最終フォーカスレポートは今年のIPCA指数を5,06% 、来年は3,98% にそれぞれ下方修正(2023年6月26日付けヴァロール紙)

ブラジル中央銀行の最終フォーカスレポートによると、今年のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前回予想の5,12%から5,06%、2024年は4%から3,98%にそれぞれ下方修正したが、2025年のIPCA指数は前回同様の3,80%に据置いている。

今年末の政策誘導金利Selicは前回予想の12,25%に据置、2024年末のSelic金利は9,50%、2025年末のSelic金利は9,00%に据置いている。

21日開催のブラジル中央銀行の通貨政策委員会 (Copom) は、最近のインフレ指数のなだらかな下降傾向でルーラ政権は、政策誘導金利Selicの引下圧力が増しているにも拘らず、前回同様に13.75%に据置いている。

ブラジル中央銀行の通貨政策委員会 (Copom)のSelic金利の13.75%の据え置きは、金融市場の予想を一致しており、Valor社が122社の金融機関対象の調査では、2社を除く120社がSelic金利の13.75%の据え置きを予想していた経緯があった。

ブラジル中銀の今年のIPCA指数の中央目標値を3.25%、2024年及び2025年の中央目標値を3.00%、許容範囲は±1.50%を設定している。

今年のGDP伸び率は前回予想の2,14%から2,18%に上方修正、2024年のGDP伸び率は1,20% から1,22%.、2025年のGDP伸び率は前回予想の1,80% から1,83%に上方修正している。

今年末のレアル通貨に対するドルの為替は前回同様にR$ 5,00に据置いたが、2024末の為替はR$5,10、2025年末の為替はR$ 5,18からR$ 5,15に修正している。

的中率が最も高いトップ5の今年のIPCA指数は前回予想の4,88%から4,91%に微調整したが、2024年は3,77%に据置、2025年は3,90% から3,80%に下方修正している。

seleto grupo permaneceu em 12,25% para o fim de 2023, 9,50% para 2024 e 9% em 2025.今年末のSelic金利は12,25%に据置、2024年末は9,50%、2025年末は9%にそれぞれ据え置いている。今年末のドルの為替はR$ 5,00、2024年末はR$ 5,10、2025年末はR$ 5,10にそれぞれ据え置いている。

 

6月の消費者の信頼指数は2019 年2月以降では最高レベルに回復(2023年6月26日付けヴァロール紙)

ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)の調査によると、2023年6月の一般消費者の景況感指数(ICC) は、前月比4,1ポイント上昇の92,3ポイントに達し、2019 年2月の94,5ポイント以降では最高のレベルまで回復している。

また今年第2四半期の一般消費者の月間平均景況感指数(ICC) は、3カ月連続で増加の1,8ポイント上昇の89,1ポイントを記録している。

6月の消費者信頼感の回復は、すべての所得層に波及したことに加え、現状認識の改善と今後数カ月間の見通しの両方によってもたらされたとジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)エコノミストのAnna Carolina Gouveia氏は指摘している。

「今後数カ月間の耐久消費財の消費意向を示す指標が6月の結果の主な要因であり、インフレの緩和とインフレ予想の観点から消費意向の悲観が後退していることを示唆しており、今後の金利も変動する」と予想している。

先行き消費指数 (IE) は 2 か月連続で改善し、3.6 ポイント上昇して 104.0 ポイントとなり、現状消費指数 (ISA) は 4.4 ポイント上昇して 75.7 ポイントに達し、Covid-19パンデミックの初めの2020 年 3 月 に記録した76.1 ポイント以来の最高水準に達している。

景況感指数(ICC) を構成する項目の中で最も指数の改善に影響を与えたのは耐久消費財の購入意向を示す指標で、11.7ポイント上昇の91.6ポイントとなり、2014年10月に記録した92.5ポイント以降では初めて90ポイント台に達した。

ブラジル経済状況に対する景況感の楽観度を示す指標も2.3ポイント上昇し、118.4ポイントとなっている。

6月の懇親昼食会開催

2023年6月の懇親昼食会は2023年6月23日正午から午後2時過ぎまでブルーツリーモルンビーホテルに120人以上が参加して開催、司会は村田俊典事務局長が務めた。

初めに特別参加者紹介として、 Samuel Kinoshita サンパウロ州 財務・企画担当局長、桑名良輔 在サンパウロ日本国総領事、日系主要団体から文協のロベルト・西尾副会長、援護協会のパウロ佐々木会長が紹介された。

