今年の建設部門のGDP伸び率はマイナス11.0%予想

過去10年間のブラジル建設業界の平均GDP伸び率は4.0%を記録していたにも関わらず、ブラジル大手ゼネコンのオデブレヒト社並びにカマルゴ・コレア社、メンデス・ジュニオール社は、ラヴァ・ジャット作戦によるペトロブラス石油公社関連の汚職問題で新規契約が取れていない。

今年の建設業界はラヴァ・ジャット作戦の汚職問題関連並びに国内経済のリセッションで公共事業のプロジェクト停止や新規インフラ事業の取り消しなどの要因で、建設労働者を中心に50万人が解雇されている。

今年初め9か月間の建設業界大手ゼネコンをはじめ253企業が会社更生法を申請、またゼネコン各社は商業銀行のクレジット縮小で資金調達のために事業の見直しや自社資産放出を余儀なくされている。

GO Associados社が公共事業対応パウリスタ企業協会(Apeop)の統計を基に作成した調査では、2014年の建設業界のGDP伸び率はマイナス2.6%であったが、今年のGDP伸び率はマイナス11.0%に達すると予想している。

ラヴァ・ジャット作戦によるペトロブラス石油公社関連の汚職問題で、カマルゴ・コレア社並びにOAS社、Engevix 社、メンデス・ジュニオール社、ガルボン・エンジェニャリア社、ケイロース・ガルボン社などの取締役が逮捕されている。

連邦政府は今年初め8か月間にラヴァ・ジャット作戦の汚職問題関連への支払いは前年同期比58%減少の10億レアルに留まっているが、昨年同期は24億レアルが支払われていた。

オデブレヒト社並びにカマルゴ・コレア社は売上比率に対する建設工事契約の80%は民間企業、公共事業の比率が76%に達するメンデス・ジュニオール社はラヴァ・ジャット作戦による影響が非常に大きい。

オデブレヒト社の今年の海外売上は全体の82%と昨年の73%からさらに拡大して国内の売上比率は縮小、一方ラヴァ・ジャット作戦に関与していないブラジル企業Contern社並びにスペイン資本 Isolux社は、連邦政府による公共事業縮小の影響を受けている。(2015年11月23日付けエスタード紙)

10月の失業率は7.9%に上昇

ブラジル地理統計院(IBGE)の月間雇用調査(PME)によると、10月の6大都市圏の失業率は、ブラジル経済のリセッションやラヴァ・ジャット作戦関連汚職問題によるゼネコン大手の入札参加中止や資金繰りの悪化などの要因で、製造業部門や建設業部門の雇用が大きな打撃を受けて低調に推移している。

10月の6大都市圏の平均失業率は7.9%と前月の失業率7.6%から0.3%上昇、前年同月比では3.2%増加、10月の平均失業率としては2007年10月の8.7%に次ぐ高率となっている。

10月の6大都市圏の失業者総数は190万人で前月比並みに推移、前年同月比では77万1、000人増加して2002年から統計を取り始めて最も失業者が増加している。

10月の6大都市圏の就労人口は2、250万人で前月比23万人減少、前年同月比では82万5、000人に相当する3.5%減少、非就労人口は1、960万人で前月比27万2、000人増加、前年同月比では56万1、000人増加している。

また労働手帳に記載される正規労働者は1、120万人で前年同期比47万人減少、10月の平均所得は2、182.10レアルで前月比0.6%減少、前年同月比7.0%減少している。

6大都市圏別の失業率比較では、サンパウロ州は前月比0.8%増加したが残り5大都市圏は安定的に推移、しかし前年同月比ではサルバドール市が4.3%増加の12.8%、サンパウロ市は3.7%増加の8.1%、レシーフェ市は3.1%増加の9.8%、ベロ・オリゾンテ市は3.1%増加の6.6%、リオ市は2.2%増加の6.0%、ポルト・アレグレ市は2.2%増加の6.8%とそれぞれ軒並み増加に転じている。

10月の部門別平均賃金比較では、鉱業・配電・ガス・上下水道を含む製造業部門は2、230.10レアル、建設業部門は1、867.70レアル、小売・自動車修理業・ガソリンスタンド関連部門は1、681.60レアル、法人向けアウトソーシング・金融・不動産部門は2、658.77レアル、公務員・防衛・教育・保健・福祉部門は3、042.80レアル、ホームケアサービス部門は965.10レアル、住宅賃貸・貨物輸送・都市衛生サービス部門は1、946.50レアルとなっている。(2015年11月19日付けブラジル地理統計院(IBGE)から抜粋)

 

