社が注目して現在FS調査を行っているのが、風力発電です。水力発電への依存度が高いブラジルは、昨今の異常気象による渇水問題や、あるいは環境保護の観点からですね、水力以外の再生可能エネルギーへの転換が求められています。ブラジルの風力発電の設備利用率はですね、40%強と、世界的に見ても非常に高く、新たなウィンドファームの設置が急ピッチで、各地で進んでおります。発電コストを各国と比較しても、この表の通りですね、ブラジルはコストの低さにおいてぬきんでているということでございます。そこで当社は、建設会社としての技術と経験を生かしまして、風力発電事業をですね、ブラジルで展開することを計画しております。日本の本社では、浮体式洋上風力発電といいまして、海上に浮かぶ風車を建設して、2016年からですね、商用運転を開始しております。ただ、これの場合はコストがかさみますので、ブラジルでは陸上の風力を考えています。有力地としましては、風況や送電距離、港からのアクセスなどを考慮しまして、リオ・グランデ・ド・スル州、あるいはサンタ・カタリーナ、リオ・グランデ・ド・ノルテ、あるいはセアラー州等を考えております。事業としては非常に興味深くですね、3、4年でですね、実現できればというふうに考えております。
こうして、建設各社ともにですね、新たな事業や、技術の導入、そして日本との連携などにより、現状を打破してですね、来るべき本格的な景気回復に向けて躍進していこうというふうに考えております。以上が建設不動産部会からの報告でございますが、最後に私ごとで恐縮でございますが、私もですね、3月末をもちましてですね、日本に帰任することになりました。商工会議所の皆様にはですね、松永会頭、そして平田事務局長をはじめとして、たいへんお世話になりました。この場をお借りしまして、御礼申し上げます。2014年より約4年間の駐在でですね、まあブラジルの本格的な景気回復を見ずに帰るのは非常に残念ではございますが、帰国後も引き続きブラジルのビジネスに関わって参りますので、今後ともよろしくお願いいたします。最後に、各社様のブラジルにおける事業のご発展と皆様方のご健勝を祈念いたしまして、私の発表を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
司会
奥地部会長、どうもありがとうございました。ちょっと時間は押しておりますけども、質問のある方、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。はい。それでは、奥地部会長、どうもありがとうございました。
それでは最後の発表になります。繊維部会より発表をお願いしたいと思います。豊田部会長よりですね、発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
繊維部会
豊田明生 部会長
繊維部会、ユニチカの豊田です。長時間にわたりお疲れのところ恐縮ですけども、よろしくお願いいたします。表紙の写真はですね、朝日の中に輝く綿の実でございます。我々の綿紡の紡績の原料。繊維業界はですね、あまり朝日に輝いていない状況ではございますが、ちょっとこれから報告・説明させていただきたいと思います。
次のページもですね、あまり明るい話題が少ない繊維業界ですので、ちょっと明るめの写真を貼ってみました。これは、綿花、先程申し上げた綿紡績の原料の畑ですね。ブラジルは世界で5番目の生産量を誇ります。地平線の果てまでずーっと見渡す限りの綿畑、これはブラジルならではの風景ではないかと思います。
次のページは、そういう綿畑を、昔は手摘みで綿を摘んでいたんですけども、現在はご覧のように機械化が非常に進んで、以前に比べて非常に国際競争力もついておりまして、そういう大型の機械と、それで作った綿を、ああいうふうに海苔巻みたいにまとめて、それをトレーラーで運ぶという、そういうやり方になっております。
