(論評)将来のための計画

スエリー・カルダス

FHC(カルドーゾ)政権が、州知事と市長に対して負債をこれ以上拡大させる道を閉ざした時、州政府と市役所の財政状態は、まさにカオスだった。ほとんどすべてが失敗し、当時はすべての税収が公務員給与への支払いに回されていたために、1センターボの投資すら不可能だった。一部のケースでは、その給与の支払いすらままならなかった。警察がストを決行し、学校では子供の声が失われ、病院には医師が出勤しない……。当時、ブラジル全国でこのような劇的な状況が見られた。アラゴアス州のケースでは、裁判官の給与が数か月にわたり未払いになり、司法長官が、ブラジリアに裁判所の鍵を渡しに行ったほどだった。

これは、選挙の運動資金を調達するために投資資金を流用するという、稚拙で無責任な知事たちの長年にわたるガバナンスの終焉だった。州財政の金庫が空になると、彼らは、さらなる資金を求めてブラジリア詣でを行った。FHC政権はこれに終止符を打ち、州政府が連邦政府に抱える負債の再交渉に、財政の健全化と、次の選挙を主眼にするのではなく住民にフォーカスしたガバナンスへの復帰という、新たな行政慣行の条件を加えた。財政責任法は、プログラムの成功のために不可欠だった。それから15年が経過し、このカオスは克服され、州政府は計画的な予算を策定し、税制を改善させて税収を回復、住民に対する投資を拡大している。各州政府が現在置かれた立場は、あのFHC政権当時に直面した状況と、大いに異なる。現在、ジウマ大統領が15日に実施したように州知事をブラジリアに呼び寄せることはあるが、それは、彼らの州内で実施されるインフラ計画に対して、新たな負債の受け入れにインセンティブを与え、その融資に対して公営銀行の営業を配備するのが目的である。彼らにはFHC時代のようなストレスはなく、ジウマ時代の恩恵を享受している。ただ、この恵みに至るまでには、緊縮財政と、整合性のある予算計画を策定すること、規律ある財政と収支のバランスを取ることを強制する戦略的活動が必要だった。ガバナンスは、問題の診断と、進むべき方向の決定、活動の策定、目標の明示、プライオリティーの定義、現時点の判断に長期的視点を加える効果をもたらす。方向性が定まらなければ、知事はジグザグに進み、でたらめに打って出ては、情熱の火を消し、積み木を積み上げては崩していく。それは、良質で整合性のある政策が欠如していることを隠ぺいするための、即興劇だ。

それがジウマ政権に欠けている部分で、かつ、行き当たりばったりで、経済成長への回帰に向けた対策が即興劇になっている原因である。無数の例の1つは、インフラ工事に投資する州政府に対してBNDESとブラジル銀行が提供する不適切な融資である。もし民間企業であれば国内外で大規模かつ利益率の高い企業が枯渇しているために撤退しているような状況で、州政府は、それに反対するどころか、逆に、この官営2銀行から融資を受け入れている。しかしながら、もしそれが十分に検討の上で構築された投資政策の一環ならば、つまり事前にこの国のために定められた計画の一部ならば、各種のクレジットは既に、工事を推進して、新規雇用を創出し、地域経済を振興し、2011年と2012年の年明けにグダグダだった経済の回復を支えていたはずだ。即興劇では、効果が得られるチャンスも縮小する。ジウマ大統領の狙いは政治的ではなく、むしろ、州知事に対して早急に、かつ選挙の直前に、現金をばらまくというもの。これでは野党に対し、政府が候補者に対して州知事の支持を獲得し、選挙目的で公共予算を扱うと攻撃する口実を与えてしまう。ブラジルの政治家の歴史的悪行に基づけば、受け取った融資が知事と手を組む市長候補の選挙キャンペーンに流用される可能性があるのは、疑うまでもない。これは、もし政府の計画が長期的見地から実施されているならば、避けることができたはずのものだ。