中銀の経済活動指数(IBC-Br)では最終四半期はマイナス

ブラジル地理統計院(IGBE)の国内総生産(GDP)伸び率の発表前に、中銀は先行指標として経済活動指数(IBC-Br)を発表、第3四半期のIBC-Br指数は経済指標の軒並み悪化で前四半期に次いでマイナスを記録している。

一般消費者ならびに企業経営者のマインド悪化、失業率の上昇、クレジット向け与信強化、高止まりするインフレ指数、一般家庭の負債増加による不可分所得の低下などの要因で、第3四半期のIBC-Br指数は前四半期比ではマイナス1.41%となっている。

今年第1四半期のIBC-Br指数は前4半期比マイナス1.0%、ブラジル地理統計院(IGBE)のGDP伸び率はマイナス0.7%、前記同様に第2四半期はマイナス2.1%、マイナス1.9%、第3四半期はマイナス1.4%、マイナス1.9%となっている。

ブラジル経済は今年初めから3四半期連続でGDP伸び率がマイナスを記録、今年のGDP伸び率はマイナス3.3%まで落ち込むとバンクオブアメリカ・メリルリンチ社では予想している。

レアル通貨に対する大幅なドル高の為替は、第3四半期の小売りセクターやサービスセクターにも悪影響を及ぼしているとGO Associados社経済調査担当のファビオ・シルヴェイラ取締役は指摘している。

また政策誘導金利(Selic)の高止まりによるクレジット縮小、高止まりするインフレによる商品価格の値上げ、ドル高の為替による輸入製品減少など要因で第3四半期のGDP伸び率はマイナス1.8%をシルヴェイラ取締役は予想している。

しかしドル高の為替で最終四半期は輸出部門が唯一好調に推移すると予想されるが、国内経済をリセッションから好転させるには至らないとシルヴェイラ取締役は説明している。(2915年11月19日付けヴァロール紙)

今年の建材販売は12%減少予想

ブラジル建設材料工業協会(Abramat)では、今年の建材販売は前年比11.0%~12.0%減少すると前回予想から大幅な下方修正を余儀なくされており、今年の建材販売は2007年の水準まで低下すると予想している。

今年の建材販売は国内経済のリセッションやラヴァ・ジャット作戦によるゼネコン大手の企業活動停止などの影響で販売量並びに建材価格がともに減少すると予想、仕上げ建材販売は前年比11.5%減少、材料・基礎建材販売は10.5%減少するとAbramat協会のワルテル・コヴェル会長は予想している。

また今年の建設業やゼネコン向け大口建材販売は、インフラ整備並びにロジスティック整備部門向けのクレジット縮小、失業率の増加や家庭収入の減少などで前年比6.0%~7.0%増加に留まると予想されている。

住宅関連建設・不動産向け販売は住宅ブーム衰退に伴って大手住宅建設会社が投資を控えている影響で、今年の住宅・不動産業界向け建材販売は14.0%と大幅に下落すると予想されている。

今年初め10か月間の建材販売は前年同期比12.3%増加、また2016年の建材販売は4.0%~5.0%増加に留まると予想、特に2016年下半期には住宅建設向けクレジット緩和が期待されている。

10月の過去12か月間の建材価格は前年同期比僅かに6.0%増加に留まってインフレ指数の9.0%~9.5%を下回り、2004年以降では初めて建材価格調整がインフレ指数を下回った。(2015年11月19日付けヴァロール紙)

100人以上が参加して2015年下期税制変更セミナー開催

日伯法律委員会並びにコンサルタント部会共催の2015年下期税制変更セミナーは2015年11月18日午後1時20分から午後6時30分までマクソウドホテルに100人以上が参加して開催、西口阿弥コンサルタント部会長が開催挨拶を行い、前半の司会は日伯法律委員の西川アキラ副委員長、後半の司会は清水 マサオ ワルテル 副委員長が行い、ポルトガル語による2015年税務制度:暫定法685号、692号、694号、連邦政府における課税プロセスの新たな挑戦、課題、生産及び在庫管理デジタル化システム – BLOCO K、PIS/COFINsへのICMSクレジット還元、特別上告835.818号に関する留意点、ストックオプションとその他株に関するプラン、従業員への福利厚生。企業が注意すべき税務、社会保障、労働法に関する主なポイント、給与課税について- 2015年争点となったポイント、憲法改正案 87/15について 州間取引におけるICMS課税システム変更が消費者に与える影響について8人の税制税制、会計監査、人事・財務担当弁護士等各分野の専門家が講演を行った。

PdfPwCのクラウジオ・ヤノ取締役 2015年税務制度:暫定法685号、692号、694号

PdfDELOITTE TOUCHE TOHMATSUのカサンドラ・デ・カルバーリョ部長 連邦政府における課税プロセスの新たな挑戦、課題

PdfKPMG のマルクス・ヴィニシウス・スレメニアン共営者 生産及び在庫管理デジタル化システム – BLOCO K

PdfTozziniFreire Advogadosのオルランド・ダルシン シニア弁護士 PIS/COFINsへのICMSクレジット還元、特別上告835.818号に関する留意点 

