(論評)中央銀行に対する独立性―今度こそは?

スエリー・カルダス

政府経済スタッフの顔ぶれが矛盾していないかとのジャーナリストの質問に対し、ジウマ・ロウセフ大統領は、「我が政府においては、中央銀行の外にインフレと金利についてコメントする権限を与えられた者はない。財務大臣は公債と政府財政に関してコメントする」と応じた。2012年12月28日に大統領府執務室で催された朝食会のことで、つまり、わずか4か月前のことだ。この発言を信用した人などおらず、大統領の発言は徒労に終わった。

15日前にサンパウロ市内で行われた実業界を前にした講演で、ギド・マンテガ財務大臣は、金利に対して言及し、ブラジル経済基本金利(Selic)の利上げが現実味を帯びてきたと認めた。そして16日、通貨政策委員会(Copom)が会合で金利を判断する前日、ジウマ大統領自身が、その判断が下される前にこの問題を持ち出し、利上げの水準にまで踏み込んで言及した。曰く、「ごくわずかな水準にとどめることは可能だろう」。市場では、これまで0.5パーセントポイントとしていた利上げ幅の予想を、0.25パーセントポイントに引き下げた。そして、政府がCopomの判断に介入することに依然として懐疑的だった人たちの心証は、確信に変わったのだ。

「通貨の購買力の安定を図り、堅牢かつ効率的な金融システムを維持するため」と中銀がサイト上で強調する目的に沿って通貨当局は活動すべきなのであって、投機家との日常的な対決に敗北を喫してばかりで中銀が本分を尽くすのを妨げる政治の介入に屈するべきではない。不適切な発言は、中銀の目的にとってだけでなく、政府、そして大統領自身にも害を及ぼす。その例を示そうか?

3月末に南アフリカで開催されたBRICSの協議において、ジウマ大統領は、経済成長を犠牲にするインフレ対策には反対するとコメントした。この発言はすぐさま市場に反響を巻き起こし、先物市場の金利が低下した。これに苛立った大統領は、一連の市場の混乱を、市場関係者が自身の発言を曲解したのだとして彼らの責任になすりつけた。もし大統領が沈黙していたなら、何も起きなかったことだろうし、市場もまた、ボラティリティーや不安定さにつながるような要因を見いだすことはなかっただろう。

中銀に対する独立性が法律で保証されている国では、一般的に、政府においても、社会においても、市場においても、金利とインフレのコントロールが中銀だけに任されていると理解している。そして誰も、それを疑問視しない。米国のバラク・オバマ大統領であれ、イギリスのデイビッド・キャメロン首相であれ、ジウマ大統領と閣僚がやったように金利に関して示唆したりはしない。ブラジルにおいては、中銀の独立性は折衷的に運用されており、FHC政権とルーラ政権では独立性が尊重されてジウマ政権では尊重されていないのだが、それが法律で規定されているわけでもなし、ブラジリアに集う人々の胸先三寸なのだ。

だが、中銀の在り方と一連の問題を改善すると見られる希望も見え始めている。表面上はジウマ大統領の承認を得ていないが、上院経済委員会のリンドバーグ・ファリアス(PT:労働者党=リオデジャネイロ州選出)座長が、エスタード通信に対して中銀の独立性に関して議題に上げ、票決することを明らかにした。きっかけはフランシスコ・ドルネレス上院議員(PP:進歩党=リオデジャネイロ州選出)が提出した法案なのだが、インフレターゲットを設定する役割を国家通貨審議会(CMN)に与え、その目標を達成するための政策を策定し実行する独立性を中銀に対して保証するというもの。このために、中銀の8人の理事に対して6年の在任期間を保証し、その在任期間中は、法律が定める深刻な理由があり、かつ上院の承認を得た場合にのみ大統領が罷免できるようにする。

正当と認められないような罷免から守られることで、中銀理事は独立性と自立性、自由が保証され、大統領と閣僚、行政府の人間の意見あるいは希望に反してでも、報復を恐れることなく判断を下すことが可能になる。インフレへの対策は、時として、政治家が嫌うような、しかし不可欠な、大衆受けしない判断が必要なのだ。

