金融部会
金融部会レポート

ただいまご紹介に預かりました金融部会の今井と申します。よろしくお願いいたします。部会長の宮原が急遽やむをえない出張が入りましたので、私今井が代わりにご報告させていただきます。よろしくお願いいたします。
まず2010年の上期のサマリーということをご報告させていただきますけれども、この上期の金融界を総括いたしますと、ブラジル経済がリーマンショック以降他の諸外国に比べましていち早く経済が回復して着実な成長を遂げる中、金融界も比較的安定的に推移した、という総括になろうかと思います。
ギリシャ発の欧州ソブリンリスクの高まりにより為替、株価が振られる局面は確かにありましたけども、その影響は現在までは限定的であったと、そういうことが言えるのではないかと思います。それではまず、各種経済指標の上期の推移を見て行きたいと思います。
このスライドは金融危機発生前から現在までの主要経済指標の推移をグラフ化したものとなります。
まず一番最初の上の表でございますけども、為替レートの推移になっております。為替レートについては、他の新興国通貨と同様ですね、レアルは金融危機以降大きく売られました。が、2009年4月以降値を戻し、急激に値を戻しましてですね、2009年12月には、この表で分かりますように対ドル1.7から1.8のレベルで推移しております。
2010年度に入りまして、欧州のソブリンリスクの高まりとともに1.9近くまで売られる局面はありましたが、現在の足許の推移というのは1.75前後で比較的安定している状況かと考えております。
次、二番目の真ん中の表でございますけれども、株価指数、Bovespaの指数でございます。株価の動きというのは、上の為替の表の同じような動きと、ちょっとこの表で見るとミラーのような形になっていますけれども、為替の動きをなぞるように推移しているということが言えるかと思います。
Bovespaの株価指数につきましては金融危機直前にはすでにピークアウトの動きを示しておりまして、5万台前半でございましたけれども、金融危機発生以後急速に売られまして、2008年10月末現在には最安値の2万9千台を記録しています。
しかしながら2009年4月以降、まあこの表の通りですね、急速に回復して今年の初めには7万台をつけ、4月8日には71,785と2008年に付けた過去最高値である73,452の水準に達する場面もあったということです。その後は為替と同様に欧州ソブリン危機とか中国の金融引き締め発表の影響から若干弱含みになるという場面もありましたけれども、現在はこの横の数字で書いてありますように6万台後半で推移しているということでございます。
一番下の表は外貨準備の推移ということでございますけれども、これは一本調子で、先ほどコンサルタント部会からの発表にもございましたけれども、経常収支の方は2009年2010年と調子が悪かったわけでございますけれども、証券投資、まあ短期の証券投資という資金が入り込んでいる関係もあると思いますけれども、まあ一本調子で上がっているということで、先ほどご紹介があった通り今現在2500億ドルを超える水準になっていると。まあここが海外のブラジル経済への信任の高まりを反映しているということが言えるのではないかと思います。
続きまして経済指標の為替、株、外準以外のですね、金融指標について簡単にご説明申し上げます。まず3行目のSelicの状況でございますけれども、先ほどご説明がありましたけれども、2009年は約5%ですね、約5%の引き下げがあったということでございまして、その後1年にわたってほぼ8.75%で据え置かれましたけれども、2010年に入りましてインフレ懸念の高まりと経済の高成長を受け今年の3月以降3回にわたり累計で2%引き上げられ現在は10.75%となっております。
ただ足許のインフレ上昇率が低下をしてきたということを受け、中銀の集計している金融機関の予測値と、予測平均値というのを中銀が出しておりますけれども、この予測値に基づきますともうほぼ上限に達して、あと0.25%の引き上げのみにとどまるのではなかろうかと、そういう意見が大勢となっており、現状・今後の予測の欄に書きました通り、2010年の末の予想というのは概ね11%になるのではないかという見方が大半を占めているという状況かと存じております。
一方インフレ率、この表でいきますと2行目でございますけれども、インフレ率は今年前半は高い数字が出ていたと先ほどご紹介があった通りでございますけれども、足許弱含みでありまして、6月末現在の直近12月累計ではですね、4.8%にとどまっておりインフレターゲット内で収束しているという状況かと思います。あと、この表でいきますと一番最後でございますけれども、エマージングマーケットのボンド指数でございますEMBIのプラスというカントリーリスクの代表指数でございますけれども、ここは金融危機以降大きく上昇したと。
2008年の数字は428bp、期末でなっておりますけれども、これは金融危機以降ブラジルがいち早く経済回復を遂げたということで、2009年の末には192bpまで下がり、2010年に入っても安定的に推移しているということが言えると思います。
続きまして銀行業界の状況について簡単にご説明いたします。銀行貸出金、一番上の行でございますけれども、金融危機以降法人向け融資が一旦減少する局面はありましたけども、2009年後半に入って回復基調になっております。