PdfTrench, Rossi e Watanabe Advogadosのルシアナ・シモエス シニア弁護士 ストックオプションとその他株に関するプラン 

PdfPINHEIRO NETO ADVOGADOSのクリスティアーネ・マツモト 福祉関連共営者、ウイリアム・クリスターニ シニア弁護士、チアゴ・テノ 労働法関連シニア弁護士 従業員への福利厚生。企業が注意すべき税務、社会保障、労働法に関する主なポイント

PdfGAIA, SILVA, GAEDE & ASSOCIADOSのジェオルジオス・テオドーロス・アナスタシアヂス税法担当取締役 給与課税について- 2015年争点となったポイント

PdfEYのアニー・マツウラ シニアマネージャー 憲法改正案 87/15について 州間取引におけるICMS課税システム変更が消費者に与える影響について

Aya Nishiguchi, Renata Ferreira Leite, Cassandra Alcalde de Carvalho, Kleber Araújo, Orlando F. Dalcin, Cláudio Yukio Yano e Akira Nishikawa (Fotos: Rubens Ito / CCIJB)

William Roberto Crestani, Thiago Teno, Cristiana I. Matsumoto, Anny Matumura, Georgios Theodoros Anastassiadis, Valter Shimidu e Luciana Simões de Souza

 

Os participantes do seminário proporcionaram um debate de alto nível e enriquecedor.

Rubens Ito / CCIJB

 

運輸サービス部会主催のリオオリンピック施設視察会開催

運輸サービス部会(細谷浩司部会長)主催のリオオリンピック施設視察会は、11月18日、19日に行なわれ、商工会議所の建築不動産、貿易、金融、食品、コンサルなど多種の業界会員やリオ現地から、家族の参加を含め総勢41名参加しての視察会となった。

リオオリンピック開催4地区のうちデオドロ地区以外の、バーハ地区、コパカバーナ地区、マラカナン地区をバスで移動しながら周った。また、2日目の午前中には、宿泊ホテルでリオデジャネイロ商工会議所と総領事館の協力の下、安全対策の勉強会と交流会を実施した。天気にも恵まれスケジュール通りにも関わらず、リオのペースはサンパウロとは違いゆっくりしていた。リオはホテルやレストランのサービスもゆっくりしているようで、バス移動にも時間はかかった。リオのペースを考慮して余裕を持ってスケジュールであったのか、安全で無事終了することができた。

サントスドゥモン空港に着いた一行は、リオ現地集合組みと合流し、バスに乗ってバーハ地区に移動。空港やホテルのあるリオの中心地から、大会種目の多いバーハ地区へのインフラ整備が最重要課題であるといわれているとおり、メトロやBRTといわれるバス専用レーンなどは建設中で、すでに試運転されていなければならないが交通インフラ工事は開催前ギリギリまで続きそうである。

バーハ地区で昼食をすませ、シグマックスの堤さんの協力で難しいといわれているゴルフ会場の視察が実現した。112年ぶりの競技復活となるゴルフコースが新規建設中で、その建設に携わっているデザイナーの緒方信行氏とコース設計者のジル氏が一行を待ち受け、彼らの案内のもと約1時間ゴルフ場を歩いた。設計や施工に携わる方々との意見交換はゴルフファンにはまたとない貴重な経験となった。自然を取り入れたコースは広く、平面に広がりきれいに見えた。大会後はパブリックコース、またツアーを呼ぶことなども計画されている。

次にプレオリンピック卓球大会が行われているリオセントロに向かった。6回のオリンピック出場経験のあるウゴ・オヤマさんの協力により招待券を頂き大会会場に入ることができた。家族やメディアや卓球関係者以外の観客はほとんどなく、大会というよりは、競技施設や設備、そして審判など裏方や運営のテストイベントであった。海外選手は南米からにとどまり、ほとんどブラジル選手同士でのプレ大会であった。最後にウゴ・オヤマ氏より、日本研修での指導、ブラジル卓球選手の強化には日本の支援があったとの説明を受け、日本とブラジル卓球協会の強い絆が見えた。

一日目の最後にリオセントロの隣にある選手村を訪問した。これも堤さんの協力を得て、リオで不動産業を営んでいるペレイラ・エミコ氏に選手村のモデルルームを案内してもらった。選手村として活用されるアパートが立ち並ぶIlha Puraは、OdebrechtとCarvalho Hoskenが建設に携わり、これもほぼ完成しているように見えた。Ilha Puraモデルルーム見学中には、オリンピック後の不動産の販売状況などの質問もされ、現場視察でしかできない体験ができた。一行はその後、バスでホテルまで移動し、コパカバーナ海岸沿いで夕食をとって一日目を終えた。