ちょっと農業部会みたいな話になっておりますので、少しずつ繊維の方に話を進めていきますけども、このグラフは、前回もご説明しましたけども、世界の綿花供給量といいますか、生産量の変化。ご覧のように、緩やかに、安定的に増加が続いております。国別の生産量の順位としては、1位がインド、2位が中国、3番がアメリカで、4番がパキスタン、5番目にブラジルが入っております。この順位に関しては、ここ数年間ずっと変わっておりません。次お願いします。
続いては、世界の綿花の消費量。世界の綿花の消費量というのは、すなわち、ほとんど、糸の生産量に近いんですけども、他に若干、不織布の原料にしたりとか、あるいは脱脂綿としてそのまま使う衛材用途なんかもありますけども、大半が糸に紡績されるというふうに考えてよろしいかと思います。生産量と同じように消費量も安定的に増加しておりまして、国別に綿の消費が多い順位は、1位が中国、2位がインド、3位がパキスタンということで、近年順位は変わっておりません。綿花の生産の、先程全然出てこなかったバングラディシュとか、ベトナムが近年非常に増えておりまして、アメリカやブラジルを追い越しております。これらの国々は、だんだん世界の繊維加工基地として安定的な力をつけてきておりまして、我々ブラジルにいる繊維業界としても非常に脅威となっております。
次のページ、これはですね、その原綿の相場価格を決めるニューヨーク定期の相場価格の推移でございます。途中、一番高くなっているところが17年の上期、まあ5月あたりですけど、その後6月にですね、ニューヨーク先物綿花相場でアメリカの豊作というのが17年下期以降そういう予想がされました関係で、17年の下期、すなわち6月ぐらいから1年半ぶりぐらいに下がり始めました。そこでまあ、ようやく正常になったんですけども、我々にとっての原料の価格ですね、ところが去年の年末から今年1月、今日現在に至るまで、非常に急騰しておりまして、高値がまだ続いています。次のページお願いします。
ブラジル国内の綿花の生産、輸出、国内消費の表でございます。途中でいったん下がって、また回復しております。下がっているところが16年度、これはまあ、ブラジル国内の原綿の不作もありましたけども、不況もあって消費の方も減ったんですけども、その後、翌年回復しました。ところが、不況はそのまま続いておりましたので、それほど伸びませんでした。今度、一番右、18年の予測としては、170万トンぐらいが予想されておりまして、最新情報、これ提出した後にですね、昨日あたり資料が出ているのを見ましたら、2月のConabの予想では179万トンぐらいの予想をしておりますので、今年18年も豊作予想となっております。次のページお願いします。
そういうことで、ブラジル国内の原綿価格相場、我々の原料の相場に関してはこのような推移になっておりまして、16年の不作と輸出志向で非常に高止まりだった原料がですね、17年の上期には超高止まりの状態が続いておりましたけども、先程申し上げた通りに17年の上期、すなわち6月ぐらいから下がり始めて、ようやく17年の下期は正常化いたしました。ただそれが、先程も申し上げた通り、6ヶ月間しか続かずに、昨年末から今年、今日にいたるまで、非常に高い、異常な急騰を見せております。次お願いします。
これが我々の販売する製品、綿糸でございます。一般消費財ではございませんので、町で売っておりませんから、皆さんはあまり見たことがないかと思いますけども、業界で流通している製品の姿でございます。次お願いします。
国内販売価格が非常に上方硬直性ということになっておりまして、これはですね、近年ずっと原料が高止まりしていたんですけども、販売価格に転嫁できないという厳しい状況が続いております。理由はですね、長引く不況で需要が伸びていないというものありますけども、やはり輸入品価格が上値を押さえているということで、この表を見ますと、下の原綿価格、右半分、17年下期は若干下がったんですけども、それにも関らず綿糸価格はそのまま横並び。だからその分利益が増えたんじゃないのと思われるかもしれませんけども、そうではなくて、綿糸の販売価格はずっと天井をあそこで押さえられている、だからまあ17年の下期は少し息がつけたけども、先程申し上げた通りに、現在のようなまた原料が高い状況に戻りますと、非常に厳しい状況に戻るというふうに予想されております。
