上半期のB3からの株式資金引上げは106億レアルに達している

6月25日までの海外投資家によるサンパウロ証券取引所(BM&FBovespa)と証債権取引決済・保管センター(Cetip)が合併して設立されたB3社に上場されている株式購入から売却を差引いた売り越し残高は106億レアルに達している。

また今年6月の25日間の海外投資家による売り越し残高は、5月下旬から11日間継続した全国規模のトラック運転手の国道封鎖抗議デモや益々不透明となってきている10月の大統領選挙などの要因で65億8,000万レアルを記録して、益々サンパウロ平均株価を下げる要因となっている。

今年6月の25日間の海外投資家による株式購入残高は1,166億レアル、株式売却残高は、1,231億レアルとそれぞれ1,000億レアルを初めて突破してサンパウロ平均株価のボラティリティの原因となっている。

米国の金利上昇や米中貿易戦争などの外的要因に伴って、新興国から投資金逃避が続いており、ブラジルでは更に予想を下回る景気回復、トラック運転手の国道封鎖抗議デモ、不透明な大統領選挙などが更に海外投資家の資金引上げに拍車をかけている。

ブラジルでは伝統的に大統領選挙の年は、サンパウロ平均株価の変動が大きいが、2014年のジウマ大統領の再選をかけた年の上半期の海外投資家の株式購入残高は122億レアル、ジウマ大統領が再選された2014年の株式購入残高は、203億レアルに達していた。

2014年の海外投資家による株式購入残高は203億レアル、2015年163億9,000万レアル、2016年143億2,000万レアル、2017年は133億3,000万レアル、今年6月25日まではすでに106億レアルのマイナスを記録している。

また今年の海外投資家による月間株式購入残高比較では、1月は95億5,000万レアル、2月はマイナス432億3,000万レアル、3月は52億7,000万レアル、4月は43億8,000万レアル、トラック運転手の国道封鎖抗議デモが発生した5月はマイナス84億3,000万レアル、6月25日までにはすでにマイナス65億8,000万レアルを記録している。(2018年6月28日付けヴァロール紙)

小売販売オーナーの景況感は2017年8月以降では最低

ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)が6月4日~25日にかけて1,187人の小売販売オーナーを対象とした調査によると、今年6月の小売販売部門の景況感は、5月から3ポイント減少の89.6ポイントまで低下して、2018年8月に記録した84.4ポイントに次ぐ低率を記録して景況感が大幅に悪化している。

6月の小売販売オーナーの景況感が前月比3ポイント悪化した要因として、5月下旬から11日間継続した全国規模のトラック運転手の国道封鎖抗議デモの影響からの回復遅れが要因となっている。

失業率の高止まりや不透明な連邦政府による経済活性化政策など景気回復に繋がる要因がないために、小売販売オーナーの景況感は、今後数カ月間は低調に推移するとジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)の小売販売調査担当のロドルフォ・トブレール コーディネーターは予想している。

今年初め第1四半期の小売販売オーナーの景況感は2.5ポイント上昇したが、第2四半期は一転して2.8ポイント減少、6月の小売販売現状指数は前月比2.2ポイント減少の87.2ポイント、今後の見通し指数は3.8ポイント減少の92.4ポイントに留まって2017年8月の89.6ポイントに次ぐ低率となっている。(2018年6月28日付けヴァロール紙)

 

今年6月の口座借越残金利は311.9%で最高金利

ブラジル・クレジット保護サービス(SPC Brasil)の調査によると、今年6月の特別小切手税と呼ばれる口座借越残金利は311.9%に減少したにも関わらず、クレジットカード借越残金利の303.6%を上回って最高金利を記録している。

2017年5月の口座借越残金利は、325.1%とクレジットカード借越残金利の380.0%を大幅に下回っていたが、昨年9月には320%とクレジットカード借越残金利の327.2%に接近していた。

一般消費者の63%は、年率300%を超える口座借越残金利を知らない。また特別小切手税と呼ばれる口座借越残金利の使用を余儀なくされている口座借越残高は240億レアルに達しており、一人当たり平均900レアルの口座借越残高を抱えている。