2日目の午前中は、リオデジャネイロ商工会議所と総領事館との共催で、平田事務局長の司会の下、リオオリンピック安全対策勉強会、商工会議所交流会が実施された。リオ総領事館からは、オリンピック・パラリンピック担当の山下領事、治安関係担当の永田領事が貴重な講演をした。また、カマラからは、安全対策について川口大二郎相互啓発副委員長、また運輸サービス部会からの情報として、ホテル業界の広瀬氏、旅客業界の坂本氏、そして旅行業界の小宮氏からの発表もあった。講演後の質疑応答では、予定時間を超えるほど興味のある質問がかわされた。司会を務めていた平田事務局長からも、初めての交流会とは思えないほどすばらしい勉強会、そして交流会となったとの感想があった。

その後、バスでボタフォゴのレストランへ移動したが、連休前ということもあり移動には時間がかかった。また、昼食後の移動も渋滞はあったが、サンボドロモに立ち寄り、開会式・閉会式が行われるマナカナンスタジアムに到着した。2014年のワールドカップに合わせて完成したスタジアムで、最新のすばらしいスタジアムツアーができた。グラウンド、記者席、観客席を周るツアーは、これなら開会式・閉会式が問題なく行われると感じさせるものであった。ここでリオ現地集合組みと別れ、一行はマラカナンからガレオン空港まで移動したが、この道も渋滞でやはり余裕を持ったスケジュール作りが大切だ。

地区ごと、そして会場ごとに工事進捗状況はばらばらであったが、オリンピックは近づいているのだと実感できた視察会だった。なによりオリンピック開催を待ち望んで一生懸命働いている裏方の人達と現場にて意見交換をする貴重な体験ができた。カマラとしても、ブラジルで開催されるオリンピックを何とか成功させ、何か協力できることは行なっていきたい。インフラ整備の遅れは取り戻せるのか、また治安に関してはきちんと対策がなされているのか、確かに課題は残されている。しかし、みんなで力を合わせてリオオリンピックを成功させようとする気持ちが伝わってきた。カマラの会員同士の交流も深められたと参加者からの声も聞こえた。オリンピック開催はリオの次は東京、日伯交流にはまたとない大イベントだ。準備はまだ続いている。

 

 

10月までの実質歳入は4.5%減少

今年初め10か月間の国庫庁のインフレ指数を差引いた実質歳入総額は、ブラジル国内経済のリセッション入りで主に製造業部門の生産活動停滞の影響で前年同期比4.54%減少の1兆400億レアルに留まり、2010年以降では最低の歳入を記録している。

10月の法人所得税(IRPJ)並びに純益に対する社会納付金(CSLL)の実質歳入は、前年同期比14.79%と大幅減少の180億9,800万レアル、今年10か月間では12.69%減少の1,540億7,100万レアルとなっている。

また社会保障院(INSS)への納付金は失業率の増加や一般小売販売の減少、連邦政府による企業側の社会保障院(INSS)への従業員給与額20.0%の納付率免税に対応する売上の数%課税の代替減税などの影響で9.48%減少の290億800万レアル、社会統合基金(PIS)/社会保険融資納付金(Cofins)による歳入は10.03%減少の213億5,600万レアルとなっている。

今年10か月間の国庫庁への工業製品税(IPI)による実質歳入は8.31%減少の424億2,900万レアル、特に自動車部門のIPI税収は13.85%減少の35億7,500万レアルに留まっている。

また今年10か月間の国庫庁への金融取引税(IOF)による歳入は、個人向けクレジット税率の引上げが影響して18.51%増加の286億8,000万レアルに結び付いている。

今年10か月間の国庫庁による減税政策の導入による歳入減額は8.66%増加の874億4,900万レアル、しかし一般的に燃料税と呼ばれる経済支配介入納付金(Cide)の歳入は24億2,100万レアルに達している。(2015年11月18日付けヴァロール紙)

今年下半期の段ボール販売は低迷予想

経済活動の指標となる段ボール販売は第3四半期から減少に転じており、年末まで減少傾向は継続するとブラジル段ボール協会(ABPO)のセルジオ・リバス副会長は予想している。

ブラジル段ボール協会(ABPO)の年初の予想では、今年の段ボール販売は前年比2.5%減少を予想していたにも関わらず、現在では今年の国内総生産(GDP)伸び率の下方修正に伴って3.5%減少と大幅な下方修正を余儀なくされている。