次のページはですね、綿糸輸入に関して。17年度にですね、前年比の3倍に急増いたしました。これは、レアル高が大きいんですけど、それと景気も若干17年回復いたしましたので、輸入の綿糸に関して、我々にとっての競合になります輸入綿糸は3倍に増えるという非常に大きな伸びを示しております。まあ糸だけが3倍に増えてもですね、ブラジル国内の糸の生産量からすると、それほど大きな量ではございません。とは言ってもですね、おそらく日系の3社、ユニチカ、クラシキ、日清紡の3社の合計の生産量と匹敵するぐらいの量が輸入されるようになっております。
次のページ。ここからがですね、製品についてでございます。繊維製品の輸入はですね、糸は先程3倍に増えたと申し上げましたけども、繊維製品輸入はさすがに3倍までは増えておりませんけども、15年から16年にかけて落ち込んだ繊維製品の輸入は、2017年には120万トンまで戻って、ほぼV字回復、というかU字回復ですかね、2年かかっていますから、を遂げているんですけども、これは、輸入がやっぱり戻るのが早くてですね、我々国内で生産している紡績メーカーにとっては非常に厳しい状況。ブラジルコストの負担の重い国内生産から最終製品での輸入へという、そういう方向に構造転換が、兆しもちょっと聞かれております。先程の発表の中でローカルコンテンツの概念とかも出ておりましたけども、例えば繊維の業界ではですね、一昨年のリオのオリンピックの時に、まあノベルティーなんかも含めて我々紡績業界として、繊維業界としてオリンピック特需を期待していたんですけど、うちの会社の役員の奥さんがですね、オリンピックのボランティアで参加したんですけど、その時に支給されたユニフォームは、普通だったら、日本だったら、そういう特需の時には地場であるとか、少なくとも国内の産業にメリットがあるように色々取り組み、動きがあるんですけども、なんとリオ・オリンピックのボランティアに支給されたユニフォームは上から下までセット、全部中国製でした。
ブラジル繊維産業、これは前回も申し上げましたけども、原料を国内で調達できてですね、それから産業全段階を国内に備えておりまして、就業150万人と言われております、そして2億人の消費市場を持つという非常に、自己完結可能な恵まれた経済構造になっているんですが、ところがですね、現在のトレンドとしては、原料をそのまま加工せずに輸出して、原料綿花を輸出して、完成品の衣料を輸入するという、まあ中抜き構造とよく言われておりますけども、そういう構造がちょっと進んでおります。加工付加価値部分のブラジルコストの影響が非常に大きい部分をですね、外国に任せる構造の方が、もうかるし、楽だしという、そういうトレンドがあるんだと思うんですけど、先程、化学品部会でしたっけ、輸入依存度が進んでいるというコメントがございましたし、貿易部会の時にはですね、確か輸入品の中の85%は工業製品だというのを見て私納得いたしましたけど、ブラジルにおいて、特に繊維に関しては、そういう労働集約型ですので、ブラジルコストの負担が非常に大きいということが言えると思います。次のページです。
したがって、我々としては、早期の市場回復を願う。それから、早期の制度改革。労働法などは少し変わってきておりますけども、そういうところ。その二つは他力本願ですので、まあそれらを待っていてはだめなので、可能な自助努力といたしまして、次のページですけども、今回の副題であります「いま求められる新たな視点は」というところに行きます。ちょっと各社によって色々事情が異なりますから、統一見解というわけではございませんけども。それと、前回も発表した内容とそれほど、ちょっと新鮮味がなくて申し訳ないんですけども、一つは高機能製品での市場開拓。それから差別化志向顧客に対して、そこと連携して品質改善とか、付加価値品を開発すると。この上の二つ、高機能製品と付加価値品という部分に関しては、以前から、ブラジルに日本のそういう得意な部分を持ちこんでがんばろうという動きはありましたけど、やっぱり時期尚早で、中々そういうのがうまくいかなかったという時代が長く続きました。ところが、最近、ブラジル自身もですね、徐々にやはりそういう、付加価値品であるとか、開発品に対する興味が、関心が浸透してきて、まあ変化してきているなという感じがいたします。