今年は、2010年に入りましてから半年間でですね、貸し出し総額については8.1%の増加を記録しています。あと法人向け融資、3行目でございますけれども、法人向け融資は2009年は年間1.2%の伸びにとどまりましたが、今年は半年でこの表の通り5.5%増加を記録しており、景気回復に伴う資金需要の増加を表しているということが言えると思います。
その下の行の個人向け融資につきましても、引き続き順調に伸びていて、6ヶ月で7.6%と堅調に伸びているということでございます。あとその下に延滞率の数字が書いてありますけれども、個人法人とも延滞率が非常に減少しているということで、景気回復に伴う個人所得の増加、あるいは法人業績の改善を如実に反映しているということが言えるのではなかろうかと考えております。
続きまして、これはアンケート形式に基づく金利とか為替の予想でございますけれども、当商工会議所の加盟各行あるいは各社の年末の金利、為替、株価の予想でございます。まず金利ですけれども、足許今Selic金利10.75%になっておりますけれども、一行さんだけが現状維持と。あとは0.5から0.75%の引き上げというふうに見込んでおります。
ただこの予想をお聞きしたのは8月5日前後でございますので、その後インフレ率が思った以上に下がっているというのを受けてマーケット全体がもう少し、金利についてはそんなに上がらないんじゃないかという予想が出ているとさっき申し上げましたので、今現在アンケートを取ってみると一段ちょっと低い水準、11%程度になるのではなかろうかとも思われます。
為替についてはですね、1.6から1.85まで若干ばらつきがあります。為替については、外貨準備とか経常収支のところをどう評価するかによって人の判断がまったく分かれると、各社の判断が分かれるということかと思います。あと当然、あまりレアルが高くなりますと、中央銀行、政府が為替介入ということもありますので、そこらへんの評価ということで若干ばらけているんではなかろうかと思います。
あと一番下の株価指数につきましては、回答いただいた3社さんについては、まあたまたまかもしれないですけど、75000と。今の水準よりは一段高い水準を見込んでいるという状況です。これは9月のペトロブラスの公募増資というのが株式市場にfavorableな影響を与えるんではなかろうかという見方によります。
続きまして、次は大統領選の影響でございますけれども、これは前回の発表でもご説明した通りでございますけれども、これは基本的には、前々回、ルーラ大統領の第一回目の当選前後の各種経済指標の動きでございますけれども、そこはだいぶ労働党政権が始まるということで、だいぶ動きが激しかったわけでございますけれども、前回は再選ということで大統領選が主要経済に与える影響というのはほとんどなかったと。
そして今回も、まだ大統領選挙前の状況しか今回はもちろん分かっていませんけども、まあ比較的落ち着いた動きを示していて、結果的には選挙自体が金利、株価、為替、あと外準なんかに与える影響は軽微であろうと、そういうふうに考えております。
最後に経済の関係で、下期の見通しですけれども、総論ではブラジルのファンダメンタルは堅調でありまして、7%とも言われる、先ほどもご紹介ありましたけど、まあ7%程度だろうというご紹介がありましたけど、7%と言われる高い経済成長率を維持して安定的な成長は持続できそうだと、そう考えております。
金融面でも中銀の政策あるいは金融システムの健全性といったブラジル金融界全体の大きな枠組みのところは、全体的に見て大きな変化はなく、もしあるとすれば外的要因、対外的な要因の影響によるものではないかと考えております。
特に、ヨーロッパの金融機関の問題とか、あと中国の経済の動向で影響力が大きくなっておりますので、そこで大きなマイナス要因が発生した場合は、今まで相対的な優位性から世界の短期証券投資が集まっていたブラジルが蒙る反動リスクというのは結構高いのではないかと考えております。
あと懸念の材料は、先ほどコンサルタント部会からお話にありました、経常収支の赤字の問題とか、あと財政の面についても大きな支出が目白押しと今後なってくると思いますので、そこをいかに舵取りするかというのがポイントになってくるのかと思います。
続きまして保険のところを簡単にご説明いたします。2010年上期の保険業界ということでございますけれども、ネットの収入を占めます正味保険料、表の左サイドでございますけれども、これは全体で13.8%と二桁の成長率を示しております。また、各種目別に見ましても軒並み二桁となっていて、全体、保険のプロダクトごとに見ても好調であったと考えております。
あと収益性を測る基本指標であります損害率についても前年比改善しているという状況でございます。そういう意味では上期は比較的、保険業界にとってはよかったと、そういう総括ができると思います。
続きまして、次のページで、展望ということでございますけれども、ここに書きましたように引き続き市場の拡大傾向は継続するのではなかろうかと。あと、まあ元請け市場といいますけれども、お客さんとの取引のほかに保険会社同士で取引する再保険市場というのもありますけれども、これも当然元請け市場が大きくなればこの部分の拡大も予想されるということでございます。