10月の段ボール箱販売は前年同月比4.42%減少の30万2,141トン、9月は4.47%減少、今年初め10か月間の販売は3.33%減少の277万1,000トンと国内経済の停滞を反映した数字となっている。

ブラジル包装協会(Abre)では、今年の段ボール箱並びに包装紙、プラスティック容器、ガラス容器などの包装資材の生産は、年初予想の前年比1.5%減少から3.0%減少に下方修正を余儀なくされている。

2016年の段ボール生産はドル高の為替の影響で食肉を中心に輸出増加に伴って増加する可能性はあるが、経済リセッションに陥っている国内販売は期待できない。

インフレ指数上昇に伴って段ボール生産のための人件費コストが上昇、電力料金値上げや消費財の価格上昇などの要因で、段ボール価格への転嫁を余儀なくされるとセルジオ・リバス副会長は説明している。(2015年11月18日付けヴァロール紙)

製造業部門の輸出比率が減少

産業開発研究所(Iedi)の世界貿易機構(WTO)の統計を基にしたブラジル貿易調査によると、2014年のブラジルの完成品輸出は世界貿易の完成品輸出の僅かに0.61%を占めて32位にランク付けされ、前年の30位から更にランクを落としている。

2005年のブラジルの完成品輸出は世界貿易の完成品輸出の0.85%を占めて26位にランク付けされていたが、過去10年間にレアル通貨高による競争競争力の低下、重課税やインフラ不整備によるブラジルコスト上昇で完成品の輸出競争力が益々減少している。

最近のレアル通貨に対するドル高の為替は輸出競争力には追い風となる一方で、世界経済の停滞による需要減少で大幅な完成品輸出増加は期待できないと産業開発研究所エコノミストのラファエル・フェルナンデス・カグリン氏は説明している。

2005年のブラジルの輸出に占める完成品比率は53%であったが、昨年はその比率が34%まで低下、一方農畜産製品の輸出比率は30%から40%に上昇している。

2014年のブラジルの輸出国ランクは25位、スイス並びにマレーシア、タイに輸出金額を追い越されて前年から3ランク低下、輸入国ランクは前年同様に22位であった。

2014年のブラジルの輸出金額は前年比7.0%減少の2,250億ドル、輸入は5.0%減少の2,390億ドルと輸出入額ともに前年割れとなっている。(2015年11月18日付けエスタード紙)

異業種交流委員会主催の「フォーラム・タカノリスズキ」開催

異業種交流委員会(江上 知剛委員長)主催の「フォーラム・タカノリスズキ」は、2015年11月17日午後1時から3時まで鈴木孝憲氏(元ブラジル東京銀行会長)の講演テーマ『 いま ブラジルをどう見るか』、アキヒロ・イケダ氏(サンパウロ大学教授)の講演テーマ『マクロ経済の状況』に40人以上が参加して開催、コメンテーターはシゲアキ・ウエキ元鉱山動力大臣、江上委員長は開催挨拶で鈴木フォーラムの経緯について説明、また特別参加のインドネシアや韓国大使を歴任したエジムンド・フジタ氏、上智大学の堀坂浩太郎教授、二宮正人サンパウロ大学教授を紹介した。

アキヒロ・イケダ氏は講演テーマ『マクロ経済の状況』について、フェルナンド・エンリケ・カルドーゾ大統領の第一次政権、第二次政権、ルーラ大統領の第一次政権、第二次政権、ジウマ大統領の第一次政権、1年目の第二次政権のインフレ指数、財政プライマリー収支、経常収支、名目金利の比較、GDPに占める公共負債の推移、製造業部門の貿易収支、為替、失業率、名目賃金の比較、ブラジル経済は景況感上昇に伴って投資の活性化、ブラジルの農畜産部門のポテンシャルなどについて説明した。

鈴木孝憲氏は『 いま ブラジルをどう見るか』について、ブラジル経済の実態はそれほど悪くないと前置きして、FHC政権では小さな政府を目指して25まで省庁を縮小したにも関わらず、PT党が政権を取ってから39省庁の大きな政府となって副作用が出てきたために、ジウマ第二次政権で縮小、貧困層から中間層への拡大するための社会福祉政策によるバラマキ政策を採用して財政が悪化している。

民間企業の利益獲得の罪悪視やインフラプロジェクトの利益還元率の制限などで、連邦政府への信頼感低下で民間投資が減少して国内総生産が低成長と悪循環に陥っており、朝令暮改のようなめまぐるしい入札条件の変更、コントロールできないインフレ、明確になってきたラヴァ・ジャット作戦による汚職疑惑による国内外の信用低下やBNDES銀行のクレジット疑惑の行方、中銀発表の軒並み悪化してきている経済指標、レアル通貨に対するドル高の為替の影響、国際コモディティ価格下落による貿易収支の悪化について説明した。

