2015年上期の業種別部会長シンポジウム

テーマ: 「2014年の回顧と2015年の展望」
副題  :  再生目指すブラジル経済! どう頑張る日系ビジネス

 

日時:   2015年2月24日(火)
        13時~18時 シンポジューム(途中コーヒーブレイクが入ります)
        18時~19時 懇親会(カクテルパーティー)

会 場: ホテル マクスードプラザ

前半の司会: 相原 良彦 (あいはら よしひこ) 総務委員長           

13:00~13:05    開会挨拶     村田俊典(むらた としふみ)   会頭    
          
13:05~13:30     1金融部会    加藤清已(かとう きよみ)    部会長      (みずほ銀行)    
13:30~13:55     2コンサルタント部会    関根実(せきね みのる)    部会長    (個人会員)    
13:55~14:15     3貿易部会    寺本将人(てらもと まさひと)    副部会長    (住友商事)    
14:15~14:40     4自動車部会    近藤剛史(こんどう こうじ)    部会長    (トヨタ自動車)     
14:40~15:05     5電気電子部会 千野浩毅(ちの ひろき)    副部会長    (ソニー)    
                    
xxxxxxxxx コーヒーブレイク (15分) xxxxxxxxxxxx        

後半の司会: 寺本 将人(てらもと まさひと)企画戦略委員会 副委員長    

15:20~15:55     講演  イヴァン・ラマーリョ開発商工省 事務次官(副大臣)
                        2015年の展望/「2015年ミラノ万博」について                 

15:55~16:20     6 機械金属部会     渡辺健司(わたなべ けんじ)    部会長    (川崎重工)     
16:20~16:35     7食品部会     岡崎徹(おかざき とおる)    副部会長    (日清味の素)    
16:35~16:55     8運輸サービス部会     森田透(もりた とおる)    部会長     (山九)    
16:55~17:15     9化学品部会     高橋智(たかはし さとる)    部会長    (K-I ケミカル)    
17:15~17:30     10建設不動産部会 藤井健(ふじい たけし)    部会長    (CGCケミカルグラウト)    
17:30~17:45     11繊維部会     横山眞一(よこやま しんいち)    部会長     (オーミ)    

17:45~17:50      講評    佐野浩明(さの ひろあき)       在サンパウロ日本国首席領事    
17:50~17:55     コメント    小林和昭(こばやし かずあき)    在ブラジル日本国大使館 参事官              
17:55~18:00      閉会の辞    相原良彦 総務委員長                

 

  • 前半司会 相原良彦 総務委員長

     皆さんこんにちは。時間が来ましたので、ちょっと全員まだそろっていないようなんですけれども、始めさせてもらいたいと思います。

     本日は皆さんお忙しい中、この業種別部会長シンポジウムにご参加いただきまして誠にありがとうございます。お陰さまで約160名ぐらいの方が出席するということで、非常に嬉しく思っております。本日、前半の司会をする三菱重工の相原です。私、1月1日から総務委員長をさせてもらっていまして、総務委員長はこのシンポジウムの司会をするということになっておりまして、前司会者の上野様がおられるんですけれども、私今朝帰って来たばかりなので、ちょっとぼけていますので、色々不手際もあるかと思うんですけれども、とにかく寝ないようにするために今回上の台に上がらされているので。寺本さん、紹介しますけれども、後半の司会をしていただく住友商事の寺本さんです。

    寺本将人 企画戦略委員会副委員長

     住友商事の寺本と申します。企画戦略委員長の岡がですね、本日不在ですので、副委員長としまして私が後半の司会をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

    司会

     それでは本日のご来賓をご紹介いたします。在サンパウロ日本国首席領事の佐野浩明様にご出席いただいております。佐野様には部会発表終了後ご講評をいただく予定にしております。また、在ブラジル日本国大使館から参事官の小林和昭様にもご参加いただいております。小林参事官殿にはプログラムの最後にまたコメントをいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

     それでは始めに、このたび会頭に就任されました村田会頭よりご挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

     

  • 開催挨拶 村田俊典 会頭

     ただ今紹介にあずかりました村田でございます。このたび前藤井会頭の帰任に伴いまして、新会頭に就任いたしました。これから約2年弱の任期となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

     就任にあたりましての所信表明は3月の総会の場で述べる予定にしておりますが、一言で簡単に申し上げますと、これまでのCamaraの歴史や、それから藤井会頭が築かれた素晴らしい活動を継続し、より一層会員の皆様のお役に立つ商工会議所活動にしていきたいと思っております。皆様のご支援をよろしくお願いいたします。

     さて本日は、恒例でもあり、会議所の大切な行事であります業種別部会長シンポジウムでございます。本日サンパウロ総領事館より佐野首席領事、大使館から小林参事官にお越しいただいております。改めまして、ご出席いただきまして御礼申し上げます。また、今回も会場一杯の聴講参加をいただきまして、誠にありがとうございます。

     昨年後半は次期大統領選挙の話題で持ち切りとなりましたが、結果としましてジルマ・ルセフ大統領が再選、第2次ジルマ政権が今年誕生しました。年明け早々からペトロブラス汚職問題など大きな変動に始まった年でもあります。景気回復に向け市場が期待するジョアキン・レヴィ財務大臣の下、経済の基礎的条件を整える調整の年であると言われております。シンポジウムの課題「再生目指すブラジル経済!どう頑張る日系ビジネス」にあります通り、再生に向けてブラジル経済を安定的な成長軌道に導くことができるかが問われる今年、日本企業からの目線でブラジル市場を分析、11あります各部会の部会長に業界の動向と今年の展望を発表いただきます。

     また、コーヒーブレイクの後、イヴァン・ラマーリョ開発商工省副大臣およびAPEX、輸出振興庁のビニシオス・エストレーラ・2015年ミラノ万博担当もご到着され、特別講演をいただく予定になっておりますので、楽しみにされて下さい。ブラジル経済、および2015年ミラノ万博についてご講演をいただきますが、現役開発商工省副大臣のご解説をはさむことで、より一層意義深いシンポジウムになることは間違いありません。

    簡単にイヴァン氏の経歴を紹介申し上げますと、2005年から2010年まで開発商工省の副大臣を務められて、幾度となく大臣の代行を果たされました。その間、BNDESPar、社会経済開発銀行出資会社の経営審議会メンバー、COFIC、輸出融資保証審議会会長、Secex商業所経営エグゼクティブ審議会メンバー、伯亜および伯日を含む各国貿易監視委員コーディネーター、対中国国際交渉コーディネーターなどを歴任されました。2009年2月から、原則毎年1回ブラジルと東京の交互の開催で行われる日本ブラジル経済合同委員会および日伯貿易投資促進産業協力合同委員会のブラジル側議長を2010年まで務められ、日伯貿易投資の促進に大きく貢献されました。その後メルコスール事務局本部の事務総長を経て今年再び開発商工省副大臣に就任。豊富なご経験とその見地から鋭くブラジル経済を分析いただけるのではないかと楽しみにしております。

     最後になりますが、シンポジウムに先立ち各部会懇談会を開催、特に部会長に当たりましては発表資料をご多忙の中ご用意いただき誠にありがとうございます。長丁場となりますが、各業種を網羅した大変貴重な発表でございますので、最後までお付き合いいただければと思います。それではどうぞよろしくお願いいたします。

    司会

     村田会頭、どうもありがとうございました。今日のテーマですけれども、今ありましたけれども、「2014年の回顧と2015年の展望」、あと副題としましては「再生目指すブラジル経済!どう頑張る日系ビジネス」ということでございます。各部会長ならびに部会員の皆様にはこのテーマに沿って部会懇談会を何回か開いていただいて活発な討議もされて本日の発表に備えられたというふうに思っております。各部会長、部会員の皆様のご尽力、ご協力につきまして厚く御礼申し上げます。

     本日は11の部会より発表していただきます。ほとんどの業種を網羅しておりまして、ここに参加するだけでブラジルビジネスの最前線の様子や課題が見えて来るというふうに思っております。部会長の皆さんも張り切ってスタンバイされておられます。途中コーヒーブレイクとラマ―リョ次官殿の講演をしまして、6時までということで非常に長いんですけれども、どうか最後までお聞きいただけたらと思っております。それではトップバッターである金融部会の加藤様から発表をお願いします。よろしくお願いします。

  • 金融部会   加藤清巳 部会長

    Pdf金融部会

     皆さんこんにちは、金融部会、みずほ銀行の加藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。先頭を切りましてですね、金融部会より2014年の回顧、15年の展望ということで、マクロ経済、銀行業界、保険業界について発表させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

      それでは早速、最初のスライドをお願いします。2014年を振り返ってみますと、景気の停滞と高インフレが同時進行した一年でした。過去数年ですね、ルセフ政権は低所得層向けの所得再分配政策、こういったものを重視して、手厚い社会保障政策で個人の購買力を高め、個人消費によって経済成長を牽引すると、そういった形のモデルで運営してきたわけですけれども、どうやらそのモデルが機能しなくってきているといった年なのかなと思います。また、史上まれに見る結果となりました、大接戦となりました大統領選挙ですけれども、これを経済の観点から評価すればルセフ政権の経済・財政運営について修正を求める声が国民の半数にも達したと、そういう厳しい審判だったのかなという評価ができるのかなというふうに思っています。

    下の方にちょっと小文字でですね、総括を経済項目について簡単にまとめていますので、赤字のところを読んでいただければいいと思いますけれども、GDP、これはマイナス成長に終わりました。インフレは政府のターゲット上限でずっと高止まりと。このインフレを抑えんとして中銀は金融の引き締めを実施し、それゆえに景気回復が一層遠いものとなりました。

     為替は経常収支や政府財政の悪化、あるいは資源価格の暴落を受けてレアル安で推移し、政府の財政は選挙前の拡張的な政府支出もあり、プライマリーバランスは赤字と。不思議なことに、景気の停滞にもかかわらず失業率だけは歴史的な低水準を維持しましたが、国の経常収支も貿易赤字を主因として大幅な赤字になったと。まああまり良いことはなかった1年だったなという回顧になるかと思います。次お願いします。

     若干重複しますけれども、データを過去数年並べて追ってみたいと思います。

     1番目ですけれども、GDPの成長率、まだ確定値ではありませんけれども、ここ数年低成長傾向だったんですが、とうとうマイナス成長に終わるのではないかという見込みになっています。

     いくつか下にいきまして、貿易収支、2000年以降初となる赤字となりました。主な輸出である中国、あるいはアルゼンチンといったところの景気減速、こういった影響もあり、主要輸出産品である鉄鉱石、大豆、自動車等々の輸出が落ち込んだ結果です。また貿易収支の赤字により、経常収支の赤字も909億ドルと非常に大きな、過去最悪の水準に終わりました。

     プライマリーバランス、いわゆる基礎的財政収支ですが、こちらも大統領選挙前の減税や公共事業の実施等により一段と悪化し、赤字に転落しました。

     政策目標金利SELICですけれども、景気低迷にもかかわらずインフレ圧力が強いため、追加利上げを余儀なくされ、2014年末時点では11.75、今年に入っても追加利上げを実施し、12.25%とそういう状況にあります。次お願いします。

     いくつか個別に見ていきたいと思います。まずGDPです。棒グラフ、四半期ごとのGDP、前年同期比の伸びになりますけれども、2014年は2四半期連続でマイナスを記録し、通期でも、いましがたお話した通りマイナス0.1%に終わるという見込みになっています。

     折れ線のグラフが工業生産で、右軸で読みますけれども、これも2014年の6月、9月と前年比マイナス成長となっております。企業マインド、消費者マインド悪化に歯止めがかからず、また販売不振で生産調整も進んでいる、例えば自動車等の製造業の低迷が顕著であり、2013年のプラス成長からマイナス成長に落ち込んだということです。なお、期待されたサッカーのワールドカップですが、経済効果は限定的で、開催期間中の営業時間停止等むしろ生産・販売活動の下押し要因になったことは皆さんご記憶に新しいかと思います。次お願いします。

     小売売上げで、個人消費の動向ですけれども、これも鈍化しているのが顕著に表れています。一つは、まあいくつもありますけれども、食料インフレ等の物価上昇、これによる実質購買能力の低下と。それからもうひとつは、家計における借入負担の上昇があるのではないか等々も言われております。

      ということで、借入負担の上昇というのが次のスライドで、お願いします。折れ線のグラフ、これが債務比率、棒グラフが返済比率になりますけれども、2014年、世帯年収の実に45.8%相当の借金を抱えていると。あるいは、棒グラフにあります通り、世帯月収入の20%超がですね、借入金の元利金の返済に回っている状況。したがってクレジットによる購買というのが難しくなりつつある状況が見て取れるのかなというふうに思います。次お願いします。

     続いてインフレです。いくつか線がありますけれども、代表的なインフレ指数、拡大消費者物価指数は赤の太線になります。点線が政府のターゲットです。ご覧の通りですね、中銀目標圏の上限付近で推移して、9月には6.75%と3年ぶりの高い伸びを記録しています。干ばつ、猛暑の影響で飲食料品価格が高騰したほか、例えば電力料金の値上げ等もインフレ率の押し上げ要因になったかと思います。なお内訳を見るとですね、一番上の紫、これはサービスセクターを示す線なんですが、例年ずーっと高い数値で推移していまして、2014年も8.3%で終えました。構造的に物価上昇圧力の大きな要因がサービスセクターにあることがこれでも分かるかと思います。次お願いします。

     続いて金利および為替になります。景気低迷にもかかわらずですね、インフレの圧力が強いため、中銀は金融緩和に動くことができないどころかですね、逆に追加利上げを余儀なくされましたと。赤の折れ線、これが政策金利ですけれども、5月から9月までは金利をすえ置き、様子見の構えを見せたものの、申し上げた通り10月には0.25%、12月に0.5%と利上げを実施して高い水準で終わっているということです。

     一方為替の方もですね、強い下落の圧力にさらされておりまして、年央から一気にレアル安の方向に動きました。12月16日には対ドルで2.74まで下落しました。要因としては、低調な貿易収支、あるいはこれに起因する経常赤字の拡大と、あるいは財政悪化に伴うブラジル格付けの見通しの引き下げ、米国の利上げの観測、原油をはじめとする資源価格の下落といった外部環境を巡る不透明感等々が複雑にかみ合っているかとは思いますけれども。大きくレアル安で振れて、皆さんご存知の通り今日現在にいたってもこの傾向は変わっていないということです。次お願いします。

     ブラジルの財政収支。大統領選挙前の減税、公共事業の実施等により一段と悪化しておりまして、いわゆるプライマリー収支ですけれども、政府目標、GDP対比1.9%の黒字だったわけですけれども、黒字どころか0.6%の赤字に転落しましたと。ルセフ政権の財政運営への信任、これが大きく損なわれてですね、ブラジルの格付けに大きな影を落とすことになっているという状況にあるのかと思います。次お願いします。

     その政府財政を圧迫している要因のひとつが公的金融機関を通じた貸出です。色のついた折れ線グラフ、お分かりの通りですね、景気対策のためBNDESを中心とする公的金融機関のクレジット、ここ数年ずっと増大傾向にあります。市場金利を大きく下回るレートでの貸出、これを政策的に増大させてきていますので、12月には政府債務が対GDP比63%まで来たということです。

     このスライドはですね、ブラジルの格付け推移です。政府財政の一層の悪化見通しや政府債務の上昇等を受けて、格付け機関はソブリン格付け、ブラジルの格付けの見直しに動いています。3月、S&Pがブラジルの長期格付けを投資適格の最低水準、BBBマイナスへと引き下げました。ムーディーズについては、投資適格下から2番目のBaa2というところにとりあえずは維持しておりますものの、9月にはその見通しを安定的から弱含みに引き下げておりまして、ブラジルの財政運営、これまでになくですね、市場の厳しい目にさらされているという状況かなと思います。

     続いて失業率になりますが、民間の需要が伸びていない中で公的セクターが下支えしているとも言われておりまして、まあ低水準で推移しております。12月現在4.8%、これは水準としては歴史的な低水準でありまして、当然ルセフ政権はこれを政権の実績として喧伝しております。ただですね、若干補足しますと、これだけ経済が低迷しているのに失業率が低下し続けているという状況は、まあ裏を返せばですね、失業給付やあるいは様々な年金といった社会保障制度がどれほど厚いかということで、そのためにそもそも労働参加率が低下しているという側面があるのは見逃せないのかなというふうに思っています。次お願いします。

     これはブラジルの外準です。外貨準備高。2012年以降ほぼ同じ水準を維持しておりまして、それまでに見られたような大きな増加傾向はありませんが、引続き3700億ドルという高い水準にあり、これが、レアル安は今後見込まれますけれども、まあ市場ではレアル安に対する大きなバッファーとして見られておりまして、少なくとも現在のところ大きな資金流出等々へとつながるリスクはそれほど高くないというふうに見られている一つの理由であります。

     ここまでのところがですね、2014年をざっと駆け足で振り返ってきたということでございまして、2015年の展望になりますが。大接戦の大統領選挙、申し上げた通り政策の軌道修正を求める圧力が非常に強かったと。じゃあ第二次政権でどうするんだと、その方向性を占う意味で大きく市場の注目を集めたのが新経済スタッフの選任でした。まず顔ぶれをですね、簡単に見ていきたいと思います。

     写真と経歴が簡単にありますので後でお手元の資料でご参考いただきたいんですけれども、左からネルソン・バルボザ企画予算管理大臣。ジョアキン・レヴィ財務大臣、新任です。アレシャンドレ・トンビニ中銀総裁は留任されました。

     特にこの中で注目されたのはジョアキン・レヴィ氏の財務大臣への起用です。レヴィ氏は財政規律の重視派として知られたエコノミストでございまして、2003年から06年まで財務省の国庫局長として政府債務の削減に実際に大きな実績を上げられた方です。またその後もですね、リオデジャネイロ州の財務長官に就任されて、そこでも歳出削減に大ナタを振るい、リオデジャネイロ州の投資適格格付けに大きく貢献されたという貢献をされています。市場では英語でシザーハンズというらしいんですけれども、はさみの手という異名を持っていらっしゃって、そのはさみの手で大ナタを振るって支出を削減するという実績を持っていらっしゃる方です。同様にですね、バルボザ企画予算管理大臣、トンビニ中銀総裁についても市場での信任、それから期待は非常に高いものが寄せられているという状況です。

     新スタッフがどういった経済政策を打ち出してくるかということで、まだ2ヶ月ですけれども、かなり鮮明に方向性は見えてきていますので、いくつか振り返ってみたいと思います。

     レヴィ新財務大臣ですけれども、就任後の記者会見で、プライマリー収支の黒字目標を2015年はGDP対比で1.2%、2016年以降はは2%以上に置くと。それからもう一つは、財政運営、これを透明性を高めるんだと。ということを早速方針として発表されて、この2ヶ月間で、ここにいくつか置いていますけれども、様々な施策を打ち出しています。

     歳入の増加に向けた措置として、各種の新税の導入や税率の引き上げ、あるいは減税措置の終了と。歳出抑制に向けた措置としては公共事業の削減や失業保険給付等の見直しと。政府債務の抑制に向けた措置として政府系金融機関を通じた貸出を抑制する方策、等々の様々な方策を目白押しで新政権から出されています。従ってですね、2015年は第一次ルセフ政権の様々な政策の軌道修正を図る方向に政権は、とりあえず今のところは踏み出していると。その調整の年かということが言えるかと思います。もう一つ、さらに言えば、景気の後退局面での緊縮財政を打っているわけですので、短期的には国民に生活の痛みを強いることになること。それから、政権内にはですね、PT政権が実現した様々な社会的な成果をこれを当然維持したいと、そういういわゆる抵抗勢力も存在するでしょうから、そういうことを勘案するとですね、新経済スタッフによる政策の成否を占うキーとしては、どれだけ政策運営の自由度が確保されるかということなのではないかなというふうに思っております。次お願いします。

     ここからは、金融部会所属の各銀行による2015年の予測をですね、メインシナリオとリスクシナリオに分けてまとめてみました。各行が独自に想定するシナリオに基づく予想を集約したものですので、金融部会の統一見解というわけではございません。各行見通しの最大公約数的な見解というふうにとらえていただければよろしいかと思います。また、集計は1月末現在ですので、2月以降も色々動きがありますけれども、2月以降の動きは材料として織り込まれておりませんのでご容赦ください。

     メインシナリオの予想としては、GDPの成長率はマイナス0.4からプラス0.5と。インフレ率が6.5から7%。為替レートがドル2.65から2.85と。政策目標金利が12.5から12.75というところが最大公約数で出ております。ここにコメントがありますけれども、高水準のインフレ・金利、これが消費マインドを冷やす一方で、公共支出の抑制、IPI減税廃止等により鉱工業生産も伸び悩み、景気の低迷は継続すると。14年に引き続きほぼゼロ成長に終わると見ています。

     インフレについては、新政権による増税や水不足による公共料金の引き上げ等もあり、、ターゲット上限6.5%を超えて高止まり。為替については、レアル安要因として商品価格の下落や米国の利上げの開始と。レアル高要因としては、レヴィ財務相が主導する緊縮財政への高評価や、米国利上げ観測の後退等があげられ、まあ比較的小幅の動きという予想になっていますが、今日現在もうすでに2.85に近づいてきているのは皆さんご存知だと思います。なおですね、財政面の改善が顕著になれば、これが呼び水となり経済への信頼が戻り、投資の回復の兆しが現れるかもしれないというコメントをされた会員もいらっしゃいました。

     続きましてリスクシナリオですが、GDPの成長率についてはマイナス2%から良くてゼロと。インフレは6.2から7.1。為替レートは3を超える水準と。政策目標金利は一層上がって13から13.5%という予想が出ております。なお金利については10%という予想もありますけれども、高インフレによりさらなる金融引締めを予想する向きが多かった一方で、逆に大幅な消費落ち込みによりインフレも低下する局面になれば、まあ金利も下がってくるという予測もありましたので、ここに載せてあります。

     リスクシナリオでは、多くの部会員の方からですね、レヴィ財務相とルセフ大統領の関係悪化により財政改善策の実現性が後退する事態が懸念事象として指摘されています。このシナリオでは、ブラジル国債の格下げのリスクがより高まり、それによってレアルも1ドル3レアルを突き抜けて売られる展開でしょうと。加えてペトロブラス問題の泥沼化、ことによると長期化、政治問題化というのもあるかもしれません。反政府デモ活発化等の社会不安もファクターとして見逃せないと。

     先程も申し上げましたけれども、やはり新経済スタッフにどれだけ政策運営の自由度が任されるかということだとすればですね、ちょっとここは赤字で、これは私の方で付け加えましたが、例えば予兆、シグナルとしては政権支持率の低下とか、失業率の大幅反転上昇といったようなサインがあれば、これはそういった危険シグナルとして注意しなければいけないのではないかなと思う次第でございます。

     ここまでが2014年の回顧と2015年の展望ということで、マクロ経済についての発表でございました。続きまして2014年の銀行業界について、これはあまり面白いパートではありませんので、簡単に説明します。

     貸出残高ですけれども、一番下、合計の欄をご覧いただくとお分かりの通りですね、伸び率はあるものの、過去に比べるとずっと低い伸び率に終わっておりますと。個人、住宅、農業と各セクター別で伸び率が前年よりずっと落ちているわけですが、唯一前年と同じ伸び率を確保しているのがBNDESからの法人向け貸出ということで、これが政府債務増加の一要因になっていることはすでに申し上げた通りです。伸び率に鈍化は見られますけれども、貸出残高は増加を続けておりまして、対GDP比で見ると59%まで来ておりますと。次お願いします。ただ、この59%という数字が各国の基準に照らして突出して高いかというと、まあそれほど高くもないというのが次のスライドになります。

     次のグラフは不良債権比率を示しています。右上が個人向けの貸出の不良債権、左が法人向け、下が外国銀行、ブラジルの銀行、公的銀行ごとに分けています。個人向けについては全体に下がってきていますと。法人向けについても、まあそれほど大きく増加したという感じには見えませんけれども、若干気になるのが、一番下のグラフでPublicと書いてある公的金融機関のところ。最後の方を見るとちょっと延滞率が上がってきているのかなというのは若干気になる程度かなというふうに思っています。

