2015年上期の業種別部会長シンポジウムに170人が参加して開催

総務委員会(相原 良彦委員長)並びに企画戦略委員会(岡 省一郎委員長)共催による2015年上期の業種別部会長シンポジウムは、2015年2月24日午後1時から6時過ぎまで170人が参加して開催、前半の司会は相原 良彦総務委員長が務め、初めに村田俊典会頭は開催挨拶として、佐野首席領事並びに小林参事官の参加にお礼を述べ、会議所の伝統的で大切な行事である業種別部会長シンポジウムでは11部会長が昨年の回顧と今年の展望を発表、基調講演を行うイヴァン・ラマーリョ開発商工副大臣並びに国家輸出振興庁(Apex)のミシェリ・カンデローロ氏の2015ミラノ万博担当の参加で素晴らしいシンポジウムになると説明、またイヴァン・ラマーリョ開発商工副大臣は、2005年から2010年まで開発商工副大臣を務め、その間にBNDESparの経営審議会メンバー、COFIG会長、通商管理商議所(GECEX)メンバー、伯亜及び伯日を含む各国貿易投資委員会コーディネーター、日ブラジル合同委員会のブラジル側副議長などを務めて日伯貿易に貢献、その後はメルコスール事務本部の事務総長から今回再度、開発商工副大臣に就任したことを説明した。

初めに金融部会の加藤清已部会長は、テーマ 2014年度の回顧と2015年度の展望、副題として~再生目指すブラジル経済!どう頑張る日系ビジネス~について、2014年の回顧として景気停滞と高インフレが同時進行、主要マクロ経済指標の推移、GDP成長率の推移、家計に占める債務比率・返済比率、インフレの推移、金利・為替レート推移、政府債務・公的金融機関貸出、ソブリン格付の推移、第二次ルセフ政権新経済閣僚の顔ぶれ、新政権の経済政策、今年の展望では景気停滞の継続、各銀行の主要指標の予想、ブラジル保険市場動向などを説明した。

コンサルタント部会の関根実部会長はBrazilian Market World Rankingと題して、投資Advisory業務では新規単独投資案件は中断、M&A案件では税務Advisory業務は増加、リクルート業務:増員案件から入替え案件へ、証券投資Advisory業務ではOGX、Petrobrasで失墜した信用回復待ちでブラジル経済再生には数年を要すると説明、世界的に競争力があるブラジル製品として、鉄鉱石生産は世界3位、輸出は2位、農牧産品では穀物生産は4位、サトウキビ、コーヒー、オレンジは1位、大豆2位、綿花5位、トウモロコシ3位、牛肉、鶏肉2位、食品生産では砂糖、オレンジジュースは1位、ビール3位、エタノール2位、ミネラルウオーター4位、パルプ4位、セメント5位、自動車7位、化粧品販売2位、糖尿病患者4位、フェースブックユーザー2位、金融では10年物の国債利回り1位、淡水資源1位にも関わらず、水不足、雷発生件数1位などビジネスにつながるものも多くあり、またブラジルの消費市場の大きさやポテンシャルの再確認などについて説明した。

貿易部会の寺本将人副部会長は、2014年の回顧として半期ごとの輸出入の推移、主要商品別輸出入、ブラジルの主要国別輸出入額並びに内訳、ブラジルの地域別輸入額、 対内直接投資ではトップは前年に米国を抜いたオランダが継続、統計に表れない第3国のオランダ、ルクセンブルグ経由の中国からの投資は5位の40億ドルで日本を上回り、 50%以上増加した日本の直接投資、大幅に減少した石油・天然ガス開発、農業並びに畜産向け投資、大幅増加の金属鉱物向け直接投資などについて説明した。

自動車部会の近藤剛史部会長は、第28回サンパウロモーターショーの動向、四輪車の業界動向、四輪車販売台数の推移、月別販売台数の推移、工業製品税(IPI)の減税政策終了による影響、四輪車の生産の推移・輸入台数の推移、二輪車の支払い形態、与信強化による販売減少、ファイナンスの動向、部品業界の動向、新政権の方針と業界への影響都市産業の競争力強化政策による環境改善では、税制体系の簡素化、輸出促進のためのインセンティブ、政府補助による輸出増加、新自動車政策(Inovar-Auto)によるさらなる現地化の促進や技術開発の投資促進、官民と連携した競争力強化への取組みとして、税制改革:税の引き下げと簡素で分かりやすい税体系への移行、インフラ整備:港・道路・鉄道などの物流インフラの整備、人材育成:エンジニアや熟練労働者など、高度な教育・訓練を受けた人材の育成、裾野産業の育成:戦略的な裾野産業育成策によるコスト競争力向上、輸出を促進する政策:競争力強化と輸出促進する通商政策、日系メーカーとしての取組みなどについて説明した。