特別小切手税と呼ばれる口座借越残金利の使用を余儀なくされている人のうち、34%は予算外の医薬品購入や医療機関の利用、18%は車の修理、12%は小売店での日用品購入で利用している。(2018年6月28日付けエスタード紙)

 

鹿児島県人会のセルジオ・マサキ・フミオカ副会長が訪問

鹿児島県人会のセルジオ・マサキ・フミオカ副会長が2018年6月27日に商工会議所を訪問、応対した平田藤義事務局長に7月22日に開催予定で、三反園訓県知事や柴立鉄彦県議会議長など多数の慶祝団も参加するブラジル鹿児島県人会創立105周年記念に松永愛一郎会頭を招待。また10月28日から11月19日に日程の第1回鹿児島県人世界大会2018参加ツアーを案内した。

Fujiyoshi Hirata e Sérgio Masaki Fumioka

Foto: Rubens Ito / CCIJB

2018年初め5か月間の歳入総額は取締強化で前年同期比7.8%増加

2018年初め5か月間の国庫庁の歳入総額は、国庫庁による取締強化並びに徐々に回復してきた国内経済の影響で、予想を60億レアル上回る前年同期比7.8%増加の6,034億レアルを記録して2014年以降では最高の歳入総額を記録している。

今年初め5か月間の大幅な歳入増加要因として、大企業向けの税制監査強化並びに、前回の滞納税回収計画(Refis)による4,040億レアルの臨時歳入を上回る新滞納税回収計画(Refis)による462億レアルに達した臨時歳入が大きく寄与していると国庫庁管轄の税制・通関研究センターのクラウデミール・マラキアス課長は説明している。

また今年初め5か月間の石油・天然ガス開発によるロイヤリティ収入などによるインフレ指数を差引いた実質臨時歳入は、前年同期比35.1%増加の222億2,300万レアルに達している。

今年5月の国庫庁の実質歳入総額は前年同月比5.2%増加の1,061億9,200万レアルに達して、2015年以降の5月としては最高の歳入を記録、また前年同月比36.9%増加した臨時歳入を除いた実質一般歳入も5.2%増加している。

また5月の過去12カ月間の歳入総額は、7か月間連続で増加して前年同期比2.89%増加、5月の歳入は消費増加による輸入税(II)増加並びに金融機関以外の法人税の34%増加が寄与している。

2018年初め5か月間の国庫庁の歳入総額は、前年同期比7.8%増加の6,034億レアル、内訳は輸入税(II)は23.1%増加の157億1,900万レアル、工業製品税(IPI)は13.27%増加の217億2,500万レアルを記録している。

前記同様に全ての所得税は2.96%増加の1,683億4,500万レアル、そのうち個人所得税(IRPF)は2.42%減少の164億4,400万レアル、法人所得税は6.39%増加の645億3,200万レアル、源泉徴収所得税は1.59%増加の873億6,900万レアルを記録している。

また金融取引税(IOF)は0.49%減少の145億8,500万レアル、公務員厚生年金(COFINS/Paes)は13.81%増加の1,007億8,100万レアル、社会統合基金/公務員厚生年金(PIS /Paes)は11.39%増加の270億500万レアル、純益に対する社会納付金(CSLL)は、2.46%増加の366億8,600万レアルとなっている。

その他の経常的歳入総額は84.68%増加の191億8,600万レアル、社会保障院(INSS)の積立金などの歳入総額は、2.17%増加の1,651億4,700万レアルを記録している。

5月下旬から11日間継続した全国規模のトラック運転手の国道封鎖抗議デモの影響として、一般消費者がデモの影響を心配して日用必需品の駆け込み需要に繋がったポジティブな一面の一方で、製造業の製品販売が物流問題の影響で、6月の法人所得税や純益に対する社会納付金(CSLL)の減少をクラウデミール・マラキアス課長は予想している。(2018年6月27日付けヴァロール紙)

 