     ただですね、ブラジルについては、全体的な不良債権の比率のその水準、あるいは銀行に課せられた自己資本比率の高さ等を考えると、銀行部門の健全性というのはブラジルの経済の強さとして常々指摘されている通りでありまして、少なくとも金融問題によって、不良債権で銀行がやられて、それが経済が混迷してしまうリスクというのは、例えばヨーロッパのような事態ですけれども、あまりないというふうに一般的には言われております。次お願いします。

     ここからは保険業界についてご説明させていただきます。ブラジルの保険監督庁であるSUSEP統計データによりますと、直近の2014年1月から11月の前年同期比での保険料収入の伸び率、前年は18.4%だったんですが、2014年は7.8%に大きく落ち込んでおりまして、経済成長が鈍化する中で保険のマーケットの成長も鈍化してきているという状況です。次お願いします。

     損害率、やはりSUSEPのデータになりますが、全般的な傾向としては損害率は悪化傾向にありまして、特に企業を対象とした火災新種保険・運送保険については損害率が7%前後悪化していますと。当地の保険業界は保険会社数が多いことも相まって、競争が激しく、保険事業の低い収益性を運用収益によりカバーしているのが実態だそうです。

     続きまして、今後の保険市場の将来性についてご説明させていただきますが、ブラジル経済の不透明さ、自動車新車販売の落ち込み等、個人消費の停滞等により、保険業界を巡る環境の先行きも厳しくなっておりますと。しかしながら大手再保険のSwiss Re社の調査によりますと、2013年のデータですが、ブラジル国民一人当たりの保険料水準は日米の約10分の1程度にすぎないということでありまして、中長期的には貧困層の富裕化等により今後も一定の成長が見込まれる、そういうマーケットであるということです。

     以上、金融部会からの発表でございました。どうもありがとうございました。

    司会

     どうもありがとうございました。それでは質問、もしありましたら、時間ちょっと押していますけれども。

    質問者

     2014年の貸出残高水準、非常に、10%下がっていると。で、次のページで貸出残高対GDP比率が上がっていると。これは。

    回答

     これはマイナス10%ということではなくてですね、前年はその前の年に比べて15%伸びたのが、2014年は10%の伸びだったので、増加率が前年に比べると落ちているという、そういう矢印なんです。その前の年は15%でしたけれど、10%の伸びだったと、そういうことです。

    質問者

     増加率は減っていますけれど、全体には増加しているということですか。分かりました。

    司会

     はい、どうもありがとうございました。では引き続きまして、2番バッターとしてコンサルタント部会の方から関根様にご発表をお願いいたします。

  • コンサルタント部会  関根実 部会長

    Pdfコンサルタント部会

     コンサルタント部会から昨年の回顧、今年の展望を報告させていただきます。コンサルタント部会は色々、コンサルティング、アドバイザリー業務の人たちの集まりなんですけれども、総じて昨年は低調でございました。今年もあまり期待できないんですけれども、まず直接投資のアドバイザリー業務。日本からの新規単独投資案件はほとんどが中断、塩漬けになりました。すでに取りやめたところもございます。

     M&A案件につきましては、これはゆっくりではありますけれども継続しております。まあブラジルの場合、特にANVISAとか医療関係の認可が取得が時間がかかるところについては、単独で進出するよりも既存のブラジル企業をM&Aで買い取ってしまうという動きが継続しております。

     それから監査法人が受けております税務相談、税務アドバイザリー、これは増加傾向にございます。日本からの進出企業もブラジルの不合理な税金を黙って払っているというばかりでなく、まあ訴訟も辞さずに戦うところは戦うという動きがございまので、皆様も税務の問題でお困りでしたら監査法人にご相談ください。

     次にリクルート業務ですけれども、まあ昨年の景気後退からさすがに増員する企業は減りまして、リクルート業務は人の入れ替えという今仕事になってきています。すなわち給与の高い人を切って、より安い人に入れ替えるというところで業務を継続しております。

     それから証券アドバイザリー業務。これは昨年エイケ・バチスタさんのOGXが破たんした、それからペトロブラスの汚職政治問題化ということで、ブラジルの証券市場は信用失墜しまして、その回復を待っているところでございます。

     今年の世界経済の見通し、年初にIMFが発表いたしましたんですけれども、この中でブラジルがどこの位置にあるかということを見てみたいと思います。

     IMF、世銀の見通しは毎年年初に出ますけれども、大概外れます。かなり希望的な数字が出てきていまして、これをむしろ下回るのが実態と見ておいた方がいいかと思います。全世界では3.5%の成長。まあアメリカの一人勝ちという感じで、3.6%。ユーロ圏が1.2%。日本はわずかに0.6%の予想です。

     エマージング・カントリーについては、合計で4.3%。まあ引き続き中国が、7%を割っておりますけれども、6.8%でトップです。続いてインドが急速に、昨年モディ政権に代わってから経済成長に力を入れておりまして、6.3%を見込んでいます。BRICSの中では南アが2.1%、ブラジルが0.3%。これも最近の当地の市場のエコノミストの見方はマイナス

    マイナス0.5%程度が主力になってきていまして、おそらく今年も昨年に続いて若干のマイナス成長が見込まれます。ロシアはウクライナ問題を抱えていますけれども、マイナス1.4%と。かつてBRICS、もはや死語になりましたけれども、まあ中国がダントツでそれにブラジルが追随していたんですけれども、ブラジルの第2番手の位置をインドに譲ったという現状でございます。

     改めて昔習った経済学で、GDPの計算、経済成長のフォーミュラですけれども、消費+投資+(輸出-輸入)、これでGDPの計算を各国やっているわけですけれども、消費につきましては雇用問題が出てきております。年初から、フォルクスワーゲン大量解雇に対する労働者のストライキというような雇用問題が発生している。加えてインフレ高進、金利が高騰ということで、どう見ても今年は消費は伸びそうもない。

     投資につきましても、ブラジルは元々資本がございませんので、外国からの投資に依存しております。アメリカが年央にも金利を上げるであろうと、引き締めに走りまして、まあ全世界的な景気停滞からブラジルにそうイージー・マネーは回って来ないと。一方公共投資ですけれども、レヴィ新財務大臣が緊縮財政を採り始めましたので、公共投資も望めないということで、投資も期待できない。

     最後に貿易部門なんですけれども、輸出はご存知の通り、ブラジルの輸出品目は鉄鉱石、大豆、コーヒー等、まあ一次産品、コモディティで、全世界的に原油安につられて単価が下がっているわけですね。単価が下がって数量が減るということで貿易収支も大幅な改善は見込めない。

     まあこれらを見ますと、どう見ても経済成長する要素が今年は望めないわけですね。従いまして、数年、去年マイナス、今年もマイナス、おそらく来年もマイナスあるいはゼロと。3年間ぐらいは調整、景気停滞と見ておいた方がよろしいかと思います。

     経済成長に必要な条件として、資本、労働力、生産性向上が挙げられますけれども、資本は専ら海外依存。労働力はまだブラジルありますけれども、労働生産性の問題は引き続きブラジルは抱えております。昨年の4月に英国の経済雑誌のエコノミストが、ブラジルの労働生産性は過去50年間全然上がっていないと。アジアの国の中国、韓国等生産性が急速に向上したところに対して、ブラジルの生産性は全く上がっていないと、大変厳しい分析が行われております。

     それから技術革新。これもブラジル独自の技術というのはあまりないので、経済成長力、よほど、まあインドのモディ政権のように本腰を入れてやらないと、このまま底這いの経済成長が続くという感じがします。

     低成長が続くとはいえ、我々何もしないわけにはいかないので、今後何をやったらいいかという一つのヒントをご報告したいと思うんですけれども、コンサルタント部会の

    中のメンバーのヤコンの山下さんが、今日皆さんにお配りしているように、ブラジルが色んな品目でトップ10に入っているリストをお配りしています。その中でいくつか代表的なものをご紹介したいと思います。

     まず鉱産物ですけれども、鉄鉱石の生産、ブラジルは中国、オーストラリアに続いて3番目。輸出はオーストラリアに次いで2番です。農牧産品につきましては、穀物生産、これは中国、アメリカ、インドに次いで4番目。砂糖きび・砂糖はナンバー1です。大豆、アメリカに次いで2番。コーヒー豆の生産・輸出、ご存知の通り世界一です。コーヒーの国内消費も伸びてきておりまして、アメリカに次いで2番。カカオビーン、これはアフリカの諸国が上に来まして、6番目におります。オレンジ生産はもちろん1位。綿花は5番目です。

     とうもろこし、アメリカ、中国に次いで3番目。生産ですね。輸出はアメリカ、アルゼンチンに次いで3番目。葉煙草の生産は中国に次いで2位です。牛肉の生産、アメリカに次いで2位。牛肉の輸出はオーストラリアに次いで2位です。

     牛原皮、世界一になりました。かつてはアメリカのシカゴが牛原皮の市場の中心だったんですけれども、今やサンパウロ市場が世界の中心になっております。牛乳は4番目。アメリカ、インド、ロシアに次いでおります。鶏肉はアメリカに次いで2番。豚肉は4番。アメリカ、ドイツ、スペインに次いでおります。

     次に工業製品ですけれども、まず食品関係。砂糖は生産・輸出ともナンバー1。オレンジジュースの生産・輸出、これもナンバー1。酪農製品でバター、10位です。これはヨーロッパ勢が強いです。マーガリンはロシアに次いで2番。チーズは6番です。

     ビールが年々伸びていまして、今やナンバー3。アメリカ、中国に次いでおります。蒸留酒の生産。ブラジルの場合ピンガですけれども、日本の焼酎に続いて2番目です。ノンアルコールのソフトドリンク、これも日本に次いで2番。ミネラルウォーターが4番です。エタノール生産はアメリカに次いで2番。

     素材関係ですと、粗鋼の生産は世界で9位。パルプはアメリカ、カナダ、日本に次いで4位です。セメント生産は5位。中国、インド、アメリカ、イランに次いでおります。

     輸送機・機械関係。ご存知の通り自動車は販売ではナンバー4、生産ではナンバー7ですね。防弾車の加工、これはもちろん世界一です。二輪車はアジアの方が上に来まして、中国、インド、インドネシア、タイに次いで5位です。航空機製造、エンブラエルですけれども、今やボーイング、エアバス、ボンバルディアに次いで世界で4番目の航空機製造会社になりました。

     ヘリコプターの民間の運航。これ毎日サンパウロ飛んでいますけれども、世界一だそうです。2番目がニューヨーク、3位が東京、リオが4位、ベロ(BH)がロンドンに次いで

    次いで6位ということで、ヘリコプタータクシーと言いますか、忙しく飛んでいるのはブラジルは断トツです。

     家電関係。冷蔵庫の生産、中国、インドに次いで3位。洗濯機、中国に次いで2位と。まあ人口の多い国が当然生産量が増えるわけですけれども。ルームエアコン、これもブラジルは伸びてきておりまして、中国、日本、アメリカに次いで4位です。

     衣料品、世界で5番目。化粧品は日本を最近抜きまして、アメリカに次いで2番目の市場です。

     医療関係。糖尿病の患者が世界で4番目に多いと。これも人口に比例しまして中国、インド、アメリカに次いでおります。美容整形、アメリカに次いで2番です。

     IT関係。携帯電話契約数、世界で6番です。インターネットのユーザーの数、これは中国、アメリカ、日本、インドに次いで5番目。Facebookユーザーの数、これは世界でアメリカに次いで2番。まあ昨年のバス代、地下鉄の料金の値上げの時に一般市民のデモがありましたけれども、Facebookで自然発生的に人が集まったと言われております。ゲームの販売、これはラテンアメリカの中ではもちろん1番です。

     金融関係ですけれども、中央銀行が世界中の市場で最もドルを売っているのがブラジル中銀だそうです。まあ現在のレアルも放っておけば1ドル3レアルになると言われていますけれども、中銀が介入して何とかレアルを強含みで保っていると。国債の利回り。先週の18日の10年物の利回りですけれども、ブラジルが12.6%。中国3.4、インド7.7、南アが7.5、経済制裁を受けているロシアが12.1、トルコ7.7、ギリシャが、今問題になっていますけれども、10.2と。言わば、戦争状態のロシアとか、経済破綻しているギリシャよりも高い金利を払っているということで、まあ先程のドル売りとか、国債の利回りからして、ブラジルのマーケットで一番今儲かる商売というのはおそらく金融だと思います。銀行関係の方は今年はほぼ左うちわで行けるんじゃないかと思っております。

     淡水資源、その他の部分ですけれども、世界中で一番ブラジルは水が多いと、まあアマゾン川のおかげなんですけれども、それなのに水不足と。サンパウロ、リオデジャネイロ水不足です。ブラジルの場合、水の再利用、汚水の再利用というのがまだできておりませんで、日本はアジアとか中東で経験があります。ドイツもこの分野は熱心で、先月こちらにミッションが、ベルリンの水道会社の方が来られていましたけれども、水の再利用のセミナーも開催を予定されております。日本の企業もブラジルの水道、水再利用、ここら辺にビジネスチャンスがあるのではないかと思います。

     最後に、雷の発生数。これもブラジル世界一だそうです。かつ大型で強烈な雷ということで、雷とビジネス、どうやって結びつけるかと。知恵の働かせどころかと思いますけども。

    以上、列記いたしましたのは、ブラジルの経済の底力、実力というものは非常に大きいということで、まあ現在問題になっておりますギリシャのように資源も市場も小さいというところと違って、長期的にこういう資源に恵まれたところでビジネスチャンスはまだまだあるのではないかと。ただし、ブラジルの先程列記したような品目はかなりもう開発されて、相当大きな資本を持って来ないと新規参入難しいと思います。従いまして、逆手にですね、ブラジルにまだないもの、例えば日本の最近盛んになってきております病人看護用のロボットとかですね、ブラジルにまだ出ていないようなもの、そういうニッチな市場にも目を向けて、大きい方を取るかニッチの方を取るかということになるかと思いますけれども、まあ今後2、3年続くと予想されます景気後退、何とか生き延びていけますように、私どもコンサルタント部会としましても会員の皆様の色々ご相談に乗らせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

     以上でございます。ありがとうございました。

    司会

     どうもありがとうございました。それでは引き続きご質問があればお願いいたします。ないようでしたら、3番目、貿易部会の方よろしくお願いいたします。

  • 貿易部会  寺本将人 副部会長

    Pdf貿易部会

     皆さんこんにちは。本日は貿易部会長の岡が不在のためですね、副部会長としまして私寺本が発表させていただきます。ブラジル住友商事で経営企画を担当しております。今日はどうぞよろしくお願いします。

     では早速ですけれども、この2014年通期のブラジルの貿易動向についてご説明したいと思います。色々数字が多くてですね、ちょっとお聞きづらいプレゼンかもしれませんけれども、個別に商品ごと見て行くと色々意外な事実もございますので、お付き合いいただければと思います。

     まずこのグラフは半期ごとの貿易額の推移を表示しております。左の紺の棒グラフが輸出額、右の水色の棒グラフが輸入額で、黄色の折れ線グラフが貿易収支を表しております。この横の赤線は貿易収支の黒字ラインとなっています。

     ブラジルはですね、これまでご存知のように鉄鉱石や穀物などの一次産品の輸出の好調が続きましたので、2001年以来貿易収支は常に黒字をキープしてきた訳なんですけれども、2013年になりましてから急激に悪化しております。ただ2013年はですね、上期は赤字だったんですけれども、下期で若干持ち直しがありましたために、通期ではかろうじて23億ドルの黒字になっております。

     しかし一方でですね、2014年になりますと上期ではマイナス25億ドル、下期ではマイナス14億ドルの赤字となってしまいまして、通期でマイナス39億ドルの赤字となってしまいました。通期で貿易収支が赤字になりましたのは2000年以来14年ぶりとなっています。

     ただですね、為替の変動や価格の変動がございますので、貿易額の増減が必ずしも貿易量の増減ではない場合がございますので、ご留意いただきたいと思います。ご参考までにですね、2013年と2014年の期中の平均レートを表の中に記載しております。ちなみに2013年は平均で見ますと1ドルが2.17レアル。2014年は1ドル2.35レアルと約9%のレアル安になっております。ではこれから2013年と対比しながら詳細を見て行きたいと思います。

     ちょっとこれは数字の多いシートになっておりますけれども、まずは輸出動向につきまして商品別にご説明いたしたいと思います。

     それぞれ2014年の金額の増減率と数量の方の増減率をそれぞれ黒枠に書いておりますので、黒い枠内をご覧ください。一次産品は金額ベースで前年比で3.1%減。半製品になりますと4.8%減、工業製品は13.7%減という結果になっております。増減幅が大きい商品について簡単にご説明いたします。

     この赤枠で囲っております一番上の、鉄鉱石なんですけれども、鉄鉱石につきましては市場価格の下落が大きく影響しております。実はこの輸出の数量の方を見ていただきますと、輸出量自体は2013年の3.3億トンから、14年になりますと3.44億トンへですね、4.5%ほど数量自体は増加しております。ただ価格がですね、2013年の平均のトン当たり99米ドルから、2014年になりますとトン当たり75ドルに下落してしまいましたので、金額ベースでは前年比で20.5%と大きな下落になっておるものです。

     2番目のですね、この赤で囲っている原油なんですけれども、一部配布させていただいた資料に記載ミスがございますので、このスクリーンかもしくは差し替え版をご覧いただきたいんですけれども、原油もですね、市場価格は大きく下落しておりますけれども、ブラジルからの輸出はですね、金額ベースでは26.2%の増加となっております。内訳を見ますと、実は中国向けと米国向けではですね、原油の輸出というのは減少いたしましたけれども、インド向けでプラスの7.5億ドル、チリ向けでは10億ドル、ウルグアイ向けで9.4億ドルなどの増加がございまして、合計で34億ドル増加しております。実は原油の輸出量だけ見ますと36.3%の増加となっております。

     上から三つ目の粗糖なんですけれども、金額ベースで18.7%、数量ベースでは10.5%減少しております。原因といたしましては、近年ですね、世界的に粗糖の供給過剰状態が続いておりまして、市場価格自体が継続して下落している中で、ブラジルに関しましては干ばつの影響により砂糖キビの生産量が減少したこと。およびブラジルの国内でエタノールの需要の高まりが予想されたために、エタノールの生産に回されてしまう割合が増えたということで砂糖の生産量が減少したということが挙げられます。

     このページはですね、先程の輸出の中からブラジル関連の輸出の約半分を占めます一次産品を取りだしてその内訳をグラフにしております。先程ご説明いたしました通り、一次産品全体では2013年から2014年にかけまして金額ベースではマイナス34億6700万ドルで、率にして3.1%減少しておりますけれども、中身を見ますと鉄鉱石の輸出額は減少し、原油の輸出額は増加していることが確認いただけます。

     続きまして、ブラジルからの輸出相手先を見ていきたいと思います。輸出相手先の上位10ヶ国は表の通りですけれども、輸出相手国の第1位は中国で、2009年以降その地位を継続しております。

     中国向けの輸出品目はブラジルで最大産品となります大豆と鉄鉱石が7割強を占めております。ただしですね、2014年は中国向けの大豆、鉄鉱石、原油、粗糖、それぞれの輸出額がですね、いずれも減少しておりますため、前年比では11.8%減と大幅な減少となっております。

     2位のアメリカなんですけれども、航空機、鉄鋼半製品、コーヒー豆の輸出が増加したことによりまして、前年比で9.6%のプラスになっております。3位のアルゼンチン向けなんですけれども、乗用車・自動車関連部品が減少しまして、27.2%のマイナスとなっております。

     日本はですね、この表の上から5番目なんですけれども、日本については後ほどご説明いたします。

     それでこの右側のパイグラフなんですけれども、これは輸出先の地域別の構成比を表しております。輸出先の地域にあまり偏りがなく、バランスがとれていることがお分かりいただけるかと思います。

     続いてブラジルへの輸入を見て行きたいと思います。これもですね、金額と数量を分けておりますので、この黒い枠をご覧いただきたいと思います。輸入に関しましては、一次産品は金額ベースで前年比5.5%のマイナス。半製品は4.5%のマイナス。工業製品は4.3%のマイナスとなっております。ところがですね、この右側の数量の方の黒い枠をご覧いただきますと、それぞれですね、3.2%、12.1%、2.9%といずれも増加をしております。つまり価格の下落や、冒頭に申し上げましたレアル安などの影響によりまして、輸入量が増えてもドルベースでは減少するという結果になっているものです。

     では金額ベースで10%以上の変動があった商品を見て行きたいと思います。赤で囲みました一番上の塩化カリウムなんですが、塩化カリウムはご存知のように原料、肥料の原料として用いられるものです。ブラジルでの農業生産が拡大していることを背景にですね、数量ベースでは11.3%増加しております。しかし市場価格が著しく下落したために、金額ベースでは前年比12.9%減と大きく落ち込んでおります。

     工業製品では、この赤枠で囲っております乗用車、自動車・トラクター部品がそれぞれ15.5%、13.9%下落しております。これは取扱量そのものが同程度減少したことによるものです。

     続きましてブラジルへの輸入の相手国を見て行きたいと思います。国別に見ますと、輸入も中国がトップになっております。2011年までは米国が1位でしたけれども、2012年以降は中国がトップをキープしております。

     中国からの輸入額は前年比でほぼ同程度となっております。輸入品目は通信部品、半導体、機械部品等が多くを占めております。

     3位のアルゼンチンですけれども、これも乗用車、自動車関連部品の輸入が減少して全体で14%の減となっております。

     6位の韓国からの輸入ですけれども、これはですね、電子部品は増加する一方で、やはり乗用車、自動車関連部品が減少しております。

     日本はこの輸入の表で見ますと上から9番目に位置しております。日本につきましては後ほどご説明させていただきます。

     また右側のパイグラフになりますけれども、これは地域別の構成比ですけれども、輸出と同様に輸入につきましてもブラジルは地域にあまり偏りがなく、バランスがとれていることがお分かりいただけるかと思います。

     続きまして日本との貿易状況についてご説明いたしたいと思います。先程申しました通り、ブラジルにとりまして日本は輸出で5位、輸入では第9位の地位を占めております。この順番は前年比で変動はございません。

     左側の表がブラジルから日本への輸出です。全体で見ますと、この一番下の合計のところなんですけれども、全体では15.6%のマイナスで、67億ドルでした。内訳を見ますと、赤枠で括りました鉄鉱石、とうもろこしの輸出額の減少が非常に目立っております。鉄鉱石につきましては、先程ご説明いたしました市場価格の下落によりまして、日本への輸出額につきましても大きく減少しているものです。

     とうもろこしのこの74%近い大幅な減なんですけれども、この原因につきましては、日本は従来主に米国からとうもろこしは輸入しております。ところが2013年は米国を襲いました干ばつの影響によりまして、米国産のとうもろこしの価格が非常に高騰いたしましたために、日本はブラジルからの輸入に切り替えております。それが2014年にはですね、米国の生産状況が平常に戻りましたため、再度輸入先を米国に戻したということによりまして、こういう大幅な減になっております。

     右側の表が日本からの輸入になります。全体で見ますと、この表の一番右下にありますけれども、前年比では16.7%減、金額にいたしますと59億ドルとなっております。

     主な商品別に見てみますと、これも赤枠で括っています、自動車・トラクター部品、自動車エンジン部品などの落ち込みが大きくなっております。これはですね、やっぱりブラジル国内の自動車業界の不振を反映したものというふうになっております。

     続きましてブラジルへの対内直接投資についてご説明したいと思います。この左側のグラフなんですけれども、2011年の695億ドルをピークにいたしまして、2012年には605億ドル、2013年には493億ドルということで、外国からの直接投資は減少傾向が続いておりましたけれども、2014年は560億ドルということになりまして、水色の矢印にありますけれども、若干持ち直す傾向になっております。前年比で13.6%の増加となっております。

     右のこちらのグラフなんですけれども、対内直接投資を国別に見て行きたいと思います。オランダ、米国、ルクセンブルグ、スペインなどが上位を占めております。この表には中国が入っておりませんけれども、オランダ、ルクセンブルグ、スイス等を経由した間接投資を行なっているものと推測されております。