ドルネレス上院議員の法案は、審議を経て承認の後、2015年から、中銀に対して施行されることになるだろう。そのため次期大統領は、現在の理事の一部または全員を対象に人事を行うことができる。だが、彼らの任期が6年のため、その後継者となる大統領は2年にわたり、前政権から引き継いだ全理事と、共存することになる。任期末が重なることはよくない。FHC政権末期に中銀に関する法案で示されたような、8人の理事の中で交代していくというものの方が合理的に思える。(2013年4月21日付けエスタード紙)

スエリー・カルダス ジャーナリスト、リオデジャネイロ・カトリック大学(PUC-Rio)教授。

BNDESが国策企業の設立支援から政策を転換

社会経済開発銀行(BNDES)が、国内の業界で圧倒的なポジションを確保する「トップ企業」を設立するという政策を既に終了したことを明らかにした。 同銀行のルシアーノ・コウチーニョ総裁が明らかにしたもので、こうした方針を進めることには賛成できない、という。コウチーニョ総裁は19日、「国際的に事業を展開する大企業の競争力を促進する政策は、既に完了したミッションだ」と、サンパウロ市内のBNDES本部でエスタード紙との独占インタビューでコメント。

同総裁は更に、この政策には一定のメリットがあるが、企業を世界のトッププレーヤーに育てることができる業種がブラジルでは「限定されている」ため、既に「行き着くところまで行った」と指摘。その上で、石油化学業界とセルロース業界、食肉業界、鉄鋼業界、オレンジジュース業界、セメント業界がこうした可能性のあった業界だとコメントした。その上で、「その他の業種については同じ潜在力を持っていると見なしていない」とも強調した。また同総裁によると、BNDESの持ち株会社で投資を担うBNDESParは、今後、IT業界と医薬品業界、資本財業界といったイノベーティブな業界にフォーカスしていくという。

「トップ企業」に対するインセンティブは、ルーラ政権下の6年前にスタートしたもので、コウチーニョ氏は既にBNDES総裁に就任していた。 エスタード紙の集計によると、BNDESは、こうした国策企業に対して寛大な条件による融資を提供しつつ出資することで、およそ180億レアルを、食肉業界のJBSとマルフリギ、乳業界のラクテオス・ブラジル(LBR)、通信業界のオイ(Oi)、紙セルロース業界のフィブリアに投入した。 だが、これらの企業の一部は、例えば、民事再生手続きを申請したLBRや、厳しい財務状況に置かれているマルフリギなど、必ずしも順風と言えない状況にある。

またコウチーニョ総裁は、「BNDESのように透明性のある金融機関は少ない」とした上で、銀行業務における守秘義務を尊重した上で、あらゆるオペレーションについて情報を公開することを確約した。このため同総裁は、信用危機に陥っている実業家のエイケ・バチスタ氏が保有する企業に対する同銀行の評価は避け、「落ち着いて見守っている」とのみコメントした。

さらにジルマ・ロウセフ大統領の任期最後の年となる2014年には、国内総生産(GDP)に対する投資の比率が20%に達するとコウチーニョ総裁は予想。 この水準は、持続的な成長にとって理想的とされる25%には及ばないが、「投資の回復を意味するものだ」と強調した。(2013年4月22日付けエスタード紙)

(論評)中央銀行に対する独立性―今度こそは?

スエリー・カルダス

政府経済スタッフの顔ぶれが矛盾していないかとのジャーナリストの質問に対し、ジウマ・ロウセフ大統領は、「我が政府においては、中央銀行の外にインフレと金利についてコメントする権限を与えられた者はない。財務大臣は公債と政府財政に関してコメントする」と応じた。2012年12月28日に大統領府執務室で催された朝食会のことで、つまり、わずか4か月前のことだ。この発言を信用した人などおらず、大統領の発言は徒労に終わった。

15日前にサンパウロ市内で行われた実業界を前にした講演で、ギド・マンテガ財務大臣は、金利に対して言及し、ブラジル経済基本金利(Selic)の利上げが現実味を帯びてきたと認めた。そして16日、通貨政策委員会(Copom)が会合で金利を判断する前日、ジウマ大統領自身が、その判断が下される前にこの問題を持ち出し、利上げの水準にまで踏み込んで言及した。曰く、「ごくわずかな水準にとどめることは可能だろう」。市場では、これまで0.5パーセントポイントとしていた利上げ幅の予想を、0.25パーセントポイントに引き下げた。そして、政府がCopomの判断に介入することに依然として懐疑的だった人たちの心証は、確信に変わったのだ。

