3月9日の定例懇親昼食会

定例懇親昼食会が3月9日正午過ぎから117人が参加、プラティニー元農相が「ブラジルに於けるアグリビジネス」について講演した

定例懇親昼食会が3月9日正午過ぎから2時過ぎまで、マクソウド・プラザホテルに117人が参加、農相、商工相や鉱山エネルギー相を務めた、FIESPの農業部門上級審議会メンバーのプラティニー・デ・モラエス氏が「ブラジルに於けるアグロビジネス」と題して講演した。

プラティ二ー氏は1960年から80年代初めまでブラジルと日本の蜜月時代で、1965年には日本から「人を通した技術移転」と言われ、「ウジミナス学校」と呼ばれて職業訓練学校の役割を果たし、日本の製鉄プラントを初めて海外に移転、また1983年には川崎製鉄のバックアップでツバロン製鉄所を建設したが、80年代以降は空白が続き日伯貿易は停滞してしまっていた。

しかしブラジルの貿易は好調で、昨年の貿易黒字は460億ドル、農業部門の輸出総額も420億ドル以上であるが、農業部門の対日輸出は僅かに10億ドル前後で、鉄鉱石やアルミが多く、日本からの輸入は自動車部品、ベアリング、ICや車で輸出入品目は全然変わってないが、変える必要がある。農産品の対日輸出は停滞しているが、中国、ベトナムや、マレーシア、タイやインドなど日本以外のアジア諸国への輸出は伸びている。

なぜ日本はブラジル産牛肉を買わないのか。口蹄疫がアマゾンで発生したが、この広いブラジルのアマゾンは牛肉生産地帯から隔離されており、184ヵ国ではブラジル産の美味しい牛肉を輸入しているが、日本は融通の効かない食品衛生保護主義国である。口蹄疫は人には移らないが、牛凶病と呼ばれる牛海綿状脳症(BSE)は人に感染するが、アマゾンの奥地で発生した口蹄疫でもブラジルからの牛肉輸入を認めていないのは、食品衛生保護主義に他ならない。

ブラジルの牛は、放牧地で牧草のみを食べて非常に健康であるが、オーストラリアの牛は、トウモロコシばかりでトウモロコシの味がするのでバーべキュウソースをかけて食べるが、ブラジルの牛は岩塩だけで非常に美味しい。日本からブラジルに出張で来る日本人は、シュラスカリアでいやというほど牛肉を堪能して評判がいいのに、どうもブラジルは牛肉の売り方を知らないのではないか。ドバイで牛肉のプロモーションをした時は、シュラスコとカイピリーニャを組合わせたら、アラブ人には人気が高かった。

牛肉の輸出先では、ロシア、エジプト、ブルガリア、イラン、アルメニアと意外な国が多いが、食品衛生保護主義の日本と米国を筆頭に、カナダ、メキシコも買ってくれないが、ブラジルは日本、米国、韓国、台湾をターゲットに、付加価値を付けて新しいマーケットの開拓を予定している。

忘れてもらっては困るのは、ブラジルは世界で最後に残された農業開拓が可能な国であり、世界最大の食料供給国になれる国であり、資源供給確保と同じように食料供給確保も非常に大事な事を確認しなければならないと警告、政府から手厚い保護を受けている日本の農家は世界一の補助金を受けており、金だけ出せば簡単に食料を確保できると考えていると足元を掬われるので、食糧確保に手を打っておかなければならないと強調した。

昼食会では初めに特別ゲストのプラティ二ー・デ・モラエスFIESP上級審議会メンバー及び西林万寿夫総領事を紹介、第12回ブラジル日本経済合同会議の参加報告として、田中信会頭は話題としてはエタノール関係、岩村哲夫副会頭の移転価格税制(TP)のプレゼンテーション及び大蔵次官がTPの検討を約束、JALのエンブラエル社のジェット機、購入新しい話ではフルラン開発商工相が牛肉の日本向け輸出表明などであった。

新入会員紹会ではCisaトレーティング社のアンドレ・マッソン氏、DPZ広告代理店のロベルト・ヅアイリービ氏が自社紹介、対会議所代表ではブラジル日本青年商工会議所のレアンドロ・ハットリ新会長、3分間スピーチではジェトロの井澤俊和氏が、 3月15日に東京で開催されるアマゾナス日系商工会議所の山岸照明会頭の講演会「マナウスのゾーナフランカの今後」の案内、6月10日に実施されるビジネス日本語テストの案内、第12回ブラジル日本経済合同会議のジェトロの発表資料はジェトロサンパウロのポルトガル語サイトに掲載を案内、飛入りでマクソウドホテルのぺーロラ広報担当がシアターの案内、イエローページ社広報担当が同社の事業内容及び活用について、窓際OL作家の斉藤由香氏がブラジルのパラー州トメアスーをベレンから船で訪問、日本移民の苦労の足跡訪問で感激したことなどを報告した。