     間接投資につきましては、正確な資料がないのですけれども、2014年の中国からの投資額は2013年と同程度の40億ドル程度と言われておりますので、このリストにあてはめますとスペインと日本の間の第5位ぐらいなのではないかと推測されております。

     このスライドはブラジルへの直接投資の業種別の表となっております。先程申しました通り、全体では前年比で13・6%の増加となっております。この一番右下に書いてある数字です。2014年ですけれども、一番上の赤枠で囲っております農業・畜産・鉱業分野への投資額が43.7%と大きく減少しております。これは主にその下にあります石油・天然ガスの採掘への投資が大きく落ち込んだものになっております。

     その中でも金属・鉱物採掘業への投資額は大きく伸びておりますが、これはアングロ・アメリカンのですね、鉄鉱石プロジェクトへの投資額が前年比で3億ドル程度増えていることが一因と思われます。

     その下を見てみますと、工業は11.2%増加しております。その中でも特に基礎冶金業が59.9%伸びております。これはアルゼンチンの製鉄会社テルニウムが2.5億ドルでウジミナスの株式を10%取得したことが一因と考えられております。

     下の方を見まして、サービス業は39.5%と増加しております。この中でも金融・同補助サービスが61.4%増えておりますが、これはスペインのサンタンデール銀行がブラジルの同銀行の株式を13.65%追加取得したことが大きな原因となっております。また一番下の赤で囲っております電気・ガスの65.3%の増加は三井物産さんがジラウ水力発電所の20%の権益を取得されたことが一因になっている模様です。

     以上、貿易動向を申し上げてきましたけれども、2014年の貿易動向を総括してみたいと思います。

     上半期の終了時、この表の下の方に書いております通り、半年前のこの発表では2014年は貿易収支は通期で6億ドルの黒字になるのではないかと貿易部会では予想しておりました。しかし最終的には、輸出は前年比で171億ドル減少し、輸入が前年比で106億ドル減少して、貿易収支は39億ドルの赤字となっております。輸出入額ともにですね、前年比で減少しておりますけれども、輸出額の減少の方が大きかったのはやはり鉄鉱石をはじめとする資源価格の下落が主要因であったのだろうというふうに捉えられております。

     これが最後のシートになります。最後に2015年の見通しです。これは冒頭にお見せいたしました半期ごとの貿易額の推移表ですけれども、表の一番右側に今年1月の単月の実績を追記しております。1月単月の貿易収支は31億ドルの赤字となっておりまして、すでに結構な額になっております。主な要因は一次産品、工業製品の輸出減によるものです。ブラジル中央銀行の予想によりますと、2015年はですね、通期で45億ドルの黒字になるとされておりますけれども、コモディティショックがしばらくは続きましょうし、ブラジルの最大輸出先である中国の経済成長鈍化もですね、しばらくは続くと思われますので、本当に45億ドルの黒字が達成できるのかは慎重に見て行く必要があろうかと考えております。

     一方で、先程のご説明にもありましたけれども、現在レヴィ財務大臣を中心とした経済チームがですね、取り組んでいます財政健全化への試みがですね、まあ一時的には景気にはマイナスになるでしょうけれども、いわゆる痛みを伴う改革ということを通しまして、中長期的にはこの国の競争力強化につながるといったポジティブな面も、中長期的な観点からは同時に見て行く必要があると考えております。

     また開発商工省では輸出金融とか、税の還付制度の簡素化、中長期的になると思いますがFTAへの取り組み、そういったことを通しまして輸出促進に取り組む方向性と聞いておりますので、こうした動きにも期待していきたいと思っております。

     以上で貿易部会からの発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。

    司会

     ありがとうございました。何か質問のある方はよろしくお願いします。じゃあ一つ私の方から、57ページで中国の間接投資が出てこないというのは何か中国は戦略的に直接投資が出ないようにしているのか。

    回答者

     これは前任の丸紅さんにも相談させていただいたんですけれど、なぜ数字が出てこないのか今一つ良く分からないという実態がございまして、ここのですね、先程の表にありました、それぞれ個別の国ごとに書いてあるんですけれども、まあ多分中国はできる限りその、税メリットとか投資に有利な国経由という方針をとっているんだろうなという推測でしか今のところはございません。ただどうして中国がはっきりと統計に出てこないのか、分かりましたら、また機会を設けましてですね、皆さんと共有させていただきたいと思います。

    司会

     ありがとうございました。他に、じゃあないようでしたら次に移ります。ありがとうございました。じゃあ引き続き4番目の自動車部会の方から、近藤様にご発表お願いします。

  • 自動車部会  近藤剛史 部会長

    Pdf自動車部会

     こんにちは。高い所ですけれども、自動車部会の方からご報告をさせていただきます。14年の振り返りと15年の展望、再生目指すブラジル経済!どう頑張る日系ビジネスということで、本題に入る前に、こちらにございますようにサンパウロのモーターショー、昨年ございましたので、こちらの振り返りから入りたいと思います。

     モーターショーは2年に1回、ブラジルとアルゼンチン交互で南米では行なわれております。昨年14年はですね、皆様ご存知の通りサンパウロで開催されました。10月に開催されました。会場はアニェンビ―で開催されましたけれども、過去最高入場者数となりまして75万6000人という大きい、大変期待が寄せられているということを認識させられるショーであったかと思います。

     市場としても世界第4位となったということですけれども、特に今回の来客の中で目立ったのは女性の参加でございます。75万人中24万人が女性であったということで、購買層に対する女性の割合が増えてきたということが要因の一つかなと思っています。

     それからですね、中国ブランド等の出展も増えまして、メーカー数、展示車ともに過去最高を記録しました。規模としてはニューヨークですとか、東京、北京等、グローバルレベルになってきたかなという感じがしております。

     展示の車両のトレンドとして目立ったのが、こちらにございますように、例えばホンダさんのHR-VをはじめとするコンパクトSUVですね。少しずつ市場が成熟していこうと、成熟と言いますか、車に対する動向が、見る目が高くなっていく中で少しセダン、ハッチバックからSUVの方にシフトする可能性を皆さん模索していると。

     それからAudiA3などの高級車エントリーモデルですね、下の三つがそれに当たりますけれども、少しずつ高級車のエントリーモデルから高級車へのシフトも期待されるというところで、皆さんモーターショーにそういった車を持ってきているという感じがします。次お願いします。

     もう一つの動向としましては、各社からハイブリッドカー、電気自動車、燃料電池車などのまあエコカーが多数出展されました。日本企業はハイブリッドカー、水素燃料の電池車、こういったものを中心に技術の先進性を感じさせるというような評価もジャーナリストの中ではいただきました。

     以上、モーターショーを簡単に振り返らせていただきました。それでは本題でございます、14年の振り返りと15年の展望についてお話させていただきたいと思います。

     まず四輪業界の動向でございますけれども、14年の振り返り。まず販売台数でございます。皆様ご存知の通り、14年はですね、約350万台ということで前年比93%と2年連続で前年を下回る結果になりました。赤い折れ線ですね、輸入車の比率もですね、11年をピークに3年連続で減少傾向になっております。

     続きまして14年の月販の台数動向でございます。一番画面の右側、14年の12月はですね、IPI減税の引上げ、これが15年の1月から行われましたけれども、それの駆け込みで増えました。ところが全般的にですね、月販30万台を下回るレベルで非常に低迷が続きました。特に、ご存知の通りワールドカップの前後につきましては市場が冷え込んだというのはご存知の通りです。次お願いします。

     これも前回の自動車部会でも発表させていただきましたけれども、一般的に市場動向が悪くなると自動車会社各社はですね、フリート、レンタカーやタクシーですね、こういったフリートの方に車を売る傾向がございます。ご覧いただいた通り、一番左側の12年、13年の年間の数字と比較しまして、オレンジ色でハッチングしてあるところ、14年の月度動向はこれを大きく上回る形で、25~30%を、全体的に上回る形でフリート販売を増やしています。中でもですね、トップ争いを続けましたFIAT、Wagenにつきましては、かなり価格を下げてフリート販売で台数を維持すると。まあそれでも生産調整を行うレベルでございましたけれども、各社ともに台数を維持するために販売価格を下げて体力競争に入っているかと、こういった状況がうかがえるかと思います。

    続きまして、生産台数の方でございます。こちらもですね、下がっておりますけれども、こちらは販売台数を上回り対前年15%のダウン。上の黄色い矢印のところですね。15%のダウンとなっております。特に輸出の台数、その下の折れ線グラフで書いてありますけれども、輸出の台数が前年比6割ということで、ご存知の通り大きく落ち込んでおります。これにともないまして、昨年内だけで自動車業界全体で1万4000人ぐらいのレイオフがあったと。先程関根さんの方からもございましたけれども、今年に入ってさらにレイオフが続いているという状況でございます。その主な原因といたしまして次のページで。

     左側、カテゴリ別の輸出台数を見てみますと、乗用車が56%を占めておりますけれども、その主な輸出先でございます。右側、国別に見ますと、ブラジル製車両の82%を占めておりますアルゼンチン、こちらが大きく落としたというのが原因でございます。ちなみにその下にメーカー別の輸出台数を示しております。各社ともにですね、上からずーっと見てみますと、各社ともに対前年4割~5割というところで輸出を大きく落としているというのが分かるかと思います。たまたまトヨタが前年比伸ばしておりますのは、新しい車を導入して貿易バランスを取りながら、まあたまたまうまくいっただけでございます。

     続きまして中古車販売の方でございます。こちらで見ていただきたいのはですね、中古車販売というのは新車の3倍ぐらいございます。この傾向につきましては14年も同じくのびております。こういったところを見ますとですね、新車の動向につきましてはやはりまだ買い控えが、経済動向を見て買い控えがございますけれども、車に対するニーズはブラジルはまだまだ伸び盛りかなということが見て取れるかと思います。

     続きましてここから15年の展望でございます。先程から、金融部会の方から詳しく出していただいたので簡単にご説明しますけれども、経済指数の予測については大変厳しい状況であると思います。ここではブラジルの中央銀行が出している経済予想を出しておりますけれども、15年の実質経済予測は0.38%。16年の予測が1.8%となっておりますけれども、こちらも先程から皆様ご解説いただいている通り、政府のどういう施策が功を奏していくかというところにかかっているかと思います。

     なお電気代等の公共料金が値上がりしたり、先日は新しくガソリン税が復活するなど、それからインフレがまだ継続していきますと。こんな中で政策的にも引き締めの傾向にありますので、消費マインドが冷え込んで、まあ失業率、先程過去最低水準を保っているという話もありましたけれども、失業率の上昇やクレジットの引き締めによる消費の低下が見られるというふうに15年は予測しております。

     もう一つ、続きまして車の生産台数、販売の動向でございます。一番左側が14年の実績でございますけれども、14年の実績は昨年年央にいたしました自動車部会の予測がほぼぴったり当たってしまいましてですね、350万台という結果に終わりました。ちなみに輸出台数が33.5万台、生産台数は314.6万台でした。真ん中の15年の予想でございますけれども、ANFAVEAが出している公式のものと、それから自動車部会でお話をさせていただきました我々の予想と二つ出しております。

     ANFAVEAはですね、自動車工業会が下がるとは言いにくいので昨年と同じにしてありますけれども、我々自動車部会としてはまあいいい所330万台ぐらいの市場ではないかと見ております。それから輸出台数もですね、昨年4月からでしたかね、落ち込んだアルゼンチン向けの輸出が今後も先行き不透明ということで、ほぼ同じ台数。ということで結果的に生産台数につきましては販売台数と同様に昨年から落ち込んで、我々ば300万台と。ANFAVEAの自動車工業会の方は327万台という予測をしております。次お願いします。

     それからですね、景気刺激策として13年から導入されておりましたIPI、工業品税の減税につきましては、昨年の末でいったん終了して15年の1月から平常に戻っております。ご覧頂いた通り、一番下のブルーの線ですね。これが1.0リッター以下の車のIPIでございますけれども、全体のマーケットシェアとしましては4割を占めます。下の円グラフにございます通り、4割を占めるこの1.0リッター以下が、まあ税金の戻りとしましては非常に大きくて4%戻っていると。このことが多分15年も継続して大変厳しい市場になっていくのではないかという予測の元になっております。

     それと今後の緊縮財政を考えますと、また短期的なインセンティブを政府が打つということは考えにくいということをもって、厳しい状況が続くのではないかというふうに思われます。次お願いします。

     これは先程のIPI減税の戻し、これは12年から13年にかけても一度ございました。これを月別に見てみますと、上のグラフでは一旦急激に落ち込んだ後徐々に回復しておりますけれども、14年、15年、今回のIPIの戻しにつきましては回復力も弱いというふうに予測しまして、先程の台数の予測になっております。

     少しだけ中期展望を入れますと、まあ前回も言いましたBRADESCOが読んでいる数字が我々の自動車部会としては一番感覚に近いのかなと思いますけれども、16年の後半あるいは17年からまあ徐々に回復して、12年、過去最大であった380万台レベルへ戻してくれればいいなと。先程から言っています、中古車全体を見ました場合の、自動車に対する要望はまだ市場として強いと思いますので、経済動向次第でございますけれども、まだまだ伸びて行くということが中長期的には期待されます。

     続きまして、新政権の方向と業界への影響でございます。こちらも先程加藤さんの方から大変詳しくご説明いただきましたので、簡単に言いますけれども、自動車部会にとって一番影響力が大きいと思われるのが財務大臣と開発商工大臣でございます。いずれも、ジョアン・レヴィさんとアルマンド・モンテイロさんということで、新任の方が就かれました。今年はですね、レヴィさんの方は財政調整の年ということで、税金を増やしてインフレも一方で何とか目標に抑えたいと。それから為替の安定につきましては市場介入を限定的に行うと、まあ頻度を少し抑えるというような発言もございましたので、産業の発展、先進技術の導入、こういうことにつきましては強く方向性を打ち出しておりますけれども、実際の市場への影響ということではかなりネガティブに効くのではないかという予測をしております。

     続きまして、これは方向性でございますけれども、先程申しましたように今回打ち出している政策の中で自動車産業の競争力強化に影響すると思われる環境について、まず改善の方向で期待がされるものが税制体系の簡素化でございます。これはPIS/COFINSそれからICMSの簡素化あるいは一体化、こういったことで税金の体系が簡素化されるのではないかと。あともう一つ、輸出促進のためのインセンティブですね。昨年から一部特別払い戻し、Reintegraというのが始まりましたけれども、引き続き移転価格税制、これが大体いってこいぐらいだと思いますけれども、これを帳消しにする直接払い戻し税というのが導入されました。これが継続ないし拡大されるということを我々は期待をしております。

     もう一つが新自動車政策、Inovar-Autoにつきまして、さらなる現地化の要望が政府から出されております。幸いですね、為替動向としましては現地生産あるいは輸出という方向性にプラスになる為替だと考えますので、この自動車政策に基づく各社の動きというのは、今後自ら環境を改善する一つの方策になるかと思います。

     それから、続きまして財政の黒字化政策に伴う負担増でございますが、これは輸入車への増税、こちらパーセントも書いてありますけれども、5月から実施が予定されておりますと。それから先程も言いました燃料への増税、ガソリンの支持ですね、これが5月から再開されると。それからIPIの税率の引上げ、もう一つが電力会社への補助金打ち切りによる電気代の高騰。こういったことが産業構造的にも大変厳しい状況を生んでいくというふうに考えます。次お願いします。

     以上を受けてブラジルの競争力強化の課題ということなんですけれども、こちらまとめますとですね、昨年官民と連携して競争力強化への取り組みということで5項目を賢人会から日伯両首脳にご提出いただきました。ほとんどその内容に沿うものでございますけれども、1番、税制改革、2インフラの整備、港湾・道路等のインフラの整備ですね。それから三つ目が人材育成、エンジニアや熟練労働者など教育の訓練。

    それから4、裾野産業の育成、戦略的な育成策。5番、輸出を促進する政策、競争力強化と通商政策と。こういったことで、全く目新しいものはございませんけれども、こういったことが課題であるというふうに認識しています。この課題についてちょっと、一つずつ確認して参りたいと思います。

     まず一つ目が税制改革でございますけれども、こちらは利益に占める納税額の割合、それから支払いの回数や手続きにかかる時間などを中南米の各国と少し比較してみました。一つ目の総合的税率につきましては、ブラジルは69%ということで非常に高いと。それから、その右側ですね、支払い回数も年間9回ということで、3番目の年間の手続きに所用する時間ということでいきますと他の国に比べて10倍以上の時間コストがかかるということで、まあ皆様お感じのことだと思いますけれども、税手続きが非常に煩雑で困難だということです。納税のしやすさランキングということでは世界189の中で177位にランキングされているというふうに聞いています。

     続きまして、二つ目のインフラの整備でございますけれども、こちらも前回もご紹介させていただきました。一つ目が舗装道路の比率でございます。13%ということで、お隣のアルゼンチンの半分以下ということで、まあ感覚的に合わないところもあるかもしれませんけれども、これが実態でございます。それから2番目、道路・港湾等への投資。こちらも税金が高い割には中々公共投資としてこのインフラの整備にお金が回って来ないというのが現状でございます。ということを受けて三つ目。例えば海上輸送に係るコンテナ1台ごとの輸出コストですね、こちらもブラジルは非常に高うございます。まあこれは輸送会社さんの責任ではないと思いますけれども、こういうコストがかかっているということが自動車のコスト全体に響いてくるというふうに考えます。

     続きまして、三つ目でございます。こちらは前回と同じでございます。人材育成に関するデータですが、大学の進学率が左側、それから進学者に占めるエンジニアの比率、こちらは共にですね、日本あるいは中国、メキシコと比べても決してエンジニアが多くないというのが現状でございます。こういったことはですね、SENAIとか全国で提携した産業人材育成プログラムなどで対応しておりますけれども、全体数としてまだまだ不十分ではないかというふうに考えます。

     続きまして四つ目の裾野産業の育成でございます。これは各部会の皆様、ブラジルへ進出する中小企業の方々の誘致でも大変色々難しいという話を聞きますけれども、これはブラジルでのビジネスのしやすさということを他の国と比べたビジネス活動の安易度ランキングというのがございますのでそれを使ってみました。これも世界189の国の事例の中で第120位と。特にここでは事業の設立、建築の許認可、それから不動産登記、納税、貿易と、こういったものを参考にここには並べさせていただきましたけれども、

    総合的に120位ということで、大変順位が低いというのが分かります。まあ日本もかつて非常に参入しにくいと言われておりましたけれども、現在は29位。ちなみに1番はシンガポールだそうです。

     もう一つ、裾野産業の育成ということでは、自動車部品の場合でございますけれども、現調化の現状でございます。現地調達が進んでいる部品というのはプラスチックやプレス品、内装部品、いわゆる荷姿が大きくて材料から直接できるバルキー部品と呼ばれているものですね。それからその下が、現調化率が進みづらいというのがやはり高度技術を要する分野でございます。エンジン、トランスミッションに加え電子制御部品ですね。ECUなどのこういった高技術を要する製品が中々現地生産化ができないという状況になっております。まあ今後さらにInovar-Autoの生産工程の要件というものがございますので、徐々に現地生産が促進されていくと思いますけれども、やはりエンジニアの不足とコストが高いということで中々各社とも厳しい状況であるかと思います。

     五つ目、最後ですけれども、輸出を促進する政策ということですけれども、これも前回と同じ内容でございますが、低い国際競争力ということで、何とか高いコストを克服していく必要がある。労務費のコストは依然インフレプラスアルファで上がっていきますし、それから材料費、公共料金とも上がっております。それからインフラの遅れ、高い港湾・道路等の料金、それから人材育成の遅れ。こういったことが低い国際競争力ということで言えるかと思います。

     あともう一つが、やはり企業負担の多いビジネス制度、税制体系、それから実際の税負担、それからそういった低い競争力を補う一時的な方策の欠如、まあ不十分であるというところが課題かというふうに考えます。

     以上、課題を受けましてですね、副題にございます「どう頑張る日系ビジネス」ということなんですけれども、自動車部会の中でもお話しさせていただきましたが、我々日系メーカーとしては以上の四つの取組みが我々の取り組むべきことだろうということで話し合いをしました。1番がやはり高品質、高い顧客の満足度といった日本メーカーの強みの維持向上。二つ目が環境対応と企業イメージの向上。三つ目、競争力向上のためのコスト低減活動。四つ目が為替対応を踏まえた部品の現調化と輸出の促進と。こういったことを取り組んでいく必要があるというふうに思います。各社それぞれ取り組んでいる状況も踏まえてですね、一個一個説明させていただきます。

     一つ目が高い品質、顧客満足度といった日系メーカーの強みでございますけれども、これはですね、ブラジルで少し前から始まりましたJ.D.Powerの状況でございます。左側、車両所有者満足度調査で12年から始まりました調査では、トヨタ、ホンダ、日産、三菱、こういったところがですね、ずっと上位を占めているという状況でございます。

    特にですね、その右側、満足度に影響する項目といたしまして、車両の品質、信頼性、それから所有のコスト、それから車デザイン・内装等の魅力、販売店等のサービス。こういったところを見てみますとですね、まあ実は所有者の多くで車のデザインが気に入っていると、ここが満足度に大きく影響するというのは所詮2割でございまして、やはり車両自体の信頼性、それからコスト、販売店あるいはサービス、こういったことが車を使っていらっしゃるお客様の強い要望があるところだというふうに感じております。次お願いします。

     もう一つ、環境への対応ということですけれども、皆さんご存知の通り電力会社への補助が打ち切られてですね、電力エネルギーのコストが非常に上がるということが懸念されております。(1)はそもそも電力のエネルギー事情ですけれども、ブラジルの場合は70%以上が水力に頼っております。(2)で示す通り、水力発電の貯水量が全国平均で17%ということで、まあこの1、2年非常に下落しております。

     3番目、発電設備に対するコスト比較ですけれども、ちょっと数字が違っていましてですね、これメガキロワット当たりの金額でございますけれども、一番安いのが水力。これが不十分だということで、近年石油にとって代わって供給する必要が出てきているということでコスト高の原因になっております。ご存知の通り政府としては、風力、バイオマス、太陽光への補助も始めておりますけれども、まだパーセントとしては非常に小さいというのが現状でございます。

     (4)にございます通り電力コストにつきましては今年の年初から特に市場のフリー価格が倍以上になっているというところも見受けられます。各社とも対応に苦慮されているかと思いますけれども、これはコスト高の一因になると思います。次お願いします。

     環境への対応ということでもう一つ、これは先日発表されましたホンダさんの事例でございます。ホンダさんは非常に先見の明に富んでおりますので、Rio Grande do Sulで浮力発電の発電事業を始めております。そもそもですね、やっぱりCo2の削減ということで環境イメージを大事にして始めたというようにお聞きしておりますけれども、実際にはスマレ工場を全体的にカバーできる電力量を補い、さらに昨今のエネルギーコストの状況もあってですね、40%~45%のエネルギーコスト削減を実現しているというふうにお聞きしています。

     続きまして三つ目。コスト競争力向上のためのコスト低減活動ということで、これはトヨタの一事例でございますけれども、高騰する労務費の負担に対しまして、実は弊社、ソロカバ工場で今後生産能力を増強するに当たって期間従業員の採用を検討しております。三段目に書いてございます通り、14年の4月からサンベルナルドにございます工場で期間従業員の採用を開始し、まあこれは法律でですね、最大2年間の契約で上限が正社員の2割まで活用できるということで、こういった法律の下一番ネックとなりますユニオンとの交渉ですね、ここをうまく乗り越えて何とか実現にこぎつけました。

     続きましてもう一つですね、為替対応を踏まえた部品の現調化と輸出の促進、次のページでございます。こちらもですね、ホンダさんはすでにエンジンの現地生産を行なっております。他の自動車メーカーもほぼ大手は現地生産を開始しておりますけれども、弊社、トヨタも16年から現地生産を開始しますと。こういったことで、まあこれはたまたまエンジンの状況でございますけれども、トランスミッションや電子部品といった現地調達率の向上ということが競争力の維持、それから輸出への可能性ということを広げてくれるというふうに考えております。次お願いします。