「通貨の購買力の安定を図り、堅牢かつ効率的な金融システムを維持するため」と中銀がサイト上で強調する目的に沿って通貨当局は活動すべきなのであって、投機家との日常的な対決に敗北を喫してばかりで中銀が本分を尽くすのを妨げる政治の介入に屈するべきではない。不適切な発言は、中銀の目的にとってだけでなく、政府、そして大統領自身にも害を及ぼす。その例を示そうか?

3月末に南アフリカで開催されたBRICSの協議において、ジウマ大統領は、経済成長を犠牲にするインフレ対策には反対するとコメントした。この発言はすぐさま市場に反響を巻き起こし、先物市場の金利が低下した。これに苛立った大統領は、一連の市場の混乱を、市場関係者が自身の発言を曲解したのだとして彼らの責任になすりつけた。もし大統領が沈黙していたなら、何も起きなかったことだろうし、市場もまた、ボラティリティーや不安定さにつながるような要因を見いだすことはなかっただろう。

中銀に対する独立性が法律で保証されている国では、一般的に、政府においても、社会においても、市場においても、金利とインフレのコントロールが中銀だけに任されていると理解している。そして誰も、それを疑問視しない。米国のバラク・オバマ大統領であれ、イギリスのデイビッド・キャメロン首相であれ、ジウマ大統領と閣僚がやったように金利に関して示唆したりはしない。ブラジルにおいては、中銀の独立性は折衷的に運用されており、FHC政権とルーラ政権では独立性が尊重されてジウマ政権では尊重されていないのだが、それが法律で規定されているわけでもなし、ブラジリアに集う人々の胸先三寸なのだ。

だが、中銀の在り方と一連の問題を改善すると見られる希望も見え始めている。表面上はジウマ大統領の承認を得ていないが、上院経済委員会のリンドバーグ・ファリアス(PT:労働者党=リオデジャネイロ州選出)座長が、エスタード通信に対して中銀の独立性に関して議題に上げ、票決することを明らかにした。きっかけはフランシスコ・ドルネレス上院議員(PP:進歩党=リオデジャネイロ州選出)が提出した法案なのだが、インフレターゲットを設定する役割を国家通貨審議会(CMN)に与え、その目標を達成するための政策を策定し実行する独立性を中銀に対して保証するというもの。このために、中銀の8人の理事に対して6年の在任期間を保証し、その在任期間中は、法律が定める深刻な理由があり、かつ上院の承認を得た場合にのみ大統領が罷免できるようにする。

正当と認められないような罷免から守られることで、中銀理事は独立性と自立性、自由が保証され、大統領と閣僚、行政府の人間の意見あるいは希望に反してでも、報復を恐れることなく判断を下すことが可能になる。インフレへの対策は、時として、政治家が嫌うような、しかし不可欠な、大衆受けしない判断が必要なのだ。

ドルネレス上院議員の法案は、審議を経て承認の後、2015年から、中銀に対して施行されることになるだろう。そのため次期大統領は、現在の理事の一部または全員を対象に人事を行うことができる。だが、彼らの任期が6年のため、その後継者となる大統領は2年にわたり、前政権から引き継いだ全理事と、共存することになる。任期末が重なることはよくない。FHC政権末期に中銀に関する法案で示されたような、8人の理事の中で交代していくというものの方が合理的に思える。(2013年4月21日付けエスタード紙)

スエリー・カルダス ジャーナリスト、リオデジャネイロ・カトリック大学(PUC-Rio)教授。

(論評)誤った処方箋は病人を死に至らせかねず

ジョゼー・マルシオ・カマルゴ

ブラジル経済にとって2011年と2012年の2か年は、厳しいものがあった。2011年の国内総生産(GDP)は2.7%の成長、拡大消費者物価指数(IPCA)は6.5%に達した。2012年の場合、GDP成長率は0.9%、IPCAは5.84%だった。一方、2013年の見通しはというと、GDP成長率が2.5%、IPCAは5.9%である。