電気電子部会の千野浩毅副部会長は、2014年の回顧ではマナウスのテレビ生産の推移、韓国勢がプラズマTVをW杯商戦で大量生産・安値販売による影響、白物家電は堅調、デジタル家電は不振、タブレット急伸してノートブックを追い越す、2015年の展望では景気の改善は期待できない、レアル安、高金利、インフレ、PETROBRAS問題、直近では水不足、電力不足、中長期では悲観的ではないが、短期的に事業環境は厳しいとネガティブ要素が多く、ポジティブ要素としてリオ五輪に向けた特需、新規市場・顧客開拓、成長へのキーワードとして『日本ブランド』を活かしたビジネスモデルの創出、ブラジル政府への要望として、インフラ改善と投資の促進、税金を払わない輸入に対する厳格な取締り、安全規格承認プロセスの迅速化などを要請した。

後半の司会は寺本将人企画戦略副委員長が務め、初めに平田藤義事務局長は、基調講演を行うイヴァン・ラマーリョ開発商工副大臣の功績について、2009年2月から日伯貿易投資促進委員会開催の実現はイヴァン・ハマーリョ副大臣のお陰であり、その後は日本とブラジルで毎年1回開催、また移転価格税制の進展、マルチ商用ビザ発行の功績、2012年3月1日に施行された日伯社会保障協定の締結など日伯のビジネス環境への多大な貢献に対してアミーゴであるイヴァン・ハマーリョ副大臣に熱い思いのお礼を述べた。

イヴァン・ハマーリョ副大臣は基調講演の前に、長年に亘ってアミーゴである平田事務局長にシンポジウム参加招待へのお礼を述べ、日本企業の投資や信頼はブラジルにとって非常に重要で、またブラジル貿易の最も重要なパートナーであり、今後はアルマンド・モンテイロ大臣と新貿易政策を進めるが、民間とパートナーを組む必要があり、日本企業が加盟している多くの産業界の協会が参加する予定となっていると説明、新貿易政策の目的は輸出製品の多様化、輸出先の多様化、輸出製品の原産国の多様化であり、付加価値製品の拡大、新貿易政策の柱として輸出プロモーションの拡大、マーケット市場のアクセス拡大、輸出保証とファイナンスの拡大、輸出業務の簡素化、輸出向けの減税、民間企業の参加並びに透明性の拡大、輸出プロモーションの拡大ではミッション団の派遣、ブラジルのイメージの向上、マーケット市場のアクセス拡大では優先貿易相手国の貿易の簡素化、自由貿易協定の拡大、貿易障壁の除去、輸出サポート業務の拡大、輸出関連税制としてドローバック、輸出業者に対する特別払戻税(Reintegra)、輸出特恵地区などについて説明、最後にビジネスや貿易の障害になっている問題点を直接、連絡してほしいと述べ、また再度、商工会議所と一緒に働けることは非常にうれしいと述べた。

国家輸出振興庁(Apex)のミシェリ氏は2015年ミラノ万博と題して、万博は1851年にロンドンで開始、ミラノ万博には2,000万人の訪問客が予想されており、ブラジルからは50万人が予想されており、「地球に食糧を、生命にエネルギーを」をテーマに世界140ヶ国以上が参加ブラジルのパビリオンは入場口の近くにあり、Apexをはじめ14省庁が協力、ブラジル館の特徴や協賛企業への恩典などについて説明した。

機械金属部会の渡辺健司部会長は、鉄鋼業界、電力・社会インフラ、プラント機器、造船、建設機械、産業用圧縮、農業機械、各種切削工具、機械部品・計測機器、潤滑油・金属加工業界の回顧ではW杯は景気刺激になるよりも稼働日数減少によるマイナス効果、10月の大統領選挙は経済活動が停滞すること等の不安定要素が増加、中国・ヨーロッパ、アルゼンチン経済の成長率低下で輸出産業が不振、ペトロブラスの案件はパイプ油井管・舶用DGの商談数が激減、原油価格の低下、ペトロブラス案件の見直しが発生、ラバ・ジャットの影響で資金繰り悪化で債権回収遅れ発生などを説明、2015年の展望では、レヴィー財務大臣は財政立て直し、インフレ沈静を軸足に、政策を進めており、政策金利も12%後半が予想され当面経済にはマイナス効果、ブラジル国際の格付け引き下げが予想され、資金調達コスト増加が見込まれ、原油・鉄鉱石・コモディティ需要減で、市場価格低迷が続く。ペトロブラス汚職疑惑は関連企業の資金の枯渇をまねき、サプライチェーン全体の縮小化を誘導。ラバ・ジャット捜査の完結で経済モラル、社会構造の改善を期待、早期終結による中断案件の復活・金融スキームの再編、財務体質改善による国内外の信用力回復、インフレ体質の払拭でブラジルコストの改善などを説明、またPetrobras疑惑が及ぼした機械金属部会企業への影響として、造船は約8億レアルの債権回収、機械装置は約3億レアルであるが、サプライチェーンを構成するメーカーを含めるともっと大きくなり、Petrobrasの本業である石油ガス掘削、石油精製、石油化学、肥料プラントなど関連企業が膨大であり、Petrobrasが10%の設備投資を減らすとGDP0.5%マイナスになるとも言われており、ブラジル経済へのマイナスインパクトは計り知れなく大きいことなどを説明した。