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3月8日の経済情報

>>経済成長率5%達成は2010年以降

() 企画・予算管理省の応用経済研究院(Ipea)は、連邦政府が2008年の経済成長率5%を目標に掲げているが、2010年までの投資が年率8%増加すれば、投資比率がGDP比23.8%に達して、経済成長率4.8%の達成が可能と予想している。

 また今年の経済成長率を経済成長加速プログラム(PAC)発表で、3.6%から3.7%に上方修正、経済成長率促進に不可欠な投資では、1995年から 2005年までのGDP比に対する投資比率は18%から20%であったが、昨年は前年比6.3%増加の20.5%、今年は8%増加の21.4%が見込まれている。

 また同研究院では来年の経済成長率を4%、2009年4.4%、2010年4.8%と上方修正、昨年の公的負債はGDP比56%であったが、目標の経済成長率が達成できれば、2010年には40%まで低下、2010年の外貨準備高は、1,500億ドルに達する対外債務よりも多くなると見込んでいる。(8日付けエスタード紙)


>>Selic金利は0.25%切下げて12.75%に

() 中銀の通貨政策委員会(Copom)は、政策金利(Selic)を0.25%切下げて12.75%に全員一致で決定した。これは2005年9月から14回連続でトータル7%切下げられたが、インフレ分を差引いた実質金利は8.4%で世界最高を維持している。

 次回の通貨政策委員会でも0.25%の切下げが予想されており、年末は12%の予想が大半であるが、サンパウロ州工業連盟(Fiesp)のスカフィ会長は、連邦政府が発表した経済成長加速プログラム(PAC)を推進するためには、年末のSelic金利が9.75%まで引下げられなければならないと中銀の金利政策に不満を漏らしている。

 実質金利の世界ランクはブラジルが8.4%でトップ、トルコ6.7%、イスラエル4.6%、中国3.8%、米国及びカナダが3.1%となっている。(8日付けエスタード紙)


>>昨年のリオドーセ社の純益は134億3,100万レアルで記録更新

() 昨年のヴァーレ・ド・リオドーセ社の純益は鉄鉱石価格の19%の値上げで、前年比28.6%増加の134億3,100万レアル、売上げも32.2%増加の467億4,600万レアルでそれぞれ記録を更新した。

 リオドーセ社は主力の鉄鉱石生産が2億7,260万トンで記録更新、中国向け鉄鉱石輸出は、前年比37.8%増加の7,780万トンで鉄鉱石販売量の28.7%を占めた。

 昨年は世界2位のニッケル生産会社でカナダ資本のインコ社を180億ドルで買収して、同社の負債は前年の50億ドルから225億ドルに増加したが、昨年第4四半期には、ヴァーレ・インコ社はニッケル生産では世界トップになった。

 同社の輸出総額は前年比37.5%増加の96億5,600万ドルになり、貿易黒字は87億8,400万ドルで、ブラジルの貿易収支黒字の19%を占めて、ブラジル最大の輸出企業の座を更に強固にしている。(8日付けエスタード紙)

日伯法律委員会の3月月例会

  日伯法律委員会(押切フラビオ委員長)の3月月例会が8日午後4時から6時まで、商工会議所会議室に28人が参加して開催された。

  進行役はクラウジオ・ヤノ副部会長が務め、初めにアレサンドラ・クリハラ弁護士が2002年の上院法案第243号の変更について、アドルフォ・ベルガミーニ弁護士が職務上の罰金に関する新制度、ルイス・バルボーザ弁護士は、法律第1,1452号のソフトウエア使用のライセンス料送金に関する免税について、クラウジオ・ヤノ弁護士は経済成長加速プログラム(PAC)の主要税務措置―暫定令240号、348 号、349号、351号、352号、法律6003号、6024号、6025号について解説した。

JALがエンブラエル社のジェット機を導入

日本ブラジル経済合同委員会開催を前に、JALがエンブラエル社の新小型ジェット機「エンブラエル170」の導入を決定、購入台数は15機で、 10機は確定、残り5機はオプション契約。エンブラエル社は小中型ジェット機製造では世界トップメーカーであり、同型機は欧米などではリージョナルジェッ トとして数多く利用されている。この商談をきっかけに両国の経済関係強化に向けて拍車がかかりそうだ。諸外国からの経済ミッションに農業国のイメージを払 拭、ハイテク産業がブラジルにも存在する事をアピールする絶好の機会と言える。