もしGDP成長率が低迷すると、製造業が大きな落ち込みを記録するだろう。2011年と2012年は、サービス業(それぞれ2.7%と1.7%)と商業(同3.4%と1%)、土木建築(同3.6%と1.4%)が成長率を低下させた上に、製造業は2011年にわずか0.1%の成長だったものが2012年は-2.5%とマイナス成長に転じ、2013年も落ち込みが続いている(2013年2月までの過去12か月間で見ると-3.2%)。これらのデータは、ブラジルがスタグフレーションに陥り、脱工業化に向かっていることを示している。

スタグフレーションは、財とサービスの需要の拡大に対して適切な形で供給するだけのキャパシティーがない場合に発生する現象だ。供給が拡大しないことで、需要の拡大に連れてコストと価格の上昇、そして輸入の拡大を招く。

需要の増大に呼応して供給が拡大しないのはなぜか? もし機械と設備、インフラ(高速道路や通信網など)がフル稼働の状況で、労働者も完全雇用にあるとするなら、生産量を拡大し品質(生産性)を向上させるには、これらの各要素を拡大させる必要がある。それには、物的資本と人的資本に対する投資が求められるのだが、その成熟には、需要が増大するペースよりも時間が必要だ。こうした投資を伴う対応がない場合、供給を上回る需要は、経済成長が低迷する中でコストの上昇とインフレ、そして輸入の拡大につながる。

サービス業と商業、土木建築業といった業種で生み出された財とサービス(理容、銀行サービス、輸送サービス、住宅、ショッピングセンター、高速道路など)は、大部分が地産地消であるのに対し、製造業が生み出した財はどこで製造されたかに因らず世界中で販売することができる。

この2つのグループが生み出す財の間には、供給を上回る需要への対処に、決定的な差がある。第1のグループは、需要が供給を上回った場合であっても諸外国の企業との競争にさらされることがなく、生産コストを引き上げ、これを価格に転嫁し、インフレを招く。第2のグループは、輸入された同等品との競争にさらされるため、生産コストを価格に転嫁するのが不可能だ。国内市場でこれらの財が記録する価格の上昇は、為替相場で修正された国外の価格動向に近いものになる。供給を上回る需要とコストの上昇は、企業にとって、マージンの縮小と、輸入品との競争力の低下につながり、その結果、投資が縮小する。需要が供給を上回る水準が拡大するほど、業界の競争力が失われていく。

稼働率に関する種々の指数、とりわけ雇用水準が高いことから、「利下げの加速は足元をすくいかねない。(中略)工業部門が抱える問題は、需要不足などではない。(中略)工業部門の問題は、供給、そして競争力の欠如である。しかもそれは、利下げによって解決できるものではない。(中略)金利の引き下げが経済的にはサービスも含めた需要の拡大を招き、インフレ率が年率9.5%も達することになる。(中略)もし金利を引き下げるなら、需要が拡大して失業率が低下し、賃金が上昇する。これらは全て、輸入品のために価格を引き上げることができない工業部門の競争力にとって、打撃となる。(ジョゼー・マルシオ・カマルゴ、2012年3月8日付けエスタード紙B4ページ)」。

2012年に示されたブラジル経済の結果は、この分析が正しかったことを示している。需要の喚起と利下げ、減税、財政の拡張などを後押しする各種の政策が、サービス業のインフレ後押しし、生産性の向上を上回る水準で所得を引き上げ、従って労働者の単位当たりのコストを上昇させ、工業部門の競争力が低下した。その針路を守ることは、ひたすら問題を悪化させるだけだ。製造業が弱体化する一方、市場で自由に取引できない財とサービスの成長率が、次第に低下する。

経済に対する診断の誤り、さらにその結果として処方されている薬が不適切なこと、そして、治療法を変更する必要があることを認める時期に来た。誤った処方箋が病人を殺す前に、だ。(2013年4月20日付けエスタード紙)