ジウマ大統領は発足から既に1年半を経たが、依然として方向が定まらず、あらゆる方向に銃弾を撃つばかりで、標的を射そこね続けている。結果は、ガタガタのGDPであり、負債を抱え込むことになった大衆であり、投資の落ち込みであり、遅れ続ける空港であり、小ぢんまりさせられたPACであり、不透明な未来である。まだ、ゲームの流れを変える時間は残されている。しかし問題は、閣僚と経済スタッフが、未来に向けた計画を策定して実施するだけの能力があるのか、ということだ。(2012年6月17日付エスタード紙)

スエリー・カルダス:ジャーナリスト – PUC-リオ教授

輸入自動車のIPI30%課税は販売減少と投資の先送りにつながっている

ブラジル自動車輸入業者協会(Abeiva)の調査によると、昨年12月16日から国産化比率が65%以下の輸入自動車に対して、工業製品税(IPI)の30%課税が実施された影響を受けて、今年5カ月間のIPI減税適用外の輸入自動車販売は、16.0%と大幅に減少している。

また高級自動車メーカーであるドイツ資本のBMW社並びに英国資本の Land Rover社は自動車工場建設を予定していたが、輸入自動車のIPI30%課税が実施されたために、連邦政府と課税の先送りや割当制の導入などで交渉していた。

IPI30%課税が実施されたために、1,000ccまでの輸入自動車のIPI税は7.0%から37.0%、2,000ccまでのフレックス車は11.0%から41.0%、2,000ccまでのガソリン車は13.0%から43.0%、2,000cc以上の輸入車は、25.0%から55.0%とそれぞれ大幅に上昇している。

今年5カ月間の韓国メーカーのKia社の自動車販売は、前年同期比45.0%減少の1万8171台と最も打撃を受けており、今年5カ月間のトラックやバスを除く自動車輸入は前年同期比34.2%減少の14億9,500万ドルに留まっている。

また今年5カ月間の中国メーカーのChangan社の自動車販売は前年同期比24.0%、 Lifan社は32.0%、 Effa社は70.0%、 Hafei社は31.0%、高額輸入自動車販売のBMW社は26.0%、 Porsche社は65.0%とそれぞれ大幅に減少している。

Abeiva協会の調査では、今年5カ月間の加盟メーカー27社の輸入自動車登録台数は16.0%減少の5万9,700台、ブラジル国内の自動車販売は4.4%減少の129万台となっている。

連邦政府はIPI30%課税されている輸入自動車メーカーに対して、輸入割当制の導入を予定しており、BMW社では、割当制の導入後にブラジル国内での自動車工場の建設の開始を予定、しかし、2014年以内の生産開始は非常に難しいと見込んでいる。(2012年6月19日付けエスタード紙)

 

フォーカスレポートは今年のGDP伸び率を6回連続で下方修正

中銀の最終フォーカスレポートによると、今年の国内総生産(GDP)伸び率を6回連続で下方修正、前回の2.53%から2.30%と大幅に下方修正している。

ヨーロッパの財政危機や中国の景気減速などで、ブラジルの企業経営者は投資を控えており、特に製造業部門は、在庫調整による減産や国内消費の後退など先行き不透明感が増加しているために、生産減少に結びついている。

昨年8月から継続している政策誘導金利(Selic)の引下げ並びにクレジット拡大、一連の経済刺激策の導入、連邦政府による公共投資の拡大にも関わらず、内需拡大の効果が表面化していない。

今年の鉱工業部門のGDP伸び率は大幅に減少すると予想されており、1か月前のフォーカスレポートの予想1.58%から最終レポートでは、0.63%と大幅に下方修正されている。

Gradual Investimentos社のチーフエコノミストのアンドレ・ペルフェイト氏は、連邦政府による州政府への200億レアルに達するインフラ投資向けクレジットによる効果は、2013年以降になると予想している。

大半の金融エコノミストは、現在のSelic金利8.5%は7月11日に再度0.5%切下げられて、今年は8.0%を予想していたが、一向に好転しない国内経済並びにインフレ圧力の後退で、8月29日に更に0.5%切下げられて7.5%になると予想している。

今回のフォーカスレポートでは、インフレ指数である広範囲消費者物価指数(IPCA)を5.03%から5.00%に下方修正、連邦政府の中央目標値の4.5%に接近してきている。(2012年6月19日付けエスタード紙)