しかしブラジルの2億人に達する消費マーケットや鉄鉱石をはじめ世界的供給可能な多様な天然資源や未開発の膨大な農耕地を抱える農業ポテンシャル、製造業に目を向けると、数か国が自在に話せて世界で最も経営が難しいとされるブラジル企業を運営する数多くのエグゼクティブの存在を説明、欧米企業は長期的投資の視点に立って、経済リセッションに陥って株価が低迷して時価総額が軒並み下落しているブラジル企業をターゲットに企業買収のチャンスと見て積極的にM&Aを進めているが、日本企業は短期的な視点に立った戦略をとる傾向にあると指摘、最後にブラジルでは目新しいものや必需品は売れる傾向にあり、また一例として日系エレベーター企業は新規注文が獲得できないために保守点検やモデル改造でビジネスチャンスを見つけており、日本本社に対してブラジルに目を向けさせる情報を提供する必要があると強調した。

左から村田俊典会頭/異業種交流委員会の江上知剛委員長

左からアキヒロ・イケダ氏(サンパウロ大学教授)/シゲアキ・ウエキ元鉱山動力大臣

左から講演中の鈴木孝憲氏/エジムンド・フジタ氏/村田俊典会頭/異業種交流委員会の江上知剛委員長

左からアキヒロ・イケダ氏(サンパウロ大学教授)/シゲアキ・ウエキ元鉱山動力大臣/鈴木孝憲氏

左から上智大学の堀坂浩太郎教授/アキヒロ・イケダ氏(サンパウロ大学教授)

【鈴木孝憲氏基調講演の記録】

(はじめに) 

 いま、ブラジルをどう見るか。日本の本社から、「ブラジル、どうなっているのか」と言われ、ブラジル企業家の悲観論に、マクロ経済や政治の悪いニュースばかりだがこれらに気を取られていてはいけない。欧米外資は低成長の中でも、ミクロの企業レベルの活動を引続き活発に行い 大型投資も実行している。こういうポジティブな面を見るべきだ。今日はそういう話をしたい。

 

( 1 ) PT政権の腐敗と失政

PT(労働者党)政権が登場したとき、ルーラの左派路線を懸念して為替市場で大きなドル買が起きたが、実際にはルーラがカルドーゾ路線を継承したため為替は落ち着いた。実際にPTの功績としては所得格差是正政策により低所得層の所得を引きあげ国民の半数を超える新中間所得層Cクラスを出現させたことだ。これで消費ブームが起き、巨大な国内消費市場が形成された。

しかしいま、この副作用が出ている。つまりPT政権は“大きな政府”になってしまった。省の数でいえば、カルドーゾ時代に25あったものが39まで増えた。当然、公務員の数も増える。ボルサファミリア(低所得層への生活費補助)も低所得層からは歓迎されたが、結果的にはバラマキで財政の悪化につながった。財政の基礎収支はカルドーゾ政権時代にはIMFのリコメンデーションもありGDP比4%程度の黒字まで改善していたが、PT政権下で徐々に悪化し、遂に2014年にはGDP比0.5%の赤字に陥っている。

それにしても、なぜリセッションなのか。先ず民間投資がストップしてしまったことが最大の原因。民間企業の政府に対する信任が完全に落ち込んだからだ。先行きどうなるかわからなければ、投資しない。信認を低下させた最大の要因はPTの経済介入姿勢であり、電力料金の強制的な引下げや、インフラプロジェクトの入札に投資収益率の上限を設定するなど制限を加えたことが具体例。このように、PT政権が民間企業の利益を罪悪視しているというイメージを与えたことは経済に大きなマイナスだ。また、PT政権がルールをころころ変えること、制度として認められている輸出税の払い戻しをなかなか行わない、といったことも民間企業の不信と不満を高めている。

国民はインフレで不満が高まっている。何よりPT政権の信用を失墜させている原因は汚職のオンパレードだ。2005年のメンサロン事件(PTによる連立与党議員の買収事件)から最近のペトロブラスを舞台とする史上最大の汚職ラーバ・ジャット事件、経済社会開発銀行BNDESを巡る汚職などで、今のところ贈賄側の企業幹部が逮捕されているが、収賄したほうのPT首脳部の政治家へどこまで捜査の手が伸びるか予断を許さない状況だ。

因みに国際NGOによる最近の調査ではブラジルの透明度指数(汚職が少ない国ほど上位)は176か国中69位でペトロブラス大汚職にもかかわらず4年前と同じ。ブラジルは中国より上位(汚職度少)にある。ラーバ・ジャット事件で司法の独立性が評価されている模様だ。中南米ではチリが先進国並みの高評価を受けている。このところ、ブラジルでは、①汚職防止法、②司法取引の法制化、③マネーローダリング規制法、といった先進国に倣った枠組みが整備されつつあるため、ビジネスでも十分な対応が必要だ。