それから3つ目の書いてあります、輸入対抗としてですね、国産原綿地産地消をアピールして、国産品の購買キャンペーンなんかを張ろうじゃないか。これ、一部、Abit、ブラジルの繊維工業協会なんかでは若干そういうキャンペーンをやっているようですけど、まだ少なくてですね、むしろ先程申し上げたような原料輸出、製品輸入の動きがどんどん進んでおります。非常に、悲しい事だなと思いますけども。
そうはいうもののですね、我々それを嘆いてばかりもいられませんので、我々としてはそういう、環境配慮型製品キャンペーンを張ったり、信頼できる現地パートナーの探索など、その他、これ以前からずっと言っております、日系の強みである顧客に対するフォローと、正確なデリバリーとか、品質安定、などを力を入れていきたいなというふうに思っておりまして、月並みな表現ではございますけども、ブラジル国民は2億人おりますので、やはり、ニッチといっても大きなニッチになると思いますので、我々の生きる道はそういう部分にあるんじゃないかなと思っております。
一つだけちょっと、面白い話なんですけども、環境配慮型製品キャンペーンのBetter Cotton Initiativeという動きがありまして、これはブラジルでなくて世界、特にヨーロッパなんかが中心になっているんですけども、それでですね、例えばブラジルのAbitあたりが進めてやったとして、ブラジル国民2億人が1人1枚ずつTシャツを買ったら、実際にはですね、すごいマーケットが創造されると。ところが、今の状況では、国内の繊維業界のキャパでは、そのTシャツ1枚国民2億人が買ったら、キャパが足りなくなるんですね。そうすると、また製品輸入が増えてしまうという、ちょっと非常にジレンマがあります。非常にそういう構造的な問題を抱えているのが繊維業界でございます。
以上で発表は終了でございます。最後にちょっとこういう、しょうもない話の後にですね、ちょっと皆様に癒しを提供させていただきますのは、前回は吹雪ジュンでしたので、今回は2代目ユニチカマスコットガールの手塚理美ですね。私と同い年なんですけども、今おばちゃんですけども、40年以上前のユニチカマスコットガールをやっていた時の写真を提供させていただきました。ご清聴ありがとうございました。
司会
豊田部会長、どうもありがとうございました。ただ今の発表につましてご質問のある方、挙手をお願いできますでしょうか。よろしいでしょうか。はい。豊田部会長、どうもありがとうございました。
それではですね、以上で計11部会の発表すべて終了いたしました。副題のテーマはですね、いま求められる新たな視点はとなっておりますけども、各部会から様々な視点が提示されたかと思います。それではですね、ここで、本日特別参加いただきました在サンパウロ日本国総領事館の野口総領事に、本日の各部会の発表につきご講評をいただきたいと思います。それでは野口総領事、よろしくお願いいたします。
講評
野口泰 在サンパウロ日本国総領事館総領事
総領事館の野口でございます。本日はこのようなシンポジウムにお招きいただきまして、どうもありがとうございます。長時間にわたりまして、皆様の日ごろの研究、検討の成果を発表いただきまして、私としても非常に参考になったところであります。講評といいますか、感想めいたことをですね、若干、お時間をいただいてですね、お話をさせていただければと思っております。
言ってみれば、やはりなんといっても、皆様の方から多くご指摘がありましたのが今年の大統領選挙でございまして、大統領選挙の見通しをこの場で申し上げる事ができればですね、非常に格好いいんですけども、まだ私もまだまだ勉強途上でありましてですね、中々たいしたことは申し上げられないんですけども、先日実は、Fiespのスカフィ会長とお話をする機会がありましてですね、彼が言っていたのは、まあ今はですね、大統領選挙、中々、誰が候補になるかということも含めてですね、まあ見通しが混沌としていると。そうした中で、5月くらいからですね、だんだん候補者が絞られてくるんじゃないかと。