 

メルコスールは保護貿易主義拡大か

アルゼンチン並びにブラジル、ウルグアイ、パラグアイで構成されるメルコスールは、自国の製造業を保護のために、域外からの輸入製品に対する輸入関税引上げを行うと予想されている。

今月26日から28日にかけて、アルゼンチンのメンドサ市でメルコスール貿易委員会(CCM)を開催、ブラジルは200品目の輸入関税引き上げを予定しているが、アルゼンチンは400品目の輸入関税引き上げを提示すると予想されている。

最も保護貿易主義を主張しているアルゼンチン政府は、域外からの全ての輸入製品に対して、世界貿易機関 (WTO)が許可している最高の輸入関税率である35%への引上げを主張していたが、ブラジル政府が反対していた経緯がある。

メルコスール貿易委員会で対外共通関税(TEC)の税率は決定され、平均では12%から13%になると予想されているが、WTOが許可している35%の最高の輸入関税の対象となる輸入製品もあると予想されている。

昨年12月にウルグアイのモンテビデオで開かれたメルコスール首脳会議で、各国は世界的な経済危機の恐れが拡大する中で、国内の雇用を守るという観点から、共通関税の「例外品目」について、100品目というWTOで認められる上限まで引き上げられるようにすること で合意していた。

アルゼンチンはスペインの石油会社レプソルYPFの子会社を国有化した後で、欧州連合は、アルゼンチンの多岐に亘る製品の輸入制限はWTOのルールに反しているとして、提訴していた。(2012年6月19日付けエスタード紙)


 

独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の古川一夫理事長が訪問

元日立製作所社長で独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の古川一夫理事長並びに同国際部門の幸本和明主任、日立国際リネアール西岡勝樹最高執行責任者 が2012年6月19日に商工会議所を訪問、応対した平田藤義事務局長とブラジル経済状況、NEDOの主な事業の概要説明、またブラジルが必要とする環境・省エネ分野への投資環境などについて意見交換を行った。

左から日立国際リネアール西岡勝樹最高執行責任者/平田藤義事務局長/独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の古川一夫理事長/同国際部門の幸本和明主任(Foto: Rubens Ito / CCIJB)

 

先駆者慰霊ミサに平田事務局長が出席

2012年6月18日、ブラジル日本移民104周年記念行事の一環である先駆者慰霊ミサ(ブラジル日本文化福祉協会/日伯司牧協会共催)がサン・ゴンサーロ教会で行われ日系諸団体や在サンパウロ総領事館などを始め約100人が参加、会議所から平田藤義事務局長が出席し、共同祈願を行った。平田事務局長は以下の文章を音読し祈りを捧げた。

『すべての人の父である神よ、あなたの慈しみを求めて祈ります。

日本移民104年を記念し、先駆者が命をかけ艱難困苦を乗り越え

て、築き残された尊い遺産と、日本文化のおかげで日系社会はブラ

ジルに貢献し、共存する時代が到来しました。現代の豊かな生活の

中で先駆者の遺徳を仰ぎ、深い感謝の念で永遠の安息を祈ります。

私達にも夢と希望、遭遇(そうぐう)する困難に耐える力をお与えください。』

 

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( Foto: Jiro Produções)

サンパウロ市議会が文協を顕彰

2012年6月18日午後7時30分からサンパウロ市議会でブラジル日本文化福祉協会(文協)への長年の功績を称える記念の皿「サルバ・デ・プラッタSalva de Prata」の授与式が行われた。

文協によると「サルバ・デ・プラッタ」の贈呈は、小林ビクトル市会議員の提案によるもので市議会が行う顕彰行為では最高位に当たるものであるという。

6月18日はブラジル日本移民記念日でもあり、104年という長い歴史を持つ日系社会を共に築き上げた関係諸団体の代表者らが文協へ敬意を表すため参列、会議所からは澤田吉啓企画戦略委員長が代表し、近藤正樹会頭と平田藤義事務局長も出席した。