 JAL GROUP NEWS

3月7日の経済情報

>>1月は設備投資用資本財が急伸

 1月の鉱工業成長率は石油やアルコール精製部門の不振で、前月比マイナス0.3%となったが、設備投資用資本財は前年同月比18%、前月比1.7%とそれぞれ増加、生産能力向上で今後の鉱工業部門の成長率増加が期待されている。

 1月の設備投資用機械・装置の生産部門の成長率は前月比4.7%、前年同月比26.8%とそれぞれ大幅に増加、昨年の同部門の成長率は5.5%で5倍以上の伸びを示した。

 設備投資用資本財の増加にも関わらず、1月の燃料・潤滑油の中間財はマイナス2.5%、石油精製及びアルコール生産部門もマイナス5.6%であった。

 1月の農業用資本財は1.7%、11.8%、建設用資本財部門は前月比5.7%、前年同月比9.4%、電力エネルギー用資本財は28%、16.6%それぞれ大幅な増加を記録、中長期的な生産能力アップに対する投資傾向が現れてきている。(7日付けエスタード紙)


>>参考金利(TR)の計算方法変更でポウパンサ預金の金利低下

 政策金利(Selic)の低下に伴い、銀行預金(CDB)や確定金利付ファンドの金利がポウパンサ預金の金利と大差がなくなり、ポウパンサ預金への資金流入を危惧したブラジル銀行業界連盟(Febraban)は、参考金利(TR)の計算方法の変更を中銀に訴えた。

 参考金利の計算方法変更で、勤続期間保障基金(FGTS)の金利も低下するが、住宅金融システム(SFH)から融資を受けている人には金利低下で有利となる。

 Selic金利が年率11%になれば、現在のポウパンサ預金の月利が0.64%から0.58%、年利では8%から7.2%、FGTSでは年利5%から4.5%にそれぞれ低下する。(7日付けエスタード紙)


>>中国のTraxxがマナウスでオートバイ生産

 中国嘉陵集団傘下のブラジルTraxx社は500万ドルを投資して、マナウスフリーゾーンに6,000平方メートルのオートバイ生産工場を建設、8月から操業を開始して、年間10万台のオートバイ生産を目標にしている。

 同社はフォルタレーザ市に本社を置き、昨年は50CCから125CCのオートバイを1万175台販売、そのうちの7,168台は北部及び北東部での販売であった。

 中国のオートバイ市場のリーデングカンパニーであるTraxxは、年間200万台の生産能力を有しており、中国では1979年から生産を開始、現在まで2,200万台を生産している。(7日付けガゼッタ・メルカンチル紙)
 


>>昨年の48行の純益は275億レアル

 昨年のブラジル48行の純益総額は、前年比3.6%増加の275億レアルにとどまったが、これはイタウー銀行がボストン銀行、ブラデスコ銀行がアメックス社とセアラー州立銀行の買収資金を一括償却、ウニバンコ銀行も償却期間を10年から5年に短縮したために、純益が17.9%、8.3%、4.8%それぞれ低下した。

 純益低下に伴って平均収益率も25.3%から21.1%に低下したが、クレジット総額は前年比26.5%増加の5641億8,000万レアルと大幅に伸びている。

 純益のトップはブラジル銀行の60億4,000万レアル、ブラデスコ銀行50億5,000万レアル、イタウー銀行43億1,000万レアル、連邦貯蓄銀行 23億9,000万レアル、ABM銀行20億5,000万レアル、サンタンデール・バネスパ銀行12億6,000万レアル、ウニバンコ銀行17億 5,000万レアル、HSBC銀行が9億5,000万レアルであった。(7日付けエスタード紙)

第12回日本ブラジル経済合同委員会発表資料

3月5日から6日までブラジル工業連盟(CNI)および日本経団連の 第12回日本ブラジル経済合同委員会が聖市内ルネッサンス・ホテルで開催された。下記のその時の各セッションの発表資料、政府要人訪問、共同ステートメントです。

3月6日の第一セッション「両国経済の現状と展望、成長に向けた政策」の発表資料

Pdf JAL-西松遥社長
Pdf JBIC-斉藤浩理事
Pdf ブラジル中銀ージェラルド・マゲーラ・シッケイラ理事

第二セッション「ブラジルの新しい投資機会」の発表資料

Pdf ルイス・カルロス・ゲーデス農相
Pdf オエノンホールディングス
Pdf UNICA-アルフレッド・スッワルク会長補佐
Pdf ブラジル三井物産-大前孝雄社長①
Pdf ブラジル三井物産-大前孝雄社長②
Pdf ABDIB-パウロ・ゴドイ・ペレイラ会長