ジョゼー・マルシオ・カマルゴ リオデジャネイロ・カトリック大学(PUC/Rio)教授アセット・マネージャーのオプス・ジェストン・デ・レクルソスのエコノミスト。

Anfaveaの執行部就任式に平田事務局長が出席

4月22日午後8時からモンテ・リバノ・クラブで開催された2013年~2016年度の全国自動車工業会(Anfavea)並びに全国自動車・トラック・トラクター工業組合(Sinfavea)の執行部就任式に平田藤義事務局長が参加した。

Anfavea及びSinfaveaの新会長はGM取締役のルイス・モアン・ヤビク・ジュニア氏。

 

関連記事→ Anfaveaの新目標は今後5年で100万台の輸出達成 

 

大塚化学の奥村社長と森研究開発ディレクターが訪問

2013422日、ブラジル大塚化学の奥村肇社長及び同社のブラジルビジネス展開強化のためブラジルへ赴任してきた森浩司同研究開発ディレクターが会議所を訪問、応対した平田藤義事務局長と国におけるビジネス情勢などについて意見交換を行った。

左から平田事務局長、奥村社長、森ディレクター(Foto: Rubens Ito/CCIJB)

 

 

負債の拡大で消費に占めるBクラスの比重が低下

インフレの昂進と負債の拡大に伴い、2013年は、ブラジルの家計消費で最も重要とされる社会階層Bクラスにおいて、消費の勢いが落ち込んでいる。消費の潜在能力に関する評価を専門とするコンサルタント会社、IPCマーケティングによると、月間の家計所得が3,700レアルから7,400レアルに相当するこの所得分位は、2013年に総額2兆8,000億レアルを計上したブラジルの家計消費に対して、48.5%を占める見込み。この水準は、2012年の50%を下回る。

Bクラスは、国内5,000市の家計消費全体に占める比重を低下させただけでなく、家計消費の伸びがブラジルの平均を下回る唯一の社会階層になる。総家計消費は、2013年、インフレ率を考慮しない実質額で前年を9.9%上回ると見られる一方、Bクラスに限ってみると、6.6%の伸びにとどまる。

ブラジル地理統計院(IBGE)とその他の機関による人口統計と調査のデータをもとに、同研究所は独自に開発した集計モデルによってこれらの数字を算出した。また計算の前提となる経済条件は、GDP成長率を3%、インフレ率を5.7%とした。

IPCマーケティングのマルコス・パッジーニ調査担当主任は、「Bクラスは2013年、都市部においては社会階層として占める比率を拡大させるが、新たな消費行動という観点からは、前年よりも比重が低下する」と分析する。なおBクラスの規模そのものは、2012年から2013年にかけて30万戸強、増加する見込み。

同主任によると、昨年から今年にかけてBクラスからAクラスへ移行している家庭があり、Aクラスも家計消費全体に対して11.6%を占めるまでに拡大した。これと並行して、BクラスもCクラスから上昇してくる家庭を受け入れている。CクラスからBクラスに移行した家庭は、信用供与の拡大を中心とした消費財の取得を通じて社会階層が上昇したのであって、その購買力とバランスのとれた家計所得を確保していないと同主任は指摘する。

このような状況が発生するのは、ブラジル調査会社協会(Abep)と調査機関が採用する国内基準において、所有する財と家長の学歴が、社会階層の判断項目の1つとして設けられているため。一例を挙げると、社会階層としてのBクラスは、テレビ2台と車1台、トイレ1室を保有することが条件。 Aクラスは、テレビ4台と車2台、トイレは3室が条件になる。これらの人々のプロフィールをより現実に即したものになるように、パッジーニ氏は、今回の調査では、保有する財に対する平均家計所得から、新たな所得分位を組み立て直した。

その結果、Bクラスが所有する財と所得の関係の乖離が、警戒すべき状況にあることが示された。サンパウロ州商業連盟(Fecomércio-SP)のファビオ・イピナ経済担当補佐は、「もしインフレが急伸するなら、それはあらゆる所得分位に打撃を与えるが、とりわけBクラスへの影響が大きなものになるだろう」と指摘する。

最低賃金の10倍を上回る家計所得を得ている家族の中で負債を抱えている家庭の比率は、2012年9月から2013年3月にかけて、36.2%から47.3%に上昇した。ところが同じ期間、より所得の低い家庭では、同じく負債を抱えている家庭の比率が、56.8%から53.6%に低下した。(2013年4月21日付けエスタード紙)