5月のトラック運転手によるデモによる生産低下は世界金融危機時を上回った

5月下旬から11日間継続した全国規模のトラック運転手の国道封鎖抗議デモの製造業部門に対する悪影響は、2008年9月のリーマンブラザーズ破綻に端を発した世界金融危機発生を上回ると応用経済研究院(Ipea)では予想している。

7月4日にブラジル地理統計院(IBGE)から今年5月の鉱工業部門生産(PIM-PF)指数が発表されるが、今年5月の製造業部門生産は前月比13.4%と大幅減少を記録して、世界金融危機発生の翌月の11.2%減少幅を上回っていると応用経済研究院(Ipea)では見込んでいる。

今年5月の製造業部門生産の前月比13.4%減少は、特に自動車部門並びに食品部門が物流問題発生で壊滅的なダメージを受けており、ブラジル地理統計院(IBGE)が2002年から統計を取り始めて最大の落込み幅になると応用経済研究院(Ipea)では予想している。

トラック運転手の国道封鎖抗議デモで、州内のパスタ・ピザなどの練製品メーカーは物流機能停止で小麦粉不足で生産中止、酪農製品メーカーも賞味期限切れなどで壊滅的な打撃を受けたとリオ工業連盟(Firjan)経済開発担当コンサルタントのジュリア・ニコラウ氏は説明している。

またトラック運転手の国道封鎖抗議デモの影響は、製造業部門以外にも5月の小売販売は物流問題による製品入荷遅れの影響で前月比1.4%減少している。またサンパウロ州サン・ベルナルド・ド・カンポス市の電気材料メーカーのAlumbra社では、5月の生産は計画の15%を下回ったと国道封鎖抗議デモの影響を指摘している。(2018年6月27日付けエスタード紙)

GEはブラジルでコア事業として電力エネルギーや医療部門に資本集中か

昨年末に米ゼネラル・エレクトリック(GE)のジョン・フラナリー最高経営責任者(CEO)は、抜本的な組織再編による斬新的な構造改革を発表、ブラジルGEは、電力エネルギー部門並びに医療部門に資本集中すると予想されている。

フラナリーCEOは重点事業を電力、航空、ヘルスケア機器に絞り込み、GEが長く携わってきた照明や機関車などの事業からは撤退する計画。さらに取締役会の人数縮小、報酬制度の見直し、四半期配当の大幅削減を発表している。

今年3月のGEラテンアメリカのDaurio Speranzini社長は、ペトロブラス石油公社による石油・天然ガス開発向け装置発表計画が大幅に遅れている影響を指摘した一方で、ブラジルにおける電力エネルギー部門並びに医療部門の重要性を強調している。

GEはブラジル国内に28カ所の向上や研究センターを擁しており、特にリオ州ペトロポリス市にあるタービンを中心とした航空関連機器製造Celma社やミナス州コンタージェン市の機関車工場は操業を継続している。

米ゼネラル・エレクトリック(GE)は6月26日、ヘルスケア事業を分離すると発表。運営子会社GEヘルスケアの株式の80%をGEの既存株主に割り当てるほか、残る20%も売却予定。医療機器を中心とする同事業は航空機エンジンと並ぶ同社の主力事業で、財務体質の改善を優先する。

GEの2014年の石油関連事業の売上は、190億9,000万ドルでヘルスケア部門の183億ドルを上回っていたが、2015年にはヘルスケア部門の売上が176億4,000万ドルと石油部門の164億5,000万ドルを上回った。

また2016年のヘルスケア部門の売上は、182億9,000万ドルと順調に増加した一方で石油部門は129億ドルまで減少、2017年のヘルスケア部門の売上は191億2,000万ドルに対して、石油部門も172億3,000万ドルまで回復している一方で収益は2015年から下落してきている。(2018年6月27日付けヴァロール紙)

 

ブラジル愛知県人会の沢田功会長が訪問

ブラジル愛知県人会の沢田功会長が2018年6月26日に商工会議所を訪問、応対した平田藤義事務局長並びに日下野成次総務担当とブラジル愛知県人会60周年記念事業並びに愛知県に本社のある会員企業情報について意見交換した。