 小寺 勇輝会頭は会頭挨拶として、6月18日は日本移民115周年記念日で各種イベントが開催されており、6月13日にはブラジリアで日伯議員連盟より西森議員やカタギリ議員、林大使、JICAの田中理事長参加で日本移民115年周年式典開催。6月19日にはサンパウロ市議会でアウレリオ・ノムラ市会議員を委員長に日本移民115周年記念式典開催。また来週月曜日にサンパウロ州議会でも式典が予定されており、日本移民のブラジル社会への貢献を実感。レガシーを残しており、「温故知新」の言葉を生かし、商工会議所活性化で日伯社会に貢献したいを説明した。

小寺 勇輝会頭

桑名良輔 在サンパウロ日本国総領事は総領事館からの報告として、G7広島サミットに出席するため訪日中のルーラ大統領の広島訪問及び日ブラジル首脳会談では、世界が複合的危機に直面する中、気候、食料、開発や平和と安定といった国際社会が直面する諸課題に幅広いパートナーが協力して対応の重要性、ウクライナ情勢、東アジア情勢等について意見交換、日伯関係では経済分野における両国の協力のポテンシャルは高く、官民で貿易・投資関係を更に高い次元に持っていくことで一致。ブラジルの一般旅券所持者に対する短期滞在査証免除措置の導入に向けた手続を日本政府として開始する旨表明。また環境・気候変動などについても意見交換が行われた。

桑名良輔 在サンパウロ日本国総領事

小寺 勇輝会頭は講師歓迎の辞で、流暢なポルトガル語でSamuel Kinoshita サンパウロ州 財務・企画担当局長の略歴を紹介、行政の近代化やビジネス環境整備や改善について貴重なセミナーになると説明した。

Samuel Kinoshita サンパウロ州 財務・企画担当局長は、サンパウロ州政府の財政環境・ビジネス障害について、ボルソナロ前政権でインフラ相を務めたサンパウロ州のフレイタス州知事は、ポストイピランガと揶揄されていたパウロ・ゲーデス財務相が少ない予算で辣腕を振るったフレイタス氏を大いに褒めていたフレイタス州知事の下で財務・企画担当局長は、サンパウロ州政府の財務の立て直しを図っているが、ビジネス環境整備の重要性を説明。国際的な財務体制の構築。スムーズにビジネスできる税務・財務体制の構築を目指していると説明。世界的平均として年間200時間で処理できる税務管理に1500時間を要しているために、早急な税制改革の必要性、税制の簡素化、税制業務の近代化。累積しているICMS税の還付金の解消。生産性改善に繋がる構造改革の実施。ボルソナロ政権の年金改革の実現、上下水道改革の進展。財政改革の健全化、消費に対する税制改革。サンパウロ州の税収が大幅に下がるために税制改革に反対していたが、ブラジルで抜きんでているインフラ、財政環境、人材を擁しているサンパウロ州政府は税制改革後の勝機。税制トランザクション制。スマート税務局。データーインテリジェンスや人工知能の活用などについて説明。質疑応答では連邦政府の財政を支えているのは僅か8州だけで大半が赤字財政なために、税制改革でサンパウロ州政府が犠牲になる可能性などが挙げられた。

Samuel Kinoshita サンパウロ州 財務・企画担当局長

連絡事項では、運輸サービス部会・課税通関WGの谷口雅治氏は、「新たな通関基準のスタート」をテーマに、輸入・輸出事業、通関上、これからの変革として、2023年、6月よりDU-IMPの使用が一般にスタート。2024年末までに、現SISCOMEXは使用停止予定。AEO制度とは貨物のセキュリティ管理と法令遵守(コンプライアンス)の体制が整備された事業者に対し、税関が承認・認定し、税関手続の緩和・簡素化策を提供する制度。今年、2023年7月より実施される貨物のコントロール、運搬、運行調整のためのCCTの導入。従来のシスコメックスの機能拡張。DU-IMPフローチャートの説明。HS-CODE とNCMの相違点。製品カタログを構成する情報。今までの関税コード設定とカタログ制度での設定法。法的根拠などにつぃて説明した。

CitibankのKaren Pinto氏は「Women in Businessの設立」について、7月26日午前8時からモーニングハッピーアワーを紹介。男女問わずの参加を促した。

JICAブラジル事務所の 江口雅之所長は、「低炭素農業・大豆に係る調査結果報告ワークショップ」では6月30日午前10時からのワークショップは低炭素農業での日本企業のビジネス参入。大豆に係る調査、日本市場拡大について説明した。

着任挨拶ではKuraray South America 社の Katsuhiro Takahashi氏は、世のため、人のためのクラレイ。インドからの赴任。ドイツ13 年、インド8年間勤務。インドではアスベスト被害防止。接着剤によるシックハウス症候群防止で自社製品の活躍を紹介した。