     次も一つの事例でございますけれども、ブラジルコストが高いということでございますけれども、昨今の為替もございます。あるいは税の還付措置もございますので、やろうと思えばちょこちょこ始められるのかなということが実感でございます。トヨタもエティオスという小型車のですね、ウルグアイ、パラグアイへの輸出等昨年の11月から始めております。まだまだ為替変動を吸収できるだけのボリュームにはとてもなっておりませんけれども、今後やはり部品を現調化して製品の輸出を考えていくということが為替リスクをうまく乗り越えるためにどうしても必要なことかなというふうに思います。

     以上で内容は終わりますけれども、全体の総括といたしまして、まず課題に対する取り組みとしましては、これも先程の繰り返しになりますが、賢人会で日伯両首脳に提出しました5ヶ条の項目ですね、これをやっぱり今後とも、商工会の機能強化委員会でしっかり話をした上で大使館や領事館の皆様等ご協力をいただきながら政府に対して働きかけて行くということが必要かなと思います。また日系メーカーの競争力強化の取り組みとしましては、以上に述べた4項目、これをあきらめずにですね、一個一個取り組んでいくということが我々にとってできる最大のことかなというふうに考えます。

     以上、四輪の業界の動向を述べましたけれども、二輪業界につきましても、対応につきましては同じかと思いますが、市場の動向について簡単にレヴューをさせていただきます。

     まず生産・販売の推移でございますが、上期に引き続いてですね、経済環境等悪化して、二輪の方も14年の国内卸販売は143万台ということで前年比10%減りまして、3年連続前年割れとなりました。生産は152万台、前年比91%ということで非常に苦しんでいるという状況だそうです。

     それからこれを月販に見てみますと、四輪と同様にですね、年初は前年を上回っていたんですけれども、ワールドカップによるまあ稼働減、それから市場の冷えもございまして、通年では市場登録143万台ということで前年比94%ということで前年を下回りました。次お願いします。

     販売の支払い形態別に見ますと、特に一番下ですね、グリーンのところ。2011年以降支払いの不履行が急上昇しまして、ファイナンスの審査が年々厳しくなっております。この厳しさについては2014年も同様でございまして、全販売におけるローンの比率が減少してきたということで、今後コンソルシオについても加入権の販売の落ち込み、バイクの引き取り率が低下しているということもあって、全体の販売台数の減少につながっているということです。

     続きまして、これは二輪の中古車と新車の状況でございます。二輪の方もですね、中古車市場につきましてはまだ年々伸びております。二輪に対する市場の必要も変わらずあるということが言えるかと思います。

     簡単に走りましたけれども、以上で自動車部会の発表を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

    司会

     どうもありがとうございました。ちょっと時間が押してきましたので、質問はちょっと個別ということでよろしくお願いします。引き続きまして、5番目の電気電子部会の方について千野様の方からよろしくお願いいたします。

  • 電気電子部会  千野浩毅 副部会長

    Pdf電気電子部会

     はい、私は非常に早く終わると思います。始めまして。ソニーの千野と申します。本来であれば電子電気部会、部会長の村上さんの方からお話を差し上げる予定だったんですけれども、急きょご出張ということで私がピンチヒッターで今日お話をさせていただきます。ちなみに私は去年の10月にこちらに赴任してきましたので、今後ともよろしくお願いします。

     まず2014年の回顧ということなんですけれども、下の方に家電、情報通信、電子部品ということでそれぞれにコメントしてあるんですけれども、良いものもあれば悪いものもあるということで、かなりまだら模様ということで。AV機器といいますと、台数は大きく前年割れをし、しかもマーケットにたまった過剰在庫でもって値崩れが起きて、まあこれが収益性を非常に圧迫するというふうな非常に悪いサイクルに入っていった。

    反対に白物家電、これエアコンですとか電子レンジみたいなものというのは非常に好調なセールスが続いたと。これは全体のボリュームもそうですし、高いものが非常によく売れるということで、これは良いサイクルで商売ができたと。

     情報・通信関係ですね。携帯電話、これは全体で言うと総台数は横ばいだったんですけれども、スマートフォン、これが倍増するというふうな中で単価のアップがあったということで、全体として金額としてはアップしたと。PC、Tablet。これは世界的な傾向だと思うんですけれども、PCが減ってTabletが増えるというふうなトレンドでございまして、ただ全体としては、足した台数ではダウンと。電子部品として、他業種不振の影響で2%のダウンと、そういうふうな結果になっております。

     上に書いてありますのは、これ電気電子部会の中でアンケートをして、24社にアンケートを送ったんですけれども、16社から回答がありまして、改善、維持、悪化ということで、ちょっと私もびっくりしたんですけれども、思ったよりも業績が改善しているという会社さんが多かったということです。改善63%、悪化37%というふうな結果になっております。まあかなりまだら模様の中でも結構伸びているところをしっかりつかんで業績につなげたというふうな会社が結構多かったのかなということです。ちなみに弊社はですね、悪化の方でしたということで、ちょっと残念な結果でした。次お願いします。

     これがテレビの結果になります。14年のテレビですけれども、全体で見ますと前年比で98%ということで若干の減少というふうに見えるんですけれども、実はこれ中身をよく見ていくと、このTV-Plasmaと書いてあるところですね、これはプラズマTVというかなり、今あまり、世界中で売っているのは多分ブラジルぐらいじゃないかと思うんですけれども、他の国はもうほとんど液晶に取って代わられた中で、特に韓国勢がプラズマTVというのをワールドカップ商戦に向けて最後に世界中に残っている在庫を全部ここに集めてきて、バタいたというようなところが大きくて、ここが全体の台数を何とか押し上げているということがあるんですけれども、実際にこういうことをやったおかげで平均単価も下がったし、それから市場価格が非常に乱れて、過剰在庫に苦しむというふうな結果で、まあテレビ全体としては業界としてはあまり良い年ではなかったというふうに総括できるかと思います。

     それ以外のカテゴリなんですけれども、これは先程最初のコメントにも書きましたけれども、まあデジタルカメラですとかオーディオ、それからカーオーディオといったいわゆるAV製品といわれるもの、これについては軒並み不調であったということがある一方で、白物と言われている電子レンジ、エアコン、それからここにはないんですけれども冷蔵庫なんかもですね、結構、高い値段の高付加価値のものが非常によく売れたというふうに聞いておりますので、ここで結構明暗がはっきり分かれたというふうに中身を見ております。次お願いします。

     携帯電話です。これはですね、トラディショナル、まあ日本流に言うとガラケーというやつですね、ガラケーとスマホというので中身をこうやって分けてみますと、スマホの割合が非常に伸びたと。全体のパイは広がっていない訳ですけれども、こういった高いものが売れることで全体の平均単価として上がって、金額では27%アップというふうな結果になっております。

     PC、タブレット。これがですね、デスクトップ、ノートブックともにですね、まあ従来型のトラディショナルなパソコンと呼ばれるカテゴリ、これがかなり急激に落ちて、一方でタブレットは伸びたんですけれども、全体として見るとやはり数としてはダウンしているというふうな傾向になっています。

     2015年の展望ですけれども、これも14社さんの方から回答をいただきまして、改善72%10社さん、それから維持、それから悪化が1社。実は1社悪化と入れたのが私どもの会社なんですけれども。全般的に見ると、先程14年、厳しい環境の中でもそれなりに業績をきちっと伸ばせている会社というのが3分の2に上るという中でですね、2015年に関しても、ここに書いてあるんですけれども、景気の改善は期待できないだろうし、レアル安だろうし、金利は高い、インフレもひどいと。ペトロブラス問題というのは、これは1社さんの方から、決まりかけていた商談が何かとばっちりを食ってなくなっちゃった、そんなような話がここでコメントとして載っているんですけれども。あと水不足、電力不足ですとか、あるいは電気代の値上げの話なんかもあると思うんですけれども、まあそういったこともあって、全体としてはネガティブ要素が多いと。中長期にはですね、まだこの国というのはプロミッシングなところが非常にあるんだと思いながらもですね、短期的には厳しいだろうねと。

     一方でポジティブな要素として、リオのオリンピックで何か良いことないかなと。これも具体的にこれというのがあるわけでもないようなんですけれども、ただやっぱり、どちらかというと大事なのは、一番下に書いてある新規市場ですとか顧客開拓というところをしっかりやれば、まあそれなりに色んなところでチャンスが生まれるだろうということで、それは14年非常に業績をうまく維持できた会社さんが結構多かったという中でも実証されているところかなというふうに思います。

     15年、各社の経営課題とその対応ということですけれども、まあ景気は良くないという中でやっぱりきちっと守りを固めていくと。特に為替の状況も悪化していく中でやはり採算をきちっと維持して行かなきゃいけないですよねと。その中で経費の削減、コストダウン,それから設備投資の抑制、この辺非常にイロハに近いところですけれどもしっかりやらなきゃいかんだろうと。それから事業インフラ、これをきちっとやっていく。まあ、ひたすら耐えるんだと。

     で、成長へのキーワードということですね。「日本ブランド」を活かしたビジネスモデルの創出、新たな価値の創造と育成ということを書いたんですけれども、先程別の部会の方からも、日本の製品の高品位ですとか高付加価値、こういったものはやはりきちっと受け入れられているわけですので、まあそういったものを強みとして活かして、市場全体で言うと、全体の調子は悪いもののですね、やはりまだまだ未開拓のマーケットというのは一杯、セグメントとしてありますし。それから、先程の冷蔵庫じゃないんですけれども、高いものが売れるようなマーケット。やはりこれ、需要というのはどんどん高度化していくというのは我々も経験しているわけですので、そういったところに強みを発揮できるところはいくらでもあるだろうということで、まああまり悲観ばっかりしてないでこういうところをきっちりやっていけばチャンスはもらえるだろうというのがここで書かれていることです。企業買収とか、これもですね、社内にないものは外と色んなアライアンスをしてでもチャンスにつなげられるんじゃないかと、そういうふうなことだと思います。で、輸出の拡大ということで、こういったところを含めてやっていくんだということだと思います。

     最後、ブラジル政府への要望というのが、これは多分前回から何も変わっていないんじゃないかと思うんですけれども、まあ繰り返し出て来ることですけれども、複雑すぎる税制の改革ですとか、インフラの改善、投資の促進。それから、特に家電製品で顕著なんですけれども、税金を払わない輸入。これはアンオフィシャルな、グレーな輸入ですね。さっき、世界10以内のブラジルという中で、iPhone6の値段が世界で一番高いと書いてあったんですけれども、ここで正規輸入なり実際に物を作って売ろうとするとやはり世界で一番高くなってしまうという状況がある一方で、それに対してアンオフィシャルに、ilegalな形での輸入が行われるというふうなことがありまして、それが実際に全体のマーケットを乱してしまうと。そういったこともありますので、まあそういった所に対する取締り。それから安全規格の承認プロセス。これは、特に国内でせっかく作って売るに関しても、中々スピーディーなプロセスがないですとか、そういったことも含めて、これは今に始まったことではないと思うんですけれども、こういった要望が部会の中で出ましたということでございます。

     駆け足でしたけれども、以上でございます。

    司会

     どうもありがとうございました。ご質問のある方は。ないようでしたら、前半の部分を終わりまして、今からコーヒーブレイクということで、約15分ということで、3時20分からまた再開したいと思います。じゃあ3時20分ということでよろしくお願いします。

    (コーヒーブレイク)

  • 後半司会 寺本将人 企画戦略委員会副委員長

     時間が来ていますけれども、ちょっとラマーリョ次官殿がちょっと遅れているようですけれど、今来られました。ちょっと時間が押すかもしれないので、午後からの発表の方には先ほどお願いしましたけれども、できるだけ時間を見ていただいて短め、短めにしていただけると助かります。そうしましたら、時間も若干過ぎておりますので、後半の部を開始したいと思います。皆様、ご着席をお願いいたします。

     私、後半の司会を務めさせていただきます、企画戦略委員会副委員長の寺本と申します。住友商事で働いております。後半よろしくお願いいたします。

     まず本日は後半の冒頭に、本日の特別ゲストであるイヴァン・ラマーリョ開発商工省事務次官にご講演をいただくことになっています。事務次官のご略歴につきましては、先ほど村田会頭の方からご説明いただいておりますけれども、あらためまして事務局長の平田さんからご紹介いただければと思いますので、よろしくお願いします。

  • 基調講演者紹介 平田藤義 事務局長

     皆様こんにちは。冒頭に村田会頭の方から本日の基調講演のゲストについては十分経歴等々についてお話がありましたけれど、私の方からは約2分ぐらいですね、イヴァン副大臣のご功績について若干披露させていただきたいと思います。

     この方のお陰でですね、日本とブラジル間で貿易投資促進合同委員会が開設され、2009年2月から、最初は半年に1回、後に1年ごとにブラジリアと東京で会合をやっていこうということで、一番のご功績を私が称えたいと思いますのは、皆様が今、移転価格税制ということで、まだ現在も非常に国際標準でなく課題をたくさん残していますけれど、以前は、3、4年前はたいへんな問題でありました。我が会員の中からは、もうこれ以上このブラジルで操業できない、撤退を余儀なくされているという事態が発生しておりました。このお方のお陰で、我々は今現在の法律に至るまで連邦州税局に2回ほど足を運ばせていただき、色々、税法が発効する前に膝を交えて会合もやっていきました。

     その結果が今の、現在の移転価格税制に至っております。まだまだ、事前承認制度とか、一般的、国際的に認められている国際標準にはなっていないんですが、またですね、このたびイヴァンが再復帰をされまして、これから我々と共に政策対話のスキームを、中心人物となって、共同議長となって進めて行くわけであります。

     さらに、もうあと一つ、このイヴァンのご功績と言いますと、何と言ってもビジネスマンに対する商用マルチビザの発行でございます。この方がジルマ・ルセフ第一次政権以前までに事務次官として、副大臣として、東京の方にも2010年の11月26日に行かれました時に、ブラジルの外務省の担当官を同行されて、実はマルチ商用ビザに関しては日本政府に問題ありということがありまして、我々は2011年から一生懸命になって日本政府に対してもお願いしまして、当時の三輪大使にお願いし、当時の松本外務大臣にもお願いし、色んな方々にお願いした結果、2012年の1月1日をもってマルチ商用ビザが発行されたと。

     以上の2点以外にも、この方の時代に日伯社会保障協定も成立されることになりました。これも2012年の3月1日をもってなんですが、その間に至るまでのイヴァンのご功績というのは大変なものでした。今度また、この貿易収支の大赤字をですね、ブラジルの救世主として再度カムバックして、我々と政策対話を重ねながらずっとやって参るということになっておりまして、ぜひ皆さんと共に一生懸命やっていきたいと思っております。どうか一つよろしくお願いします。Ivan,muito obrigado.皆さん拍手をお願いします。Obrigado.ではイヴァンさん、よろしくお願いします。

  • 基調講演 イヴァン・ラマーリョ 開発商工省副大臣

    Pdf国家輸出計画-イヴァン・ラマーリョ副大臣プレゼン(日本語)

    Pdf国家輸出計画-イヴァン・ラマーリョ副大臣プレゼン(ポルトガル語)

    Pdf2014年度対ブラジル貿易国トップ10

     平田さんがそうおっしゃるのは、平田さんをはじめブラジル日本商工会議所とは長年のお付き合いをさせていただいているからです。

    まず、開発商工省に戻り、ブラジル日本商工会議所開催のシンポジウムに再び参加する機会をいただいて大変嬉しく思います。平田さんが先ほどおっしゃった通り、長年にわたってブラジルと日本の間で行われる貿易・投資の取引に参加させていただいており、とても光栄に思い、嬉しいことです。また、長年にわたり、ブラジルへの多くの日本企業による投資を見てきています。我々ブラジル人は、日本人の投資家に信頼されていることをとても光栄に思っていることをこの場を借りて皆様に申し上げます。

    長年ブラジルで行われている投資の多くの案件をフォローしています。その中でも、私はマナウス・フリーゾーン監督庁(SUFRAMA)の審議会メンバーであるため、マナウス地域における投資の案件もいくつかフォローしています。マナウスでも、多くの日本企業による投資をいただいています。そのため、今回のシンポジウムに再び参加させていただき、ご招待下さり御礼を申し上げます。今後ともブラジルで日本人投資家の皆様のご信頼とご参加の程よろしくお願い致します。

    我々ブラジル政府にとっては、ブラジルが日本企業の主な投資先であることは大きな光栄であります。また、日本は現在、投資分野以外に、ブラジルの最大貿易パートナーの一つであります。ブラジルの輸出量は日本にとって意義深く、ブラジルも日本から数多くの製品を輸入しています。2014年度は、ブラジルによる日本への輸出額が67億ドルでした。そして、ブラジルの輸入額が60億ドルでした。つまり、約130億ドルの取引が両国間で行われたということです。ブラジルにとっては、とても意義深い数字です。

    また、今年の冒頭に、ブラジルの新開発商工省大臣のアルマンド・モンテイロへの任命後、新たな輸出政策に取り組み始めました。ブラジルは昨年、貿易収支が赤字になり、輸出量が減少したため、今は新たな輸出政策の策定に取り組んでいます。この政策により、輸出復興と海外貿易の全体回復ができることを期待しています。

    本政策は、民間企業と協力関係をもって策定されています。常に多くの業界団体(Associações de classe)と会議をするようにしています。その中に、疑いなく多くの日本企業が参加しています。既にサンパウロ州工業連盟(FIESP)やブラジル全国工業連盟(CNI)、自動車製造会社を代表するブラジル自動車工業会(ANFAVEA)、そしてブラジルで活躍している多くの日本の電気電子工業を代表しているブラジル電気電子工業会と会合しています。常に簡単に我々政府の取り組みのスケジュールを共有し、企業や協会の代表者たちに要望や提言を求めるようにしています。

    続きまして、本政策の主な方針を簡単に皆様にお伝えしたいと思います。主に民間企業と協力し合いながら取り組んでいるものです。政策の主な目的は次の通りです。

    ・ブラジルの輸出業の多様化

    ・ブラジル製品の輸出先の多様化

    ・ブラジルの輸出製品生産地の多様化

    ブラジルは、現在、まだまだ一か所に集中した海外貿易を行っています。それは、製品の生産に限らず、輸出先に対しても同じです。例を挙げましょう。工業製品の場合、ブラジルに一番近い貿易対象との関わりが多いです。それがメルコスルです。世界の他地域にもブラジルの工業製品を輸出していくことを望んでいます。また、海外貿易にはブラジルの他州や他の地域により活発な参加をしてほしいと思います。

    皆様もブラジルについてよくご存じの通り、ブラジルは大陸規模の国であり、海外貿易がまだここ、特に南東部に集中しています。南部の海外貿易数値が少し向上しましたが、この多様化プロセスを拡大し、特に北部と北東部まで拡大することを望んでいます。また、まだ貿易関係の深まりが浅い国や海外の地域との貿易関係を強化していきたいです。そのためには、本政策のスケジュールには多数の国への訪問を予定しており、とても大胆なスケジュールを立てています。その訪問先のうちの一つが日本です。なぜなら、日本に対しても、ブラジルはまだ大幅にブラジルの海外貿易を多様化し、拡大できるという見込みがあります。

    我々にとても重要であるもう一つの点は、付加価値です。我々は、より高い付加価値の商品を輸出することを望んでいます。皆様もご存じの通り、ブラジルはまだ一次産品の輸出の方が多いです。特に鉄鉱石や大豆、原油の輸出が多いのですが、我々のポテンシャルはより高いと分かっています。

    特に、その点に関してはブラジルで活躍されている日本企業は、有意義な形でご協力いただけると思います。それは、ブラジルの輸出品目リストに、より高い付加価値を持ち、特により高い技術を用いた、より多くの工業製品を追加する形でご協力を期待しています。そのためには、開発・商工省に限らない貿易におけるマーケットインテリジェンス(inteligência comercial)や貿易振興といった取り組みを行っています。この取り組みは、海外貿易と関わっている政府のすべての部門と民間企業を巻き込んで行われています。

    従って、本日ご参加の皆様やブラジル日本商工会議所の皆様、そして他の協会にご参加されている皆様にお願いがあります。本政策の現段階は皆様から提案や提言を収集しています。ブラジルの海外貿易の拡大、多様化、そして簡素化が見込まれています。プロセスの簡素化も経営者の皆様が懸念されていると認識しています。特に手続きプロセスや物流における困難等がその中から挙げられるかと思います。

    ということで、皆様のご提案は本政策をより良きものに変えていくためのものであり、歓迎します。ただ、できるだけ早くご提案下さりますようにお願いします。本政策は開発商工大臣により既に公開されており、3月中に導入される見通しです。したがって、来月末ということになります。

    しかし、民間企業の参加を本政策の作成段階で終わってほしくありません。民間企業の経営者には、4年間の期間で実施する本政策の実行、モニタリングにも参加いただきたいのです。本政策の実施期間は2015年から2018年です。そして、疑いなくその期間中には改善がいくつか発生すると思いますので、その際は民間企業からも提言いただける提案により改善していけることを期待しています。次のスライドをお願いします。

    本政策の主な柱となるのは、この通りです。貿易振興、市場へのアクセス、我々の大きな懸念事項である貿易障壁。ブラジルは、特に農業製品や食料品においてはまだ厳しい貿易障壁という課題が残っている国の一つです。輸出の資金の貸付けと保証に対して特別に重視しています。ブラジルの輸出の資金貸付システムを改善したいと思います。

    貿易の簡素化もとても重要なテーマです。海外貿易の簡素化と手続き過程を効率化するために具体的な立案があります。そして輸出関連税制の課題もあります。税制は我々にとっても重要な点だと考えられます。これに関して、特に輸出品に課せられる税金額を下げるために取り組み続ける必要があると認識しています。そして、以前も話した通り、我々が大事に考えているのは、ブラジル輸出における民間企業との関係の透明性と輸出への参加です。

    皆様にプレゼンする内容はこれで以上です。本輸出政策についてまとめて言いますと、これは現在政府内で作成されており、大統領により来月3月中に導入される見通しです。そして繰り返してお願いしますが、ぜひ皆様からこの件に関してご提案をいただけたら幸いです。

    以前話した通り、日本とブラジル二カ国間の貿易から発生している金額は約130億に至っています。そして、数多くの企業が関わっています。従って、このプロセスの改善に繋がるご提案、特に手続きやオペレーションの簡素化におけるご提案があれば、たいへん歓迎致します。正式にブラジル日本商工会議所から立案を立てて頂き、現在本政策に取り組んでいるスタッフに伝えていただけたらと思います。

    最後に再び皆様から本シンポジウムに招待いただいたことに御礼を申し上げます。再び商工会議所開催の会合に参加できて嬉しく思います。では、皆様のご提案をお待ちしております。リマインドですが、我々は在ブラジリア開発商工省にいますので、ご遠慮なく直接でもブラジル日本商工会議所を通じてでもお問い合わせください。日本人の経営者や投資家の皆様を心から歓迎します。以上です。ご清聴ありがとうございました。

    司会

     ラマーリョ副大臣、ありがとうございました。では副大臣にご質問のある方は別途、後日ですね、直接お問い合わせいただければと思います。お時間の都合もありますので、次の発表に行きたいと思います。APEXからですね、ミシェレさん来ておられます。ミラノ万博につきましてご説明いただけるということですので、ミシェレさんよろしくお願いします。

  • 基調講演 ミシェレ・カンデローロ 国家輸出振興庁(APEX)

    Pdfミラノ国際万博2015(日本語)

    皆様こんにちは。ミシェレ・カンデローロと申します。ミラノ万博のエグゼクティブマネージャー(gerente executivo)のヴィニシウス・エストレーラ氏の代わりに今回参加させていただいています。ヴィニシウスさんは国家輸出振興庁(APEX)の新任会長の就任式に参加しており、残念ながら今回はこちらに出席できませんでした。就任式はちょうど今、ブラジリアで行われています。

    ブラジル日本商工会議所により出席者の皆様に我々のミラノ万博参加企画を紹介させていただく機会を下さり誠に御礼申し上げます。ミラノ万博は、世界最大規模のイベントの一つと言われ、2015年にブラジルが参加するイベントの中でも最重要なイベントの一つでもあります。次お願いします。

    名古屋でも国際博覧会が開催されたことがあるため、多くの皆様は万博がどういうものかご存知かと思います。国際博覧会が初めて開催された国はイギリスでした。1851年のことであり、当時の万博というのは、企業がそれぞれ生産している製品や技術、世界で最新のものを紹介するための場でした。現在は、人類にとって重要度の高い議題について討議するためのフォーラムに変化してきています。