第三セッション「外国企業による対ブラジル投資の成功例と課題」の発表資料

Pdf IBM-ロベルト・オリベイラ社長
Pdf 三菱商事-小塚睦実常務執行役員

第四セッション「両国経済の拡大と深化、経済連携協定の役割」の発表資料

Pdf ジェトロ-山本俊一理事
Pdf FIESP-ロベルト・ジアネッテ・フォンセッカ理事

3月8日のブラジリア市の政府要人表敬訪問時の発表資料及び共同ステートメント

Pdf ルイス・フェルナンド・フルラン商工開発相
Pdf 農務省ーリネウ・カルロス・コスタ・リマ長官
Pdf 石油・天然ガス省ージョアン・ジョゼ・ソウト長官
Pdf 共同ステートメント本文
Pdf 共同ステートメント付属文書
Pdf Joint Statement

 

3月5日の経済情報

>>工業製造業界は在庫調整中

() 昨年第4四半期の経済成長率は、前年同期比3.8%と予想を上回る伸びをしめしたが、クリスマス商戦が低調であったために工業製品の在庫が増加、そのために在庫調整に追われており、1月の工業の活動レベル指標(INA)は前月比0.8%増加に留まった。

 しかしコンピューターの売上げは、善意の暫定令(MP)による減税でコンピューター価格が低下、家具と家電販売のカーザ・バイア店では今、年2ヶ月間に10万台を売りつくした。

 農産物の国際商品価格高騰で国内価格も上昇しており、2月の農産物平均価格は前年比20%上昇、特に鶏肉が47%、トウモロコシ37%、小麦が30%値上がりしており、今年の農業部門の成長率は一昨年の2%から7%と大幅な上昇が見込まれている。(5日付けエスタード紙)


>>今年の経済成長率は建設部門とエタノールの農業部門が牽引車

()  連邦政府は今年の経済成長の牽引車は、経済成長加速プログラム(PAC)の建設部門、コモデティ商品価格の高騰が続いている農産物、特に米国への輸出増加が見込まれているエタノール部門を見込んでおり、経済エコノミストは今年の経済成長率を3.5%と見込んでいるが、連邦政府は4.5%と鼻息が荒い。

 PAC計画を促進するには次の暫定令の国会での予算通過が必要である。州政府や市町村向け上下水道のインフラ整備のための連邦貯蓄銀行からの52億レアルの引出の暫定令347号、インフラ整備のための民間ファンドへの投資による利益に対する所得税免除の暫定令348号、勤続期間保障基金(FGTA)の投資ファンド創設の暫定令349号の承認が必要である。

 最低給料の380レアルの固定及び国内総生産及びインフレ連動による調整、入札法の改定、投資パイロットプロジェクト(PPI)用投資額をGDP比0.2%から0.5%への引上げなどの承認が必要である。

昨年のブラジルのエタノール輸出量は31.4%増加、輸出額は国際商品価格の高騰で112%増加、今年は米国への輸出増加が予想されており、砂糖の輸出量は4%増加に留まったが、輸出額は57.4%増加、(5日付けエスタード紙)


>>自動車メーカーは優遇税提供する州で製造

() 自動車メーカーは自動車増産のために、優遇税を提供する州での自動車工場建設を検討、フォード社はバイア州のカマサリ工場の操業が限界で優遇税を提供する州での製造を検討、GM社は南大河州グヴァタイ工場の増設が必要となってきている。

 1990年代に各州が自動車工場誘致のために優遇税を提供して熾烈な誘致合戦を展開して、サンパウロ州ABC地区の自動車工場がブラジルに分散した経緯があるが、好調な自動車販売でメーカーは、優遇税を提供する州内での工場建設を検討している。

 各州の自動車生産を内訳は、サンパウロ州が45.8%でトップ、ミナス12.6%、パラナ12.6%、南大河5.6%、バイア9.8%、リオ5.2%、ゴイアス州が0.8%となっている。(5日付けヴァロール紙)