候補者が絞られて、選挙の対立軸といいますか、そうしたものが徐々に明確になってくるんじゃないかと。まあ左派の労働党、ルーラ元大統領の可能性というのはもうないとは思いますけども、労働党がどういった候補が出てくるのか、あるいは中道の政党、このセントロン、中道の政党がですね、統一候補が出てくるのか、出てこないのか。出てくるとして、それがアルキミン州知事なのか、あるいはそれ以外の候補なのか。そして、右派を代表する形で、今非常に快進撃を続けておりますボルソナロ議員ですね、確か先週来アジアを歴訪されていまして、日本ですとか、確か、行かれる前の情報だと韓国、台湾行かれると。まあ中国に行かないのが彼の政治スタイルを表しているのかもしれませんけども、そうしたボルソナロ議員のですね、快進撃がどこまで続いていくのかという、そうしたのが5月ぐらいから、何と言いますか対立軸が見えてきてですね、まあ6月はワールドカップでですね、ブラジル人の注目はそちらに向くんでしょうけども、7月ぐらいから盛り上がって来るだろうというお話があったところであります。
2点目としましては、そのスカフィ会長の時も話したと思いますが、私よくブラジル人とお話しする時にですね、メキシコのことと比較することがよくあるんです。メキシコと比較してブラジル人はちょっとカチンときているかもしれないんですけど、以前はですね、日本企業が中南米の中で一番進出しているのはブラジルであったと。それが、ここ数年ですね、急速に日本企業がメキシコに進出してですね、いまやメキシコが、ブラジルとの比較でですね、日本企業の進出数という意味では数としては凌駕していると。まあこれはですね、色んな理由があるんでしょうけど、ひとつの大きな理由としましては、メキシコが自由貿易主義、色んな国とFTAを結んでいてですね、非常にプロビジネスな、ビジネスをしやすい環境を作っているということが挙げられるんじゃないかというようなお話を、スカフィ会長にもしたところですね、スカフィ会長は、中南米の国ではですね、右派政権と左派政権で振り子の針が振れるようにですね、色んなサイクルがあるんだと。ブラジルは左派政権から、2年前から中道の政権に移って、よりビジネスフレンドリーな政権になってきていると。
かたやメキシコはですね、今、左派のロペス・オブラドール候補がですね、非常に勢いがあって、メキシコもどうなるか分からないよという話もしておりました。
また、今日、色んな方のお話でですね、ラバ・ジャットというのが非常にブラジルの政治・経済危機の発信源になっているわけですけども、先日のスカフィ会長も含めてですね、ラバ・ジャットというのが、むしろブラジルの政治体制といいますか、政治システムをいまきれいにしているんだと。この一連のラバ・ジャットのですね、プロセスが終わればですね、ブラジルは透明性のある、より汚職のない、そうした国になるんだということで、ポジティブにとらえていたのが印象に残っております。
それから3点目としましては、私もブラジル人をお話しをして、日本企業との関係でぜひ協力を進めたいと言われるのが、e-commerceといいますか,IoTやAI、第4次産業革命、そういったものについて関心の表明を受ける事がよくあります。
そこでは、商工会議所とFiespが一緒になって、アンケートなんかを取られているというふうにもお聞きをしておるところであります。例えばブラジルでは、Uberなんかですね、これはニューヨークを凌いで世界で一番Uberが使われているというようなお話も聞いておりますし、そうした分野でですね、日本とブラジルの企業の協力関係が進むことを期待をしたいと思っています。
4点目ですけども、日メルコスールのEPA、これについても多くの方からご関心の表明があったところであります。今この場でですね、日本政府の方針について、スタンスが固まっているわけではありませんけども、日本政府の経済連携の方針につきましてはですね、TPP11、アメリカを抜いたTPP11がですね、3月8日にチリで署名式が行われる状況になっております。