    議題の例として、2015年度は次のスライドでもご覧になられている通り、「地球に食料を、生命にエネルギーを」です。2015年度のミラノ万博には2000万人の訪問客が予想されており、そのうち400万人は184日間の万博開催中に再度訪れることが予想されています。今年度の万博には145カ国が参加し、その一つがブラジルであり、国際機関が30団体、シビル・ソサエティから10団体、大手民間企業が5企業参加します。

    今回は初めて万博のデジタル版がリリースされます。万博の主催者は、万博のような大規模イベントはミラノまで足を運び184日間中に訪れる来訪客に限定するものではないと認識し、来訪客には討議に触れ合い、イベント開催中参加国が紹介している議題に深入りし、そして国際的な討議に参加してもらう大切さを理解しました。従って、万博の第1デジタル版に沿って、ブラジルもデジタル化して参加します。

     ブラジルは「ソリューションを通じて世界に食料を」というテーマで参加します。そして今回はイヴァン・ラマーリョさんもご参画下さっており、感謝しております。今回イヴァンさんは、APEXとともに14省が参加している省庁間実行委員会(comissão interministerial)の委員長を務めて下さっています。

    このテーマの作成、ブラジルが紹介するコンテンツの作成に関しては、イヴァンさんが委員会会長として管理されており、それとともにAPEXが主催しているミラノ万博ブラジル参加プロジェクトの準備を率いています。FIFAがW杯を主催しているように、万博も同じくそのイベントを主催している機関があります。その機関は Bureau International des Exposicions(博覧会国際事務局) であり、ブラジルをはじめ他の参加国はどういうテーマを取り入れて万博で展示すべきかを規定しています。

    ブラジルや他の参加国が紹介する内容は、次の3つの方針に基づきます。「対話(意見交換)を促進すること」、1200万~1400万人のイタリア人、600万~800万人の外国人訪問客(そのうちブラジル人50万人)が予想される万博で「外国人・現地住民の訪問客に教育的な経験をもたらすこと」、そして「エンタテインメントを提供すること」が求められます。訪問客には各参加国の文化、食文化に触れ合っていただき、教育的情報以外にエンタテインメントを味わっていただくことが大事です。

    APEXは、イメージ認識(pesquisa de imagem)における調査を、イタリアを中心に行い、結果として、イタリア人はブラジルを認識しており、アグロビジネスに関して潜在性を持つ国だと認識しているが、日常生活でブラジル産の製品がどういうものか分からないということが明らかになりました。ブラジル国産品と申し上げましたが、現在、ブラジルを輸出最大国の一つまで成長させた、ブラジルに進出しブラジルで生産している企業の製品も含みます。

    話を戻しますと、イタリア人はアグロビジネスの観点では潜在力が高い国と認識しているが、日常生活でブラジル国産品を見ていない(意識していない)ということです。我々にとってこれは大きな挑戦であり、国産品をアピールし、持続性があること、ブラジル生産でイノベーションと技術が高いということ、さらに食料品およびその管理の安全性があること、製品の健康性、十分に世界を供給するための量、品質がある製品を提供できるといった供給力があることをアピールする必要があります。その上、味が豊富な製品が様々あります。それも全て多くの研究、技術、民間企業の取り組みと関わり、一貫した公共政策および大学院(academia)による大きな投資があってこそのものです。次お願いします。

     省庁間実行委員会主催のイベントが6つあります。「対話(意見交換)を促進する」という方針に応じて、6カ月間中6回イベントを開催し、一つ目は「ブラジルにおける食料品生産の展望」であり、2番目が「気候変動と食生活」、「飢饉撲滅」、万博が最もブラジルに討議を期待している議題の一つです。続きまして、「水、エネルギーと食料品」、「食料品の生産プロセスおよび商業化」、そして「持続性がある生産システム」、以上の議題について討議します。ブラジルのパビリオンは、他の多くの国でも行われたように、国家公共建築コンクールによって決められました。優勝会社は「アトリエMarko Brajovic」と提携した「Studio Arthur Casas」であり、ブラジルのパビリオンの展示デザインを担当しています。続きをお願いいたします。

     ブラジルは恵まれた場所にパビリオンが設置されます。赤い矢印で印付けされており、訪問客の65%が通るメインゲートの近くに位置しています。訪問客はそのゲートから入ります。ブラジルのパビリオンは今回の万博の最大パビリオンの一つです。4133平方メートルの面積を用います。次お願いします。

     これがパビリオンの表面です。訪問客がブラジルパビリオンに入ると、この表が見れます。博覧会国際事務局は、面積の最低半分はárea verde、つまり建物の外部側に向けるようにと指示しました。ブラジルはその外部側を利用して国産植物・果実30種(cultivares nacionais)を紹介します。スターフルーツ、コーヒー、ピーヌス(ブラジル松の一種)、ブラキアリア、その他の植物を184日間中展示します。

    そのスペースに入った訪問客は、網の上を歩くこともできます。網は、ブラジルパビリオンの博物館学的なコンセプトです。アグロビジネスは網(ネット)のコンセプトに基づいて成りたちます。大学院研究や民間企業の投資、一貫した公共政策、つまりアグロビジネスの連鎖に参加するすべてのプレイヤーの活躍があるお蔭でアグロビジネスは成り立ち、その活躍が網としてパビリオンで催されています。つまり、そのプレイヤーのネットワークを物理的に網で表しているのです。

    網は幅13メートル、長さ110メートルのものです。訪問客はその網に上がったり、網の上で休んだりできます。そうすることで、訪問客に私たちのパビリオンに入り込んでもらうのです。網というコンセプトを通じて我々と交流するわけです。物理的にパビリオンの音響と照明を作用するのです。次お願いします。

     ここで皆様もご覧の通り、これが網です。この網は、「インタラクティブ・テーブル(mesas interativas)」と呼んでいるスペースでへこみがいくつかあり、そこで訪問客が遊べるゲームが用意され、ゲームすることで、アグロエネルギーや家庭的農業、大規模農業等についてある程度学んでいただくことができます。

    出席者200人の容量の講堂を用意します。その講堂では、元へ戻せる観客席を設置でき、美術展示会や演奏会等を開催することができますが、このようなイベントも開催できます。また、豊かなデザインでデコレーションされたレストランも準備しています。レストラン家具はブラジル産のもので、客席80人分を用いています。次のスライドお願いします。

     また、バーを用意します。ここには客席50人分が用意されます。コーヒー店もあります。このすべての施設では、ブラジルの食文化を代表するメニューが提供されます。これらの多くは日本料理をはじめイタリア料理、ドイツ料理等、他国の食文化の影響を受けた料理も提供しています。したがって、このような料理は、ブラジルが吸収し、新たな意味を生み出し、オリジナルと別なやり方で生産したものになります。

     また、ブラジルパビリオンやブラジルをテーマにした商品を販売する店舗も出します。続きまして、ブラジルに進出している企業がこのイベントに参加するメリットをいくつか挙げたいと思います。

     以前も話しました通り、万博は2015年度世界最重要なイベントです。今年ブラジルが参加する最も重要なイベントです。万博には2000万人の訪問客が予想されています。参加国145カ国で64パビリオンが用意されます。その中でブラジルは、、紹介する内容の意味深さのため、もっとも期待されている国の一つです。

    このイベントに参加下さる企業は、その企業のブランドをパビリオンの価値観と関連付けしてこの大きな展示会を利用していただくことが大事です。価値観といいますと、「持続性」、「生産の供給性」、「技術」、「イノベーション」、「食料品とその管理の安全性」のことです。この展示会はブラジルのパビリオンを訪問する最低250万人の訪問客へのブランド展示になります。それは1日当たりおよそ1万人~1万5000人の訪問客がブラジルのコンテンツと良い話を聞きにくるということです。

     ミラノ万博の前、つまり、前回の上海万博では、万博に関して毎日ニュース3万件以上が流されました。したがって、これは単なるミラノでの展示会ではなく、世界を対象にした展示会です。そして、今回の万博でご自分の会社のブランドを我々の価値観と関連付けしたいという企業には、実質経費が発生しないための恩典があります。ルアネー法(Lei Rouanet)に沿ったプロジェクトがあり、総額1100万レアルの奨励金調達が許可されています。つまり、今回のイベントに協賛企業として参加希望の企業は、この恩典を申請することができます。ご興味のある方々にスポンサーシッププランを簡単に紹介します。5月初旬に「ヴァロール・エコノミコ(Valor Econômico)」誌に特別付録を発行します。その内容は、ミラノ万博で紹介する成功事例(boas histórias)についてです。特に、ブラジル企業における成功事例(boas histórias)を掲載します。また、イタリアのメディアでも広告宣伝を行います。一般紙「ラ・レプッブリカ(La Repubblica)」に一面全部を用いる広告スペースが用意されます。

    先週金曜日の正午からインターネットにアップロードされている我々のウェブサイトがあります。ウェブサイト名は「Brasil na Expo(訳:ミラノ万博へのブラジル参加)」です。ウェブサイトでは、協賛企業の話を語り、料理のレシピなど掲載しています。さらに、ブラジルやその企業の紹介、組織概要、そしてミラノ万博で紹介するコンテンツも共有しています。社会ネットワークサービスのフェースブックやツイッター、インスタグラム、YouTube、LinkedIn等も利用します。その取り組みはブラジルに限定されます。

    また、別な広告活動がイタリアで行われます。内部と外部向けのプレストリップも行われます。内部向けのプレストリップというのは、ブラジルで事業を行っている協賛企業を取材するために外国人記者召集を行うことです。外部向けのプレストリップは、万博(でブラジルパビリオン)を取材するためにブラジル人記者を召集するということです。ここ数日中にある広報会社と提携します。その会社の万博参加目的は、協賛企業のためにターゲット層の調査を行い、ブラジルパビリオン内でそのターゲット層との接触・関係づくりの戦略計画を立案することです。

    万博開催期間中に、協賛企業は、イタリアをはじめ多くの国の人々にプレスリリースを通じて各々の成功事例を紹介することができます。プラチナカテゴリーのスポンサーには、「パビリオンの夜」、つまり「スポンサーの夜」を提供します。スポンサーは、招待客専用のイベント開催のためにパビリオンを一夜利用できます。

    万博の展示時間は、開催期間中は午前10時から午後11時まで、プラチナスポンサーのためには、招待客を心地よく接待できるために、ブラジルパビリオンを1日午後5時から11時までの時間帯を提供します。プラチナスポンサーには200枚、ゴールドスポンサーには100枚、シルバースポンサーには50枚の招待状が提供されます。招待状の対象者は協賛企業の顧客や提携会社、供給会社、取引先です。

    ブラジルパビリオンを回る食べ物の屋台が2台用意されます。したがって、食品会社が参加した場合、184日間の万博開催期間中にその屋台を通じて会社のブランドでその会社の食品を販売することができます。

    講堂でイベントを行う日も数日用意されます。協賛企業は、そのスペースを利用してショーやセミナー、講演など、ターゲット層の訪問客とコンタクトするための何らかのイベントを行うことができます。プラチナスポンサーには利用期間2日間、ゴールドスポンサーには1日間を提供します。次お願いします。

     レストランも同じように利用可能です。協業会社をディナーに招待したい場合、そのレストランを予約できます。プラチナスポンサーには飲食費すべてを含む利用期間2日間、ゴールドスポンサーには1日間を提供します。バー利用はプラチナスポンサーのみに同じ利用期間で提供します。

     ブラジルパビリオンの印付けに協賛企業のロゴマークを張り付けることができます。また、先ほどお伝えしました国産植物・果実の紹介会社になることもできます。たとえば、トマトのセッションでは、協賛企業のロゴマークを表示することができます。同じようにスターフルーツやコーヒー、ピーヌス、にんにくを紹介会社として協賛企業のロゴマークを表示することができます。

    協賛企業は景品を用意することもできます。パビリオンに限らず、万博は多くの重鎮が訪れる場所です。万博に参加している総括監督(comissários gerais)の方々もそれぞれの国では重鎮です。そして、パビリオンの関係者の間で相互訪問は慣習になっています。したがって、訪問客に贈与するためのブラジルやスポンサーのロゴマークと関係がある景品を用意することは大事です。次お願いします。

    企業やスポンサー会社のロゴマークを表示したスペースを用意し、それを協賛企業の社名を表示することで用意できます。たとえば、こちらのスポンサープログラムの対象外になっていますので、網に社名をつけるということは可能です。我々が提供しているスポンサープランの対象外ですので、網に社名を付けるためには、50万レアルの投資額が必要です。国産植物・果実のスペースで用意される舞台ですが、青色で印付けされている小さな舞台があります。10万レアルで訪問客にショーや何らかの披露が行われる舞台に協賛企業名を付けることができます。先ほどお見せしました講堂は50万レアルで名付けることができます。そして1階全部の金額は30万レアルです。

    また、2階全体に協賛企業名を付ける場合、30万レアルです。3階全体に名を付ける場合、30万ですが、会議室は10万レアルで付けることができます。

    最後に、協賛企業が受ける他の恩典を紹介します。パビリオンで開催される毎イベントの終わりに全スポンサーの社名が読み上げられ感謝を表明します。重鎮にはVIP景品が贈与されます。そして万博の建物内やウェブサイト、リリース、その他の普及活動等で協賛企業のロゴマークが表示されます。

    我々とともに、ミラノ万博に皆様のご参加をお待ちしております。ご清聴ありがとうございました。

    イヴァン・ラマーリョ副大臣

    ありがとうございます。ここで皆様のご清聴と発表したミシェレさんに一言御礼を申し上げたいと思います。そして一つ大事な点について改めて発言させていただきたいと思います。

    ミラノ万博でブラジルパビリオンの責任者である、省庁間実行委員会委員長として申し上げます。ミシェレさんは、ここに出席されている全企業を万博参加に招待しています。ブラジルパビリオンに参加したいすべての企業、協賛企業として参加したい企業がいれば、心から歓迎します。

    ここに出席している皆様の企業はすべてブラジル企業です。日本による出資を持ち、ブラジルに投資した日本人投資家の企業でありますが、ブラジルで生産しているということを理解していただきたいのです。したがって、皆様はブラジル企業として考えてもいいのです。ブラジル企業、ブラジル生産会社、ブラジル製品の企業、そしてブラジルサービス提供会社、つまり生産会社のみとしてではなく、銀行や他の事業サービス提供会社としてミラノ万博に招待されております。ブラジルで運営されている企業はブラジル企業として見なされるため、ミラノ万博で協賛企業として参加いただけたら心から嬉しく思います。

    詳細や連絡先は平田さんにお伝えしていますので、平田さんまでお問い合わせください。参加条件についてもいろいろ融通が利きますので、ご興味があり、いろいろ参加立案などについてAPEXの万博参加担当チームと相談を希望する方がいれば、いつでもお問い合わせください。必要なことがあれば、我々開発商工省までお問い合わせください。ありがとうございました。

    司会

     イヴァンさん、ミシェレさん、ありがとうございました。ではスペシャルゲストのパートは以上にいたしまして、部会からの報告に戻りたいと思います。それでは後半の部会のご発表、機械金属部会の渡辺部会長、後半第一番バッターということでよろしくお願いいたします。

  • 機械金属部会  渡辺健司 部会長

    Pdf機械金属部会

     ありがとうございます。今ご紹介いただきました機械金属部会の渡辺です。よろしくお願いします。今回、我々機械金属部会の方で準備している資料が三つございます。

     一つは通常やっています機械金属部会の業種・分野別のレポート。それと去年11月に行いました会員全会社へのアンケートというのがございました。それの発表をさせていただきたいと思っていたんですけれども、ちょっと時間が押しているもので、2番目に関しましては商工会議所のホームページの方にアクセスしてもらうと全部そこに載っていますので、これはかいつまんでお話しさせていただきたいと思います。

     それと3番目、ペトロブラス汚職疑惑ということで、機械金属部会の日系企業への影響がどのくらいあったかと。というのも、あまり定数的ではないんですけれども、ご紹介できたらなと。もちろんこれに関しましては、直接間接色んな業界に関係しております。まあ有形無形ございまして。一部、ということで、機械金属部会という限られたところではございますけれども、どんなインパクトがあったかというのを簡単にご説明したいと。

     機械金属部会には約8のセグメントがあります。鉄鋼、発電等まぜまして、潤滑油関係まで、それぞれのセグメントずつに各ペーパーで1枚にまとめております。

     全体概況というのがあるんですけれども、これに関しましてはすでにコンサルタント部会、金融部会等で十分説明していただいたと思いますので、かいつまんで言います。

     2014年の回顧ということですけれども、まあペトロブラス案件はですね、パイプの油井管、舶用ディーゼル、商談が激減しております。原油価格の下落、低下というのもありまして、ペトロブラスの新しい案件が軒並み中断。それと当然、ワールドカップとかですね、期待した要素もあったんですけれども、結局稼働日数の減少によってマイナス効果ということで、我々の機械金属部会全体としては非常に低調な年であったと。

     2015年の展望としましてはですね、それに輪をかけるような形ですけれども、水不足、電力危機ということがありまして、インフレがまた非常にここ1ヶ月進んでおります。それで政策金利がまた上がるんじゃないかと。等々の影響を受けまして商業活動が縮小していくんじゃないかということで、2015年に関しましては明るい報告ができないところなんですけれども、業種別に見て行きますとですね、明るい分野もございます。この辺をちょっとご紹介したいと。

     まず鉄鋼関係。2014年度の粗鋼生産量は3400万トンで、ほぼ横ばいです。そういう意味では、最悪という状況ではないんですけれども、まあまあの横ばいで。ただ鋼材輸入量が非常に増えております。これは中国、ロシア、韓国なんですけれども、特に中国が7割程度を占めていまして、中国からの鋼材が入っている。また輸出の方もですね、景気が良い北米に後押しされて伸びているという状況でございます。

     では15年度の方はどうなるかということなんですけれども、会員の報告をそのままここに書いてありますけれども、非常に厳しい1年となりますと。価格・品質共に競争力ある鋼材がアジアからブラジル、中南米諸国へ入ってきていること。2番目。ブラジル国内の自動車販売台数が落ち込む可能性が非常に高いということで、現在平均4ヶ月を超える鋼材在庫を抱えております。マーケットが下落傾向にあることから、在庫評価損を当面抱えることになると。

     また、いわゆるラバ・ジャットというか、ペトロブラス関連に関しまして、鉄鋼業界にとっては大きな痛手となるのは間違いないと。ペトロブラスに直接連動しているプロジェクトで使用されている鋼材、パイプ、海上リグ用の鋼材、の先行き動向が不明なのと、関係会社に付随してくる造船用、掘削用船の鋼材にも影響が出てくると。またですね、ペトロブラス関連のプロジェクトは同社メンバーから本件への影響はないという発言もありましたが、実際深海プレサルに関わる入札関連はストップしているというような状況で、2015年の展望としては非常に暗いという状況にございます。

     2番目の発電・社会インフラ、これは都市交通、鉄道等を含んでおります。2014年の回顧はですね、発電関連では水不足、電力代金の高騰。というのは既に去年から始まっていまして、それが電源の多様化というニーズを一面で拡大しております。2014年の電力オークションではバイオマス火力とですね、風力が案件を成約させております。実際に案件が動いているということです。加えて、ガス炊きの大型火力、GFCC、コンバインド・サイクルですね、の成約もありました。それと、小型に関しましてはですね、ディーゼル発電の設備の販売は2013年ベース並み、横ばいであったと。

     また、地下鉄のサンパウロ6号線をですね、8月に正式受注し、プロジェクト立上げを行ったという事例もございます。また、これも似たようなものですけれど、都市交通案件も具体化したんですけれども、工事中にレールが落下してですね、そこで中断、大幅遅延となったという事例ですが、2015年に至ればこれも案件の復活も出てくるだろうし、また発電関係でですね、水不足がさらに深刻化、電源多様化が加速されるというふうに思われまして、風力・バイオマス発電案件の増加を見込んでおります。ガスの大型火力についても同様です。

     電力事情の悪化を背景にですね、小型ディーゼルエンジン、発電セットの需要増も見込まれると。台数ベースでは8%~10%ぐらいを予想しております。まあそういう意味で、再生エネルギー、省エネ案件、小型分散型の案件がですね、増えるんじゃないかというふうに考えています。

     地下鉄の案件ですけれども、引き続きそういうインフラ改善のニーズはありますので、計画は出てくると。ただし、昨今の政府の、ジルマ第2次政権の緊縮財政方針もあるということで、遅れる可能性も危惧しております。

     3番目のプラント機械・造船関係なんですけれども、製鉄関係に関しましては新規投資案件すべて見合わせと。非常に厳しい年でありました。石油ガスに関連しましても、ペトロブラスの業績不振は改善されておりませんで、新規投資案件は実質凍結の状態。油井管の引合いも停止と。石油化学。新規投資活動は鈍化した状況が継続と。

     で、2015年はこれらの業界はどうなるかということなんですけれども、まあ資源価格の下落で明るい材料が乏しくてですね、改造・補修需要程度かと。今のは製鉄プラントですね。そして石油ガス、石油化学に関連しましてはご存知の通り各種案件の資金調達が非常に難しくなっております。大型プロジェクトの計画は凍結もしくは大幅な日程の遅延ということで、こちらも先はちょっと暗いと。

     製紙パルプ関係の2014年の回顧としましては、世界的パルプ需要は以前高く、各社設備投資を検討していたと。実際の受注もあると。2015年、今年になりますとですね、中国のパルプ需要も衰え、パルプの価格下落を予想します。各社の設備投資も飽和感が出始めているということで、黄色い信号が点滅しつつあると。

     造船に関しましては2014年はですね、ペトロブラス疑惑の影響で傭船会社、SETEBRASILという会社があるんですけれども、ペトロブラスから傭船契約をしてSETEBRASILが掘削船、ドリルシップを購入するというスキームをとっております。そこの会社がですね、28隻のドリルシップを発注しています。1台800億円としますと、2兆4000億円ですか、ぐらいになりましてですね、非常に膨大な契約をする予定なんですけれども正式な契約ができていないということで。そこのSETEBRASILからの入金が滞りまして、非常に事業に支障をきたしているという状況でした。それが今年になってですね、当然ながら造船会社が資金難を回避できるかどうかという出資スキームの構築を早期に行えるように努めているところなんですけれども、この辺が鍵になりまして、これがうまくいかなければブラジルの造船会社にとっては非常な痛手になって、まさに完全に、まあペトロブラスの投資計画の見直し等もありますので、お先真っ暗な状況が引き続き続くと。

     産業機械に関しましては、特にこれはセメント関係なんですけれども、景気減速によりましてブラジルのセメント各社は設備新増設計画をすべて延期しているということで、プロジェクトは進捗していないと。安定的にスペアパーツの受注を獲得した程度です。ブラジル以外の南米各国ではセメント生産設備の新増設計画が実行に移されているということで、ブラジル以外の地域の市場を頼りにしていると。この傾向は今年も続くと。南米全体のセメントの消費は拡大すると。で、ブラジルの設備投資は低迷するということで、ブラジル以外の南米各国の動きに期待して市場活動を行っていきたいというふうに考えております。

     建設機械。2014年の回顧としましてはですね、数字的には2013年度に比べて横ばい、0.4%の微増と。昨年は大統領選挙の年でありまして、景気対策の一環として農業開発省向けのテンダーがあったと。上期に3000台、下期に200台ということで、この3200台のテンダーが入札があったということでですね、建設機械の台数は変わっていないように見えますけれども、経済の停滞や金融機関の与信強化等でですね、建設機械の需要にとっては総じて厳しい環境であったと。それが今年になりますとですね、上期下期あわせて1万1000台ということで、昨年の25%減ということになります。景気の停滞が継続しまして、需要の調整局面に入ると見込まれて、こちらも昨年に比べますと非常に暗くなりつつあると。

     2014年末にラバ・ジャット作戦によりましてペトロブラス汚職に関わる国内大手建設会社からですね、多数の逮捕者が出ております。そういう影響もあってですね、ゼネコン向けの案件が低調になるという影響もありまして、回復基調が出てくるのは下期以降であろうという見方です。