3分間スピーチでは、Colorkrew社の湯川 啓太 CSOは、Colorkrew社はクラウドマネジメント、Web・アプリの開発、課金・認証、マーケティング&プロモーションといったサービスを提供。従業員の22%は15ヵ国出身の外国人が占めている。

Demarest AdvogadosのMauricio Barros氏及びMin Gon Kim氏は、350人を擁してニューヨーク、サンパウロ、リオ、ブラジリアに事務所を構えて多岐にわたる弁護士事務所の事業を紹介した。

Blue Tree Hotelsの広瀬純子取締役は、日本移民115周年を記念して、8月3日から13日迄リンスのブルーツリーホテルで開催する「第12回日本の教育・芸術体験及びリンスフェスティバル」について、開催の目的、ESG 及びD&Iに焦点を当てた日本の教育、スポーツ、芸術、料理など日本人の神髄が理解できる盛りだくさんの催しを紹介した。

JCI Brasil-Japão の Hugo Takeji Teruya会長は、JCIの活動内容の紹介。8月4日~5日迄リンスのブルツリーホテルで日系リーダーフォーラム開催。ようこそプロジェクト及びおもてなしプロジェクトを紹介した。

「ブラジルにおけるインフラに関する市場調査」報告会開催

大使館及び総領事館、ブラジル日本商工会議所共催による「ブラジルにおけるインフラに関する市場調査」報告会は、2023年6月21日及び22日午前10時から正午まで商工会議所大会議室にそれぞれ25人以上が参加して開催、進行役は在ブラジル日本国大使館の小宮允一等書記官が務め、講師は実際に調査したデロイト社の池谷裕一パートナー(ブラジル日本商工会議所 インフラWG 元副グループ長)及び同社日系企業サービスグループの森川裕太マネジャーが担当した。

21日午前は都市交通セクター、港湾セクター及び鉄道貨物セクター、22日午前は上下水道セクター及び再生可能エネルギーセクターについてPDF資料に沿って詳細に説明した。

質疑応答では、2020年に制定された上下水道規制は不透明な点があり、入札が不安。また政権交代で法律の変更による投資不安。漏水防止向け投資効果。アグリ部門のバイオマス生産の少ない理由。グリーン水素エネルギーの将来性。風力発電および太陽光発電プロジェクトに対するインセンチブ。ごみ処理場のバイオガスに対する規制管理。RenovaBiono規制管理や会計上の処理。ごみ処理場のごみ分別処理状況。バイオガスの再生可能エネルギーマーケットの比率などが挙げられた。中野大輔公使は閉会の辞で、関係者の協力で報告会が成功裏に終了したことに対して丁寧にお礼を述べた。

PDF1-1港湾セクター

PDF1-2.貨物鉄道セクター

PDF1-3.都市交通セクター

PDF2-1.上下水道セクター

PDF2-2.再エネセクター

写真左から講師のデロイト社の池谷裕一パートナー及び同社日系企業サービスグループの森川裕太マネジャー

写真左から在ブラジル日本国大使館の中野大輔公使及び小宮允一等書記官

中央銀行の通貨政策委員会 (Copom) はSelic金利を13.75%に据置いた(2023年6月21日付けヴァロール紙)

21日開催のブラジル中央銀行の通貨政策委員会 (Copom) は、最近のインフレ指数のなだらかな下降傾向でルーラ政権は、政策誘導金利Selicの引下圧力が増しているにも拘らず、前回同様に13.75%に据置いている。

ブラジル中央銀行の通貨政策委員会 (Copom)のSelic金利の13.75%の据え置きは、金融市場の予想を一致しており、Valor社が122社の金融機関対象の調査では、2社を除く120社がSelic金利の13.75%の据え置きを予想していた経緯があった。

ブラジル地理統計院(IBGE)によると、広範囲消費者物価指数(IPCA)で測定されるブラジルの公式インフレ率は減速し、5月は0.23%上昇し、経済団体の予想を下回った。 12 か月間の累計IPCA指数は 3.94% 、4 月はIPCA指数は 4.18% であった。

フォーカスレポートによるインフレ指数もここ数週間で後退。 経済アナリストは今年のIPCA指数について、4週間前の5.80%に対し5.12%、2024年は4.13%に対し4%の上昇に留まると予想。 2025 年と 2026 年の予測は、同じ比較基準に基づく 4% から 3.80% に下方修正されている。

ブラジル中銀の今年のIPCA指数の中央目標値を3.25&、2024年及び2025年の中央目標値を3.00%、許容範囲は±1.50%を設定している。

2021年3月に始まったSelic金利の上昇サイクルは、昨年8月まで12回連続でSelicを11.75パーセントポイント引き上げた。 次回のCopom会議は8 月 1 日と2 日に再び開催されるが、Selic金利の引下サイクル入りの可能性が示唆されている。