経団連及びCNI共催の第12回日本ブラジル経済合同委員会

経団連及びCNI共催の第12回日本ブラジル経済合同委員会が3月6日午前9時から午後6時まで、ルネッサンスホテルに会場一杯の約400人が出席して開催された

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経団連(御手洗富士夫会長)及び全国工業連盟CNI(アルマンド・モンテイロ会長)共催の第12回日本ブラジル経済合同委員会が、3月6日午前9時から午後 6時まで、ルイス・フェルナンド・フルラン開発商工相、ルイス・カルロス・ゲーデス・ピント農相、島内憲駐ブラジル日本大使、槍田松瑩経団連日本ブラジル経済委員長、マスカレーニャスCNI日本ブラジル経済委員長、パウロ・スカフィFIESP会長、マトーゾ・アマード駐日ブラジル大使などそうそうたるメンバーが参加、両国経済の展望、ブラジルへの投資機会、インフラ整備、ビジネスチャンスや経済連携協定の重要性などについて大いにパネルデスカッションされ、日本からの参加者91人、ブラジル側参加者300人以上で、会場一杯の約400人の聴衆は熱心に、2008年の交流念を契機に更に活性化する両国経済 関係の今後の動向、ビジネス環境整備、FTA締結の役割などについて注目していた。

午前9時から始まった経済合同委員会のトップとしてスカフィFIESP会長は、笠戸丸で始まったブラジルへの日本人移住は来年100周年を迎え、日本移民はブラジルにとって特別に素晴しい国民であり、日本の自動車製造メーカーの活発な投資、デジタルテレビ放送の日本方式の採用など多分野にわたって投資が活発化してきており、このイベントを機会にブラジルへの投資を期待していると開会の挨拶をした。

またマスカレーニャスCNI日本ブラジル経済委員長は、両国の貿易は2005年からブラジルの対日輸出が輸入よりも増加、輸出品目では鉄鉱石、アルミ、鶏 肉、パルプ、コーヒーなどの第一産品が大半を占めているが、日本では余り知られていないが今後はIT関連、航空機、オーガニック製品や化粧品なども有望であり、日本からの投資を期待していると述べた。

続いて槍田経団連日本ブラジル委員長は開会挨拶で、2004年の小泉純一郎首相のブラジル訪問、 2005年のルーラ大統領の訪日で両国経済関係改善に兆しが出てきており、2008年の交流年で、ブラジルに対する注目がにわかに盛り上がってきており、 デジタルテレビ放送の日本方式採用やJALのエンブラエル製ジェット機の購入などもあり、再活性化に向けてCNIと共同ステートメントとして議論してき た。WTO新ラウンド交渉を推進するためには、農業分野での協力が不可欠であり、2004年の日墨のETA締結、年内のチリとのEPA締結など、日本は2カ国間経済提携交渉を進めているが、資源の乏しい日本にとって南米諸国との共同開発などEPA締結で特に資源、インフラ、情報通信などの分野で活性化していくと述べた。

島内憲大使は今まではBRICs諸国の中でもブラジルに対する関心は低かったが、日本でもエタノールや資源開発などでブラジルのポテンシャルに注目、来年の交流年も良い機会であり、この会議では両国経済関係活性化や新しいビ ジネスチャンスなどについて、大いに話合ってほしいと述べた。

ゲーデス・ピント農相は来 年100周年を迎える日本移民は農業面でブラジルに多大に貢献して、ブラジル国民に日本移民の勤勉性、組織力や能力の高さなどブラジル国民に大きなインパ クトを与えた。特に不毛の地域といわれていたセラード開発で大豆などの食料増産面でも大いに貢献、エタノールやバイオジーゼル開発などの農業分野に対する 日本企業の投資を期待していると述べた。

フルラン開発商工相は、ここ10年間、両国経済 関係は沈滞していたが、ブラジルはルーラ第一次政権の4年間で輸出は120%増加の1,370億ドルで、輸出先も多岐に広がってきているが、日本向け輸出はアルミと鉄鉱石で50%を占めているが、南米や米国 向け輸出では自動車、エンジン、バス、重機などの完成品が多い。日本ではブラジルの資源国のイメージが抜けないが、来年の交流年には工業国で計り知れない 潜在力を持ったブラジルの湾曲していないイメージを日本に植付け、メルコスールとのEPA早期締結で、両国の新しい貿易フェーズ開始を強調、また1月に発 表された経済成長促進プログラム(PAC)のインフラ整備に対する投資は、日本企業にとって非常に魅力であり、大いに投資して欲しいと述べた。

第一セッションのパネルデスカッションでは、両国経済の現状と展望、成長に向けた政策について、ウジミナス製鉄のリカルド・カンポス・ソアーレス社長は、民営化や規制緩和で投資環境が改善したブラジルへの日本企業による投資の再活性化、科学技術面での技術協力、人的、文化の交流の重要性を強調した。