小林ビクトル市会議員(中央左)より「サルバ・デ・プラッタ」を贈呈される木多文協会長

Foto: Célia Abe Oi

出所: www.bunkyo.bunkyonet.org.br

Sinopecはペトロブラスとプレソルトで共同開発か

中国は石油の国内消費の53%を輸入に依存しているにも関わらず、政情不安の中近東やアフリカからの輸入が大半であるために、リスク分散のためにもブラジルでの資源確保が必要であり、2020年には国内消費の65%が輸入と予想されている。

2004年からすでに120億ドルをブラジルに投資している中国石油化工(Sinopec)は、ブラジル国内の岩塩層下(プレソルト)原油の権益を擁しているポルトガル資本Galp社と、権益譲渡のための資本参加で交渉していると業界関係者は予想、またペトロブラスとの共同開発も希望している。

Sinopec社は、スペイン資本のブラジルレプソル社の株式40%を71億ドルで取得、また中国中化集団公司(Sinochem)は、ノルウェーの国営石油会社Statoil社 との間で、ペレグリーノ油田の権益40%を30億7,000万ドルで買収している。

Sinopec社は、ブラジルの実業家エイケ・バチスタ氏のOGX社のカンポス海盆の権益取得するために70億ドルに達する投資を行うと業界関係者は見込んでいる。

同社はプレソルトの石油開発以外にも石油製油所、石油化学、石油配給などの分野でもブラジルへの投資を検討しており、ペトロブラスとは、エスピリット・サント州のカビウーナスーヴィトリア間の300キロメートルのガスパイプラインで、ジョイントベンチャーをすでに行っている。(2012年6月18日付けエスタード紙)


 

今年のトラック販売は12.5%減少

今年初めから排気ガス規制がEuro5に変更になるのを控えて、昨年末にEuro3のトラック販売の駆け込み需要が大幅に増加したために、今年のトラック販売は、前年同期比12.5%減少の5万9,600台に減少している。

また昨年下半期にトラックメーカーがEuro3のトラック販売の急増を見込んで在庫を大幅に引上げた影響で、今年のトラック生産は、32.8%減少の5万4,100台まで減少している。

在庫調整のために各トラックメーカーはレイオフを採用、サン・ベルナルド・ド・カンポス市のメルセデス・ベントのトラック工場では、1,500人の従業員に対して5カ月間のレイオフを実施している。

排気ガスの排出量が少ないEuro5採用のトラックは、Euro3トラックと比較して8.0%から15.0%高いために、昨年末のEuro3のトラック販売は急増したために、今年は業界関係者の予想を下回る販売となっていた。

フォード社のオズワルド・ジャルジン氏は、今年のトラック販売を前年比15.0%から20.0%、生産は30.0%から40.0%それぞれ下回ると予想、ワーゲン社のロベルト・コルテス氏は15.0%から20.0%の販売減を予想している。

連邦政府はトラック販売が落ち込んでいるために、5月にトラック販売向けクレジット金利を7.7%から5.5%に引下げ、更にクレジット期間を96カ月から120カ月に延長したために、短期的には効果があると予想されている。(2012年6月18日付けエスタード紙)


 

連邦政府は州政府のインフラ投資に200億レアルのクレジット承認

ヨーロッパの債務危機や中国の景気減速などの影響で、ブラジルの国内経済が予想を大幅に下回る減速となっているために、連邦政府は、州政府のインフラ投資向けに社会経済開発銀行(BNDES)の新たな200億レアルのクレジット枠を承認した。

連邦政府は、また州政府や市町村のワールドカップ向けサッカースタジアム並びに上下水道整備、鉄道建設向けのインフラ投資向けに、官民パートナーシップ(PPP)方式の採用並びに州政府の負債率の引き上げを承認している。

サンタ・カタリーナ州のハイムンド・コロンボ(PSD)州知事は、連邦政府がクレジット金利を8.1%から7.1%へ引き下げたことを称賛、クレジットの償還期間は20年となっている。

エスピリット・サント州のレナト・カザグランジ州知事(PSB)は、5億レアルの都市住宅建設と道路建設プロジェクトを連邦政府に提示する予定であり、セルジッペ州のマルセロ・デダ州知事(PT)は、各州へのクレジット割り当て後にプロジェクトを申請する。(2012年6月16日付けエスタード紙)