 

( 2 ) 経済の現状と政治危機

先ず経済の現状だが、11月13日までのブラジル中銀見通し(FOCUS)によると、インフレは今年末10%を超えて来年末は6.5%、実質GDP成長率は今年▲3%で来年は▲2%、中銀基準金利SELICは今年末14.25%で来年末13.25%、為替レート(対ドル・レアル)は今年末3.98で来年末4.20といったところ。

レアル安の最大の問題点は輸入インフレの原因になることだ。レアルは2014年末の2.65から最近の3.80へと43%も切り下がっている。輸入価格調整を通じた物価への波及すなわち国内価格調整が終了するまでには約1年半ほどかかる(中銀の見た経験則・パストーレ元総裁)。 

昨今のレアル安の影響は来年一杯から2017年前半まで及ぶだろう。またブラジル人の海外旅行は当分減る。輸入原材料・部品の価格高騰により、それらの国産化が始まろう。外貨建て借入のある企業は、債務が膨張して大変だろう。

一方、輸出企業はこのレアル安で動き始め、農産物やセルロース関連が伸びている。安価な輸入品に押されていたブルメナウの繊維工業あたりも息を吹き返している。為替は、今後、米国金利の引上げがあれば、その影響は不可避だろう。とにかく企業にとっては、輸出でも輸入でも大きな為替レート変動がおさまって一定の水準に落ち着いてくれることが望ましい。

政治危機に目を転じると、国会対策がうまくいっていない。ジルマのインピーチメントが実現するかどうか、今のところわからないが、政府の国会運営ができなくなった場合、PMDB(ブラジル民主運動党、連立与党中最大党、総裁テメールは副大統領)が国会を握り政府を傀儡化して2018年まで引きずるかもしれない。このところ税収もどんどん落ちており、カリェイロアス上院議長(PMDB)が「ブラジル行動計画」を作成し政府に渡している。これは省の数削減など27項目からなるが、今のところ進捗なし。一言でいえば政治危機の出口が見えない状況だ。ラーバ・ジャット捜査の帰趨や下院議長クーニャの去就などで状況は大きく動くだろう。

 

( 3 ) いま、ブラジルをどう見るか

一次産品価格の下落、中国経済の減速、原油価格の低迷などが継続し、今のブラジル経済を反転させるきっかけがなかなか見えない。但し、農産物や石油などの価格低迷はヘッジファンドなどによる売り持ちの影響もあるので、いつまでも続くとは思えない。ブラジルのみならず世界経済は全般に良くないが、必ずどこかで底打ちするだろう。

こうしたネガティブな環境の中でこそ、将来の回復を信じてブラジルの「強み」を見直しておきたい。第一に、ブラジル経済の規模(GDP)は世界7位で、日本に馴染み深いアセアンの合計に匹敵する。第二に、国内に2億人の消費者(巨大な消費市場)が存在する。第三に、食糧・農産物生産能力、輸出力は世界で断トツの一位だ。近い将来、世界で食料争奪戦が起きた場合、カギを握るのはブラジルだ。

( 4 ) 欧米外資のブラジル戦略

巨大な消費市場へ喰い込んでブラジルにグループ収益の柱を構築したい、というのが欧米外資のブラジル戦略だ。 具体的にブラジルが他のBRICsの国々と異なる特長が三つある。第一は一貫して資本主義国で来ていること。これはブラジルだけだ。第二に、外資差別がないのもブラジルだけ(1995年に撤廃)。第三に、1962年の外資法、法律4131号により、中銀に登録すれば外資の持ち込む投資金や貸付金の元本の償還、配当金や金利の送金の権利が保証されている。

今、ブラジル企業家は悲観論一色で、日系進出企業の経営者もこれに影響されているようだ。日本の本社への報告はブラジルの悪いニュースばかりで、ブラジルでの企業活動が実質ストップしてしまった先もあり大部分は動けないでいるようだ。ところが欧米外資は。長期戦略に基づいて、大規模な投資を計画通りに進めているのだ。

具体的には2010年あたりから、欧米外資のグローバル展開の中で、ブラジル拠点が収益の柱に成長してきている例が増えてきた。ブラジル拠点の売上が本社より大きい例として、フィアットとワールプール(米国の白物家電メーカー)がある。ブラジル拠点が2位の外資には、ネスレ、ユニリーバ等がある。いずれも長期戦略に基づいてブラジルで事業を展開しているが、彼らは短期的にもリスク管理を怠っていない。インフレ、金利や為替の動きには十分にヘッジ対応している。