2016年8月~2023年6月までのSelic金利の推移

6月の労働問題研究会開催

企業経営委員会(島田領委員長)の労働問題研究会は、2023年6月21日午後4時から5時30分まで94人が参加して開催、進行役はリカルド佐々木副委員長が務めた。

初めにCescon, Barrieu, Flesch & Barreto Advogados弁護士事務所労働法担当のDARIO RABAYパートナーは、テーマ労働問題に伴う企業調査“Investigações corporativas em matérias trabalhistas”について、続いてdo Madrona Fialho Advogados弁護士事務所報道法担当のPRISCILLA CALDEIRA CARBONE パートナーは、テーマ『労働関係における労働法、LGPD(個人情報保護法)並びに競争法のコンプライアンス“Compliance trabalhista, LGPD e concorrencial nas relações de trabalho”についてそれぞれ講演した。

セミナー視聴は右クリック→Acesse aqui

PDF anexos:
1. “Investigações corporativas em matérias trabalhistas”
2. “Compliance trabalhista”

 

 

 

5月の世界の粗鋼生産は中国の減産で5.1%減少(2023年6月21日付けヴァロール紙)

世界63カ国が加盟するベルギーのブリュッセルに本部がある世界鉄鋼協会(WSA)の発表によると、2023年5月の世界の粗鋼生産は、中国の粗鋼減産の影響が響いて前年同月比5.1%減少の1億6,160万トンに留まっている。

今年初め5か月間の多くの産業用途で圧延製品に加工される粗鋼の世界生産は、前年同期比1.2%減少の7億8,600万トンに留まっている。

今年5月の世界の粗鋼生産の56%を占める中国の粗鋼生産は、前年同月比7.3%減少の9,010万トンに留まっている。一方今年初め5か月間の中国の累積粗鋼生産は、前年同期比1.6%増加の4億4,460万トンを記録している。

現在の粗鋼生産が継続すれば、今年の中国の粗鋼生産は、Covid-19パンデミックの2020年の10億5,000万トンを上回る10億7,000万トンに達する可能性が指摘されている。

粗鋼生産の原材料となる鉄鉱石生産市場関係者は、世界の粗鋼需要は中国ではなく、特にヨーロッパや米国の需要減少を指摘している。

今年初め5か月間のヨーロッパ連合およびその他の地域諸国、北米、南米の鉄鋼生産が3.6%から16.3%の範囲で減少していると世界鉄鋼協会(WSA)は説明している。

世界ランキングのトップ10のうち、2位のインドの5月の粗鋼生産は4.1%増加、5か月間では5.7%増加したが、日本と米国はそれぞれ5.2%と2.3%減少している。 また5月のブラジルの粗鋼生産は5.5%減少、今年初め5か月間では8.8%減少している。

現在のルーラ大統領の政権支持率は51%から56%に上昇している(2023年6月21日付けヴァロール紙)

Quaest調査によると、ルーラ大統領の不支持率は、大統領就任2カ月目から4カ月目までに28%から42%に跳ね上がったが、現在は40%前後で推移している。

6月15日~18日までの間に行われたQuaestの大統領支持率調査によると、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領の政権取組みに対する承認の指標がわずかに前進していることが示唆され、政権運営に満足していると答えた人の割合は、2月から4月にかけて56%から51%に後退した後、56%に戻っている。

一方、ルーラ政権に対する不支持率は、就任2カ月目から4カ月目までに28%から42%に跳ね上がったが、現在は40%まで推移。 また調査対象の4%の人は答えたくない、若しくは答えられなかった。

調査報告書の特筆事項として、2022年の大統領選挙の第2次投票でジャイール・ボルソナロ元大統領に投票したと回答した有権者の間で、ルーラ大統領への支持率が14%から22%に増加したことをQuaestは指摘している。

またルーラ大統領の与党政府に対する総合評価については、 37%がパフォーマンスは良好と回答。 32% は普通と回答したが、27% は良くないと回答している。

回答者の最大グループに相当する46%は、ブラジル経済は正しい軌道に乗っていると回答する一方で41%は軌道を外れていると回答している。

この調査では、新車価格を下げる手段として自動車メーカーに免税を与えるという政府の取り組みに対する支持率も高く、76%がこの政策に賛成している。また少額の負債を免除してブラックリストから削除する政策を支持している回答者は73%に達している。

ガソリンの国際コモディティ価格連動政策の解消を支持も61%に達している。 また税制改革は54% が高く評価している。

賛成よりも反対の方が多かった措置としてアマゾン地域での石油探査で、回答者の52%が反対、34%が賛成している。Quaest社の調査は2029人に対面インタビューで実施、回答の誤差は2.2%前後が見込まれている。