Fujiyoshi Hirata, Seidi Kusakano e Isao Sawada

Foto: Rubens Ito / CCIJB

トラック運転手の国道封鎖抗議デモで5月の輸出は2016年以降初めて減少

中銀の発表によると、2018年5月の経常収支は、5月下旬から11日間継続した全国規模のトラック運転手の国道封鎖抗議デモの影響で、輸出が大幅に減少して予想の25億ドルの黒字の僅か29.2%に相当する7億2,900万ドルに留まった。

今年5月の輸出は、トラック運転手の国道封鎖抗議デモの影響で前年同月比2.8%減少して2016年12月以降では初めて減少を記録したと中銀企画戦略部のフェルナンド・ロッシャ部長は説明している。

今年5月初め3週間の1日当たりの平均輸出金額は11億ドルであったが、5月下旬から11日間継続した全国規模のトラック運転手の国道封鎖抗議デモの影響で、最終2週間の1日当たりの平均輸出金額は、37%減少の6億7,100万ドルに留まった。

5月下旬から11日間継続した全国規模のトラック運転手の国道封鎖抗議デモは終息したにも関わらず、6月初めの2週間の輸出は、国道封鎖抗議デモによる物流体制の回復が遅れている影響を受けている。

今年初め5か月間の経常収支は、40億2,000万ドルの赤字を計上しているにも関わらず、海外投資家による製造業部門向け対内直接投資が233億ドルの黒字を計上して、経常収支赤字を大幅にカバーしている。

5月の海外旅行のサービス収支では、ブラジル人による国外での支出は、レアル通貨に対する6.66%のドル高の為替の影響も受けて、今年初め4か月間平均の前年同月比11.0%増加を下回る8.0%増加に留まっている。

ブラジル全国工業連盟(CNI)の調査によると、今年5月の設備稼働率は、国道封鎖抗議デモの影響を受けて、前月比3.0ポイント減少の63ポイントと2011年の調査開始からでは最低の設備稼働率に落ち込んでいる。

また今年5月の製造業部門の平均在庫指数は、国道封鎖抗議デモの影響で大半の産業部門の物流に問題が発生した影響で、53.3ポイントと50ポイントを上回って過剰在庫を記録している。(2018年6月26日付けヴァロール紙)

今年の対内直接投資は予想を下回るか

中銀の発表によると、2018年5月の対内直接投資は、29億9,200万ドルで前年同月の28億9,200万ドルをわずかに上回っているにも関わらず、5月の過去12カ月間の対内直接投資総額は、GDP比3.07%と前月のGDP比3.06%をわずかに上回った。

今年5月の過去12カ月間の対内直接投資総額は、617億9,000万ドルに留まっており、中銀の今年の対内直接投資総額予想の800億ドル、中銀の最終フォーカスレポート協力金融機関予想の705億ドルをそれぞれ大幅に下回っている。

中銀では今年6月の対内直接投資総額を60億ドルに達すると予想、今年初め4か月間の対内直接投資総額は233億4,400万ドル、月間平均では、47億ドルに留まって2009年以降では最低レベルに留まっている。

中銀の今年の対内直接投資総額予想の800億ドルに達するには、月間平均83億ドルの対内直接投資金額が必要であるが、2014年の対内直接投資総額971億8,000万ドルには程遠い。

10月の大統領選挙後の次期政権に先送りされる財政改革や年金・恩給改革などの構造改革停滞、米国の法人税引き下げによる製造業の米国への回帰、ドル高の為替などの影響で、ブラジルをはじめとした新興国に対する対内直接投資は減少傾向を示している。

今年初め5か月間のブラジル金融部門への投資は、前年同期の250億7,500万ドルを36%下回る160億2,600万ドルの一方で、外資系企業のブラジル支店への送金は、前年同期の71億6,600万ドルから73億1,900万ドルに増加している。

今年5月の海外投資家のブラジル国内の金融投資残高は、ドル高の為替や米中貿易戦争などの要因で54億4,300万ドルが流出したが、4月は54億8,600万ドルの黒字を記録していた。(2018年6月26日付けヴァロール紙)