続いてJALの西松遥社長は日本在住ブラジル人が30万人、ブラジルの日系ブラジル人は140万人で、最近の両国関係は活性化してきている。今回、ジェッ ト機製造では世界のトップメーカーであるブラジルのエンブラエル社から170型10機を購入して、混雑している羽田空港のスロットに投入、主にローカル線 に利用する。昨年の日本人の海外旅行客は1,753万人であったが、ブラジルへの日本人旅行客は僅かに6万8,000人と少なく、ブラジルの魅力として世 界文化遺産10ヵ所、世界自然遺産7ヵ所もあり、来年は交流年でJALのブラジル進出30周年でもあり、大いにブラジルの観光プロモーションをしていく。また今後数年、毎年200万人から300万人の団塊世代がリタイヤするが、海外旅行に対するアンケートでは第1に安全、次が入国手続きとなっており、トラ ブルを失くすためには人的交流、文化、言語など相互理解が大切であると述べた。

国際協力銀行(JBIC)の斉藤浩理事は、ルーラ政権下ではプライマリー収支黒字はGDP比4%以上、貿易収支黒字は460億ドル、為替も安定してマクロ経済も しっかりしており、2006年度の投資環境では、前年の9位から7位に上昇した要因は今後のブラジル市場の成長性に注目、2010年までに5,000億レアル投資のPACプログラムで、JBICは民間投資促進が必要な道路、鉄道、港湾などのインフラ整備部門に注目、資源エネルギー分野では資源確保の観点か ら石油精製、輸送や資金協力で、鉄鉱石開発ではリオドーセ社と有効な関係を築いている。バイオエタノール分野では、ブラジルだけが輸出可能となるバイオマ ス開発、共同事業や販売事業での融資など対日輸出で積極的に協力、5日にはペトロブラス社とエタノール覚書で合意、JBICのブラジルへの投資残高は80 億ドルでインドネシアに次いで多く、1995年以来108件の融資を行なってきており、今後も大いにバックアップしていくと述べた。

コーヒーブレークの後の第2セッションではブラジルの新しい投資機会(バイオエネルギー、インフラ整備、農業関連産業等)について、初めにゲーデス農相は ブラジルの電力エネルギーの45%は再生可能な水力発電やバイオマスであり、この比率は世界一であり、ブラジルの自動車メーカー9社のうち8社が世界で注 目を集めているフレックス車を生産している。アマゾン熱帯雨林での大豆栽培による森林破壊で温暖化が進むと、アマゾン開発でブラジルは世界から非難を浴び ているが、実際のアマゾン地域は原生林の熱帯雨林地域と潅木が生えて放牧が盛んなパンタナル湿原地域に分かれており、ブラジル大豆生産の僅かに4.9%が パンタナル地域で栽培されており、アマゾン流域の0.3%の面積で大豆栽培が行なわれているに過ぎず、パンタナル地域の88%は環境保全がしっかり行なわ れていると強調、この100年間の森林伐採比較ではヨーロッパが僅かに0.3%の森林が残っているに過ぎず、アジアが5.6%、アフリカ7.8%、ロシア が29.3%、北米は34%しか残っていないが、ブラジルは69.4%も森林が残っており、世界で一番緑の多い国であり、世界から非難されるのは可笑しい と強調した。また現在、利用されていない放牧地が9,800万ヘクタールあり、また1ヘクタール当たり1.4頭の牛を飼育すると7,000万ヘクタールで 収まり、これ以上の自然林の伐採をする必要はなく、大豆生産を上げることができる。また中西部及び北東部の放棄されている放牧地利用で、エタノール生産が 充分行なえるとブラジル農業のポテンシャビリティを強調した。

丸紅の和田文彦常務執行役 員はブラジル丸紅の事業戦略について、大豆、大豆粕、鶏肉などを主に中西部で生産して、サンタ・カタリーナ州サンフランシスコ・ド・スール港からアジア向けに輸出、アジアでの販売ネットワークを利用、そのほかに物流、サイロ、インスタントコーヒー、バイオジーゼルプロジェクトなど積極的に投資を行なって事 業展開していると説明した。

続いてオエノンホールディングス社の高木祥人取締役は、同社はアルコール輸入をしてドリンク用に精製、この蒸留技術を利用してバイオエタノール事業に参入してビジネスチャンスを模索、日本では現在、燃料用エタノールの利用で3%までのガソリン混入(E3)が認められており、流通インフラ整備のための設備投資が3,000億円かかると予想されており、アサヒビールが 砂糖キビ栽培、エタノール製造して自動車用燃料までの工程全般を通した実証研究分野に参入した。2010年までには308万キロリットルとエタノール利用が予想されており、将来は10%までのエタノール混合も予想されるが、日本でのエタノール生産目標はコーンや米で5万キロリットルであるが、食糧生産に影 響を与えないバイオマス原料の開発が急がれていると説明した。