あと、2009年はですね、大手銀行系保険会社を軸とした再編というのが結構大規模に行なわれたわけですけれども、今は、2010年は一段落しているという状況で、これも2010年はその面については落ち着いた動きを示すのではなかろうかと、そう考えております。以上が金融部会の発表でございます。
司会
今井様、どうもありがとうございました。何かご質問はございますでしょうか。はいどうぞ。
質問(中山会頭)
ブラジル中央銀行のフォーカスレポートというところなんですが、そこでですね、消費者物価指数の予想が、2010年末が5.19%、2011年末が4.8%と。それから政策金利が、2010年末が11%、11年末が11.63と。物価指数が下がって政策金利が上がると、にもかかわらず為替レートがですね、2010年末が1.8で2011年が1.85という、ちょっと弱含みになっているという、これはどういうことなんでしょうか。
回答:今井副部会長
ここはですね、先ほど申し上げましたように、あくまでもこれはブラジルの中央銀行がブラジルの金融機関、90社あまりというふうに私聞いておりますけれども、それに定期的にアンケートを行なってそれを集計していると、平均しているという数字なので、特に為替とかそういうことにつきましては色々どう振れるのかというのは、各社あるいは各人で判断が異なると思いますので、それをどう観るかと、どういうファクターを重点に置いて見るかという形にかかってくるんだろうと思いますけれども、そこは今、中山会頭がおっしゃられた、まあ若干波高があるんじゃないかという点については、まあ私の方から、ここは中銀が集計した90社の平均がたまたまこうなっているという形で、一定のこういうロジックでこうなっているというのが中々回答できないんですけれども。金融機関の方、ちょっと何か補足コメントとか出来る方いらっしゃるでしょうか?はい。
補足(窪田敏郎氏):同じく副部会長の三井住友銀行の窪田でございます。まずですね、この数字自体は今井さんがおっしゃったように中央銀行が指名しております約90社の金融機関やコンサルタントの数字を集計したものでございます。
ですから、ロジック的にはですね、Selicレートがインフレをある程度もう沈静化できたということで、来年以降はまあそんなに上がらず、場合によってはまた金利を、Selicレートを下げていくという方向の中で為替レートもこういった、若干同じか弱含みの水準に動いていくというのがロジックかと思うんですけれども、実際ちょっとこれを見ますとSelicレートが来年もやや上がるという結果の数字が出ているということだと思います。以上です。
質問者
ありがとうございました。
司会
はい。
質問(押切フラヴィオ氏)
金融機関が企業に貸し出す実効金利というのは今いくらぐらいなんですか。それがひとつ。もうひとつは、大衆が使うクレジットカード、この金利は8とか10%と、月ですね、言われていますよね。その辺の金利はどうすれば安くなるんでしょうか?
回答:今井副部会長
すいません、私はちょっと銀行関係ではないので、申し訳ないんですが銀行業界の方。窪田さんたびたび申し訳ございません。
回答(窪田敏郎氏)
実際に出している金利はですね、欧米の例えばLIBORベース、スプレッドという形をブラジルは取っておりませんので、よくマスコミで言われている数字を申し上げることしかできないんですけども、一般的には個人に対する金利というのは平均40%以上、これは年利ですね、それから企業というのは30%以上というふうに言われてきております。
で、金利が高めになっている理由というのはまあいろいろあると思いますが、基本的にはブラジルという国自体がやはり金利を高めに設定することによって外資を呼び込んできた、そういった外貨借り入れを中心とした政策をとってきたということ、それから我々金融機関もですね、預金に対して相応の引き当てを、相当量の引き当てを積まされているということが、まあ金利を従来から引き上げている理由かと理解しております。簡単でございますが、以上です。
司会
よろしいでしょうか。あの、今銀行の自己資本比率は何%ぐらいなんでしょうかね?
回答(窪田敏郎氏)
自己資本比率はですね、ブラジルの銀行というのは、先ほど今井さんの方から金融システムは非常に健全だという話がございましたけれども、それを示しておりまして、非常に自己資本比率は高い数値を示しております。
まず、バーゼル、世界基準では国際業務を営む銀行というのは8%以上ということになっておりまして、日本の邦銀もですね、このパーセンテージをクリアするのを結構アップアップという状況でございますけれども、ブラジルは中央銀行自体が11%以上銀行の方に課しております。
そういう意味でもブラジルの銀行というのはですね、中銀のルールを守って業務できている銀行については健全性は他国よりも高いということでございます。ちょっと現代の3大メガバンクの自己資本比率というのはちょっと私頭にないんですが、たぶん16、7、8くらいの数字だということです。この数字を見ていただいても、今のブラジルの金融システムの健全性というのを表しているんじゃないかと思います。以上です。
司会
ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。それでは今井様、どうもありがとうございました。
続きまして貿易部会、伊藤部会長よろしくお願いいたします。
司会
続きまして貿易部会、伊藤部会長よろしくお願いいたします。