また、EUとの関係ではですね、日EUのEPA、これが大枠合意に達しまして、今テキストを詰めている、その後署名のプロセスになるだろうというふうに思っております。そうした、TPP11とか、日EUのEPA、これが日本でも国会承認のプロセスがその署名の後ですね、行われて、そうした中で、メルコスールとのEPAについてどのような方針で臨むかという検討がなされていくかとは思います。
駐ブラジル大使の山田大使もですね、ぜひサンパウロに立ち寄ってですね、商工会議所の皆さんのご意見もじっくり聞いてみたいというふうな希望も持っておりますので、そういった機会を設けることができればと思っております。
最後に、これは運輸サービス部会のところで、いくつかのご指摘の中で、日系四世の新たな受け入れ制度についての言及がございました。日系四世の新たな受け入れ制度、これはおそらく、3月の下旬にですね、発表になろうかと思っております。三世までは特に制限なく日本での就労ビザ等ですね、受ける事ができる中で、四世の方につきましてはですね、いくつかの条件がありまして、例えば18歳から30歳までとかですね、日本語の能力もN4という、ある程度日本語ができる能力を持っていることが条件ですとか、あるいは家族を連れていけないとか、そういった条件がありまして、こうした新しい制度を第一歩としてですね、前向きにとらえる向きもありますけども、条件が厳しいんじゃないかという声もお聞きすることはあります。したがいまして、どこまでその四世の新たな受け入れ制度でですね、日本へ入国される方が増えるかというのは、まだまだ未知数ではありますけども、制度を開始してですね、その制度が必要があればですね、また不断の見直しを行っていくということになろうかと思っております。
以上、雑駁ではありましたけども、私のお話として締めさせていただければと思います。どうも今日はありがとうございました。
司会
野口総領事、各部会からの要望ですとか、関心事項についてピンポイントで回答いただきまして、まことにありがとうございます。それではですね、ちょっと6時を若干過ぎましたけれども、以上をもって本日の業種別部会長シンポジウムを終了するにあたりまして、閉会の辞を小池総務委員長にお願いしたいと思います。
閉会の辞
小池淳介 総務委員長
大久保さん、ありがとうございます。本日は、「いま求められる新たな視点は」というテーマでご発表いただきました。まずもちまして、各部会の皆様のプレゼンご準備とご協力に対して深く感謝を申し上げます。お話をうかがっておりますと、経済盤石でないものの、ファンダメンタルズが明らかに反転して回復をしているということが体感できるフェーズに入ってきたというふうに感じました。ただ一方で日本からブラジルへの直接投資が減っていると、厳しい現実も示されたと思います。その中で、プレゼンの中ではですね、本格回復期に入ったとか、今がチャンス、攻める時が来た、進出の相談が増えたという力強いお言葉もありまして、たいへん勇気づけられたかと思います。新たな視点、着眼点という意味でも、多数キーワードをいただきまして、中南米を面でとらえるとか、アルゼンチンへの輸出、日本ならではの新機能・新技術、商品開発、市場の需要創造、教育・医療、量から質、変化に柔軟対応、あるいは税制改革・労働改革をテイクチャンスしようと、E-commerce、IoT、スペシャリティ―の追及、そして最後は手塚理美の癒しを頂戴いたしまして、たいへん前向きな締めくくりとなる会となったと思います。2018年もカマラの皆様の全員でですね、お互い協力させていただきまして、盛り上げていければなというふうに思っております。また、いくつかの部会から頂戴しました日伯政府に対するご要望に関しては、大久保さんからもございましたけども、松永会頭の下ですね、政策対話委員会を通じまして、引き続きカマラで対応させていただければと思います。本日はたいへんありがとうございました。この後、懇親会をご用意させていただいております。出口を出られまして右手の部屋で開催いたしますので、ふるってご参加いただければと思います。本日はたいへんありがとうございました。