なぜ欧米外資はブラジルに本気なのか。スペインの通信会社・テレフォニカの決意が如実に示している。1998年、通信の民営化を機にブラジルへ進出する彼らと会った際「欧州は市場がこれ以上伸びない、その上、競争が激しく投資しても儲からない。グループの21世紀の生き残りをかけてこれからも成長が期待できるブラジルに収益の柱を構築することに決めた。」と語っていた。同社のこの時のブラジル投資額は75億米ドルに上っていた。

こうした欧米外資の戦略とはどういうものか。基本的には、人を中心とした、経営の徹底した現地化だ。彼らは、社長や役員をはじめとする枢要ポストにブラジル人エクゼクティブを配置し、フル活用している。社内のコミュニケーションも、当然、すべてポルトガル語で行われている。ブラジルの日系進出企業では、最近、英語を社内公用語にしているケースが多いが、日本人・ブラジル人双方が英語のネイティブスピーカーレベルでない限り、簡単な報告程度ならともかく、実質的な議論にならないだろう。ブラジルフィアットは、2万人の社員のうちイタリア人はたったの18名で、役員10名中イタリア人は2名だけだ。いかに現地化が本物か判るだろう。またブラジルユニリーバでは、マーケティング担当役員は既婚で子持ちのブラジル人女性だ。大学で経営学を専攻し、ブラジル人の感性が判っている。

では、こうした欧米外資の足もとの動きはどうか。第一に、ブラジル企業をターゲットにしたM&Aが活発化している。株安とレアル安で買収コストがかなり安くなっているためだ。非公式な情報だが、先行しているのは米英勢だという。彼らは、今が買い時、仕込み時の千載一遇のチャンスと捉えている。第二に、株安だろうとレアル安だろうと、投資を長期プランに沿って着実に進めている動きだ。典型的なのは、ブラジルフィアットのペルナンブッコ新工場落成。この不況下に70億レアルを投下、サプライヤーも16社連れてきた。トリノ本社のマルキオーネCEO曰く、「こうした不況時にこそ投資するべく体力を蓄えてきた」、「ブラジルには良い自動車を買いたい消費者はまだたくさんいる」、「景気が回復してから新工場を建設しても遅い」。第三に、堅調なプレミアム市場にフォーカスした戦略だ。独自動車3社のプレミアム市場向け新車販売が、今年は昨年比33%増だという。AUDIはこの9月にA3の国産工場を完成、BMW国産化をスタート済み。ベンツもCクラス国産化用の工場を建設中だ。ブラジルには、この不況下でも高級品を購入できる消費者が非常に多い。また、これとは逆に、不況下で価格に敏感になっている中低所得層向けに拡販しているスーパーマーケットがある。スペイン系の「DIA」だ。単なる安売り屋ではなく、スペイン本国でビッグデータを活用してマーケティングを行っている。地産地消が基本戦略でブラジル市場に根を張り、今年は昨年比2ケタ増の売り上げを達成しているという。

このように、欧米外資はこんな時期でも、概してよく健闘している。一方、日本勢は短期的な視野しか持たず、コストダウン狙いのアジア投資が一般的で、ブラジルに対する姿勢が欧米と全く違うように思える。

 

( 5 ) 結び

ブラジルでは、高付加価値品、新しいもの、生活に欠かせないもの、がどんどん売れる。例えば、エレベーター製造のシンドラー社(親会社スイス)をみると、最近、新しいエレベーターを売るための新築ビルが増えない為、既存エレベーターの保守点検修理サービスを拡充したところ、売上が大幅に伸びたという。サンパウロ市だけでも20階以上の高層ビルは90年代はじめに1000棟を超えニューヨークのマンハッタンを抜いてその後も増えているから、いい着眼点だ。このように、掘り起こせば需要はどこにでもあるのだ。また、ブラジルの自動車保有台数は5,000万台に上るが、このところの新車販売低調の反面、中古車の部品交換需要が増えている。このため補修用部品の販売が堅調推移し、設備投資を行う部品メーカーもあるようだ。このように、ブラジルでも工夫して分析すれば、ビジネスチャンスは無限にある。

日本の本社には、ブラジルといえば悪いニュースばかりが入りやすい。本日述べたように、こんな不況下でも、ブラジルではいろいろなビジネスが動いている。一般にブラジルの企業家は超悲観的になっているが、日系進出企業はそうしたブラジル勢に倣うのではなく、欧米外資の動きを検証、分析して本社に報告すべきだ。そのようにして、本社の顔をブラジルに向けさせることが、目下、日系進出企業のブラジルCEOに課せられた大切な役目だろう。

大いに奮発して頑張って頂きたい。

以上で本日の私の話を終わらせていただきます。