食品部会の岡崎徹副部会長は、部会各社の動向として調味料製造、乳酸飲料、 コーヒー販売、製菓用油脂、清酒、醤油、即席めん、果実ピューレ、種子、外食に分けて説明、輸出動向、原料動向、砂糖相場、乳相場の推移、賃金上昇やインフラ部門不整備によるブラジルコスト、ブランド力の強化、販売戦略の見直し、2014年の展望としてW杯の好影響でビール消費は好調、並行輸入品が減少、インフレと賃金調整などによるコストアップで採算悪化の懸念、レアル安の為替による輸出の増加、輸入酒類や日本食ブームや健康価値を捉えたカテゴリーについては、引き続き市場拡大、各種原料の動向、エネルギーコストの高騰。サンパウロ州を中心とする渇水の影響を受け電気スポット価格が急騰継続、2015年の展望では消費財の高インフレ傾向は継続、加えて公共料金の上昇に伴い、ミドル層が牽引してきた消費マインドの低調さは継続、どうする日伯関係-「再生目指すブラジル経済」では第2回日伯農業・食料対話の進展へのプロアクティブな協力、健康的な食、食習慣の普及活動・世界文化遺産としての日本食の普及・日伯食文化交流への支援などについて説明した。

運輸サービス部会の森田透部会長は、2014年の回顧として、ワールドカップ以降の荷動きが鈍い上、更に年末の荷動きを見ても輸出入とも貨物量は例年と比べ少なく、全体的に低調で厳しい一年だったが、サントス港の新規コンテナターミナルのEMBRA PORT/BT TERMINALのオープンによる効率化、G/4G契約者数の伸びは著しく、主要4大キャリアの年間設備投資額の合計は210億レアルを突破、ブラジル税関は2014年よりOEAプログラムのテスト運用Fase-1として5社のパイロット企業を選択し輸出業務テスト開始、2015年はFase-2として輸入業務のテスト開始予定、2015年3月より輸入業務運用の協議を開始。•段階的に2019年までにAEO承認企業50%の輸出入業務をターゲットとする。•対象認定企業1) 輸出入者2) 保税倉庫3) 港湾・空港オペレーター4)輸送業者5) 通関業者6) 貨物利用運送業者、2015年の展望では国内・国際線:2月カーニバル、4月、5月等の連休による国内線の売り上げ期待、国際線利用客は前年と同じレベルを予想、コンテナ船は景気の低迷、レアル安の影響を受けて輸入の停滞傾向は昨年に引続き暫し続く見込みでレアル安は輸出には追い風だがインパトは限定的の予想、企業は競争力維持強化のためERPやCRMといったアプリケーション/ソフトへの投資、ビッグデータやマスターデータマネジメント(MDM)といった、大量のデータ管理需要の高まりなどについて説明された。

化学品部会の高橋智部会長は、21業種を4分野に分けた2014年の回顧と2015年の展望について説明、2014年の回顧のプラス要因として、円安の為替やOEMビジネス獲得による販売増加、新製品の上市による商品需要の増加、競合社のフォースマジュール、新規市場開発、スタッフのコストパーフォーマンス向上、生活水準向上に伴う需要増加、マイナス要因として、自動車業界における低迷、大統領選挙後の為替変動、遺伝子変換作物の普及、旱魃の影響、欧米メーカーとの価格競争激化による採算悪化、アルゼンチン向け自動車輸出の不振、市況下落、レアル安、スタッフ帰任と離職による戦力低下、在庫過多により受注数量減少、ドル高による原材料高、人件費の上昇、2015年上期の展望のプラス要因として、サトウキビ栽培地域での降雨に期待、欧米・中国製品へのアンチダンピング課税、新規プロジェクトへの取組、スタッフのスキルアップ、新規顧客開発、前年の人員削減効果などが予想、マイナス要因として、レアル安による採算悪化及び機器設備投資停滞、欧米メーカーとの価格競争激化による採算悪化、為替の変動、新車購入向けIPI税の中止、アルゼンチン向け自動車輸出の減少、下請け部品メーカーの倒産や廃業、アジアからの安価製品流入の継続、クレジットリスクの増加、人件費の上昇、ANVISAによる薬価の引き下げの影響、旱魃の影響、電力料金の値上げなど経済低迷要素などについて説明した。