     小型の建機ビジネスに関しましては、小型バックホールというのがあると聞いていまして、2014年の輸入統計全体ではですね、前年比135%伸張していると。販売も、台数ベースもですね、前年比180%と、非常に好調な業界、セクターがございました。じゃあ今年はということになりますと、労働賃金の上昇等によりまして、小型建機の増加トレンドは当分継続すると推測しているという状況です。

    農業機械ですけれども、小型ディーゼルエンジンビジネスについては昨年度は横ばいと。トラクタービジネスに関しては、農作物の収穫は良好であったけれども、市場価格が下落して15%ダウンと。今年、2015年の展望はということですけれども、小型エンジンに関しましては、電力事情の悪化というのがあって、小型の発電機セットが需要増が期待されるということで、今後増加するというふうに見ております。ただし小型の20馬力以下に関しましては、中国製が主流となっておりまして、日本の企業に対してはあまり影響はないというふうになっております。

    その次が、各種工作機、射出成型機ですが、電動工具等に関しましては、一桁の伸びと。今年以降はですね、2月からMinha Casa, Minha Vida という建築需要が出てくるということで二桁以上の伸びを想定しています。成型機に関しましてはですね、ブラジルの自動車生産台数は非常に悪かったと。前年に比べまして15%減ということであったんですけれども、先ほど自動車部会の方からも連絡ありましたけれども、そういう景気の良い部分もございました。現代自動車、それから日系の自動車会社については非常に攻勢がありました。そういうところに成型機の需要がかなりあって、受注もできたと。その傾向は今年も続くであろうと。現地生産比率の拡大とか、プラスチックの消費量は今後も増加する見込みということで、加えて日系の自動車会社は引き続き生産台数を伸ばすであろうということを見込んで、成型機ビジネスに商機ありというふうに踏んでおります。

    切削機械に関しましては、やはり自動車の販売が不振ということで、二桁の大幅な落ち込みがございました。今年はですね、まあ穏やかな上向きを見ているということです。ただ、こちらで工場を持っている会社と日本から輸入販売しているところと色々事情の差がございますので、ここら辺の数値については若干異なるところがございます。

     機械・計測機器。チェーンメーカーの発表によりますとですね、高機能商品を製紙、製菓業界を中心にPR活動した結果ですね、他社置換受注に成功したということで、まあ特定業界に営業活動を絞り込んでですね、そういう積極的な活動を行った結果、成功例ができたということで、今年もそういうふうな展開を拡大していきたいということです。ポンプ関係はですね、この数年来の中で一番厳しい年であったということで、O&G、オイル&ガス向けですね、石油・ガス向けのマーケットは土砂降り。アルコールなど産業向け公共事業向けも受注が減少していったと。今年はどうなるかということなんですけれども、昨年以上の厳しい事業が継続するというふうに認識しておりましてですね、まあブラジル工業全体の成長率が落ち込んでおりますので、そういう環境下の中で新しい営業活動を進める必要があると。

    それとホイスト・クレーンですね。工業成長率の落ち込みの中でFINAMEの融資金利が非常に上昇しているということで、金利負担が非常に大きくなって支払いを猶予しなければならないようなケースも出ているという発表もございました。

    潤滑油・ベアリング関係、軸受関係ですが、2014年としましてはやはり自動車・二輪向けに関しましてはワールドカップによる稼動日数減少や自動車・二輪販売の低迷という影響を直接受けていまして、売上に影響をきたしたと。産機OEM関連ではですね、第一次産業向け、まあ農業ですね、Vale等鉱山業界向け、特に厳しいビジネス環境だったということで、こちらも営業活動が低迷したということでうかがっております。2015年はどうなるかということなんですけれども、やはり自動車メーカー関連に関しましては引き続き在庫の調整、消費者需要が弱いということでですね、需要回復スピードは非常に穏やかというふうに見ております。

     以上が大体の14年の回顧と15年の展望ということなんですが、その後で「どう頑張る日系ビジネス」と。じゃあ今年はどうするんだろうという話し合いもあったんですが、それをちょっとまとめますとですね、何回も繰り返しておりますけれども、事業環境は在庫調整、消費者需要の低迷、設備計画の遅延、金利高で投資意欲が低下しています。その結果ですね、当然ブラジル経済の回復のスピードは穏やかになると見込まれる。その中でですね、まあどういうふうな活動方針等をとるかと。市場の拡大が限定的であることから、収益性の確保のためのコスト改善。同じ量の受注を受けても利益を出すんだという姿勢ですね。それと、数少ない案件をですね、着実に受注し続けると。中小規模案件の対応強化。他南米諸国、ペルー、コロンビア、チリの顧客の開拓という意見もございました。

     それと、今でこそですね、顧客の要望に迅速、柔軟に対応する日本人らしさを見せて、顧客の信頼を構築していこうというご意見もございました。それと、新しい事業の開拓。従来のビジネスフィールドに固執しない。コアになるソリューションビジネスに集中する。それと、生産性向上、品質向上、省エネ対応の自動化、これらのノウハウを積極的に提供していきたいと。それと、前払い金の金利コスト負担が非常にブラジルでは高くなっているということで、本年度より本社資金、日本からの資金を利用したファイナンスに切り替えるという企業もございました。

     以上が各セクターからのレポートをまとめた内容です。続きまして機械金属部会会員会社へのアンケート実施ということなんですけれども、これは去年の11月に行いまして、まあ今回ちょうど良い機会なので発表させていただこうと思って一応ペーパーにはまとめておりますが、結局いつごろブラジルに出てきて、人数がどのぐらいで、どこら辺に工場を作って、お客さんはどの辺でしょうかということを簡単にまとめたもので、時間をかけるよりも見ていただいた方が早いと思いますので、省略いたしますけれども、まあブラジル経済における今後の課題という中で、税制の複雑さ、労賃の高さ、移転価格税制等すでに皆さんからご指摘いただいているところですけれども、それに加えてですね、アンケートの中でですね、税務当局がかなり恣意的に違反認定を行うと。

    これがですね、裁判になれば長期化、敗訴も想定されるということで、まあ泣き寝入りの状態でやめてしまうと。税務当局の指示に従うと、で税金を払うという場合があり、これがですね、税務当局のこのようなやり方がですね、ブラジル事業の中においてですね、最大の潜在リスクじゃないかという指摘もございましたので、ご紹介しておきます。

    それとブラジル経済の見通しということで、今後2年間、および5年後のブラジル経済の見通しというアンケートをとりました。これはですね、まあ多分皆さんの想像する通りなんですけれども、この2年間はですね、良くも悪くもならない、悪くなる、足したのが80%です。ですのでこの2年間は我々の機械金属部会のメンバーはそのように見ていると。じゃあ5年後はどうだと。この辺は期待を含めましてですね、かなり良くなる、良くなる、二つを足すと約70%という数字になっていまして、5年後にはまた皆さん期待をしているという心持がよく出ていると思います。

     それで3番目、ペトロブラス汚職疑惑ということでペーパーに4枚にまとめました。5枚ですね。それを簡単に紹介させていただきます。

     国営企業のガバナンスはどうなっているんだということをですね、まず一番上に表しています。これは証券取引所とかですね、色々部門がありまして、そういうところがですね、かなり本来ですと詳しくそういう精査をしている活動行為に関しまして、そういう状況なんですけれども、昨年の4月ぐらいからですね、連邦警察の特別捜査、これラバ・ジャットと呼ばれている訳ですけれども、ペトロブラス石油公社の幹部をはじめ大手ゼネコン23社の捜査がの対象となって行なわれて、現在も行なわれていると。対象項目に関しましてはですね、カルテルの形成とか、経理管理の欠如とか、贈収賄とかありまして。この資料はですね、実は今年の1月21日に発行されました月刊誌EXAMEを抜粋したものです。これの日本語訳がですね、商工会議所事務局の方から和訳されたものが出ております。これはホームページにアクセスしていただければ詳しいところは読めると思います。

     その捜査の結果ですね、ブラジルの経済市場ではですね、1~4番。1、進行中公共プロジェクトの工事停止。2番、労働者の解雇。3番、新規プロジェクトの先送り。4番、投資家離れが起こって、今後の公共事業の推進に悪影響が出ていると。ラバ・ジャット作戦の行方の予測はもちろん難しいし、今回の会の目的じゃないんですけれども、官民の関係改善などがですね、期待される等ポジティブな局面も言われております。これはブラジルの従来の経済構造の改革、まあビジネスモラルの改善とかですね、その辺がポジティブな見方をすればですね、この辺が期待できるのではないかということになっています。

     その次のページ。ペトロブラス汚職疑惑で色んな質問がなされています。1番から9番。ラヴァ・ジャット作戦がブラジル経済にもたらす悪影響。それに対して有識者のコメントということでですね、なされているのが右に紹介しております。基礎項目だけご紹介したいと思います。

     1番。ラヴァ・ジャット作戦に伴い2015年度のブラジル経済は圧迫されるかと。コメント。ペトロブラスの存在感。年間投資額約700億レアイス。サプライチェーンを構成する企業数約6000社は軽視できない。年間投資額を10%削減すればGDPに0.5%のインパクトをもたらすと。GDPの0.5%というのはどれぐらいなんだということなんですけれども、手持ちの資料で2013年のブラジルのGDPは2兆2500億ドル。その0.5%といいますと1125億ドルになります。これを円に換算すると13兆円ということで、これは莫大な数字になりますので、このペトロブラス汚職疑惑というのの影響はもう打撃的と言うしかないなというふうに感じております。

     ではこれ、後で読んでいただいた方が分かると思いますので、その次のページもペトロブラスの概要です。つまりどれだけの投資をしてですね、中期計画の中でブラジル経済どれだけ影響しているかということを表しております。

     その次の、機械金属部会企業への影響ということで、鉄鋼から潤滑油まで間接・直接の影響を調べたものをここに書いております。これもですね、大体見ていただければ分かりますけれども、一番問題になるのはですね、間接的にはブラジルのビジネスチャンスが減少したというふうにみなされてですね、日本からの投資の減退が非常に心配されると。それとブラジル企業の労働者の解雇も多数もう発生しております。

     日本だけでなくてですね、ブラジル双方の経済に打撃になっていると。実は代金を回収できない例もすでに出ております。造船関係でも8億レアイスの支払い遅延。それとABMAQさんの方で調査したのも3億レアイスの不良債権化という数字も出ておりまして、かなり大きな悪影響が出ているということだけはちょっと指摘しながらですね。一番最後。24ページ目なんですけれども、結局、赤文字で書いてありますけれども、まあ早期の決着がブラジル経済の再スタートに不可欠。政治的リーダーシップによる企業支援というのを考えていただきたい。ジルマ大統領の所信表明演説が1月27日にございました。その中でも触れております。汚職に対する再発防止メカニズムを改善・導入すると同時にですね、犯罪者を厳しく処罰すべきと。しかしながら企業、官民を問わず、はブラジル経済の発展に不可欠であり、絶対に破壊してはならないと。まさにその通りだと思います。以上です。

    司会

     渡辺部会長ありがとうございました。質疑応答を行いたいところではありますけれども、ちょっと時間が押してしまいましたので、ご質問ある方はですね、機械金属部会に直接後日お問い合わせいただければと思います。続きまして食品部会の岡崎副部会長、よろしくお願いいたします。

  • 食品部会  岡崎徹 副部会長

    Pdf食品部会

     こんにちは。日清味の素アリメントスの岡崎です。本日は部会長の石井が不在ですので、私が代わりに発表させていただきます。早速本題の方に入らさせていただきます。

     本日はこの4点を中心にお話させていただきます。次お願いします。

     はじめに2014年の食品の市況ですが、外商、BtoCのマーケット。こちらは数量ベースで前年90%ぐらいだったのではないかと推定しております。インフレ分の値上げも反映した金額ベースでまあ前年並みというふうに読んでおります。食品という仕事柄、私非常に出張する機会が多くてですね、サンパウロにいるより他州にいる方が多いんですけれど、非常に昨年というよりは、全然、2013年の10月ごろからですかね、非常に荷動きが重くなってきたと。少し何かやばいなと。

    14年に入ってからも何とか5%6%ぐらいは維持をしていて、まあそのうち何とか良くなるんじゃないかと思っていたところ、ワールドカップを境にですね、非常にこう厳しい状況になったと。それまでは毎月月末になるとオーダーが集中してですね、どうやってものを作るかということを非常に苦労していたのが、数字が行かなくてですね、どうやって卸店にものを積み上げるかというようなぐらい、劇的に14年状況が変わったと。

     原因については他の部会でもお話があったと思いますので、非常にそういう環境の中で消費マインドが落ち込んだというようなことが原因であろうと。ただ日本でも非常に不況に強い業界であるということと、私6年ブラジルにいるんですが、非常にこう楽天的な国民性を考えると、こんなに急に業績が落ちるというふうには想像していなかったというところが本音のところです。

     一方、三つ目のところに書いてあります通り、調味料とかヤクルトさんですとか、例えば外食というようなところで非常に効果的な施策で前年を上回るというような業界も実際はカテゴリもあったということで、コモディティから加工度の高いものへという大きな流れは変わっていないんだろうなと。だからまあ不況という波は来たんだけれど、非常に食の欧米化が進んで加工度の高い食品へという流れとの相殺で勝ち組も中にはあったということです。あともう一つ、最後のところにある輸入酒類、あとは日本酒ブームだとか健康価値というようなことを反映したこういったブームですね。ここに乗った業界さんというのはまだまだ今後も注目、伸びて行くマーケットなんだろうなというふうに考えています。次お願いします。

     業界動向なんですが、ご存知の通り食品はBtoCがあったりBtoBがあったり、外食向けがあったり、輸入をして国内で販売する業界さん、メーカーさんがあったり、逆に原料、コーヒーのように輸出をする業界さんがあったり、非常に一言でまとめるのが難しかったので、一応全部簡単にご説明させていただきます。

     まずは酒類ですが、上期、ご報告の通りワールドカップ効果でビールは非常に好調であったと。また庶民がカシャッサを我慢する一方、Aクラスというのは不況の影響がないのか高級酒類である輸入ウィスキー、ウォッカ、スピリッツというところは堅調に推移したというふうに聞いています。次お願いします。

     また発酵飲料は本数ベースで7%増、金額ベースで二桁増、果汁飲料も10%増ということで好調に推移しました。粉末ジュースというのはこういう小さい粉末を1リットルぐらいの水に溶かすタイプのジュースなんですが、こちらの商品は私が知る限りいまだに一レアル以下で買える唯一の商品。我々の即席めんも昨年までは1レアルで買えたんですが、現状では多分1レアルで買える唯一の商品だろうと。これも112%と順調に推移したと。

     コーヒーについては店頭価格が30%上昇する局面もあったと聞いていますが、100%以上を確保したということです。次お願いします。

     調味料ですね。固形、粉末調味料はこちらもまた6%増ということで、ボリューム6%増ということで堅調に推移しています。また醤油、味噌、米など日本食の広がりにあわせ国内産、輸入とも好調でした。

     一方、我々の業界なんですが、即席めんについては先程もお話しした通り、食数ベースで前年を割りこんだと。これまで大体カテゴリが7~8%、まあ2013年までは毎年のように伸びていたのが、2014年は前年割れであったということです。ただ非常に、神風というか、2012年後半ぐらいから高止まりしていた小麦の価格が一気に下がったこともあって、利益の方では何とか予算ぐらいまでは行くのかなというふうに見込んでいます。次お願いします。

     輸入に関しては、これキッコーマンさんの情報なんですが、並行輸入品が減少して、大分フォローの風であったと。ただ引き続き通関トラブルが多く、インポーターを増やすなどの対応を強いられていると。先日サントリーさんにおうかがいしたんですが、何か焼酎がどうも輸入規制で止まっていると。ただこれは原因はよく分からないと。良く分からないんだけれど止められて全部、卸店さん、店頭、全部赤札を張られて、出荷しちゃだめよと。でも聞いても全然理由は教えてくれないというような、非常にこうまだまだ不透明な法律だとかルールだとか、そういうものがあって、中々簡単な話じゃないなということです。

     続いてBtoBのマーケットですね。業界の情報ですが、一つ目はココアバター。これの高騰によって代用油脂は非常に売上好調だと。食品香料も日系顧客向けが堅調であると。酵素製品ですね、これは食感を変えたりそういう機能のある食品ですね。これも新規顧客を開拓して売上増ということです。こういったビジネスはもう今日本では大きなボリュームを持つ商品で、多分ブラジルの食品の加工度が上がっていくに比例してこういった売上も当然増えて行くだろうということで、部会でも大変期待をしている分野です。

     種苗について。これ私はブラジルに来るまで知らなかったんですが、ブラジルはこの大農業国でありながら種苗はほとんど輸入をしているということで、こちらも非常に楽しみな、特に事業としては付加価値の高い商品の需要が上がっているという報告を聞いております。次お願いします。

     業界動向の最後、トピックですが、NHフーズさん、日本ハムさんが昨年国内販売許可を取得されたということが一つと、JTさんですね。JTさんが事業再開をされて、2015年から商工会議所の方のメンバーにもなられました。次お願いします。

     次に原料動向です。長期トレンドはここにも書いてあります通り上げ基調ではありますが、個別に見ていただくと、例えば、ちょっと次をめくってください。砂糖。こちらは安定局面に入っている。こういった原料もあります。次お願いします。

     乳相場ですね。あと小麦なんかもずっと高止まりしていたのが少し下がってきたというような原料もあります。次お願いします。

     コーヒーの方は天候によって、天候が悪くなると上がったりですね、雨が降るなんていう情報があると上がったりして非常に乱高下をしていて中々安定しないということで、先行きもちょっと非常に不安であるということを聞いております。次お願いします。

     燃料について、こちらもですね、ここに書いてございます通り、上げ基調。特に先程他の部会でもお話あったように渇水の影響で電気のスポット価格が上昇していると。この辺は非常に懸念材料です。次お願いします。

     渇水に関する情報をご紹介します。店舗を持たれている、例えば外食で店舗を持たれているようなお店では、水が足りなくてですね、各店水使用をチェックしたりですとか、手洗い場を閉鎖したり、給水車で水を買っているなんていうところもあるということで、非常にまあ影響出ていると。工場についてはですね、我々の工場もそうなんですが、ほとんどの工場さんは井戸を持っているので、特に生産への影響というのは限定的かなと。ただ、小さいサプライヤーさんとの取引もあるので、そういうサプライヤーさんが水不足のために供給できなくなったりというようなことを見越して、在庫を持ったりというような対応はしているところです。次お願いします。

     2015年の展望ということですが、ここに書いてございますように、今まで消費を牽引していたミドル層、ここの消費マインドというのが中々好転は急にしないであろうなというふうに見ています。それに加えて、レアル安、原燃のコスト上昇ということで、収益面の悪化ということも考えられると。

     そういった中で、じゃあどうするのというところなんですが、Cクラスの方は当然価格コンシャスでですね。ただ一方でおいしさとか、お子さんいらっしゃるご家庭では当然健康みたいなこととか安全だとかいうことを非常に気にされている消費者は増えてきたと。例えば外食、外で食べる機会なんかはどんどん増えていると。あとは日本食ブーム。サンパウロにいるとすごく感じると思うんですけれど、日本食ブーム、遅ればせながらやってきたと。

    こういったトレンドをどういうふうに捉えてですね、いかにそこに対応していくかというようなことが大きなポイントであろうと。我々非常に日本で不況というのは慣れていて、この10何年ずっと不況の中で売上を毎年毎年何とか積み上げてきたというような経験は持っているので、中々そのための原料が入らないとか、包材がないとかという問題いっぱいあるんですけれど、まあそういうことをしっかりやっていって年度の目標を達成したいなというのが部会の大きな方針です。次お願いします。

     二つ最後にトピックをご紹介します。ご存知の方も多いと思うんですが、昨年8月にですね、安倍総理の来伯を機に日本の農林水産省と伯国の農務省の主催により、農業・食品関係事業の発展に向けた両国官民での継続的な協議を行う場として「日伯農業・食料対話」というのが発足しました。食品部会としては第1回目の対話、こちらの方に参加させていただきました。引き続きですね、下の①②に書いてございます通り、テーマ別分科会への参画であるとか、第2回ですね、今年の年末に行なわれると言われています第2回の交渉案なんかに少し応援をさせていただければなというふうに思っています。

     最後の1枚。あと、日本食がユネスコの世界文化遺産なんかに登録をされたりとかいうことで、ブラジルでも少しずつ日本食が注目されてきたりしている。こういうことへの働きかけというのは、今すぐにはあまりビジネスに、特に我々は即席めんの事業なので、中々こうやってすぐに跳ね返って来るかというのはちょっと難しいかなとは思っているんですけれども、まあ長い目で見ればこういうことが食品業界の発展につながるのかなということで、こういったことも部会としてはサポート、参加をしていきたいなというふうに思っております。

     以上ちょっと駆け足でありますが、食品部会からの発表でした。ありがとうございました。

    司会

     岡崎副部会長どうもありがとうございました。本日はあと四つの部会からのご発表を予定しております。大分時間が押してきてしまいまして、誠に恐縮ですけれども、それぞれの部会のご発表をですね、予定よりも大体4分から5分程度詰めていただいてですね、簡潔にご発表いただけるようにご協力いただけますと大変ありがたく存じます。恐縮でございます。では続きまして、運輸サービス部会の森田部会長からよろしくお願いいたします。

  • 運輸サービス部会  森田透 部会長

              

    Pdf運輸サービス部会

     どうもお疲れ様です。それでは運輸サービス部会、発表させていただきます。我々はですね、物流、構内物流、機工、整備、海運、航空貨物、航空旅客、旅行、ホテル、通信、ITと非常に多岐にわたっておりますけれども、それぞれの業界別にご説明させていただきます。

     まず物流ですけれども、14年の回顧としまして、ワールドカップ以降の荷動きは鈍い上、さらに年末の荷動きを見てもあまりよろしくなかったということで、全体的に低調な厳しい1年だったということです。2015年の展望といたしましては、サントスの新規ターミナル、これが操業を開始して、ターミナル内での効率化が図られつつあると。さらにそれが効率化を図って行われることによってコスト的なものが低減されることを今期待していると。あとは電力不足による国内工業生産ですね、これが減少する可能性が出てきているということで、今後どのような、輸出入バランスですね、これに影響が出てくるか注視していく必要があるということです。我々の物流業界としては、昨年以上に厳しい年となるということで、今後減量経営ですね、こういったものをどう、どのタイミングで行うかというのが一つのタイミングになってくるかと思います。

     あと参考で海外引っ越しなんですけれども、ここにございます2012年、平均で約65日ぐらいかかっていたものが、昨年で約33日と約5割減ぐらいのリードタイムになっております。若干スムーズに動いているということですね。あとは、残念なことに、やはり輸出、帰任者の量の方が件数の方が逆に多くなっているという傾向があるそうです。次お願いします。

     次に我々物流業界の中で、機能強化委員会、この中での通関ワーキンググループの中で先日、税関、CNIと税関にお願いしてAEOのプレゼンテーションをやっていただいたんですけれども、これちょっと青ポチをクリックしていただけますか。これは細かく今説明しませんけれども、一応現在27カ国で、日本も約7カ国と協定を結んでいるという形で。今ブラジルは昨年14年からOEAのプログラムでFase-1としてパイロット企業5社をを選出して、輸出のテストを始めたと。Fase-2として輸入のテストを今年は開始する予定であるということですね。

    現在ウルグアイと相互協定の協議中ということになっています。対象企業としてはここにありますような、約6つの企業。これが行われることによって、日本ブラジル間の相互協定計画がもし締結されたとした場合は、ここにおられる日系企業等の輸出入通関ですね、こういったものに関してのリードタイム、こういったものが短縮することによって経済効果を期待することができるんではないだろうかと考えております。次お願いします。

     次に構内物流ですけれども、2014年の回顧といたしましては、ここもやはり鉄鋼関係非常に厳しいということで、協力構内での競争が激しいということで、結果、一部業者の撤退等も発生しているという厳しい状況でした。2015年に関しましてはやはり同じく、鉄鋼、継続して厳しい状況が続くと思われますので、やはり同様にコスト削減、これが非常に生き残るためには重要なポイントになってくるということで考えております。次お願いします。