(論評)弱気なインフレ対策

ジウマ・ロウセフ大統領と中央銀行執行部は、昂進するインフレへの懸念でいよいよ頭がいっぱいになったようだ。周囲の状況はもう、目に入らない。3月までの過去12か月間の蓄積インフレ率は6.59%に達し、インフレターゲットの上限である6.5%を突破した。この問題は、新聞と週刊誌の1面を飾り、ラジオとテレビでもトップニュースとして報じられた。これに対して中銀は、17日、通貨政策委員会(Copom)がブラジル経済基本金利(Selic)を年利7.25%から7.5%に引き上げるという、情けない方法で応えた。弱気な利上げは、今後のステップにおいても「慎重に」推進すると確約された。

こうした弱気さは、Copomが発表した声明にも現れている。声明では、高いインフレ率と、広範囲にわたる価格の上昇、さらに、なかなか低下しないインフレ圧力など、アナリストと民間の金融機関が昨年から何度も指摘しかつ周知の事実に言及した。さらにこの声明では新たな利上げの可能性を示唆しつつ、予防線を張ることも忘れなかった。つまり、「インフレを取り巻く状況は、国内外、とりわけ国際情勢において先行きが不透明」で、通貨政策に慎重を期すよう勧告したのだ。

防衛本能と言うものは、それが神秘主義的ものであれ、初めて目にした際には得体の知れないものと受け止めるよりも、懸念の方が先立つものだ。中銀スタッフは、高止まりして天井に張り付いている物価と不発に終わった経済成長のような大きな国内問題が、基本的に、あるいは主に、国外の要因によるものだと主張し続けている。この主張は、Copomが利下げを開始した2011年8月にも使われた。当時の説明によると、国際的な不況を受けて食料品とその他の1次産品の相場が値下がりすると見られ、これが、ブラジルのインフレにブレーキを掛ける一助になるのだとか。

この見通しは2012年に実証されたように誤りだったし、その誤りは、誤った状況判断に基づいて下された。政府の理論とは裏腹に、ブラジルのインフレは、明らかに過度の公共支出と急激な信用供与の膨張という要因に関連するもののため、低迷したGDP同様、何よりも国内問題の申し子なのだ。それは他のエマージング諸国と途上国の発展、そして、ブラジリアで偽りの議論がどれほど繰り返されてきたのかを見るだけで十分だろう。国際情勢が厳しくとも、大幅に低いインフレ率でさらに大きな経済成長を達成することが可能なのだ。チリとコロンビア、エクアドル、メキシコ、パラグアイ、ペルーは、それが可能だと証明している。

より大きな、かつ深刻な誤りは、精神的なバイアスだ。ジウマ・ロウセフ大統領は、自身の政権が成し遂げた偉業として利下げを宣言することに固執している。もし新たな利上げが必要になった場合、大統領の言葉を借りると、それでも他の政権下における金利を下回るだろう、とのことだ。

この妄語には、2つの誤解がある。実際のところ、通貨政策がより大きな効果を発揮することもあるが、それは、金融統合の結果である。10年前、信用供与はGDPの25%だった。それが現在では、2倍の水準に上昇している。利上げであれ信用収縮であれ、政府が何らかの通貨政策を講じることは、数年前を上回る効果を発揮する。こうした変化を共和国大統領の自発的なイニシアティブのゆえんと帰結させるなど、愚の骨頂だ。だが、いくら効果的な手段と言えども、それは使って初めて機能するのであって、大統領に従順な中銀が反応を示すには、遅きに失した。

しかもジウマ・ロウセフ大統領は、他国と比較して高い水準にある金利が継続されているのはブラジルが抱える大きな問題だなどと金融セクターで大鉈を振り回していることから、財界の一部では称賛の声を惜しまない。だがこの理屈は、問題の核心に対する注意をそらせてしまう。高金利は好ましくないものであり得るが、本当に重大な問題は、国民病のようなインフレが続くこと、それも世界の貿易に関係するほぼすべての国の水準を大きく上回っていることである。他国では、インフレの高まりは迅速かつ抜本的に根絶される。ところがブラジルでは、インフレターゲットそのものが4.5%にプラスマイナス2パーセントポイントの許容誤差が設けられている。この水準は、有害なインフレに含まれてしかるべき水準だ。政府が公共支出を垂れ流していることとインフレターゲットが茶番劇になってしまったことで、価格高騰に振るう大鉈として残された武器が通貨政策に巡ってきた。しかも、この大鉈があるにしても中銀は、方向感覚を喪失した大統領府に対して従順であり、ほぼ2年にわたって鞘に収めたままだったのである。(2013年4月19日付けエスタード紙)