建設不動産部会の藤井健部会長は、現状認識と今期の課題、賃貸マンション賃料の推移と見通しやプレハブ業界の動向などについて、2014年の回顧ではアパートの賃貸相場の上昇率の停滞、マンション売買は物価上昇率を下回る価格の上昇、コスト削減、中古車販売ディーラー向け工事の受注増加、製造業の投資の先送り、原材料の値上げ、労賃の上昇、複合ビルの増加、公共事業の減少、2015年の展望では駐在員数の横ばい傾向、アパート価格変動の動向、インフレ上昇、銀行金利の高止まり、空室の増加傾向、営業所の新設、非日系企業の受注の開拓、施工の効率化、人件費の上昇、ペトロブラス石油公社関連の連邦警察の特別捜査「ラヴァ・ジャット作戦」による大手ゼネコンへの影響などについて説明、最後に日本で当たり前のことをやる、逃げずに、最後まで、責任を持って実施すれば大いに日本進出企業にビジネスチャンスがあると説明した。

繊維部会の横山愼一部会長は2014年下期の回顧では、世界の綿花在庫の半分以上を占める中国の影響で高値で推移、中国の直接補助金制度への移行の影響、世界的なドル高の為替と原油価格の影響による投機資金の引上げ、経済危機のアルゼンチン向け綿糸輸出の半減、国際的な綿花在庫の増加、天候不順の影響、インフレ上昇によるコストアップでの採算悪化、今年上期の展望ではアジア諸国の変化消費の増加予想、綿花相場の安値停滞、原油価格の急落による合繊価格の優位性の傾向、増税政策や金利高、電力料金の値上げによるコスト上昇、人件費の高騰、継続するインフレなどの要因で苦戦を強いられると説明した。

講評では、佐野 浩明 在サンパウロ日本国首席領事はこのシンポジウムに参加してブラジル経済の現状の認識ができたが、後退や低迷、困難など悲観的な発表ばかりであったから明るい話として、120周年事業に対する会議所会員企業の協力にお礼を述べ、昨年の安倍総理の訪伯で日本とブラジルの関係がますます良くなってきており、ジウマ大統領の訪日、皇室の訪伯など更なる交流を高める。ジョアキン・レヴィ財務相はインタビューで経済成長するには成長を信ずるのが重要であると説明しており、また政府内でスクラムを組んで財政改善、税制改革、社会保障制度の見直しをやる必要がある。ジャパンハウスでは日本の素晴らしい文化だけでなく最先端テクノロジーなどの日本ブランドを広めるために、日本進出企業に大いに利用してほしいと説明した。

小林 和明参事官は、シンポジウムによる貴重な経済情報の提供に感謝しているが、電力危機、水不足、マイナスの経済成長、ペトロブラス汚職問題など課題が多すぎる一方で日本企業の強固さを感じた。ブラジリアではカーニバル終了後にジウマ政権の全容が見えてきて新経済班になって政府とのアポイントが容易になってきており、日本政府への期待の大きさを感じているので、今後2年間は日本企業にとってチャンスになると感じているのでフォローしていきたいと述べた。

閉会の辞では相原 良彦総務委員長は、佐野 浩明 在サンパウロ日本国首席領事並びに小林 和明参事官の貴重な話に感謝を述べ、部会長並びに事務局にお礼を述べ、すでにサイトには発表されたプレゼンテーションが開催されており、またテープおこし完成後はサイトに掲載することを説明した。

2015年上期の業種別部会長シンポジウムの発表資料

Pdf金融部会

Pdf貿易部会

Pdf機械金属部会

Pdf自動車部会

Pdf電気電子部会

Pdfコンサルタント部会

Pdf食品部会

Pdf運輸サービス部会

Pdf化学品部会

Pdf建設不動産部会

Pdf繊維部会

Pdf全プレゼンテーション

Pdf国家輸出計画-イヴァン・ラマーリョ副大臣プレゼン(日本語)

Pdfミラノ国際万博2015(日本語)

開催挨拶をする村田俊典会頭

左から後半司会の寺本将人企画戦略副委員長/前半司会の相原 良彦総務委員長

左から村田俊典会頭/イヴァン・ハマーリョ副大臣/平田藤義事務局長

イヴァン・ハマーリョ副大臣参加のお礼を述べる平田藤義事務局長

講演中の国家輸出振興庁(Apex)のミシェリ・カンデローロ氏

佐野 浩明 在サンパウロ日本国首席領事

小林 和明参事官

 

 

 

 

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