     次、海運業界なんですけれども、海運業界としましてはブラジルの全体の動きの大勢を占めるアジアトレードの貿易量の増減を主に反映して、前年比で輸入が3%減、輸出が15%増という傾向になっています。不定期船に関しましては前年比約5%の伸びを見ておりますけれども、同輸送を補うケープサイズの傭船料ですね、これは一時的な山谷あっても全般的には船腹余剰感は解消されずに、市況は低迷が続いた。ちょっと青ポチで、これはデータなのでまた後で見て下さい。これはバックデータとして載せておりますので。

     あとインフラ面ではサントスの、先程も出ましたけれど新ターミナル、BTPターミナルとEmbraportターミナルですね。この二つの新しいターミナルが稼働しました。これによってインフラの改善が図られて、運航が安定してきたということですね。あと荷動きの停滞に伴い船腹供給の増加、本船の大型化は一段落したということです。海運企業全体では運賃が低迷してきたということで、荷主にとっては逆に良い傾向かもしれませんけれども、海運業界ではちょっと厳しい状態だったということですね。

     2015年の展望といたしまして、コンテナ船は景気の低迷、レアル安の影響を受けて輸入の停滞傾向は昨年に引き続きしばらく続く見込みであるということですね。不定期船に関しましても、ブラジルの鉄鉱輸出、これがどういうふうな形で動くか、いま豪州産等が非常に供給増が見込まれているということで、ブラジルからどのような形で動くか今後まだ不透明であると。

     あとインフラ面では港に於ける浚渫作業ですね、これによってコンテナ船等の大型化が前進することで効率化を期待されるということです。それとあとアルゼンチンの経済建て直しの見込みができないということで、今後どのような、需給ギャップですね、これがどうなるかということが一つの課題になると。それとあと、海運における競合環境ですね、これが引き続き厳しいと。2013年に進んだ本船大型化の一方で需要は2年にわたり伸び悩み、業界全体としては厳しい状況が今しばらくは続くということです。次お願いします。

     次に航空貨物業界ですけれども、輸入総数量は前年対比約4%減。それで輸出数量は前年対比1.0%ということで。ただこの統計がですね、昨年までは一律全空港取れていたんですけれども、ブラジルらしくINFRAEROが民営化された後同じレベルでの統計が取れなくなりまして、一応これは主要3都市、サンパウロ・マナウス・クリチバだけでの統計結果です。2015年の展望としましては、輸送リードタイム、やはり航空貨物は早いということで戦略的に航空貨物を利用する体制は維持されるものと考えております。こういったもので少しは同じ、横ばいですね、という形になるかと思います。

    それとあとさらなる空港の民営化の推進、これによってインフラの改善とリードタイムの短縮を期待していると。ただインフラが改善されても、あと税関とかANVISA、MAPA、こういったものの中の動きが変わらないと貨物は出て来ないということがございます。それと一応今民営化された空港がここに5ヶ所あります。あと新たに今年3ヶ所が民営化される予定になっています。次お願いします。

     航空旅客業界ですけれども、国内線は堅調に推移。旅客の伸びが座席の伸びを上回っていると。国際線も同様。空港インフラはグアルーリョス空港でご存知のようにTC-3 の国際線にほぼ集約されたと。業界動向として、VCP、ビラコッポス空港から新航路が就航していると。中にはAZUL、これがVCPからマイアミのOrlandoへのデイリー運行を開始しているということです。

     2015年の展望といたしましては、国内線、景気は低迷が懸念されますけれども、底堅い需要に支えられる見込みであると。国際線も景気低迷およびレアル下落における需要は停滞懸念が見られるということですね。業界動向としては、現在原油価格が落ちていますけれども、これが一時的にプラスのインパクトになるとは考えられますけれども、景気低迷によるレアル下落による今後の需要の冷え込み、これがどういうふうに影響するかですね、懸念されるということです。

     それと課題としましては、ずっと毎回出てきていますけれども、やはりインフラ、これが非常に大きな課題であるということで。空港だけじゃなくて、空港間とのアクセス、こういったものがやはり問題になって来るかと思います。次お願いします。

     次、旅行・ホテル業界ですけれども、14年としましては、国内線の旅客ですね、これが前年同期比約6.6%の増。国際旅客が5.7%の増。旅行業界としては、ワールドカップ期間中やはりビジネス客は大幅に減ったと。レジャーの国内は航空運賃、宿泊費が非常に高いということで逆に減少したと。逆にブラジル人が、やはり物がここは高いということで、買物を兼ねた海外旅行が非常に増加したと。ホテル業界に関しましては、稼働率は前年対比7.5%増ということで、2013年よりはちょっと落ちているということですね。

     15年の展望として、国内・国際線としましては、2月のカーニバル、4月、5月、連休ですね、こういったもので国内線の売り上げを期待しているということです。国際線は大体前年と同じレベルで予想はしていると。旅行業界は、ブラジル経済不調でビジネス客の減少を予想していると。国内線は旅費、物価高騰のために期待薄であると。海外旅行は、まあ海外買い物をかなり期待していましたけれども、現在非常にドルが高くなってきているということで、これがどういうふうに影響を受けるかと。あとはオリンピックの先駆けの視察団などの増加を期待しているということです。ホテル業界に関しては、上期は4%の稼働率増加が見込まれるということですね。

     旅行・ホテル関係での課題としては、これは前回も出てきておりますように、やはり観光査証、これが引き続きもう少し簡素化、それと期間の長期化というのか、そういったもので早く解決を望んで、人の動きを活発にしていただきたいということですね。次お願いします。

     次に通信業界ですけれども、携帯モバイル、14年の回顧としまして、急速に4Gおよびスマートフォンの普及が進展していると。4G契約は3倍以上になっていまして、677万台。スマートフォンについては約5500万台が売られたということですね。3Gから4Gに傾向が移ってきているということです。

     15年の展望としましては、スマートフォンの急速な普及にともなう写真とか動画のデータ通信が増加することから、4Gの普及はますます促進されるであろうということですね。あと、ここにありますように、全体的にはやはりスマートフォンというものでデータのボリュームがだんだん大きくなってくるということで、今後この業界というのは拡大していく方向になってくるかと思います。次お願いいたします。

     次が通信業界で、2014年の回顧としましては、Telefonica/VIVOが業界第4位のGVTを買収したと。それとあと、Claro、NetおよびEmbratelが合併を発表したということですね。それと3キャリアを分割買収するとの報道があって、今後どのようにキャリアが動いていくか方向を模索との報道ということですね。

     15年ですけれども、展望と課題ということで、通信業界の再編がやはり活発化されるであろうということですね。あとデータセンター等の市場が大きくなってくるであろうと。コモディティ化したICT要素ですね、メール、サーバー等が柔軟でかつコスト効果の高いクラウド型へシフトが推進されるであろうということです。それとあと、インターネットがビジネス基盤化する中、大都市中心以外での、郊外での、例えば郊外での工業団地等のインフラですね、こういったものの整備が必要になって来るであろうということです。それと高速化、安定化、低価格化が求められてくるであろうということですね。次お願いします。

     次にIT業界ですけれども、IT業界としまして開発環境の集約化・標準化等によって開発やテスト工程のコスト削減を実現し、ソフトウェアファクトリビジネスの需要が堅調であったと。コスト削減やコア業務への注力を背景としたBPOやITOといったアウトソーシングですね、これは需要が引き続き堅調だったということですね。あとワールドカップの影響によってITプロジェクトの進行が多少遅れ、ビジネスの影響はないと。あと、大統領選挙を見越したIT投資の抑制や様子見によってIT市場全体の成長はやや鈍化傾向であったと。

     2015年の展望と課題としまして、経済減速の中でもITは戦略ツールとして位置づけられて、企業のIT支出は前年比5.7%増の125ビリオン(US$125.3billion)になると予想しております。企業としては競争力維持強化のためERPやCRMといったアプリケーション/ソフトへの投資を期待していると。あとビッグデータやマスターデータマネジメントといった大量のデータ管理需要の高まりに期待をしていると。あとは優秀な人材の確保、顧客からのコスト削減要求への対応が課題であると。あとはやはり電力不足、これへの対応のためのITインフラの強化・拡充が急務であるということですね。あと、これらの資料の後に言葉の説明を入れていますので、後で見て下さい。次のページお願いします。

     一番最後に、副題としての「再生目指すブラジル経済!どう頑張る日系ビジネス」ということで、我々運輸サービス部会としてやっとつながったところが出てきたんですけれども、ここに書いてありますように、今年の厳しいブラジル経済環境を乗り越えるために、日伯間の人の動きを活発化することにより、航空旅客が動き、ホテル利用がアップし、それにつれて物が動き、海運、物流につながり、資金が動き活性化につながると。そのやはり基本となるのは、ブラジル・日本の査証の簡素化、簡略化ですね。これが基本になると考えているということ。日伯修好120年を記念して、ぜひとも前向きに、ブラジル政府・日本政府間での動きを活発化していただき、日系企業を支えていただきたいということで、発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。

    司会

     森田部会長どうもありがとうございました。続きまして化学品部会、高橋部会長よろしくお願いいたします。

  • 化学品部会  高橋智 部会長

    Pdf化学品部会

     化学品部会の高橋です。14年の回顧と15年の展望ということで進めさせていただきます。次お願いします。

     こちらの会社様がですね、52社中28社、緑色で示しているところが回答を下さったところです。次お願いします。

     これで見ますと、ブラジルで創業された時期ですけれど、ピークが二つありまして、70年代と2000年以降。まあ特に2010年以降というところに一つピークがあるということでございます。次お願いします。

     38回答の事業分野ですけれども、化学品細かい所が非常に多いものですから、工業材料、消費財等々四つに分けまして、一応そこに書いてあるような分野ごとの回答をとりまとめてあります。次お願いします。

     会社さんはこういった会社さんになっておりまして、それでは次。化学品部会全体としては、14年の実績で見ますと、売上はやや、どちらかというと伸びたところが多くて、ですけどそれほど利益はついてこなかったという感じなんですね。15年をどう見ているかと申しますと、どちらかと言えばやや伸びるんじゃないかと。利益の方もですね、まあ伸びるかなという感じの、全体としてはそういう数字になっていますが、これだけでは良く分かりませんので次に分野別に進んでいきたいと思います。

     工業材料ですが、これは14年については、売上はどちらかといえばややアップした、でも利益はついてこなかったということで。プラスの要因ですけれども、これは各社さんの話によりますと新規の分野・顧客、ビジネス、市場参入、需要創出ということで、新規に新しいところを獲得したというところとか、金利等とか為替等のコスト改善策を実行したとか、スタッフのコストパフォーマンスが向上されたとかいうことがプラス要因ですね。マイナス要因は、工業材料ですので自動車関係のところが不振だったというのと、競争激化とそれから高金利、ドル高等で利益がついてこなかったというのが14年のことでございます。

     15年についてはですね、このグラフによれば、売上はまあ去年より伸びると言っているところが半分いかないわけですから、やはりぱっとしないわけで、かなり苦しんでいらっしゃる。しかし利益の方を見ると、利益の方はどうもちょっと伸びているのではないかということで。プラス要因は何ですかと聞きますと、品質の優位性であるとか、設備投資の効果が出たとか、買収シナジーとか、あるいは人員削減の効果であるとか、新車の生産開始とか、リスクヘッジ策とかということがありまして。こうやって見て参りますと大体プラス要因というのは各個別の企業さんの自助努力で、マイナス要因というのは大体このブラジルのコストに係るようなそういう全体的なことがマイナス要因だというようなご認識をされているところが多いと。ここのマイナス要因ですけれども、やはりレアル安による採算の悪化とか競争の激化とかですね、建築等も悪いとか、まあそういったことがあるということで、そうは言っても利益は伸びるというふうに見られています。次お願いします。

     次、消費財ですけれど、消費財の方は14年については売上・利益ともにまあ大体少し伸びているということなんですね。プラスの要因ですけれども、小売りが伸びたと。新ブランドの成長があったとか、代理店にたくさん買ってもらったとか、あと現地従業員が力を発揮してくれたというようなのもありますね。マイナス要因は、まあワールドカップ以降のもろもろの低迷ですね。それからANVISAの許可の遅れとか、アルゼンチン向けのビジネスがしぼんだとかいうのがあります。

     15年をどう見るかですけれど、15年は売上は良くなると、伸びて行くと。利益も伸びて来るというところが多くて、そこは新製品関連が定着する、販売促進される、新しいお得意さんを獲得したとか、新ブランドによる成長であるとかということで。マイナスの要因は、過剰在庫とか、ANVISAの待ち、材料費・人件費のアップ、PIS/COFINSの値上げなどというのがが書いてありました。次お願いします。

     次、農業・畜産ですけれども、農産物は作付面積も増加しまして、まあ円安になるものですから日本の本社筋の方としては円で入って来るお金は増えているわけですから、まあ良かったわけですけれども。マイナス要因はですね、干ばつ、それから技術的に遺伝子変換作物が大半を占めているものですから、主要な大豆とか綿とかそういうものが増えているんですけれども、新しい技術に対応できなければ具合が悪いということで。乾燥すると殺菌剤が出なかったということはあると。プラス要因はですね、15年の方ですけれども、まあ雨が降ってくれたらなということですが、実際はあまり降りませんで、今から雨が降ってももう最初の収穫、一作目は終わっていますからちょっとこれは遅かったんですけれども。15年の方は、ややちょっと利益の方はついてこないという見方です。これはやっぱり水不足と、顧客の与信環境とか、与信がまあ低下しているということですね。それと中国品との競争ということが挙げられておりました。次お願いします。

     石油製品ですけれども、こちらの方もですね、これはちょっと会社さんが2社なので、全般的な石油製品の傾向を反映しているかどうかは言えませんが、プラス要因はですね、新規販売先の獲得。マイナス要因はコスト高、人件費や原料費ですね。そういったことが挙げられておりました。

     続いて副題の方に移っていきたいと思います。

     「再生目指すブラジル経済!どう頑張る日系ビジネス」ですけれども、これをまとめて体系化していきますと抽象的になりまして、業界の個性が消えてしまうんですね。そんなわけで、ちょっとあまり芸がないんですが、羅列したというところで生々しさを出そうかなと思っております。

     現状の認識としてはですね、非常に厳しい認識で、先程来ありますように経済の引き締めをやっているものですから、経済は当面やっぱり悪化するというような、皆さんそうやって見ているわけなんですね。ですから、今は消耗戦だと、我慢の時だということで、だからまあ、設備投資するにしてもですね、コスト削減とか生産効率アップのためのことをやりましょうと。そういうやれることをやり無理をしないという定石のようなことが書いてあるんですが、しかし各社とも競合相手も条件は同じなので、今地盤を固めてですね、事業を縮小してでもシェアだけはまず維持して、将来に備えてまず自分のところを守っていきましょうという考えのようでした。少し目線を変えるとですね、そうは言ってももっと全体のことを考えれば、ブラジルの産業全体がやはり競争力をつけることが大事なんだと。個別の会社さんじゃなくてね。次のページお願いします。

     次のページも同じことで、国際市場への販売というかブラジル全体の競争力をつけていくようなことを考えて行きたいというところがあったようです。あとはですね、市場に飛び込めば商機はつかめるとかですね、勝てる土俵を発掘するとか、品質・技術・組織力で差別化するとか、需要を創る、絶対競合会社には負けない、競合というのはここでは諸外国の競合相手のことを指しているんですが、という、精神的にがんばっていきたいというのがありました。しかしながら現地化が下手でマーケティングが下手で、戦略面が弱いと。ハングリー精神が欠けているんじゃないかなという、そういったご意見もあると。

     ここまでは工業材料でございまして、次に消費財の方に移っていきたいと思います。消費財ですけれども、これはですね、打って変わってかなり好況でして、例えばブラジルの化粧品市場がですね、過去10年間年間10%成長しているということで、不況下でもあまり影響を受けないので、活発な新商品の開発が続くので、この機会に事業をどんどん拡大していこうというようなところがありました。

     一方でブラジルの再生ということからいくと、やっぱり税制、高金利、為替、労務リスク等々がやっぱり何とか解決していかなきゃいけないと。その一つの方策としてはですね、現地法人の在り方を変えて代理店とかの役割をちょっと変えて行った方がいいんじゃないかと。そういうことで、ブラジルの様々なリスクを回避するということが一つビジネスモデルとしてアイデアがあるんじゃないかと、そういった取り組みをされているところですとかありましたね。次お願いします。

     消費財の続きですけれども、やはりですね、逆風はあるんですけれども、日本企業には新しい製品とかより良い素材とかユニークなテクノロジーとか、日系企業ならではの素材・コストダウンができるんだということで、ブラジルの人は新しいもの好きだから、そういう形で市場を刺激していけばいいんじゃないかと。それをやるに当たってはですね、日本の目線じゃなくてブラジルのニーズに合わせた、ブラジルに合わせたやり方で行ったらいいんじゃないですかというような、そういった考えがありましたね。

     次、農業関係行きたいと思います。農業関係ですが、農業自体も好調でして、農薬について申しますと数年前にアメリカを抜いてブラジルが世界一の農薬市場になって、去年はU$12billion分もあったわけですね。そうすると農薬メーカーさんはさぞかし良いだろうというふうに思われるでしょうけれど、実は農薬にはセグメントがありまして、セグメントというのは使える作物と、防除対策ですね、虫に効くとか草に効くとか色々そういうのがあるわけで、それで分かれているものですから、今伸びているのは基本、大豆なので、米とか綿とかやっていてもあまり別に嬉しくない訳です。大豆で良い薬を持っていたり、殺虫剤を持っていたらそれは嬉しいわけですね。ですけれどそうじゃない会社さんはそれほどでもないというところがあって、まあ基本はお天気商売ですので、雨が降れば病気が出て殺菌剤が売れて、乾燥すれば虫が出て殺虫剤が売れるというようなところなわけです。

     先程も申しましたが、新しい技術で遺伝子変換作物等も出まして、それがまあ大半ですので、そういった新技術で色々変化してくるというのと、ブラジルの場合にはアメリカ、ヨーロッパ、日本とかと違って1年間で2作3作できるわけです。そうすると病原菌も虫も一年間休むことなく次の畑次の畑とこう渡っていくものですけら、草や虫や菌の変遷が激しいんですね。ですから同じ資材を持ってきてもそこのポジショニングがやっぱりかなり違ってどんどん移り変わっていくので、まあそうした中で、そういった変化も含めてですね、どういった価値を提供していくかといったところが今後の農業関係のところのブラジルのやり方の難しさでもあり、それを克服して貢献していきたいというふうに考えているということでございます。次お願いします。

     次、石油製品。これで最後ですけれども、2015年厳しくならざるを得ないということで、まあブラジル経済良くなるためにはやはり労働者の保護政策とか税制とか、そういったものの競争力を改善していくべきであるということとかですね、高性能と価格競争力はやはり両方追っていきたいというようなことが書いてありました。

     以上、全般まとめますと、2015年はとにかくまあ厳しいと。でもそれをどうやってがんばるか、日系企業としてどうやってがんばるかというと、やはり新規開拓とかですね、日本ならではのもの、そういった分野を創出していくということで、ブラジルの経済の再生については他の部会さんでも言われているような構造的なものにやはり向かっていかなければならないんじゃないかということで、化学品部会はこんな感じで各社張り切ってまい進しているというところでございます。ありがとうございました。

    司会

     高橋部会長どうもありがとうございました。続きまして建設不動産部会の藤井部会長、よろしくお願いいたします。

  • 建設不動産部会  藤井健 部会長

    Pdf建設不動産部会

     はじめまして。ケミカルグラウトの藤井と申します。ケミカルグラウトは最近、日本では福島で氷の壁を作っていまして、ブラジルではニッチな部分をやっている会社でございます。それでは資料を説明させていただきます。よろしくお願いします。

     不動産部会は昨年の実績と今期の課題をアンケートいたしました。その結果です。建設部会は、これはゼネコン部会ですけれども、昨年ブラジルの経済の低迷と日系企業の投資の落ち込みで受注が伸びませんでした。今期は新事業にチャレンジしたいとのことです。一つはブラジルが直面している水と電気の不足問題から、日本の最新式の省エネを、建築技術を導入します。もう一つは簡単なプレハブ分野に参入すると。また営業面では非日系分野に新規顧客を求めたいと言っておりました。

     次に不動産部会ですけれども、昨年売買が非常に鈍化しまして、土地が動かず、マンションが売れ残り出しました。賃貸分野では昨年より地域のネットワークを作りましたので、地域限定ですけれども、日本と同じようなサービスが提供できるようになりました。あとプレハブ専門分野はターゲットを仮設から本設に切り替えまして、それと同時に日本式の対応を行なった結果、昨年は大型受注に成功いたしました。

     特殊技術分野は、選挙の影響でインフラ工事が中断しました。オリンピック会場周辺の下水道工事はCEDAEにお金が無くなりまして、中断しました。でもリオの地下鉄工事は突貫でやっていました。今期新分野としまして、土壌汚染対策とか、日本でも珍しい新工法を導入します。

     それでは具体的な話を。次お願いします。

     これは建設部門の新たな取り組みです。ブラジル戸田建設は日本の環境技術をブラジルに普及できるように力を入れていまして、これは写真は「TODA BUILDING AOYAMA 」です。環境最先端技術から一般的な技術まで50の環境配慮技術を効率よくブレンドしまして、従来の購入電力量を40%削減することにしました。その代表的な技術というのは、一つはダブルスキンカーテンウォール。もう一つは地中熱の利用です。詳細は割愛します。次お願いします。

     環境配慮技術をブラジルで普及する足掛かりとしまして、昨年11月にクリチバ市のPUC大学で環境セミナーを開催いたしました。「ブラジルと日本で実践される持続可能な建築とまちづくり」としたセミナーは、日本の建設業界を代表する隈研吾先生を呼びまして、建築関係者および学生、700人ぐらいが参加しました。ブラジルにおける環境配慮技術の可能性が大いに実感できたものとなったそうです。次お願いします。

     これが賃貸マンションの動向です。サンパウロとリオとも上昇がかなり鈍化いたしました。リオはここ数年冬場は賃料が停滞し夏場に大きく上昇する傾向にあったんですけれども、昨年はワールドカップが影響したのか7月まで上昇し8月以降低下。夏場になってもなお低下です。サンパウロは9月から11月まで連続して低下しています。2ヶ月連続で低下するのは2009年以来だそうです。

     あと土地の価格に関しましては、6ヶ月間据え置いております。これ実は、スターツさんから、世界の32都市の賃貸価格が書いてある本があります。これが必要な方がいましたらスターツさんに電話していただければお届けするそうです。よろしくお願いします。では次お願いします。

     次は近年好調なプレハブ業界です。現場の仮設事務所や倉庫を主力としてやって参りましたが、ブラジルの経済が停滞したためにですね、中止や延期が相次ぎまして、価格の競争の激化にも悩まされるようになりました。そこでNAGAWA社はより活況を見込める本設市場に参入しました。建設市場で比較的安価なプレハブを提供することで競争率を高めるようになりました。次お願いします。

     この安定した進出と短い工期を実現するための工夫、あとはお客様のニーズの対応、この辺は日本的なやり方で信頼が高まってきました。昨年は大きく受注を伸ばしました。最近では中古車販売店、あとは小規模の教会、教会もプレハブですね。あとセルジッペ州の国立大学の研修棟なども受注したそうです。現在営業部員を動員いたしまして、ブラジル企業、日系企業ともに営業を強化しているということです。

     次は特殊技術です。近年欧米や日本で問題になっている水が通りにくい土、粘性土層ですね、このVOC汚染の浄化方法としてアメリカ企業と共同開発をしましたBIOJETをブラジルに導入します。この粘性土汚染というのは、地下水を何度処理しましても粘性土に付着した汚染物がリバウンドしてしまう汚染のことなんです。従来の方法は鉄粉や酸化剤を注入して地下水を直接反応させていましたが、粘性土の中にしみ込んだものは汚染浄化ができませんでした。この工法は地盤に生息している微生物を活性させまして、粘性土の汚染物を微生物が浄化する手法をとっています。具体的には所定の深度で高圧水を使いまして土壌に切れ込みを入れ、それに微生物を充填する、そしてその微生物がそれを栄養素にしまして活性化するというものです。サンパウロの比較的赤土がターゲットです。また、ちなみにブラジルでは汚染を知らずに土地を購入した場合、日本と異なり買った者負けだそうです。ご注意ください。次お願いします。