対アルゼンチン輸出と燃料輸出で工業部門の輸出が8.2%の落ち込み

アルゼンチン経済の成長が低迷し、同国が貿易障壁を導入していることに加え、燃料輸出が45%落ち込んだこと、それに競争力の低下が相まって、ブラジルの工業部門の輸出が落ち込んでいる。

ブラジルの工業製品の輸出は、2013年第1四半期、前年同期と比較して8.2%落ち込んだ。開発商工省のデータをもとに財団法人通商研究センター(Funcex)が実施した調査によると、過去12か月間の輸出も同様に、その前の期と比較して5.2%落ち込んだ。

これらの製品の輸出にとり障害になっているのは、アルゼンチン政府が導入した貿易障壁、さらに同国の低迷する経済成長、燃料輸出がおよそ45%落ち込んだこと、さらに、知られているようにブラジル工業の競争力のなさである。

アルゼンチンの輸入に占めるブラジル製品の比率は、歴史的に見ておよそ20%で推移してきた。ところが2013年第1四半期、輸出に占めるブラジル製品の比重は、10.4%に低下した。

この結果、ブラジルは、3月までに52億ドルの貿易収支赤字を計上した。この間、輸出総額が7.7%落ち込んだ一方、輸出総額は6.3%の伸びを記録。

Funcexのエコノミスト、ロドリゴ・ブランコ氏は、「状況は、輸出が持ち直した2012年末時点よりもやや悲観的だ。むしろ、今は、工業製品の輸出が大きく落ち込んでいる」という。

貿易収支の悪化の一因には、同様に、大豆とトウモロコシの船積みの遅れが引き起こした8.4%減という1次産品の輸出のおちこみもある。1次産品は今後、収穫が始まったこれらの穀物が豊作なことから回復に向かう見込み。ブランコ氏は、「もし遅れた大豆輸出が貿易収支に既に計上されていたとすると、現在の貿易収支赤字はごくわずかか、既に消滅していたはずだ」と説明する。

工業製品の輸出が下落していることで、ブラジルは依然として「農業立国」であり続けることになる。3月までの過去12か月間で見ると、1次産品の輸出が輸出総額の46.7%を占め、工業製品は37.3%にとどまる。半製品はさらに低く、13.8%。

ブラジル貿易会(AEB)のファビオ・マルチンス・ファリア副会長は、「ブラジルの貿易収支は、年を重ねるごとにアグリビジネスへの依存を強めている。農産物には、アジア諸国の旺盛な消費を受けて大きな需要が生まれている」と話す。

ブラジル地理統計院(IBGE)は最新の見通しの中で、今農年の穀物生産高が、前年同期を12%上回ると予想。最終的に1億8130万トンに達する見込みだ。

貿易収支

ただし今年の大豊作をもってしても、ブラジルが2013年に貿易収支黒字を新調させるには不十分と見られる。ブラジルは、2012年、過去10年で最悪の194億3,000万ドルの貿易収支黒字を計上した。

Funcexが2013年の貿易収支黒字を130億ドルと予想する一方、AEBは146億ドルを見込む。ただし、AEBの数字は2012年末時点に発表されたもので、今年半ばに見直しが加えられる予定。(2013年4月20日付けエスタード紙)

(論評)影響力の強い効果を期待する

ロベルト・ジアネッチ・ダ・フォンセッカ

新しい実験の結果が出るのを待つことほど辛いものはない。これは因果関係と言われるもので、医薬品であれば、現時点で不治の病に対して処方する新薬、あるいは、全く新しく革新的な痩身術による減量法のような取るに足らないものまで、その効果が試験される。因果関係に関するモデルの多くが科学的に適切な現象としてだけでなく、人文科学の場合のように常識といった形で説明される。経済においてもそれは、相違がない。因果関係は、常に1対1の関係にあるのではなく、状況の置かれた一時性と局所性のために、精度を持って計測可能だといえるものにはならない。