ブラジル三井物産の大前孝 雄社長は、8日にはブッシュ大統領が中南米において米国の石油の代替燃料となるエタノール資源供給について協議するために訪伯、エタノール供給大国である ブラジルは世界の注目を集めている。日本企業もブラジルからのエタノール安定供給ビジネスに取組んでいるが、穀物メジャーのカーギル社やブンゲ社も取組み始めた。ブラジルの需給動向として、国内でのフレックス車販売が急上昇しており、現在274万台のフレックス車は2015年には1,500万台になると予想、2013年のエタノール生産は3,600万キロリットルで700万キロリットルが輸出可能、米国のエタノール原料のトウモロコシよりも生産コストは半分以下であり、セラード地域での砂糖キビ栽培は現在の耕地面積の50倍まで可能で、アマゾン地域までは行かないと説明した。

サンパウロ州砂糖キビ栽培者連合(UNICA)のアルフレッド・スツワルク会長補佐は、UNICAのエタノール生産量はサンパウロ州の60%を占め、今後 も州内の栽培面積は拡大していくが、セラード地域のミナス州やゴイアス州での砂糖キビ栽培が拡大していく。また77ヵ所のエタノール精製工場建設が予定さ れているが、そのうち半数はサンパウロ州内であり、残りはミナス州、ゴイアス州、マット・グロッソ州での建設が予定されていると説明した。

インフラ基幹産業協会のパウロ・ゴドイ会長は、経済成長加速プログラム(PAC)のインフラ部門への投資金として長期ファイナンスが必要であり、総額 400億ドルに達するが投資ファンドの設立、また民間からも総額2,000億レアルに達する投資が必要であり、2,600キロメートルに及ぶ国道整備の入 札、大都市環状道路建設工事、イタジャイ港やサンフランシスコ・ド・スール港の港湾整備、総額650億レアルの3,400MWの発電能力を擁するマデイラ 河水力発電所、3,000キロメートルの送電線建設工事、サントス沖やエスピリット・サント州での天然ガス開発など、日本企業にとっても大いにビジネス チャンスが広がっていると強調した。

ブラジル三井物産の大前孝雄社長はブラジルのインフ ラについて、連邦政府が発表したPACはブラジルの経済成長には不可欠であり、エネルギー、都市インフラ、物流部門への投資で2010年までに5,000 億レアルの投資が予定されている。ブラジル三井物産ではインフラ部門を優先分野として、鉄道及び石油・天然ガスの2分野に盛んに事業を展開、都市近郊線・ 地下鉄の1,500両の車両やレンタル事業、信号システム納入、官民合同プロジェクト(PPP)案件第1号の地下鉄4号線に日本企業としては初めて参加、 石油・ガス分野ではパイプラインの敷設などに投資して、ブラジルコスト低減に参加していると説明した。

第3セクションでは外国企業による対ブラジル投資の成功事例と課題では、ブラジルIBM社のロジェリオ・オリベイラ社長は、IBMのブラジル進出は90年前で、米国以外では初めての海外進出国であり、南米のGDPの35%を占めるブラジルの潜在ポ テンシャルは大きく、特にサンパウロ州のGDPはアルゼンチンより大きく、優秀な人材が豊富であり、年間5万人の工学系大卒や大学院卒がいるので、国内で 人材調達が可能、IBMは世界に4ヵ所の開発拠点を持っており、ブラジルではリナックス開発センター、ハイパーフォーマンス開発センター、アクセスビリ ティセンターを有しており、サンパウロ州のオルトランジア開発センターでは、4言語を使う技術者達が国内100の顧客と海外60の顧客をカバーしており、人材面での豊富で優秀な技術者が多くいるブラジルでは、アウトソーシングやコンサルタント部門でも事業進出には問題ないと強調した。

続いて三菱商事金属グループのCEOの小塚睦実常務執行役員は、ブラジルには1954年に進出、1955年から日本向けに鉄鉱石の輸出を開始、2005年 には3,300万トンを日本向けに輸出、ウジミナス社設立時には出資、合弁事業などで友好関係を保っており、1970年代から自動車用鋼板をブラジルに供給、鋼材加工販売会社に出資、鉄鋼商社メタルワンの設立、2006年にはガゼッタ・メルカンチル紙で最優秀企業に選ばれたリオ・ネグロ社やウジミナス社な ど良いパートナーにめぐり合えたことが事業の発展に大きな比重を占めたと説明した。