     次は日本でも珍しい、水に溶けないセメント材です。これはブラジルのコンサルの先生に見ていただいたんですけれども、非常に驚かれました。どこで使うかと考えている最中です。海工事や河川工事に最適です。次お願いします。

     ブラジル基礎協会の展示会に日本の土木技術として初めて出展いたします。この協会は全てブラジルの大学の先生とコンサルの先生、ゼネコンを含まないブラジルの特殊土木企業だけであります。本来日本企業は会員になれません。そこはブラジルですが、アミーゴになって会員になりました。この展示会第8回です。関係者約5000名が訪れるそうです。サンパウロで6月23~25日に開催します。次お願いします。

     次は、なぜ道路に穴が開くのかをちょっと話をさせてもらいます。実はこれ写真、マジナル・チエテです。100キロで走れるところです。これ10月から12月の間に同じ個所が3回陥没しました。陥没理由というのは、下水道工事で下水管を埋め終わった後、地下6メートルに10立米の空洞が残りました。その処置ができなかったことに起因します。一回目の陥没は元請けが自ら空洞処理、バケツで地上からセメントミルクを流し込んだそうです。加圧もできていなければ何にもできません。2回目の陥没で日本企業が呼ばれまして、見積もり2万8000レアル。それを提出したんですが、連絡が途絶えました。1か月後、3回目の陥没です。もう役所が罰金の脅しをかけ、日本企業にやっと依頼が入りまして、1月に右側の成功しました。まあ結論としましては、技術も金もなくて、確実に最後まで見届ける施工管理も非常にない。まあゴルフ回りは十分ご注意ください。次回はチエテ川がなぜ臭いかにしたいと思います。

     最後です。まとめです。経済の低迷とともに、ブラジルの建設業界は汚職の風が吹いています。また、不動産の売れ行きも低迷し出しました。ブラジル特有のインフレと労働費の高騰、もう全て負の状況です。でもそこで、昨年見積もり競争で負けて受注できなかった工事の後始末をさせられた企業が数社いました。施主は残念ながらお金が余計にかかっていると思います。なぜかと言いますと、日本では考えられない、安く取って赤字になったら契約書をたてに逃げ出す企業。まあちなみに地下鉄4号線ももうすぐ逃げだすそうですけれど、これこそが日本で当たり前のことを行う建設不動産部会のビジネスチャンスだと思います。以上で発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。

    司会

     藤井部会長どうもありがとうございました。続きまして本日最後の部会からの発表となります。繊維部会の横山部会長、よろしくお願いします。恐縮ですが、若干短縮バージョンでよろしくお願いします。申し訳ございません。

  • 繊維部会 横山眞一 部会長

    Pdf繊維部会

     繊維部会、横山です。最後の発表です。急ぎますので、もうしばらくご辛抱ください。次のスライドをお願いします。

     繊維部会の方はですね、原料の綿花、それから中間製品のテキスタイル、綿糸、それから最終製品のアパレルおよびその動向という形で分けて報告させていただきます。

     この最初のスライドは綿花の需給バランス。これを出しておりますが、左側の世界需給についてはですね、昨年過去最高の93%の在庫率ということで非常に高い水準の在庫を持って終了したと。さらに、この傾向は今年、2015年も続いております。数字としては若干生産が減少、若干消費が増えるという状況にはなっていますが、さらに在庫が増えて、最終的には約1年分、在庫率97%というのは要は1年間の消費の97%に相当するものが在庫として残っていると。そういうふうにご理解ください。ということで、非常に大きな過剰在庫を抱えたマーケットの状況になっているということです。

     右側の表ではブラジルの国内の需給予想を出しておりますが、2015年については11%減少の154万トンが予想されております。ただ、ブラジルの国内の消費が85万トンということで、基本的には国内消費分の供給については全く問題ないというふうに予想しております。ただし、量的には十分あるんですが、今年の綿についても非常に作柄が悪いという報告がたくさん出ております。その関係で特に品質面については当然のことながらどのような形になるかこれからの状況が懸念されております。次のスライドをお願いします。

     こちらは価格の方なんですが、綿花の価格については昨年の後半から大きく変わってきております。昨年年初から年半ばまでは80セント台を維持しておりましたが、最終的にはそれから下落に転じて月末では60セントということで、一番上の表で昨年2013年の年末および2014年年末、同時期の比較表をつけておりますが、年間で約28.8%、30%近い価格低下を記録した。ただしこれは先程言いました需給バランスのことを考えれば、ようやく当然あるべき水準までようやく調整がかかってきたというふうに理解しております。

     逆に先程言いましたように、非常に在庫過剰な状態、これが改善の方向に向かうのは2016年、再来年からというふうに、そういう形で進んでいくというふうに予想されていますので、基本的にはこの2015年に大きな綿花の価格的な上昇の要因というのは非常に少ないというふうに考えております。あとブラジルの国内相場につきましても、基本的にやはり1年間で約22%、まあ一番高い時期から言うともう少し大きいですが、最終年末には1.66レアル、これはper poundですけれど、の水準にダウン。ちなみにこの1.66という数字は今現在ブラジル政府が決めている最低価格の水準まで年末には落ちているということで、非常に低い水準で原料価格は推移しているということでご理解ください。次のスライドをお願いいたします。

     続きまして綿糸およびテキスタイルの方に移りますが、いわゆる原料以降の製品については今ブラジルの繊維業界では非常に輸出競争力が低いので、基本的には国内のマーケットをターゲットにしている。そのために輸入品との、当然のことながら競合あるいはそこら辺の住み分けというようなことが進められている状態にあります。

     この表は綿糸の輸出入をまとめたものですが、まあ近々の一番高い所から昨年2014年というのは大体3分の1程度まで数字が減っている。トレンドとしては輸出、輸入とも同じようなトレンドですが、ただし数量が全く違う。輸出についてはわずかの約500トン。それに対して昨年の輸入実績は約2万1000トンという状況になっています。ちなみに輸入相手国の1位は引き続きインドです。ただ昨年の統計から見ますと、特にアルゼンチンあるいは中国からの輸入というのがここに来てちょっと増えております。次のスライドをお願いします。

     こちらはテキスタイル関係の貿易収支と生産量を表したものですが、やはりテキスタイルについても、いわゆる輸出よりも輸入が超過している状態となっております。昨年1年間で輸入については約8%の増加。ただその中でもですね、特にいわゆる天然繊維である綿を使ったテキスタイルよりか、若干増加して、逆にいわゆる合繊関係、ポリエステル、ナイロンあたりを素材とした製品の輸入が増えてきております。特にこの綿糸、それからテキスタイルの国内市況について、生産についてはまだ具体的な統計数字は発表されておりませんが、今の様相では昨年若干の減少、あるいは一部部門では横並びがいい所じゃないかというふうに予想されております。ただし当然ながらも今年のコストアップ要因で採算的には非常に厳しいものになっていると。

     抜けておりましたが、綿糸の国内市況の方ちょっと説明させていただきますと、一番下にその価格推移が出ておりますが、昨年は前半、特にワールドカップが終わった後の8月までは非常に苦戦。その後に若干回復基調に乗ったという状況です。特に前半は原料が上がった関係で価格的にはコストの後追いで上がってはおりますが、その反面、半ばの6月8月は過剰な在庫を処理していくために相場は下落。それが完了した9月以降からようやくまあ上昇という形で、綿糸としては年間で約3%程度の価格の上昇というのが記録されております。

     次はアパレル、それから小売り関係の方に移りますが、先程も触れておりましたが、特にこのアパレル関係が一番そういう意味では輸入品との競合が厳しい、そういう部門でございます。特に昨年1年間の状況というのは、先程の綿糸のところでも出ましたように、非常に最初の、天候による、母の日のセールが非常に不調に終わったことから始まり、最終的なクリスマス、年末商戦も中々期待通りには売れなかったというようなことも含めて、年間を通じて非常に低調に推移した1年でありました。

     ただし、この状況の中でもやはり輸入品については引き続き増加を続けている。まあ重量ベースで12%、金額ベースで8%というふうになっておりますが、特にその中でも我々が注目する衣料品、アパレルについては、今までの年々の伸び率が昨年に限っては一桁台にまでちょっとペースダウンしておりますが、状況の悪い中でのさらに増加ということで非常に難しい状況となっている。

     特に、先程もちょっと出ていましたが、このアパレル部門についてはいわゆる重量の増加よりも金額もアップしているということで、今までのような簡単なシンプルなものの輸入から、次のさらに手の込んだ中級品以上のものについても輸入がどんどん入ってきているというのが現状でございます。特に輸入相手国につきましても、従来通りやはり中国が一番となっておりますが、ただ中国も人件費がどんどん上がってきているということで、特にそれ以外の東南アジア、あるいは他のアジア諸国、具体的にはベトナムあるいはインドネシア、インド、この辺りがまあどんどん増えてきているという状況です。

     これも参考までに、我々の業界の方の中でも生産をされている、いわゆる衣料用のファスナー。こちらの方の状況につきましてはやはり先程のように国内の生産が落ちているということで、逆にファスナーの輸入も同じように落ちているということで報告をいただいています。数字的には前年比約4%という数字になっておりますが、この傾向につきましては特に製品での輸入増加が増えているジーンズ関係、それから非常に販売の不調であったブーツ関係。特にアルゼンチン向けの輸出などが低下したということで、このような部分では減っていると。その反面婦人服分野を中心とした機能商品としてのコンシールファスナーというのは、機能商品というものについては実際に現在も増加している。さらに今後増加が期待されるというアイテムとなっています。

     結果として2015年についても輸入品の増加というのが基本的には、特にこのアパレル分野については依然継続されるというのが予想されています。ただ、特にこの2015年の為替動向によって、やはり輸入価格、輸入コスト自体が上がってきている、その部分についてはいわゆる国産品、我々がある程度輸入品とも対抗していけるその余地が若干広がって来るというふうにまあ理解をしております。そういう意味ではその部分がどのような形で我々のプラス要因として今年活用できるかということは非常に期待しております。次お願いいたします。

     簡単にそれぞれの分野に分かれて報告させていただきましたが、まとめとしては、この2014年につきましては、基本的に元々の期待に大きく反して非常に厳しい状況の1年となったというのが我々の業界の認識です。その内容、これは他の部門とも重複いたしますが、非常に経済の状況、あるいはワールドカップや大統領選挙などの影響によって小売りの販売が落ちた。あるいは水不足、電力不足、労働力の不足というようなことで、コストのアップ、さらに生産効率の低下というものを呼んでいると、そういうような部分が非常に大きかったというふうに報告を受けております。

     2015年の展望といたしましては、基本的にはやはり他の業界の報告にもありましたように、大きなプラス材料というのはあまり見られない一年。そういう意味では非常に辛抱の一年になるのかなというふうに考えております。我々の業界の中でも、今年の2015年の生産数量というのは良くて横ばい、あるいはどの程度低下するかというようなことが今もうすでに予想されているということで、とにかくこの足元の消費が弱く、消費動向が低下しているということがやはり一番大きい。

     この中で唯一、先程申しました、我々のように特に輸入品との競合という部分で色々この為替動向によってあるいは輸入品の数量が抑制される。あるいは我々の価格を上げて行くだけの伸び代が取れるというようなところでの力をですね、いかに活用していけるのかどうかということですが、まあ残念ながら消費者の動向がやはり、まあ安値志向の方にどうしても状況が悪いと走っていくということで、ここの部分もどれだけ享受できるか、非常に難しい展開になると予想しております。

     ただ我々としては、2016年以降の回復を期待して、いかにこの2015年を辛抱して耐え忍ぶか、これを我々の繊維業界として考えて行かなければならないと。その回復の準備のためには当然色々な企業努力、コストダウン、あるいは新しい市場の開拓、あるいは製品開発というものも当然必要となってまいります。ただその反面、足元、特にメーカー、ものづくりをする立場として、基本的にしっかり輸入品とも競合して戦える、やはり環境づくりというものを整えて行かないと、実際問題として我々の繊維業界、日系あるいはブラジル系に限らず、どんどん各年撤退あるいは縮小というのが進んでいるという中で、やはり先程言いましたような電力の供給、あるいはその価格、あるいは税金対策、労働法の見直し、それと今進められている経済政策をしっかり促進してもらって、2016年には間違いなく明るくなるんだという景気回復の期待感を出してもらうという、そういう心理的な部分というのも非常に大きいというふうに考えております。

     そういう意味では、繊維業界、各社の自助努力もさることながら、そういう形での今後の政府あるいは各役所でのそういう企業に対する、企業の競争力をつけるそういう動きをですね、期待しておる状況でございます。

     これをもって繊維部会の報告とさせていただきます。ありがとうございました。

    司会

     横山部会長どうもありがとうございました。以上を持ちまして各部会からの報告を終了いたします。後半につきましては時間が押してしまいまして、質疑応答の時間を取ることができずに、本当に申し訳ございませんでした。皆さん色々ご質問がおありかと思いますので、各部会にですね、直接お問い合わせいただければと思います。

     そうしましたら、続きまして佐野浩明在サンパウロ日本国首席領事に本日のご講評をいただきたいと思います。佐野首席領事、よろしくお願いいたします。

  • 講評 佐野浩明 在サンパウロ日本国総領事館首席領事

     在サンパウロ総領事館の佐野でございます。よろしくお願いいたします。本来であればですね、福嶌がこちらに立って講評するということが普通だと思ったんですけれども、ちょっと事情があって今日来れませんで、私が話をしますので、講評というより雑談という形で聞いていただければと思っております。

     本日は色々と勉強させていただきまして本当にどうもありがとうございました。これを聞けば本当にブラジルの経済とですね、日本とブラジルの経済関係がすぐ分かるという素晴らしいフォーラムだと思っております。

     実はちょっと、今日はですね、いわゆる、後退ですとか、低迷とか、それから再生、それからビジネスの困難とかですね、そういう話ばかりの中でこういう話をするのはどうかと思ったんですけれども、森田部会長がちらっと一言おっしゃられたので、それに合わせて一言申し上げたいのが、今年はいわゆる日伯修好120周年ということで、森田部会長は多分、踊ってばかりいないで仕事をやれよという意味でおっしゃったのかもしれないんですけれども、120周年ということで本当に商工会議所、企業の皆様方には色々ご協力いただきまして、これからあと年末まで続きますけれども、改めましてですね、この場を借りて感謝申し上げたいと思います。どうもありがとうございます。

     色んな経済の状態は別にしまして、という言い方はちょっとおかしいんですけれども、日本とブラジルの関係というのはやはり、私も2年ぐらいになるんですけれども、本当にどんどんどんどん良くなってきていると。政治的な関係というのは非常に密接になってきていると。特に昨年の総理の訪問ですね。それから今年は、可能であれば、我々が期待しているのはやはりルセフ大統領の訪日。そして120周年ということなので、皇室のご訪問とかですね、そういうことを期待して、より密接な関係が進めば良いかなと思っています。

     そういう意味で、明るい話ばかりすると、お前そんな浮かれちゃだめだというようなお叱りを受けそうなんですけれども、やはり明るい見通し、明るい見方というのは少しあるというのはやはり重要だなと思いまして、一昨日ですか昨日ですか、エスタード・デ・サンパウロにジョアキン・レヴィ財務大臣のインタビュー記事が載っていましたけれども、何と言っていたかというと、経済は成長するということを信じることが重要だという、非常に重要な、やはり一言で申し上げていかに信頼感を作り上げるかということかと思います。これはやはり経済政策、財政政策異なる面はございますけれども、やはりアベノミクスの始まりの時、いかにこれから経済が成長するんだという期待感を盛り上げるという、そういう観点で同じなんだろうと思っています。

     ただ、一部の方おっしゃられたんですけれども、やはりレヴィ財務大臣、それから経済チームだけがですね、これをきちっと期待感を盛り上げて、なおかつ信頼感を確立してくれるかというと、必ずしもそうではないと思っています。やはり、レヴィ大臣もおっしゃっているんですけれども、財政政策それから税制ですね、それからもう一つは社会保障政策、いろんな広い分野にまたがると。したがってルセフ政権全体が果たしてきちっと説明できるかどうかということにかかっていると思いますので、そういう意味ではやはり今後の、いわゆるルセフ政権全体のいわゆるスクラムがどうなっていくかが重要だと思います。

     そういう観点からいきますとですね、やはり、色々なですね、今ルセフ政権支持率が下がってきて、弾劾とかそういう話も新聞記事で出るんですけれども、本当に経済政策がですね、信頼感をもっていけるというのは政治面が重要だろうと。あまり政治のことを色々言うとあれなんですけれども、社会面が安定しなくちゃいけないんだろうなと思っています。

     この前Veja誌にも書いてあったんですけれども、いわゆる弾劾、弾劾というのはどういうことかというと、いわゆる行政府の長が南米で追いやられる、つまり任期を待たずに退任するという場合にどういう要素が出て来るかというと、一つは経済の後退、もう一つはいわゆる汚職、そしてもう一つはですね、いわゆる国会で少数勢力しかないということです。この三つにプラスいわゆる社会的な色んな騒乱とかそういうものがあってですね、そういうことが良く起こると。

     ブラジルはどうかと言うと、今どういうことが考えられるかと言うと、最初の二つは当たっていますし、三つ目はどうかというと、与党の中に若干不協和音があって、この前の下院議長の投票のようにですね、ありますので、ちょっと若干だいじょうぶかなというところはあると。これに社会的な色んな騒乱みたいのがあるとどうなっていくかということなんですけれども、やはり水問題とかですね、そういうことにやはり注意していかないといけないだろうなというふうに思っているところです。

     暗い話ばかりじゃなくてですね、ちょっと長くなってしまったんですけれども、一言申し上げたかったのは、実は、またこれも浮かれて何を言っているんだと言われるかもしれないんですけれども、実は今回色んなその日本とブラジルの色んな政治の交流の中でですね、やはり我々としても頑張らなくちゃいけないなと思うのが、実はジャパンハウスの設立です。ジャパンハウスというのはちょっと見ると文化センターで、また浮かれて踊っているんだと思われるとあれなんですけれども、実はこのジャパンハウスはロンドンとロサンゼルスとそしてサンパウロ、3都市で作るということなんですが、実はサンパウロの意見ですごく、色々我々議論していたんですが、重要なのはですね、やはりこのジャパンハウスというのは何かと言うと、日本の良い所を売って行くということなんですね。だから文化だけじゃないんだよと。基本的に日本のテクノロジーであったり、それから色んなビジネスであったり、きちっと最先端を売っていくんだという要素をどんどん盛り込みましょうというようなことを我々話をしてですね、それからこちらの商工会議所の皆様にも色々、うちの政務関係者等に色々言っていただいて、そういうようなコンセプトができてきているということです。

     ジャパンハウスで売りたいのは多分、mais legal、mais eficiente、mais atraenteということで、やはりですね、より格好良くて、より効率的なもので、なおかつより魅力的なものというのを売っていきたいと。これは文化だけじゃなくて、色んなビジネスにつながるものとしてやりたいと思っています。

     今日も色んな事をお話されていたんですけれども、例えば新たな価値の創造と育成、日本ブランドを売るんだというようなお話。それからやはりですね、顧客に日本らしさを伝えると。それから、長い目で見てどうやって日本らしさを伝えて行くかということですとか、それから現地化というような問題も色々出てきたと思うんですけれども、ジャパンハウス全体のコンセプトというのは、やはり我々ブラジル人に直接売るということをどうするかということを考えてますので、今でも色んなブラジルの経済界であったりとか、それから文化関係者とも色々話をしているところなんです。そういう人たちにも入っていただいて、ジャパンハウスを使っていこうというふうに思っていますので、もちろん商工会、会頭をはじめですね、ぜひ色々ご意見を言っていただいてですね、作り上げて行きたいと思っているところです。

     ぜひですね、また外務省が変なことをやっているよというふうな見方をされることもあるんですけれども、ブラジルで重要なのはaproveiteなんですね。ちょっとあるんだから利用してやろうじゃないか、利用してもらえるようなものを作り上げたいと思っていますので、利用しやすいものをですね、ぜひ皆さん、我々にぶつけていただいて、良いものを作っていきたいと思っております。

     最後はこちらから一方的なお話になりましたけれども、今後ともよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

    司会

     佐野首席領事、どうもありがとうございました。続きまして小林和昭在ブラジル日本国大使館参事官よりコメントをいただきたいと思います。小林参事官、よろしくお願いいたします。

  • コメント 小林和昭 在ブラジル日本国大使館参事官

     在ブラジル日本国大使館で参事官をしております小林です。今日は貴重な情報を教えていただきましてありがとうございました。このような場を毎回、2月と8月に準備していただいている商工会議所には本当に感謝を申し上げたいと思います。

     今日の内容はある意味予想通り、マクロ経済不調、為替安、インフレ、水不足、ペトロブラス汚職、一次産品価格下落など、厳しい内容のものが多かったと思いますが、ただその中でも皆様から力強いコメントが端々に見られることができて、非常にその意見を聞いて元気づけられた気がします。本当に皆様の、日本企業の方々の強さというのを今日は感じたと思っております。

     私は普段ブラジリアにおりますが、ブラジリアは去年の選挙が終わり、カーニバルが終わってやっと政権の体制が全容が見えてきたという段階で、まあ相変わらずブラジルはそういうテンポで仕事なんだなというところを感じるところがありますが、やはりブラジリアでも、新政権ではやはり新経済チームの動きというのが一番注目されていて、皆様、ブラジリアでは比較的肯定的に受け取られている部分よく聞いております。

     ただこの経済チームの動きで、あまり目立っていないですけれども、私自身が変化として感じていることというのは、政府の関係者とのアポイントというのが非常に今取りやすくなっているというところにあります。これはルセフ大統領が当選後に、第二期ルセフ政権は対話を重視するということを繰り返しおっしゃっていて、それの実際に政権の中で浸透して、そういったことが実際に行なわれているということだと思います。また、経済が苦しくなってきていますので、ブラジル政府の中でも日本企業、日本政府に対する期待というのも大きくなっています。

     まあブラジル政府が普段はずっと強気なんですが、少し弱気になっているというところなのかなと思うところもございますが、こういった時は多分ブラジル政府との対話も非常に行ないやすい環境になっていると思います。まさに皆様が今たくさん抱えているビジネス環境の改善の要望というのを実現するには、ここから1、2年というのは非常にチャンスじゃないかと考えております。

     ちょうど時期を同じくして商工会議所の機能強化委員会が提言をまとめようとしているところでございますし、今日のシンポジウムでもたくさんの要望・提言をいただきました。大使館としてもそれらの実現に向けて一丸となって動いていきたいと考えております。

     日本は去年の総理訪伯で非常に良い流れ、二国間関係は良い流れができておりますので、そのフォローアップをしながらまさに皆様のビジネス環境整備が改善されるように、また今年可能性の高いルセフ大統領の訪日も最大限活かしながらそういった実現に向けて動いていきたいと思います。

     ブラジリアの大使館は、ブラジリアにいてサンパウロの情報は中々取りにくい状況もございますが、サンパウロの総領事館と連携しながら、企業の皆様との連携も一層強化していきたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

    司会

     小林参事官、どうもありがとうございました。では最後になりますけれども、相原総務委員長より閉会の辞をいただきます。相原委員長、よろしくお願いします。

  • 閉会の辞 相原良彦 総務委員長

     皆様本日は長い時間ご清聴いただきまして誠にありがとうございました。これで本当に終わりなので、長い話にしたくないんですけれども、佐野首席領事様、それから小林参事官様、貴重なお話をありがとうございました。お陰をもちまして、無事プログラムすべて終了いたしました。このシンポジウムのために発表していただいた方、そして準備していただいた方、本当にありがとうございました。主催者を代表いたしまして、心より御礼申し上げます。

     それから今日発表していただいたパワーポイントの資料についてはすでに会議所のホームページに掲載してあります。そして今日の発表全文もですね、事務局にてテープ起こしをして、近いうちに会議所のサイトにアップいたしますので、それもぜひご覧いただいて活用していただけたらと思います。それではこれを持ちまして閉会といたします。本日はどうもありがとうございました。

     

 

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