こうした前提をもとに、私は、ブラジル経済の現状について取り上げてみようと思う。1)連邦政府が過去12か月、利下げを行い、マネタリーベースの拡大に減税を持って物価を引き下げたこと。2)輸出競争力を強化するために通貨レアルを安値に誘導したこと。3)輸入関税により国内市場に対して付帯的な保護措置を導入したこと。4)電力事業認可会社の特別利益を削減して工業部門の主要な中間投入財のコストを削減したこと。5)様々な業界に対して給与税減税を実施し、これにより人件費を引き下げたこと。最後に、6)国内の物流コスト低減に向けて鉄道と高速道路、港湾、空港に関する新たな事業認可を通じたインフラへの意欲的な投資計画を立ち上げたこと。

これらすべてのマクロ・ミクロ経済活動にもかかわらず、現在のブラジル経済の状況は、懸念すべき事実とデータを示している。つまり、財とサービスに及ぶ急激かつ広範囲なインフレ、依然として低調な投資、貧弱な経済成長、2013年第1四半期に赤字を計上した貿易収支、大きく拡大する傾向にある経常収支赤字、リスクが増大する財政バランスの不均衡化だ。

初期診断を誤った、あるいは薬が違う、投薬量に間違いというケースがあるかも知れないし、また、楽観的な見方としては、全てが適切かも知れないが、その効果はいまのところ感じられないのではないか? これこそ、私が本稿で、これから分析してみたい問題だ。

私の見解では、マクロ経済上の大部分の価格のずれ、言い換えれば金利と為替相場といった競争力と投資を阻害するものを修正する必要以上に、適切な初期診断を下すことに勝るものはない。だが我々は、この価格調整の原因と結果の関係は長期にわたって醸成されてきたこと、かつ様々なマクロ経済の変数に左右されていることを認識している。すなわちそれは、結果が原因そのものに由来しているという、本質的な因果関係にあるということだ。

多くの人が、電力コストと物流コスト、税負担など、ブラジル経済競争力にとって不利となる他の要因を補正するための対処法を問題にしている。複雑な法体系と政府によるこの分野への介入手法を考慮すると、これらの調整の実施に当たって誤りがあったのは間違いないだろうが、惰性と不作為よりはまだましだ。商品サービス流通税(ICMS)と社会統合基金(PIS)/社会保険融資納付金(Cofins)といった基幹税に関しては、財務当局が優先的に取り組む課題に組み入れられた。2014年までには完全に施行され、我が国の税制を合理化させることに期待したい。それまでは特別税制を通じて、工業部門の中でも化学業界と砂糖アルコール業界、紙セルロース業界、乳業界、その他の、競争力と税クレジットの累積的適用に問題を抱えて厳しい状況におかれている業種に対して対応を図る、税制の抜本的改革とは異なる応急措置が必要だ。同様に、暫定的に適用を拡大した給与税減税とレインテグラ(輸出業者への租税返却特別処置)など、工業部門の発展と輸出の振興を後押しする対策も必要だ。

何らかの恩恵あるいは税制優遇政策に対して短期的に有効な対策を実施した場合、その結果は、目的の達成度において非効率な結果をもたらす。なぜなら、その効力が限定的と受け止められてしまい、工業部門が下す投資あるいは価格への判断に影響力を発揮しないためだ。一般論として工業は、こうした種々の、既に有効なイニシアティブによって支えられているのであり、その効果に対しては、経済体系の中でコストの削減と競争力の向上に効果を発揮することから注意深く見守っている。だが、ブラジルの工業部門が競争力を獲得するための調整作業はゴールまでの道のりは長く、かつ、克服すべき多くの困難が待ち受けているために多くの忍耐を要することから、工業部門は、実際のところ、連邦政府が機敏に大鉈を振るうのを欲しているのである。(2013年4月18日付けエスタード紙)

ロベルト・ジアネッチ・ダ・フォンセッカ エコノミストで実業家、コンサルタント会社カドゥナ社長、サンパウロ州工業連盟(Fiesp)通商・貿易担当理事。