第4セッションの両国経済関係の拡大と深化、経済連携協定の役割として、サウスアメリカ・ホンダの岩村哲夫社長は、事業活動の企業理念として、ローカリゼーションでは現地の人との協力、地域的最適化、需要のあるところでの生産、人、物、金の現地化を挙げ、グローバリゼーションでは世界的最適化、世界的技術の 提供、地域の特産化を挙げ、南米での事業展開としてブラジル、アルゼンチン、ペルー、ヴェネズエラで生産拠点を持ち、ブラジルでの二輪生産開始は1976 年、1984年のテキーラショックで失われた10年を経験、多くの企業が撤退したがホンダは続け、1994年のレアルプランで為替が安定後の1997年か ら四輪車製造開始、2002年の二輪車生産は50万台、昨年の二輪車生産は100万台、今年の取組みとして四輪車の製造能力を10万台、二輪車の生産能力 150万台、輸出11万台を予定、企業の社会的責任プログラムとして、安全運転普及センターの設立などを積極的に展開しているが、ブラジル市場では中国製 コピー二輪車が出回っており、これによってブラジルはコピー二輪車では技術移転が行なわれず、メーカーの投資意欲を削ぐために、当局の管理強化及び特許訴 訟のスピードアップの改善、また移転価格税制(TP)ではOECDのガイドラインに沿わないブラジルのTP税制では、事前承認制度の適用など両国の税務当 局のみでしか解決できない問題の早急な改善を説明した。

ブラジル化学工業会のカルロス・マリアーニ会長は、日伯貿易では日本からは工業製品、ブラジルからは日本へは第一産品輸出が主要であるが、日本の検疫制度が非常に厳しく、輸出許可に時間 がかかる。また日墨EPA提携では農業部門では問題とならなかったが、日本とブラジルのFTA提携交渉では農業問題がネックになると述べた。

ジェトロの山本俊一中南米担当理事は、日本とブラジルの経済交流発展のためにはFTA締結が必須であり、日本ではすでに東アジアでEPAを推進して経済統 合を推進めている。ASEANプラス6カ国(日/中/韓/インド/オーストラリア/ニュージーランド)の東アジアの域内貿易比率は、54%でNAFTAの 45%を上回り、域内の貿易が拡大を続けている。最近は対中国投資だけではなくリスク分散のための中国プラスワンとしてタイ、ベトナム、インドが注目され ている。日本が提言したASEANプラス6カ国のEPA構想、米国はAPECとのEPA提案などEPA締結では活発な動き、ジェトロでは東アジアの統合で 10項目の提言をしており、統合支援、日本・ASEANが中心になっての統合、11分野の関税撤廃/引下げなど。日本はすでに4カ国とEPA締結、新たに 4カ国と合意寸前、3カ国と研究中であり、オーストラリアとは今年から交渉開始するが、輸入食料の8.3%をオーストラリアから輸入しているので、今後の ブラジルとのFTAの農業交渉の参考となる。1年後には18カ国と交渉を終える。日墨EPA締結の翌年の両国の貿易高は22.7%増加、また直接投資高も 増加してEPA締結のメリットを強調した。

またFIESPのジアネッテ・フォンセッカ理 事は、ブラジル貿易は世界平均以上に拡大を続けており、 1998年は世界貿易の0.8%を占めるに過ぎなかったが、2006年は1.2%に上昇、対日輸出は5年間で2倍、海外からのブラジルへの直接投資は南米 の50%、再送可能なエタノール、バイオ燃料、水力発電所などについても触れたが、ブラジルへの投資のネックはGDP比38%に達する課税率や労働法改正 を含む構造改革で早急な改善の必要性を述べた。

閉会の挨拶では槍田松瑩経団連日本ブラジル経済委員長は、新しいビジネスチャンスが生まれる事、今後、ブラジルは工業大国になる事を確信、2008年は交流年であり、今後益々経済交流が盛んになる事を確信できた素晴しい会合であったと述べた。

またマスカレーニャスCNI日本ブラジル経済委員長は、今回の会議は今までのどの会議よりも素晴しかった。ブラジルからはアジアへの資源供給、数々の新し いプロジェクトの紹介など日本からブラジルに対する熱いまなざしを感じることができ、兎に角、日本とブラジルとの早急なEPA締結を望むと強調して閉会の 辞とした。

尚、前日5日の同ホテルのアマゾナスサロンで開かれた前夜祭には日本からの90人近い参加者など200人が参加、7日、8日はブラジリアで政府要人訪問、9日はエンブラエル社の航空機製造工程などを視察する。